| 【発明の名称】 |
ハニカム構造蓄熱媒体 |
| 【発明者】 |
【氏名】西尾 浩明
|
| 【要約】 |
【課題】畜熱式熱交換器に用いられるハニカム構造蓄熱媒体において、高温域で使用しても破損の問題を生ずることなく高い熱交換性を維持することである。
【解決手段】ハニカム構造蓄熱媒体において、ハニカムを構成する壁がセラミック表層1と軟質金属内層2からなることを特徴としている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハニカムを構成する壁が軟質金属内層と該内層を覆うセラミック表層とからなることを特徴とするハニカム構造蓄熱媒体。 【請求項2】 軟質金属がアルミニウムである請求項1に記載のハニカム構造蓄熱媒体。 【請求項3】 セラミック表層がAlN、AlON、SiAlON、Al2O3、SiO2、3Al2O3・2SiO2、MgO・Al2O3からなる群の中から選択される一種または複数の化合物である請求項2に記載のハニカム構造蓄熱媒体。 【請求項4】 セラミック表層の厚さが10〜200μmである請求項1ないし請求項3に記載のハニカム構造蓄熱媒体。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、蓄熱式熱交換器に用いられるハニカム構造蓄熱媒体に係り、特にハニカムを構成する壁をアルミニウムなどの軟質金属内層とセラミック表層とでなして、破損しにくくしたハニカム構造蓄熱媒体に関する。 【0002】 【従来の技術】加熱炉、ラジアントチューブなどの包囲体の加熱において、効果的な省エネルギーは燃焼ガスから燃焼用空気への排熱回収であり、特公平2−23765号公報には、効率よく排熱回収できる方法が記載されている。これは各々のバーナーに蓄熱型熱交換器を備えた一対のバーナーを切替弁を用いて交互に燃焼させる技術である。すなわち、一方のバーナーが燃焼中は、他方から燃焼ガスが蓄熱型熱交換器を通って排気され、燃焼ガスの顕熱は蓄熱型熱交換器を構成する蓄熱媒体に一旦、蓄熱され、一定時間経過後、切替弁が作動して燃焼空気と排気が入れ替わり、この時蓄熱媒体に蓄熱された顕熱が燃焼空気の予熱に使われて回収される。 【0003】特開平7−127983号公報には、アルミナボールを充填した蓄熱媒体、ステンレス製のハニカム構造の蓄熱媒体が記載されている。加熱炉を用いてスラブ、ビレット、ブルームなどの鋼材を加熱する場合において、加熱温度は1250〜1500℃に達し、また、鋼材の熱処理炉のラジアントチューブは300〜950℃の温度になる。蓄熱媒体の一端はこの温度にさらされる。アルミナボールは耐熱性は極めて高いが、ガスの流路が複雑に入り組んでいるので、圧力損失が大きいことが欠点である。一方、単純形状の連通孔の集合体であるハニカムは圧力損失が小さい。したがって、ボール充填蓄熱媒体よりもハニカム構造蓄熱媒体の方が優れている。 【0004】ハニカムにはメタリックハニカムとセラミックハニカムがある。前者のステンレス製ハニカムは熱衝撃に極めて強い。しかし、耐熱温度が低く800℃を超える温度領域には用いられない。特開平9−257239号公報にはセラミック製のハニカム構造の蓄熱媒体が記載されており、コージライト質、炭化ケイ素質、ムライト質のものが、低熱膨張、高熱伝導、高耐熱性で熱衝撃による破損を防止できるので好ましいとされている。しかしながら、セラミックスは脆性材料であり、これらのセラミックスを適用したハニカム構造蓄熱媒体においても熱衝撃による破損は大きな問題であって、これを防止するために複数個のハニカム構造蓄熱媒体を段積みするように配設するのが普通である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来のメタリックハニカム構造蓄熱媒体は、熱衝撃には強いが耐熱性に問題がある。一方、従来のセラミックハニカム構造蓄熱媒体は、耐熱衝撃性に問題があり、程度の差はあれ、割れ、欠けは避けられない。そこで、破損しにくいように一辺20〜150mmの直方体の小型ハニカムの集合体としているが、複数個の小型セラミックハニカム構造蓄熱媒体を段積みするので、使用中にずれて孔が連通せず、圧力損失の増加、偏流の発生、粉塵の蓄積を引き起こす。ハニカムの壁が多孔質の場合には、使用中に焼結が進行して収縮し、前記の現象を助長することもある。さらに、ハニカム構造蓄熱媒体同士の衝突による割れ、欠けも問題になる。 【0006】ハニカム構造蓄熱媒体には、大きな温度分布が発生する。例えば、鋼材の加熱炉に適用されるハニカム構造蓄熱媒体の高温側は1250〜1500℃、低温側は200〜300℃になる。しかるに、従来技術では、低温から高温まで破損の問題を生じることなく使用できるハニカム構造蓄熱媒体は存在しない。そこで、本発明は、200℃の低温から800℃を超え1500℃にも達する高温域にまで使用できるハニカム構造蓄熱媒体を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上述したようなハニカム構造蓄熱媒体として請求項1に記載の発明は、ハニカムを構成する壁として軟質金属内層と、この内層を覆うセラミック表層とを備えたことを特徴とするものである。 【0008】また、請求項2に記載の発明は、前記ハニカムを構成する内層としてアルミニウムを用いたことを特徴とするものである。なお、内層としては、アルミニウムのほかに、Ti、Zr、Nb、Ta等の軟質金属を用いることが好ましい。 【0009】また、請求項3に記載の発明は、前記ハニカムを構成するセラミック表層としてAlN、AlON、SiAlON,Al2O3、SiO2、3Al2O3・2SiO2、MgO・Al2O3からなる群の中から選択される一種または複数の化合物であることを特徴とするものである。 【0010】さらに、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3に記載のハニカム構造蓄熱媒体のうちで、特に、セラミック表層の厚さが10〜200μmであることを特徴とするものである。 【0011】 【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本発明は軟質金属内層により応力緩和を図り、もってハニカムの破損防止を可能とし、他方セラミック表層によりハニカムの形状保持と、内層の酸化防止を図るとともに、耐熱温度を向上するものである。 【0012】ここで、本発明に係るハニカムは、一方向に連通した孔とそれを取り巻く壁の集合体から構成されている。孔の形状に特に制約はなく、円、多角形、その他の異形のずれでもよい。かかる孔の壁面全部をセラミックスの表層とし、該セラミック表層が覆うようにして壁内部にアルミニウム等の軟質金属の内層を備えるように構成されている。軟質金属内層はつながって一体となるように構成されていてもよいし、分断されるように構成されていてもよい。また、軟質金属を構成するアルミニウムは純粋の金属アルミニウムであってもよいし、アルミニウム合金であってもよい。アルミニウム合金としては、Al−Si,Al−Mg等が挙げられる。 【0013】本発明に係る軟質金属内層は、以下の理由によりハニカムの破損を防止する。すなわち、軟質金属の融点は、アルミニウムを例にとると、純粋のアルミニウムにおいて660℃であるが、アルミニウム合金としてのAl−Siでは577℃まで、Al−Mgでは450℃まで下がる。したがって、軟質金属内層はハニカム構造畜熱媒体の雰囲気温度によって固相にも液相にもなりうる。雰囲気温度が変化すると、それに応じてセラミック表層が収縮あるいは膨張する。それによって発生する応力は、軟質金属内層の変形によって緩和される。軟質金属の場合、応力緩和は容易であるが、液相となっている場合にはさらに容易となる。こうして、ハニカムの破損は容易に防止されることになる。 【0014】次に、セラミック表層は上述のようにハニカム構造の形状保持と軟質金属内層の酸化防止という2つの役割を有するが、形状保持という観点からはセラミック表層の厚さを10μm以上とすることが好ましい。ただし、あまり厚すぎると熱衝撃が加わったときに変形によって熱応力を緩和することが困難となるため、厚さの上限は1000μmとすること、更には、200μmとすることが好ましい。 【0015】セラミック表層としては、Al2O3、MgO・Al2O3、3Al2O3・2SiO2、SiO2などを用いることもできる。SiO2は酸素を透過しにくく酸化防止皮膜として極めて好適である。また、AlN、あるいはAlON、SiAlON等の酸窒化物を適用することもできる。さらに、これらの化合物の中から選ばれた一種または複数の化合物を適用することもできる。 【0016】前記のAlONはAl、O、Nの固溶体の総称であるが、これが入ってもよい。組成について、本発明においてはいかなる組成をとることもできる。このようなAlONの例としては、Al11O15N、AlON,Al198O288N4、Al27O39N、Al10N8O3、Al9O3N7が挙げられる。また、前記のSiAlONも、Si、Al、O、Nからなる固溶体の総称であり、本発明ではいずれの組成でもよい。なお、前記窒化物、酸窒化物は、使用温度が高いと使用中に一部あるいは全部が酸化物に変化する場合もあるが、変化しても支障はない。 【0017】本発明に係るハニカム構造畜熱媒体の好適な構造として以下のものが例示される。 【0018】図1において、本発明に係るハニカム構造は、表層1がAl2O3、内層2がAlからなる平板と波板を交互に重ねることにより形成したものである。厚さ300μm、幅300mm、長さ300mmのアルミニウム板と、該アルミニウム板を5mmを周期として波状に加工した波板の表面に乳酸アルミニウム懸濁液を塗布してから交互に重ね、乾燥してハニカム構造を構成した。該ハニカム構造体を空気中で2℃/minの昇温速度で1500℃まで加熱し、2時間保持後、放冷した。 【0019】この過程で、乳酸アルミニウムはAl2O3に変わり、アルミニウム表面のAl2O3薄膜と結合して厚さ100〜200μmのセラミック表層膜となった。このようにして、一辺300mmの立方体ハニカム構造畜熱媒体が得られた。 【0020】図2において、本発明に係るハニカム構造は、表層1がAlN、内層2がAlからなるチューブを、最近接4個の該チューブの中心を結ぶ線が正方形を構成するように配置することにより形成したものである。内径2.4mm、外径3.0mm、長さ100mmのアルミニウムチューブ256本の内部に形状保持材ならびに窒化促進剤として人造黒鉛粉末を充填し、該アルミニウムチューブの外表面に接着剤ならびに窒化促進剤として少量の水ガラスの水溶液を塗って、16本を1段として16段重ねることにより、辺長48mm、48mm、100mmの直方体を形成した。該ハニカム構造体を9kg/cm2(ゲージ圧)の窒素雰囲気で2℃/minの昇温速度で1500℃まで加熱し、2時間保持後、放冷した。 【0021】この過程で、アルミニウムチューブの内外表面に厚さ20〜100μmのAlN表層膜が生成した。これを空気中で2℃/minの昇温速度で700℃まで加熱し、2時間保持することにより、人造黒鉛は大部分が燃焼消失して隙間が多くなるため、残留人造黒鉛を容易に取り除くことができた。このようにして、辺長48mm,48mm,100mmの直方体のハニカム構造蓄熱媒体が得られた。 【0022】図3において、本発明に係るハニカム構造は、表層1がAlN、内層2がAlからなるチューブを、最近接4個の該チューブの中心を結ぶ線が内角60度と120度の菱形となるように配置することにより形成したものである。製造方法は図2と同様である。 【0023】図4において、本発明に係るハニカム構造は、表層1がAl2O3、内層2がAlからなる平板に、表層1がAlN、内層2がAlからなるチューブを一定間隔に並べて積層することにより形成したものである。厚さ300μm、幅300mm、長さ300mmのアルミニウム板31枚の表面に乳酸アルミニウム懸濁液を塗布し乾燥した。該板を空気中で2℃/minの昇温速度で1500℃まで加熱し、2時間保持後、放冷した。 【0024】この過程で、乳酸アルミニウムはAl2O3に変わり、アルミニウム表面のAl2O3薄膜と結合することにより、厚さ100〜200μmのセラミック表層膜となった。 【0025】次に、内径2.4mm、外径3.0mm、長さ300mmのアルミニウムチューブ1500本を用意し、内部に形状保持材ならびに窒化促進剤として人造黒鉛粉末を充填し、外表面に窒化促進剤として少量の水ガラスの水溶液を塗った。該アルミニウムチューブを9kg/cm2(ゲージ圧)の窒素雰囲気で2℃/minの昇温速度で1500℃まで加熱し、2時間保持後、放冷した。 【0026】この過程で、アルミニウムチューブの内外表面に厚さ20〜100μmのAlN表層膜が形成された。 【0027】前記板31枚の間に50本ずつ該チューブを挟んで接触面に水ガラスを塗布して固定した。これを空気中で2℃/minの昇温速度で700℃まで加熱し、2時間保持することにより、人造黒鉛は大部分が燃焼消失して隙間が多くなるため、残留人造黒鉛を容易に取り除くことができた。このようにして、辺長300mm、300mm、100mmの直方体のハニカム構造蓄熱媒体が得られた。 【0028】以上の各種ハニカム構造畜熱媒体は、ハニカム構造を保持するのに適した肉厚のセラミック表層と熱衝撃を容易に吸収できる軟質金属内層とからなるので、従来のハニカム構造蓄熱媒体で使用される1辺20〜150mmの小型ハニカムのように寸法の制約がなく、大型一体型のハニカム構造とすることができる。これを次の実施例において示す。 【0029】 【実施例】これは、長さが450mmにもなる長大な一体ハニカムの実施例である。すなわち、内径2.4mm、外径3.0mm,長さ450mmのアルミニウムチューブ10000本を水ガラス水溶液に浸漬して内外面を濡らしてから、図2に示すように、正方構造に配置して縦300mm、横300mm,高さ450mmの直方体とし、5時間、自然乾燥して保形性を付与した。この直方体を電気加熱炉に配設して、ゲージ圧9kg/cm2窒素雰囲気に保ちながら昇温速度10℃/minで1500℃まで昇温し、1500℃に1時間保持後、放冷した。このようにしてセラミック表層1とアルミニウム内層2からなるハニカム構造蓄熱媒体を得た。 【0030】セラミック表層1はSiO2とAlNの混合物からなり、厚さ20〜100μmであった。このハニカム構造蓄熱媒体を大気雰囲気の電気炉に配設して1300℃と1400℃の間で1時間あたり4回の温度変動を与えながら240時間保持したのち、放冷して観察したところ、極めて大きなハニカム構造蓄熱媒体であるにもかかわらず、割れ、亀裂、アルミニウムの吹き出し、孔の変形閉塞や収縮もなかった。また、450mmという長大な長さを有する一体ハニカムであるため、孔の連通も極めて良好であった。セラミック表層1はAlN,SiO2のほか、3Al2O3・2SiO2が検出され、使用中に材質は変化していたが、使用上は問題はなかった。 【0031】 【発明の効果】本発明によれば、ハニカムを構成する壁をアルミニウム内層とセラミック表層とからなるハニカム構造蓄熱媒体としたことにより、熱衝撃による破損のおそれがなくなり、従来のように小型ハニカムに分割する必要がなくなった。また、その結果、大型の一体型ハニカム構造蓄熱媒体であるにもかかわらず高温で使用中に破損しないので、孔の連通が良好に保たれ、高い熱交換性能を長期にわたって維持できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000004123 【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年12月22日(1998.12.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058479 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−193395(P2000−193395A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月14日(2000.7.14) |
| 【出願番号】 |
特願平10−364936 |
|