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【発明の名称】 電気容量式力測定装置
【発明者】 【氏名】山形 豊

【氏名】尾崎 亘彦

【氏名】ビクター モロゾフ

【氏名】井上 浩三

【要約】 【課題】微小な力をきわめて高い感度で、しかも温度変化、湿度変化、経時変化などに影響されることなく安定に測定することができる電気容量式力測定装置を提供する。

【解決手段】弾性変形部12とベース部13とを、それらの間にスペーサを介在させることなく一体的に接合したセンサユニット11の弾性変形部の先端に取り付けたプローブ14に作用する力を、弾性変形部とベース部との対向面に設けた電極間の電気容量の変化として測定する。これらの電極を高周波発振回路22の共振回路に接続し、前記力によって変化するその共振周波数の変化を測定するために、高周波発振回路の出力信号を所定の時間に亘ってデジタル周波数カウンタ23で計測する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 測定すべき力が作用されて曲げ変形する弾性変形部と、前記力によっては変形しない剛性を有するベース部とを有し、これら弾性変形部とベース部との間にギャップが形成され、このギャップを構成する弾性変形部およびベース部の表面にそれぞれ電極を設けたセンサユニットと、このセンサユニットの前記ギャップを介して対向する電極に接続された入力端子を有し、これら電極によって構成されるコンデンサと直列または並列に接続されるように前記入力端子に接続されたインダクタと、これらコンデンサとインダクタとによって構成される共振周波数の変化として前記弾性変形部に作用される力を測定する測定回路とを具え、前記センサユニットを硬質材料の一体構造としたことを特徴とする電気容量式力測定装置。
【請求項2】 前記センサユニットの弾性変形部およびベース部を、導電率が低く、熱膨張率が小さな硬質材料で形成したことを特徴とする請求項1に記載の電気容量式力測定装置。
【請求項3】 前記弾性変形部およびベース部の硬質材料を、ガラスまたはセラミックスとしたことを特徴とする請求項2に記載の電気容量式力測定装置。
【請求項4】 前記弾性変形部およびベース部の材料を、溶融石英としたことを特徴とする請求項3に記載の電気容量式力測定装置。
【請求項5】 前記ベース部に、前記弾性変形部の一端と結合される取り付け面を形成すると共に前記ギャップを介して弾性変形部と対向する面とを形成し、これら取り付け面および対向面を互いに平行とすると共に対向面を取り付け面から前記ギャップの間隔に等しい距離だけ後退させたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電気容量式力測定装置。
【請求項6】 前記ベース部の取り付け面およびこれに結合される弾性変形部の取り付け面に、弾性変形部に設けられた電極に接続される導電パッドを設け、これらの導電パッドを介して弾性変形部とベース部とを結合したことを特徴とする請求項5に記載の電気容量式力測定装置。
【請求項7】 前記ギャップの間隔を1〜100μmとしたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の弾性表面波装置。
【請求項8】 前記センサユニットの弾性変形部の先端に、測定すべき力を発生する試料を保持するプローブを連結したことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の電気容量式力測定装置。
【請求項9】 前記測定回路に、前記コンデンサとインダクタによって構成される共振回路を含む発振回路と、この発振回路から発生される前記共振周波数にほぼ等しい周波数を有する発振信号の周波数の変化を測定する周波数変化検出回路とを具えることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の電気容量式力測定装置。
【請求項10】 前記周波数変化検出回路が、前記発振信号を計数するデジタル周波数カウンタと、このデジタル周波数カウンタが所定の時間に亘って計数した計数値を処理して前記弾性変形部に作用する力を測定するデジタル信号処理回路とを具えることを特徴とする請求項9に記載の電気容量式力測定装置。
【請求項11】 前記周波数変化検出回路が、前記発振信号を計数するデジタル周波数カウンタと、このデジタル周波数カウンタの計数値が所定の計数値に達するまでの時間を測定する回路と、この回路の出力信号を処理して前記弾性変形部に作用する力を測定するデジタル信号処理回路とを具えることを特徴とする請求項9に記載の電気容量式力測定装置。
【請求項12】 前記発振回路の能動素子として、入力容量が低い半導体素子を設けたことを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載の電気容量式力測定装置。
【請求項13】 前記入力容量の低い半導体素子としてMES−FET,J−FETまたはMOS−FETを用いたことを特徴とする請求項12に記載の電気容量式力測定装置。
【請求項14】 前記センサユニットおよび測定回路の一部分を、外部雰囲気から遮断するハウジングに収納し、このハウジングを経て乾燥空気を流通させることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の電気容量式力測定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微小な力を測定する装置、特に測定すべき力による電気容量の変化を検出して力を測定する電気容量式力測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】微小な力や変位を測定する必要性は種々の分野において益々高くなってきている。微小な変位を測定する技術の一つとして、光学式のものが提案されている。しかしこの場合には光ビームの光路の位置的な変化を検出する光電変換素子の分解能に問題があり、ミクロンオーダーの微小な変位を十分高い精度で測定することは困難である。
【0003】微小な変位を測定する他の技術として磁界中の磁性部材の変位を測定したり、電気容量の変化を検出することも提案されている。この内、磁気的な測定方法は分解能や測定精度の点で問題があり、微小な力または変位を高精度で測定するのには適していない。電気容量を利用するものは、コンデンサを構成する一対の電極の一方の変位を電気容量の変化として検出するものであり、高感度であるとともに精度も高いという特長がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように電気容量の変化を利用して微小な力や変位を測定する装置として、例えば特開平4ー2497216号公報や同4ー299227号公報に記載されたものがある。これらの従来の装置においては、測定すべき力によって変位する弾性変形部と、これを支持するベース部との間に微小なギャップを形成し、このギャップを挟んで互いに対向する電極を設け、これらの電極によって構成されるコンデンサの容量値の変化を検出することによって力または変位を測定するようにしている。
【0005】このような電気容量式力測定装置では測定感度はギャップの間隔に反比例して大きくなるので、微小な力を大きな感度で測定するためには、ギャップの間隔を1〜100μmときわめて小さくする必要がある。従来の力測定装置においては、微小なギャップを形成するために、ベース部の平坦な表面に、膜厚がギャップの間隔にほぼ等しいポリマーフィルムなどのスペーサを介して接着している。しかしポリマーフィルムなどの軟質材料は、温度変化、湿度変化、経時変化などが大きく、ギャップの間隔を正確に維持できず、測定感度や測定精度の不安定性を招き、測定の信頼性が得られない欠点がある。
【0006】さらに、ギャップ構成部分の剛性を高めるために半導体装置の製造技術として確立されている手法を利用し、シリコンまたはゲルマニウムのウエファをエッチングして弾性変形部およびベース部を一体の構造として形成することが提案されている。しかしながら、例えば長さが数十ミリの弾性変形部の一部をベース部の一部に対してミクロンオーダーのギャップを介して正確に離間して形成することは非常に難しく、設計通りのものを製造することは困難であり、測定精度が低いと共にダイナミックレンジも狭いという欠点がある。
【0007】さらに、例えば蛋白より成る試料とリガンドとの結合によって試料に発生される伸縮量を力測定装置で測定する場合には、弾性変形部の先端を力検出用プローブの一端に連結し、このプローブの他端を一端が固定された試料の他端に連結するようしている。この場合、プローブの先端を針状に尖らせて蛋白試料に突き刺して連結することが行われているが、この操作を行う際にはプローブを介して弾性変形部に相当の応力が加わることになる。従来の力測定装置の弾性変形部の剛性は十分に高いものではないので、このような応力に対して耐えることができず損傷し、甚だしい場合には破損してしまう欠点がある。
【0008】さらに従来の電気容量式の力測定装置においては、上述したギャップを対向して配置されている電極によって構成されるコンデンサの容量変化を測定するために、例えばコンデンサを容量ブリッジの一辺に接続したり、インダクタと共に共振回路を構成するように接続している。いずれにしても従来の電気容量式力測定装置においては、アナログ回路を用いてコンデンサの変化を検出しているため、種々の要因により変動し安定した測定ができないと共にダイナミックレンジも狭いという問題がある。
【0009】さらに、従来の電気容量式力測定装置においては、空気の導電率、誘電率、透磁率の変化による影響があり、きわめて微小な容量の変化を正確に測定することはできない。すなわち、コンデンサを構成する電極の表面には吸着水膜が存在しているが、その膜厚が周囲雰囲気の湿度や温度の変化による変動を受けるのでコンデンサの容量が不安定となる。また、測定回路のコイルやフィードバックトランス等も温度の変動を受けるので安定した測定を行うことができない。
【0010】したがって本発明の目的は、コンデンサを構成する弾性変形部とベース部との剛性を高めると共に電極間の間隔をミクロンオーダーといった微小な間隔に正確に保持することができるセンサユニットによって高精度で安定した測定を行うことができる電気容量式力測定装置を提供しようとするものである。
【0011】本発明の他の目的は、上述したコンデンサの微小な容量変化をデジタル的な手法によって正確にかつ安定して検出することができる測定回路によって広いダイナミックレンジに亘って高精度で安定した測定を行うことができる電気容量式力測定装置を提供しようとするものである。
【0012】本発明のさらに他の目的は、センサユニットおよび測定回路の周囲雰囲気の温度や湿度の変化による変動を軽減し、正確で安定した測定を行うことができる電気容量式力測定装置を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明による電気容量式力測定装置は、測定すべき力が作用されて曲げ変形する弾性変形部と、前記力によっては変形しない剛性を有するベース部とを有し、これら弾性変形部の一部とベース部の一部との間にギャップが形成され、このギャップを構成する弾性変形部およびベース部の表面にそれぞれ電極を設けたセンサユニットと、このセンサユニットの前記ギャップを介して対向する電極に接続された入力端子を有し、これら電極によって構成されるコンデンサと直列または並列に接続されるように前記入力端子に接続されたインダクタと、これらコンデンサとインダクタとによって構成される共振周波数の変化として前記弾性変形部に作用される力を測定する測定回路とを具え、前記センサユニットを硬質材料の一体構造としたことを特徴とするものである。
【0014】このような本発明による電気容量式力測定装置においては、弾性変形部およびベース部を具えるセンサユニットを硬質材料の一体構造としたので、弾性変形部とベース部との間に軟質材料のスペーサを配置した従来の電気容量式力測定装置のように温度変化、湿度変化、経時変化などの影響を軽減することができ、微小な力または変位を高精度で正確に測定することができる。
【0015】本発明による電気容量式力測定装置の好適な実施例においては、前記ベース部に、前記弾性変形部の一端と結合される取り付け面を形成すると共に前記ギャップを介して弾性変形部と対向する面とを形成し、これら取り付け面および対向面を互いに平行とすると共に対向面を取り付け面から前記ギャップの間隔に等しい距離だけ後退させて所望の間隔を有するギャップを形成する。このような場合には、ベース部の取り付け面および対向面を同一平坦面となるように研削した後、対向面だけを所望のギャップの間隔に等しい距離だけ後退するように研削することによって例えば1〜100μmの微細なギャップをきわめて正確に得ることができる。
【0016】また、本発明による電気容量式力測定装置においては、前記センサユニットの弾性変形部およびベース部を、導電率が低く、熱膨張率が小さな材料、例えばガラスまたはセラミックス、特に溶融石英で形成するのが好適である。
【0017】さらに、本発明による電気容量式力測定装置においては、前記ベース部の取り付け面およびこれに結合される弾性変形部の取り付け面に、弾性変形部に設けられた電極に接続される導電パッドを設け、これらの導電パッドを介して弾性変形部とベース部とを結合することができる。このような構造によれば、弾性変形部に設けられた電極を測定回路へ接続するためのリード線を弾性変形部ではなくベース部に接続することができるので、リード線が弾性変形部の変位に影響を与えることがなくなり、一層正確な測定が可能となる。
【0018】さらに本発明の電気容量式力測定装置を、例えば上述した蛋白試料の測定に使用する場合には、前記センサユニットの弾性変形部の先端に、測定すべき力を発生する試料を保持するプローブを連結することができる。この場合、弾性変形部の剛性は高いのでプローブを試料に突き刺すときに弾性変形部が過度に変形するようなことはなく、したがって破損することもない。
【0019】さらに、本発明による電気容量式力測定装置の好適な実施例においては、前記測定回路に、前記コンデンサとインダクタによって構成される共振回路を含む発振回路と、この発振回路から発生される前記共振周波数にほぼ等しい周波数を有する発振信号の周波数の変化をデジタル的に測定するデジタル周波数変化検出回路とを設けることができる。このようなデジタル周波数変化検出回路を設けることにより、周波数の微小な変化を広いダイナミックレンジに亘って正確にかつ安定して検出することができる。
【0020】この周波数変化検出回路は、前記発振信号を計数するデジタル周波数カウンタと、このデジタル周波数カウンタが所定の時間に亘って計数した計数値を処理して前記弾性変形部に作用する力を測定するデジタル信号処理回路とで構成するか、前記発振信号を計数するデジタル周波数カウンタと、このデジタル周波数カウンタの計数値が所定の計数値に達するまでの時間を測定する回路と、この回路の出力信号を処理して前記弾性変形部に作用する力を測定するデジタル信号処理回路とで構成することができる。さらに、発振回路の能動素子として、入力容量が低い半導体素子、例えばMES−FET,J−FETまたはMOS−FETなどを用いることができる。
【0021】さらに本発明による電気容量式力測定装置の好適な実施例においては、前記センサユニットおよび測定回路の少なくとも一部分を、外部雰囲気から遮断するハウジングに収納し、このハウジングを経て乾燥空気を流通させることができる。このように乾燥した空気流を絶えず流通させることによってハウジング内の温度、湿度などの変動を抑えることができ、ギャップを介して互いに対向する電極の表面に形成される吸着水膜の膜厚をほぼ一定に保つことができ、安定した測定を行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は本発明による電気容量式力測定装置の一実施例の全体の構成を示す線図である。センサユニット11は、弾性変形部12と、ベース部13と、プローブ14とを有しているが、その詳細な構造については後に説明する。センサユニット11に設けられた一対の電極を測定回路21に設けた高周波発振回路22に接続し、これらの電極によって構成されるコンデンサの容量によって決まる周波数の高周波信号を発生させ、これをデジタル周波数カウンタ23に供給して所定の時間に亘って高周波信号を計数した計数値を求め、この計数値に基づいてプローブ14を介して弾性変形部12に作用する力を測定する。このようにして測定した力を出力回路24で表示したり、プリントアウトする。
【0023】本例では、センサユニット11および測定回路21の内の高周波発振回路22をハウジング25内に配置し、ポンプ26からシリカゲルなどの乾燥剤27を通過させた乾燥空気流を、ハウシングに設けた入り口25aから流入させ、出口25bから排出させるようにする。このように乾燥した空気流をハウジング25を経て流通させることによって、ハウジング内に配置したセンサユニット11および高周波発振回路22の周囲雰囲気の温度および湿度をほぼ一定に保つことできるので、温度や湿度の変動に影響されない安定した測定を行うことができる。
【0024】図2は上述したセンサユニット11の詳細な構造を示す側面図であり、図3およびBは弾性変形部12の構成を示す側面図および正面図、図4AおよびBはベース部14の正面図および側面図である。弾性変形部12は例えば厚みが0.5mmで長さが約20mmで、幅が約5mmの平板を以て形成し、その一方の表面の下端部12aにはコンデンサを構成する一方の電極15を設け、上端部には電極パッド16を設け、これらを導体パターン17で接続したものである。
【0025】ベース部13はほぼ「コ」の字状をしており、その長さは20mmで、幅は約5mmである。下端部13aにはコンデンサを構成する他方の電極18を設け、上端部13bには上述した電極パッド16と接合される電極パッド19を設ける。この上端部13bは弾性変形部12と連結される取り付け面を構成するものである。本発明においては、これら弾性変形部12およびベース部13を、電気導電率が低く、熱膨張率が低い硬質の材料、例えばガラスやセラミックスで形成するが、本例では溶融石英で形成する。また、電極15および18や電極パッド16および19は、金、プラチナなどの化学的に安定な貴金属を蒸着して形成し、その膜厚は1μm以下とする。
【0026】図4に示すように、ベース部13の電極18を設けた対向面13aと取り付け面13bとは互いに平行とするが、対向面を取り付け面よりも所望のギャップの間隔に等しい距離d、本例では10μm程度だけ後退させている。このような構造は、最初に対向面13aおよび取り付け面13bの双方を同一平面となるように研削した後、対向面だけをさらに平行に距離dだけ研削することによって容易にしかも正確に得ることができる。この場合、対向面13aおよび取り付け面13bの平行度は、1〜0.1μm 、特に0.5μm 以下とするのが好適である。
【0027】上述した構造の弾性変形部12の取り付け面12bを、ベース部13の取り付け面13bと連結するが、本発明では上述したように電極の対向面13aは取り付け面13bから既に後退しているので、従来のようにこれらの間にスペーサを介在させる必要はなく、直接結合することができる。この結合は、米国コーニング社から「ゼロデュアー(商品名)」なる商品名で販売されている熱膨張係数がほぼ零のセラミックガラスで融着することができる。このようにして本発明によれば、弾性変形部12およびベース部13を軟質材料を介することなく一体構造とすることができるので、温度変化、湿度変化、経時変化などによってギャップ間隔dが変動することがないので、微小な力をきわめて高い感度で正確にしかも安定して測定することができる。
【0028】本例の電気容量式力測定装置を使用して例えば蛋白試料のリガンドとの結合によって生ずる力を測定する場合には、図2に示すように弾性変形部12の下端に連結したプローブ14および上端を固定したプローブ14aを試料Sに突き刺すようにしている。このように突き刺す際に、プローブ14を介して弾性変形部12に力が加わるが、本発明では弾性変形部は剛固な材料で形成されているので破損したりする恐れはない。
【0029】図5は上述した高周波発振回路22の詳細な構成を示すものであり、センサユニット11の電極15および18で構成されるコンデンサを可変コンデンサCで示した。この可変コンデンサCの容量は、4〜40pFの範囲で変化するものである。本例ではこのコンデンサCと直列にインダクタ31を接続して共振回路を構成し、これらコンデンサおよびインダクタの接続点をMES−FET32の第1のゲートG1 に接続する。
【0030】上述したインダクタ31をフィードバックトランス33の1次巻線33aの一端に接続し、その他端をコンデンサCに接続する。このフィードバックトランス33の2次巻線33bの一端を上述したMES−FET32のドレインDに接続してインダクタンス帰還型の発振回路を構成する。フィードバックトランス33は、溶融石英などの硬質でかつ熱膨張率が低く、誘電率および透磁率の温度変化が少ない材料の中空或いは棒状のコアに銀メッキ銅線を直接巻き付けて形成したものである。このようにして安定度の高いインダクタンスを有するフィードバックトランスを得ることができる。
【0031】MES−FET32のソースSは、抵抗34を経て接地し、第2のゲートG2はバイアス調整用の半固定抵抗35の摺動接点に接続すると共にコンデンサ36を経て接地する。半固定抵抗35は、直流電源37の両端間に接続する。MES−FET32のドレインDは、結合コンデンサ38を経てバッファ増幅器を構成するN型MOS−FET39のゲートGに接続する。このゲートは直流電源37の両端間に接続された直列抵抗40および41の接続点に接続する。フィードバックトランス33の2次巻線33bの他端を抵抗42を経て直流電源37の正端子に接続する。さらに、MOS−FET39のドレインDを直流電源37の正端子に接続し、ソースSを抵抗43を介して直流電源の負端子に接続し、この抵抗とソースとの接続点を出力端子44に接続する。
【0032】上述した各素子の値または品名は以下の通りである。
インダクタ31 7μHフィードバックトランスの1次巻線および2次巻線 1μHMES−FET32 SGM2006MOS−FET39 2SK241半固定抵抗35 500kΩコンデンサ36 0.1μH直流電源37 3〜7V抵抗34、42 47Ω【0033】上述した高周波発振回路22の出力端子44からは、例えば30〜50MHzの周波数の高周波信号が発生され、その周波数は可変コンデンサCの容量の変化によって変化することになる。したがって、図1に示すプローブ14を介して弾性変形部12に与えられる力に応じて電極15および18間の間隔が変化することによってコンデンサCの容量が変化するので、その変化を検出することによって力を測定することができる。本例では、高周波発振回路22から出力される高周波信号をデジタル周波数カウンタ23へ供給し、一定時間の計数値を求める。このデジタル周波数カウンタ23の基準として水晶振動子などの高精度な基準発振器を使用することにより安定性は10-6〜10-8に達するので、微小な周波数の変化をきわめて高い分解能で安定して測定することができ、しかもダイナミックレンジも105 程度ときわめて広いものが得られる。これに対し、従来のアナログ式の周波数変化検出回路ではダイナミックレンジは高々103 程度と狭いものである。
【0034】上述したように本発明では外部より与えられる力を、弾性変形部12の変位を介してコンデンサの容量の変化として検出しているが、その理論について以下に説明する。外部より弾性変形部12に力が加わると変形が起こるが、これは片持ち梁の曲げを表す式で説明することができる。今、弾性変形部12の電極部分における変形量をy、外力をF、弾性変形部のヤング率(縦弾性率)をE、弾性変形部の断面2次モーメントをI Z 、弾性変形部の変形部分の長さをlとすると、【数1】

と表すことができる。ただし、I Z は弾性変形部の厚さをh、幅をbとすると、【数2】

である。ここで、【数3】

と置くと、加えられた力と変形量とは比例すると考えて良く、F=κy (4)
と表現することができる。
【0035】一方で、発振周波数fはセンサユニット11のコンデンサの容量Cと共振回路のインダクタ31のインダクタンスLより、【数4】

で与えられる。さらにコンデンサの容量Cは、力が加えられていない状態のギャップの間隔をd、互いに対向する電極15、18の面積をS、真空の誘電率をε(ただし大気中の誘電率もほぼ同じであるとする)とすると、【数5】

となる。
【0036】以上の式から、外力Fに対する周波数fの変化率を求めると、コンデンサのギャップ間隔dは外力により変化するためd±yとなることを考慮すると、【数6】

となる。ここで、外力による変形はギャップの大きさに比べて十分小さいと仮定すると、d+yはdと近似できる。したがって、上式(7)は、【数7】

となる。これらはすべて定数により構成されているため、結果として外力と周波数とは比例し、その比例係数が式(8)で表されたものとなる。
【0037】図6は図1に示すセンサユニット11を、弾性変形部12が水平となるように90度回転し、弾性変形部に細いワイヤを用いて種々の重りを吊るしたときの周波数の変化の実測値を示すものである。横軸に示すように重りを1g〜1mgの範囲で変化させたときの周波数の変化を縦軸にプロットして示すものであり、外力と周波数変化とはほぼ比例関係にあることがわかる。ここで、無負荷時における周波数は50MHzとしたが、本発明ではこの周波数は20〜60MHzとするのが好適である。また、測定分解能はほぼ30μgであると予想される。このように本発明の電気容量式力測定装置はほぼ理論通りに動作していることが確認された。
【0038】本発明は上述した実施例にのみ限定されるものではなく、幾多の変更や変形が可能である。例えば、上述した実施例ではセンサユニットの弾性変形部を片持ち梁構造としたが、図6に示すように両持ち梁構造とすることもできる。この場合には、細条状の弾性変形部51の両端をベース部52の取り付け面に接合し、中央に設けた電極53を、ベース部の中央の突起54に設けた電極55と対向させてコンデンサを構成することができる。
【0039】図7はセンサユニットの他の実施例を示すものである。上述した実施例では弾性変形部12に設けた電極15は、電極パッド16および19を介して測定回路へ接続するように構成したが、本例では電極15を導体パターン17を介して弾性変形部の取り付け面とは反対側の表面に設けた電極パッド16へ接続し、この電極パッドにリード線61を接続する。このような構成では、弾性変形部12とベース部13との接合面には電極パッドが介在しないためこれらの面を直接接合することができる。
【0040】また、本発明によれば弾性変形部12とベース部13との結合は、機械的結合方法、レーザー熔接法、化学的表面活性法などによって実現することが可能である。例えば、レーザー熔接法を採用する場合には、それぞれ弾性変形部とベース部とを構成する2つのガラス部材を重ねた状態で炭酸ガスレーザによって接合面を局所的に加熱して接合することができる。本発明によれば、何れの接合方法を採用する場合でも、弾性変形部とベース部との間には軟質材料が介挿されないので、周囲環境の変化や経時変化に影響されることなくこれらの間のギャップを正確に維持することができる。
【0041】さらに上述した実施例では、高周波発振回路22からの高周波信号をデジタル周波数カウンタ23で計数する場合に、所定の時間に亘って計数した値から周波数変化を測定するようにしたが、予め決められた計数値に達するまでの時間を計測し、この時間から周波数の変化を測定するようにしても良い。
【0042】さらに上述した実施例では、弾性変形部を溶融石英のようなガラスで形成したが、インバーのような合金で形成することもできるが、このような導電性の材料を用いる場合には電極の絶縁手段が必要になる。したがって少なくとも弾性変形部は上述したように導電率が低いと共に熱膨張率も低いガラスやセラミックスで形成する方が好適である。
【0043】
【発明の効果】上述したように本発明による電気容量式力測定装置においては、センサユニットを構成する弾性変形部とベース部とを硬質の材料の一体構造とするので、コンデンサを構成する電極間のギャップの間隔を、特に温度変化、湿度の変化や経時変化などに影響されることがなくきわめて正確に所定の値とすることができる。したがって、微小な力によるコンデンサの容量値の僅かな変化もきわめて正確に検出することができ、安定な測定が可能である。
【0044】さらに、センサユニットのコンデンサとインダクタによって構成される共振回路の共振周波数の変化をデジタル的に測定するデジタル周波数変化検出回路を設けた実施例では、周波数の微小な変化を広いダイナミックレンジに亘って正確にかつ安定して検出することができる。
【出願人】 【識別番号】000006792
【氏名又は名称】理化学研究所
【識別番号】399014875
【氏名又は名称】エス・ティ・リサーチ株式会社
【出願日】 平成11年3月4日(1999.3.4)
【代理人】 【識別番号】100059258
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外8名)
【公開番号】 特開2000−258260(P2000−258260A)
【公開日】 平成12年9月22日(2000.9.22)
【出願番号】 特願平11−57381