| 【発明の名称】 |
処理装置及び処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】杉山 邦利
【氏名】川口 雄一
|
| 【要約】 |
【課題】連続したシートや線材等の表面を処理するため連続したシートや線材等を通す各種容器内の密閉性を高め、処理液等を効率良く回収する。
【解決手段】長尺シート1を連続して通しながら長尺シート1に対して各種処理を行う処理室3のシート導入口と長尺シート1との間隙及びシート排出口と長尺シート1との間隙を液体7で密封し、処理室3内部の雰囲気がシート導入口やシート排出口から漏れ出すことを防止する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 長尺物を連続して通しながら長尺物に対して各種処理を行う処理室を有する処理装置において、上記処理室の長尺物導入口と搬送される長尺物との間隙及び長尺物排出口と搬送される長尺物との間隙のいずれか一方又は両方を液体で密封することを特徴とする処理装置。 【請求項2】 上記処理室の長尺物導入口を形成する壁面と長尺物排出口を形成する壁面に、搬送される長尺物表面に液体を供給する液体供給手段を設けた請求項1記載の処理装置。 【請求項3】 上記液体供給手段の液供給口と対向する位置に搬送される長尺物を支持する案内ロールを設けた請求項2記載の処理装置。 【請求項4】 上記案内ロールを処理室の壁面に設けたシール部材に密着させた請求項3記載の処理装置。 【請求項5】 上記案内ロールと処理室の壁面の間にシールロールを設けた請求項3記載の処理装置。 【請求項6】 上記案内ロールとシールロールとの間に微小間隙を設け、シールロールを案内ロールの回転方向と逆方向に回転させる請求項5記載の処理装置。 【請求項7】 上記液体供給手段より長尺物の搬送方向の下流側に液除去手段を設けた請求項2乃至6のいずれかに記載の処理装置。 【請求項8】 上記液除去手段は長尺物に塗布された液体を吸引した回収する請求項7記載の処理装置。 【請求項9】 上記処理室の長尺物導入口を形成する壁面に設けた液体供給手段は長尺物に塗工液を供給する塗工機であり、処理室は長尺物に塗布した塗工液を加熱乾燥する請求項2乃至8記載の処理装置。 【請求項10】 上記処理室に不活性ガスを供給し、処理室内の雰囲気ガスを回収して不活性ガスと他の物質を分離し、分離した不活性ガスを処理室に供給する請求項9記載の処理装置。 【請求項11】 上記処理室を塗工液に含まれる溶媒より分子容量の小さい溶媒蒸気の雰囲気とした請求項9記載の処理装置。 【請求項12】 上記処理室の壁面と液体供給手段との間に処理室と液体供給手段を遮断するチャンバー室を設けた請求項9記載の処理装置。 【請求項13】 長尺物を連続して通しながら長尺物に対して各種処理を行う処理室を有する処理方法において、上記処理室の長尺物導入口と搬送される長尺物との間隙及び長尺物排出口と搬送される長尺物との間隙のいずれか一方又は両方を液体で密封することを特徴とする処理方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、樹脂や紙,繊維質等の長尺シートや線材等に有機溶媒を含む塗工液を塗布して乾燥したり、有機溶剤等の気相からの含浸処理や吸着処理して成膜したり洗浄するときの処理装置及び処理方法、特に処理装置の密閉性の向上と処理液等の回収性能の向上に関するものである。 【0002】 【従来の技術】例えば樹脂フイルムからなる長尺シート等の基材に各種素材を配合して高分子樹脂などをバインダとし有機溶媒を用いて塗工して乾燥し、基材に塗布膜を形成することは、例えば、磁気記録媒体や感熱記録媒体などの記録媒体などを始め様々な製品分野で見られる。 【0003】このような製品の塗工工程では有機溶媒を含んだ塗工液を乾燥させる工程で有機溶媒ガスが発生する。有機溶媒ガスは、その量が微量であれば大きな問題はないが、比較的大量に発生する場合には、適当な処理を施さなければならない。溶媒ガスの処理方法としては、燃焼する方法や吸着剤に吸着し補集する方法や液体に溶解させる補集する方法及び凝縮させ液化して回収する方法などがある。このような処理方法の中で有機溶媒ガスを凝縮させ液化して回収する方法は、回収した溶剤を価値のある資源として再利用することができ、環境にも優しいゼロエミッションリサイクルを志向した方法である。 【0004】このような有機溶媒ガスを凝縮させ液化して回収する方法は、溶媒を含むガスの爆発を防ぐために窒素などの不活性環境で行われてきた。したがって、この回収方法を適用するための基本的な構成は、連続シートに塗工液を塗布する塗工機と、不活性ガスが供給されて不活性環境に保たれた乾燥室及び乾燥室から溶媒を含むガスを導き出して溶媒を凝縮分解し、不活性ガスのみを乾燥室に戻す溶媒回収装置によって構成されている。このような基本構成においては、不活性環境に保たれた乾燥室へ連続シートを導入するシート導入口と連続シートを排出するシート排出口で内部の不活性ガスが漏れたり、外部の空気が侵入するという欠点があった。この不活性ガスの漏れは、乾燥室内部の不活性環境を保つために新たな不活性ガスを供給する必要があり、溶媒回収装置のランニングコストを増大させることにもなる。また、シート導入口とシート排出口から外部の空気が侵入して不活性環境を損ない、爆発の危険を増すばかりでなく、侵入する水分により不活性ガスの効率的な回収を阻害する場合もあった。すなわち、溶媒を含むガスから溶媒を凝縮させるためガスを冷却する処理がされるが、この冷却温度が氷点下の場合、ガスに含まれていた水分が氷となり、溶媒回収装置内の配管流路に付着して装置の安定した運転を妨げる。 【0005】このようなシート導入口とシート排出口における不活性ガスの漏れや、外部空気の侵入を防止するため、例えば特開平5−106964号公報に示された乾燥室41は、図7に示すように、乾燥室41のシート導入口とシート排出口に、シート42の走行方向に対して横断方向に延びたシール板43を、長手方向の先端部をシート通路に近接して複数枚設け、隣接したシール板43の間に排気空間44を形成し、シート導入口とシート排出口から外部空気が侵入することを防ぎ、外部に漏れる不活性ガスの量を低減するようにしている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら特開平5−106964号公報に示された乾燥室は、複数のシール板が連続シートの通路の上下に近接して配置され、その隙間を連続シートが通過するため、外部空気の侵入や不活性ガスの漏れを防ぐため上下のシール板間の隙間を狭くすると、走行する連続シートがシール板の先端部に接触し、塗工欠陥の原因となることがある。 【0007】このような欠点は連続シートの走行速度が早くなって乾燥室のシート導入口とシート排出口近傍における連続シートの縦方向のバタツキが発生し易くなると、より大きなものとなる。また、連続シートの縦方向のバタツキの影響を除去するために上下のシール板で形成した隙間を大きくすると、外部空気の侵入や不活性ガスの漏れ防止の効果が減少してしまう。 【0008】さらに、連続シートの走行速度が早くなると、走行している連続シート表面近傍の気体はシート表面に同伴した流れ(同伴流)を形成し、この同伴流により乾燥室内に侵入する外部空気の量が急激に増加する。 【0009】また、不活性ガスを用いた乾燥室で溶媒を含む塗工液を乾燥する場合、乾燥室内から不活性ガスと蒸発した溶媒蒸気を含む気体を導き出して回収しているが、塗工液に比較的低沸点の溶媒を用いた場合、塗工機から乾燥室のシート導入口までの距離がある場合、その間で大気中に揮散する溶媒量が多く、このため周囲雰囲気が悪くなることもあった。 【0010】この発明はかかる短所を改善し、連続したシートや線材等の表面を処理するため連続したシートや線材等を通す各種容器内の密閉性を高めるととともに処理液等を効率良く回収することができる処理装置及び処理方法を提供することを目的とするものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】この発明に係る処理装置は、長尺物を連続して通しながら長尺物に対して各種処理を行う処理室を有する処理装置において、上記処理室の長尺物導入口と搬送される長尺物との間隙及び長尺物排出口と搬送される長尺物との間隙のいずれか一方又は両方を液体で密封することを特徴とする。 【0012】上記処理室の長尺物導入口を形成する壁面と長尺物排出口を形成する壁面に、搬送される長尺物表面に液体を供給する液体供給手段を設けると良い。 【0013】また、液体供給手段の液供給口と対向する位置に搬送される長尺物を支持する案内ローラを設けると良い。 【0014】さらに、案内ロールを処理室の壁面に設けたシール部材に密着させたり、案内ロールと処理室の壁面の間にシールロールを設けると良い。この案内ロールとシールロールとの間に微小間隙を設け、シールロールを案内ロールの回転方向と逆方向に回転させることが望ましい。 【0015】また、液体供給手段より長尺物の搬送方向の下流側に液除去手段を設けることが望ましい。この液除去手段は長尺物に塗布された液体を吸引した回収すると良い。 【0016】また、処理室の長尺物導入口を形成する壁面に設けた液体供給手段は長尺物に塗工液を供給する塗工機であり、処理室は長尺物に塗布した塗工液を加熱乾燥する。この処理室に不活性ガスを供給し、処理室内の雰囲気ガスを回収して不活性ガスと他の物質を分離し、分離した不活性ガスを処理室に供給すると良い。 【0017】さらに、上記処理室を塗工液に含まれる溶媒より分子容量の小さい溶媒蒸気の雰囲気にすると良い。 【0018】また、上記処理室の壁面と液体供給手段との間に処理室と液体供給手段を遮断するチャンバー室を設けることが望ましい。 【0019】この発明の処理方法は、長尺物を連続して通しながら長尺物に対して各種処理を行う処理室を有する処理方法において、上記処理室の長尺物導入口と搬送される長尺物との間隙及び長尺物排出口と搬送される長尺物との間隙のいずれか一方又は両方を液体で密封することを特徴とする。 【0020】 【発明の実施の形態】この発明の処理装置は連続して搬送される長尺シートの表面に各種処理を施すものであり、処理室とダイヘッド及び液体供給装置を有する。処理室は連続して移動する長尺シートの表面に塗布された塗工液を乾燥したり、長尺シートの表面に対して有機溶剤を含浸したり吸着したり、長尺シートを洗浄したりする各種の処理に利用されるものであり、一方の側壁にシート導入口が設けられ、他方の側壁にシート排出口が設けられ、シート導入口とシート排出口の間を移動する長尺シートの表面に各種処理を行う。ダイヘッドは処理室の両側壁のシート導入口とシート排出口の上部に取り付けられ、シート通路側に液供給口を有し、シート導入口とシート排出口を通過する長尺シートの表面に液体供給装置から送給された液体を供給する。 【0021】この処理装置で例えば連続して搬送される長尺シートの表面を洗浄する場合、長尺シートを処理室のシート導入口から処理室内を貫通させてシート排出口から導き出して長尺シートを搬送しながらシート導入口とシート排出口を通過する長尺シートの表面にダイヘッドから液体を供給する。この供給している液体が処理室のシート導入口とシート排出口を密封する。この状態で処理室内を移動している長尺シートの表面を洗浄する。この長尺シートの表面を処理しているときに、処理室のシート導入口とシート排出口をダイヘッドから供給する液体で密封しているから、処理室内部の雰囲気がシート導入口やシート排出口から漏れ出すことを防止することができるとともに外部空気が処理室に侵入することを防止する。 【0022】 【実施例】図1はこの発明の一実施例の構成を示す断面図である。図に示すように、樹脂や紙,繊維質等の長尺シート1を連続して通しながら長尺シート1の表面に各種処理を施す処理装置2は処理室3とダイヘッド4及び液体供給装置5を有する。処理室3は連続して移動する長尺シート1の表面に塗布された塗工液を乾燥したり、長尺シート1の表面に対して有機溶剤を含浸したり吸着したり、長尺シート1を洗浄したりする各種の処理に利用されるものであり、一方の側壁にシート導入口6が設けられ、他方の側壁にシート排出口(不図示)が設けられ、シート導入口6とシート排出口の間を移動する長尺シート1の表面に各種処理を行う。ダイヘッド4は、処理室3の両側壁のシート導入口6とシート排出口の上部に取り付けられ、シート通路側に液供給口を有し、シート導入口6とシート排出口を通過する長尺シート1の表面に液体供給装置5から送給された液体7を供給する。 【0023】上記のように構成された処理装置2で例えば長尺シート1の表面を洗浄する場合、長尺シート1を処理室3のシート導入口6から処理室3内を貫通させてシート排出口から導き出して、長尺シート1を搬送しながらシート導入口6とシート排出口を通過する長尺シート1の表面にダイヘッド4で液体供給装置5から送給された液体7を供給する。この供給している液体7が処理室3のシート導入口6とシート排出口を密封する。この状態で処理室3内を移動している長尺シート1の表面を洗浄する。この長尺シート1の表面を処理しているときに、処理室3のシート導入口6とシート排出口をダイヘッド4から供給する液体7で密封しているから、処理室3内部の雰囲気がシート導入口6やシート排出口から漏れ出すことを防止することができる。また、連続して搬送されている長尺シート1のシート表面に同伴する外部空気をダイヘッド4から長尺シート1の表面に供給される液体で堰き止めることにより、外部空気が処理室3に侵入することを確実に防止することができる。 【0024】上記実施例は長尺シート1の一方の表面にダイヘッド4から液体7を供給する場合について説明したが、長尺シート1の両面に液体7を供給するようにしても良い。 【0025】また、ダイヘッド4から長尺シート1の表面に供給される液体が塗工液のように長尺シート1に塗布されるものでない場合は、長尺シート1の表面に供給された液体7をダイヘッド4の下流側で除去すれば良い。例えば図2,図3の断面図に示すように、処理室3a,3bが隔壁8を介して設けられ、各処理室3a,3bで異なる処理をする場合、図2に示すように、ダイヘッド4の下流側に液体除去ノズル9を設けたり、図3に示すように、ダイヘッド4の下流側でバックアップロール10と対向する位置に発泡樹脂や多孔質のセラミックス等の吸引ロール11を設け、液体除去ノズル9や吸引ローラ11を真空ポンプを有する吸引装置12に連結し、ダイヘッド4から長尺シート1の表面に供給し、長尺シート1の表面に付着している液体7を液体除去ノズル9や吸引ロール11で吸引して除去して回収する。このようにして各処理室3a,3bを通る長尺シート1からシール用の液体7を確実に除去することができ、長尺シート1の表面に各種の処理を行うことができる。また、長尺シート1の表面に付着している液体7を真空ポンプを有する吸引装置12で吸引して除去するから、液体7を効率良く除去できるとともに回収した液体7を再利用することができる。 【0026】上記各実施例は長尺シート1の表面に付着しているシール用の液体7を液体除去ノズル9や吸引ロール11により吸引して除去する場合について説明したが、各処理室3a,3bの処理内容によって液体7が付着した長尺シート1の表面に高速気流を吹き当てて長尺シート1の表面から液体7を吹き飛ばしたり、スクレパーなどで長尺シート1の表面から液体7を掻き落したり、乾燥して除去するようにしても良い。 【0027】次ぎに長尺シート1に塗工機で有機溶媒を含む塗工液を塗布して乾燥装置で乾燥する塗工装置の実施例について説明する。 【0028】塗工装置20は、図4に示すように塗工機21と乾燥装置22を有する。塗工機21は塗工液を供給する塗工液供給装置23と、長尺シート1に塗工液24を塗布するダイヘッド4aとバックアップロール10を有する。乾燥装置22は乾燥室3cとシート出口シール部25と不活性ガス供給装置26と回収装置27及び分離装置28を有する。乾燥室3cは内部にドライヤノズル29とノズルチャンバ30が長尺シート1の通路に沿って配設され、シート導入口とシート排出口の下部側壁にはシール部材31,32が設けられている。この乾燥室3cのシート導入口側の側壁のシート導入口の上部に塗工機21のダイヘッド4aが取り付けられ、ダイヘッド4aの液供給口と対向する位置にバックアップロール10がシール部材31と接触して設けられている。このようにダイヘッド4aに対向して設けたバックアップロール10は、塗膜の均一性を確保するために円筒度と振れと面精度などの高い加工精度が要求される。このようなバックアップロール10と乾燥室3cの側壁間に形成される隙間から乾燥室3c内部の気体が流出したり外部空気が侵入することを防止するため乾燥室3cの側壁に柔軟な材料のシール部材31を設け、バックアップロール10をシール部材31に密着させて、バックアップロール10に傷が付いたり偏心することを防いでいる。 【0029】シート出口シール部25はシール用の液体7を供給する液体供給装置5と、乾燥室3cのシート排出口側の側壁のシート排出口の上部に取り付けられ、液体供給装置5から供給された液体7を長尺シートに供給するダイヘッド4と、ダイヘッド4の液供給口と対向する位置にシール部材32と接触して設けられたバックアップロール10とダイヘッド4の下流に設けられた発泡樹脂や多孔質のセラミックス等の吸引ロール11及び吸引ロール11に接続された吸引装置12とを有する。不活性ガス供給装置26は乾燥室3cに窒素やアルゴン等の不活性ガスを供給する。回収装置27は乾燥室3cから塗工液24の有機溶媒等が含まれる不活性ガスを回収する。分離装置28は回収装置27で回収したガスを不活性ガスと溶媒等とに分離し、分離した不活性ガスを不活性ガス供給装置26に送る。 【0030】上記のように構成された塗工装置20で長尺シート1に塗工液24を塗布して乾燥するとき、長尺シート1を乾燥室3cのシート導入口とシート排出口を通して搬送しながら、塗工機21の塗工液供給装置23からダイヘッド4aに塗工液24を送る。ダイヘッド4aは送られた塗工液24を長尺シート1に供給し長尺シート1の表面に塗布して乾燥室3cに送る。このようにダイヘッド4aから塗工液24が供給されて塗布された長尺シート1が直ちに乾燥室3cに送られるから、塗工液24の溶媒が大気中に揮散する量を極めて少なくすることができ、周囲雰囲気を汚染することを防ぐことができる。 【0031】乾燥室3cに送られた長尺シート1表面の塗工液24はドライヤノズル29から供給される高温乾燥空気により乾燥する。この塗工液24を乾燥するときに、塗工液24から蒸発した溶媒を含むガスによる爆発を防ぐために、乾燥室3cには不活性ガス供給装置26から窒素やアルゴン等の不活性ガスを供給し、乾燥室3cの不活性ガスと溶媒等が含まれる雰囲気ガスを回収装置27で回収する。この回収したガスを分離装置28で不活性ガスと溶媒等とに分離し、分離した不活性ガスを不活性ガス供給装置26に送る。乾燥室3cで塗工液24が乾燥して塗工液皮膜24aが形成された長尺シート1は乾燥室3cのシート排出口を通るときに、液体供給装置5から送られたシール用の液体7がダイヘッド4から供給される。このダイヘッド4から供給され長尺シート1の塗工液皮膜24aの表面に塗布されたシール用の液体7は吸引ロール11を通るときに吸引装置12により吸引されて除去される。 【0032】このように長尺シート1が乾燥室3cを通るときに、乾燥室3cのシート導入口はダイヘッド4aから供給される塗工液24とバックアップロール10でシールされ、乾燥室3cのシート排出口はダイヘッド4から供給されるシール用液体7とバックアップロール10でシールされているから、乾燥室3cに外部空気が侵入したり、乾燥室3cに供給されている不活性ガスや塗工液24から蒸発した溶媒を含む雰囲気ガスが乾燥室3cの外部に漏れ出すことを防ぐことができる。したがって回収装置27で回収するガスには水分を有する外部空気は含まれず乾燥空気だけが含まれるから、回収したガスを分離装置28で効率良く不活性ガスと溶媒等に分離することができ、不活性ガスを有効に利用することができる。 【0033】ここで塗工機21はファウンテンコータ,ディップコータ,ブレードコータ,バーコータ,ロールコータ,ダイコータなどいずれの方式を使用して良い。特に図4に示すようなダイコータ方式は長尺シート1の幅方向を長手としたスリット状の液体供給口から塗工液24を供給して長尺シート1の表面に均一な液膜を形成するから、供給された塗工液24で乾燥室3cのシート導入口を確実にシールすることができる。 【0034】このような長尺シート1に皮膜を形成する場合の溶媒除去促進方法が例えば文献J.App.Poly Sci,30,4499(1985)において、ブレンタス(Vrentas)らにより提案されている。この溶媒除去促進方法は塗膜中の溶媒の除去を促進するために第2の溶媒を導入し、高分子樹脂中に微少量残留した高沸点溶媒などの除去を比較的低温で行うようにしている。高分子樹脂中に残留した高沸点溶媒などの除去を困難にしている主な要因は、高分子樹脂中に残留する溶媒量が少なくなるほど高分子樹脂中の溶媒の拡散係数が急激に小さくなることと、高分子樹脂中の溶媒の拡散係数はその溶媒分子自身の大きさ(分子容積)が大きいほど小さくなり、高沸点溶媒は比較的分子が大きいため拡散係数が小さいことの2点である。そこで第1の溶媒である高沸点溶媒が微少量残留した高分子樹脂膜を、高沸点溶媒よりも分子容積の小さな第2の溶媒蒸気中にさらして加熱して高沸点溶媒内に第2の溶媒を導入し、高分子樹脂膜内の第1の溶媒と第2の溶媒の両者の溶媒の拡散係数を大きくして除去が困難な第1の溶媒を除去する。次ぎに高分子樹脂膜を第2の溶媒蒸気雰囲気から取り出して加熱し、高分子樹脂膜中に残った第2の溶媒を除去する。この方法により2種類の溶媒を除去する全所要時間は、高分子樹脂膜中にはじめから残留している第1の溶媒を単純に加熱して除去するのに要する時間よりも短くなる。 【0035】この溶媒除去促進方法は実質的に溶媒蒸気中で高分子樹脂膜を加熱する操作であり、加熱空気中の溶媒蒸気組成を制御する必要があるが、この制御に対する外乱要素として、外部の空気の侵入や溶媒蒸気の外部への漏れがある。これに対して上記実施例に示すように乾燥室3cは外部空気の侵入や内部雰囲気の漏れを最小限に制限するから、この溶媒除去促進方法にも適用することができる。 【0036】上記実施例は乾燥室3cのシート導入口をダイヘッド4aから供給される塗工液24とバックアップロール10でシールし、シート排出口をダイヘッド4から供給されるシール用液体7とバックアップロール10でシールする場合について説明したが、図5に示すように、バックアップロール10の下流側に微小距離隔てて配置され、乾燥室3cの側壁に設けたシール部材31と密着し、バックアップロール10の回転方向と反対方向に回転するシール用ローラ33を乾燥室3cのシート導入口とシート排出口に設けても良い。このようにシール用ロール33を設けることにより、精度の必要なバックアップロール10をシール部材31で傷付けることを防ぎながらシール用ロール33により確実にシールすることができる。また、シール用ロール33をバックアップロール10の回転方向と逆方向に回転するから、バックアップロール10の回転に伴ってバックアップロール10の外周面近傍に生じる空気流とシール用ロール33の回転に伴ってシール用ロール33の外周面近傍に生じる空気流により、長尺シート1の搬送速度に応じて回転しているバックアップロール10の回転に伴って生じ、乾燥室3c内に入り込もうとする外部空気の流れを外部に排出するとともにバックアップロール10とシール用ロール33との微小間隙から外部空気が流れ込むことを防ぐことができ、乾燥室3cのシート入口とシート出口を高気密にシールすることができる。 【0037】ここでバックアップロール10とシール用ロール33の間隙は1mm以下で30μm以上とできるだけ小さいことが望ましい。また、乾燥室3cと外気の間に圧力差がある場合、バックアップロール10に近接して設置したシール用ロール33の回転数を適当に制御することによりバックアップロール10とシール用ロール33の間隙を通る気体の流動を制御できる。 【0038】また、上記実施例は乾燥室3cの側壁に塗工機21のダイヘッド4aを取り付けた場合について説明したが、図6に示すように、乾燥室3cのシート入口の側壁にチャンバー室34を設け、チャンバー室34のシート入口の側壁に塗工機21のダイヘッド4aとバックアップロール10を取り付けても良い。このように塗工機21のダイヘッド4aをチャンバー室34の側壁に取付けることにより、ダイヘッド4aとバックアップロール10を乾燥室3c内の高温雰囲気から離すことができ、ダイヘッド4aとバックアップロール10の温度による変形やダイヘッド4aから供給する塗工液24の溶媒が凝縮することを防ぐことができ、塗工液24を安定して長尺シート1に供給することができる。また、乾燥室3cと外気の間に圧力差がある場合、チャンバー室34の圧力を適当に制御することにより、乾燥室3cと外気の間の圧力差を維持することができる。 【0039】上記各実施例は、長尺シート1に対して各種処理を行う場合について説明したが、連続して送られる板状の物や糸状の物に対しても同様に適用することができる。 【0040】 【発明の効果】この発明は以上説明したように、長尺物を連続して通しながら長尺物に対して各種処理を行う処理室の長尺物導入口と搬送される長尺物との間隙及び長尺物排出口と搬送される長尺物との間隙を液体で密封するから、処理室内部の雰囲気がシート導入口やシート排出口から漏れ出すことを防止することができ、外部雰囲気等を汚染しないですむ。また、外部空気が処理室に侵入することを防止することができ、安定した処理を行うことができる。 【0041】上記処理室の長尺物導入口を形成する壁面と長尺物排出口を形成する壁面に、搬送される長尺物表面に液体を供給する液体供給手段を設けることにより、長尺物表面にシール用の液体を安定して供給することができ、気密性を高めることができる。 【0042】また、液体供給手段の液供給口と対向する位置に搬送される長尺物を支持する案内ローラを設けることにより、長尺物表面にシール用の液体を均一に塗布することができ、シート導入口やシート排出口の密封度を高めることができる。 【0043】さらに、案内ロールを処理室の壁面に設けたシール部材に密着させることにより、シート導入口やシート排出口の密封度をより高めることができる。 【0044】また、案内ローラと処理室の壁面の間にシールロールを設けることにより、精度が必要な案内ロールを傷付けることを防ぎながらシールロールにより確実に気密性を高めることができる。 【0045】また、案内ロールとシールロールとの間に微小間隙を設け、シールロールを案内ロールの回転方向と逆方向に回転させることにより、より気密性を高めることができる。 【0046】さらに、液体供給手段より長尺物の搬送方向の下流側に液除去手段を設けることにより、各種処理に対応することができる。また、液除去手段で長尺物に塗布された液体を吸引して回収することにより、長尺物に塗布された液体を確実に徐行することができるとともに回収した液体を再利用することができ、運転費用を低減できる。 【0047】また、処理室の長尺物導入口を形成する壁面に設けた液体供給手段から長尺物表面形成する塗膜の塗工液を供給し、処理室で加熱乾燥することにより、気密性を高めるとともに塗工液の溶媒が大気中に拡散することを防ぐことができる。 【0048】この気密性を保った処理室に不活性ガスを供給し、処理室内の雰囲気ガスを回収して不活性ガスと他の物質を分離し、分離した不活性ガスを処理室に供給することにより、不活性ガスを有効に利用することができる。 【0049】さらに、気密性を保った処理室を塗工液に含まれる溶媒より分子容量の小さい溶媒蒸気の雰囲気とすることにより、塗工液に含まれる溶媒を効率良く除去して乾燥することができる。 【0050】また、処理室の壁面と液体供給手段との間に処理室と液体供給手段を遮断するチャンバー室を設けることにより、処理室と外気の間の圧力差を維持することができ、処理室で各種処理を安定して行うことができる。また、処理室内が高温雰囲気であっても、液体供給手段や案内ロールを処理室から離すことができ、液体供給手段や案内ロールの温度による変形や供給する液体が凝縮することを防ぐことができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006747 【氏名又は名称】株式会社リコー
|
| 【出願日】 |
平成10年12月25日(1998.12.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093920 【弁理士】 【氏名又は名称】小島 俊郎
|
| 【公開番号】 |
特開2000−193370(P2000−193370A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月14日(2000.7.14) |
| 【出願番号】 |
特願平10−370678 |
|