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【発明の名称】 巻 尺
【発明者】 【氏名】宇佐見 努

【要約】 【課題】簡単な構造で、ストロークを大きく取ることができ、測定テープの引き込み時の衝撃を効果的に吸収できるバンパー機構を備えた巻尺を提供する。

【解決手段】バンパー部材8は、支持軸9により回動可能に支持されている。バンパー部材8の前面には、衝合部8aが形成され、フック6の衝撃力を受ける。バンパー部材の後方に延びる可撓性腕8bは、接触部10に衝合しており、フック6の衝撃により衝合部8aが後退することによりバンパー部材8が回動する。バンパー部材8の回動により、可撓性腕8bも回動し、接触部10により可撓性腕8bが曲げられて衝撃力を吸収する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 付勢ばねを内装した巻尺において、本体ケースに回動自在に支持され、測定テープの引出口において前記測定テープに装着されたフックに衝合する衝合部を有するとともに、回動中心に対して偏心して設けられた可撓性腕を有するバンパー部材と、前記本体ケース側に設けられ、前記回動中心を中心とする円周上の一点を通り該円周から離れるように延び、前記フックの衝合による前記バンパー部材の回動につれて前記可撓性腕を曲げるように接触させる断面形状を有する接触部材を備えたことを特徴とする巻尺。
【請求項2】 前記接触部材の断面形状が、衝撃を効果的に吸収するために、前記バンパー部材の回動量による反発力の変化を付けるようにした形状であることを特徴とする請求項1に記載の巻尺。
【請求項3】 耐摩耗性かつ可撓性の樹脂により、前記可撓性腕が前記バンパー部材に一体成形されていることを特徴とする請求項1または2に記載の巻尺。
【請求項4】 前記接触部材が、前記本体ケースに一体的に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の巻尺。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可撓性の測定テープがケース内に収容され、巻き込みのための付勢ばねを内装した巻尺に関するものである。
【0002】
【従来の技術】可撓性の測定テープをケース内に収容した巻尺は、ケース内の巻取ドラムに巻き取られている。巻取ドラムには、付勢ばねが取り付けられており、測定テープの引き出しの際に付勢ばねが付勢されて、ばね力が蓄積される。引き出した測定テープから手を離せば、付勢ばねのばね力によって、測定テープはケース内に自動的に巻き取られる。
【0003】しかし、巻取の際は、加速度が加わって巻取速度が徐々に大きくなり、さらに、巻き取るにつれて巻径が大きくなることにより巻取速度が大きくなることが助長され、測定テープが捩れたり、ケースを保持している指に当たったりするという問題がある。
【0004】これに対処して、巻取速度を抑えるために、ブレーキ機構を内蔵させた巻尺も用いられているが、巻取の終期、すなわち、測定テープの先端に取り付けられたフックが本体ケースの引出口に納まるときの巻取速度を常に遅くなるようにブレーキ操作をすることは困難である。したがって、測定テープの終端まで高速で巻き取られることがあり、フックが本体ケースの引出口に衝突し、測定テープやフックを止めているリベット等に損傷を与えることがある。
【0005】これに対処して、本体ケースの引出口にバンパーを装備した巻尺が知られている。最も簡単な構造のバンパーは、ゴム等の弾性体を本体ケースの引出口に取り付けて、その弾性により、フックの衝撃力を吸収しようとするものである。この構造は、フックが衝突した際に移動するストロークが短いため衝撃の吸収能力が小さく、また、弾性体が傷みやすく耐久性に欠けるという問題がある。
【0006】実開平1−81501号公報に記載された巻尺では、リング状のばねを用いたて構造を用いている。この構造は、バンパーの動きは直線的で、バンパーの反発力の支点は固定端であるため、衝撃を後部のリング状のばね部のみで吸収する。したがって、ストロークを大きくすると、ばね部に負担がかかりすぎ、ばね部が破断もしくは、座屈する。また、リング状のばね部を複数付けるなどの工夫をして、ストロークを大きくすることは可能と考えられるが、部品が大きくなるとともに、そのために収納するケーシングが大きく複雑となる。また、組立性、成形性も悪くなるという問題がある。
【0007】実開平4−32002号公報に記載された巻尺では、緩衝部材として板ばねを用い、その弾性によりフックの衝撃を吸収する構造を採用している。この構造もストロークを大きくとることは困難で、衝撃の吸収能力を大きくできない。緩衝部材の下方が支持部を軸にしてたわむだけでなく、支持部全体が移動するようにしてもよい、との記載もみられるが、構造を複雑にする。
【0008】実開平2−85302号公報に記載された巻尺は、弾撥性金属線材を用いているが、実開平4−32002号公報に記載された緩衝部材と同様に、ストロークを大きくすることは困難である。
【0009】実開平5−59201号公報に記載された巻尺では、直線的に移動するバンパー部材を用いている。バンパー部材の反発力の支点が、ケーシングに一体成形されたリブに沿って移動することにより衝撃を吸収しようとするものである。ストロークを大きくするためには、長さを必要とし、また、バンパー部材の支持が構造が簡単でない。
【0010】登録実用新案第3045653号公報に記載された巻尺では、緩衝部材を、上顎に設けられた溝に嵌まっている緩衝部材の天部の突起を支点として回転しようとし、それによりひさしはたわみ変形して、回転を抑制し衝撃を吸収するものである。測定テープの直線運動に対して、これを回転運動に変えて衝撃を吸収するところにおいて、上述した従来例とは別異の構造を採用しているが、この構造では、緩衝部材であるバンパー部材全体が回転するのではなく、ケースの溝部に嵌合した緩衝部材の天部の突起を支点としてたわみ、回転しようとし、それによりひさしがたわみ変形して、衝撃を吸収するものであるから、回転角は、非常に小さいものに規制され、バンパー部材の移動量は、小さいものとなる。
【0011】このように従来例の緩衝構造は、バンパー自体のストロークが短く、バンパーは、衝撃を受けると後退しケーシングのテープ引出口に強く当り、これにより測定テープ、測定テープ先端のフック及び、ケーシングのテープ引出口への強い衝撃を吸収しきれず、各部にダメージを与えることを十分に避けることができるものとはいえない。また、バンパー自体の反発カが強くものもあり、衝撃を受けても後退する量は小さく、測定テープ、測定テープ先端のフックおよびケーシングのテープ引出口への強い衝撃を吸収しきれず、各部にダメージを与えるものであった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、簡単な構造で、バンパー部材がケース本体に安定して支持され、ストロークも大きく取ることができ、測定テープの引き込み終了時の測定テープ、測定テープ先端のフックおよびケーシングのテープ引出口への、強い衝撃を効果的に吸収して、各部の損傷を防止することができるバンパー機構を備えた巻尺を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、付勢ばねを内装した巻尺において、本体ケースに回動自在に支持され、測定テープの引出口において前記測定テープに装着されたフックに衝合する衝合部を有するとともに、回動中心に対して偏心して設けられた可撓性腕を有するバンパー部材と、前記本体ケース側に設けられ、前記回動中心を中心とする円周上の一点を通り該円周から離れるように延び、前記フックの衝合による前記バンパー部材の回動につれて前記可撓性腕を曲げるように接触させる断面形状を有する接触部材を備えたことを特徴とするものである。
【0014】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の巻尺において、前記接触部材の断面形状が、衝撃を効果的に吸収するために、前記バンパー部材の回動量による反発力の変化を付けるようにした形状であることを特徴とするものである。
【0015】請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の巻尺において、耐摩耗性かつ可撓性の樹脂により、前記可撓性腕が前記バンパー部材に一体成形されていることを特徴とするものである。
【0016】請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の巻尺において、前記接触部材が、前記本体ケースに一体的に形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の巻尺の実施の形態の一例を説明するためのもので、図1(A)は本体ケースの一部を破断して内部を見えるようにした側面図、図1(B)は正面図である。なお、測定テープおよびフックの図示は、図1(A)では内部を見易くするために破線で図示し、図1(B)では図示を省略した。図中、1,2は本体ケース、3は摘子、4はロック片、5は測定テープ、6はフック、7は巻取ドラム、8はバンパー部材である。
【0018】本体ケース1,2は別体で形成され、図示しないねじ等により合体される。本体ケース1,2の正面に摘子3が設けられ、これを指でスライドさせることにより、ロック片4を移動させて、測定テープ5を押圧する。
【0019】測定テープ5を巻き取る巻取ドラム7に蓄勢ばねが内装されているから、フック6に指を掛けて引き出した測定テープ5は、蓄勢ばねのばね力で戻ろうとする。測定を行なう場合に、測定テープ5を引き出した状態で、戻らないようにロックすることが要求されている。ロック片4は、その要求に応えるもので、摘子3をスライドさせてロック片4を測定テープ5に押し付けて、摘子3をロックすることにより、引き出した測定テープを引き出した位置でロックできる。また、引き出した測定テープが蓄勢された蓄勢ばねのばね力により自動的に巻き取られる際は、加速度が加わって巻取速度が徐々に大きくなり、さらに、巻き取るにつれて巻径が大きくなることにより巻取速度が大きくなることが助長され、測定テープが捩れたり、ケースを保持している指に当たったりするという問題がある。摘子3をロック位置の手前に操作して、ロック片4により測定テープ5にブレーキをかけることもでき、巻取速度を抑えることができる。なお、ブレーキ機構とロック機構は、適宜の構造のものを採用でき、本発明は、上述した摘子3とロック片4を用いる構造に限られるものでないばかりでなく、ブレーキ機構とロック機構のいずれか一方または双方を備えない巻尺に対しても本発明が適用されるものであることは、以下の説明から明らかである。
【0020】バンパー部材8は、支持軸9により回動可能に支持されている。支持軸9は、この実施の形態では、本体ケース2に一体的に設けられている。バンパー部材8の前面には、衝合部8aが形成され、フック6の衝撃力を受ける。バンパー部材の後方に延びる可撓性腕8bは、接触部10に衝合しており、フック6の衝撃により衝合部8aが後退することによりバンパー部材8が回動する。バンパー部材8の回動により、可撓性腕8bも回動し、接触部10により可撓性腕8bが曲げられて衝撃力を吸収する。
【0021】図2は、図1の本体ケースのみをその一部を破断して内部を見えるようにした側面図であり、図1(A)において、摘子3,ロック片4,測定テープ5,フック6,巻取ドラム7,バンパー部材8を外した状態に相当する。図中、図1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略する。11は受け部である。受け部11は図1で説明したロック片4が測定テープを押圧した際に、測定テープの背面を受けるために設けられたものである。
【0022】本体ケース1を破断して見える部分は、本体ケース2に設けられた部分である。本体ケースは、好ましい実施例では、合成樹脂の一体成形により作製される。支持軸9は、本体ケース1の内側にまで延びるように形成されているので、本体ケース1には支持軸は形成されてない。接触部10,受け部11は、本体ケース1にも合成樹脂の一体成形により同様に形成されている。
【0023】この本体ケースに配設されるバンパー部材の実施の形態の一例を図3で説明する。図3(A)は正面図、図3(B)は左側面図、図3(C)は右側面図、図3(D)は背面図、図3(E)は、図3(A)のE−E線断面図である。図中、8はバンパー部材、8aは衝合部、8bは可撓性腕、8cは軸孔、8dは軸部材、8eは欠如部、8fは測定テープ挿通孔である。
【0024】このバンパー部材8は、図3(A),図3(D)に示すように、軸孔8cが形成される軸部材8dは、白抜きの矢印で示すように、欠除部8eが設けられている。欠除部8eを設けたことにより、組立の際に、測定テープを測定テープ挿通孔8fに通すことが容易となる。欠除部8eを設けなくても、測定テープ挿通孔8fに測定テープを通すことが可能な場合には、軸部材8dに欠除部8eを設けずに、両側部に渡してもよい。
【0025】バンパー部材8を本体ケースに取り付けたときに前部となる衝合部8aの後方に、可撓性腕8dが設けられている。可撓性腕8dの先端は丸みを帯びた形状にされているが、必ずしも丸みを帯びさせる必要はない。しかし、後述する接触部に接する部分は丸みを帯びさせるようにするのがよい。
【0026】可撓性腕8dは、バンパー部材に一体成形して、図3に示すバンパー部材8を1部品とするのがよい。組み立ての工数も少なくなり、部品点数も少なくなるから、コスト面で有利となる。そのためには、バンパー部材の材料として、可撓性を有する材料、例えば、ポリアセタール等の合成樹脂を用いて、一体的成形により、パンパー部材8を作製するのがよい。
【0027】このバンパー部材をケース本体1,2内に組み立てた状態が図1である。引き出した測定テープ5を蓄勢バネの付勢力によって巻き取ると、図4に示すようにフック6がバンパー部材8の衝合部8aに衝合する。衝撃力によって、図5に示すように、衝合部8aが後退し、後退につれてバンパー部材8が回動する。衝合部8aがさらに後退すると、図6に示すように、バンパー部材8もさらに回動する。バンパー部材8の回動により、可撓性腕8dも回動し、接触部10に接触しながら、接触部10の形状に応じて外側に撓んで、その弾性力により衝撃力を吸収する。
【0028】バンパー部材8の回動に伴う可撓性腕8dの動きは、図7に示すように、実線で示す最初の状態から破線で示すように、時計方向にバンパー部材8が回動するにつれて、可撓性腕8dが外側に向けて曲がるように撓み、衝撃力を吸収する。
【0029】可撓性腕8dと接触部の形状との関係を図8で説明する。図8では、可撓性腕8dと接触部10の接触面のみを図示したものである。P点はバンパー部材の回動中心、Rは仮想円、A点は可撓性腕8dの基点、B点は可撓性腕8dの接触点、Qは接触部の接触面の断面形状を示す。図8の各部の位置は、フックがバンパー部材の衝合部に衝突した瞬間であり、バンパー部材が回動を始めようとする状態を示している。仮想円Rは、線分PBを半径としP点を中心とする円である。接触面Qが仮想円の円周に一致している仮定すると、バンパー部材の回動につれてB点は円周上を移動するのであるから、可撓性腕8dの形状は変化しない。上述した実施の形態では、Qに示すように、接触面は、仮想円RにおいてB点が接触している点から、仮想円より離れるように延びており、バンパー部材の回動につれて、可撓性腕8dは外側に曲げられながらバンパー部材とともに回動する。Qの形状は直線、あるいは、曲線とすることができ、仮想円から離れる量とパターンを選定することにより、所望の衝撃力吸収特性を得ることができる。
【0030】なお、可撓性腕8dは、バンパー部材の回動に伴って外側に曲げられることに限られるものではない。内側に曲げるようにしてもよい。図9は、その場合の接触面の形状の説明図である。図8と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。この実施の形態では、可撓性腕8dの外側に接触面が配設される。Qに示すように、接触面には、仮想円Rにおいて可撓性腕8dの先端外側のB点が接触している。接触面の断面形状は、仮想円の内側に仮想円から離れるように延びており、バンパー部材の回動につれて、可撓性腕8dは内側に曲げられながらバンパー部材とともに回動する。Qの形状は直線、あるいは、曲線とすることができ、仮想円から離れる量とパターンを選定することにより、所望の衝撃力吸収特性を得ることができる。
【0031】なお、バンパー部材の支持は、バンパー部材に軸孔を設けて、本体ケース側に設けた支持軸に嵌挿するようにしたが、バンパー部材側に支持軸を設けて、本体ケース側に軸受を設けて、バンパー部材を支持してもよい。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、バンパー部材が回動自在に支持されていることにより、ケース本体に安定して支持され、衝撃を受けた際の衝合部の移動のストロークも大きく取ることができ、測定テープの引き込み終了時の測定テープ、測定テープ先端のフックおよびケーシングのテープ引出口への、強い衝撃を効果的に吸収して、各部の損傷を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000161943
【氏名又は名称】株式会社ケイディエス
【出願日】 平成11年1月27日(1999.1.27)
【代理人】 【識別番号】100096208
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 康夫
【公開番号】 特開2000−213904(P2000−213904A)
【公開日】 平成12年8月4日(2000.8.4)
【出願番号】 特願平11−18152