| 【発明の名称】 |
コンクリート供試体成形用型枠の精度測定装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】森田 紀三男
|
| 【要約】 |
【課題】コンクリートの強度試験用供試体(試験片)を成形する型枠の底面と側面との角度を簡単な操作で正確に計測する測定装置を提供する。
【解決手段】基準底面を備えた基台と、基端を基台に枢支した揺動コラムと、揺動コラムの背後に立設された支持コラムと、計測端を揺動コラムに向けて支持コラムの所定高さに装着された変位計測ゲージと、揺動コラムの基端を型枠内面に押接する付勢部材と、揺動コラムの前面に設けた計測突起と、揺動コラムを前方に付勢する付圧手段とを備えている。揺動コラムの変位を所定高さで計測するので、高さの異なる型枠の角度の計測が容易に可能で、バネや磁石による付勢手段や付圧手段は、型枠内面への当接力を一定にして、安定した高い精度の計測を実現する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基準底面を備えた基台(1)と、基端を基台の外周一箇所に枢支して基台の放射方向に揺動可能に立設された揺動コラム(2)と、揺動コラムの背後側で基台に固定して立設された支持コラム(3)と、計測端を揺動コラムの背面に向けて支持コラムの所定高さ位置に装着された変位計測ゲージ(32)と、揺動コラムの基端を計測しようとする型枠のキャビティの側壁面に押接させる付勢部材(15)と、揺動コラムの前面上部ないし中間部に設けられた計測突起(23)と、揺動コラムをその基端と計測突起との間の位置で前方に付勢する付圧手段(24)とを備えている、コンクリート供試体成形用型枠の精度測定装置。 【請求項2】 計測突起(23)が着脱自在であり、揺動コラム(2)の前面に計測突起の装着位置(21)が上下方向複数箇所に設けられている、請求項1記載のコンクリート供試体成形用型枠の精度測定装置。 【請求項3】 支持コラム(3)またはこれと略平行に基台(1)に固定して立設したハンドルコラム(4)の上部に揺動コラム(2)の側面をガイドする側面ガイド(42)が設けられ、揺動コラム(2)の変位計測ゲージ(32)側への揺動角が揺動コラム(2)と支持コラムまたはハンドルコラムに設けた部材(41)との当接によって規制されることを特徴とする、請求項1または2記載のコンクリート供試体成形用型枠の精度測定装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、コンクリートの強度試験を行う際に用いる供試体(試験片)を成形する型枠の精度を測定する装置に関するもので、特に供試体の交差する面の直角度を測定するのに適した精度測定器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】コンクリートの強度は、JIS等で定められている形状の供試体を成形して、その供試体に試験機で圧縮力や引張力、曲げ力などを付与することによって測定されている。このとき用いられる供試体の形状は、円筒体や六面体などの単純な形状であるが、その形状や寸法に誤差があると、試験結果が信頼できないものとなるため、寸法精度が所定の誤差範囲内にあることが要求されている。 【0003】例えばJIS−A−11321999には、コンクリートの圧縮強度試験に用いる供試体は円筒形で、その寸法精度は直径で0.5%以内、高さで5%以内、載荷面の平面度で直径の0.05%以内、載荷面と母線との角度で90度±0.5度以内と規定されている。このような形状の供試体は、円筒形のキャビティ(成形空所)を有する二つ割れの型枠で成形されており、従来は成形したものが、上記精度内にあるかどうかを成形品1個毎に検査していた。 【0004】しかしコンクリート成形品の寸法精度は、これを成形する型枠の精度に依存することから、型枠が十分に高い精度で製作されていれば、その型枠で成形された供試体の精度も保証できることから、型枠の精度が所定精度内であれば、当該型枠で成形された供試体は、精度検査を行う必要がない。通常、1個の型枠で多数の供試体が成形されるので、成形された供試体の全数についてその精度を測定するより、1個の型枠の精度を測定する方が、精度検査のために必要な作業時間と手数とを大幅に低減できる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】供試体の寸法精度は、その外径寸法の精度であるため、例えば供試体を高い精度で仕上げられた定盤上に置いて側面にスコヤ(直角定規)を当接させるという簡単な作業によって、載荷面と母線の直角度などを検査することができる。しかし、型枠の精度は、成形品を得るためのキャビティの精度であるため、測定具を型枠の内側に差し込んで測定を行わねばならず、作業が煩雑になるとともに、測定結果に誤差が生じやすい。 【0006】一般に供試体の寸法はあまり大きくなく(例えば、圧縮強度試験用の円筒形の供試体の直径は、10cm、12.5cm及び15cmである)、測定具の寸法が制限されるとともに、測定具と被検査面の当接状態を目視により確認することも困難である。特に型枠の底面と側壁面との間の角度の検査は、型枠のキャビティ内にスコヤなどを挿入すること自体が不可能であるので、従来から一般的に用いられている測定具では計測不可能である。 【0007】そこでこの発明は、コンクリート供試体を成形するための型枠のキャビティの形状、特に型枠の底面と側面との角度を簡単な操作で正確に計測することができる、精度測定装置を得ることを課題としている。 【0008】 【課題を解決するための手段】この発明は、基準底面を備えた基台1と、基端を基台の外周一箇所に枢支して基台の放射方向に揺動可能に立設された揺動コラム2と、揺動コラムの背後側で基台に固定して立設された支持コラム3と、計測端を揺動コラムの背面に向けて支持コラムの所定高さ位置に装着された変位計測ゲージ32と、揺動コラムの基端を計測しようとする型枠のキャビティの側壁面に押接させる付勢部材15と、揺動コラムの前面上部ないし中間部に設けられた計測突起23と、揺動コラムをその基端と計測突起との間の位置で前方に付勢する付圧手段24とを備えている、コンクリート供試体成形用型枠の精度測定装置を提供することにより、上記課題を解決している。 【0009】上記装置において、計測突起23を着脱自在とし、揺動コラム2の前面に計測突起の装着位置21を上下方向複数箇所に設けておき、計測しようとする型枠の高さに合わせて計測突起を移動させることにより、同じ高さに設けた変位計測ゲージ32で高さの異なる型枠を同じゲージの目盛で測定できる。 【0010】また、支持コラム3またはこれと略平行に基台1に固定して立設したハンドルコラム4の上部に揺動コラム2の側面をガイドする側面ガイド42を設け、揺動コラム2の変位計測ゲージ32側への揺動角を揺動コラム2と支持コラムまたはハンドルコラムに設けた部材41との当接によって規制することにより、揺動コラムの倒れによる測定誤差が回避されるとともに、変位計測ゲージの計測端が無理に押し込まれることによって生ずるゲージの損傷を防止できる。 【0011】上記この発明の精度測定装置における支持コラム3とハンドルコラム4とは、同一部材であってもよく、別部材であってもよい。精度計測装置を操作するためのハンドル41を設けるときは、そのハンドルはハンドルコラム4の上端に設けることも、支持コラム3の上端に設けることもできる。 【0012】付勢手段14及び付圧手段24は、一般的にはコイルバネ、板バネ、巻きバネ等であるが、磁石を利用することもできる。付勢手段14としてバネを用いるときは、基台1の揺動コラムの立設位置と反対の側に、付勢部材15がバネ力で突出するように設ける。付勢部材15をバネ自体によって形成することもできる。 【0013】付勢部材15は大小のものを準備して交換可能とすることにより、底面積の異なる複数の寸法の型枠に対応させることができる。計測突起23の装着位置を変更可能にした請求項2の発明も、高さの異なる複数の型枠の側面の角度を、側面の上端部分において計測可能にするためのものである。 【0014】この発明の精度測定装置は、揺動コラム2の変位を所定高さ位置に設けた変位計測ゲージ32で計測するようにしたので、測定しようとする型枠の高さが異なっても、変位計測ゲージ32の位置を上下に移動させる必要がなく、計測端が型枠に直接接触しないので、変位計測ゲージの損傷を防止できる。また揺動コラム2が基台1に揺動自在に装着されて基台1の半径方向に揺動するので、計測しようとする型枠の高さが異なっても変位計測ゲージ32の計測値と計測しようとする型枠の角度との相関関係が変化しないため、変位計測ゲージ32の目盛を角度目盛にすること、あるいは変位と角度との換算テーブルを用いることにより、高さの異なる型枠の角度の計測をより容易に行うことができる。 【0015】バネや磁石による付勢手段14や付圧手段24は、揺動コラムの基端及び計測突起23の型枠内壁面への当接力を常時一定にして、安定した高い精度の計測を実現している。また、揺動コラム2の変位計測ゲージ32側への揺動角を制限することにより、変位計測ゲージ32が大きく揺動することによって、変位計測ゲージ32を損傷するのを防止できる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の実施形態を説明する。図5は供試体成形用型枠の一例を示した斜視図で、有底円筒を縦方向に二つ割りにした形状の鋳鉄製の型枠で、分割した一対のものをボルト51で締結することにより、型枠内に円筒形のキャビティが形成される。 【0017】図1ないし4は、この発明の精度計測装置の一実施例を示した図であり、図6はそのゼロ点調整の際に用いるゼロ点設定台である。 【0018】図1ないし4において、基台1は金属製の厚肉円盤で、その円周一箇所に平面視でコの字形の切欠が設けられ、この切欠を基台の接線方向に横断するように、支点ピン12が装着されている。基台1の底面には支点ピン12と直交する直径方向のキー溝13が設けられており、切欠11を設けた側と反対の側の円周には、キー溝13に対して対称な角度を持った位置に、半径方向の有底穴が穿設され、その穴の奥部に挿入した付勢コイルバネ14で突出方向に付勢されて短い丸棒状の付勢部材15が出入り自在に挿入されている。この付勢部材15は、その周面に設けた軸方向の溝に基台1に螺着した止めねじ16の先端を係入することにより、脱落が防止されており、ねじを緩めることによって異なる長さのものに交換することができるようになっている。 【0019】基台1には断面矩形の揺動コラム2と背の高い門形のハンドルコラムと支持コラム3とが設けられている。揺動コラム2の下端は支点ピン12で枢着されており、垂直軸を挟む狭い角度で支点ピン12回りに揺動可能である。揺動コラムの前面(外側を向く面)には、計測しようとする型枠のキャビティの上端部に対向する位置に、計測突起取付用のねじ孔21が設けられている。コンクリート強度試験に用いる供試体の高さは複数種類あるので、そのそれぞれに対応した複数の位置にねじ孔21が設けられている。これらのねじ孔の一箇所には頭部上面を部分球面とした小ねじ状の計測突起23が螺着されている。また、揺動コラム2の前面下端には、この計測突起と同一形状の基準突起22が螺着されている。 【0020】支持コラム3は揺動コラム2の背後側に下端を基台1に固定て立設されており、その上端にブラケット31が固着され、このブラケット31にダイヤルゲージ32がその計測端33を揺動コラム2の背面に向けて、かつ目盛板を上方に向けて装着されている。 【0021】ハンドルコラム4は、揺動コラム2と支持コラム3との間の基台1の中央部に下端を基台1に固定して立設されており、ダイヤルゲージ32の計測端33は、このハンドルコラムの門形の間を通って揺動コラムの背面に達している。ハンドルコラム4の上端中央には、縦棒状のハンドル41が固定されており、また、このハンドルの根元部分から揺動コラム2に向けて、平面視でコの字形のガイドピース42が延びており、このガイドピースのコの字の内側両側面によって揺動コラム2の側面をガイドして、揺動コラム2の接線方向の倒れを防止している。 【0022】揺動コラム2は、基準突起22と計測突起23の中間位置で付圧バネ24により前方に付勢されている。この付圧バネ24の付勢力と基台に設けた付勢バネ14の付勢力とは、一方が他方より強くなるように設けるべきであり、一般的には付勢バネ14の付勢力を付圧バネ24の付勢力より強くするのがよい。付勢バネ14は、計測しようとする型枠内に挿入された精度測定装置の揺動コラム2の基端を計測しようとする母線の下端に支点ピン12を介して押圧する。一方付圧バネ24は、計測しようとする型枠の母線の上端に計測突起23を付圧し、同時に揺動コラムの下端を母線の下端に付圧する付勢力を発生している。付圧バネ24と付勢バネ14とに力の差を持たせることにより、支点ピン12がこれを挿通した軸孔の前側または後側に押し付けられる。これにより支点ピン12とその軸孔との遊隙に起因する計測誤差の発生を回避できる。 【0023】なお、図示実施例の装置では、揺動コラム2のダイヤルゲージ32側への揺動が、揺動コラムの先端とハンドル41とが当接することによって規定されており、この揺動角に対応する計測ストロークを有するダイヤルゲージ32を用いることにより、ダイヤルゲージ32の計測端が無理に押込まれることによって生ずる損傷を回避している。 【0024】上記実施例の精度測定装置は、ハンドル41と揺動コラム2の上端とを片手で握って、揺動コラム2を背後側に倒した状態で、かつ付勢部材15を計測しようとする型枠の内壁面に押し付けて押込んだ状態で、基台1の底面が型枠のキャビティの底面に達するまで差し込み、揺動コラム2を離す。この状態で基台1の底面は装置の自重により、型枠のキャビティの底面に密着し、基準突起22と計測突起23の先端が、型枠の内壁面の同一母線上の下端と上端に押接される。この状態でダイヤルゲージ32の目盛を読むことにより、基準突起22と計測突起23の変位を読取ることができ、この変位からキャビティの底面と母線との角度を算出できる。 【0025】上記手段で角度誤差を直接計測するためには、予めダイヤルゲージ32のゼロ点調整を行っておく必要がある。図6に示すゼロ点設定台は、その作業に用いる器具で、上面を高い精度の平面に仕上げた定盤60上に、平面視でV形のストッパと、その二等分線上で対向するキーとが設けられている。計測しようとする型枠で成形される形状の供試体と同一形状の金属製の基準形63を高い精度で加工しておき、これをV形ストッパ61で位置決めし、この基準形の側面に揺動コラムを対向させて、基台のキー溝13にキー62を嵌合した状態で、基台1を基準形63側に押し動かして、揺動コラム2の下端を基準形の周面下端に押圧する。このとき、計測突起23が付圧バネの付勢力で、基準形63の側面上端に押圧されるから、この状態でダイヤルゲージ32のゼロ点設定を行う。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】599078901 【氏名又は名称】株式会社丸菱
|
| 【出願日】 |
平成11年6月8日(1999.6.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078673 【弁理士】 【氏名又は名称】西 孝雄
|
| 【公開番号】 |
特開2000−346604(P2000−346604A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月15日(2000.12.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−160723 |
|