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【発明の名称】 ワーク面計測治具、計測装置及び計測方法
【発明者】 【氏名】立澤 清美

【要約】 【課題】型の成形面やモデルの表面等の各種ワーク面を、簡便かつ安価な設備で容易かつ迅速に計測することができるようにする。

【解決手段】ワーク面計測治具1は、スピンドル5の動きを読み取るダイヤルゲージ2と、ダイヤルゲージ2を保持するゲージ保持部材10とからなり、ゲージ保持部材10は、ダイヤルゲージ2を取り付ける取付部と、スピンドル5とは反対側であってかつ同軸上に位置するシャンク部とを備える。ワーク面計測装置20には、テーブル21と、チャック部23を備えるヘッド22とが、XYZ軸の各方向に相対変位可能に設けられ、そのXYZ変位量を計測する変位計測器24を備えている。チャック部23にワーク面計測治具1がシャンク部17において掴持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スピンドルの動きを読み取る小型測定器と、小型測定器を保持する保持部材とからなり、保持部材が、小型測定器を取り付ける取付部と、スピンドルとは反対側であってかつ同軸上に位置するシャンク部とを備えるワーク面計測治具。
【請求項2】 ワークを載せるテーブルとチャック部を備えるヘッドとがX,Y,Z軸方向に相対変位可能に設けられ、そのX,Y,Z変位量を計測する変位計測器を備え、チャック部に請求項1記載のワーク面計測治具がそのシャンク部において掴持されてなるワーク面計測装置。
【請求項3】 請求項2記載のワーク面計測装置を使用し、ワークをテーブルに載せ、テーブルとヘッドとをX,Y軸方向に相対変位させてスピンドルの真下にワーク面の一つの計測点を位置させ、テーブルとヘッドとをZ軸方向に相対変位させてスピンドルの先端を小型測定器が所定の数値を指すまで前記計測点に押し当て、その所定の数値を指した時のX,Y,Z変位量を変位計測器により計測し、以後、同様に複数の計測点においてX,Y,Z変位量を計測することを特徴とするワーク面計測方法。
【請求項4】 小型測定器が、ダイヤルゲージ又は電気マイクロメーターである請求項1記載のワーク面計測治具、請求項2記載のワーク面計測装置又は請求項3記載のワーク面計測方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、型の成形面やモデルの表面等の各種ワーク面における複数の計測点を計測して点群座標データを取るためのワーク面計測治具、計測装置及び計測方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】最近の金型の成形面は三次元CADデータに基づいて製作されているが、製作後に成形面の一部をチューニング(本明細書では、製作時の凹凸を直したり、溝等の新しい凹凸を形成したりする各種調整加工をチューニングと総称する。)したい場合がある。従来は、次のいずれかの方法でチューニング用データを作成し、そのチューニング用データに基づいて機械加工等でチューニングしていた。
【0003】(1)三次元CADデータを直してチューニング用データを作成する方法。しかし、三次元CADデータを直すには、多大な手間を要し、何日もかかることが多く、コストもかさんでいた。
【0004】(2)製作された成形面そのものを計測してプレイバックデータを作成し、そのプレイバックデータを直してチューニング用データを作成する方法。特に、製作された成形面を手加工でチューニングしたような場合、その後は三次元CADデータで合わせることができなくなるため、このプレイバックデータの作成が必須になる。しかし、従来の成形面の計測は、非接触型(レーザーデジタイザー等)又は接触型(スタイラスデジタイザー等)の非常に高価な計測機器を使用し、成形面の多数の計測点を計測して点群三次元座標データを取る必要があったため、設備費がかかり、手間も時間もかかっていた。
【0005】そこで、本発明の目的は、型の成形面やモデルの表面等の各種ワーク面を、簡便かつ安価な設備で容易かつ迅速に計測することができるワーク面計測治具、計測装置及び計測方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るワーク面計測治具は、スピンドルの動きを読み取る小型測定器と、小型測定器を保持するゲージ保持部材とからなり、ゲージ保持部材が、小型測定器を取り付ける取付部と、スピンドルとは反対側であってかつ同軸上に位置するシャンク部とを備える。
【0007】本発明に係るワーク面計測装置は、ワークを載せるテーブルとチャック部を備えるヘッドとがX,Y,Z軸方向に相対変位可能に設けられ、そのX,Y,Z変位量を計測する変位計測器を備え、チャック部に上記ワーク面計測治具がそのシャンク部において掴持されてなる。
【0008】本発明に係るワーク面計測方法は、上記ワーク面計測装置を使用し、ワークをテーブルに載せ、テーブルとヘッドとをX,Y軸方向に相対変位させてスピンドルの真下にワーク面の一つの計測点を位置させ、テーブルとヘッドとをZ軸方向に相対変位させてスピンドルの先端を小型測定器が所定の数値を指すまで前記計測点に押し当て、その所定の数値を指した時のX,Y,Z変位量を変位計測器により計測し、以後、同様に複数の計測点においてX,Y,Z変位量を計測することを特徴とする。
【0009】上記小型測定器は、スピンドルの動きを読み取ることができ、且つチャックで掴持できる小型のものであれば、特定のものに限定されず、ダイヤルゲージ、電気マイクロメーター等を例示できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を金型の成形面の計測に使用するワーク面計測装置等に具体化した実施形態例について、図面を参照して説明する。図1はワーク面計測装置の全体を示し、図2及び図3は同計測装置に使用するワーク面計測治具を示し、図4は同計測装置を使用して行うワーク面計測方法を示している。
【0011】まず、ワーク面計測治具1は、図2及び図3に示すように、スピンドル5の動き(ここでは直線運動)を拡大して読み取るダイヤルゲージ2と、ダイヤルゲージ2を保持するゲージ保持部材10とからなる。
【0012】ダイヤルゲージ2は、ごく一般的なもので、円形ケース3と、円形ケース3から突設されたスリーブ状のステム4と、ステム4内にガイドされて直線的に動きうるスピンドル5と、円形ケース3内の目盛盤7及び指針8と、スピンドル5の動きを拡大して指針8の回転に変換する歯車列(図示略)とを備えている。スピンドル5には測定子6が取り付けられている。本例の目盛盤7は1周100目盛で1mm、すなわち0.01mm/目盛である。
【0013】ゲージ保持部材10は、ダイヤルゲージ2を取り付ける取付部11と、スピンドル5とは反対側であってかつ同軸上に位置するシャンク部17とを備える。取付部11は、円形ケース3を内挿しうる環状部12と、環状部12の側端面の一部に凹設された凹所13にネジ14で取り付けられる押え片15とを備え、凹所13及び押え片15にはステム4を挟持するための挟持溝16が凹設されている。シャンク部17は、凹所13とは180度反対側の環状部12の外周面に一体的に突設されている。
【0014】そして、環状部12に円形ケース3を内挿するとともに、凹所13の挟持溝16にステム4を嵌合し、凹所13に押え片15をネジ14で取り付けて、両挟持溝16でステム4を挟持すれば、ゲージ保持部材10にダイヤルゲージ2が保持される。
【0015】次に、ワーク面計測装置20は、図1に示すように、一般的なボール盤を利用したものであって、そのボール盤には、ワークとしての金型30を載せるテーブル21と、チャック部23を備えるヘッド22とが、X軸(左右軸),Y軸(前後軸),Z軸(上下)の各方向に相対変位可能に設けられ、そのX,Y,Z変位量を計測する変位計測器24を備えている。本例では、X,Y軸方向の相対変位はテーブル21の移動によって行われ(ヘッド22は移動しない)、Z軸方向の相対変位はヘッド22の昇降によって行われる(テーブル21は昇降しない)。チャック部23には、上記ワーク面計測治具1がシャンク部17において掴持されている。変位計測器24は、計測したX,Y,Z変位量(原点を定めて計測すれば、その原点からのX,Y,Z座標ということになる。)を、その表示部25にリアルタイムで表示するようになっている。
【0016】上記ワーク面計測装置20を使用して、金型30の成形面31のチューニング部位を計測するには、次のような方法(工程(1)〜(3))で行う。
【0017】(1)金型30をテーブル21に載せ、挟み具26で挟持固定する。
【0018】(2)金型30の1点、例えば、図1に示すように金型30のPL面32の一つの角点を、原点Oとして定める。原点OのX,Yについては、ワーク面計測治具1に代えて公知のセンタリングゲージ(図示略)をチャック部23に取り付け、そのセンタリングゲージを金型30の原点O近傍の側面に接触させて定めることができ、その接触時の変位計測器24のX,Yをそれぞれ0,0とする。原点OのZについては、ワーク面計測治具1をチャック部23に取り付け、ヘッド22を下降させ(テーブル21とヘッド22とをZ軸方向に相対変位させ)、スピンドル5の測定子6の先端を原点Oに接触させて定める。図4には金型の二箇所が線種を変えて併記されており、実線は成形面31の一部を示し、二点鎖線は原点O近傍の金型30を示している。図4(a)に示すように、測定子6の先端が原点Oに接触していないときは、指針8が若干マイナス側に触れている。測定子6の先端が原点Oに接触すると指針8が振れはじめ、図4(b)に示すように、指針8が例えば目盛盤7の所定の数値(例えば0点)を指すまで、測定子6の先端を原点Oに押し当てる。その所定の数値を指した時の変位計測器24のZを0とする。
【0019】(3)図4(a)に示すように、スピンドル5の測定子6の真下に成形面31の一つの計測点Mを位置させて、ヘッド22を下降させ(テーブル21とヘッド22とをZ軸方向に相対変位させ)、図4(b)に示すように、測定子6の先端を指針8が目盛盤7の所定の数値(例えば0点)を指すまで前記計測点Mに押し当て、その所定の数値を指した時のX,Y,Z変位量(原点OからのX,Y,Z座標)を変位計測器24により計測する。以後、同様に、成形面31のチューニング部位における複数の計測点においてX,Y,Z座標を計測し、点群三次元座標データを得る。
【0020】以上の計測方法によれば、従来のレーザーデジタイザーを使用する計測方法と比べて、成形面31を簡便かつ安価な設備で容易かつ迅速に計測し、点群三次元座標データを得ることができる。そして、この点群三次元座標データからプレイバックデータを作成し、そのプレイバックデータを直してチューニング用データを作成し、そのチューニング用データに基づいて機械加工等で成形面31をチューニングする。なお、微小間隔で多数の計測点を計測し、きめ細かな点群三次元座標データを得るほど、滑らかなチューニング用データ及びチューニング面を得ることができる。
【0021】なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)環状部12を、円形ケース3の裏側に回り込むコ字状部又はU字状部に変更すること。
(2)目盛盤7及び指針8に代えて数値でディジタル表示できるようにしたダイヤルゲージを使用すること。
(3)ダイヤルゲージに代えて、スピンドルの動きを静電容量、インダクタンス、電気抵抗、光量等の変化に変換して読み取る電気マイクロメーター(リニアマイクロメーター)を使用すること。
【0022】
【発明の効果】本発明に係るワーク面計測治具、計測装置及び計測方法によれば、型の成形面やモデルの表面等の各種ワーク面を、簡便かつ安価な設備で容易かつ迅速に計測することができるという優れた効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】593085369
【氏名又は名称】株式会社ワールドインテック
【出願日】 平成10年8月4日(1998.8.4)
【代理人】 【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
【公開番号】 特開2000−55645(P2000−55645A)
【公開日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願番号】 特願平10−233616