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【発明の名称】 超音波計測装置
【発明者】 【氏名】千星 淳

【氏名】落合 誠

【氏名】兼本 茂

【要約】 【課題】計測対象の位置および形状を圧力波によって非接触で精度よく測定すると共に、同時に圧力波の発生位置および圧力波の伝播する空間の温度分布をも非接触で精度よく測定する。

【解決手段】計測対象の表面1の既知の複数位置に圧力波発生装置2で圧力波5を発生させ、該各発生位置から伝播される各圧力波5を未知の位置に設置して移動可能にされた圧力波検出装置6によって個別に検出する。また、各圧力波5の伝播時間を伝播時間測定装置7,8を用いて測定した後、各伝播時間に基づいて、演算装置9によって圧力波検出装置6の設定位置を算出し、これによって未知であった圧力波検出装置6の設定位置ならびに移動位置を測定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 計測対象の既知の複数位置に圧力波を発生させる圧力波発生装置と、前記各圧力波の発生位置に対向する未知の位置に設置して移動可能にされ、該各発生位置から伝播される各圧力波を個別に検出する圧力波検出装置と、前記検出される各圧力波の伝播時間をそれぞれに測定する伝播時間測定装置と、前記測定される各伝播時間によって前記圧力波検出装置の設置位置ならびに移動位置を算出する演算装置とを備えることを特徴とする超音波計測装置。
【請求項2】 計測対象の未知の位置に圧力波を発生させる圧力波発生装置と、前記圧力波の発生位置に対向する既知の複数位置に各別に設置されて、該発生位置から伝播される圧力波を個々に検出する各圧力波検出装置と、前記各別に検出される圧力波の伝播時間をそれぞれに測定する伝播時間測定装置と、前記測定される各伝播時間によって前記圧力波の発生位置を算出する演算装置とを備えることを特徴とする超音波計測装置。
【請求項3】 計測対象の既知の位置に圧力波を発生させる圧力波発生装置と、前記圧力波の発生位置に対向する既知の位置に設置されて、該発生位置から伝播される圧力波を検出する圧力波検出装置と、前記検出される圧力波の伝播時間を測定する伝播時間測定装置と、前記測定される伝播時間によって前記圧力波の発生位置と圧力波検出装置間での圧力波の伝播速度を算出する演算装置とを備え、前記圧力波の伝播速度を複数箇所対応の相当分算出し、該算出されるそれぞれの各圧力波の伝播速度により、CT法を用いて伝播空間中の温度分布を計測できるようにしたことを特徴とする超音波計測装置。
【請求項4】 計測対象の既知の位置に圧力波を発生させる圧力波発生装置と、前記圧力波の発生位置に対向する既知の位置に設置されて、該発生位置から伝播される圧力波を検出する圧力波検出装置と、前記検出される圧力波の伝播時間を測定する伝播時間測定装置と、前記測定される伝播時間によって前記圧力波の発生位置と圧力波検出装置間の距離を算出する演算装置とを備え、前記圧力波の発生位置と圧力波検出装置間の距離を複数箇所対応の相当分算出し、該算出されるそれぞれの各距離によって、圧力波の発生位置対応部分の表面形状を計測できるようにしたことを特徴とする超音波計測装置。
【請求項5】 前記圧力波発生装置として、レーザー光を照射して照射位置に圧力波を発生させるレーザー光発生装置を用い、或いは前記圧力波検出装置として、前記圧力波を検出して電圧信号に変換する圧電トランスデューサーを用いることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の超音波計測装置。
【請求項6】 前記圧力波検出装置として、少なくとも4個以上の各圧力波検出装置を設け、該各圧力波検出装置で検出される圧力波のうちで、検出レベルの高い少なくとも3つの検出信号を前記演算装置による各圧力波の発生位置の測定演算に用いることを特徴とする請求項2に記載の超音波計測装置。
【請求項7】 前記各圧力波検出装置には、指向性の高い装置構成をそれぞれに用い、該各高指向性の圧力波検出装置によって高レベルの各圧力波信号を検出し、該高レベルの各圧力波信号を前記演算装置による各圧力波位置の測定演算に用いることを特徴とする請求項2に記載の超音波計測装置。
【請求項8】 前記伝播時間測定装置は、測定した各伝播時間によって対応する各圧力波の検出レベルおよび/または位置データを補正する機能を有することを特徴とする請求項2に記載の超音波計測装置。
【請求項9】 前記伝播時間測定装置は、前記圧力波検出装置の指向性に対応して前記圧力波の検出信号を補正する機能を有することを特徴とする請求項2に記載の超音波計測装置。
【請求項10】 前記演算装置の出力側には、該演算装置によって測定された各圧力波検出装置の位置、および各圧力波の検出レベルをリアルタイムで表示する表示装置を設けたことを特徴とする請求項2に記載の超音波計測装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、計測対象の表面に対する超音波の送波、および該表面から反射される圧力波の圧力波検出装置による受波を利用して、計測対象の位置および形状、圧力波検出装置の位置、ないしは圧力波の伝播空間の温度分布を計測するための超音波計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、この種の計測対象として距離の検出手段には、超音波距離計やレーザー距離計(レーザーレンジファインダー)などが用いられている。
【0003】まず、前者の超音波距離計による距離の検出ついて説明する。この超音波距離計は、超音波の送受波を利用するもので、超音波発振器から計測対象に対して超音波を照射(送波)すると共に、該計測対象からの反射圧力波を超音波検出器によって検出(受波)することにより、計測対象までの超音波の往復に要した経過時間、つまり、伝播時間(TOF:Time of Flight)を基準にとり、計測対象までの距離を計測するようにしている。
【0004】具体的には、例えば、図7に示すように、発振器/検出器を兼ねたトランスデューサーを用いるのが一般的である。
【0005】すなわち、図7を参照して、トランスデューサー6からは、まず、トリガー信号により、計測対象に向けて超音波信号13aを放射する。該超音波信号13aは、計測対象の表面1で反射され、この反射波信号13bがトランスデューサー6によって検出される。ついで、該検出信号は、A/D変換器7、信号処理装置8を経た後、ディジタル計算機10により、その放射から検出までの伝播時間が演算され、該伝播時間を基にして表面1、ひいては所要の計測対象までの距離が測定されるのである。
【0006】図8には、上記トリガー信号と反射波信号(受波信号)13bとの関係の一例を示す。ここで、計測対象の表面1に対する超音波の伝播時間は、該図8におけるトリガー信号の立ち上りと受波信号の立ち上がりとの間の経過時間tTOF に相当する。従って、計測対象の表面1とトランスデューサー6間に介在される伝播媒質、例えば、この場合には、空間中での超音波の伝播速度vをあらかじめ確認しておくことにより、この計測対象の表面1とトランスデューサー6間の距離Lは、2L=v×tTOFであるから、L=v×tTOF /2として求めることができる。
【0007】また、後者のレーザー距離計による距離の検出ついては、上記超音波に代えてレーザー光を送受信することでTOFを求め、これによって計測対象までの距離を測定するものである。
【0008】一方、計測対象の表面形状を計測する装置としては、レーザーのスリット光を該計測対象の表面に照射して反射光を複眼のCCDカメラに入射させ、その視差から3次元形状を計測するものがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来の超音波距離計の場合には、超音波を発振させるためのインピーダンスなどの関係から、比較的低周波の超音波を用いなければならず、この結果、検出器で検出される反射波信号の立ち上がりがゆるやかであって、その立ち上がり点を正確に捉えることが困難である。一方、放射される超音波の広がりもまた大きく、複雑な表面形状を有する計測対象にあっては、同様に正確な距離を求めることができない。
【0010】また、レーザー距離計においては、そのレーザー光自体が光速度であるので、特に計測対象の表面に対して近距離で適用する場合、そのTOFが非常に短くて時間管理が極めて困難である。
【0011】さらに、CCDカメラの視差によって計測対象の3次元形状を計測する装置では、照明光による影響が大きく、その使用環境に厳しい条件が必要になるものであった。
【0012】従って、本発明の目的とするところは、計測対象としての任意の物体の位置および形状を圧力波によって非接触で精度よく測定できるようにし、また、同時に圧力波の発生位置および圧力波の伝播する空間の温度分布をも非接触で精度よく測定できるようにした超音波計測装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の超音波計測装置は、計測対象の既知の複数位置に圧力波を発生させる圧力波発生装置と、前記各圧力波の発生位置に対向する未知の位置に設置して移動可能にされ、該各発生位置から伝播される各圧力波を個別に検出する圧力波検出装置と、前記検出される各圧力波の伝播時間をそれぞれに測定する伝播時間測定装置と、前記測定される各伝播時間によって前記圧力波検出装置の設置位置ならびに移動位置を算出する演算装置とを備えることを特徴としている。
【0014】本請求項1の超音波計測装置では、圧力波発生装置を用いて、計測対象の既知の複数位置に圧力波を発生させ、該各発生位置から伝播される各圧力波が未知の位置に設置して移動可能にされた圧力波検出装置で個別に検出される。また、これらの各圧力波の伝播時間は、伝播時間測定装置によってそれぞれに測定され、かつ演算装置では、各伝播時間に基づいて圧力波検出装置の設定位置ならびに移動位置が算出される。
【0015】本発明の請求項2に記載の超音波計測装置は、計測対象の未知の位置に圧力波を発生させる圧力波発生装置と、前記圧力波の発生位置に対向する既知の複数位置に各別に設置されて、該発生位置から伝播される圧力波を個々に検出する各圧力波検出装置と、前記各別に検出される圧力波の伝播時間をそれぞれに測定する伝播時間測定装置と、前記測定される各伝播時間によって前記圧力波の発生位置を算出する演算装置とを備えることを特徴としている。
【0016】本請求項2の超音波計測装置では、圧力波発生装置を用いて、計測対象の未知の位置に圧力波を発生させ、該発生位置から伝播される各圧力波が既知の複数位置に各別に設置した圧力波検出装置で各別に検出される。また、これらの各圧力波の伝播時間は、伝播時間測定装置によってそれぞれに測定され、かつ演算装置では、各伝播時間に基づいて圧力波の発生位置が算出される。
【0017】本発明の請求項3に記載の超音波計測装置は、計測対象の既知の位置に圧力波を発生させる圧力波発生装置と、前記圧力波の発生位置に対向する既知の位置に設置されて、該発生位置から伝播される圧力波を検出する圧力波検出装置と、前記検出される圧力波の伝播時間を測定する伝播時間測定装置と、前記測定される伝播時間によって前記圧力波の発生位置と圧力波検出装置間での圧力波の伝播速度を算出する演算装置とを備え、前記圧力波の伝播速度を複数箇所対応の相当分算出し、該算出されるそれぞれの各圧力波の伝播速度により、CT法を用いて伝播空間中の温度分布を計測できるようにしたことを特徴としている。
【0018】本請求項3の超音波計測装置では、圧力波発生装置を用いて、計測対象の既知の位置に圧力波を発生させ、該発生位置から伝播される圧力波が既知の位置に設置した圧力波検出装置で検出される。また、この圧力波の伝播時間は、伝播時間測定装置によって複数箇所対応の相当分測定され、かつ演算装置においては、各伝播時間に基づいて圧力波の発生位置と圧力波検出装置間での各圧力波の伝播速度が算出されると共に、これらの各圧力波の伝播速度から、CT法を用いて伝播空間中の温度分布が計測される。
【0019】本発明の請求項4に記載の超音波計測装置は、計測対象の既知の位置に圧力波を発生させる圧力波発生装置と、前記圧力波の発生位置に対向する既知の位置に設置されて、該発生位置から伝播される圧力波を検出する圧力波検出装置と、前記検出される圧力波の伝播時間を測定する伝播時間測定装置と、前記測定される伝播時間によって前記圧力波の発生位置と圧力波検出装置間の距離を算出する演算装置とを備え、前記圧力波の発生位置と圧力波検出装置間の距離を複数箇所対応の相当分算出し、該算出されるそれぞれの各距離によって、圧力波の発生位置対応部分の表面形状を計測できるようにしたことを特徴としている。
【0020】本請求項4の超音波計測装置では、圧力波発生装置を用いて、計測対象の既知の位置に圧力波を発生させ、該発生位置から伝播される圧力波が既知の位置に設置した圧力波検出装置で検出される。また、この圧力波の伝播時間は、伝播時間測定装置によって複数箇所対応の相当分測定され、かつ演算装置においては、各伝播時間に基づいて圧力波の発生位置と圧力波検出装置間の各距離が算出されると共に、これらの算出される各距離によって、圧力波の発生位置に対応する部分の表面形状が計測される。
【0021】本発明の請求項5に記載の超音波計測装置は、請求項1ないし4の何れか1項の超音波計測装置において、前記圧力波発生装置として、レーザー光を照射して照射位置に圧力波を発生させるレーザー光発生装置を用い、また、前記圧力波検出装置として、前記圧力波を検出して電圧信号に変換する圧電トランスデューサーを用いることを特徴としている。
【0022】本請求項5の超音波計測装置では、圧力波発生装置にレーザー光発生装置を用いることで、指向性に優れたレーザー光によって圧力波の発生位置ないしは複数の各圧力波の発生位置が特定もしくはほぼ特定される。
【0023】本発明の請求項6に記載の超音波計測装置は、請求項2の超音波計測装置において、前記圧力波検出装置として、少なくとも4個以上の各圧力波検出装置を設け、該各圧力波検出装置で検出される圧力波のうちで、検出レベルの高い少なくとも3つの検出信号を前記演算装置による各圧力波の発生位置の測定演算に用いることを特徴としている。
【0024】本請求項6の超音波計測装置では、圧力波検出装置として、少なくとも4個以上の各圧力波検出装置を設け、検出される圧力波のうちで、検出レベルの高い少なくとも3つの検出信号を演算装置による各圧力波の発生位置の測定に用いることで、測定精度の向上がなされる。
【0025】本発明の請求項7に記載の超音波計測装置は、請求項2の超音波計測装置において、前記各圧力波検出装置には、指向性の高い装置構成をそれぞれに用い、該各高指向性の圧力波検出装置によって高レベルの各圧力波信号を検出し、該高レベルの各圧力波信号を前記演算装置による各圧力波位置の測定演算に用いることを特徴としている。
【0026】本請求項7の超音波計測装置では、各圧力波検出装置として、それぞれに高指向性の圧力波検出装置を用いることで、高レベルの各圧力波信号が検出され、これによって各圧力波の発生位置の測定精度が向上される。
【0027】本発明の請求項8に記載の超音波計測装置は、請求項2の超音波計測装置において、前記伝播時間測定装置は、測定した各伝播時間によって対応する各圧力波の検出レベルおよび/または位置データを補正する機能を有することを特徴としている。
【0028】本請求項8の超音波計測装置では、伝播時間測定装置によって測定される各圧力波の各伝播時間により、対応する各圧力波の検出レベルおよび/または位置データを補正することで、圧力波の発生位置の同定が正確になされる。
【0029】本発明の請求項9に記載の超音波計測装置は、請求項2の超音波計測装置において、前記伝播時間測定装置は、前記圧力波検出装置の指向性に対応して前記圧力波の検出信号を補正する機能を有することを特徴としている。
【0030】本請求項9の超音波計測装置では、伝播時間測定装置が圧力波検出装置の指向性に対応して圧力波の検出信号を補正することで、圧力波の発生位置の同定が正確になされる。
【0031】本発明の請求項10に記載の超音波計測装置は、請求項2の超音波計測装置において、前記演算装置の出力側には、該演算装置によって測定された各圧力波検出装置の位置、および各圧力波の検出レベルをリアルタイムで表示する表示装置を設けたことを特徴としている。
【0032】本請求項10の超音波計測装置では、演算装置の出力側に設けた表示装置により、該演算装置によって測定された各圧力波検出装置の位置、および各圧力波の検出レベルがリアルタイムで表示される。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る超音波計測装置の各別例による実施の形態につき、図1ないし図6を参照して詳細に説明する。なお、これらの実施形態例の各図において上記従来例の各図と同一符号は該当部分を示している。
【0034】(第1の実施形態)図1は本発明の第1の実施形態を適用した超音波計測装置の概要を示す構成説明図である。
【0035】この図1に示す第1の実施形態において、超音波計測装置は、計測対象の表面1の各特定部分(既知の複数の圧力波発生位置)にレーザー光4を照射して圧力波を発生させるレーザー光発生装置(圧力波発生装置)2、および該レーザー光発生装置2からのレーザー光4の照射位置を制御する照射位置制御装置3と、計測対象の表面1の各特定部分に対して相応の距離だけ離間した未知の位置で矢印方向へ移動可能に設置され、レーザー光4の照射によって該各特定部分毎に発生したそれぞれの各圧力波5を検出し、かつ該検出信号を電圧に変換して出力する圧電トランスデューサー(圧力波検出装置)6と、各圧力波5の伝播時間を測定するための伝播時間測定装置としての、該検出信号電圧をディジタル信号に変換するA/D変換器7、および該ディジタル信号を処理する信号処理装置8と、該処理された信号に基づいて計測対象の表面1までの距離を演算するディジタル計算機(演算装置)10とで構成されている。
【0036】上記第1の実施形態による装置構成では、計測対象の表面1の各特定部分にレーザー光発生装置2からレーザー光4を照射することにより、該各照射部分に局所的なエネルギーが加えられてプラズマが生成され、かつ該プラズマ振動によって対応する各圧力波5が発生する。本第1の実施形態においては、照射位置制御装置3の制御により、それぞれの各トリガー信号に基づき、表面1の3個所に時間差をおいてレーザー光4を照射する。
【0037】これらの時間差をおいて発生した各圧力波5は、それぞれに圧電トランスデューサー6が受波して検出され、個々に対応する各電圧信号に変換される。また、該各電圧信号は、A/D変換器7に入力されてディジタル信号に変換される。信号処理装置8には、各レーザー光4の照射時刻(各トリガー信号)と、これに対応する各ディジタル信号とが入力される。
【0038】ここで、信号処理装置8に入力される各信号の態様を図2に示す。この図2において、レーザー光4をi番目に照射した時刻をtri、i番目の圧力波5を受波した時刻をtaiとする。また、レーザー光4の伝播速度は、光速に及び圧力波5の伝播速度に比較して極めて速いことから、この場合は、レーザー光4を照射した時刻tr を圧力波5の発生した時刻とする。
【0039】従って、圧力波5の伝播時間9(tri:i=1〜3)は、tai−triによって求められる。さらに、この値をディジタル計算機10に入力することにより、該ディジタル計算機10では、このときの媒質中を伝播する圧力波4の速度vp から、その伝播距離(Lti:i=1〜3)を、Lti=vp ×ttiによって求めることができる。そして、各圧力波5の発生位置を(ai .bi .ci :i=1〜3)とし、かつ圧電トランスデューサー6の位置を(x,y,z)とすると、伝播距離との関係式は、Lti={(x−ai 2 +(y−bi 2 +(z−ci 2 1/2のようになる。
【0040】すなわち、このようにして計測対象の表面1の3個所に時間差でレーザー光4を照射し、該当する表面の3点に圧力波5を発生させることで、上記関係式がそれぞれに得られ、これをディジタル計算機10で解くことにより、各圧力波5の発生位置、ひいては矢印方向へ移動可能な圧電トランスデューサー6の設定位置ならびに移動位置を容易に同定できるのである。
【0041】(第2の実施形態)図3は本発明の第2の実施形態を適用した超音波計測装置の概要を示す構成説明図である。
【0042】この図3に示す第2の実施形態において、超音波計測装置は、計測対象としての金属壁面11と、該金属壁面11の特定部分にレーザー光4を照射して圧力波を発生させるレーザー光発生装置2と、既知の各位置にそれぞれ設置され、レーザー光4の照射によって金属壁面11の特定部分に発生した圧力波5を該当位置でそれぞれに検出し、かつ電圧信号に変換して出力する複数、この場合、3個の圧電トランスデューサー6と、以下、第1の実施形態の場合と同様に、各圧力波5の伝播時間を測定するために設けられるところの、検出電圧信号をディジタル信号に変換するA/D変換器7、および該ディジタル信号を処理する信号処理装置8と、該処理されたディジタル信号に基づいて計測対象の金属壁面11までの距離を算出するディジタル計算機10とで構成されている。
【0043】この場合、先に述べた第1の実施形態による構成が、複数の既知の位置で発生する圧力波を未知の位置に単独に設けた圧電トランスデューサーで検出し、未知である該圧電トランスデューサーの位置を演算によって同定するための装置であるのに対して、本第2の実施形態による構成では、未知の圧力波の発生位置を既知の位置に設けた複数の圧電トランスデューサーで検出し、未知である圧力波の発生位置を演算によって同定するための装置である。
【0044】すなわち、上記第2の実施形態による装置構成では、計測対象の金属表面11の特定部分にレーザー光4を照射した場合、該特定部分で発生する圧力波5を各別位置に配置させた3個の圧電トランスデューサー6によって検出し、それぞれの各圧電トランスデューサー6から個々に変換された各電圧信号を出力する。これらの検出された各電圧信号は、上記の場合と同様に、A/D変換器7によってそれぞれにディジタル信号に変換されると共に、信号処理装置8に入力されて各圧力波5の伝播時間を求める。その後、該信号処理装置8内に設けた遅延回路を用いることで、得られた各伝播時間を順次にディジタル計算機10へ入力して演算する。
【0045】ここでも、信号処理装置8に入力される各信号の態様を図4に示す。この図4においても明らかなように、本第2の実施形態においては、上記第1の実施形態の場合と同様に、それぞれの各信号の伝播時間9から、対応する伝播距離、ひいては金属表面11上の圧力波5の発生位置と各圧電トランスデューサー6の設置位置との間の距離が分かる。また、既知の位置に設置した各圧電トランスデューサー6の位置を(ai .bi .ci :i=1〜3)とし、かつ圧力波5の発生位置を(x,y,z)とするときは、上記第1の実施形態の場合と同様な関係式が得られて、ここでは、圧力波5の発生位置を容易に同定できるのである。
【0046】この場合、圧電トランスデューサー6として、少なくとも4個以上の圧電トランスデューサー6を設け、これらの各圧電トランスデューサー6で検出されるそれぞれの各圧力波のうちで、比較的検出レベルの高い少なくとも3つの検出信号をディジタル計算機10へ入力して各圧力波の発生位置の測定に用いるときは、該測定結果の精度を一層高めることができる。
【0047】(第3の実施形態)図5は本発明の第3の実施形態を適用した超音波計測装置の概要を示す構成説明図である。
【0048】この図5に示す第3の実施形態において、超音波計測装置は、計測対象の表面1の各特定部分にレーザー光4を照射して圧力波を発生させるレーザー光発生装置2、および該レーザー光発生装置2からのレーザー光4の照射位置を各別に制御する照射位置制御装置3と、レーザー光4の照射によって計測対象の表面1の各特定部分にそれぞれに発生させた各圧力波5を検出し、かつ電圧信号に変換して出力するための、この場合、2個の圧電トランスデューサー6と、以下、第1および第2の各実施形態の場合と同様に、各圧力波5の伝播時間を測定するために設けられるところの、検出電圧信号をディジタル信号に変換するA/D変換器7、および該ディジタル信号を処理する信号処理装置8と、該処理されたディジタル信号に基づいて計測対象の表面1までの距離を算出するディジタル計算機10とで構成されている。
【0049】すなわち、本第3の実施形態による装置の構成は、上記第1の実施形態の場合の装置構成とほぼ同様であるが、各圧力波5を受信するそれぞれの圧電トランスデューサー6の設置位置が既知である点で異なっている。
【0050】この第3の実施形態の場合には、各圧力波5の発生位置と、該各圧力波5を検出するそれぞれの圧電トランスデューサー6の設置位置とが既知であること、つまり、両者間の距離が確定されているため、これらの両者間での各圧力波5の伝播時間9を測定して、その平均速度を求めることができる。一方、圧力波5の速度は温度に依存し、かつその伝播空間の温度分布の情報を有しているから、同図5に見られるように、これを多点(この場合、3点)で測定することにより、CT法を用いて温度の空間分布を容易に求め得るのである。
【0051】(第4の実施形態)図6は本発明の第4の実施形態を適用した超音波計測装置の概要を示す構成説明図である。
【0052】この図6に示す第4の実施形態において、超音波計測装置は、計測対象としての金属壁面11と、該金属壁面11の特定部分にレーザー光4を照射して圧力波を発生させるレーザー光発生装置2と、既知の各位置にそれぞれ設置され、レーザー光4の照射によって金属壁面11の特定部分に発生した圧力波5を個別に検出し、かつ電圧に変換してそれぞれに出力する複数、この場合、3個の圧電トランスデューサー6と、ここでも同様に、該個別に検出された各圧力波5の伝播時間と各圧電トランスデューサー6の最大出力値とを測定するための、検出電圧信号をディジタル信号に変換するA/D変換器7、および該各ディジタル信号を処理する信号処理装置8と、該処理された各ディジタル信号に基づいて圧力波5の発生位置を算出すると共に、この場合にはレーザー光4の強度の補正計算を行うディジタル計算機10と、演算結果の圧力波5の発生位置と強度とをそれぞれに表示する表示装置12とで構成されている。
【0053】ここで、圧力波5の強度は、伝播距離(あるいは伝播時間)に対応して減衰することが知られている。このときの減衰の程度の関数をf(tp )とし(l:伝播時間)、f(0)=1、f(∞)=0とする。また、ディジタル計算機10においては、圧電トランスデューサー6の最大出力値と圧力波5の伝播時間を入力して、上記第2の実施形態の場合と同様に伝播距離を求め、さらに、最大出力値P(i)(i=1〜3)を減衰の程度の関数f(tp )と伝播時間とから、次の式によってレーザー光4の強度を補正する。
【0054】Pr(i)=P(i)/f(tp
また、上記補正方法としては、別に圧電トランスデューサー6の指向性を減衰の程度の関数f(tp )に代えて用いることも可能である。
【0055】以上の結果から、本第4の実施形態においては、ディジタル計算機10で求めた圧力波5の発生位置および強度をリアルタイムで表示装置12に表示させることにより、金属壁面11の何れの位置にどのような強度で圧力波5が発生したかを容易に監視できるのである。
【0056】従って、ここでは、本第4の実施形態の場合を含んで上記第2の実施形態においては、各圧電トランスデューサー6として、それぞれに比較的指向性の高い圧電トランスデューサー6を用い、これらの各高指向性の圧電トランスデューサー6によって高レベルの各圧力波5を検出し、該高レベルの各圧力波5の信号をディジタル計算機10による圧力波の発生位置の演算に用いることによっても、同様に測定結果の精度を一層高めることができる。
【0057】また、信号処理装置8によって求めた各圧力波5の伝播時間を用い、それぞれに対応の各圧力波5の検出レベルおよび/または位置データの補正をなすようにすることで、圧力波の発生位置の同定を正確に行い得る。
【0058】さらに、信号処理装置8に関しては、圧電トランスデューサー6の指向性に対応して各圧力波5の検出信号を補正する機能を与えることによっても、圧力波の発生位置の同定に効果的である。
【0059】
【発明の効果】以上、各実施形態例によって詳述したように、請求項1に記載の超音波計測装置によれば、計測対象の既知の複数位置に圧力波発生装置で圧力波を発生させ、該各発生位置から伝播される各圧力波を未知の位置に設置して移動可能にされた圧力波検出装置によって個別に検出でき、かつ各圧力波の伝播時間を伝播時間測定装置を用いてそれぞれに測定した後、各伝播時間に基づき、演算装置によって圧力波検出装置の設定位置を算出するようにしたので、未知であった圧力波検出装置の設定位置ならびに移動位置を精度よく容易に測定できる。
【0060】また、本発明の請求項2に記載の超音波計測装置によれば、計測対象の未知の位置に圧力波発生装置で圧力波を発生させ、該発生位置から伝播される各圧力波を既知の複数位置に設置した各圧力波検出装置によって個々に検出でき、かつ各圧力波の伝播時間を伝播時間測定装置を用いてそれぞれに測定した後、各伝播時間に基づき、演算装置によって圧力波の発生位置を算出するようにしたので、未知であった圧力波の発生位置を精度よく容易に測定できる。
【0061】また、本発明の請求項3に記載の超音波計測装置によれば、計測対象の既知の位置に圧力波発生装置で圧力波を発生させ、該発生位置から伝播される圧力波を既知の位置に設置した圧力波検出装置によって検出でき、かつ圧力波の伝播時間を伝播時間測定装置を用いて複数箇所対応の相当分測定した後、各伝播時間に基づき、演算装置によって圧力波の発生位置と圧力波検出装置間での各圧力波の伝播速度を算出できるようにしたので、これらの各圧力波の伝播速度から、CT法によって伝播空間中における温度分布を容易に計測することができる。
【0062】また、本発明の請求項4に記載の超音波計測装置によれば、計測対象の既知の位置に圧力波発生装置で圧力波を発生させ、該発生位置から伝播される圧力波を既知の位置に設置した圧力波検出装置によって検出でき、かつ圧力波の伝播時間を伝播時間測定装置を用いて複数箇所対応の相当分測定した後、各伝播時間に基づき、演算装置によって圧力波の発生位置と圧力波検出装置間の各距離を算出できるようにしたので、これらの算出される各距離によって、圧力波の発生位置に対応する部分の表面形状を容易に計測することができる。
【0063】また、本発明の請求項5に記載の超音波計測装置によれば、請求項1ないし4の何れか1項の超音波計測装置において、圧力波発生装置にレーザー光発生装置を用いるようにしたので、指向性に優れたレーザー光によって圧力波の発生位置ないしは複数の各圧力波の発生位置を特定もしくはほぼ特定することができ、この結果、測定精度の向上を効果的かつ容易に図り得る。
【0064】また、本発明の請求項6に記載の超音波計測装置によれば、請求項2の超音波計測装置において、圧力波検出装置として、少なくとも4個以上の各圧力波検出装置を設け、該各圧力波検出装置で検出される圧力波のうちで、検出レベルの高い少なくとも3つの検出信号を演算装置による各圧力波の発生位置の測定に用いるようにしたので、ここでも結果的に測定精度の向上を効果的かつ容易に図り得る。
【0065】また、本発明の請求項7に記載の超音波計測装置によれば、請求項2の超音波計測装置において、各圧力波検出装置として、それぞれに高指向性の圧力波検出装置を用いるようにしたので、高レベルの各圧力波信号を容易に検出することができ、この結果、同様に測定精度の向上を効果的かつ容易に図り得る。
【0066】また、本発明の請求項8に記載の超音波計測装置によれば、請求項2の超音波計測装置において、伝播時間測定装置によって測定される各圧力波の各伝播時間により、対応する各圧力波の検出レベルおよび/または位置データを補正するようにしたので、この場合は、圧力波の発生位置の同定を一層正確に行い得る。
【0067】また、本発明の請求項9に記載の超音波計測装置によれば、請求項2の超音波計測装置において、伝播時間測定装置が圧力波検出装置の指向性に対応して圧力波の検出信号を補正するようにしたので、この場合にも、圧力波の発生位置の同定を一層正確に行い得る。
【0068】さらに、本発明の請求項10に記載の超音波計測装置によれば、請求項2の超音波計測装置において、演算装置の出力側に設けた表示装置により、該演算装置によって測定された各圧力波検出装置の位置、および各圧力波の検出レベルをリアルタイムで表示するようにしたので、計測対象の何れの位置にどのような強度で圧力波が発生したかを容易に監視できる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成10年12月3日(1998.12.3)
【代理人】 【識別番号】100077849
【弁理士】
【氏名又は名称】須山 佐一
【公開番号】 特開2000−171232(P2000−171232A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−344426