| 【発明の名称】 |
故障検知装置および高調波アクチュエ―タシステム |
| 【発明者】 |
【氏名】笹島 己喜朗
【氏名】田本 正男
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| 【要約】 |
【課題】作動部が周期的に運動する高調波アクチュエータなどの故障を迅速に検知し、さらに高調波アクチュエータを迅速にロックすることができる故障検知装置および高調波アクチュエータシステムを提供する。
【解決手段】高調波アクチュエータ15の出力軸25の変位をセンサ23で検出し、センサ23からの変位信号をサンプリング回路124で所定のサンプリング周波数で検出して位置データy(k)として順次出力する。予測回路121では複数の過去の位置データy(k)に重みづけして合算し、予測値Y(k)を算出する。故障判定回路122では予測回路121からの予測値Y(k)とセンサ回路120からの実測値y(k)との差である予測誤差e(k)を算出し、この予測誤差e(k)が所定のしきい値Tを超える場合には故障信号「1」を出力する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 周期的な運動を行う作動部の変位信号を所定のサンプリング周波数で検出するセンサ回路と、センサ回路から出力する位置データを順次記憶し、過去の複数の位置データに重みづけして合算し、予測値を算出する予測回路と、センサ回路から出力する現在の位置データと、前記予測値との差を求め、所定のしきい値と比較して故障を判定する故障判定回路とを備えることを特徴とする故障検知装置。 【請求項2】 出力軸を固定するロック機構を備え、ヘリコプタのブレードの回転周波数の高調波成分をブレードのピッチ角操縦量に追加する高調波アクチュエータと、高調波アクチュエータの出力軸の変位信号を所定のサンプリング周波数で検出するセンサ回路と、センサ回路から出力する位置データを順次記憶し、過去の複数の位置データに重みづけして合算し、予測値を算出する予測回路と、センサ回路から出力する現在の位置データと、前記予測値との差を求め、所定のしきい値と比較して故障を判定する故障判定回路と、故障判定回路から出力する故障信号に応答して高調波アクチュエータのロック機構を作動させるロック作動手段とを備えることを特徴とする高調波アクチュエータシステム。 【請求項3】 前記ロック作動手段は、軸線方向一方側のロック作動位置および他方側のロック解除位置にわたって軸線方向に変位自在に支持されるスプールと、コイルに通電されると磁気吸引力によってスプールをロック解除位置に保持し、前記故障信号が入力されると、コイルへの通電を遮断するソレノイドとを備えるソレノイドバルブであり、前記スプールには、作用する圧油からスプールをロック作動位置側へ変位させる力を受ける受圧面が形成されることを特徴とする請求項2記載の高調波アクチュエータシステム。 【請求項4】 前記ソレノイドバルブのコイルには抵抗が直列に接続されることを特徴とする請求項3記載の高調波アクチュエータシステム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、周期運動を行うアクチュエータなどの故障検知装置および故障検知装置を備えるヘリコプタの高調波アクチュエータシステムに関する。 【0002】 【従来の技術】図7は、ヘリコプタのロータ1の各ブレード2のピッチ角制御状態を示す斜視図である。ロータ1は3枚のブレード2を有し、各ブレード2はスワッシュプレート3を介して接続される3つの操縦用アクチュエータ4によってピッチ角変位が制御される。各アクチュエータ4とスワッシュプレート3との間にはそれぞれ高調波アクチュエータ5が介在され、高調波アクチュエータ5は連接棒6を介してスワッシュプレート3に接続される。この高調波アクチュエータ5は操縦用アクチュエータ4のピッチ角操作量に対してロータ1の回転周波数の整数倍の高調波成分を追加する。このような高調波アクチュエータ5によって各ブレード2に高調波振動を与えることによってブレード2に作用する外力をロータ1の1回転によって平均化し、機体の振動および騒音を低減することができる。 【0003】このような高調波アクチュエータ5の故障時にはアクチュエータ5をロックして安全を確保する必要がある。したがって高調波アクチュエータシステムには高調波アクチュエータ5の出力軸を固定するロック機構、故障検知装置およびロック機構を作動させるソレノイドバルブが備えられる。故障発生からアクチュエータ5をロックするまでのプロセスは、■故障の発生、■故障の検知、■ソレノイドバルブの作動、■ロック機構の作動である。故障発生からアクチュエータのロックまでの時間は機体の操縦に影響のないように100msec以下を目標にしている。 【0004】高調波アクチュエータ5は、コントローラから入力される所定の周波数の制御信号によって制御され、従来の故障検知装置では、高調波アクチュエータ5に設けたセンサからの出力波形とアクチュエータ5に入力する信号波形とを比較し、その位相差の変化によって故障を判断していた。 【0005】ロック機構を制御するソレノイドバルブはスプールと、スプールの軸線方向一方側に設けられるソレノイドと他方側に設けられるばねとを有し、ソレノイドのオン時にはソレノイド力によってスプールが軸線方向他方側であるロック解除位置に変位し、これによってロック機構へ圧油が作用してロック解除状態となり、高調波アクチュエータ5の出力軸は変位可能となる。故障検知装置からの故障信号がソレノイドバルブに入力されるとソレノイドがオフされ、ばね力によってスプールは軸線方向一方側のロック作動位置に変位し、これによってロック機構へ作用する圧油が遮断されて高調波アクチュエータ5はロックされて、出力軸が固定される。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上述したように故障発生からアクチュエータ5のロック時までの時間は100msec以下が望ましいが、従来の故障検知装置の場合、入力波形と出力波形との位相差に基づいて故障の判定を行うので、検出する出力波形を3波長以上必要とし、アクチュエータ5の周波数が30Hz程度の場合、故障検知信号を出力するまでに最低100msecも必要であった。 【0007】また、従来のソレノイドバルブは故障検知信号が入力されてソレノイドがオフされてからスプールがロック作動位置まで変位するのに48msecも必要であった。 【0008】本発明の目的は、高調波アクチュエータなど周期的に運動するアクチュエータの故障を迅速に検知することができる故障検知装置、および故障を検知したとき高調波アクチュエータを迅速にロックすることができる高調波アクチュエータシステムを提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明は、周期的な運動を行う作動部の変位信号を所定のサンプリング周波数で検出するセンサ回路と、センサ回路から出力する位置データを順次記憶し、過去の複数の位置データに重みづけして合算し、予測値を算出する予測回路と、センサ回路から出力する現在の位置データと、前記予測値との差を求め、所定のしきい値と比較して故障を判定する故障判定回路とを備えることを特徴とする故障検知装置である。 【0010】周期的に運動する作動部の動きは、AR(auto-regressive:自己回帰)モデルと呼ばれ、複数の過去の位置データに基づいて表現することができる。したがって、複数の過去の位置データから予測した現在位置と実際の現在位置とを比較することによって故障を検知することができる。本発明では、所定のサンプリング周期でセンサ回路が出力する位置データを順次記憶し、過去の複数の位置データに重みづけして合算し、現在作動部が位置すべき位置を予測値として算出し、この予測値とセンサ回路からの現在の位置データである実測値との差を求め、この差が所定のしきい値よりも大きい場合には故障と判断する。このようにして本発明ではサンプリング周期に同期して故障を判定することができるので、従来のように3周期分の作動部の動きを入力波形と比較して故障を判定する方法に比べて格段に早く故障を判定することができる。 【0011】請求項2記載の本発明は、出力軸を固定するロック機構を備え、ヘリコプタのブレードの回転周波数の高調波成分をブレードのピッチ角操縦量に追加する高調波アクチュエータと、高調波アクチュエータの出力軸の変位信号を所定のサンプリング周波数で検出するセンサ回路と、センサ回路から出力する位置データを順次記憶し、過去の複数の位置データに重みづけして合算し、予測値を算出する予測回路と、センサ回路から出力する現在の位置データと、前記予測値との差を求め、所定のしきい値と比較して故障を判定する故障判定回路と、故障判定回路から出力する故障信号に応答して高調波アクチュエータのロック機構を作動させるロック作動手段とを備えることを特徴とする高調波アクチュエータシステムである。 【0012】本発明に従えば、ヘリコプタの高調波アクチュエータの故障判定においてARモデルを用いて算出した予測値とセンサ回路からの実測値とに基づいて故障を判定するので、従来の故障判定装置に比べて格段に早く高調波アクチュエータの故障を判定することができる。 【0013】請求項3記載の本発明の前記ロック作動手段は、軸線方向一方側のロック作動位置および他方側のロック解除位置にわたって軸線方向に変位自在に支持されるスプールと、コイルに通電されると磁気吸引力によってスプールをロック解除位置に保持し、前記故障信号が入力されると、コイルへの通電を遮断するソレノイドとを備えるソレノイドバルブであり、前記スプールには、作用する圧油からスプールをロック作動位置側へ変位させる力を受ける受圧面が形成されることを特徴とする。 【0014】高調波アクチュエータのロック機構はソレノイドバルブによって制御される。ソレノイドバルブはスプールと、たとえばスプールの一方側に設けられるソレノイドと他方側に設けられるばねとによって構成され、コイルに通電されるとソレノイドの磁気吸引力によってスプールは軸線方向他方側のロック解除位置に位置し、この状態では高調波アクチュエータの出力軸は変位可能となっている。故障検知回路から故障信号がソレノイドバルブに入力されるとコイルへの通電が遮断され、スプールはばね力によって軸線方向一方側のロック作動位置に変位する。スプールには圧油からスプールをロック作動位置側へ変位させる受圧面が形成されている。したがってロック作動時にはばね力に加えて前記受圧面に作用する圧油がロック作動位置への変位を補助し、これによってスプールは迅速にロック作動位置まで変位する。このような構成によって従来のソレノイドバルブに比べて故障信号入力時からアクチュエータのロック時までの時間を格段に短縮することができる。 【0015】請求項4記載の本発明は、前記ソレノイドバルブのコイルには抵抗が直列に接続されることを特徴とする。 【0016】コイルと抵抗とが直列に接続される回路の時定数τは、τ=L/Rであるので、抵抗Rが大きいほど時定数τが小さくなる。本発明ではソレノイドバルブのコイルに抵抗を直列に接続することによって時定数τを小さくし、ソレノイドの応答特性を向上することができる。また、ソレノイドの磁気吸引力は電流Iに比例し、電流Iは抵抗Rに反比例する。ロック作動時のスプールは、コイルへの通電遮断後に残留する磁気吸引力に抗してばね力および油圧力によって変位する。したがって、磁気吸引力が小さいほど迅速にロックを作動させることができる。本発明ではコイルに直列に抵抗を接続することによって磁気吸引力を予め低減させておき、これによってさらに迅速にロック機構を作動させることができる。 【0017】 【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態である故障検知装置を備える高調波アクチュエータシステム10の構成を示す断面図であり、図2は高調波アクチュエータシステム10の高調波アクチュエータ15近傍を拡大して示す断面図である。高調波アクチュエータシステム10は高調波アクチュエータ15を備えるアクチュエータ装置11と、故障検知装置13を備えるコントローラ12とから構成され、アクチュエータ装置11は、高調波アクチュエータ15、ソレノイドバルブ16、電気油圧サーボバルブ17、圧力ポート18、戻りポート19およびバイパスバルブ21がケーシング20に一体に組付けられて構成される。 【0018】高調波アクチュエータ15はケーシング20に形成される挿通孔26に出力軸25が軸線L1に沿って変位自在に装着されて構成される。このようなアクチュエータ装置11は図7において説明したように、ヘリコプタの高調波アクチュエータとして用いられる。すなわち、出力軸25の軸線L1に沿うケーシング20の一端部27が図7に示す操縦用アクチュエータ4の出力軸に連結され、ケーシング20から突出する出力軸25の先端部28が連接棒6を介してスワッシュプレート3に連結される。高調波アクチュエータ5がヘリコプタのロータ1の回転周波数の整数倍の高調波で伸縮することによってロータ1のブレード2に高調波の振動を加えて各ブレード2に作用する外力をロータ1の1回転において平均化し、これによってヘリコプタの機体の振動および騒音を抑制することができる。 【0019】アクチュエータ装置11の圧力ポート18にはアクチュエータ装置11の外部に設けられる油圧ポンプ39から予め定める圧力の作動油が供給され、この圧力ポート18は第1圧力油路14を介して電気油圧サーボバルブ17に連通する。電気油圧サーボバルブ17は第1戻り油路29を介して戻りポート19に連通し、この戻りポート19はアクチュエータ装置11の外部に設けられるタンク30に連通し、作動油をタンク30に戻す。 【0020】高調波アクチュエータ15の出力軸25の中央部にはピストン35が一体に固定され、ピストン35の両側には油圧室36,37が形成される。電気油圧サーボバルブ17にはバイパスバルブ21を経て高調波アクチュエータ15の第1および第2油圧室36,37にそれぞれ連通する第1および第2給排油路40,41が接続され、電気油圧サーボバルブ17はコントローラ12から入力される制御信号に応じて第1および第2給排油路40,41を介して第1および第2油圧室36,37に交互に圧油を作用させて出力軸25を高調波振動させる。第1および第2油圧室36,37から排出される油は第1および第2給排油路40,41および第1戻り油路29を介してタンク30に戻される。 【0021】高調波アクチュエータ15にはセンタリング手段51およびロック手段52を備えるロック機構50が設けられる。高調波アクチュエータ15は中立位置Sを中心として高調波で振動しており、その変位はセンサ23によって検出される。コントローラ12の故障検知装置13はセンサ23でアクチュエータ15を監視し、アクチュエータ15の故障を検知したときには故障信号を出力する。ソレノイドバルブ16は故障信号に応答して流路を切換えてロック機構50を作動させる。ロック機構50のセンタリング手段51が、出力軸25の変位を抑制して中立位置Sにセンタリングしロック手段52がケーシング20と出力軸25とを固定する。これによって操縦用アクチュエータ4の操縦量のみをスワッシュプレート3に伝達することができる。 【0022】図2に示すように、センタリング手段51は段付の筒状の第1変位抑制部材55および第2変位抑制部材56を有し、各変位抑制部材55,56はピストン35に関して両側に配置され、それぞればね57,58によって中立位置Sに向けてばね付勢する。ロック機構作動時には変位抑制部材55,56の小筒部66の先端がピストン35の両側から当接してばね力によって出力軸25の変位を抑制する。変位抑制部材55,56の大筒部65にはそれぞれフランジ67が形成され、ケーシング20と第1および第2変位抑制部材55,56の大筒部65との間にはそれぞれ油圧室68,69が形成され、この油圧室68,69に圧油が作用するとフランジ67の側面が受圧面として機能し、第1および第2変位抑制部材55,56をそれぞればね力に抗して中立位置Sから離反する方向に変位させる。これによって角変位抑制部材55,56の小筒部の先端部がピストン35から離反し、高調波アクチュエータ15の出力軸25は変位可能となる。 【0023】ロック手段52は有底筒部材82と有底筒部材82の底部に固定されるロックピン53とから成るロック部材80を有し、このロック部材80はケーシング20に形成される装着凹所81に装着され、出力軸25の軸線L1に垂直な軸線L2方向に変位自在にロック部材80は設けられる。ロック部材80の有底筒部材82内にはロック部材80を出力軸25に向けてばね付勢するばね83が設けられ、ロック機構50作動時には出力軸25に形成されるロック溝60にロックピン53の先端が嵌まり込んで出力軸25がケーシング20に固定されて高調波アクチュエータ15はロックされる。装着凹所81と有底筒部材82の底部の間の空間である油圧室85に圧油が作用する状態では有底筒部材82の底部および有底筒部材82の外周に形成されるフランジが受圧面と機能してロック部材80はばね83のばね力に抗して出力軸25から離反する向きに退避し、出力軸25は変位可能となる。 【0024】高調波アクチュエータ15を駆動させるための第1および第2給排油路40,41にはバイパスバルブ21が介在される。バイパスバルブ21はスプール90を有し、スプール90は軸線方向一端側の基端部にばね92が設けられ、他端側に油圧室99が形成され、スプール90の先端面が受圧面91として機能し、この受圧面91に圧油が作用する状態ではスプール90はばね92のばね力に抗して軸線方向一方側に位置する。この状態では第1および第2給排油路40,41を連通して高調波アクチュエータ15は電気油圧サーボバルブ17に制御されて変位可能な状態となっている。前記受圧面91に作用する圧油の圧力が低下するとばね92のばね力によってスプール90は軸線方向他方側に変位して第1および第2給排油路40,41を遮断して電気油圧サーボバルブ17による制御を遮断する。 【0025】図1に示されるように、ソレノイドバルブ16は第2圧力油路100を介して圧力ポート18に接続されるポンプポート101、第2戻り油路103を介して戻りポート19に接続されるリターンポート102、およびロック機構50を制御するコントロールポート105が設けられる。コントロールポート105に接続されるロック制御油路106は分岐してバイパスバルブ21の油圧室99、ロック機構50のセンタリング手段51の油圧室68,69、およびロック手段52の油圧室85にそれぞれ連通する。 【0026】ソレノイドバルブ16にはポンプポート101とリターンポート102とを挿通するとともに、ポンプポート101とコントロールポート105とを連通するロック解除位置と、コントロールポート105を遮断するロック作動位置とにわたって変位して高調波アクチュエータ15のロック機構50を制御するスプール110が設けられる。このスプール110がロック解除位置にあるときには圧力ポート18からの圧油がロック機構50の各油圧室68,69,85に導かれてロック機構50がロック解除状態になるとともに、バイパスバルブ21の油圧室99に導かれた圧油によって第1および第2給排油路40,41が連通して高調波アクチュエータ15は電気油圧サーボバルブ17に制御されて高調波振動する。 【0027】コントローラ12の故障検知装置13からソレノイドバルブ16に故障信号が入力されると、これに応じてソレノイドバルブ16のスプール110はポンプポート101とコントロールポート105との連通を遮断するロック作動位置に変位する。すると、バイパスバルブ21が第1および第2給排油路40,41を遮断して電気油圧サーボバルブ17による高調波アクチュエータ15の制御を遮断するとともに、ロック機構50のセンタリング手段51が作動して高調波アクチュエータ15の出力軸25の変位を抑制するとともに、ロック手段52が作動する。センタリング手段51によってピストン35を中立位置Sに変位を抑制し、出力軸25が中立位置Sに位置するとロック手段52のロックピン53がロック溝60に嵌まり込んで出力軸25は中立位置Sに固定されることになる。 【0028】センタリング手段51の変位抑制部材55,56にはそれぞれ段差面115が形成される。ピストン35が中立位置Sに位置するとき角変位抑制部材55,56の段差面115がケーシング20に形成される段差面116にそれぞれ係止され、変位抑制部材55,56の小筒部66の先端はピストン35の各表面にわずかな隙間をあけて位置し、中立位置Sに配置されるピストン35にはセンタリング手段51から力が作用しないように構成される。これによってピストン35をセンタリング手段51によって速やかにセンタリングすることができる。また、センタリングに必要な大きな力はピストン35の軸線L1方向両側に配置されるばね57,58によって行われるので、軸線L1に垂直な軸線L2方向に配置されるロック手段52のばね83を小形にすることができる。 【0029】図3は、故障検知装置13を示すブロック図である。故障検知装置13は、センサ回路120と予測回路121と故障判定回路122とから構成され、センサ回路120はアクチュエータ装置11に取付けられ、高調波アクチュエータ15の出力軸25の変位量を検出するセンサ23と、サンプリング回路124とから構成され、故障判定回路122は減算器130、比較器131およびメモリ132とから構成される。 【0030】高調波アクチュエータ15の出力軸25は、コントローラ12から電気油圧サーボバルブ17に入力される制御信号に応じて予め定める一定の周期で軸線L1方向に中立位置Sを中心に振動し、センサ回路120は所定のサンプリング周波数で出力軸25の軸線方向L1に沿う位置を離散的に検出する。一定の周波数で運動する作動部の動きはARモデルで表現できる。 【0031】ARモデルでは現在の位置y(k)の予測値Y(k)を過去のP個の位置データに係数Akという重みを掛けて和をとったもの、つまり で表される。過去の位置データの個数Pは2個以上に選ばれ、本実施形態ではP=5とすると(1)式は、 Y(k)=A1・y(k−1)+A2・y(k−2)+A3・y(k−3) +A4・y(k−4)+A5・y(k−5) …(2) として表され、Z変換したブロック図を図3の予測回路121に示す。予測回路121ではセンサ回路120からサンプリング周波数に同期して順次的に予測回路121に入力される5個の位置データy(1)〜y(5)を順次記憶し、係数A1〜A5の重みづけして合算することによって次の6番目の出力軸25の位置を予測Y(6)として算出する。故障判定回路122では、センサ回路120から出力される6番目の位置データである実測値y(6)と、予測回路121で算出した予測値Y(6)に基づいて故障か否かを判定する。 【0032】センサ回路120からの位置データy(6)は故障判定回路122に入力されるとともに予測回路121にも入力され、予測回路では2〜6番目の5個の位置データy(2)〜y(6)にそれぞれ係数A1〜A5を乗じて重みづけして合算し7番目の予測値Y(7)を算出し、故障判定回路122に入力する。このようにして故障検知装置13では、センサ回路120のサンプリング周波数に同期して順次故障の判定を行うことができる。なお、各係数A1〜A5は予測値Y(k)と出力値y(k)とが一致するように予め設定しておく。 【0033】センサ回路120のセンサ23からは高調波アクチュエータ15の出力軸25の変位信号がアナログ信号として出力され、サンプリング回路124ではセンサ23からの変位信号を予め定めるサンプリング周期でサンプリングし、デジタル信号に変換して位置データy(k)として順次出力する。なおサンプリング周期は少なくとも高調波アクチュエータ15の振動周期の1/2以下とし、本実施形態では5msecである。 【0034】故障判定回路122の減算器130は、予測回路121から出力される予測値Y(k)および、サンプリング回路124からの現在の位置データである実測値y(k)が入力され、予測値Y(k)と実測値y(k)との差である予測誤差e(k)=Y(k)−y(k)が出力される。故障判定回路122のメモリ132には所定のしきい値Tが設定されており、比較器131では減算器130からの予測誤差e(k)およびメモリ132からのしきい値Tが入力され、予測誤差e(k)がしきい値Tより小さいか等しければ正常と判断して正常信号「0」を出力し、予測誤差がしきい値Tと超えると故障と判断して故障信号「1」を出力する。 【0035】図4は、故障検知時の予測値Y(k)、実測値y(k)および予測誤差e(k)を示すグラフである。図4において縦軸は中立位置Sを中心とした出力軸25の位置であり、横軸は時間であり、参照符140は予測値Y(k)を連ねたグラフであり、参照符141は実測値y(k)を連ねたグラフであり、参照符142は予測誤差e(k)を連ねたグラフである。図4のグラフにおいて時刻t1までは予測値Y(k)と実測値y(k)とが一致し、時刻t1と時刻t2との間で故障が発生し、時刻t2で故障を検知するものとする。 【0036】時刻t1以前では予測値Y(k)と実測値y(k)とが等しいので予測誤差e(k)が0となり、しきい値T未満となるので正常と判断して故障判定回路122からは正常信号「0」が出力される。 【0037】時刻t2での予測値Y(6)は過去の5つの位置データy(1)〜y(5)に基づいて算出するが、時刻t1と時刻t2との間で故障が発生し、時刻t2では予測値Y(6)と実測値y(6)とがずれ、予測誤差e(6)とはしきい値Tより大きくなる。これによって、故障と判定して故障判定回路122から故障信号「1」を出力する。このようにして本発明の故障検知装置13では故障発生から故障検知までをサンプリング周期以内に行うことができる。 【0038】図5は、ソレノイドバルブ16を拡大して示す断面図である。ソレノイドバルブ16はスプール110と、スプール110の軸線方向一方側に配置されるソレノイド149と軸線方向他方側に配置されるばね150とを有する。ソレノイド149のソレノイド回路はソレノイド149のコイル151に抵抗152が直列に接続され直流電源153によって駆動される。またソレノイド回路にはコイル151および抵抗152に並列にダイオード154が接続され、また故障判定回路122からの信号に応答してソレノイド149のオン/オフ制御を行うスイッチ155が設けられる。 【0039】スプール110はその軸線L3方向に変位可能に支持され、故障判定回路122から正常信号「0」がスイッチ155に入力されるとスイッチ155はオンとなり、コイル151に電流が流れ、ソレノイドの磁気吸引力によってスプール110は軸線L3方向他方側のロック解除位置に配置され、ポンプポート101とコントロールポート105とが連通して高調波アクチュエータ15はロック解除状態となる。なお、このときダイオード154は逆方向となるのでダイオード154には電流は流れない。 【0040】故障検知装置13の故障判定回路122から故障信号「1」がスイッチ155に入力されるとスイッチ155がオフとなり磁気吸引力が過渡的に低下し、ばね150のばね力によってスプール110が軸線L3方向一方側のロック作動位置に変位し、コントロールポート105が遮断される。なお、このときソレノイド回路にはダイオード154を介して過渡的に電流が流れ、やがて電流は0となる。すると前記したようにロック機構50が作動して高調波アクチュエータ15はロックされる。 【0041】アクチュエータ装置11のケーシング20にはソレノイドバルブ装着凹所179が形成され、このソレノイドバルブ装着凹所179にソレノイドバルブ116の装着部183が装着される。装着部183は中空であり、内部空間182にスプール110の中間部185を収納する。中間部185は円柱状であり、両端部に円錐部が形成され軸線L3方向一方側に円錐部に連なって短円柱状の大径部160が形成され、他方側にも円錐部に連なって短円柱状の小径部161が形成される。装着183には一方側に大径部160が嵌まり込む嵌合孔180が形成され、他方側に小径部161が嵌まり込む嵌合孔181が形成される。装着部183の内部空間182に臨む大径部160の側面を第1受圧面162とし、内部空間182に臨む小径部161の側面を第2受圧面とする。 【0042】内部空間182はポンプポート101に連通して圧油が導かれている。大径部160の第1受圧面162は小径部161の第2受圧面163よりも面積が大きいので、第1受圧面162と第2受圧面163との面積差に応じた油圧がスプール110には作用することになる。したがって、スイッチ155をオフした場合には,ばね150のばね力に加えて第1受圧面162と第2受圧面163との面積差に応じた油圧による力がスプール110に作用する。これによって従来に比べてスプール110のロック位置側への切換え動作を迅速に行うことができる。 【0043】またソレノイド回路にはソレノイドのコイル151に直列に抵抗152が接続されコイル151のインダクタンスをL(H)、抵抗152の抵抗をR(Ω)とすると、ソレノイド回路の時定数τはτ=L/Rとなる。すなわちコイル151に抵抗152を直列に接続することによって時定数τが小さくなり、これによってソレノイド149の応答性を向上することができる。すなわち、スイッチ155をオフしたとき、電流がすぐに0になるのではなく、過渡的に電流が流れて0となる。時定数τを小さくするとオフしてから電流が0になるまでの時間が短くなり、これによって電流が0になるまでに残留する磁気吸引力を迅速に低減させ、応答性が向上される。 【0044】またさらに抵抗152を付加することによってコイル151に流れる電流が低減する。ソレノイド149の磁気吸引力は電流Iに比例するので抵抗152を付加することによる電流の低減によって磁気吸引力が低下する。すなわち、ばね150および油圧力に対抗する磁気吸引力が小さくなることにより、スプール110をさらに迅速にロック作動位置に変位させることができる。 【0045】図6はスイッチ155をオフしたとき、ロック解除位置からスプール110がロック作動位置に変位するまでのスプール110の位置と時間との関係を示すグラフである。参照符190で示すグラフは本実施形態のソレノイドバルブ16のグラフであり、参照符191で示すグラフは抵抗152を付加せず、第1および第2受圧面163に差がない従来のソレノイドバルブのグラフであり、時刻0においてスイッチ155がオフされたものとする。図6に明らかに示されるように、従来のグラス191に比べてグラフ190ではスプール110が変位し始める時刻が明らかに早くなっており、さらにグラフの立上がる角度も急激となり、抵抗152を付加し、受圧面積に差をつけることによって応答性が向上し、スイッチオフ時からロック作動位置に達するまでの時間が従来の48msecから20msecへと格段に向上する。このようなソレノイドバルブ16および故障検知装置13によって故障発生から高調波アクチュエータ15のロックまで100msec以内とすることが可能となる。 【0046】本実施形態では故障検知装置をヘリコプタの高調波アクチュエータの故障検知として用いたが、本発明の故障検知装置は作動部が周期的に運動する機器であればよく、たとえばモータの出力軸など作動部が回転する装置の故障検知として用いてもよい。 【0047】 【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、ARモデルを用いて算出した予測値とセンサ回路からの実測値とに基づいて故障を判定するので、従来の故障判定装置に比べて格段に早く故障を判定することができる。 【0048】請求項2記載の本発明によれば、ヘリコプタの高調波アクチュエータの故障判定においてARモデルを用いて算出した予測値とセンサ回路からの実測値とに基づいて故障を判定するので、従来の故障判定装置に比べて格段に早く高調波アクチュエータの故障を判定することができる。 【0049】請求項3記載の本発明によれば、スプールにはスプールをロック作動位置側へ変位させる受圧面が形成されているので、従来のソレノイドバルブに比べて故障検知時からアクチュエータのロック時までの時間を格段に短縮することができる。 【0050】請求項4記載の本発明によれば、コイルに抵抗を直列に接続することによって時定数τを小さくし、ソレノイドの応答特性を向上することができる。また、コイルに直列に抵抗を接続することによってソレノイド力を低減させ、これによってさらに迅速にロック機構を作動させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】595013003 【氏名又は名称】株式会社コミュータヘリコプタ先進技術研究所
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| 【出願日】 |
平成11年1月28日(1999.1.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075557 【弁理士】 【氏名又は名称】西教 圭一郎 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−213926(P2000−213926A) |
| 【公開日】 |
平成12年8月4日(2000.8.4) |
| 【出願番号】 |
特願平11−20478 |
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