トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F28 熱交換一般




【発明の名称】 複式熱交換器
【発明者】 【氏名】長谷川 恵津夫

【要約】 【課題】複式熱交換器において、熱交換能力が低下することを防止する。

【解決手段】ラジエータタンク230とコンデンサタンク120とを連結する結合部400を、空気流れ上流側から見て、コンデンサタンク120よりコンデンサコア部110側に位置するようにする。これにより、結合部400が両コア部110、210に向けて流通する流通空気の流れの中に位置することとなり、結合部400が流通空気にて冷却されることとなる。したがって、ラジエータタンク230から結合部400を介してコンデンサタンク120に伝わる熱の一部が、結合部400にて流通空気中に放熱されるので、ラジエータタンク230からコンデンサタンク120へ熱移動を抑制することができ、熱交換能力が低下することを防止できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1流体が流通する複数本の第1チューブ(111)を有し、空気と前記第1流体との間で熱交換を行う第1コア部(110)、及び前記複数本の第1チューブ(111)と連通し、前記第1チューブ(111)と直交する方向に延びる第1タンク(120、130)を備える第1熱交換器(100)と、前記第1コア部(110)より空気の流れ下流側に配設され、前記第1流体より温度が高い第2流体が流通する複数本の第2チューブ(211)を有し、空気と前記第2流体との間で熱交換を行う第2コア部(210)、及び前記第1タンク(120、130)と所定の隙間を有して配置され、前記第2チューブ(211)と連通するとともに、前記第2チューブ(211)と直交する方向に延びる第2タンク(220、230)を備える第2熱交換器(200)とを具備し、前記両タンク(120、130、220、230)を結合する結合部(400)が、前記両タンク(120、130、220、230)間に設けられており、さらに、前記結合部(400)は、前記両熱交換器(100、200)に向けて流通する流通空気にて冷却されるように、前記流通空気の流れの中に位置していることを特徴とする複式熱交換器。
【請求項2】 第1流体が流通する複数本の第1チューブ(111)を有し、空気と前記第1流体との間で熱交換を行う第1コア部(110)、及び前記複数本の第1チューブ(111)と連通し、前記第1チューブ(111)と直交する方向に延びる第1タンク(120、130)を備える第1熱交換器(100)と、前記第1コア部(110)より空気の流れ下流側に配設され、前記第1流体より温度が高い第2流体が流通する複数本の第2チューブ(211)を有し、空気と前記第2流体との間で熱交換を行う第2コア部(210)、及び前記第1タンク(120、130)と所定の隙間を有して配置され、前記第2チューブ(211)と連通するとともに、前記第2チューブ(211)と直交する方向に延びる第2タンク(220、230)を備える第2熱交換器(200)とを具備し、前記両タンク(120、130、220、230)を結合する結合部(400)が、前記両タンク(120、130、220、230)間に設けられており、さらに、前記結合部(400)は、空気流れ上流側から見て、前記第1タンク(120、130)より前記第1コア部(110)側に位置していることを特徴とする複式熱交換器。
【請求項3】 前記結合部(400)は、前記両タンク(120、130、220、230)の長手方向に離散的に複数個形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の複式熱交換器。
【請求項4】 前記結合部(400)の厚みは、前記両タンク(120、130、220、230)を構成する部材(123、233、234)の厚みより薄いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の複式熱交換器。
【請求項5】 前記結合部(400)は、複数個の折曲部からなる波形状であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の複式熱交換器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数個の熱交換器が一体となった複式熱交換器に関するもので、車両用冷凍サイクルのコンデンサと、エンジン冷却水冷却用のラジエータとが一体となった熱交換器に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】複式熱交換器として、例えば特開平9−287886号公報に記載の発明では、各熱交換器のチューブに連結されたタンクを一体化することにより複式熱交換器を構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、タンクは、各熱交換器のチューブに流体を供給するものであるので、上記公報に記載の複式熱交換器を、コンデンサ及びラジエータのごとく、熱交換器内を流通する流体の温度が互いに相違するものに適用すると、温度の高い方の流体(この例ではエンジン冷却水)の熱が一体化されたタンクを介して他方側の流体(この例では冷媒)に伝わってしまい、他方側の熱交換器(この例ではコンデンサ)の熱交換能力が低下してしまうという問題が発生する。
【0004】本発明は、上記点に鑑み、複式熱交換器において、熱交換能力が低下することを防止することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を用いる。請求項1、3〜5に記載の発明では、両タンク(120、130、220、230)を結合する結合部(400)を、両熱交換器(100、200)に向けて流通する流通空気にて冷却されるように流通空気の流れの中に位置させたことを特徴とする。
【0006】これにより、第2タンク(220、230)から結合部(400)を介して第1タンク(120、130)に伝わる熱の一部が、結合部(400)にて流通空気中に放熱されるので、第2タンク(220、230)から第1タンク(120、130)へ熱移動を抑制することができる。したがって、複式熱交換器(特に、第1熱交換器(100))の熱交換能力が低下することを防止できる。
【0007】請求項2〜5に記載の発明では、両タンク(120、130、220、230)を結合する結合部(400)を、空気流れ上流側から見て、第1タンク(120、130)より第1コア部(110)側に位置させたことを特徴とする。これにより、第2タンク(220、230)から結合部(400)を介して第1タンク(120、130)に伝わる熱の一部が、結合部(400)にて流通空気中に放熱されるので、第2タンク(220、230)から第1タンク(120、130)へ熱移動を抑制することができる。
【0008】したがって、複式熱交換器(特に、第1熱交換器(100))の熱交換能力が低下することを防止できる。請求項3に記載の発明では、結合部(400)は、両タンク(120、130、220、230)の長手方向に離散的に複数個形成されていることを特徴とする。
【0009】これにより、第2タンク(220、230)から第1タンク(120、130)へ熱移動をさらに抑制することができる。請求項4に記載の発明では、結合部(400)の厚みは、両タンク(120、130、220、230)を構成する部材(123、233、234)の厚み()より薄いことを特徴とする。
【0010】これにより、第2タンク(220、230)から第1タンク(120、130)へ熱移動をさらに抑制することができる。請求項5に記載の発明では、結合部(400)は、複数個の折曲部からなる波形状であることを特徴とする。これにより、第2タンク(220、230)から第1タンク(120、130)へ熱移動をさらに抑制することができる。
【0011】因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0012】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)本実施形態は、車両空調装置用のコンデンサ(第1熱交換器)と、エンジン冷却用ラジエータ(第2熱交換器)とが一体となった複式熱交換器に本発明を適用したものである。
【0013】なお、通常、コンデンサ(凝縮器)を流れる冷媒(第1流体)の温度は、ラジエータを流れるエンジン冷却水(第2流体)の温度に比べて低いので、この複式熱交換器では、図1に示すように、コンデンサ100をラジエータ200より空気流れ上流として、空気流れに対して直列に並んでエンジンルームの最前部に配置されている。
【0014】以下、本実施形態に係る複式熱交換器(以下、熱交換器と略す。)について述べる。図1は、本実施形態に係る熱交換器の斜視図であり、図2は図1のA−A断面図である。110はコンデンサ100のコンデンサコア部であり、210はラジエータ200のラジエータコア部である。そして、両コア部110、210は、互いに熱伝導を遮断するために、後述する両チューブ111、211間に所定の隙間δを有して空気流れに直列に並んでいる。
【0015】そして、コンデンサコア部110は、図2に示すように、冷媒の通路をなす偏平形状に形成されたコンデンサチューブ111と、このコンデンサチューブ111にろう付けされたコルゲート状(波形状)のフィン112とから構成されている。また、ラジエータコア部210もコンデンサコア部110と同様な構造をしており、コンデンサチューブ111と平行に配置されたラジエータチューブ211と、フィン212とから構成されている。
【0016】なお、両フィン112、212には、熱交換を促進するためのルーバ113、213が形成されており、このルーバ113、213は、ローラ成形法等によりフィン112、212と共に一体に成形されている。また、300は両コア部110、210の補強部材をなすサイドプレートであり、このサイドプレート300は、図1に示すように、両コア部110、210の両端に配置されている。なお、サイドプレート300は、図2に示すように、その断面形状が略コの字状として、1枚のアルミニウム板から一体形成されている。
【0017】因みに、図1中、310は、熱交換器を車両に組付けるためのブラケットである。また、ラジエータコア部210の端部のうちサイドプレート300が配置されていない側の一端には、冷却水を各ラジエータチューブ211に分配する第1ラジエータタンク220が配置され、他端側には、熱交換を終えた冷却水を回収する第2ラジエータタンク230が配置されている。
【0018】そして、第1ラジエータタンク220の上方端側には、エンジンから流出した冷却水を第1ラジエータタンク220内に流入させる流入口221が設けられており、一方、第2ラジエータタンク230の下方端側には、冷却水をエンジンに向けて流出する流出口231が設けられている。なお、222、232は、外部配管(図示せず)を両ラジエータタンク220、230に接続するためのジョイントパイプであり、これらのジョイントパイプ222、232は、ろう付けにて各ラジエータタンク220、230に接続されている。
【0019】また、120はコンデンサコア部110の冷媒を各コンデンサチューブ111に分配する第1コンデンサタンクであり、130は熱交換(凝縮)を終えた冷媒を回収するコンデンサコア部110の第2コンデンサタンクである。そして、121は冷凍サイクルの圧縮機(図示せず)から吐出された冷媒を第1コンデンサタンク120内に流入させる流入口であり、131は熱交換(凝縮)を終えた冷媒を冷凍サイクルの膨張弁(図示せず)に向けて流出させる流出口である。
【0020】なお、122、132は、外部配管(図示せず)を両コンデンサタンク120、130に接続するためのジョイントパイプであり、これらのジョイントパイプ122、132は、ろう付けにて各コンデンサタンク120、130に接続されている。ところで、第2ラジエータタンク230は、図3に示すように、ラジエータチューブ211と結合するアルミニウム製のラジエータコアプレート233と、このラジエータコアプレート233と結合して第2ラジエータタンク230の空間を形成するアルミニウム製のラジエータタンク本体部234とから構成されており、両者233、234はろう付けにて一体結合されている。
【0021】一方、第1コンデンサタンク120は、コンデンサチューブ111と結合するとともに、第1コンデンサタンク120の空間を形成する円筒状のアルミニウム製のコンデンサタンク本体部123から構成されている。また、両タンク120、230は、コンデンサタンク本体123とラジエータコアプレート233とを結合する結合部400にて一体化されており、この結合部400は、空気流れ上流側から見て、第1コンデンサタンク120よりコンデンサコア部110側に位置するように、コンデンサコア部110側を凸としてU字状に屈曲している。
【0022】また、コンデンサタンク本体123及びラジエータコアプレート233は、押出し加工又は引抜き加工にて一体成形されており、押出し加工又は引抜き加工の終了後、結合部400に相当する部位の一部をプレス加工等により除去することにより、結合部400は、図4に示すように、両タンク110、210の長手方向に離散的に複数個形成されている。
【0023】なお、第1ラジエータタンク220及び第2コンデンサタンク130も、第2ラジエータタンク230及び第1コンデンサタンク120と同様なので、以下、特に断りがない限り、ラジエータタンク230とは、両ラジエータタンク220、230を含む意味で用い、同様に、コンデンサタンク120とは、両コンデンサタンク120、130を含む意味で用いる。
【0024】ここで、コンデンサタンク本体123及びラジエータコアプレート233の製造方法の概略を述べる。先ず、コンデンサタンク本体123及びラジエータコアプレート233を押出し加工又は引抜き加工にて一体成形する(成形工程)。なお、成形工程では、結合部400に相当する部位は、図5(a)に示すように、U字状に屈曲することなく、平板状となっている。
【0025】次に、コンデンサタンク本体123に機械加工にてコンデンサチューブ111が挿入される挿入穴(図示せず)を形成する(機械工程)。そして、プレス加工にて結合部400に相当する部位の一部をプレス加工等により除去するとともに、ラジエータチューブ211が挿入される挿入穴(図示せず)を形成した(第1プレス工程)後、図5(b)に示すように、プレス加工にて結合部400に相当する部位をU字状に屈曲させる(第2プレス工程)。
【0026】次に、本実施形態の特徴を述べる。結合部400は、空気流れ上流側から見て、第1コンデンサタンク120よりコンデンサコア部110側に位置するように形成されているので、結合部400は、コンデンサ100(コンデンサコア部110)及びラジエータ200(ラジエータコア部210)に向けて流通する流通空気の流れの中に位置することとなり、結合部400が流通空気にて冷却されることとなる。
【0027】したがって、ラジエータタンク230から結合部400を介してコンデンサタンク120に伝わる熱の一部が、結合部400にて流通空気中に放熱されるので、ラジエータタンク230からコンデンサタンク120へ熱移動を抑制することができる。延いては、熱交換器(特に、コンデンサ100)の熱交換能力が低下することを防止できる。
【0028】(第2実施形態)上述の実施形態では、結合部400は、1個の折曲部を有する単純なU字状であったが、本実施形態は、図6に示すように、結合部400を複数個の折曲部からなる波形状としたものである。これにより、ラジエータタンク230からコンデンサタンク120へ熱が移動する際の熱伝導距離が長くなるので、ラジエータタンク230からコンデンサタンク120へ熱移動をさらに抑制することができる。
【0029】(第3実施形態)上述の実施形態では、結合部400、コンデンサタンク本体123及びラジエータコアプレート233は、全て同じ厚みであったが、本実施形態は、結合部400の厚みを、図7に示すように、両タンク120、230を構成する部材(コンデンサタンク本体123、ラジエータコアプレート233及びラジエータタンク本体部234)の厚みより薄くしたものである。
【0030】これにより、結合部400の断面積が小さくなるので、ラジエータタンク230からコンデンサタンク120へ熱移動をさらに抑制することができる。ところで、上述の実施形態では、結合部400は、両タンク110、210の長手方向に離散的に複数個形成されていたが、両タンク110、210の長手方向全域に渡って結合部400を形成してもよい。
【0031】また、上述の実施形態では、結合部400は、空気流れ上流側から見て、第1コンデンサタンク120よりコンデンサコア部110側に位置するようにしたが、本発明は、結合部400を流通空気の流れの中に位置させることにより、結合部400を流通空気にて冷却するものであるので、例えば、結合部400をコンデンサタンク120よりコンデンサコア部110と反対側に突出させて、結合部400を流通空気中に位置させるようにしてもよい。
【0032】また、結合部400の厚みを、第3実施形態のごとく、両タンク120、230を構成する部材の厚みより薄くした状態で波形状としてもよい。また、図8に示すように、冷凍サイクルのレシーバ(受液器)500と第2コンデンサタンク130とを一体化してもよい。また、上述の実施形態の成形工程では、結合部400に相当する部位がU字状でなく、平板状であったが、成形工程にてU字状の結合部400を有するものを押し出し又は引き抜き加工にて成形してもよい。
【0033】また、プレス工程において、第2プレス工程を第1プレス工程より先に行ってもよい。また、図8に示すように、第2ラジエータタンク200内にエンジンオイルやトルクコンバータオイルを冷却するオイルクーラ600を内蔵してもよい。さらに、上述の実施形態では、コンデンサフィン112とラジエータフィン212とが別体であったが、両フィン112、212を一体化してもよい。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成10年10月19日(1998.10.19)
【代理人】 【識別番号】100100022
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外1名)
【公開番号】 特開2000−121282(P2000−121282A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−297179