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【発明の名称】 半導体圧力センサの製造方法
【発明者】 【氏名】横山 賢一

【氏名】寺田 雅一

【要約】 【課題】電気化学ストップエッチングを用いて空洞を形成するとともに成膜にて空洞を密閉構造とする技術として実用性の高いものとする。

【解決手段】表面の面方位が(100)面のシリコン基板3の表層部に、Pウエル領域4とNウエル領域5を形成し、Nウエル領域5にシリコン基板の<110>方向または<100>方向に連続的または断続的に延び、かつ、Nウエル領域5を貫通するトレンチ26を形成し、アルミ配線20,21を通してウエル領域4,5との間に電位差を生じさせながら、トレンチ26を通した異方性エッチング液の注入によりNウエル領域5より下側の単結晶シリコン基板のエッチングを行うとともにウエル領域4,5の界面部でエッチングをストップさせ、Nウエル領域5をダイヤフラムとする空洞7を形成する。アルミ配線20,21を除去した後、封止用膜を成膜してトレンチ26を塞ぐ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 表面の面方位が(100)面の単結晶シリコン基板の表層部に、周囲の導電型とは逆導電型の不純物拡散領域を形成する工程と、前記不純物拡散領域に単結晶シリコン基板の<110>方向または<100>方向に連続的または断続的に延び、かつ、不純物拡散領域を貫通するトレンチを形成する工程と、前記単結晶シリコン基板の表面において前記不純物拡散領域とその周囲領域の少なくともいずれか一方と電気的に接続された配線を通して前記不純物拡散領域とその周囲領域との間に電位差を生じさせながら、前記トレンチを通した異方性エッチング液の注入により前記不純物拡散領域より下側の単結晶シリコン基板のエッチングを行うとともに前記不純物拡散領域の界面部でエッチングをストップさせ、前記不純物拡散領域をダイヤフラムとする空洞を形成する工程と、前記配線を除去した後、封止用膜を成膜して前記トレンチを塞ぐ工程と、を備えたことを特徴とする半導体圧力センサの製造方法。
【請求項2】 ダイヤフラムに配置するゲージに対する配線を、トレンチを塞いだ後に行うようにした請求項1に記載の半導体圧力センサの製造方法。
【請求項3】 表面の面方位が(100)面の単結晶シリコン基板の表層部に、周囲の導電型とは逆導電型の不純物拡散領域を形成する工程と、前記不純物拡散領域に単結晶シリコン基板の<110>方向または<100>方向に連続的または断続的に延び、かつ、不純物拡散領域を貫通するトレンチを形成する工程と、前記単結晶シリコン基板の表面において前記不純物拡散領域とその周囲領域の少なくともいずれか一方と電気的に接続され、かつ封止用膜の成膜温度よりも高い融点の金属よりなる配線を通して前記不純物拡散領域とその周囲領域との間に電位差を生じさせながら、前記トレンチを通した異方性エッチング液の注入により前記不純物拡散領域より下側の単結晶シリコン基板のエッチングを行うとともに前記不純物拡散領域の界面部でエッチングをストップさせ、前記不純物拡散領域をダイヤフラムとする空洞を形成する工程と、封止用膜を成膜して前記トレンチを塞ぐ工程と、を備えたことを特徴とする半導体圧力センサの製造方法。
【請求項4】 封止用膜の成膜は減圧CVD法によるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体圧力センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体圧力センサの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の半導体センサチップの小型化、高精度化に伴い、センシング部であるダイヤフラムの小型・薄肉化、高精度化が進んでいる。出願人は、特願平9−295678号において基準圧力室を内蔵した小型・薄肉ダイヤフラムを有するセンサの製造方法を提案している。その一つとして、図27に示すように、シリコン基板50の表面にX字状または十字状に配列した微小穴51からのシリコン異方性エッチングを行うとともに、シリコン基板50の表層部に形成した二重拡散領域の各領域52,53間に電位差を生じさせて電気化学的なストップエッチングを行い、基準圧力室となる空洞54を形成し、その後、微小穴51を真空封止してセンシング部としている。
【0003】微小穴51を真空封止する際に、減圧(LP)CVD法にて封止用薄膜を成膜すると、埋め込み性に優れ、高い信頼性が得られる。しかし、次に示すような課題も残される。
【0004】つまり、電気化学的なストップエッチングを用いてダイヤフラム厚さを安定して制御する、また、歩留まり良く成立させるためには、ウエハ全面に電位勾配を持たせないことが重要である。そのため、ウエハ上に配列した全チップに電位勾配が極力発生しないように、アルミ金属の配線を張り巡らすという手段を取ることが工程設計上、簡易である。
【0005】しかし、アルミ配線を用いた電気化学的なストップエッチング後に、前記減圧CVDによる封止を行うことができない。なぜなら、溶融温度が600℃程度のアルミを用いる配線と、600℃〜800℃程度にて成膜する減圧CVD法とは整合がとれないからである。
【0006】また、電気化学的なストップエッチング用のアルミ配線の形成と、ゲージ抵抗やチップ内蔵の集積回路部に対するアルミ配線の形成は、同時に同一アルミパターンマスクを用いて行うのが一般的であり、そのため、前記の減圧CVD法による封止といった製造方法を用いることはできなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明の目的は、電気化学ストップエッチングを用いて空洞を形成するとともに成膜にて空洞を密閉構造とする技術として実用性の高いものとすることができる半導体圧力センサの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の半導体圧力センサの製造方法においては、表面の面方位が(100)面の単結晶シリコン基板の表層部に、周囲の導電型とは逆導電型の不純物拡散領域を形成する。そして、前記不純物拡散領域に単結晶シリコン基板の<110>方向または<100>方向に連続的または断続的に延び、かつ、不純物拡散領域を貫通するトレンチを形成する。さらに、前記単結晶シリコン基板の表面において前記不純物拡散領域とその周囲領域の少なくともいずれか一方と電気的に接続された配線を通して前記不純物拡散領域とその周囲領域との間に電位差を生じさせながら、前記トレンチを通した異方性エッチング液の注入により前記不純物拡散領域より下側の単結晶シリコン基板のエッチングを行うとともに前記不純物拡散領域の界面部でエッチングをストップさせ、前記不純物拡散領域をダイヤフラムとする空洞を形成する。その後、前記配線を除去した後、封止用膜を成膜して前記トレンチを塞ぐ。
【0009】このように、配線を除去した後において、封止用膜を成膜してトレンチを塞ぐので、成膜の際の配線による不具合を回避できる。ここで、請求項2に記載のように、ダイヤフラムに配置するゲージに対する配線を、トレンチを塞いだ後に行うようにすると、実用上好ましいものとなる。
【0010】請求項3に記載の半導体圧力センサの製造方法においては、表面の面方位が(100)面の単結晶シリコン基板の表層部に、周囲の導電型とは逆導電型の不純物拡散領域を形成する。そして、前記不純物拡散領域に単結晶シリコン基板の<110>方向または<100>方向に連続的または断続的に延び、かつ、不純物拡散領域を貫通するトレンチを形成する。さらに、前記単結晶シリコン基板の表面において前記不純物拡散領域とその周囲領域の少なくともいずれか一方と電気的に接続され、かつ封止用膜の成膜温度よりも高い融点の金属よりなる配線を通して前記不純物拡散領域とその周囲領域との間に電位差を生じさせながら、前記トレンチを通した異方性エッチング液の注入により前記不純物拡散領域より下側の単結晶シリコン基板のエッチングを行うとともに前記不純物拡散領域の界面部でエッチングをストップさせ、前記不純物拡散領域をダイヤフラムとする空洞を形成する。その後、封止用膜を成膜して前記トレンチを塞ぐ。
【0011】このように、配線として封止用膜の成膜温度よりも高い融点の金属(高融点金属)を用いて電気化学ストップエッチングが行われ、その後に、封止用膜を成膜してトレンチを塞ぐので、成膜の際の配線による不具合を回避できる。
【0012】ここで、請求項4に記載のように、封止用膜の成膜は減圧CVD法によるものとすると、実用上好ましいものになる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明を具体化した実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本実施形態における半導体圧力センサを示すものであり、上側には平面を、下側にはそのA−A断面を示す。より詳しくは、ウエハ状態から各チップにダイシングを行った後の状態を示す。なお、上側の平面図は、説明を分かりやすくするためにA−A断面図でのトレンチエッチングマスク6および封止部材10を削除した状態で示す。
【0014】シリコン基板1の上には、埋込酸化膜(貼合わせ酸化膜)2を介してN型シリコン基板3が貼り合わされている。このシリコン基板3は厚さが15μm程度に薄膜化され、SOI層を構成している。シリコン基板3として、表面の面方位が(100)面のシリコン基板を用いている。SOI層3の中央部において、表層部には深いPウエル領域4と浅いNウエル領域5との二重拡散領域が形成されている。この二重拡散領域4,5の平面形状は四角形状をなしている。
【0015】SOI層3の上にはトレンチエッチングマスク6が形成され、トレンチエッチングマスク6は多数の透孔8を有する。SOI層3におけるNウエル領域5には透孔8と同形同寸法の貫通孔9が形成されている。SOI層3におけるNウエル領域5と埋込酸化膜2との間には、空洞7が形成されている。この空洞7は前述の透孔8および貫通孔9を通してエッチング液を導入することによりシリコンの異方性エッチングにより形成したものであり、より詳しくはPウエル領域4とNウエル領域5との界面でエッチングを停止する、いわゆる電気化学的なストップエッチングにて形成したものである。透孔8および貫通孔9の1箇の形状としては、四角形状をなし、各透孔8および貫通孔9の全体の配置としては、単結晶シリコン基板3の<110>方向または<100>方向に所定の間隔をおいて並設されている。
【0016】空洞7は、平面形状として四角形状をなし、縦断面形状としては、深さ方向における所定位置が最も幅が広く、その上側と下側は徐々に狭くなっている。このように、空洞7は、その上面がPN界面部で形成され、下面が埋込酸化膜2で形成され、側壁7aが「く」の字状になっている。
【0017】空洞7の上のNウエル領域5にてダイヤフラム11が形成されている。また、透孔8および貫通孔9は封止部材10にて塞がれ、空洞7の内部は真空となっている。このようにして、空洞7の内部が真空室となり、絶対圧センサにおける基準圧力室となっている。
【0018】ダイヤフラム11を構成するNウエル領域5には、ゲージ抵抗としての4つのP型不純物拡散領域(ピエゾ抵抗素子)12a,12b,12c,12dが形成されている。この4つのゲージ抵抗12a〜12dにてホイートストーンブリッジが構成されている。
【0019】図1に示すセンサチップにおいて、ダイヤフラム11よりも外周側には集積回路部13が形成され、集積回路部13において前記ホイートストーンブリッジの出力信号の増幅等が行われる。また、センサチップの周辺部には多数のボンディングパッド14が設けられ、このパッド14により所定の電位の印加や信号の取り出し等が行われる。
【0020】次に、このように構成した半導体圧力センサの製造方法を、図2〜図10を用いて説明する。まず、図2に示すように、シリコン基板1の上に、埋込酸化膜(貼合わせ酸化膜)2を介して表面の面方位が(100)面のN型単結晶シリコン基板3を貼合わせる。さらに、シリコン基板3を研磨等により厚さ15μm程度に薄膜化する。そして、このSOIウエハのSOI層3に対しその表層部にPウエル領域4とNウエル領域5との二重拡散領域を形成する。Pウエル領域4とNウエル領域5は、一般的な半導体製造方法であるホトリソグラフィー、イオン打ち込み、拡散等を用いて形成する。
【0021】そして、SOIウエハのSOI層3に対し、ゲージ抵抗12a〜12dおよび集積回路部13(図1参照)を一般的な半導体製造方法にて形成する。但し、ゲージ抵抗12a〜12dおよび集積回路部13に対する配線の形成はここでは行わず後工程とする。
【0022】引き続き、図3に示すように、SOI層3の上に、トレンチエッチングマスクとしての酸化膜6を成膜するとともに必要箇所にコンタクトホールを形成し、その上にアルミ配線20,21をパターニングする。アルミ配線20はNウエル領域5と電気的に接続され、アルミ配線21はPウエル領域4と電気的に接続される。このアルミ配線20,21は後工程の表面からの電気化学的なストップエッチングを実施するために必要となるものである。このように、アルミ配線20,21にてPウエル領域4及びNウエル領域5にそれぞれに電圧印加が可能となる。
【0023】そして、図4に示すように、アルミ配線20,21の上に保護膜22を形成する。この膜22は、後工程の表面からの電気化学的なストップエッチングを実施する際、アルミ配線20,21がエッチングされないように保護するためのものである。表面保護膜22はSiN系膜、SiO2 系膜を用いる。
【0024】引き続き、図5に示すように、酸化膜(マスク材)6と保護膜22に対し、ドライエッチングにてパターニングを行い、透孔(微小穴)23を形成する。詳しくは、図11に示すように、四角形状の透孔23をX字状(あるいは十字状)に並べる。つまり、透孔23を、単結晶シリコン基板の<110>方向または<100>方向に所定の間隔をおいて並設する。なお、透孔(微小穴)23の縦横寸法は数μm程度である。
【0025】そして、図6に示すように、一般的なホトリソグラフィーを用いて保護膜22に対しパターニングし、エッチングして保護膜22における所定領域24,25を開口させる。これにより、後工程の表面からの電気化学的なストップエッチングを実施する際、開口部24,25から露出するアルミ配線20,21に電圧を印加することができるようになる。
【0026】さらに、図7に示すように、SOI層3に対しトレンチエッチングを行い、埋込酸化膜2に達するトレンチ26を形成する。エッチング方法は一般的なシリコンのドライエッチングを用いる。例えば、図12にて実線で示すように基板表面に対し側壁の角度がほぼ垂直となるRIE(reactive ion etching)を用いる。
【0027】なお、図12にて一点鎖線で示すように、トレンチ側壁が順テーパとなるエッチング等を行ってもよい。また、トレンチ26は必ずしも埋込酸化膜2まで到達させなくてもよい。トレンチ26を埋込酸化膜2まで到達させるのは、隣り合うトレンチ26の間隔を最大限に広げるためである。これについては後述する。
【0028】引き続き、図8に示すように、ウェットエッチング液に浸漬してトレンチ26を通してSOI層3をエッチングし、基準圧力室となる空洞7を形成する。このエッチングを行うに際し、電気化学的なストップエッチングを用いる。これは、Nウエル領域5にプラスの電位を与えておき、Pウエル領域4に任意の電位を与える(もしくはフローティングとしておく)。これにより、PN接合部近傍までエッチングが進むと、陽極酸化膜が生成し出し、エッチングがストップする。この電気化学的なストップエッチングを用いてNウエル領域5の界面近傍でエッチングがストップし、これにより、Nウエル領域5よりなるダイヤフラム11が形成される。
【0029】ここで、Nウエル領域5の界面近傍と記述したのは、前記電気化学的なストップエッチングによる方法では、Nウエル領域5とPウエル領域4のPN接合部で両ウエル領域4,5にそれぞれ空乏層が拡がりエッチングストップさせるため、Pウエル領域4の空乏層が拡がった部分が残るからである。残り量はウエル濃度や電圧印加条件によって異なるが、0.2〜0.3μm程度である。
【0030】空洞7の側壁7aについてはシリコンの異方性エッチング特性により(111)面でストップして、「く」の字状に形成される。また、空洞7の底面は埋込酸化膜2があるので、酸化膜2でエッチングがストップして形成される。
【0031】エッチング液は前記表面保護膜22との選択性を持つアルカリ系エッチング液を用いる。具体的には、例えばKOHを用いたり、あるいは、表面回路や製造装置の汚染を懸念する場合はTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等を用いる。
【0032】引き続き、図9に示すように、後工程の真空封止前に電気化学的なストップエッチング用アルミ配線20,21を除去する。詳しくは、まず、表面保護膜22をドライエッチングにより除去し、次に、アルミ配線20,21をドライ、もしくは、ウェットエッチングにて除去する。
【0033】そして、図10に示すように、封止部材10となる膜を減圧CVD法を用いて成膜し、パターニングを施して、各トレンチ26を塞いで真空封止し空洞7の内部を基準圧力室とする。具体的には、封止膜10としてはポリシリコン膜やSiO2 系膜等を用いる。また、封止膜10のデポジション厚さはトレンチ26の穴径の半分強以上である。例えば、穴径が2μmであれば封止膜10のデポジション厚さは1μm強以上である。また、埋め込み性に優れた減圧CVDを用いてトレンチ26を塞ぐことにより、空洞7の内壁面にも封止膜10が付着する。
【0034】その後、ゲージ抵抗12a〜12dと集積回路部13に対するアルミ配線(図示せず)を形成する。最後に、表面保護膜(図示せず)を形成する。このようにして、図1に示すセンサが製造される。
【0035】このようにして、電気化学ストップエッチングによる厚さ精度の良いダイヤフラムを備え、かつ、センシング部の基準圧力室は埋め込み性の良い減圧(LP)CVD法を用いた薄膜にて真空封止可能となるため、高い信頼性を得ることができる。
【0036】次に、図13,14に示すように、Nウエル領域5の下におけるシリコン層4,3にトレンチ26を形成する製造方法と、図15,16に示すようにトレンチ26を形成しない製造方法とを比較して、トレンチ26を形成することの優位性について述べる。ここで、図13,14の図面スケールと図15,16の図面スケールは等しくなっている。
【0037】比較例である図15においてSOI層(貼り合わせ基板)3のNウエル領域5をパターン化し、図16に示すようにPウエル領域4およびその下のSOI層3をエッチングする。このとき、Nウエル領域5での貫通孔9の間隔Wは所定の値とする。この場合には、(111)面よりなる逆四角錐17が形成された状態でエッチングが停止してしまう。即ち、貫通孔9の間隔Wについては、単純にマスクパターンのみの場合は角形の貫通孔9の角にて形成される菱形での対角線の長さa’よりもW値が小さくないと、隣接する逆四角錐17がつながらずエッチングが進行しない。
【0038】これに対し、図13においてPウエル領域4を貫通し埋込酸化膜2に達するトレンチ26を形成する。このとき、トレンチ26の間隔Wは、図16の場合と等しい値とする。この状態から、図14に示すようにシリコンの異方性エッチングを行う。このエッチングの進行に伴い断面形状として菱形の空洞16が形成され、隣接する菱形の空洞16同士が所定の深さにおいて先端面同士が連通する(繋がる)。以後、エッチングが継続して行われ、基準圧力室となる空洞7を形成することができる。
【0039】この場合、図13のトレンチ26の深さ、トレンチ26の径および間隔について言及すると、トレンチ26の径を「a」とし、トレンチ26の間隔(ピッチ)を「W」とし、トレンチ26の深さを「D」とすると、W=a+2Dを満足させると、図14のように、菱形の空洞16の先端部同士を連通させることができることとなる。例えば、D=10μmとし、a=5μmならば、W=25μmとすればよい。
【0040】換言すれば、図17に示す本方式と図18に示す比較例から分かるように、シリコンエッチングの初期において図16の逆四角錐17同士が連通する、また、図14の空洞16同士が連通するように図11のマスク6の透孔23の位置を決めると、比較例では透孔23のピッチWを狭くする必要があり、同じ面積の基準圧力室を製作するための透孔23の個数は多くなってしまう。これに対し、本実施形態のように図13のトレンチ形成を行うことにより、同じ面積の基準圧力室を製作するためのマスク6の透孔23の個数を少なくできる。
【0041】また、トレンチ加工を埋込酸化膜2まで到達させたことでトレンチ26の間隔を最大限に広げることができ、そして、図17に示すように、図14の如く空洞16の先端部同士を連通させた後においては(311)面の角落ちが進み、最終的にはエッチングストップして前述した空洞(基準圧力室)7が形成される。
【0042】このように半導体圧力センサを製造すれば、隣接する透孔8の間隔を広く取ることが可能となり、センシング特性に悪影響を及ぼす封止部材10を削減できる。その結果、封止形状の不安定要素も減少してセンシング特性をより向上させることが可能となる。
【0043】なお、これまでの説明においては図1,11に示す如くトレンチ(9,23)は四角をなすものを所定の間隔をおいて並設したが、連続的に延びるものとしてもよい。即ち、図7でのトレンチ26として、シリコン基板3の<110>方向または<100>方向に断続的に延びるトレンチとしたが、連続的に延びるトレンチ26としてもよい。
【0044】このように本実施の形態は、下記の特徴を有する。
(イ)図2に示すように、表面の面方位が(100)面の単結晶シリコン基板3の表層部に、深いPウエル領域4と浅いNウエル領域5との二重拡散領域を形成し、周囲の導電型とは逆導電型のNウエル領域5を形成する。そして、図7に示すように、Nウエル領域5に単結晶シリコン基板の<110>方向または<100>方向に連続的または断続的に延び、かつ、Nウエル領域5を貫通するトレンチ26を形成する。さらに、図8に示すように、単結晶シリコン基板3の表面においてNウエル領域5とその周囲領域であるPウエル領域4の少なくともいずれか一方と電気的に接続されたアルミ配線20,21を通してNウエル領域5とPウエル領域4との間に電位差を生じさせながら、トレンチ26を通した異方性エッチング液の注入によりNウエル領域5より下側の単結晶シリコン基板3のエッチングを行うとともにNウエル領域5の界面部でエッチングをストップさせ、Nウエル領域5をダイヤフラムとする空洞7を形成する。さらに、図9に示すように、アルミ配線20,21を除去した後、図10に示すように、封止用膜10を減圧CVD法により成膜してトレンチ26を塞ぐ。
【0045】このように、アルミ配線20,21を除去した後において、封止用膜10を成膜してトレンチ26を塞ぐので、成膜の際のアルミ配線20,21による不具合を回避できる。
(ロ)ダイヤフラムに配置するゲージ12a〜12dに対する配線を、トレンチ26を塞いだ後に行うようにしたので、実用上好ましいものとなる。
(第2の実施の形態)次に、第2の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0046】図19〜図26には、本実施形態における半導体圧力センサの製造工程を示す。本実施形態は、トレンチを塞ぐ前に、電気化学的なストップエッチング用金属配線を形成し、第1の実施実施とは異なり、除去しない製造方法の例である。
【0047】以下、詳しく説明する。まず、図19に示すように、シリコン基板1の上に酸化膜2を介してシリコン基板3を貼合わせ、シリコン基板3を研磨等により薄膜化する。そして、SOIウエハのSOI層3の表層部にPウエル領域4とNウエル領域5を形成する。そして、ゲージ抵抗12a〜12dおよび集積回路部13を形成する。
【0048】引き続き、図20に示すように、SOI層3の上に酸化膜6を成膜するとともに必要箇所にコンタクトホールを形成し、その上に電気化学的なストップエッチング用金属配線30,31をパターニングする。このとき、電気化学的なストップエッチング用金属配線30,31は第1の実施形態ではアルミを用いたが、ここでは、封止用膜10の成膜温度(デポ温度)よりも高い融点の金属よりなる配線を使用する。具体的には、例えば一般的な半導体にて用いられる種々のバリアメタル、例えばTiW等である。このように、封止膜10のデポ温度より融点の高い金属配線とすることにより第1の実施形態のように電気化学ストップエッチングを行うための配線を除去する必要はなくなる。
【0049】そして、図21に示すように、高融点金属配線30,31の上に保護膜22を形成する。具体的には保護膜22としてSiN系膜やSiO2 系膜を用いる。引き続き、図22に示すように、マスク材6と保護膜22に対しドライエッチングにてパターニングして透孔23を形成する。そして、図23に示すように、一般的なホトリソグラフィーを用いて保護膜22に対しエッチングを行い保護膜22における所定領域24,25を開口させる。さらに、図24に示すように、SOI層3に対しトレンチエッチングを行い埋込酸化膜2に達するトレンチ26を形成する。
【0050】その後、図25に示すように、ウェットエッチング液に浸漬してトレンチ26を通してSOI層3をエッチングし、基準圧力室となる空洞7を形成する。このとき、電気化学的なストップエッチングを用いる。つまり、Nウエル領域5にプラスの電位を、また、Pウエル領域4に任意の電位を与える(もしくはフローティングとしておく)ことにより、PN接合部近傍でエッチングをストップさせる。
【0051】引き続き、図26に示すように、封止部材10となる膜を減圧CVD法を用いて成膜し、パターンニングを施して各トレンチ26を塞ぎ、真空封止する。さらに、ゲージ抵抗12a〜12dと集積回路部13に対するアルミ配線(図示せず)を形成する。最後に、表面保護膜(図示せず)を形成する。
【0052】このようにして半導体センサを製造すれば、電気化学的なストップエッチングによる厚さ精度の良いダイヤフラム11を備え、かつ、基準圧力室となる空洞7は埋め込み性の良い減圧(LP)CVD法を用いた薄膜にて真空封止可能となる。
【0053】このように本実施の形態は、下記の特徴を有する。
(イ)図19に示すように、表面の面方位が(100)面の単結晶シリコン基板3の表層部に、深いPウエル領域4と浅いNウエル領域5との二重拡散領域を形成し、周囲の導電型とは逆導電型のNウエル領域5を形成する。そして、図24に示すように、Nウエル領域5に単結晶シリコン基板の<110>方向または<100>方向に連続的または断続的に延び、かつ、Nウエル領域5を貫通するトレンチ26を形成する。さらに、図25に示すように、単結晶シリコン基板3の表面においてNウエル領域5とPウエル領域4の少なくともいずれか一方と電気的に接続され、かつ封止用膜10の成膜温度よりも高い融点の金属よりなる配線30,31を通してNウエル領域5とPウエル領域4との間に電位差を生じさせながら、トレンチ26を通した異方性エッチング液の注入によりNウエル領域5より下側の単結晶シリコン基板3のエッチングを行うとともにNウエル領域5の界面部でエッチングをストップさせ、Nウエル領域5をダイヤフラムとする空洞7を形成する。そして、図26に示すように、封止用膜10を減圧CVD法により成膜してトレンチ26を塞ぐ。
【0054】よって、配線30,31として封止用膜の成膜温度よりも高い融点の金属(高融点金属)を用いて電気化学ストップエッチングが行われ、その後に、封止用膜10を成膜してトレンチ26を塞ぐので、成膜の際の配線による不具合を回避できる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成10年8月7日(1998.8.7)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
【公開番号】 特開2000−55759(P2000−55759A)
【公開日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願番号】 特願平10−224954