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【発明の名称】 変位測定装置
【発明者】 【氏名】徳永 高志

【要約】 【課題】本発明は、1系統の故障でも直ちにバックアップ用の系統に切り替えて変位監視の信頼性を向上させ、また周囲温度の影響を最小限に抑えて変位測定の精度を向上させることを目的とする。

【解決手段】単一の検出部内に検出コイル1,2を複数備えさせて多重構造としたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 検出コイルを備えた検出部から或る間隙をおいて導電性の測定対象に高周波を与えて当該測定対象に渦電流損を発生させ、前記間隙の変化に対応した前記渦電流損の変化による前記検出コイルのインピーダンス変化から前記測定対象の変位を測定する変位測定装置において、単一の前記検出部内に前記検出コイルを複数備えさせて多重構造としてなることを特徴とする変位測定装置。
【請求項2】 前記複数の検出コイルは、複数のコイル線を同一平面上で同心的に渦巻状に巻回するとともに、その複数のコイル線を巻回方向に適宜の間隔毎に交錯させ、前記各コイル線の線長及び電気的特性が同一となるように構成してなることを特徴とする請求項1記載の変位測定装置。
【請求項3】 前記複数の検出コイルにそれぞれ対応した変換部を有し、この変換部において前記検出コイルのインピーダンス変化を電気的な変位信号に変換して出力することを特徴とする請求項1記載の変位測定装置。
【請求項4】 多重構造化した前記検出コイルを備えた検出部及び前記変換部の取り付け寸法を多重構造化しない場合と同一とすることにより、取替えの互換性を持たせてなることを特徴とする請求項3記載の変位測定装置。
【請求項5】 多重構造化された前記変換部からの各変位信号の何れか1つ或いは各変位信号の平均値、最大値、最小値の何れかを手動或いは自動で選択し出力するように構成してなることを特徴とする請求項3記載の変位測定装置。
【請求項6】 前記変位信号の値が予め設定された制限値を越えた場合に、制限値の逸脱を検出し外部に制限値逸脱信号を発信するように構成してなることを特徴とする請求項3記載の変位測定装置。
【請求項7】 前記複数の検出コイルの何れか1つを使用し、このコイル線の温度変化による抵抗変化を利用して前記検出部の温度計測及び温度補正を行うように構成してなることを特徴とする請求項1記載の変位測定装置。
【請求項8】 請求項3記載の前記複数の検出コイルを備えた検出部及び前記複数の変換部を備えた変換器をそれぞれ2基有し、当該検出部及び変換器の一方を下位測定範囲に対応させ、前記検出部及び変換器の他方を前記下位測定範囲に続く上位測定範囲に対応させ、前記一方及び他方の変換器の出力を演算部で演算処理することにより、前記下位測定範囲と上位測定範囲が連続して拡大された測定範囲における測定変位信号を出力させるようにした変位測定装置であって、前記変換器の内部或いは周辺部に温度センサを設け、その検出温度に基づき前記演算部で前記変換器の温度特性を補正することを特徴とする変位測定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、渦電流損を利用した変位測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の渦電流損を利用した変位測定装置としては、例えば、図11に示すようなものがある。検出部44,47が測定ターゲット43を間にして対向して取り付けられている。検出部44,47は専用の同軸ケーブル45,48でそれぞれ変換器46,49に接続され、これからさらに、シールド線50で演算器51に接続されている。検出部44,47から測定ターゲット43に高周波を与えると、測定ターゲット43表面に、検出部44,47と測定ターゲット43間の間隙に対応した渦電流損が発生し、検出部44,47における検出コイルのインピーダンスが変化する。この検出コイルのインピーダンス変化が、変換器46,49で電気的な変位信号に変換されて出力される。
【0003】渦電流損を利用した変位測定装置は、測定範囲が数mmまでのものが一般的に最も多く使用されている。測定範囲を増やす場合は、測定面の形状を大きくしなければならず、製作コストも上がるため、取り付けスペース及び経済性の観点から最大25mmまでが汎用品の測定範囲となる。図11は、0〜50mmを測定するための構成で、0〜25mmの汎用型検出部を2基使用し、変換器を経由して各々の変位信号(電圧信号)を演算器51で演算処理を行い、0〜50mmの測定を実現させている。
【0004】従来から、渦電流損を利用した変位測定装置は非接触で測定でき、周波数応答に優れ、比較的精度も良いことから、高速回転体等の安全運転監視用として幅広く使用されてきた。しかし、近年利用範囲の拡大に伴い、原子力等の重要なプラントの変位計測や、人が容易に立ち入ることのできない環境条件での使用が必要となってきており、計測システムの信頼性向上及び非常に厳しい環境条件下でも精度の良い計測が行えるよう強く求められるようになってきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の変位測定装置では、取り付けスペース等の制約でバックアップ用の検出部等を取り付けることが困難であったため、1測定1ループでのシステム構成が殆どであり、変位測定装置に故障が発生したとき、場合によっては安全運転上プラントを停止する必要があった。また、高温等で環境条件が非常に厳しい場合、周囲温度の影響で電気回路に温度特性誤差を生じ計測精度に少なからず影響を及ぼしていた。
【0006】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、1系統の検出部等の故障でも直ちにバックアップ用の系統に切り替えて、引き続き変位測定を行うことができて変位監視の信頼性を向上させることができ、周囲温度の影響を最小限に抑えて変位測定の精度を向上させることができ、さらには安全性を高めることができる変位測定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、検出コイルを備えた検出部から或る間隙をおいて導電性の測定対象に高周波を与えて当該測定対象に渦電流損を発生させ、前記間隙の変化に対応した前記渦電流損の変化による前記検出コイルのインピーダンス変化から前記測定対象の変位を測定する変位測定装置において、単一の前記検出部内に前記検出コイルを複数備えさせて多重構造としてなることを要旨とする。この構成により、検出コイルを多重構造とすることで、1つの検出コイルに故障が発生しても、他の検出コイルで引き続き測定が可能となり、変位測定の欠測を回避することができる。
【0008】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の変位測定装置において、前記複数の検出コイルは、複数のコイル線を同一平面上で同心的に渦巻状に巻回するとともに、その複数のコイル線を巻回方向に適宜の間隔毎に交錯させ、前記各コイル線の線長及び電気的特性が同一となるように構成してなることを要旨とする。この構成により、複数の検出コイルが互換性を持ち、何れの検出コイルも常時測定用/予備用として任意に使用することが可能となる。
【0009】請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の変位測定装置において、前記複数の検出コイルにそれぞれ対応した変換部を有し、この変換部において前記検出コイルのインピーダンス変化を電気的な変位信号に変換して出力することを要旨とする。この構成により、検出コイルのインピーダンス変化が、その検出コイルに対応した変換部で電圧レベル等の変化に変換されて変位測定が行われる。何れの検出コイル及びこれに対応した変換部も常時測定用/予備用として任意に使用することが可能となる。
【0010】請求項4記載の発明は、上記請求項3記載の変位測定装置において、多重構造化した前記検出コイルを備えた検出部及び前記変換部の取り付け寸法を多重構造化しない場合と同一とすることにより、取替えの互換性を持たせてなることを要旨とする。この構成により、検出部及び変換部の部分を、それぞれ単一の検出コイル及び変換部を備えた1系統内蔵型から、それぞれ複数の検出コイル及び変換部を備えた多重系統内蔵型に取り替えることが極めて容易となる。
【0011】請求項5記載の発明は、上記請求項3記載の変位測定装置において、多重構造化された前記変換部からの各変位信号の何れか1つ或いは各変位信号の平均値、最大値、最小値の何れかを手動或いは自動で選択し出力するように構成してなることを要旨とする。この構成により、変位監視の応用範囲を拡大することが可能となる。
【0012】請求項6記載の発明は、上記請求項3記載の変位測定装置において、前記変位信号の値が予め設定された制限値を越えた場合に、制限値の逸脱を検出し外部に制限値逸脱信号を発信するように構成してなることを要旨とする。この構成により、変位信号の値が予め設定された上・下限、変化幅、変化率等の制限値を越えた場合に制限値逸脱信号が発信される。この制限値逸脱信号の発信により、プラントの異常監視等を行うことが可能になる。
【0013】請求項7記載の発明は、上記請求項1記載の変位測定装置において、前記複数の検出コイルの何れか1つを使用し、このコイル線の温度変化による抵抗変化を利用して前記検出部の温度計測及び温度補正を行うように構成してなることを要旨とする。この構成により、検出部の周囲温度の監視と検出部の温度特性を補正した精度の良い変位測定が可能となる。
【0014】請求項8記載の発明は、請求項3記載の前記複数の検出コイルを備えた検出部及び前記複数の変換部を備えた変換器をそれぞれ2基有し、当該検出部及び変換器の一方を下位測定範囲に対応させ、前記検出部及び変換器の他方を前記下位測定範囲に続く上位測定範囲に対応させ、前記一方及び他方の変換器の出力を演算部で演算処理することにより、前記下位測定範囲と上位測定範囲が連続して拡大された測定範囲における測定変位信号を出力させるようにした変位測定装置であって、前記変換器の内部或いは周辺部に温度センサを設け、その検出温度に基づき前記演算部で前記変換器の温度特性を補正することを要旨とする。この構成により、温度センサの検出信号を演算部に取り込み、温度計測及び温度補正を行うことで、変換器の周囲温度の監視と変換器の温度特性を補正した精度の良い変位測定が可能となる。また、検出部及び変換器をそれぞれ2基使用して測定範囲を拡大した場合、変換器の周囲温度が上昇すると下位測定範囲と上位測定範囲の中間点において、変位が変化しているにも関わらず、変位信号出力が変化しない不感帯が生じるが、変換器の温度補正を行うことで、その不感帯をなくすことが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】まず、図1を用いて、後述する第1〜第8の各実施の形態に共通する変位測定装置の全体構成の概略を説明する。図1は、2重化変位測定装置に適用されている。2基の検出部4,7が金属体からなる測定ターゲット(測定対象)3を間にして、対向して配置され、この2基の検出部4,7にそれぞれ対応した変換器6,9が2基設けられている。検出部4と変換器6とは、同軸ケーブル5で接続され、検出部7と変換器9とは、同軸ケーブル8で接続されている。変換器6,9の各出力端子はそれぞれシールド線10,11で演算器12に接続されている。そして、検出部4,7から測定ターゲット3に高周波を与えると、測定ターゲット3表面に、検出部4,7と測定ターゲット3間の間隙に対応した渦電流損が発生し、検出部4,7における検出コイルのインピーダンスが変化する。この検出コイルのインピーダンス変化が、変換器6,9で電気的な変位信号に変換されて出力される。
【0017】上記のような各機器の構成、作用において、検出部7及び変換器9の一方が下位測定範囲(例えば0〜25mm)に対応し、検出部4及び変換器6の他方が下位測定範囲に続く上位測定範囲(例えば25mm〜50mm)に対応し、上記の一方及び他方の変換器6,9の出力が演算器12で演算処理されて下位測定範囲と上位測定範囲が連続して拡大された測定範囲(0〜50mm)における変位信号が出力されるようになっている。次に、各実施の形態を順に説明する。
【0018】図2は、本発明の第1の実施の形態を示す図である。本実施の形態は検出部の部分に関する。まず、構成を説明すると、図2は、検出コイルを2重構造化した場合の図で、検出部外筒13の中に検出コイル1及び検出コイル2と、コイル線接続部を収納するシール部14,15が内蔵されている。検出コイル1,2は樹脂モールド16が充填されて固定されている。コイル線接続部を収納するシール部14,15は各々独立した構造となっている。
【0019】次に、作用を説明する。検出コイル1と検出コイル2の各コイル線接続部を収納するシール部14,15を各々独立させて分離したことで、1つの検出部でありながら、検出部を2基使用した場合と同等になり信頼性が向上する。このシール部14,15はコイル線接続部を電気的に保護するために設けられており、この部分に水分や塵埃、油等の不純物が侵入すると精度が著しく低下する。図2のように、検出コイル1,2を多重構造化し、かつ独立させることで、例えば、一方の検出コイル1が故障しても他方の検出コイル2で引き続き測定が可能となる。また、使用環境の影響で樹脂モールド部に亀裂やヒビ割れが発生し不純物が侵入してもシール部14,15が独立しているため、故障が他の検出コイル、出力に影響を与えることがない。
【0020】上述したように、本実施の形態によれば、検出コイル1,2を多重構造化し、かつ独立させることで、1つの検出コイルが故障しても、他の検出コイルで引き続き測定が可能になるとともに使用環境の影響で樹脂モールド部16に亀裂やヒビ割れが発生し不純物が侵入してもシール部14,15が独立しているため、故障が他の検出コイル、出力に影響を与えないようにすることができる。
【0021】図3には、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態は検出コイルの巻線構造等に関する。図3は、コイル線に2本の積層コイルを使用し、積層面を同一平面上で渦巻状に巻き、検出面を正面から見た場合の構造を示している。検出部外筒13内に2本の積層コイルを同一平面上で渦巻状に巻く際、2本のコイル線を巻回方向に適宜の間隔毎にa点で交錯させ、各々のコイル線の線長及び電気的特性が同一となるようにしたものである。積層コイルは、検出コイル1の心線1aと検出コイル2の心線2aを各々の絶縁皮膜1b,2bで電気的に絶縁し、かつ絶縁皮膜1b,2bを融着させて1体構造としたコイル線を使用している。このようなコイル線を渦巻状に巻き検出コイル1,2としたものである。
【0022】次に、作用を説明する。コイル線を円周上の対向する任意の間隙a点で交錯させることにより、各々のコイル線の線長及び電気的特性が同一となり、検出コイル1,2が互換性を持つことから何れの検出コイル1,2も常時測定用/予備用として任意に使用することができる。
【0023】上述したように、本実施の形態によれば、各々のコイル線の線長及び電気的特性が同一となり、検出コイル1,2が互換性を持つことから、何れの検出コイル1,2も常時測定用/予備用として任意に使用することができる。
【0024】図4には、本発明の第3の実施の形態を示す。本実施の形態は変換器の部分に関する。図4は、単一の検出部4内に2つの検出コイル1,2を持った2重構造化検出部を使用した例であり、検出部外筒内に巻かれた検出コイル1と検出コイル2の信号線を、4心同軸ケーブル5で引き出し変換器6に接続している。変換器6は、検出コイル1,2の各々に対応したコイル1変換部17とコイル2変換部18を備え、検出コイル1,2のインピーダンス変化を電気的な変位信号に変換して出力する。図1の変換器9側についても上記と同様に構成されている。
【0025】次に、作用を説明する。複数の検出コイル1,2を持った多重構造化検出部4と各々の検出コイル1,2に対応した変換部17,18を有することにより、何れの検出コイル1,2及び変換部17,18も常時測定用/予備用として任意に使用することができる。
【0026】上述したように、本実施の形態によれば、複数の検出コイル1,2を持った多重構造化検出部4と各々の検出コイル1,2に対応した変換部17,18を、何れの検出コイル1,2或いは変換部17,18共に常時測定用/予備用として任意に使用することができる。
【0027】図5には、本発明の第4の実施の形態を示す。本実施の形態は変換器の取り付け構造部分に関する。図5(a)は、1系統内蔵型の構成例で、検出部外筒13内部に巻かれた検出コイル1とその信号線を2心同軸ケーブル21でコイル1変換部17に接続したものである。同図(b)は2系統内蔵型の構成例で、検出部外筒13内部に巻かれた検出コイル1,2とその信号線を4心同軸ケーブル5でコイル1変換部17、コイル2変換部18にそれぞれ接続したものである。このとき、1系統内蔵型及び2系統内蔵型の検出部取付け部ネジ19の寸法、構造を共に同一としている。また、1系統内蔵型及び2系統内蔵型の変換器取付け板20の寸法、A寸法、B寸法、構造を共に同一としている。
【0028】次に作用を説明する。1系統内蔵型及び多重系統内蔵型の検出部取付け部ネジ19の寸法、構造と、1系統内蔵型及び多重系統内蔵型の変換器取付け板20の寸法(A寸法、B寸法)、構造を共に同一にすることにより、1系統内蔵型と多重系統内蔵型の検出部と変換器の取替えが容易になり、信頼性が要求される変位測定に対し多重系への取替え工事費を低減することができる。
【0029】上述したように、本実施の形態によれば、検出部取付け部ネジ19の寸法、構造と、変換器取付け板20の寸法、構造を共に同一にすることにより、1系統内蔵型と多重系統内蔵型の検出部と変換器の取替えが容易になり、信頼性が要求される変位測定に対し多重系への取替え工事費を低減することができる。
【0030】図6には、本発明の第5の実施の形態を示す。本実施の形態は変換器の部分に関する。図6は、2つの検出コイル1,2を持った2重構造化検出部を入力とする変換器の構成例である。検出コイル1と検出コイル2の検出信号が選択機能付きの変換器6に入力されている。選択機能付き変換器6は、コイル1変換部17及びコイル2変換部18と、両変換部17,18への入力を切り替えるための入力切り替え部22と、両変換部17,18の出力を切り替えるための出力切り替え部23と、両変換部17,18の信号を選択するための信号選択回路24とにより構成されている。また、信号選択回路24の選択条件を与える自動/手動入力部25を持っている。
【0031】次に作用を説明する。2つの検出コイル1,2と、2つの変換部17,18を内蔵した2系統内蔵型変換器において変換器内部に信号選択回路24を設けたことにより、変換部17,18の各々の変位信号の何れか1つ或いは各々の変位信号の平均値、最大値、最小値を外部から手動或いは自動で自由に選択し出力することが可能となり、変位監視の応用範囲が拡大する。このときの2つの検出コイル1,2は、1つの検出部に2つの検出コイルが内蔵された2重構造化検出部の各々の検出コイルでも、また別々に設置した2つの検出部の検出コイルでも同様に機能を応用できる。また、2重構造化検出部のように、検出コイル1と検出コイル2の特性が等しい場合は、検出部と変換部との組合わせを、信号選択回路24によって、検出コイル1−変換部1、検出コイル1−変換部2、検出コイル2−変換部2、検出コイル2−変換部1の4通りに選択することができるため、故障の際は速やかに切り替えて変位監視を継続することができる。
【0032】上述したように、本実施の形態によれば、変位信号の何れか1つ或いは各々の変位信号の平均値、最大値、最小値を外部から手動或いは自動で自由に選択し出力することが可能となり、変位監視の応用範囲が拡大する。また、2重構造化検出部のように、検出コイル1と検出コイル2の特性が等しい場合は、検出部と変換部との組合わせを4通りに選択することができるため、故障の際は速やかに切り替えて変位監視を継続することができる。
【0033】図7には、本発明の第6の実施の形態を示す。本実施の形態は変換器の部分に関する。変換器6の内部に制限値設定/比較回路26を設け、常時、変換部17の変位信号を監視し、予め設定された上・下限、変化幅、変化率等の制限値を越えた場合に外部に制限値逸脱信号を発信するようになっている。なお、図7は、変換部18側については、図示を省略してある。
【0034】次に作用を説明する。変換器6の内部に制限値設定/比較回路26を設け、変位信号が予め設定された上・下限、変化幅、変化率等の制限値を越えた場合に、これらの制限値の逸脱を検出し外部に制限値逸脱信号を発信し、プラントの異常を監視するとともにプラント制御にも応用することができる。制限値逸脱信号は警報用、制御用の何れにも応用でき、警報用としては、検出コイルの断線、変位の上下限警報、電源/内部回路の異常を発信し、制御用としては、変位が任意の制限値設定を越えた場合に、この時の条件で例えばポンプを回す等プラント制御に応用する。
【0035】上述したように、本実施の形態によれば、変位信号の制限値の逸脱を検出し外部に制限値逸脱信号を発信し、プラントの異常を監視するとともにプラント制御にも応用することができる。
【0036】図8には、本発明の第7の実施の形態を示す。本実施の形態は検出部及び変換器の部分に関する。図8は、2つの検出コイル1,2を持った2重構造化検出部を入力とする変換器の構成例である。検出コイル1と検出コイル2の検出信号が温度計測/補正機能付き変換器6に入力されている。変換器6は、変換部17と、検出コイル1及び検出コイル2の入力を切り替えるための入力切替え部27と、温度/電圧変換回路29と、温度補正回路28とにより構成されている。また、コイル切り替えの条件を外部から与えるコイル切替え入力部30を持っている。
【0037】次に作用を説明する。検出部内の検出コイルをコイル線の温度変化による抵抗変化を利用して検出部の温度計測及び温度補正を行うことにより、検出部の周囲温度の監視と検出部の温度特性を補正した精度の良い変位計測が可能となる。検出部の検出コイルを変位検出用と温度測定用の両方に利用し、検出コイルが1つの場合でも、検出コイルが複数の場合でも、切り替えにより変位検出用と温度測定用として任意に選択することができる。検出部の内部に複数の検出コイルがある場合は、1つの検出コイルを温度測定用として使用し、他の検出コイルは本来の変位計測用として使用しかつ温度補正を行うことが可能となる。
【0038】上述したように、本実施の形態によれば、検出部の温度計測及び温度補正を行うことにより、検出部の周囲温度の監視と検出部の温度特性を補正した精度の良い変位計測が可能となる。検出部の内部に複数の検出コイルがある場合は、1つの検出コイルを温度測定用として使用し、他の検出コイルは本来の変位計測用として使用しかつ温度補正を行うことが可能となる。
【0039】図9、図10には、本発明の第8の実施の形態を示す。本実施の形態は変換器及び演算器の部分に関する。検出部の検出信号が変換器6に入力されている。変換器6は、変換部17と、変換器6内部或いは周辺部に設けられた温度を測定するための温度センサ31とを持っている。変換部17からの変位信号及び温度センサ31の温度検出信号は演算器12に入力されている。演算器12は、温度センサ31の温度検出信号を電圧信号に変換するための温度/電圧変換回路34と、この電圧信号を補正用の信号に変換するための温度補正回路33と、変換部17からの変位信号に温度補正を行うための演算部32とを持っている。
【0040】次に作用を説明する。変換器6の内部或いは周辺部に温度センサ31を設け、その温度検出信号を演算部32に取り込み、温度計測及び温度補正を行うことにより、変換器6の周囲温度の監視と変換部17の温度特性を補正した精度の良い変位計測が可能となる。
【0041】これまで変換器を設置する場所が高温環境(50℃〜60℃)となる場合、変換部の温度特性変化(実績値:0.08%/℃のゲイン変化)が発生していた。このとき、変換部内部において温度が高い状態では温度補正回路も温度特性変化を発生し補正として使用することができないため、変位計測の精度に追加誤差を生じていた。また、25mm変位計を2台使用して0〜50mmを測定するシステムにおいて(図10(a))、変換器の周囲温度上昇により出力にプラス誤差を発生し、25mmの中間点において変位が変化しているにも関わらず、出力が変化しない不感帯を生じていた(図10(b))。本実施の形態は、この温度による追加誤差の補正と50mm計における不感帯をなくして精度の良い変位計測を行うものである(図10(c))。図10の(a),(b),(c)において、A′:0〜25mmの変換部1出力、A:温度上昇時の変換部1出力(0.08%/℃のゲイン増加)、B′:25〜50mmの変換部2出力、B:温度上昇時の変換部2出力(0.08%/℃のゲイン増加)、C:0〜50mmの演算後の変位出力である。
【0042】上述したように、本実施の形態によれば、温度計測及び温度補正を行うことで、変換器6の周囲温度の監視と変換部17の温度特性を補正した精度の良い変位計測が可能となる。また、25mm変位計を2台使用して0〜50mmを測定するシステムにおいて、変換器の周囲温度上昇により出力にプラス誤差を発生し、25mmの中間点において変位が変化しているにも関わらず、出力が変化しない不感帯をなくして精度の良い変位計測を行うことができる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、単一の検出部内に検出コイルを複数備えさせて多重構造としたため、1つの検出コイルに故障が発生しても、他の検出コイルで引き続き測定を行うことができて、変位監視の信頼性を向上させることができる。
【0044】請求項2記載の発明によれば、前記複数の検出コイルは、複数のコイル線を同一平面上で同心的に渦巻状に巻回するとともに、その複数のコイル線を巻回方向に適宜の間隔毎に交錯させ、前記各コイル線の線長及び電気的特性が同一となるように構成したため、複数の検出コイルが互換性を持ち、何れの検出コイルも常時測定用/予備用として任意に使用することができて、変位監視の信頼性を向上させることができる。
【0045】請求項3記載の発明によれば、前記複数の検出コイルにそれぞれ対応した変換部を有し、この変換部において前記検出コイルのインピーダンス変化を電気的な変位信号に変換して出力するようにしたため、何れの検出コイル及びこれに対応した変換部も常時測定用/予備用として任意に使用することができて、変位監視の信頼性を向上させることができる。
【0046】請求項4記載の発明によれば、多重構造化した前記検出コイルを備えた検出部及び前記変換部の取り付け寸法を多重構造化しない場合と同一とすることにより、取替えの互換性を持たせたため、信頼性が要求される変位測定において、検出部及び変換部の部分を、1系統内蔵型から、高信頼性が期待できる多重系統内蔵型に極めて容易に取り替えることができる。
【0047】請求項5記載の発明によれば、多重構造化された前記変換部からの各変位信号の何れか1つ或いは各変位信号の平均値、最大値、最小値の何れかを手動或いは自動で選択し出力するように構成したため、変位監視の高信頼性化とともに変位監視の応用範囲を拡大することができる。
【0048】請求項6記載の発明によれば、前記変位信号の値が予め設定された制限値を越えた場合に、制限値の逸脱を検出し外部に制限値逸脱信号を発信するように構成したため、制限値逸脱信号の発信をプラント等の警報用信号又は制御用信号等に応用することができて、高信頼性かつ安全性の高い変位測定を行うことができる。
【0049】請求項7記載の発明によれば、前記複数の検出コイルの何れか1つを使用し、このコイル線の温度変化による抵抗変化を利用して前記検出部の温度計測及び温度補正を行うように構成したため、検出部の温度特性を補正することで変位測定の精度を向上させることができる。
【0050】請求項8記載の発明によれば、請求項3記載の前記複数の検出コイルを備えた検出部及び前記複数の変換部を備えた変換器をそれぞれ2基有し、当該検出部及び変換器の一方を下位測定範囲に対応させ、前記検出部及び変換器の他方を前記下位測定範囲に続く上位測定範囲に対応させ、前記一方及び他方の変換器の出力を演算部で演算処理することにより、前記下位測定範囲と上位測定範囲が連続して拡大された測定範囲における測定変位信号を出力させるようにした変位測定装置であって、前記変換器の内部或いは周辺部に温度センサを設け、その検出温度に基づき前記演算部で前記変換器の温度特性を補正するようにしたため、変換器の温度特性を補正することで、変位測定の精度を向上させることができ、また、下位測定範囲と上位測定範囲の中間点において、変位が変化しているにも関わらず変位信号出力が変化しない不感帯の発生を無くすことができて変位測定の精度を一層向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年3月3日(1999.3.3)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
【公開番号】 特開2000−249506(P2000−249506A)
【公開日】 平成12年9月14日(2000.9.14)
【出願番号】 特願平11−56147