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【発明の名称】 測定装置および測定方法
【発明者】 【氏名】蜂須賀 勝

【要約】 【課題】床からの振動や、装置内部で発生する振動、雰囲気温度変化による熱変動といった外乱要因による、測定誤差要因があっても測定誤差を少なくすることができる測定装置とそれを備えた加工装置および測定方法を得る。

【解決手段】ベース1にアクティブ除振台15を介して補助体6を支持し、Zステージ3に設置された第一のミラー4と前記補助体6に設置された第一のレシーバ5の距離と、ワークスピンドル7に設置された第二のミラー4´と前記補助体6に設置された第二のレシーバ5´の距離を測長することにより、測定誤差を算出し、制御系(不図示)にフィードバックを行い、ワーク8の研削加工量を精度よく測定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固定台と、前記固定台に取り付けられ一軸方向に往復運動する移動体と、前記移動体を一軸方向に動かすための駆動手段と、前記移動体の移動量を測定する測定手段と、前記駆動手段と前記測定手段とを制御する制御手段とを具備した測定装置において、前記固定台に弾性部材を介して保持される補助体と、前記移動体の移動方向と直交する平面に設置された第一の反射鏡と、前記反射鏡に対面するように前記補助体に設置された第一のレシーバと、前記固定台上で移動体の移動方向と直交する平面に設置された第二の反射鏡と、前記第二の反射鏡に対面するように前記補助体に設置された第二のレシーバと、第一の反射鏡と第一のレシーバの距離を測長する測定手段と、第二の反射鏡と第二のレシーバの距離を測長する測定手段とを具備することを、特徴とする測定装置。
【請求項2】 請求項1に記載の固定台に保持される補助体が、きわめて高剛性を有する低熱膨張部材であることを特徴とする測定装置。
【請求項3】 請求項1または2に記載の弾性部材がアクティブ制御された防振台であることを特徴とする測定装置。
【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載の測定装置において、第一の反射鏡と第一のレシーバが設置された光路と第二の反射鏡と第二のレシーバが設置された光路が平行に配置されていることを特徴とする測定装置。
【請求項5】 請求項1から3のいずれかに記載の測定装置において、第一の反射鏡と第一のレシーバと第二の反射鏡と第二のレシーバが同一光路上に配置されていることを特徴とする測定装置。
【請求項6】 請求項1から5のいずれかに記載の測定装置を備えることを特徴とする機械加工装置。
【請求項7】 請求項1から6のいずれかに記載の測定装置を用いて、測定装置に具備された第一の反射鏡と第一のレシーバとの測長値と、第二反射鏡と第二のレシーバとの測長値を計測し、両者の計測値より移動体の移動量を測定することを特徴とする測定方法。
【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】本発明は、例えば加工装置に具備されて使用される移動体の移動量を測定する測定装置とその測定方法に関するものである。
【従来の技術】近年、切削加工や研削加工等の機械加工装置における被加工物を保持するステージの送り量や、形状測定装置等の測定装置における測定子や被測定物を保持する移動ステージの移動量を高精度で測定する必要性がますます高まっており、レーザ干渉測長計を用いることによって、数nmでの測定が可能であることが知られている。このような装置は、固定台と、一軸方向に往復運動する移動体と、前記移動体を駆動させる駆動手段と、移動体の移動量を測定する測定手段と、前記測定手段からの測定値に基づいて前記移動体の移動量を制御する制御手段とから構成されている。移動ステージに代表される移動体は、固定台とのすべり案内や、ころがり軸受案内や、流体軸受案内などによって一軸方向に運動が拘束されており、前記移動体を動かす駆動装置として、制御の容易なモータが一般的に用いられている。モータには、移動体それ自体がモータの一部を構成するリニアモータや、送りねじなどの運動変換手段を介して移動体を動かす回転モータなどがある。また、測定手段としては、移動体の移動精度をよくするために、レーザ干渉測長計が多く用いられ、制御手段では、移動体駆動指令値と実際の駆動量の測定値との差異を検出して再度前記差異分を動かすというフィードバック制御が行われている。この制御を行うために、一般的にはサーボモータがよく使われている。測定手段であるレーザ干渉測長計は、レーザ光源と、光束分割手段と、固定台に設置されたレシーバと、移動体に設置された反射鏡(以下、ミラーという。)とから構成される。移動量は、移動体の動きが干渉縞の変化となって現れるため、これをレシーバによって計測することにより測定できる。移動量測定の分解能は光源の波長に依存し、例えばHe−Neレーザ(波長632.8nm)においては、数nm以下の分解能が可能になっている。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、装置の大型化が進んで測長距離が拡大しており、上記のような加工装置や形状測定装置の測長部では、固定台や移動体に作用する床からの振動や、装置内部で発生する振動、雰囲気温度変化による熱変動といった外乱要因により、測定手段であるレーザ干渉測長計のミラーとレシーバの相対測長距離が変動するといった問題点があった。特に装置内部に振動や熱の発生要因が存在し、固定台の剛性が低い場合には、測長部への影響はきわめて顕著に現れる。測長部のミラーとレシーバ間の距離をDとし、前述の要因によって発生する測長方向の変位をδとすると、測長値の読みはD+δとなり、真の値Dに対して、δの誤差が生じ、この値は補正できない誤差として、以後の制御系に送られ、フィードバック制御の基準として使用されてしまうという不具合があった。そこで本発明は、前述のような測定誤差要因があっても測定誤差を少なくすることができる測定装置とそれを備えた加工装置および測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を達成するために請求項1の発明では、固定台と、前記固定台に取り付けられ一軸方向に往復運動する移動体と、前記移動体を一軸方向に動かすための駆動手段と、前記移動体の移動量を測定する測定手段と、前記駆動手段と前記測定手段とを制御する制御手段とを具備した測定装置において、前述の外乱を受けにくくするために、前記固定台に弾性部材を介して補助体を支持し、前記移動体に設置された第一のミラーと、前記ミラーと対面して前記補助体に設置された第一のレシーバと、前記固定台に取り付けられ移動体の移動方向と直交する平面に設置された第二のミラーと、前記第二のミラーと対面するように前記補助体に設置された第二のレシーバと、それぞれのミラーとレシーバの距離を測長する測定手段とを具備することを特徴としている。また、請求項2の発明では、請求項1に記載の固定台に保持される補助体が、きわめて高剛性を有する低熱膨張部材であることを特徴としている。また、請求項3の発明では、請求項1または2に記載の弾性部材がアクティブ制御された防振台であることを特徴としている。また、請求項4の発明では、請求項1から3のいずれかに記載の測定装置において、第一のミラーと第一のレシーバが設置されている光路と第二のミラーと第二のレシーバが設置されている光路とが平行に配置されていることを特徴としている。また、請求項5の発明では、請求項1から3のいずれかに記載の測定装置において、第一のミラーと第一のレシーバと第二のミラーと第二のレシーバのすべてが同一光路上に配置されていることを特徴としている。また、請求項6の発明では、請求項1から5のいずれかに記載の測定装置を備えた機械加工装置であることを特徴としている。また、請求項7の発明では、請求項1から6のいずれかに記載の測定装置または加工装置を用いて、測定装置に具備された第一のミラーと第一のレシーバとの測長値と、第二のミラーと第二のレシーバとの測長値を計測し、両者の計測値より移動体の移動量を測定することを特徴としている。
(作用)請求項1の発明では、第一、第二のレシーバはともに補助体に設置されており、補助体自身は前述の測長部の外乱を受けないように固定台に弾性部材を介して支持されているため、第一、第二のレシーバ間の距離Lは安定した長さを持つ測定基準となる。第一、第二のレシーバ間距離Lは、第一のミラーと第一のレシーバの真の距離D1と第二のミラーと第二のレシーバの真の距離D2と、第一のミラーと第二のミラーの真の距離D3の和で表され、L=D1+D2+D3となる。ここで、第一のミラーと第一のレシーバで測定される測長値は、移動体の移動運動により変化しているが、前述の要因によって発生する測長方向の変位誤差δを含んだ測長値D1+δとして示される。一方、第二のミラーと第二のレシーバで測定される測長値は、第二のミラーが移動することはないが、前述の要因によって発生する測長方向の変位誤差を含んでおり、上記の式においてLは測定基準として不変と考えられるためD2−δの測長値を示すことになる。したがって、常時第二のミラーと第二のレシーバの距離を測定することにより、第一のミラーと第二のミラーの真の距離D3を測定することなく、測長方向の変位誤差δを算出して、制御系にフィードバックを行い、移動体の位置を精度よく測定することができる。請求項2に記載の発明では、補助体の材料に高剛性を有する低熱膨張部材を使用する。したがって、装置の振動や熱による外乱を受けにくくなり、さらに測定精度が高まる。請求項3に記載の発明では、弾性部材にアクティブ制御された防振台を使用することによって、装置の振動による外乱を受けにくくなり、さらに測定精度が向上する。請求項4に記載の発明では、請求項1から3のいずれかに記載の測定装置において、第一ミラーと第一レシーバにより構成される測長系と、第二のミラーと第二のレシーバにより構成される測長系のそれぞれ設置された光路が平行で同一の光路上にはないため、測定部の適用範囲が広くなる。請求項5に記載の発明では、請求項1から3のいずれかに記載の測定装置において、第一、第二のミラーおよびレシーバを同一の光路上に配置することによって、測定装置の構成が単純化され製作が容易になる。請求項6に記載の発明では、請求項1から5のいずれかに記載の測定装置を、加工機に取り付けることにより、加工精度を向上させることができる。請求項7に記載の発明では、請求項1から6のいずれかに記載の測定装置あるいは、加工装置において、所望の移動量を精度よく測定できる。
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の実施形態を示した研削装置の概念図である。本研削装置は、ベース1と、ワーク8を雇いを介して戴置したワークスピンドル7と、ワークスピンドル7を水平方向の一軸方向に移動できるXステージ9と、ワークを研削するダイヤモンド砥石10と、前記ダイヤモンド砥石10を回転させる工具スピンドル11と、前記工具スピンドル11を鉛直方向の一軸方向に移動できるZステージ3と、前記Z軸ステージ3を具備しベース1に設置されたコラム2と、レーザ光源12と、第一のミラー4と第一のレシーバ5と、第二のミラー4´と第二のレシーバ5´とから構成される測長系と、研削装置本体用除振台14と、補助体6と、補助体6を研削装置から独立させて支持しているアクティブ除振台15とを具備している。補助体6は低熱膨張部材であるスーパインバーを用いており、装置の構造設計に際しては、有限要素法による構造解析を行い、高剛性化を実現しているため、たとえ外乱振動が伝達しても、その振幅を小さく維持する配慮がなされている。また、本研削装置の加工時にダイヤモンド砥石10の回転等により発生する振動が、測定基準である補助体6に伝達することを防止するために、補助体は小型の3台のアクティブ除振台15で研削装置本体に支持されている。さらに、本研削装置の加工時におけるダイヤモンド砥石10の回転により発生する振動の振動数が、30〜50Hz程度であることに配慮し、共振を避けるために、前記補助体6の固有振動数を、前記ダイヤモンド砥石10の回転により発生する振動周波数の数倍の値になるように設計、製作されている。次に本研削加工装置の加工操作について説明する。まず、被加工物であるワーク8は雇いを介してワークスピンドル7上に戴置される。ワークスピンドル7はXステージ9に設置されており水平方向の一軸に移動できるようになっている。研削工具であるダイヤモンド砥石10は、工具スピンドル11に取り付けられており、Zステージ3に設置されている。研削加工に際しては、ワークスピンドル7上に戴置され回転しているワーク8がXステージ9の動作にともないX方向に移動するのに同期して、Zステージ3を駆動させて工具スピンドル11に取り付けられ回転しているダイヤモンド砥石10を上下させることにより、ワーク8を軸対称の3次元形状に創成できる。ここで、第一、第二のレシーバ5、5´はともに補助体6に設置されており、補助体6自身は前述の測長部の外乱を受けないようにベース1およびコラム2にアクティブ除振台15を介して支持されているため、第一、第二のレシーバ5、5´間の距離Lは安定した長さを持つ測定基準となる。第一、第二のレシーバ5、5´間距離Lは、第一のミラー4と第一のレシーバ5の真の距離D1と第二のミラー4´と第二のレシーバ5´の真の距離D2と、第一のミラーと第二のミラーの真の距離D3の和で表され、L=D1+D2+D3となる。ここで、課題を解決するための手段の項に記載した通り、第一のミラー4と第一のレシーバ5の距離と、第二のミラー4´と第二のレシーバ5´の距離を測長することにより、移動体であるZステージ3に工具スピンドル11を介して取り付けられたダイヤモンド砥石10の移動量つまり加工量を測定できる。そして、測定された加工量をさらに制御系へフィードバックすることによって、ワーク8の研削加工量を精度よく測定することができる。次に本実施形態で用いられている測長系について説明する。レーザ光源12から出射された測長用のレーザ光線はミラー13により、2方向(上下方向)に分けられる。下方向に向かったレーザ光線は、補助体6下部に設置された第二のレシーバ5´を通って、ワークスピンドル7下部に設けられた第二のミラー4´に反射され、再び第二のレシーバ5´に戻り、該レシーバ5´とミラー4´との距離(D2)を常時測定する。一方、上方に向かったレーザ光線は補助体6上部に設置された第一のレシーバ5を通って、Zステージ3に取り付けられた工具スピンドル11上部に設置された第一のミラー4で反射されて、補助体6に設置された第一のレシーバ5とZステージ3上の第一のミラー4の距離(D1)を常時測定する。ワーク8の加工にともなうXステージ9の動きによるZ方向の変動をD2より検出し、その変動分をキャンセルするように,前記Zステージ3の位置を制御する。このことにより、Xステージ9の送りによるZ方向(上下方向)変動を測定し、ワーク8とダイヤモンド砥石10の距離をワーク形状から計算された値に補正することができる。
【発明の効果】以上のように本発明によれば、振動、熱変位といった外乱要因の測長への影響を極力排除することができることから、振動、熱変位を嫌う、高い精度を要求される加工装置や計測装置の測長に適用することにより、ワークの加工精度や測定精度向上の効果がある。
【出願人】 【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
【出願日】 平成11年1月12日(1999.1.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−205816(P2000−205816A)
【公開日】 平成12年7月28日(2000.7.28)
【出願番号】 特願平11−5117