| 【発明の名称】 |
陰極線管ディスプレイ画面形状のシミュレーション方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】下薗 裕明
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| 【要約】 |
【課題】陰極線管のディスプレイ画面形状およびその平坦性をシミュレーションで求める。
【解決手段】パネル内面4上の点10から出る光線群がアイエリア8に入射することにより形成される虚像点により、パネル1を介して観察されるパネル内面4の虚像点群を算出し、この虚像点群からディスプレイ画面の平坦性を評価する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】パネルを介して形成されるパネル内面の透視虚像の三次元形状を得る工程と、該三次元形状をもってディスプレイ画面形状を評価する工程とを具備することを特徴とする陰極線管ディスプレイ画面形状のシミュレーション方法。 【請求項2】パネルを介して形成されるパネル内面の透視虚像の三次元形状を得る工程が、パネル内面上の点から出発し、パネル外面で屈折してあらかじめ設定されたアイエリアへ向う光線群を求める工程と、該光線群を逆方向に延長し最も密集する点を虚像点として求める工程と、パネル内面上の多数の点から該虚像点を求めることによりパネル内面の透視虚像の三次元形状を得る工程とからなることを特徴とする請求項1記載の陰極線管ディスプレイ画面形状のシミュレーション方法。 【請求項3】パネル内面の透視虚像の三次元形状を求める工程が、パネル内面形状と外面形状、パネル中心部の厚みおよびパネルの材質であるガラスの屈折率を得る工程、パネル外面と観察者のアイエリアの距離を設定する工程、観察者のアイエリアの大きさを設定する工程、パネル内面上に複数の点を設定する工程、設定したパネル内面上の一点から観察者のアイエリアに向かう光線群を、パネル外面における屈折を考慮して光線追跡により算出する工程、これらのアイエリアに向かう光線群を逆方向に延長し、それぞれが最も密集する位置を虚像点として算出する工程およびパネル内面上の他の点について同様にして得られる虚像点から虚像点群を算出し、該虚像点群からパネル内面の虚像の三次元形状を算出する工程とを有する請求項1または2記載の陰極線管ディスプレイ画面形状のシミュレーション方法。 【請求項4】前記パネル内面形状および外面形状が、パネル形状の設計段階のデータまたは製造されたパネルの測定形状であることを特徴とする請求項3記載の陰極線管ディスプレイ画像形状のシミュレーション方法。 【請求項5】パネル内面の透視虚像の三次元形状を用いてディスプレイ画面の形状を評価する工程が、該三次元形状の奥行幅または該三次元形状を平面に近似したときの残差をもって画面の平坦性を評価する方法であることを特徴とする請求項1記載の陰極線管ディスプレイ画面形状のシミュレーション方法。 【請求項6】パネル内面の透視虚像の三次元形状を断面図または斜視図に表示することにより、ディスプレイ画面の形状を評価することを特徴とする請求項1記載の陰極線管ディスプレイ画面形状のシミュレーション方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、陰極線管ディスプレイ画面形状のシミュレーション方法に関し、特に画面の平坦性の評価に好適なものである。 【0002】 【従来の技術】近年、テレビジョン用陰極線管では画面の大型化が進み、また同時に画面の平面化が開発の重要な課題となってきた。しかし、従来陰極線管のパネル形状は、爆縮を招かないよう安全性を確保したうえで軽量化がなされるよう設計されるため、そのなかでディスプレイ画面形状にできるだけ平坦性が得られるようにすることは容易でない。画像をパネルのガラスを通して虚像として観察するため、実際のパネル内面の形状と視認される画面形状との間にはずれがあり、パネル内面の形状および平坦性がそのままディスプレイ画面に再現されないからである。そのため、パネルを陰極線管としてテレビジョンセットに組込み実際に画像を映し出すまで、その平坦性の正確な評価ができなかった。通常は経験的にディスプレイ画面形状を想定することもあるが、ディスプレイ画面形状の平坦性が良い陰極線管を開発するような場合には、実際に形状の異なるパネルを成形してセットに組込み、そのなかから画面の平坦なものを選び出さなければならなかった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このように実物のパネルを用いて平坦性の評価を行う方法は、実際にパネルを作って初めて判定可能となる。したがって、平坦性の要求を満足しない場合には、形状を再設計して成形することになり、金型製作に無駄が生じる、開発に時間を要する等の問題がある。 【0004】本発明は、このような問題に鑑み、パネル形状の設計値を用いて、陰極線管に組込んだ場合の画面形状を予測できるようにすること、また、パネルを成形した段階でその内外面形状の測定値を用いて、陰極線管に組込んだ場合の画面形状を予測できるようにすることを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成するため、パネルを介して形成されるパネル内面の透視虚像の三次元形状を得る工程と、該三次元形状をもってディスプレイ画面形状を評価する工程とを具備することを特徴とする陰極線管ディスプレイ画面形状のシミュレーション方法を提供する。 【0006】また、本発明は、パネルを介して形成されるパネル内面の透視虚像の三次元形状を得る工程が、パネル内面上の点から出発し、パネル外面で屈折してあらかじめ設定されたアイエリアへ向う光線群を求める工程と、該光線群を逆方向に延長し最も密集する点を虚像点として求める工程と、パネル内面上の多数の点から該虚像点を求めることによりパネル内面の透視虚像の三次元形状を得る工程とからなることを特徴とする前記の陰極線管ディスプレイ画面形状のシミュレーション方法を提供する。 【0007】また、本発明は、パネル内面の透視虚像の三次元形状を用いてディスプレイ画面の形状を評価する場合に、該三次元形状の奥行幅または該三次元形状を平面に近似したときの残差をもって画面の平坦性を評価することを特徴とする。 【0008】また、本発明は、パネル内面の透視虚像の三次元形状を用いてディスプレイ画面の形状を評価する場合、該三次元形状の断面図または斜視図を表示することにより行うことを特徴とする。 【0009】さらにまた、本発明は、前記パネル内面の透視虚像の三次元形状を、パネル形状の設計段階のデータまたは製造されたパネルの測定形状を用いて算出することを特徴とする。 【0010】 【発明の実施の形態】初めに、陰極線管の構造について説明する。図2にテレビジョン等に用いる陰極線管の断面図を示す。図示するように陰極線管は、映像を表示するパネル部(パネル)1、偏向コイルを装着するファンネル部2、および電子銃6を格納するネック部3からなるガラスバルブで構成され、前記パネル1のパネル内面4には、電子銃の照射により蛍光を発する蛍光膜5が塗布されている。 【0011】次に、この陰極線管の画面についてみると、通常テレビジョン映像を見る場合、人はパネル内面4に塗布された蛍光膜5の蛍光を、透明物体であるパネル1を介して見ていることになる。したがって、蛍光膜の厚みを無視すると、画面はパネルを透過して形成されるパネル内面の透視虚像ということになる。本発明は、このように観察者が実際に視認するディスプレイ画面は、パネルを透過して形成されるパネル内面の透視虚像であるとの考え方に基づきなされたものである。 【0012】図1、図3は、本発明による陰極線管ディスプレイ画面形状のシミュレーション方法を例示したものである。図1はシミュレーション方法のフローシートであり、図3はパネル1の画像面部における光線の光路を説明する部分断面図である。 【0013】図1を用いて、パネル内面の透視虚像の三次元形状を求める工程と該三次元形状を評価する工程のシミュレーション方法を具体的に説明する。図示するように該シミュレーション方法は、主として次の各ステップによって得られる。 【0014】(ステップ1)パネルの内面形状および外面形状、ならびにパネル中心部の厚みおよびパネルの材質であるガラスの屈折率を設計値から得て設定する。これらパネルの内面形状および外面形状とパネル中心部の厚みとにより、パネルの内面および外面は、三次元座標により表示し特定できる。ここで、前記パネルの内面形状および外面形状は、設計式または設計データ等の設計段階のデータより容易に得ることができるが、実際に成形されたパネルの形状測定値または該測定値から関数近似された形状式を用いて算出してもよい。 【0015】(ステップ2)パネル外面と観察者の距離を設定する。この距離は、パソコン等に用いられるモニターでは、300〜1000mm程度に、大型テレビモニターでは1000〜5000mm以上と、使用される状況を想定して設定するのがよい。 【0016】(ステップ3)観察者のアイエリアの大きさを設定する。観察者のアイエリアの大きさは、単眼で観察するとして2〜10mm程度の直径を持つ円としても、また両眼で観察するとして60〜120mm程度の直径を持つ円としてもよい。また、両眼における視差を求めるため、直径2〜10mm程度の円を2個、60〜120mm離して設定してもよい。この場合には、片側ずつ虚像を求め、その差異から視差を求めることができる。 【0017】(ステップ4)パネル内面上に複数の点を設定する。これらの点に基づいて平面性を判断するので、ディスプレイ画面形状を評価する観点からは通常100〜200個程度を選定するのがよい。パネルの内面または外面の例えば成形で生じる局所的な形状変化を一緒に評価する場合は、更に点数を増加する。そして、パネル内面全体の透視虚像を評価できるように、これらの点はできるだけパネルの全域に分散させる。 【0018】(ステップ5)設定したパネル内面上の一点から観察者のアイエリアに向う光線群を、パネル外面における屈折を考慮して光線追跡により算出する。 【0019】(ステップ6)これらのアイエリアに向う光線群を逆方向に延長し、それぞれが最も密集する位置を虚像点として算出する。 【0020】前記ステップ5およびステップ6を図3を用いて説明する。パネルの内面4上に設定した点10から観察者のアイエリア8へ向う光線群を、パネル外面7での屈折を考慮して算出する。その光線群を逆方向に延長し、最も密集する点11として虚像点を求める。この虚像点11は、光線群が最も密集する位置として、各光線との距離の二乗の総和が最小となる点として算出することができる。パネル内面上の他の点について、この計算を繰返すことにより虚像点群を算出する。 【0021】図3の破線9は、かくして得られる虚像点により形成される、つまり前記虚像点群により得られる虚像面である。したがって、この虚像点群がパネル内面の虚像、すなわち観察者が見ているディスプレイ画面の三次元形状を表している。 【0022】(ステップ7)最後に前記虚像点群として得られるパネル内面の透視虚像の三次元形状をもってディスプレイ画面の評価を行う。この評価方法の一つであるディスプレイ画面の平坦性の評価は、前記三次元形状の奥行幅または三次元形状を平面に近似したときの残差をもって行うのが有効である。前者は、虚像点群の座標のz方向の最大値および最小値の差すなわち奥行幅を用いるもので、次式により算出することができる。ここで、z方向とはパネルから観察者へ向う方向であり、Zmax は虚像点のz座標の最大値、Zmin は虚像点のz座標の最小値である。奥行幅=Zmax −Zmin【0023】また、後者は虚像点群を平面に最小二乗近似し、残差の二乗和の平均の平方根をもって虚像の平坦度を表現するものである。数1に残差二乗和の平均の平方根の算出式を示す。この式で、Nはパネル内面に設定した点の数、mは虚像点のz座標の平均値である。 【0024】 【数1】
【0025】これら奥行幅、または残差二乗和の平均の平方根は、パネルの設計値から計算で求めることができる。またパネルを成形した段階でパネル内外面形状の実測値から計算することもできる。しかし、このパネルをテレビジョンセットに組み込んだときのディスプレイ画面の平坦性の官能評価は、一般に直ちには分からない。そこで、パネルの奥行幅、残差二乗和の平均の平方根と、このパネルが組み込まれたテレビジョンセットの官能評価との対応データが蓄積されれば、あらかじめ平坦性として許容される奥行幅、または平面からの残差二乗和の平均の平方根を設定またはデータベース化しておくことによって、このパネルが実際に使用可能なものであるか否かをテレビジョンセットに組み込まない状態で効率的に判定ができる。 【0026】また、前記虚像の三次元形状の評価は、前記虚像点群をXZ面またはYZ面の断面における形状として図示することにより、またはその虚像面形状を斜視図として図示することにより行うこともできる。 【0027】 【実施例】(例1)パネル内面形状を半径5000mmの凹球面、パネル外面形状を半径10000mmの凸球面、パネル中心部の厚みを15mm、パネルガラスの屈折率を1.54、観察者のアイエリアを直径4mmの円、パネル外面から観察者のアイエリアまでの距離を1000mm、パネルサイズを横方向(x方向)575mm、縦方向(y方向)323mmとし、本発明による計算を実施した。その結果、奥行幅は4.3mm、残差二乗和の平均の平方根は1.22mmであった。 【0028】このディスプレイ画面におけるxz面の虚像の断面図を図4に示す。図4において、横軸はパネルから観察者へ向うz方向、縦軸はパネルの横方向(x方向)である。さらに、虚像面の斜視図を図5に示す。これら図により、ディスプレイ画面形状の平坦性の評価を視覚的に行うことができる。 【0029】(例2)パネル内面および外面を平面とし、他の条件は例1と同様として計算を実施した。その結果、奥行幅は0.41mm、残差二乗和の平均の平方根は0.11mmであった。 【0030】そして、同様にxz面の虚像の断面図を図6に、虚像面の斜視図を図7にそれぞれ示す。例1と比較すると明らかのように、例2は奥行幅および残差二乗和の平均の平方根、並びに図面において平坦性が顕著である。 【0031】 【発明の効果】本発明によれば、陰極線管の爆縮を招かないよう安全性を確保した上で軽量化がなされるよう設計されたパネルのパネル内面形状および外面形状、パネル中心部の厚み、ガラスの屈折率を用いて、このパネルをテレビジョンセットに組込んだ場合のディスプレイ画面形状若しくはその平坦性を、計算により算出することによりまたはその結果を図示することにより容易に求めることができる。特に図示によれば、平坦性のみならずディスプレイ画面形状の全体を視覚することができる。 【0032】従来の強度を考慮したパネルの設計の後、本発明の方法で画像の平坦性の評価を行い、平坦性が不満足の場合には、パネル内面、パネル外面の少なくとも一方の形状を平坦性を満足する方向へ補正し、補正後のパネルが強度を満足するか否かを確認する。これを繰返すことで、強度と画像の平坦性を同時に満足するパネルを容易に得ることが可能となる。 【0033】また、実際に成形されたパネルの内面および外面の形状を測定により求め、この測定結果を本発明の方法に適用することで、成形されたパネルをテレビジョンセットに組込んだ場合の画像の平坦性の予測が可能であり、更に平坦性の許容差(許容値)を設定することで、パネル成形の品質管理を効率よくできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000044 【氏名又は名称】旭硝子株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年7月1日(1998.7.1) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−18934(P2000−18934A) |
| 【公開日】 |
平成12年1月21日(2000.1.21) |
| 【出願番号】 |
特願平10−186454 |
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