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【発明の名称】 基板温度の測定方法
【発明者】 【氏名】清水 正裕

【要約】 【課題】基板自体から直接的に高精度でその温度を把握することができる基板温度の測定方法を提供すること。

【解決手段】不純物を存在させた基板に所定の熱処理を施した際における基板の深さ方向の不純物分布を測定し、その測定結果を、計算結果に基づく温度と不純物分布との関係と比較し、熱処理の際の基板温度を把握する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 不純物を存在させた基板に所定の熱処理を施した際における基板の深さ方向の不純物分布を測定し、その測定結果を、計算結果に基づく温度と不純物分布との関係と比較し、熱処理の際の基板温度を把握することを特徴とする基板温度の測定方法。
【請求項2】 不純物を存在させた基板に所定の熱処理を施した際における基板の深さ方向の不純物分布を基板面内の複数箇所で測定し、それらの測定結果を計算結果に基づく温度と不純物分布との関係と比較し、熱処理の際の基板面内の温度分布を把握することを特徴とする基板温度の測定方法。
【請求項3】 不純物を存在させた基板に所定の熱処理を施した際における基板の所定深さの不純物量を測定し、その測定結果を計算結果に基づく温度と所定深さの不純物量との関係と比較し、熱処理の際の基板温度を把握することを特徴とする基板温度の測定方法。
【請求項4】 不純物を存在させた基板に所定の熱処理を施した際における基板の所定深さの不純物量を基板面内の複数箇所で測定し、それらの測定結果を計算結果に基づく温度と所定深さの不純物量との関係と比較し、熱処理の際の基板面内の温度分布を把握することを特徴とする基板温度の測定方法。
【請求項5】 前記不純物は熱処理前に基板の表面部分にドープされていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の基板温度の測定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハ等の基板の温度を測定する基板温度の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイスの製造プロセスにおいては、所定の不純物を注入した後のアニール等種々の熱処理が存在し、また種々の膜の成膜工程やエッチング工程等の熱が関与する処理が存在する。これらの処理においては、その際の半導体ウエハの温度がその特性に大きな影響を及ぼすため、半導体ウエハの温度制御が極めて重要である。
【0003】しかし、半導体ウエハの温度を直接測定することが困難であることから、従来は、半導体ウエハの加熱部分であるサセプタの温度や、チャンバー内の雰囲気温度をモニターしてその温度に基づいて間接的にウエハ温度を求めており、実際のウエハ温度自体を直接把握していないため、半導体ウエハのプロセス中の温度を高精度で求めることはできていない。なお、半導体ウエハの比抵抗を直接測定して、半導体ウエハの面内温度の均一性を把握する方法があるが、この方法では温度の絶対値を求めることが困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、基板自体から直接的に高精度でその温度を把握することができる基板温度の測定方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、不純物を存在させた基板に所定の熱処理を施した際における基板の深さ方向の不純物分布を測定し、その測定結果を、計算結果に基づく温度と不純物分布との関係と比較し、熱処理の際の基板温度を把握することを特徴とする基板温度の測定方法を提供する。
【0006】また、本発明は、不純物を存在させた基板に所定の熱処理を施した際における基板の深さ方向の不純物分布を基板面内の複数箇所で測定し、それらの測定結果を計算結果に基づく温度と不純物分布との関係と比較し、熱処理の際の基板面内の温度分布を把握することを特徴とする基板温度の測定方法を提供する。
【0007】さらに、本発明は、不純物を存在させた基板に所定の熱処理を施した際における基板の所定深さの不純物量を測定し、その測定結果を計算結果に基づく温度と所定深さの不純物量との関係と比較し、熱処理の際の基板温度を把握することを特徴とする基板温度の測定方法を提供する。
【0008】さらにまた、本発明は、不純物を存在させた基板に所定の熱処理を施した際における基板の所定深さの不純物量を基板面内の複数箇所で測定し、それらの測定結果を計算結果に基づく温度と所定深さの不純物量との関係と比較し、熱処理の際の基板面内の温度分布を把握することを特徴とする基板温度の測定方法を提供する。
【0009】これらの発明において、熱処理前に基板の表面部分に不純物をドープすることにより基板に不純物を存在させることができる。
【0010】本発明においては、基板に不純物を存在させた状態で基板を熱処理すると、その熱処理温度に応じた不純物の拡散が生じることを利用して基板温度を把握する。すなわち、例えば理論的なシミュレーション結果のような計算結果から各温度における基板の深さ方向の不純物分布を把握しておけば、実際の熱処理により得られた基板深さ方向の不純物分布をこのような計算結果と比較することにより、基板の温度を把握することができる。このように基板自体の状態に基づいて基板温度を把握するので、極めて高精度に基板の温度を測定することができる。そして、実際の不純物分布を種々の熱履歴に対応する計算結果と比較すれば、温度のみならず熱履歴をも把握することができる。昇温速度や保持時間が一定の場合には、不純物分布を測定する代わりに基板の所定深さの不純物量を測定して計算結果に基づく温度と所定深さの不純物量との関係と比較すればより容易に基板温度を把握することができる。また、このような基板の深さ方向の不純物分布や所定深さの不純物量を基板面内の複数位置で測定することにより、基板面内の温度分布を高精度で把握することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ここでは、基板として半導体ウエハを用いた場合について説明する。図1は、本発明の方法の一実施形態を示す工程図である。本発明により半導体ウエハ温度を測定する際には、図1に示すように、まず、不純物を存在させた半導体ウエハに所定の熱処理を施す(工程1)。次いで、半導体ウエハの深さ方向の不純物分布を測定する(工程2)。さらに、予めシミュレーションにより求めた各条件における不純物分布カーブによるカーブフィッティングを行う(工程3)。すなわち、工程2で求めた不純物分布カーブに一致するシミュレーションカーブを選択する。そして、選択されたシミュレーションカーブから熱処理の際の半導体ウエハの温度を特定する(工程4)。
【0012】上記工程1において用いられる不純物としては、通常、半導体ウエハの不純物元素として用いられる3価または5価の元素、典型的にはBまたはAsを用いることができる。これら不純物元素は通常のイオン注入を用いてドープすることにより表面部分に存在させることができる。
【0013】本発明が適用される熱処理は特に限定されないが、不純物をドープした後の600〜1200℃程度の高温領域でのアニール処理が好適である。このような範囲の温度の熱処理では温度変化により不純物分布の変化が生じやすく、高精度でウエハ温度を把握することができる。
【0014】このようなアニール処理には、制御性がよい短時間アニール(RTA;RapidThermal Annealing)が多用されており、そのため図2に示すようなRTP(Rapid Thermal Processor)が用いられる。図2において、参照符号1はプロセスチャンバーであり、このプロセスチャンバー1は上部チャンバー1aおよび下部チャンバー1bに分離可能となっている。上部チャンバー1aおよび下部チャンバー1bの間には石英窓2が設けられている。チャンバー1の上方には発熱部3が着脱可能に設けられている。発熱部3は、水冷ジャケット4と、その下面に複数配列されたタングステンランプ5とを有している。プロセスチャンバー1の下方には半導体ウエハWを保持する水冷プラテン6が着脱可能に設けられている。このプラテン6の上面にはウエハ支持ピン7が設けられており、半導体ウエハWはこの支持ピン7に支持される。発熱部3のジャケット4と上部チャンバー1aとの間、上部チャンバー1aと石英窓2との間、石英窓2と下部チャンバー1bとの間、下部チャンバー1bとプラテン6との間にはシール部材Sが介在されており、プロセスチャンバー1は気密状態となる。チャンバー1内は図示しない排気装置により減圧可能となっている。
【0015】このような熱処理装置においては、プロセスチャンバー1内に半導体ウエハWをセットし、その中に気密な空間を形成し、排気装置により排気してその中を真空状態とする。次いで、発熱部3のタングステンランプ5をオンにすると、タングステンランプ5で発生した熱が石英窓2を通過して半導体ウエハWに至り、半導体ウエハWが急速に加熱される。加熱が終了した後は、プロセスチャンバー1内を大気圧に戻し、発熱部3を退避させるとともに、プラテン6を下降させて半導体ウエハWを急速に冷却する。このようにして、所望の急速加熱処理が実現される。
【0016】半導体ウエハの表面部分にドープされた不純物は、このような熱処理によって内部に拡散し、深さ方向に所定の分布を形成する。工程2では、このような深さ方向の不純物の分布を分析によって求める。この際の分析方法は特に限定されないが、二次イオン質量分析(SIMS)により好適に求めることができる。
【0017】工程3では、理論的な計算により各条件毎に深さ方向の不純物分布のシミュレーションカーブを予めコンピュータに入力しておき、実際にSIMSにより求めた不純物分布のカーブに対し、これらシミュレーションカーブによるカーブフィッティングを行う。この際のシミュレーションカーブの作成およびカーブフィッティングは、適宜のソフトウェアーを用いて行うことができ、例えばT−CADのプロセスシミュレーターを用いて行うことができる。
【0018】図3は、理論的な計算結果に基づくシリコンウエハーの不純物分布のシミュレーションカーブと実際にSIMSにより求めた不純物分布のカーブとを比較した図であり、(a)は1000℃で1分間のRTAを行ったもの、(b)は1000℃で1分間のRTAを行った後、750℃で160分間の非活性化アニールを行ったもの、(c)は750℃で10分間のアニールを行ったもの、(d)は750℃で160分間のアニールを行ったものである(出典:Chang et al.IEDM97)。
【0019】図3に示すように、理論的な計算結果に基づいて描かれた不純物分布のシミュレーションカーブは、実際の分析値とほぼ一致しており、このようなシミュレーション結果に基づいて半導体ウエハの温度を把握することの有効性が理解される。この図にも示すように、不純物分布は処理温度によって異なっているから、種々の熱処理温度でのシミュレーションデータを入力しておけば、熱処理を行った後の分析結果をこれらシミュレーションデータと比較することにより、熱処理の際の半導体ウエハの温度を特定することができる。
【0020】このように、高精度のシミュレーションデータに基づいてカーブフィッティングを行って、半導体ウエハの不純物分布という半導体ウエハ自体の状態に基づいてその温度を把握するので、従来の間接的な温度測定の場合と比較して、著しく精度の高い温度測定を行うことができる。
【0021】また、図3から明らかなように、熱処理温度のみならず保持時間等他の熱処理条件によっても不純物分布は異なっている。したがって、種々の熱履歴を加えた場合の不純物分布のシミュレーション結果を入力しておくことにより、半導体ウエハに対して熱処理を行った際の熱処理温度のみならず、熱履歴を把握することも可能である。
【0022】逆に、熱処理温度以外の昇温速度や保持時間等が一定の場合には、上述のような不純物分布を測定する代わりに、ウエハの所定深さの不純物量を測定し、熱処理温度と所定深さの不純物量との関係のシミュレーションデータと比較するようにすれば、より容易に基板温度を把握することができる。
【0023】以上のような手順により半導体ウエハの温度を把握することができるが、半導体ウエハ面内の温度分布を把握する場合には、深さ方向の不純物分布や所定深さの不純物量の測定を基板面内の複数位置で測定し、同様にシミュレーションデータと比較すればよい。これにより、ウエハ面内の温度分布を高精度で把握することができる。
【0024】なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく種々変形が可能である。例えば上記実施の形態では半導体ウエハの温度測定について示したが、これに限らず、不純物の拡散が想定される基板であれば用いることができる。また、対象とする熱処理も上述のようなアニールに限らず、他の種々の熱が関与する処理に適用することができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、不純物を存在させた基板に所定の熱処理を施した際における基板の深さ方向の不純物分布を測定し、その測定結果を、計算結果に基づく温度と不純物分布との関係と比較し、熱処理の際の基板温度を把握するので、実際の基板の状態に基づいて直接的に基板温度を把握することができ、極めて高精度に基板の温度を測定することができる。また、昇温速度や保持時間が一定の場合には、不純物分布を測定する代わりに基板の所定深さの不純物量を測定して計算結果に基づく温度と所定深さの不純物量との関係と比較すれば、より容易に基板温度を把握することができる。さらに、このような基板の深さ方向の不純物分布や所定深さの不純物量を基板面内の複数位置で測定してこれらについて計算結果と比較することにより、基板面内の温度分布を高精度で把握することができる。
【出願人】 【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
【出願日】 平成10年6月24日(1998.6.24)
【代理人】 【識別番号】100099944
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 宏志
【公開番号】 特開2000−9549(P2000−9549A)
【公開日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【出願番号】 特願平10−193706