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【発明の名称】 搬送ローラ及びその組立方法とこれを用いた加熱炉
【発明者】 【氏名】横山 暢人

【氏名】森 昭道

【氏名】河野 守行

【氏名】吉田 勝

【要約】 【課題】セラミックス搬送ローラーを安価に提供するとともに、この搬送ローラーを加熱炉に用いることにより、熱効率を向上させることを目的とする。

【解決手段】搬送対象物品80を支持する円筒状セラミックスローラー1の中空穴に挿入される金属製のシャフト2と前記の円筒状セラミックスローラー1とを弾性を有する耐熱接着剤3により同軸に接合することにより、セラミックスローラー1と金属製シャフト2間の線膨脹係数の違いによる加熱時の熱膨脹差を吸収し、セラミックスロ−ラー1の破損を防ぎ、金属製シャフト2を高価なインバー合金等で製作する必要がないため、熱容量が小さく高温強度の高いセラミックス搬送ローラーを安価に提供できるという効果を奏する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 円筒状セラミックスローラーの中空穴に金属製のシャフトを挿入し、弾性を有する耐熱接着剤で互いに同心に接合したことを特徴とする搬送ローラー。
【請求項2】 円筒状セラミックスローラーの外径と中空穴との同軸度、中空穴寸法公差、及び前記円筒状セラミックスローラー中空穴と金属製シャフトとの間の接着ギャップにより発生する誤差を金属製のシャフトの寸法を管理することにより吸収する構成とした請求項1記載の搬送ローラー。
【請求項3】 円筒状セラミックスローラーと金属製のシャフトをそれぞれ外径基準で互いに芯出しした状態に保持して接着剤を硬化させることにより前記円筒状セラミックスローラーと前記金属製のシャフトとを組立てる請求項1記載の搬送ローラーの組み立て方法。
【請求項4】 断熱材で囲まれた加熱空間に加熱手段を配置するとともに、請求項1又は2記載の搬送ローラーを用いてローラー列を構成し搬送対象物品の搬送方向及び逆向きの返送方向に一体的に無端垂直循環させ、前記搬送対象物品を搬送する搬送側が前記加熱空間内を通過する構成とした加熱炉。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は搬送対象物品を搬送するための搬送ローラーに関するものであり、特に、搬送対象物品を回転させながら搬送するローラー駆動装置に用いる搬送ローラー及びその組立方法とこれを用いた加熱炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は従来の搬送対象物品を回転させながら搬送する循環ローラー方式を用いた加熱炉81の概略断面図を示しており、図5にも示す円筒状の搬送対象物品80を載置し、かつ回転させる金属製ローラー52の一端52aに金属製シャフト53の一端が挿入され同軸に保ち連結固定されている。そのシャフト53の外周に前記ローラー52に回転力を伝達するスプロケット54が固定され、そのスプロケット54に回転力を伝達する回転用チェーン59が図示しないモーターにより駆動されている。シャフト53の中間部は軸受け55で回転自在に支持され、シャフト53の端部はすべり軸受け58を有するブロック57に回転自在に支持されている。このブロック57は搬送用チェーン56に連結され、ローラー52、シャフト53、スプロケット54などとともに、循環移動させられる。ローラー52の他端52bには金属製シャフト61の一端が挿入され同軸に保ち連結固定されている。そのシャフト61の中間部は軸受け62で回転自在に支持され、シャフト61の他端はすべり軸受け65を有するブロック64に回転自在に支持されている。このブロック64は搬送用チェーン63に連結され、ローラー52、シャフト61などとともに、循環移動させられる。搬送用チェーン56、63と軸受け55、62はそれぞれ受け60、66、と67、68で支持されこれら受け60、66、67、68は架台71に固定されている。そして前記搬送対象物品80を加熱する加熱手段69とローラー52を挟み上下に配置された断熱材70は架台71に固定されている。また前記ローラー52はその両端のシャフト53、61と溶接等により十分な剛性を持って連結固定され、このシャフト53、61により支持されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】循環ローラー方式を用いた加熱炉では、図5に示すように循環ローラー52の炉内加熱側bで搬送対象物品80を加熱する過程において金属製のローラー52も同時に加熱され高温になる。しかし循環ローラー52のリターン側aでは炉外の周囲雰囲気によって前記ローラー52が冷却されてしまい、冷却されたローラー52を再度加熱炉81内で加熱することになるため多大なエネルギーが必要である。また、ローラー52は加熱されることにより熱変形を起こし、曲がりなどを生じて搬送対象物品80の搬送が困難になるという課題がある。このため、熱容量が小さく熱による変形が少ないローラーのセラミックス化が要求されている。しかし、セラミックスローラーと図4の金属製シャフト53、61を、例えば、ビスによる締結や通常セラミックスの接合に用いられ硬化物がセラミックス状となるセラミックス接着剤等にて、従来の様に十分な剛性を持って連結固定した場合、セラミックスローラーと前記シャフト53、61とでは線膨脹係数が大きく違う。例えばセラミックスローラーの材質の一例であるムライト質セラミックスの線膨脹係数は約4×10-6/℃で、金属シャフトの材質の一例であるS45C等の機械構造用炭素鋼鋼材の線膨脹係数は約12×10-6/℃である。そのため、加熱時に熱膨脹差が生じてセラミックスローラ−に引張力が生じ破損するという問題がある。その対策としてシャフト53、61をインバー合金等の線膨脹係数が小さくセラミックスの線膨脹係数に近い特殊合金にて製作し連結固定することが考えられるが、インバー合金等の特殊合金は非常に高価であり現実的には実現困難である。また、セラミックスローラーとシャフトを同一材料で製作し連結固定することも可能であるが、この場合も非常に高価であり現実的には実現困難である。
【0004】本発明は、上記の問題を解決し、セラミックスの搬送ローラーを安価に提供するとともに、この搬送ローラーを用いた加熱炉において、熱効率を向上させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するために、本発明の搬送ローラーは円筒状セラミックスローラーの中空穴に金属製のシャフトを挿入し、弾性を有する耐熱接着剤で互いに同心に接合する構成としたものである。これにより、従来の様に十分な剛性を持って連結固定した状態でセラミックスローラーと金属製シャフト間の線膨脹係数の違いにより発生する加熱時の熱膨脹差を、弾性を有する耐熱接着剤にて吸収しセラミックスローラーの破損を防ぐことができる。そして、前記シャフトをインバー合金等の高価な特殊合金にて製作する必要がないため、セラミックスの搬送ローラーを安価に提供できる。
【0006】また、本発明の搬送ローラーは上記構成において、円筒状セラミックスローラーの外径と中空穴の同軸度、中空穴の寸法公差、及び接着ギャップにより発生する誤差を金属製のシャフトの寸法を管理することにより吸収する構成としたものである。例えば、円筒状セラミックスローラーの外径の軸芯に対して中空穴の軸芯のズレ量が直径aの円筒内にあるとし、中空穴の直径の寸法bを公差を含めb±c、最小の接着ギャップをdとした場合に、金属製のシャフトの外径のとりうる最大寸法eは中空穴の直径寸法が最小である(b−c)となる場合を考慮に入れ、b−(a/2+c+2d)とし、後述するように、セラミックスローラーと金属製のシャフトの間隙に弾性を有する耐熱接着剤を充填し硬化させれば良い。この構成により円筒状セラミックスローラーは市販のセラミックスチューブ(例えば、ムライトチューブ)を何ら加工することなく使用できるため、より安価な搬送ローラーが実現できる。
【0007】また、本発明の搬送ローラーの組み立てにおいて、円筒状セラミックスローラーと金属製のシャフトを各々外径基準で互いに芯出しした状態に保持して接着剤を硬化させることにより、円筒状セラミックスローラーの外径と中空穴の芯ズレ誤差を接着層にて吸収することができ、円筒状セラミックスローラーの寸法精度に左右されることなく同芯精度の高い搬送ローラーが実現できる。
【0008】また、本発明の加熱炉は断熱材で囲まれた加熱空間に加熱手段を配置するとともに、上記の搬送ローラーを用いてローラー列を構成し搬送対象物品の搬送方向及び逆向きの返送方向に一体的に無端垂直循環させ、前記搬送対象物品を搬送する搬送側が前記加熱空間内を通過する構成としたものである。この構成により熱効率の良好な加熱炉が実現できる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態について、図1から図3を用いて説明する。
【0010】図1は、搬送ローラーの断面図を示し、図1に示す搬送対象物品80を支持する円筒状セラミックスローラー1とその円筒状セラミックスローラー1の一端1aの中空穴に挿入・接合される金属製のシャフト2と前記の円筒状セラミックスローラー1と金属製のシャフト2とを同軸に接合するための弾性を有する耐熱接着剤3により構成される。弾性を有する耐熱接着剤3を用いて接合することによりセラミックスローラー1と金属製シャフト2との線膨脹係数の違いによる加熱時の熱膨脹差を吸収しセラミックスローラー1の破損を防ぐことができ、前記シャフトをインバー合金等の高価な特殊合金にて製作する必要がないため、熱容量が小さく高温強度の高いセラミックス搬送ローラーを安価に提供できるという作用を有する。なお、弾性を有する耐熱接着剤としてはシリコン系接着剤例えば、スリーボンド社製 1209や信越化学工業製 KE3418 等がある。
【0011】また、前記シャフトの挿入部分に図示のように穴加工等を施し薄肉化することにより熱膨脹によって生ずる応力を低減し耐久性の向上を図ることができる。
【0012】この時、円筒状セラミックスローラー1の外径と中空穴の同軸度、中空穴寸法公差、及び接着ギャップにより発生する誤差を金属製のシャフト2の寸法を管理することにより吸収することが必要となる。例えば、円筒状セラミックスローラー1の外径の軸芯に対して中空穴の軸芯のズレ量が直径aの円筒内にあるとし、中空穴の直径寸法bを寸法公差を含めb±c、最小の接着ギャップをdとした場合に、金属製のシャフト2の外径のとりうる最大寸法eは中空穴の直径寸法が最小である(b−c)となる場合を考慮に入れ、b−(a/2+c+2d)とすることにより円筒状セラミックスローラー1は市販のセラミックスチューブ(例えば、ムライトチューブ)を何ら加工することなく使用できるため、より安価な搬送ローラーが実現できる。なお、金属製のシャフト2の外径の最小寸法は前記最大寸法を保ちながら一般的な加工公差範囲にて決定すれば良い。
【0013】図2は本発明の搬送ローラーを精度良く組み立てる方法を示す図である。まず、図2(a)に示す様に円筒状セラミックスローラー1の外径をVブロック30とクランプ31の間に挟み込み外径基準で芯出しする。次に図2(b)に示す様に円筒状セラミックスローラー1の中空穴の内面1aと金属製のシャフト2の外周面の円筒状セラミックスローラー1の内面1aとの接合面に弾性を有する耐熱接着剤3を塗布し、円筒状セラミックスローラー1の中空穴に金属製のシャフト2を挿入する。このとき、金属製のシャフト2を回転させながら挿入するとより均一な接着面が得られる。次に、図2(C)に示す様に金属製のシャフト2をVブロック32とクランプ33の間に挟み込み外径基準で芯出しする。その状態に保持したまま接着剤3を硬化させることにより、円筒状セラミックスローラー1の外径と中空穴の芯ズレ誤差を接着層にて吸収し円筒状セラミックスローラー1の寸法精度に左右されることのない同芯精度の高い搬送ローラーが実現できる。
【0014】図3は、搬送ローラーを用いた加熱炉81の概略断面構造を示し、搬送対象物品80を支持する円筒状セラミックスローラー1の一端1aの中空穴に挿入される金属製のシャフト2は弾性を有する耐熱接着剤3により中空穴に接合されている。そのシャフト2の外周には前記ローラー1に回転力を伝達するスプロケット4が固定され、そのスプロケット4は回転力を伝達する回転用チェーン5と図示しないモーターにより駆動されている。シャフト2の中間部は軸受け6で回転自在に支持され、シャフト2の端部はすべり軸受け8を有するブロック7に回転自在に支持されている。このブロック7は搬送用チェーン9に連結され、セラミックスローラー1、シャフト2、スプロケット4などとともに、循環移動させられる。セラミックスローラー1の他端1bには金属製シャフト10の一端が挿入され同軸に保ち弾性を有する耐熱接着剤3により接合されている。そのシャフト10の中間部は軸受け11で回転自在に支持され、シャフト10の他端はすべり軸受け12を有するブロック13に回転自在に支持されている。このブロック13は搬送用チェーン14に連結され、セラミックスローラー1、シャフト10などとともに、循環移動させられる。搬送用チェーン9、14と軸受け6、11は受け15、16、と17、18で支持されこれら受け15、16、と17、18は架台19に固定されている。そして前記搬送対象物品を加熱する加熱手段20としては、ガスバーナー、ニクロム線、赤外線加熱器などを用いる。断熱材21はセラミックスローラー1を挟み上下に配置され、架台19に固定されている。そして、炉内加熱側bに位置するローラーの搬送側では搬送対象物品80を加熱する過程においてセラミックスローラー1も同時に加熱され高温になる。リターン側aに位置するローラーの返送側では周囲雰囲気によってセラミックスローラーが冷却され炉内加熱側bで再度加熱することになるが、セラミックスローラ−は従来の金属ローラーに比べ熱容量が小さいため熱効率が向上し熱ロスを低減できるという効果を奏する。
【0015】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、円筒状セラミックスローラーの中空穴に金属製のシャフトを挿入し弾性を有する耐熱接着剤で同心に接合する構成とすることにより、セラミックスローラーと金属製シャフトとの加熱時の熱膨脹差をその弾性を有する耐熱接着剤にて吸収しセラミックスローラーの破損を防ぎ、セラミックスの搬送ローラーを安価に提供できる。
【0016】また、円筒状セラミックスローラーの外径と中空穴の同軸度及び中空穴寸法公差及び接着ギャップにより発生する誤差を金属製のシャフトの寸法を管理することにより吸収する構成とすることにより円筒状セラミックスローラーは市販のセラミックスチューブを無加工で使用できるため、より安価な搬送ローラーが実現できる。
【0017】また、搬送ローラーを円筒状セラミックスローラーと金属製のシャフトを外径基準で芯出しした状態に保持して接着剤を硬化させる方法で組み立てることにより円筒状セラミックスローラーの外径と中空穴の芯ずれ誤差を接着層にて吸収することができ円筒状セラミックスローラーの精度に左右されることなく精度の高い搬送ローラーが実現できる。
【0018】また、本発明によれば、上記搬送ローラーを用いることにより、加熱効率が向上し、かつ、熱ロスが非常に少ない加熱炉を実現することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成11年3月2日(1999.3.2)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2000−249472(P2000−249472A)
【公開日】 平成12年9月14日(2000.9.14)
【出願番号】 特願平11−54081