トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F25 冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒ−トポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化




【発明の名称】 断熱扉
【発明者】 【氏名】岡本 武久

【要約】 【課題】絞り成形部を有した扉表側面材と扉裏側面材とからなる扉筐体の開放端面を扉キャップで閉鎖して発泡性断熱材を充填した構成において、扉の表面に歪みが生じてしまうことを防止する。

【解決手段】扉28は、扉表側面材33と扉裏側面材34とからなる扉筐体の開放端面を扉キャップ35で閉鎖してから、発泡性断熱材を扉裏側面材34の孔36から注入して構成されている。扉キャップ35の裏側においては長尺面状部39が形成されており、扉表側面材33に扉キャップ35が装着された状態では扉表側面材33の端部(歪み発生部位)の裏面に扉キャップ35の長尺面状部39が密着する。これにより、扉筐体内に発泡性断熱材が充填された場合は、扉表側面材33の端部の裏面にほとんど同時に発泡性断熱材が充填されるようになり、特定の充填終局点が生じて歪みが集中してしまうことはない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扉表側面材と扉裏側面材とからなる扉筐体の開放端面を扉キャップで閉鎖した状態で内部の密閉空間に発泡性断熱材を充填した構成の断熱扉において、前記扉表側面材には絞り成形部が形成され、前記扉キャップは、前記扉表側面材において当該扉キャップが密着する端部の裏面側に当該端部に沿って長尺面状に密着する長尺面状部を有して形成されていることを特徴とする断熱扉。
【請求項2】 扉キャップは、長尺面状部が少なくとも前記扉表側面材の絞り成形部に対応した部位に形成されていることを特徴とする請求項1記載の断熱扉。
【請求項3】 扉表側面材に扉キャップが装着された状態で両者を係合により仮保持する仮係合手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の断熱扉。
【請求項4】 扉キャップの長尺面状部には扉キャップ成形用金型における長尺面状部に対応した部位を補強するための補強用切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の断熱扉。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、扉表側面材と扉裏側面材とからなる扉筐体の開放端面を扉キャップで閉鎖した状態で内部の密閉空間に発泡性断熱材を充填した構成の断熱扉に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来より、冷蔵庫では、収納物の取出しが容易なように引出し式の収納庫を採用したものが供されている。図10はこの種の収納庫の扉を示している。即ち、扉1は、鋼板製の扉表側面材2と樹脂製の扉裏側面材3とからなる扉筐体を形成すると共に、その扉筐体の開放端面を扉キャップ4で閉鎖してから、内部の密閉空間に発泡性断熱材を充填して構成されている。この場合、発泡性断熱材は扉裏側面材3に形成された孔5から注入するようにしている。
【0003】図11は扉キャップ4を示している。この図11において、扉キャップ4の裏面の周縁部全体には立上り部6が形成されていると共に、前端縁部には立上り部6と対向して長尺状の土手部7が形成されている。この土手部7の前面側には所定間隔で複数のリブ8が一体的に形成されており、そのリブ8と立上り部6との間に図12に示すように面材挿入溝部9が形成されている。この場合、面材挿入溝部9には扉表側面材2の端部が挿入されるようになっており、その挿入状態で扉表側面材2の端部は立上り部6とリブ8との間に挟持された形態となる。
【0004】さて、図10に示すように扉表側面材2には陥没状の絞り成形部10が形成されており、その絞り成形部10にハンドル11が装着されている。ところで、扉表側面材2に形成された絞り成形部10の周囲には歪みを生じており、本来の設計形状から僅かに変形している。即ち、図13に誇張して示すように扉表側面材2の端部において絞り成形部10に対応した部位は絞り成形部10側に引張られている(約1〜2mm)と共に、図14に誇張して示すように裏面側にも引張られている(約1mm弱)。これは、絞り成形部10の中央部は最も絞り量が大きくことから、絞り成形部10の中央部に向かう引張り力が大きいからである。
【0005】この場合、扉表側面材2の端部が扉キャップ4の立上り部6とリブ8との間に挟持された形態では、その部位における歪みは矯正されるものの、リブ8がない部位に歪みが分散されている。このような歪みは小さな分散歪みであり、目立つことはない。
【0006】しかしながら、発泡性断熱材を扉裏側面材2に形成された孔5から注入する発泡性断熱材注入時にあっては、発泡性断熱材は中央部から外側に向かって充填される。このとき、扉表側面材2の端部の裏面側に充填される発泡性断熱材はリブ8とリブ8との間の空間部に順に充填するように流入し、発泡性断熱材がリブ8とリブ8との間の各空間部に充填されるまでに時間差を生じるので、発泡性断熱材の充填終局点は扉キャップ4と扉表面材2との継目に1箇所或いは複数箇所生じる。このため、先に充填された部位の歪みは充填圧力により矯正されるものの、充填終局点においては歪みが集中することになる。この結果、扉の表面が集中歪みにより折れや波打ちを生じたり、リブ跡が出現したりして、製品の外観品質低下の要因となっている。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、絞り成形部を有した扉表側面材と扉裏側面材とからなる扉筐体の開放端面を扉キャップで閉鎖して発泡性断熱材を充填した構成において、扉の表面に歪みが生じてしまうことを防止できる断熱扉を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、扉表側面材と扉裏側面材とからなる扉筐体の開放端面を扉キャップで閉鎖した状態で内部の密閉空間に発泡性断熱材を充填した構成の断熱扉において、前記扉表側面材には絞り成形部が形成され、前記扉キャップは、前記扉表側面材において当該扉キャップが密着する端部の裏面側に当該端部に沿って長尺面状に密着する長尺面状部を有して形成されているものである(請求項1)。
【0009】さて、扉表側面材には絞り成形部が形成されているという事情から、その周囲には歪みを生じているので、扉表側面材の端部において絞り成形部に対応した部位には歪みを生じている。
【0010】このように絞り成形部を有した扉表側面材と扉裏側面材からなる扉筐体の開放端面に扉キャップを装着すると、扉キャップに形成された長尺面状部が扉表側面材の端部、つまり歪み発生部位の裏側に密着するようになる。この状態で、扉筐体の内部の密閉空間部に発泡性断熱材を充填すると、扉表側面材の端部の裏面側にはほとんど同時に発泡性断熱材が充填されるようになるので、特定の充填終局点を生じることがなく、扉表側面材の歪みが特定の部位に集中してしまうことを防止できる。
【0011】上記構成において、扉キャップは、長尺面状部が少なくとも前記扉表側面材の絞り成形部に対応した部位に形成されていてもよい(請求項2)。このような構成によれば、扉表側面材の端部の裏側において絞り成形部に対応した部位に裏側に長尺面状部が密着するので、扉表側面材の歪みが特定の部位に集中してしまうことを確実に防止できる。
【0012】また、扉表側面材に扉キャップが装着された状態で両者を係合により仮保持する仮係合手段を設けるようにしてもよい(請求項3)。このような構成によれば、扉表側面材に扉キャップを装着すると、仮係合手段が扉表側面材と扉キャップとを係合により仮保持するので、両者からなる扉筐体を容易に組立てることができ、扉の組立作業効率を高めることができる。
【0013】また、扉キャップの長尺面状部には扉キャップ成形用金型における長尺面状部に対応した部位を補強するための補強用切欠部が形成されていてもよい(請求項4)。
【0014】このような構成によれば、扉キャップを形成するための金型における長尺面状部を形成するための部位は長尺スリット状となって強度が弱くなるものの、長尺面状部に補強用切欠部を形成することにより金型における長尺面状部に対応した部位の壁面間は橋架されるので、その部位を補強することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図5を参照して説明する。図2は冷蔵庫の全体を斜視して示している。この図2において、冷蔵庫21には上方から冷蔵室22、野菜室23、製氷室24、温度切替室25、冷凍室26が設けられており、それぞれ扉27〜31により閉鎖されている。
【0016】ここで、野菜室23、製氷室24、温度切替室25、冷凍室26は引出し式の収納庫として構成されており、それぞれに対応する扉27〜31を引出すことにより収納庫全体を前方に引出すようになっている。この場合、野菜室23及び冷凍室26の扉にはハンドル32が設けられており、そのハンドル32により図示しいな野菜容器或いは冷凍容器を前方に引出すようになっている。
【0017】図1は野菜室23の扉28(断熱扉に相当)を示している。この図1において、野菜室23の扉28は、鋼板製の扉表側面材33と樹脂製の扉裏側面材34とからなる扉筐体を形成すると共に、その扉筐体の両端開放面を樹脂製の扉キャップ35で閉鎖してから、内部の密閉空間に発泡性断熱材を充填して形成されている。この場合、発泡性断熱材は扉裏側面材34に形成された孔36から注入するようにしている。
【0018】扉表側面材33は鋼板を外観性向上のためにプレス成形して形成されており、前面が湾曲形成されていると共に、両端は折返し形成されている。この扉表側面材33の前面上部には絞り成形部37が陥没形成されており、その絞り成形部37にハンドル32が装着されている。
【0019】次に扉キャップ35の構造について説明する。図3は扉キャップ35の正面を示し、図4は扉キャップ35の裏面を示している。これらの図3及び図4において、扉キャップ35の裏側の周縁部全体には立上り部38が形成されていると共に、前端縁部には立上り部38に対向して長尺面状部39が形成されており、その長尺面状部39と立上り部38とにより所定間隙の面材挿入溝部40が形成されている(図5参照)。また、長尺面状部39の端部には折曲部41が形成されており、その折曲部41の前面側に複数のリブ42が形成されている。この場合、リブ42と立上り部38との間の寸法は、上記面材挿入溝部40と同一間隙に形成されている。また、長尺面状部39は、従来において扉表側面材33の絞り成形部37による歪みが出現する部位に対応して設けられている。
【0020】ここで、扉キャップ35の長尺面状部39には補強用切欠部43が間欠的に形成されている。この補強用切欠部43は扉キャップ形成用金型(図示せず)において当該補強用切欠部43に対応したスリット状の部位の壁面間を橋架して補強するために形成されており、その深さは、立上り部38と長尺面状部39とから形成される面材挿入溝部40の深さに影響を与えない寸法に設定されている。具体的には、図5に示した補強用切欠部43の深さ寸法hは、立上り部38の高さ位置を越えない寸法に設定されている。
【0021】このように形成された扉キャップ35においては立上り部38と長尺面状部39とにより形成された面材挿入溝部40に扉表側面材33の端部が挿入されるものであり、その挿入状態では、扉表側面材33の裏面に長尺面状部39が密着するようになる。
【0022】ところで、上述のように扉表側面材33には絞り成形部37が形成されている事情から、その絞り成形部37の周囲には歪みを生じている。このため、扉表側面材33において絞り成形部37の周囲、特に扉キャップ35と密着する端部が歪んで、本来の設計形状から僅かに変形している。しかしながら、その歪みは僅かであることから、扉表側面材33を扉キャップ35の立上り部38と長尺面状部39との間の面材挿入溝部40に挿入した場合、扉表側面材33の裏面には長尺面状部39が密着するようになる。
【0023】そして、上述のように組立てられた扉筐体において、扉裏側面材34の孔36から発泡性断熱材を充填すると、密閉空間部内を発泡性断熱材が中央から外側に向かって拡散する。このとき、扉表側面材33の端部の裏面は扉キャップ35の長尺面状部39が密着しているので、扉表側面材33の裏面側はほとんど同時に発泡性断熱材により充填されることになる。これにより、充填の時間遅れにより特定の充填終局点が生じることはないので、扉表側面材33の歪みが当該扉表側面材33と扉キャップ35との継目に集中してしまうことはない。
【0024】このような実施の形態によれば、扉表側面材33の端部に装着される扉キャップ35に長尺面状部39を形成し、扉表側面材33の端部に扉キャップ35が装着された状態で扉表側面材33の裏面に長尺面状部39を密着するようにしたので、発泡性断熱材の充填に充填終局点が扉キャップと扉表側面材との継目に1箇所或いは複数箇所生じている従来例のものと違って、特定の充填終局点が発生して歪みが扉キャップ35と扉表側面材33との継目に集中することはなく、以て扉28の表面に変形を生じることを効果的に防止することができる。
【0025】さらに、扉キャップ35の長尺面状部39には補強用切欠部43が間欠的に形成されているので、扉キャップ形成用の金型において長尺面状部39に対応して長尺状のスリットを形成する必要があるにしても、スリットの両側の壁面は間列的に橋架されており、強度の向上を図ることができる。
【0026】(第2の実施の形態)次に本発明の第2の実施の形態を図6乃至図9を参照して説明するに、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この第2の実施の形態は、扉28の組立性を高めたことを特徴とする。
【0027】即ち、扉キャップ35の裏面を示す図6及び要部の断面を示す図7において、扉キャップ35に形成された長尺面状部39の折曲部41の前面には係合爪部44(仮係合手段に相当)が突出形成されている。
【0028】一方、扉表側面材33の平面を示す図8及びその正面を示す図9において、扉表側面材33において扉キャップ35の長尺面状部39の折曲部41に対応する部位には切起し部45(仮係合手段に相当)が形成されており、扉表側面材33の端部に扉キャップ35が装着された状態では、扉表側面材33の切起し部45が扉キャップ35の係合爪部44に係合して仮保持状態となるようになっている。
【0029】この第2の実施の形態によれば、扉表側面材33と扉キャップ35とを係合により仮保持するようにしたので、第1の実施の形態と同様な作用効果を奏しながら、扉表側面材33と扉キャップ35とからなる扉筐体を容易に組立てることができ、扉の組立作業性を向上することができる。
【0030】本発明は上記の実施の形態に限定されることなく、開閉式の扉に適用するようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の断熱扉によれば、扉表側面材と扉裏側面材とからなる扉筐体の開放端面を閉鎖する扉キャップを、扉表側面材が密着する端部の裏面側において少なくとも扉表側面材の絞り成形部に対応した部位に上記端部に沿って長尺面状に密着する長尺面状部を有して形成するようにしたので、絞り成形部を有した扉表側面材と扉裏側面材とからなる扉筐体の開放端面を扉キャップで閉鎖して発泡性断熱材を充填した構成において、扉の表面に歪みが生じてしまうことを防止できるという優れた効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成10年9月17日(1998.9.17)
【代理人】 【識別番号】100071135
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 強
【公開番号】 特開2000−88444(P2000−88444A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平10−263573