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【発明の名称】 赤外線検出器及びその製造方法
【発明者】 【氏名】中木 義幸

【氏名】秦 久敏

【氏名】曽根 孝典

【要約】 【課題】簡素な構造の赤外線検出器及び、このような赤外線線検出器を容易かつ低コストで製造することができる製造方法を提供する。

【解決手段】赤外線を透過させる透過用基板3と、透過用基板3との間に密閉空間11が形成されるように透過用基板3に接合された基板1と、基板1の表面に形成されかつ密閉空間11内に配置された赤外線を検出する検出素子2と備える赤外線検出器20に、密閉空間11内の水分及び気体を吸収して密閉空間11を実質的に真空に保持する該密閉空間11内に配置されるゲッターとして、バルク形状の材料を350℃以上に加熱して水分及び気体を吸収するように活性化させたバルク型ゲッター4を用いた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 赤外線を透過させる透過用基板と、上記透過用基板との間に密閉空間が形成されるように上記透過用基板に接合された基板と、上記基板の表面に形成されかつ上記密閉空間内に配置された赤外線を検出する検出素子と、上記密閉空間内の水分及び気体を吸収して該密閉空間を実質的に真空に保持する該密閉空間内に配置されたゲッターとを有し、上記透過用基板を介して入射された赤外線を上記検出素子で検出する赤外線検出器であって、上記ゲッターは、バルク形状の材料を350℃以上に加熱して水分及び気体を吸収するように活性化させたバルク型ゲッターであることを特徴とする赤外線検出器。
【請求項2】 上記密閉空間は、検出用空間とゲッター収納用空間とを有してなり、上記ゲッター収納用空間は上記透過用基板に形成された第1凹部により形成されることを特徴とする請求項1記載の赤外線検出器。
【請求項3】 上記検出用空間は、上記第1凹部に隣接して形成された第2凹部により構成されていることを特徴とする請求項2記載の赤外線検出器。
【請求項4】 上記第1凹部と上記第2凹部とは、上記基板をエッチングすることにより形成されたものであることを特徴とする請求項3記載の赤外線検出器。
【請求項5】 上記透過用基板は、上記第1凹部に対応した第1の貫通部及び上記第2凹部に対応した第2の貫通部を有する第1のシリコン基板を第2のシリコン基板に接合したものであることを特徴とする請求項4記載の赤外線検出器。
【請求項6】 上記バルク型ゲッターが、上記透過用基板に接着されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の赤外線検出器。
【請求項7】 上記バルク型ゲッターが、上記透過用基板に半田又は無機ガラスで接着されていることを特徴とする請求項6記載の赤外線検出器。
【請求項8】 上記バルク型ゲッターがジルコン系金属であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の赤外線検出器。
【請求項9】 上記基板と上記透過用基板とが、半田によって接着されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の赤外線検出器。
【請求項10】 上記基板と上記透過用基板とが、金属シリサイドによって接着されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の赤外線検出器。
【請求項11】 赤外線を検出する検出素子が形成された基板と、上記検出素子の上方に密閉空間が形成されるように上記基板に接合されている透過用基板と、水分及び気体を吸収することで上記密閉空間を実質的に真空に保持する該密閉空間に配置されたゲッターとを有する赤外線検出器の製造方法であって、透過用基板をエッチングしてバルク型ゲッターを収納する第1凹部と第2凹部を形成する凹部形成工程と、検出素子が形成された基板と上記透過用基板とを上記第1凹部が上記検出素子と対向しかつ上記第1凹部に上記バルク型ゲッターが位置するように接合する接合工程とを含むことを特徴とする赤外線検出器の製造方法。
【請求項12】 上記凹部形成工程において、第1のシリコン基板と第2のシリコン基板とをSiO2で接合し、上記第1のシリコン基板のみの所定の位置をエッチングによって貫通させて上記第1の凹部と上記第2の凹部とを形成することを特徴とする請求項11記載の赤外線検出器の製造方法。
【請求項13】 上記凹部形成工程において、第1のシリコン基板の所定の位置をエッチングによって貫通させ上記第1凹部に対応する第1貫通孔と上記第2凹部に対応する第2貫通孔とを形成した後、上記第1のシリコン基板を第2のシリコン基板に接合して、上記第1凹部及び上記第2凹部を有する上記透過用基板を形成することを特徴とする請求項11記載の赤外線検出器の製造方法。
【請求項14】 上記接合工程において、半田で上記基板と上記透過用基板とを接合すること特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載の赤外線検出器の製造方法。
【請求項15】 上記接合工程において、金属シリサイドで上記基板と上記透過用基板とを接合すること特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載の赤外線検出器の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は赤外線検出器及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、赤外線検出器の開発が活発であり、特にマイクロマシーニング技術を用いて微細化された赤外線検出器は実用段階にある。こういった赤外線検出器は、熱線受光による温度変化を電気抵抗又は熱起電力等の物理量に変換して熱・温度を検出する。従って、赤外線検出器においては、熱量変化を有効に温度変化に変換するために、赤外線検出素子と外界との熱遮断する必要がある。具体的には、赤外線検出素子の周囲を真空にして、熱が対流によって赤外線検出素子以外に伝わることを防止して検出感度を向上させている。
【0003】現在、赤外線検出素子の周囲を真空にするために、赤外線検出素子を含む赤外線検出器を丸ごと真空パッケージ内に封止していた。しかしながら、このように赤外線検出器全体を真空パッケージ内に封止すると、赤外線検出素子に比べてパッケージが大きくなり、パッケージを構成する部品数が多くなるので、パッケージを作製する工程が多くなり、パッケージの製造コストが割高になるという問題点があった。
【0004】このような問題点に対処すべく、特開平9―506712号公報は、赤外線検出素子のみを真空パッケージ内に形成した赤外線検出器を提案している。以下、図6を参照して、この赤外線検出素子30を説明する。
【0005】赤外線検出器30は、赤外線検出素子20を表面に有する検知用シリコン基板1と透過用シリコン基板12とを、赤外線検出素子20の上方に形成される密閉空間21を真空になるように半田16で接合したものである。尚、半田16としてインジウム50−鉛50を用いる。さらに、透過用シリコン基板12の両面には、反射防止膜13が形成されている。
【0006】密閉空間21に放出される微量のガスはゲッター23に吸収されるので、密閉空間21は真空に保持される。ゲッター23はバナジウム、バリウム又はこれらの合金を透過用シリコン基板12の表面に薄膜状(モノリシック状)に蒸着して形成したものであり、このような蒸着膜は短時間高温に加熱し活性化することで、ゲッター23としての機能を果たす。具体的にゲッターを活性化するには、電流経路を介してゲッター23に加熱電流の印加する必要又は、赤外線レーザで熱放射ビームを発生させゲッター23を加熱する必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した赤外線検出器30には以下に説明するような課題があった。第1に赤外線検出器30で用いられる透過用シリコン基板12の構成が複雑であるので、製造コストが高くなる。また、上述したように透過用シリコン基板12に反射膜13を形成する際、ゲッター23に損傷を与えるという課題もあった。
【0008】また、薄膜状のゲッター23の構造は複雑であるから、形成するのが困難であった。さらに、透過用シリコン基板12と検知用シリコン基板1とを接合後、ゲッター23を活性化するために通常環境下で加熱電流を印加すると、密閉空間21の圧力が高く十分に活性化させることが不可能であり、真空漕内で加熱電流印加をするためには、多くの治具が必要になるので製造コストが高くなる。通常環境下では密閉空間21の圧力が高く活性化が十分でないことはレーザ加熱による活性化も同様であり、真空装置内でレーザ照射を行うには真空装置の構成が複雑になるので製造コストが高くなる。つまり、薄膜状のゲッター23を低コストで実用可能な程度に活性化するのは困難であった。
【0009】本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、簡素な構造の赤外線検出器及び、こういった赤外線線検出器を容易かつ低コストで製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した課題は、薄膜状の金属膜をゲッターとして利用することに起因する。本発明はこのことに着眼し、ゲッターを薄膜状からバルク形状に変更し課題を解決しようとするものである。具体的に本発明の赤外線検出器は、赤外線を透過させる透過用基板と、透過用基板との間に密閉空間が形成されるように透過基板に接合された基板と、基板の表面に形成されかつ密閉空間内に配置された赤外線を検出する検出素子と、密閉空間内の水分及び気体を吸収して密閉空間を実質的に真空に保持する該密閉空間内に配置されたゲッターとを有し、透過用基板を介して入射された赤外線を検出素子で検出する赤外線検出器であって、ゲッターは、バルク形状の材料を350℃以上に加熱して水分及び気体を吸収するように活性化させたバルク型ゲッターであることを特徴とするものである。即ち、ゲッターを活性化の容易なバルク形状のものとすることで、構造が簡素な赤外線検出器を容易に製造することができる。
【0011】本発明の赤外線検出器において、検出素子に入射する赤外線を妨げないように、密閉空間は検出用空間とゲッター収納用空間とを有してなり、ゲッター収納用空間は透過用基板に形成された第1の凹部により形成するのが好ましい。
【0012】また本発明の赤外線検出器において、透過基板が検出素子に接触することを防止するために、検出用空間が第1凹部に隣接して形成された第2凹部により構成してもよい。
【0013】さらに本発明の赤外線検出器において、第1凹部と第2凹部とを精度良く分離するために、第1凹部と第2凹部とを基板をエッチングすることにより形成することができる。
【0014】また本発明の赤外線検出器において、検出素子用凹部を平坦に形成し赤外線の検出感度を向上させるために、透過用基板は、上記第1凹部に対応した第1の貫通部及び上記第2凹部に対応した第2の貫通部を有する第1のシリコン基板と第2のシリコン基板とを接合して形成してもよい。
【0015】本発明の赤外線検出器において、バルク型ゲッターを透過用基板に接着することでバルク型ゲッターを安定させることができる。
【0016】さらに本発明の赤外線検出器において、バルク型ゲッターを透過用基板に半田又は無機ガラスで接着することで、バルク型ゲッターを安定させてもよい。
【0017】本発明の赤外線検出器において、バルク型ゲッターを、ガス及び水分に対して吸収性に優れたジルコン系金属とするのが好ましい。
【0018】また本発明の赤外線検出器を容易に製造するために、基板と透過用基板とを半田によって接着してもよい。
【0019】さらに本発明の赤外線検出器を容易に製造するために、基板と透過用基板とを金属シリサイドによって接着することができる。
【0020】本発明の赤外線検出器の製造方法は、赤外線を検出する検出素子が形成された基板と、検出素子の上方に密閉空間が形成されるように基板に接合されている透過用基板と、水分及び気体を吸収することで密閉空間を実質的に真空に保持する密閉空間に配置されたゲッターとを有する赤外線検出器の製造方法であって、透過用基板をエッチングしてバルク型ゲッターを収納する第1凹部と第2凹部を形成する凹部形成工程と、検出素子が形成された基板と上記透過用基板とを上記第1凹部が上記検出素子と対向しかつ第1凹部に上記バルク型ゲッターが位置するように接合する接合工程とを含むことを特徴とする。即ち、本発明の赤外線検出器の製造方法によれば、第1凹部及び第2凹部を備え、簡素な形状の透過用基板を容易に製造することができる。
【0021】本発明の赤外線検出器の製造方法では、凹部形成工程において、第1のシリコン基板と第2のシリコン基板とをSiO2で接合し、第1のシリコン基板のみの所定の位置をエッチングによって貫通させて第1の凹部と第2の凹部とを形成し、第1凹部及び上記第2凹部を有する透過用基板を形成することができる。こうすることで、第2凹部の平坦性を向上させることができる。
【0022】また本発明の赤外線検出器の製造方法では、凹部形成工程において、第1のシリコン基板の所定の位置をエッチングによって貫通させて第1凹部に対応する第1貫通孔と第2凹部に対応する第2貫通孔とを形成し、第1貫通孔と第2貫通孔とを備えている第1のシリコン基板を第2のシリコン基板に接合して、第1凹部及び第2凹部を有する透過用基板を形成することでも、第2凹部の平坦性を向上させてもよい。
【0023】本発明の赤外線検出器の製造方法では、接合工程において、半田で基板と上記透過用基板とを接合することで、赤外線検出器を容易に製造することができる。
【0024】また本発明の赤外線検出器の製造方法では、接合工程において、金属シリサイドで上記基板と上記透過用基板とを接合することによっても、赤外線検出器を容易に製造することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】実施の形態1.本発明の実施の形態1にかかる赤外線検出器20について、図1及び図2を参照して説明する。赤外線検出器20は、密閉空間11内に密閉されたバルク型ゲッター4を有する。バルク型ゲッター4はバルク形状の材料、例えばジルコン系金属を350℃以上に加熱し、水分及び気体を吸収するように活性化したものである。つまり、バルク型ゲッター4によって密閉空間11は実質的に真空に保持される。さらに、バルク型ゲッター4は、密閉空間11の一部を形成するゲッター用凹部3aに収納されるように配置されている。また、図2に示すようにゲッター用凹部3aは、密閉領域11の角部を囲むように形成されたものであるので、バルク型ゲッター4は、密閉空間11の角部に配置される。本実施も形態1ではバルク型ゲッター4を接着材等で固定することなく、単にゲッター用凹部3a内に単に収納している。しかしながら本発明はこれに限定されるものではなく、ゲッター用凹部3aにバルク型ゲッター4を固定してもよい。
【0026】赤外線検出器20は、表面に赤外線検出素子2(以下、検出素子と呼ぶ)を備える赤外線検知用シリコン基板1(以下、検知用基板と呼ぶ)と赤外線透過用シリコン基板3(以下、透過用基板と呼ぶ)との間に密閉空間11が形成されるように、検知用基板1と透過用基板3とを接合したものである。
【0027】透過用基板3には検出素子用凹部3bとゲッター用凹部3aとが形成され、検出素子用凹部3bとゲッター用凹部3aとによって、密閉空間11が構成される。また、検出素子用凹部3bとゲッター用凹部3aとは仕切り部3cで分離されている。検出素子用凹部3bとゲッター用凹部3aとは、透過用基板3をエッチングして形成したものである。
【0028】検知用基板1と透過用基板3は、シール材13で接合される。シール材13は例えばSnPb半田、AuSn半田等であり、検知用基板側接合部7に形成された検知基板側金属層6aと透過基板側接合部5に形成された透過基板側金属層6bとを接合する。検知基板側金属層6aは、検知用基板1と透過用基板3とを半田材であるシール材13で接合するために検知用基板1に形成されたものであり、検知用基板1側から順に膜厚50nmのクロム、膜厚2μmのニッケル、及び膜厚50nmの金を3層構造に形成したものである。尚、本発明において、検知用基板側金属層6aは、上述したような材料及び膜厚に限定されるものでなく、半田付けに用いられる公知のメタライズ金属であってもよい。
【0029】同様に、透過用基板側金属層6bは、膜厚50nmのクロム、膜厚3μmのニッケル、及び50nmの金を3層構造に形成したものである。尚、透過用基板側金属層6bは、上述したような材料及び膜厚に限定されるものでなく、半田付けに用いられる公知のメタライズ金属であってもよい。
【0030】赤外線検出器20による赤外線の検出は、透過用基板3を透過した赤外線を密閉空間11を介して検出素子2に入射させ、検出素子2で赤外線を電気信号に変換し、変換した電気信号をパッド12から出力させて行う。密閉空間11の圧力は0.1パスカル以下であり、赤外線を効率よく検出素子2に伝えるようにほぼ真空に保持されている。尚、透過用基板3には、赤外線の反射を防止し、検出素子2への赤外線の透過率を向上させるように、例えばジルクサルファからなる反射防止膜10が形成されている。
【0031】検出素子2は、検知用基板1の一部の表面に形成されたものである。以下、本明細書において、検知用基板1の表面の検出素子2が形成された領域を素子領域と呼び、検出素子2が形成されていない領域を非素子領域と呼ぶ。
【0032】検出素子2を検知用基板1から熱的に分離することで検出感度を向上させるように、検出素子2は、公知のマイクロマシン技術によって検知用基板1に対して浮き構造をなすように形成されている。赤外線を電気信号に変換する方式としては、抵抗ボロメータ方式、誘電ボロメータ方式、サーモパイル方式、焦電方式、半導体の温度特性を利用した方式、又はバイメタル方式等の熱検知方式等が挙げられる。
【0033】検出素子2の上方には検出素子用凹部3bが配置されている。従って、大気圧によって透過用基板3及び検知用基板1にたわみが発生した場合でも、透過用基板3と検知用素子2とが接触することはない。即ち、大気圧によって透過用基板3及び検知用基板1にたわみが発生した場合でも、赤外線検出器20の検出感度が低下することはない。
【0034】さらにゲッター用凹部3aは検知用基板1の非アレイ領域の上方に形成され、バルク型ゲッター4はゲッター用凹部3aに収納されているので、バルク型ゲッター4が配置される位置は非素子領域上に限定される。
【0035】即ち、バルク型ゲッター4をゲッター用凹部3aに収納し、バルク型ゲッター4が素子領域上に位置ずれをおこすことを防止することで、検出素子2に入射される赤外線が、バルク型ゲッター4に妨げられることを防止し、赤外線検出器20の検出感度が低下することを防止することができる。
【0036】さらに、ゲッター用凹部3aの寸法をバルク型ゲッター4の寸法より小さく形成し、ゲッター用凹部3aにバルク型ゲッター4を押しこむように挿入することで、より確実にバルク型ゲッター4が素子領域上に位置ずれを起こすことを防止することができる。
【0037】次に、赤外線検出器20の製造方法について説明する。最初に透過用基板3を製造する。本実施の形態1では、透過用基板3として例えば厚さ600ミクロンで(100)方位を有するシリコン基板を用いる。本実施の形態1では、ゲッター用凹部3aと検出素子用凹部3bとを、アルカリ溶液を用いて透過用基板3を物理的に研磨する鏡面エッチング法で形成する。アルカリ溶液として、例えば数十%のKOHを用いる。具体的には、透過用基板3にゲッター用凹部3a及び素子用凹部3bを形成しようとする領域を設定し、仕切り部3c及び透過基板側接続部5等を含む凹部を形成しない領域に耐アルカリの金属層をマスクとして形成した後、透過用基板3を鏡面エッチングする。本実施の形態1では、例えばゲッター用凹部3a及び素子用凹部3bの厚さを300ミクロンになるように鏡面エッチングを行う。
【0038】鏡面エッチングが終了した後、仕切り部3c等に形成された金属マスク層を除去し、シール材13及び反射防止膜10を形成することで、透過用基板3は完成する。シール材13は、透過用基板側接続部5に厚さ約50μmの半田層を透過用基板側金属層6bを介して積層して形成する。半田層を積層する方法としては、ディスペンス塗布法、シート状の半田を用いる方法、又はメッキによる方法が挙げられる。また、上述した製造方法においては、鏡面エッチング法によって、ゲッター用凹部3aと素子用凹部3bを形成したが本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、反応性イオンエッチングによって、バルク型凹部3aと素子用凹部3bを形成してもよい。さらに、検出素子2を備えている検知基板1を製造し、さらに例えばジルコン系金属をバルク状に形成して、バルク型ゲッター4を製造する。
【0039】次に、真空漕内でバルク型ゲッター4を活性化し、さらに真空漕内で検知基板1と透過基板3とを接合する。以下この工程について詳細に説明する。最初に検真空漕の試料台に透過用基板3及びバルク型ゲッター4を設置し、これら透過用基板3、バルク型ゲッター4とは別に真空漕内に検知用基板1を真空漕に投入する。試料台は、試料台上の試料を任意の温度に加熱することができるように加熱機構を有するものである。
【0040】試料台を400℃に昇温し、水素ガスと希ガスとの混合雰囲気中で透過用基板3を数十秒加熱して、透過用基板3に形成された半田材であるシール材13を還元する。さらに、透過用基板2のゲッター用凹部3aにバルク型ゲッター4を収納した後、試料台を400℃に昇温し、希ガス雰囲気中で透過用基板3とバルク型ゲッター4とを400℃に加熱して、バルク型ゲッター4が水分及びガスを吸収するように活性化する。バルク型ゲッター4は400℃以上に加熱することで、ガス及び水分に対して優れた吸収性を示すように活性化されるが、バルク型ゲッター4を350℃以上に加熱し活性化することによっても十分な吸収性を得ることができる。また、バルク型ゲッター4の活性化は真空下で行ってもよい。
【0041】続いて、続いて真空漕内を真空引きし、検出素子2と検出素子用凹部3bとが対向するように、バルク型ゲッター4が収納された透過用基板3と検出用基板1とを配置し、真空漕内を230℃に昇温して検知用基板1と透過用基板3とを接合する。さらに検知用基板1と透過用基板3とを冷却し、シール材13を固着させ、検知用基板1と透過用基板3との接合を完了させる。このようにして、赤外線線検出器20が完成する。
【0042】バルク型ゲッター4は加熱するのみで活性化することが可能であるから、従来のように、薄膜形状のゲッターを活性化させるためのレーザ機構等を真空装置に設けることが不用になる。即ち、ゲッターをバルク型のものすることで赤外線検出器20の製造コストを低減することができる。
【0043】実施の形態2.上記実施の形態1に示した赤外線検出器20が有する透過用基板3には、ゲッター用凹部3aと素子用凹部3bとが形成されているが、本発明にかかる赤外線検出器が有する透過基板はこれに限定されるものではなく、図3に示す本発明の実施の形態2にかかる赤外線検出器21のように、ゲッター用凹部3aのみが形成されている透過用基板3hを有するものであってもよい。
【0044】透過用基板3hには、ゲッター用凹部3aのみが形成されていることを除いて、赤外線検出器21の構造は、実施の形態1で説明した赤外線検出器20の構造と同様である。上記赤外線検出器20と同様に赤外線検出器21においても、透過用基板3hと検知用基板1との間に密閉空間11が形成されている。透過用基板3hと検知用基板1との間の間隔は、検知用基板1と透過用基板3hとを接合するシール材13の厚さによって調整することができる。本実施の形態2では、検知用基板側金属層6aおよび透過用基板側金属層6bのそれぞれに厚さ50μmのシール材13を供給し、透過基板3hと検知基板1との間の間隔を100μmとし、バルク型ゲッター4の高さを100〜200μmとする。
【0045】実施の形態1にかかる赤外線検出器20に関しては、検出素子2に入射する赤外線が透過する検出素子用凹部3bを平坦に形成する必要であるから、検出素子用凹部3bを形成する工程には優れた精度が要求される。これに対して、ゲッター用凹部3aを形成するには、検出素子用凹部3bに対するほど優れた精度が要求されることはない。従って、本実施の形態2にかかる赤外線検出器21のゲッター用凹部3aは、精度に優れたエッチング法を用いることなく、透過用基板3aを削り出すなどの容易な手段で形成することができる。つまり、透過用基板3hに形成する凹部をゲッター用凹部3aのみとすることで、本実施の形態2にかかる赤外線検出器21を、より容易に製造することができる。尚、ゲッタ用凹部3aを形成するのは、透過基板3hに反射防止膜10を形成する前であっても、反射膜10を形成した後であってもよい。
【0046】実施の形態3.上記赤外線検出器20、21は、接着材等を用いることなくバルク型ゲッター4をゲッター用凹部3aに収める構造であるが、本発明はこのような構造に限定されるものではなく、図4に示す赤外線検出器22のように、バルク型ゲッター4を透過用基板3Iに接合してもよい。
【0047】本実施の形態3にかかる赤外線検出器22は、ゲッター型バルク4を検知用基板1の非素子領域の上方に配置し、さらにゲッター固定材9によって透過基板3Iに接合し固定したものである。赤外線線検出器22においては、ゲッタ固定材9によってゲッター型バルク4が固定されているので、バルク型ゲッター4が位置ずれを起こすことはない。従って、上記実施の形態1のように検知基板1の非素子領域の上方にゲッター用凹部を形成し、ゲッター用凹部にバルク型ゲッターを収納する必要はない。従って、実施の形態1では分離して形成していたゲッター用凹部と検出素子用凹部とを凹部3dとして一体化することができる。尚、以下、凹部3dのバルク型ゲッター4が接合される領域をゲッター領域3eと呼ぶ。
【0048】次に、バルク型ゲッター4を透過用基板3Iにゲッター固定材9で接合する方法について説明する。まず、上記実施の形態1で説明した方法と同様にして、透過用基板3Iに凹部3dを形成し、さらに反射防止膜10を形成する。次に、透過用基板3Iの透過基板側接合部5及びゲッター領域3eに金属層を積層し、この金属層上に半田材を配置する。この際、ゲッター領域3eには、ゲッター固定材9としてメッキ半田、ディスペンス半田、シート半田等の半田材を供給する。次に、バルク型ゲッター4をゲッタ固定材9と接触するように配置し、透過用基板3Iと検知用基板1とを接合する工程において、バルク型ゲッター4を透過用基板3Iに接合する。透過用基板3Iと検知基板1とを接合する方法は、上記実施の形態1と同様である。
【0049】また、アルミナ、シリカ、ナトリウムガラス等の無機ガラスをゲッター固定材9として用いてもよい。以下に具体的な方法について説明する。透過用基板3Iに凹部3dと反射膜10とを形成した後、アルミナ、シリカ、ナトリウムガラス等の無機ガラスを含有する水溶液を適切な粘度に調製する。次に、この水溶液をスクリーン印刷法やディスペンス法等で透過基板3Iのゲッター領域3eに塗布する。続いて、ゲッタ領域3eに接触するようにバルク型ゲッター4を配置し、透過基板3Iを加熱することでバルク型ゲッター4が透過基板3Iに接合される。例えば、酸化シリコンと酸化ナトリウムの水和物の水溶液をゲッター領域3eに塗布した場合、窒素雰囲気で透過基板3Iを90〜150℃に加熱することで、バルク型ゲッター4を透過基板3Iに接合することができる。
【0050】実施の形態4.上記実施の形態1〜3にかかる赤外線検出器で用いられる透過用基板は、1枚のシリコン基板から形成されたものであるが、本発明の赤外線検出器はこれに限定されるものではなく、2枚のシリコン基板から形成された透過用基板を用いるものであってもよい。以下、2枚のシリコン基板から形成された透過用基板3Jを備えている本発明の実施の形態4にかかる赤外線検出器23について、図5を参照して説明する。
【0051】2枚のシリコン基板からなる透過用基板3Jを備えていることを除いて、赤外線検出器23の構造は、上記実施の形態1にかかる赤外線検出器20と同様である。
【0052】次に、透過用基板3Jの製造方法について説明する。透過用基板3Jは、第1のシリコン基板3gと第2のシリコン基板3fとを酸化ケイ素8で接合してなるいわゆるSOI(Silicon-On-Insulator)基板である。最初に、第1のシリコン基板3gにゲッター用凹部3a及び素子用凹部3bを形成しようとする領域を設定し、仕切り部3c、透過基板側接続部5等を含む凹部を形成しない領域に酸化ケイ素をマスクとして形成した後、有機アルカリ溶液を用いてエッチングし、第1のシリコン基板3gのゲッター用凹部3a及び素子用凹部3bを形成しようとする領域を完全に除去する。こうすることで、第1のシリコン基板3gにゲッター用凹部3a及び素子用凹部3bに対応する貫通部が形成される。この際、第1のシリコン基板3gと第2のシリコン基板3fとを接合する酸化ケイ素8がマスクの役割を果たすので第2のシリコン基板3fがエッチングされることはなく、エッチングによって形成されたゲッター用凹部3a及び素子用凹部3bには、第2のシリコン基板3fの表面を覆う酸化ケイ素8が露出する。
【0053】次に、ゲッター用凹部3a及び素子用凹部3bに露出された第2のシリコン基板3fの表面を覆う酸化ケイ素8をふっ酸で除去する。こうすることで、ゲッター用凹部3a及び素子用凹部3bに第1のシリコン基板3gの表面を露出させる。このようにすることで、より平坦な検出素子用凹部3bを備えている透過用基板3Jが完成する。
【0054】また、上記の方法では、2枚のシリコン基板3f、3gを接合した後にゲッター用凹部3aと素子用凹部3bを形成して透過用基板3Jを作製したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、以下の方法によって2枚のシリコン基板から透過基板を製造することもできる。
【0055】最初に第1のシリコン基板にゲッター用凹部及び検出素子用凹部を形成しようとする領域を設定し、仕切り部、透過基板側接続部等を含む凹部を形成しない領域にマスクを形成した後、ゲッター用凹部及び素子用凹部を形成しようとする領域をエッチングして貫通し、第1のシリコン基板にゲッター用凹部及び検出素子用凹部に対応する貫通孔を形成する。続いて、両面が鏡面である第2のシリコン基板に第1のシリコン基板を接合することで、2枚のシリコン基板からなる透過基板を完成させてもよい。2枚のシリコン基板の接合は、例えば第1のシリコン基板又は第2のシリコン基板のいずれかに金を蒸着させ、この金層を400℃でシリサイド化して2枚のシリコン基板を金属シリサイドを介して接合する方法が挙げられる。
【0056】実施の形態5.上記実施の形態1では、シール材13として半田材を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、シール材として金属シリサイドを用いてもよい。具体的には、検知用基板1の検知用基板側接続部7に、例えば膜厚約50nmのクロムと膜厚約1μmの金とを2層構造に形成して、検知用基板側接続部7を平坦にする。透過基板側接続部5には金属層等を形成する必要はない。
【0057】このようにシール材として金属シリサイドを用いると、上記実施の形態1で説明した半田材からなるシール材を還元する工程が不要になり、透過基板3と検知基板1とを400℃に加熱し、荷重を印加することで透過基板3と検知基板1とを接合することができる。
【0058】尚、実施形態1〜5は赤外線検出器に関するものであるが、本発明は赤外線検出器に限定されるものではなく、上記実施の形態で開示された構造を赤外線放出器に利用することができる。実施の形態で開示された構造が利用される赤外線放出器は、赤外線放出素子を備える基板に透過基板を接合し、赤外線放出素子の上方に密閉空間を形成したものであり、この密閉空間にバルク型ゲッターを配置することで、入力電力から赤外線への変換効率を向上させることができる。
【0059】
【発明の効果】本発明の赤外線検出器は、バルク型ゲッターを用いているので、薄膜状のゲッターを用いる従来例と比較して、ゲッターを容易に活性化することができ、容易に製造することができる。
【0060】本発明の赤外線検出器において、バルク型ゲッターを第1の凹部に収納することで、バルク型ゲッターが検出素子に入射する赤外線を妨げることを防止し、赤外線検出器の検出感度を向上させることができる。
【0061】本発明の赤外線検出器において、透過用基板に第2凹部を検出用空間の一部をなすように形成することで、透過基板が検出素子に接触することを防ぎ、検出感度が低減することを防止することができる。
【0062】本発明の赤外線検出器において、第1凹部と第2凹部とをエッチングして形成することで、さらに赤外線検出器を容易に製造することができる。
【0063】本発明の赤外線検出器において、第1凹部に対応した第1の貫通部及び第2凹部に対応した第2の貫通部を有する第1のシリコン基板と第2のシリコン基板とを接合したものを透過用基板とすることで、赤外線が透過する第1凹部の平坦性が優れたものになり、赤外線検出器の検出感度を向上させることができる。
【0064】本発明の赤外線検出器において、バルク型ゲッターを透過用基板に接着することでバルク型ゲッターを安定させ、バルク型ゲッターが検出素子に入射する赤外線を妨げることを防止し、さらに赤外線検出器の検出感度を向上させることができる。
【0065】本発明の赤外線検出器において、バルク型ゲッターを透過用基板に半田又は無機ガラスで接着することで、バルク型ゲッターが検出素子に入射する赤外線を妨げることをより確実に防止することができる。
【0066】本発明の赤外線検出器において、バルク型ゲッターをジルコン系金属とすることで、密閉空間をより高真空に保持することができる。
【0067】本発明の赤外線検出器において、基板と透過用基板とを半田で接着することによって、赤外線検出器の製造が容易になる。
【0068】本発明の赤外線検出器において、基板と透過用基板とを金属シリサイドによって接着することによっても、赤外線検出器の製造を容易にすることができる。
【0069】本発明の赤外線検出器の製造方法は、エッチングによって第1凹部及び第2凹部を透過用基板に形成し、該凹部にバルク型ゲッターを収納するものである。こすことで、赤外線検出器の構成が簡単にでき、かつバルク型ゲッターを容易に活性活性化することができるので、赤外線検出器を容易に製造できる。
【0070】本発明の赤外線検出器の製造方法において、第1のシリコン基板と第2のシリコン基板とをSiO2で接合し、第1のシリコン基板のみをエッチングして、第1凹部及び上記第2凹部を有する透過用基板を形成することで、赤外線が透過する第2凹部の平坦性を優れたものにし、検出感度に優れた赤外線検出器を製造することができる。
【0071】本発明の赤外線検出器の製造方法において、第1のシリコン基板に第1凹部に対応する第1貫通孔と第2凹部に対応する第2貫通孔とを形成し、この第1のシリコン基板を第2のシリコン基板に接合して透過用基板を形成することによっても、赤外線が透過する第2凹部の平坦性を優れたものにし、検出感度に優れた赤外線検出器を製造することができる。
【0072】本発明の赤外線検出器の製造方法において、半田で基板と透過用基板とを接合することによって、赤外線検出器を容易に製造することができる。
【0073】本発明の赤外線検出器の製造方法において、金属シリサイドで基板と透過用基板とを接合することによっても、赤外線検出器を容易に製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成11年5月28日(1999.5.28)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
【公開番号】 特開2000−337959(P2000−337959A)
【公開日】 平成12年12月8日(2000.12.8)
【出願番号】 特願平11−149659