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【発明の名称】 ひずみ及び温度の測定方法と物理量及び温度の測定方法
【発明者】 【氏名】照屋 知信

【要約】 【課題】測定対象物のひずみや物理量を温度とともに精度良く求めることができる測定方法を提供することを目的とする。

【解決手段】図示しない測定対象物に1枚のひずみゲージ1を貼着する。ひずみゲージ1を3本のリード線2a〜2cにより測定ユニット3に接続し、1ゲージ3線法に従ったブリッジ回路7を形成する。3本のリード線2a〜2cのうち2a、2cを相互に異種材とすることでひずみゲージ1の近傍に熱電対の接点を形成する。電源電圧印加時のブリッジ回路7の出力電圧と、電源電圧無印加時のブリッジ回路の出力電圧(熱電対の出力電圧に相当)とから測定対象物のひずみ及び温度を測定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】測定対象物に貼着される1枚のひずみゲージを有するブリッジ回路を1ゲージ3線法に従って形成し、該1枚のひずみゲージに接続される3本のリード線のうち2本を相互に異種材とすることで該ひずみゲージの近傍に熱電対の接点を形成し、前記ブリッジ回路の出力電圧と、前記熱電対の出力電圧とから前記測定対象物のひずみ及び温度を求めることを特徴とするひずみ及び温度の測定方法。
【請求項2】少なくとも一方が測定対象物に貼着される2枚のひずみゲージを有するブリッジ回路を2ゲージ法に従って形成し、該測定対象物に貼着された該ひずみゲージに接続される3本のリード線のうち2本のリード線を相互に異種材とすることで該ひずみゲージの近傍に熱電対の接点を形成し、前記ブリッジ回路の出力電圧と、前記熱電対の出力電圧とから前記測定対象物のひずみ及び温度を求めることを特徴とするひずみ及び温度の測定方法。
【請求項3】測定対象物に貼着される4枚のひずみゲージを各辺に有するブリッジ回路を4ゲージ法に従って形成し、該ブリッジ回路に接続される4本のリード線のうち2本のリード線を相互に異種材とすることで該4枚のひずみゲージの近傍に熱電対の接点を形成し、前記ブリッジ回路の出力電圧と、前記熱電対の出力電圧とから前記測定対象物のひずみ及び温度を求めることを特徴とするひずみ及び温度の測定方法。
【請求項4】測定対象物の物理量に応じたひずみを生じる起歪体に貼着される4枚のひずみゲージを各辺に有し4ゲージ法に従って形成されたブリッジ回路を備えたひずみゲージ式変換器を形成し、該ひずみゲージ式変換器に接続される4本のリード線のうち2本のリード線を相互に異種材とすることで該ひずみゲージ式変換器の近傍に熱電対の接点を形成し、前記ブリッジ回路の出力電圧と、前記熱電対の出力電圧とから前記測定対象物の物理量及び温度を求めることを特徴とする物理量及び温度の測定方法。
【請求項5】電源電圧印加時の前記ブリッジ回路の出力電圧を第1所定時間にわたり積分する第1積分工程と、電源電圧無印加時の該ブリッジ回路の出力電圧及び基準電圧の極性を反転させて積分して第1積分工程における積分電圧を打ち消す第2積分工程と、電源電圧無印加時の該ブリッジ回路の出力電圧の極性を反転させて第1所定時間と第2積分に要した第2所定時間との差に等しい第3所定時間にわたり積分する第3積分工程と、前記基準電圧を積分して第3積分工程における積分電圧を打ち消す第4積分工程とを含み、第2所定時間と第4積分工程に要した第4所定時間との差に相当するディジタル量を電源電圧印加時の前記ブリッジ回路の出力電圧と電源電圧無印加時の該ブリッジ回路の出力電圧との差に相当するディジタル量として得るA−D変換を行い、A−D変換により得られた該ディジタル量より前記測定対象物のひずみを求めることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のひずみ及び温度の測定方法。
【請求項6】電源電圧印加時の前記ブリッジ回路の出力電圧を第1所定時間にわたり積分する第1積分工程と、電源電圧無印加時の該ブリッジ回路の出力電圧及び基準電圧の極性を反転させて積分して第1積分工程における積分電圧を打ち消す第2積分工程と、電源電圧無印加時の該ブリッジ回路の出力電圧の極性を反転させて第1所定時間と第2積分に要した第2所定時間との差に等しい第3所定時間にわたり積分する第3積分工程と、前記基準電圧を積分して第3積分工程における積分電圧を打ち消す第4積分工程とを含み、第2所定時間と第4積分工程に要した第4所定時間との差に相当するディジタル量を電源電圧印加時の前記ブリッジ回路の出力電圧と電源電圧無印加時の該ブリッジ回路の出力電圧との差に相当するディジタル量として得るA−D変換を行い、A−D変換により得られた該ディジタル量より前記測定対象物の物理量を求めることを特徴とする請求項4記載の物理量及び温度の測定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は機械、建築、土木などの分野で各種材料や構造物の強度、挙動、安全性などを調べるために該各種材料又は該構造物のひずみ、変位、荷重、圧力、トルク等の物理量を測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ひずみ測定方法としてひずみゲージを有し1ゲージ3線法、2ゲージ法、4ゲージ法に従って形成されたブリッジ回路を用いる測定方法が知られている。
【0003】1ゲージ3線法によれば、図1に示すように1枚のひずみゲージ1を1辺に有し、他の3辺にそれぞれ抵抗体5を有するブリッジ回路7(図中太線)が形成される。また、1枚のひずみゲージ1には3本のリード線2a〜2cが接続される。測定に際してひずみゲージ1は測定対象物(図示せず)に貼着され、ブリッジ回路7の入力部7a、7b間に電源電圧が印加されている。測定対象物にひずみが生じると、ひずみゲージ1の抵抗が変化し、これに応じたひずみゲージ1の接続部1bとブリッジ回路7の出力部7cとの間の出力電圧から該測定対象物のひずみが求められる。
【0004】2ゲージ法によれば、図2に示すように2枚のひずみゲージ20、21を2辺に有し、他の2辺にそれぞれ抵抗体5を有するブリッジ回路7(図中太線)が形成される。また、2枚のひずみゲージ20、21には合計3本のリード線22a〜22cが接続される。測定に際してひずみゲージ20、21がともに測定対象物(図示せず)に貼着される場合と、ひずみゲージ20は測定対象物(図示せず)に貼着され、ひずみゲージ21は該測定対象物と同じ環境温度下に応力によるひずみを受けないように設置される場合とがある。そして、ブリッジ回路7の入力部7a、7b間に電源電圧が印加されている。測定対象物にひずみが生じると、ひずみゲージ20、21のいずれか一方又は両方の抵抗が変化し、これに応じたひずみゲージ20の接続部20bとブリッジ回路7の出力部7cとの間の出力電圧から該測定対象物のひずみが求められる。
【0005】4ゲージ法によれば、図3に示すように4枚のひずみゲージ23〜26を各辺に有するブリッジ回路7(図中太線)が形成され、該ブリッジ回路7には4本のリード線27a〜27dが接続される。測定に際してひずみゲージ23〜26は測定対象物(図示せず)に貼着され、ブリッジ回路7の入力部7a、7b間に電源電圧が印加されている。測定対象物にひずみが生じると、ひずみゲージ23〜26の抵抗が変化し、これに応じたブリッジ回路7の出力部7c、7d間の出力電圧から該測定対象物のひずみが求められる。
【0006】また、変位、荷重、圧力などの物理量測定方法としてひずみゲージ式変換器を用いる測定方法が知られている。図4に示すようにゲージ式変換器29は、4枚のひずみゲージ23〜26が起歪体28に貼着された構成となっている。また、4枚のひずみゲージ23〜26はブリッジ回路7(図中太線)を形成し、ブリッジ回路7には4本のリード線27a〜27dが接続される。測定に際してゲージ式変換器29は筐体(図示せず)に内蔵され、起歪体28を測定対象物(図示せず)の測定しようとする物理量に応じたひずみを生じるように設置される。そして、ブリッジ回路7の入力部7a、7b間に電源電圧が印加されている。測定対象物の物理量に応じて起歪体28にひずみが生じると、該起歪体28に貼着されたひずみゲージ23〜26の抵抗が変化し、これに応じたブリッジ回路7の出力部7c、7d間の出力電圧から該測定対象物の物理量が求められる。しかし、材料の引っ張り試験のように測定対象物が温度変化を伴い、ひずみゲージ又はひずみゲージ式変換器の温度も変化する場合がある。この場合、ひずみゲージやひずみゲージ式変換器には測定対象物のひずみや物理量に起因した抵抗変化に加え、温度変化に起因した抵抗変化が生じる。このため、ブリッジ回路の出力電圧から測定対象物のひずみや物理量を求めるときに無視できない程度の誤差が含まれるおそれがある。
【0007】そこで、ひずみゲージ又はひずみゲージ式変換器の温度特性を予め調べておき、測定対象物の温度を測定することで該温度特性により生じる誤差を補正する測定方法が知られている。しかし、この測定方法においては、ひずみゲージ用又はひずみゲージ式変換器用のリード線に加えて熱電対用のリード線を別途に測定対象物の近傍まで延長する必要がある。このため配線に手間がかかったり、コストがかさんだりし、また、熱電対接点をひずみゲージ近傍に設置できない場合には測定精度が低下するおそれがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる不都合を解消して、測定対象物のひずみや物理量を温度とともに精度良く求めることができる測定方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための本発明の第1態様のひずみ及び温度の測定方法は、測定対象物に貼着される1枚のひずみゲージを有するブリッジ回路を1ゲージ3線法に従って形成し、該1枚のひずみゲージに接続される3本のリード線のうち2本を相互に異種材とすることで該ひずみゲージの近傍に熱電対の接点を形成し、前記ブリッジ回路の出力電圧と、前記熱電対の出力電圧とから前記測定対象物のひずみ及び温度を求めることを特徴とする。
【0010】前記課題を解決するための本発明の第2態様のひずみ及び温度の測定方法は、少なくとも一方が測定対象物に貼着される2枚のひずみゲージを有するブリッジ回路を2ゲージ法に従って形成し、該測定対象物に貼着された該ひずみゲージに接続される3本のリード線のうち2本のリード線を相互に異種材とすることで該ひずみゲージの近傍に熱電対の接点を形成し、前記ブリッジ回路の出力電圧と、前記熱電対の出力電圧とから前記測定対象物のひずみ及び温度を求めることを特徴とする。
【0011】前記課題を解決するための本発明の第3態様のひずみ及び温度の測定方法は、測定対象物に貼着される4枚のひずみゲージを各辺に有するブリッジ回路を4ゲージ法に従って形成し、該ブリッジ回路に接続される4本のリード線のうち2本のリード線を相互に異種材とすることで該4枚のひずみゲージの近傍に熱電対の接点を形成し、前記ブリッジ回路の出力電圧と、前記熱電対の出力電圧とから前記測定対象物のひずみ及び温度を求めることを特徴とする。
【0012】前記課題を解決するための本発明の物理量及び温度の測定方法は、測定対象物の物理量に応じたひずみを生じる起歪体に貼着される4枚のひずみゲージを各辺に有し4ゲージ法に従って形成されたブリッジ回路を備えたひずみゲージ式変換器を形成し、該ひずみゲージ式変換器に接続される4本のリード線のうち2本のリード線を相互に異種材とすることで該ひずみゲージ式変換器の近傍に熱電対の接点を形成し、前記ブリッジ回路の出力電圧と、前記熱電対の出力電圧とから前記測定対象物の物理量及び温度を求めることを特徴とする。
【0013】前記態様のひずみ測定方法や物理量測定方法によれば、測定対象物のひずみや物理量に応じてひずみゲージの抵抗が変化し、これに応じたブリッジ回路の出力より該測定対象物のひずみや物理量を求めることができる。また、ひずみゲージやひずみゲージ式変換器の近傍に接点を形成した熱電対により測定対象物の温度を測定できる。さらに、熱電対による温度測定からひずみゲージの温度特性による誤差を補正して、測定対象物のひずみや物理量を精度良く測定することができる。熱電対は接続用のリード線のうち2本を異種材にすることにより形成することができるので、温度センサ用のリード線を新たに設ける必要がない。このため配線に手間がかかったり、コストがかさんだりすることを防止できる。
【0014】ブリッジ回路から出力電圧を取り出す経路に熱電対を形成する2本のリード線が含まれている場合、電源電圧無印加時のブリッジ回路の出力電圧は該熱電対の熱起電力と見なせる。従って、電源電圧無印加時のブリッジ回路の出力電圧から測定対象物の温度が求められる。しかし、この場合、電源電圧印加時にはブリッジ回路の出力電圧に熱電対の熱起電力が含まれている。熱電対の熱起電力は測定対象物のひずみや物理量とは無関係に生じるものなので、電源電圧印加時のブリッジ回路の出力電圧から熱電対の熱起電力を差し引く必要がある。
【0015】そこで、前記態様の測定方法において、電源電圧印加時の前記ブリッジ回路の出力電圧を第1所定時間にわたり積分する第1積分工程と、電源電圧無印加時の該ブリッジ回路の出力電圧及び基準電圧の極性を反転させて積分して第1積分工程における積分電圧を打ち消す第2積分工程と、電源電圧無印加時の該ブリッジ回路の出力電圧の極性を反転させて第1所定時間と第2積分に要した第2所定時間との差に等しい第3所定時間にわたり積分する第3積分工程と、前記基準電圧を積分して第3積分工程における積分電圧を打ち消す第4積分工程とを含み、第2所定時間と第4積分工程に要した第4所定時間との差に相当するディジタル量を電源電圧印加時の前記ブリッジ回路の出力電圧と電源電圧無印加時の該ブリッジ回路の出力電圧との差に相当するディジタル量として得るA−D変換を行い、A−D変換により得られた該ディジタル量より前記測定対象物のひずみや物理量を求めるようにするとよい。
【0016】かかるA−D変換(図6を参照)によれば、第1積分工程(STEP1)における積分電圧I1 は、電源電圧印加時のブリッジ回路の出力電圧(E0 +E1 )と、第1所定時間t1 との積に比例する。第2積分工程(STEP2)は、電源電圧無印加時のブリッジ回路の出力電圧E0 及び基準電圧E2 を極性反転させたものを積分してI1 を打ち消すために行われる。従って、第2積分工程に要する第2所定時間t2 は次式(1)から求められる。
【0017】
2 =(E0 +E1 )・t1 /(E0 +E2 ) ・・(1)
第3積分工程(STEP3)における積分電圧I3 は、電源電圧無印加時のブリッジ回路の出力電圧E0 の極性を反転させたものと第3所定時間t3 との積に比例する。第4積分工程(STEP4)は、基準電圧E2 を積分してI3 を打ち消すために行われる。従って、第4積分工程に要する第4所定時間t4 は次式(2)から求められる。
【0018】
4 =E0 ・t3 /E2 ・・(2)
第3所定時間t3 は第1所定時間t1 と第2所定時間t2 との差に等しいので、上式(1)及び(2)から次式(3)の関係が得られる。
【0019】
1 =((t2 −t4 )/t1 )・E2 ・・(3)
上式(3)より、電源電圧印加時と無印加時とのブリッジ回路の出力電圧の差E1 は、第2所定時間t2 と第4所定時間t4 との差に比例することがわかる。式(3)において第1所定時間t1 及び基準電圧E2 は既知であるため、第2所定時間と第4所定時間との差(t2 −t4 )に相当するディジタル量を、電源電圧印加時と電源電圧無印加時とのブリッジ回路の出力電圧の差E1 に相当するディジタル量として得ることができる。
【0020】このA−D変換により、電源電圧印加時のブリッジ回路の出力電圧(E0 +E1 )から電源電圧無印加時のブリッジ回路の出力電圧E0 を差し引くことができる。また、ブリッジ回路から出力電圧を取り出す経路に熱電対を形成する2本のリード線が含まれている場合、測定対象物のひずみや物理量とは無関係に生じる熱電対の熱起電力E0 が差し引かれる。そして、測定対象物のひずみや物理量に起因して生じるブリッジ回路の出力電圧E1 のみを得て、該測定対象物のひずみや物理量を求めることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明のひずみ及び温度の測定方法と、物理量及び温度の測定方法との実施形態について図面を用いて説明する。図1〜図3はそれぞれ本発明のひずみ及び温度の測定方法を実行する測定システムの第1〜第3実施形態についての説明的構成図であり、図4は本発明の物理量及び温度の測定方法を実行する測定システムの実施形態についての説明的構成図であり、図5は本発明の測定方法を説明するフローチャートであり、図6は本発明の測定方法において行われるA−D変換についての説明図である。
【0022】本発明の第1実施形態のひずみ及び温度の測定方法を実行する測定システムについて図1を用いて説明する。図1に示すように1枚のひずみゲージ1は3本のリード線2a〜2cにより測定ユニット3の接続端子3a〜3cにそれぞれ接続され、該測定ユニット3は制御ユニット4に接続されている。ひずみゲージ1は測定対象物(図示せず)に貼着されている。リード線2a及び2bは銅線よりなり、リード線2cはコンスタンタン線よりなり、リード線2a、2cは熱電対を形成する。リード線2aはひずみゲージ1の接続部1aに接続され、リード線2b、2cはひずみゲージ1の接続部1bに接続されている。
【0023】測定ユニット3にはひずみゲージ1と等価の抵抗を有する3つの抵抗体5と、スイッチ6とが設けられている。3つの抵抗体5は、ひずみゲージ1及び2本のリード線2a、2bと併せてブリッジ回路7(図中太線)を形成する。スイッチ6は外部から制御されて2つの接点6a、6bのいずれかを介してブリッジ回路7に接続される。接点6aはブリッジ回路7の出力部7cに接続され、接点6bは接続端子3aに接続されている。
【0024】制御ユニット4には、制御手段8と、ブリッジ電源9と、増幅回路10と、2つのA−D変換部11a、11bとが設けられている。制御手段8はマイクロプロセッサ等により構成され、データ処理や制御処理を行う。ブリッジ電源9は、制御手段8に制御されて制御ユニット4の出力端子9a、9bを介してブリッジ回路7の入力部7a、7b間へ電源電圧を印加する。増幅回路10は制御ユニット4の入力端子10a、10b間の電圧を増幅する。A−D変換部11aは制御手段8に制御されて、後述のSTEP1〜STEP4のA−D変換により増幅回路10からの出力電圧をディジタル量に変換する。A−D変換部11bは制御手段に制御されて、通常のA−D変換により増幅回路10からの出力電圧をディジタル量に変換する。
【0025】A−D変換部11aには、極性反転回路12と、基準電源13と、積分回路14と、コンパレータ15と、クロック発振器16と、カウンタ17と、第1スイッチ18と、第2スイッチ19とが設けられている。極性反転回路12は、増幅回路10からの出力電圧の極性を反転させる。基準電源13は、制御手段8により制御されて所定の大きさの基準電圧をその極性を選択して出力する。積分回路14は時定数τを有し入力された電圧を積分して出力する。コンパレータ15は積分回路14の積分電圧の極性を調べる。クロック発振器16は制御手段8に制御されてクロックパルスを発する。カウンタ17はコンパレータ15により調べられた積分電圧(積分回路14の出力電圧)の極性に応じてクロックパルス数をアップカウント又はダウンカウントする。第1スイッチ18は、制御手段8により制御されて3つの接点18a〜18cのいずれか1つからの出力を選択的に積分回路14に入力する。接点18aからは増幅回路10の出力が入力され、接点18bからは増幅回路10の出力が極性反転回路12を介して入力され、接点18cからは電圧は入力されない。第2スイッチ19は、制御手段8により制御されて3つの接点19a〜19cのいずれか1つからの出力を選択的に積分回路14に入力する。接点19aからは基準電源13から正極性の基準電圧が入力され、接点19bからは基準電源13から負極性の基準電圧が入力され、接点19cからは電圧は入力されない。
【0026】前記構成の測定システムによるひずみの測定方法について図5及び図6を用いて説明する。図5に示したように本実施形態の測定方法においては、第1積分工程(STEP1)と、第2積分工程(STEP2)と、第3積分工程(STEP3)と、第4積分工程(STEP4)とを含むA−D変換が行われ、A−D変換により得られたディジタル量に基づいて測定対象物のひずみが求められる(STEP5)。そして、測定対象物の温度が測定され(STEP6)、測定温度に応じてSTEP5で求められたひずみが補正される(STEP7)。以下、各工程について説明する。
【0027】まず、ブリッジ電源9からブリッジ回路7に電源電圧がかけられ、測定ユニット3のスイッチ6は接点6aに接続される。A−D変換部11aの第1スイッチ18は接点18aに接続され、第2スイッチ19は接点19cに接続される。なお、A−D変換部11bはSTEP1〜5においては作動されない。このときのブリッジ回路7の出力電圧は、接続端子3cとブリッジ回路7の出力部7cとから取り出される。そして、その値はひずみゲージ1の抵抗変化による出力電圧E1 と、ひずみゲージ1の抵抗変化と無関係に生じた熱電対2a、2cの熱起電力E0 との和で表される。ブリッジ回路7の出力電圧は増幅回路10により増幅されてから積分回路14に入力され第1所定時間t1 にわたり積分される(STEP1)。簡単のため、増幅回路10の増幅率を1で表すことにすると、第1積分工程における積分電圧I1 は次式(4)で表される。
【0028】
1 =(1/τ)・(E1 +E0 )t1 ・・(4)
第1積分工程が終了すると、ブリッジ電源9からブリッジ回路7への電源電圧が停止され、測定ユニット3のスイッチ6は接点6bに接続される。A−D変換部11aの第1スイッチ18は接点18bに接続され、第2スイッチ19は接点19bに接続される。このとき、ブリッジ回路7の出力電圧は、接続端子3aと接続端子3cとから取り出され、その値はリード線2a、2cよりなる熱電対の熱起電力E0 である。熱電対の熱起電力E0 は増幅回路10により増幅されて極性反転回路12により極性反転され、基準電源13からの負極性の基準電圧−E2 とともに積分回路14に入力されて積分される。図6に示したように第2積分工程における積分電圧は正極性であるので、コンパレータ15により積分電圧が0になったと判断されるまで、カウンタ17によるクロックパルスのアップカウントが行われる(STEP2)。第2積分工程に要した第2所定時間t2 にわたる積分電圧I2 は次式(5)で表される。
【0029】
2 =−(1/τ)・(E2 +E0 )t ・・(5)
第2積分工程が終了すると、ブリッジ回路7への電源電圧が停止されたまま、測定ユニット3のスイッチ6は接点6bに接続される。A−D変換部11aの第1スイッチ18は接点18bに接続され、第2スイッチ19は接点19cに接続される。そして、熱電対の熱起電力E0 が増幅回路10により増幅されて極性反転回路12により極性反転され、積分回路14に入力されて第3所定時間にt3にわたって積分される(STEP3)。第3所定時間t3 は第1所定時間と第2所定時間との差t1 −t2 に等しい。第3積分工程における積分電圧I3 は次式(6)で表される。
【0030】
3 =−(1/τ)・E0 (t1 −t2 ) ・・(6)
第3積分工程が終了すると、ブリッジ回路7への電源電圧が停止されたまま、測定ユニット3のスイッチ6は接点6bに接続される。A−D変換部11aの第1スイッチ18は接点18cに接続され、第2スイッチ19は接点19aに接続される。そして、基準電源13からの正極性の基準電圧E2 が積分回路14に入力されて積分される。図6に示したように第4積分工程における積分電圧は負極性であるので、コンパレータ15により積分電圧が0になったと判断されるまで、カウンタ17によるクロックパルスのダウンカウントが行われる(STEP4)。第4積分工程に要した第4所定時間t4 にわたる積分電圧I4 は次式(7)で表される。
【0031】
4 =(1/τ)・E2 4 ・・(7)
1 +I2 =0、I3 +I4 =0の関係式と、上式(4)〜(7)とから、次の関係式が得られる。
【0032】
1 =((t2 −t4 )/t1 )・E2 ・・(8)
カウンタ17は第2積分工程においてクロックパルスのアップカウントを行い、第4積分工程においてクロックパルスのダウンカウントを行う。このため、STEP4終了時のカウンタ17の合計カウント数は第2所定時間と第4所定時間との差t2 −t4 に比例する。また、式(8)において第1所定時間t1 及びE2 は既知であるので、カウンタ17のカウント数からE1 に相当するディジタル量を得ることができる。制御手段8はE1 に相当するディジタル量から測定対象物のひずみを求め、このひずみデータを図示しない記憶手段に記憶させる(STEP5)。
【0033】STEP1〜5が行われた後、測定対象物の温度測定が行われる。このときブリッジ回路7への電源電圧が停止されたまま、測定ユニット3のスイッチ6は接点6bに接続される。A−D変換部11aの第1スイッチ18は接点18cに接続され、第2スイッチ19は接点19cに接続されて作動されない状態にされる。A−D変換部11bが作動可能な状態とされる。そして、熱電対の熱起電力E0 が増幅回路10により増幅されてA−D変換部11bによりA−D変換される。制御手段8はA−D変換部11bから得た熱電対の熱起電力E0 に相当するディジタル量から測定対象物の温度を求め、この温度データを図示しない記憶手段に記憶させる(STEP6)。
【0034】STEP5で求められたひずみには、測定対象物のひずみ以外の原因(測定対象物の温度)に応じたひずみゲージ1の抵抗変化による寄与(見掛けひずみ)が含まれている。そこで、制御手段8は記憶された温度データと、予め求められた補正曲線とを用いて見掛けひずみを求め、この見掛けひずみ分だけ記憶されたひずみデータを補正して真のひずみを求める(STEP7)。さらに、制御手段8は図示しない表示手段により測定対象物の真のひずみ及び温度を表示する。
【0035】本実施形態では熱電対の熱起電力E0 は電源電圧印加時のブリッジ回路7の出力電圧にも現れるが、STEP1〜4のA−D変換によりこの熱起電力E0 は除去される。このため、ひずみゲージ1の抵抗変化に起因した出力電圧E1 のみを得て、精度良くひずみを測定することができる。また、測定温度及び前記補正曲線により、見掛けひずみ分を補正することでさらに精度良くひずみ測定を行うことができる。
【0036】第2実施形態のひずみ及び温度の測定方法を実行する測定システムの構成について図2を用いて説明する。以下、第1実施形態と同一の構成要素については適宜図1と同一の番号付けを行い、構成が異なるものについては説明する。図2に示すように2枚のひずみゲージ20、21は3本のリード線22a〜22cにより測定ユニット3の接続端子3a〜3cにそれぞれ接続されている。相互に等価な抵抗を有するひずみゲージ20、21はともに測定対象物(図示せず)に貼着されている。リード線22a及び22bは銅線よりなり、リード線22cはコンスタンタン線よりなり、リード線22a、22cは熱電対を形成する。リード線22aはひずみゲージ20の出力部20aに接続され、リード線22bはひずみゲージ21の接続部21bに接続され、リード線22cはひずみゲージ20の接続部20b及びひずみゲージ21の接続部21aに接続されている。
【0037】測定ユニット3にはひずみゲージ20、21と等価な抵抗を有する2つの抵抗体5と、スイッチ6とが設けられている。2つの抵抗体5は、ひずみゲージ20、21及び2本のリード線22a、22bと併せてブリッジ回路7(図中太線)を形成する。スイッチ6の接点6aはブリッジ回路7の出力部7cに接続され、接点6bは接続端子3bに接続されている。制御ユニット4の構成は第1実施形態と同様である。
【0038】本実施形態では測定対象物のひずみに応じてひずみゲージ20、21の抵抗が変化する。そして、A−D変換(STEP1〜4)により、ひずみゲージ20の抵抗変化に起因するブリッジ回路7の出力電圧を取り出して測定対象物のひずみを求めることができる(STEP5)。また、リード線22a(銅線)、22c(コンスタンタン線)から形成される熱電対により測定対象物の温度を求め(STEP6)、補正曲線を用いて見掛けひずみ分を補正することにより精度良くひずみを測定することができる(STEP7)。
【0039】なお、本実施形態以外の他の実施形態としてひずみゲージ20のみを測定対象物に貼着し、ひずみゲージ21を該測定対象物と同じ環境温度下に応力によるひずみを受けないように設置してもよい。かかる実施形態によれば、測定対象物のひずみに応じてひずみゲージ20の抵抗のみが変化する以外は前記実施形態と同様であり、やはり精度良くひずみ測定を行える。
【0040】第3実施形態のひずみ及び温度の測定方法を実行する測定システムの構成について図3を用いて説明する。図3に示すように4枚のひずみゲージ23〜26は4本のリード線27a〜27dにより制御ユニット4の1対の出力端子9a、9b、1対の入力端子10a、10bにそれぞれ接続されている。前記2つの実施形態と異なり、測定ユニット3は介在しない。
【0041】ひずみゲージ23〜26は各々等価な抵抗体としてブリッジ回路7を形成し、測定対象物(図示せず)に貼着されている。リード線27a〜27cは銅線よりなり、リード線27dはコンスタンタン線よりなり、リード線27c、27dは熱電対を形成する。リード線27a〜27dはブリッジ回路7の入力部7a、7b、出力部7c、7dにそれぞれ接続されている。コントロールユニット4の構成は第1実施形態と同様である。
【0042】本実施形態では測定対象物のひずみに応じてひずみゲージ23〜26の抵抗が変化する。そして、A−D変換(STEP1〜4)により、ひずみゲージ23〜26の抵抗変化に起因するブリッジ回路7の出力のみを取り出して測定対象物のひずみを求めることができる(STEP5)。また、リード線27c(銅線)、27d(コンスタンタン線)から形成される熱電対により測定対象物の温度を求め(STEP6)、補正曲線を用いて見掛けひずみ分を補正することにより精度良くひずみを測定することができる(STEP7)。
【0043】本発明の物理量及び温度の測定方法を実行する測定システムについて図4を用いて説明する。図4に示したように、ブリッジ回路7を形成する4枚のひずみゲージ23〜26が起歪体28に貼着されてひずみゲージ式変換器29を形成している。測定に際して、このひずみゲージ式変換器29は筐体(図示せず)に内蔵され、起歪体28が測定対象物(図示せず)の測定しようとする物理量に応じたひずみを生じるように設置されている。これ以外の構成は第3実施形態のひずみ測定システムと同様であるので、図3と同一の符号を用いるとともに説明を省略する。
【0044】本実施形態では測定対象物の物理量に応じて起歪体28がひずみ、ひずみゲージ23〜26の抵抗が変化する。そして、A−D変換(STEP1〜4)により、ひずみゲージ23〜26の抵抗変化に起因するひずみゲージ式変換器29(ブリッジ回路7)の出力電圧のみを取り出して測定対象物の変位、荷重、圧力等の物理量を求めることができる(STEP5)。また、リード線27c、27dから形成される熱電対により測定対象物の温度を求め(STEP6)、補正曲線を用いて見掛けの物理量分を補正することにより精度良く物理量を測定することができる(STEP7)。
【0045】前記4つの実施形態によれば、測定用リード線のうち2本を相互に異種材として熱電対を形成したので熱電対用のリード線を別途に設ける必要はなく、配線に手間がかかったり、コストがかさんだりすることを防止できる。
【0046】前記4つの実施形態では銅線とコンスタンタン線とにより熱電対を形成したが、他の実施形態として、クロメル−コンスタンタン、鉄−コンスタンタン等の他の組み合わせの異種材のリード線により熱電対を形成してもよい。
【出願人】 【識別番号】000151520
【氏名又は名称】株式会社東京測器研究所
【出願日】 平成10年6月19日(1998.6.19)
【代理人】 【識別番号】100077805
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 辰彦 (外1名)
【公開番号】 特開2000−9552(P2000−9552A)
【公開日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【出願番号】 特願平10−172684