| 【発明の名称】 |
冷蔵庫 |
| 【発明者】 |
【氏名】静谷 光隆
【氏名】柴山 昌幸
【氏名】店網 太一
【氏名】笹村 和文
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| 【要約】 |
【課題】直接冷却方式の引き出し式貯蔵室において「貯蔵品の冷却性向上」と「庫内壁への冷気遮蔽」とを共に十分に行える冷気の循環状態を実現し、冷蔵庫の消費電力量を有効に低減する。
【解決手段】貯蔵容器の内部に直接に冷気を吹き出して冷却する方式である引き出し式貯蔵室で、貯蔵容器の背面、もしくは底面の奥半部の範囲に容器外への冷気流出口を設けた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】冷蔵庫箱体に対して前後方向に滑動滑動自在に支持されて開閉される扉と、この扉と共に前記冷蔵庫箱体より出し入れされる貯蔵容器とを備え、この貯蔵容器の内部に冷気を流通させて冷却する冷蔵庫において、前記貯蔵容器の背面、または底面の後半部に冷気の流出口を設けた冷蔵庫。 【請求項2】請求項1記載の冷蔵庫において、前記流出口を前記貯蔵容器の背面の下部に配置したことを特徴とする冷蔵庫。 【請求項3】請求項1または2に記載の冷蔵庫において、前記貯蔵容器の内側の底面に、その縁もしくは底が前記貯蔵容器の内面と隙間を有して配置された金属製のトレーを備えた冷蔵庫。 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載の冷蔵庫において、前記貯蔵容器の内部へ冷気を吹き出す冷気吹き出し口を前記貯蔵容器の上方に配置した冷蔵庫。 【請求項5】請求項1乃至4のいずれかに記載の冷蔵庫において、前記扉を閉めた状態で前記貯蔵容器の上面を覆う蓋部と、この蓋部に前記吹き出し口と連通した通気口を備えた冷蔵庫。 【請求項6】請求項1乃至5のいずれかに記載の冷蔵庫において、前記貯蔵容器の前後左右の内面に設けられ前記冷蔵庫の上下方向に延在する凹凸部、もしくは前記貯蔵容器の底面に設けられ前記冷蔵庫の前後方向に延在する凹凸部を備えた冷蔵庫。 【請求項7】請求項1乃至6のいずれかに記載の冷蔵庫において、前記貯蔵容器前面の上端部近傍に設けられ前記流出口より断面積が小さい通気口を備えた冷蔵庫。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は冷蔵庫に係わり、特に、貯蔵容器の内部に直接に冷気を吹き出す方式の引き出し式貯蔵室を備える冷蔵庫に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、扉の開閉頻度が多い冷蔵室を扉回動式(及び固定棚)の区画として箱体の上半に配置し、下半に扉の開閉頻度が比較的少ない野菜室や冷凍室等を引き出し式の区画として配置する、いわゆるミッドフリーザやボトムフリーザと呼ばれる新形態の冷蔵庫が広く使われるようになっている。 【0003】その理由として、新形態の冷蔵庫では、扉の開閉頻度が多い冷蔵室が高い位置なので扉を大きく開けて立った姿勢のまま貯蔵品を見渡して収納・取り出しができること、また箱体の下半となる野菜室や冷凍室等では、低い位置なので収納・取り出しの姿勢はやや苦しいものの冷蔵室ほど開閉は多くないし、貯蔵品どおしの接触・積み重ねがある程度許容されるので引き出した貯蔵容器を斜め上から自然に扱え、全体として使い勝手の面で優れているためである。また、サイクル構成要素が箱体下部に集約できることで、設計・製作やリサイクル性の面でも利点がある。 【0004】新形態の冷蔵庫の下半に配置される引き出し式の貯蔵室は、扉と貯蔵容器が一緒に滑動して開閉される。扉が閉状態での貯蔵品の冷却方式としては、大きく分けて2種類がある。1つは、閉状態では上部にフタ等が被って貯蔵容器が略密閉されると共に冷気を容器・フタの外側に流して容器内部を冷却しようとする間接冷却の方式である。この方式は、貯蔵中の乾燥を低減するため、野菜室などに典型的に用いられる。他方、冷凍室やチルド室・切換え室等の貯蔵品の乾燥の問題が少ない貯蔵室の場合には、冷気を貯蔵容器の内部に吹き出して流して内部を冷却するという直接冷却の方式が採られる。 【0005】まず、最も典型的な直接冷却方式の引き出し式貯蔵室の例としては、特開平8−233430号公報に示されているミッドフリーザ型の冷蔵庫(第1の従来例という)の冷凍室がある。また他の直接冷却方式の引き出し式貯蔵室の例としては、特開平7−332835号公報に示されているミッドフリーザ型の冷蔵庫(第2の従来例という)の冷凍室がある。さらに他の直接冷却方式の引き出し式貯蔵室の例としては、特開平9−250860号公報に示されているミッドフリーザ型の冷蔵庫(第3の従来例という)の冷凍室がある。またさらに他の直接冷却方式の引き出し式貯蔵室の例としては、特開平10−54640号公報(該公報中の図7あるいは図8)に示されているボトムフリーザ型の冷蔵庫(第4の従来例という)の冷凍室がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】最近の冷蔵庫では、前記の使い勝手の良さと共に消費電力量の少なさも強く求められており、そのために冷凍サイクル構成要素の効率向上や箱体の断熱性能の向上が重要な技術課題となっている。これらの課題に対し、前者に対しては限られた風量の冷気で貯蔵品をより低温でムラなく冷やすという「貯蔵品の冷却性向上」を図ることが、後者には庫内壁等への冷気流を制限するという「庫内壁への冷気遮蔽」を図ることが重要である。 【0007】前者の「貯蔵品の冷却性向上」を図るには、原則として、貯蔵品の遇々にまで冷気を偏り少なく流すこと(貯蔵品全体の均一冷却)と、貯蔵品をあまり冷却せずに流出する冷気を減らすこと(冷気のショートカット防止)とが必要である。貯蔵品全体の均一冷却は明らかに貯蔵品をムラなく冷やすことにつながるし、また冷気のショートカット防止では冷却に有効な冷気量が増えるので明らかに貯蔵品をより低温にすることつながる。さらに、貯蔵品全体の均一冷却の原則は次のように貯蔵品をより低温にすることにも有効である。 【0008】冷気と貯蔵品との熱交換量は、それらの温度差と熱伝達率と貯蔵品の(熱交換に有効な)表面積の積で概略与えられる。冷気の偏り、即ち貯蔵品に対する冷気の風速分布の偏りが大きくなると、貯蔵品各部の熱伝達率の分布も偏りが大きくなる。貯蔵品は種々の外形状が考えられるが、一般的にその表面の熱伝達率は風速に対して0.5〜0.8乗(流れ状態:層流的〜乱流的)に比例すると言われる。ここで、貯蔵品への風速分布の偏りが最も極端な例として、貯蔵品の1/Nの部分の風速が偏りのない場合のN倍で、残りの(1−1/N)の部分で風速がゼロとなる場合を考え、かつ熱伝達率は風速に対して0.6乗に比例するとして熱交換量の変化をみてみる。全体の風量は、N×(1/N)+0×(1−1/N)=1と偏りのない場合と同一である。風速以外の条件は同一とすると熱交換量は、偏りのない場合に比べて、(Nの0.6乗)×(1/N)+(0の0.6乗)×(1−1/N)=(Nの−0.4乗)に比例する。例えば、Nを1.5、2、3と増やして偏りを多くすると、熱交換量は偏りのない場合の85%、76%、64%となって減少してゆくことになる。以上は簡略化した条件による評価だが、貯蔵品全体の均一冷却を行って冷気の偏りを少なくした場合には、冷気と貯蔵品との熱交換量が増加して、貯蔵品の低温化につながることがわかる。 【0009】冷蔵庫の消費電力量を低減するため後者の「庫内壁への冷気遮蔽」を図るには、上記の「貯蔵品の冷却性向上」で貯蔵品周囲に冷気を流すのとは逆に、庫内壁、特に高温となったり外壁に相当する部分の庫内壁には冷気を流さないようにして、貯蔵室内の冷気の循環を成立させる必要がある。既に述べたことからわかるように、貯蔵品周囲と庫内壁とで冷気の循環状態を変えるのは、貯蔵品が貯蔵容器に入れられて庫内壁とは上方以外は容器の隔壁で遮られている引き出し式の貯蔵室の方が冷蔵室のような扉回動式の貯蔵室より対策しやすい。また引き出し式の貯蔵室の中でも、野菜室のような容器周囲に冷気を流す間接冷却方式では難しいが、冷凍室等のような容器内に冷気を流す直接冷却方式(貯蔵品は容器内で十分冷却され容器周囲からの冷却は特に必要としない)ではかなりの対策が可能と考えられる。このように、貯蔵室の構造の点から冷凍室等のような直接冷却方式の引き出し式貯蔵室で「庫内壁への冷気遮蔽」の対策が採りやすいが、次に示すそのような貯蔵室で熱侵入量が特に多いという事実から対策は重要となる。 【0010】貯蔵室の断熱性能の良否、言い換えれば貯蔵室への熱侵入量の少なさ及び多さには、庫内外の熱伝達率・温度差及び壁の熱伝導率や表面積(これらが大きいと熱侵入量は増加)、断熱壁の厚さ(大きいと熱侵入量は減少)が関係してくる。冷蔵庫において直接冷却方式の引き出し式貯蔵室となる冷凍室では、庫内温度が約−18℃であって、庫内を氷点ないしそれ以上とする他の貯蔵室に比べ庫内外の温度差が元々大きい。また、庫内を低温にするために冷気の風量が多く、それにより庫内の熱伝達率も大きくなることから、断熱壁の厚さは他の貯蔵室より大きくしているものの、熱侵入量は他の貯蔵室より多くなっている。例えば、箱体全体の貯蔵室の1/4の内容積を冷凍室が占める場合、その熱侵入量は箱体全体の約1/2になると言われている。また、機能を増やした機種ではチルド室や氷温室、温度帯を変更できる切換え室等も独立した引き出し式貯蔵室として設定され、それらにはほとんど直接冷却方式が採用される。これらの貯蔵室では、冷凍室ほどではないが庫内温度は冷蔵室・野菜室より低温であり、区画への熱侵入量はやや多めであると考えられる。 【0011】一方、野菜室は間接冷却方式の引き出し式貯蔵室であり、容器周囲に冷気を流すので庫内壁の熱伝達率はやや大きくなるが、庫内温度が冷蔵室並みの約5℃と高いことと共に箱体全体に対する内容積の割合が比較的少ないので、熱侵入量は少ないと考えられる。また、扉回動式の区画である冷蔵室は、内容積の割合は大きいものの、庫内温度が高く、冷凍室に比べ数分の一と少ない冷気を固定棚の各々に分配して流すため風速は低く、従って庫内の熱伝達率も引き出し式の区画に比べ小さくなる。そのため、冷蔵室では内容積当たりの熱侵入量がかなり少なく、内容積が大きいとしても全体の熱侵入量は冷凍室よりは少ないと考えられる。 【0012】これらのことから、冷凍室等の直接冷却方式の引き出し式貯蔵室への熱侵入量は多く、特にそのような貯蔵室の多い冷蔵庫においては箱体全体の半分をかなり上回るほど多くなっており、既に述べた「庫内壁への冷気遮蔽」の対策が特に必要であることがわかる。 【0013】すなわち、上述の冷蔵庫で冷気の循環状態の改善で消費電力量を低減するには、直接冷却方式の引き出し式貯蔵室に重点をおいて「貯蔵品の冷却性向上」と「庫内壁への冷気遮蔽」という具体的な対策を考えるのが効果的であるといえる。このような視点から、従来技術を検討する。 【0014】前記従来技術1に示された実施例での冷凍室は上下2段の構成であるが、冷気の循環状態はほぼ同じである。この従来技術1での冷凍室を、図11に示す。 【0015】この従来技術1で開示される冷凍室において、扉と貯蔵容器は一体となって区画内にあり、上方は上の区画と連続のため中仕切で、下方は下の区画との仕切壁で、前方は扉で、奥は背面仕切部材で、図示していないが側方は箱体の側面壁で区切られている。冷凍室を冷却する冷気は、背面仕切部材から貯蔵容器の背面の上端付近に先端が開口した吐出口から前向き・やや下向きに吹き出され、貯蔵品に当たって冷却作用を行うと同時に拡散・乱されて容器の前側に達する。内部の冷却を終えた冷気は、貯蔵容器の前面の上端付近に形成された流出口(容器前面と扉とに隙間をあける場合もある)から容器外に流出し、扉の上下に位置するパッキン周辺で曲がりながら扉と貯蔵容器の間を下方に、次いで下段の冷凍室の場合は下方の仕切壁と容器底面の間を奥側に向かって流れ(上段の冷凍室の場合は下段の流出前の冷気と合流する)、戻り口から冷却器の収容室へ戻って行く。 【0016】この冷気の循環状態を評価すると、「貯蔵品の冷却性向上」の面では、貯蔵容器の奥側下部に冷気が流れにくいこと(その部分に冷気を流すため吐出口から下向きに吹き出すと、容器の中央上部に流れにくくなる)、吐出口及び流出口が容器の上方及び上部にあるため、貯蔵品が多くなると通風抵抗の点から冷気は容器内の下部にあまり流れ込まず容器上部や貯蔵品の上方に偏って流れるようになること、という問題がある。また「庫内壁への冷気遮蔽」の面でも、容器外に流出した冷気が扉(庫外と区画する外壁である)と仕切壁(他の貯蔵室との区画壁である)に沿って容器内より高風速で流れること、流出口の直前や容器外の前側下部で曲がる際にパッキン周辺の高温になる庫内壁部分に冷気が当たるか高風速で流れること、という問題がある。 【0017】ここで、パッキン周辺の庫内壁が高温になるのは、仕切壁・箱体側壁等の前面内部にある結露防止用加熱部材(図示せず)と庫外に面するパッキンとから、箱体外側の鋼板や内側表面・パッキンの授脂部材を介した熱伝導が局所的ながら顕著に起きるためである。また、この例では区画の下方は仕切壁であって庫外から直接の熱侵入がある外壁ではないが、仕切壁でも冷気が高風速で流れる状態にある。この場合、仕切壁を隔てた下方にある貯蔵室の庫内温度は氷点以上(ミッドフリーザ型の場合は野菜室であり約5℃)であり、仕切壁に沿った冷気が高風速で表面の熱伝達率が大きくなると、仕切壁を通しての熱侵入量も増して仕切壁の下方の貯蔵室側の表面温度が氷点付近にまで低下する。これにより下方の貯蔵室には、仕切壁の表面に結露・着霜したりサイクル停止時に過冷却される等の問題が生ずるので、仕切壁を厚くする(仕切りの薄形化や冷気通路内蔵化で制限あり)と共にその内部に加熱要素(通常は電熱ヒータ)を設置する等の対策が必要となる。後者の対策は、加熱要素の分の電気入力が増加することとその熱が庫内熱負荷となることにより冷蔵庫の消費電力量の増加につながり、結局は仕切壁であっても外壁と同様な結果をもたらすことになる。 【0018】この第1の従来例では直接冷却方式の引き出し式貯蔵室が冷凍室の場合であったが、それが冷凍室以外の場合も、庫内温度が高いので元々の熱侵入量は少ないものの、同様な冷気循環であれば冷蔵庫の消費電力量への影響は同じと考えられる。また上記の説明は下段の冷凍室に限ったが、上段の冷凍室の場合でも、下方が中仕切である分は問題が少ないが他の問題は同様なため、やはり冷蔵庫の消費電力量への影響は同じと考えられる。 【0019】以上で補足説明した庫内壁の高温部発生の理由や仕切壁・冷凍室以外の貯蔵室・上段の冷凍室の各場合での消費電力量への影響は、後述する従来例や発明の実施例でも基本的に同様と考えられる。従って、後述する従来例や発明の実施例ではこれらの補足説明は省略し、また説明の対象も第1の従来例と同様な下段あるいは一つの冷凍室に限って行うことにする。 【0020】以上のことから、第1の従来例のような直接冷却方式の引き出し式貯蔵室の場合では、「貯蔵品の冷却性向上」と「庫内壁への冷気遮蔽」が十分に行える冷気の循環状態ではなく、冷蔵庫の消費電力量を低減するのに有効とはいえないことがわかる。 【0021】従来技術2での冷凍室の構造を図12に示す。従来技術2の冷凍室において、扉と貯蔵容器、及び区画の周囲の中仕切・仕切壁・背面仕切部材・側面壁の構成・配置は前記の第1の従来例の場合とほぼ同様である。この第2の従来例の冷凍室1では、貯蔵容器の冷気の流出口が容器前面の上端付近だけでなく、容器の前面・背面の下部や底面(前側・奥寄り)にも形成されている点に特徴がある。冷凍室を冷却する冷気は、背面仕切部材から貯蔵容器の背面の上端付近から前向きに吹き出され(吐出口は明示されていない)、水平から斜め下へと向きを変えながら容器の前後方向に広がって貯蔵品を冷却してゆく。貯蔵容器に形成された流出口は前面の上端付近よりも前面・背面の下部や底面のものの方が多く、また上記のように貯蔵品を冷却した後も向きをあまり変えずに流れる方が通風抵抗は少ないことから、貯蔵品の冷却を終えた冷気は、大半が前面・背面の下部や底面、特に前面の下部や底面の前半部の流出口から容器外へ流出し、一部のものが前面の上端付近から流出するようになる。容器外に出てからの冷気は、前記の第1の従来例の場合とほぼ同様に、一部がまず扉と貯蔵容器の間を下方に流れ、さらに大半のものと合流しながら下方の仕切壁と容器底面の間を奥側の戻り口に戻って行く。 【0022】この冷気の循環状態を評価すると、「貯蔵品の冷却性向上」の面では、前面・背面の下部や底面の流出口に大半の冷気が向かうために貯蔵容器の中央の下部には冷気が少ないことが問題になる。また「庫内壁への冷気遮蔽」の面では、一部であるものの前面の上端付近から容器外に流出した冷気が扉に沿って容器内より高風速で流れること、また貯蔵容器の前面下部や底面前半から容器外に流出した多量の冷気が下方の仕切壁に沿って高風速で流れる(背面下部や底面奥半部から流出する分は冷気の戻る部分に近いので影響は少ない)という問題がある。 【0023】以上のことから、第2の従来例のような直接冷却方式の引き出し式貯蔵室の場合でも、「貯蔵品の冷却性向上」と「庫内壁への冷気遮蔽」が十分に行える冷気の循環状態ではなく、冷蔵庫の消費電力量を低減するのに有効とはいえないことがわかる。 【0024】従来技術3に開示される冷凍室を図13に示す。従来技術3に開示された冷凍室 において、扉と貯蔵容器、及び区画の周囲の中仕切・仕切壁・背面仕切部材・側面壁の構成・配置は前記の第1及び第2の従来例の場合とほぼ同様である。この第3の従来例の冷凍室では、冷気の吐出口が貯蔵室の側方上部(この場合を図示)あるいは中仕切の背面部(この場合は図示せず)に設けられ、かつ貯蔵容器には流出口や容器前面の上端に扉2との隙間がなく、容器背面の上端が上方の部材と隙間をもつように構成されている。なお、容器の側面上端も側方の庫内壁と隙間をもつが、滑動用レールの部分で塞がっている。冷凍室を冷却する冷気は、側方上部(中仕切の背面部)から幅方向の中央向き・やや下向き(奥向き・やや下向き)に吹き出され、奥向きで斜め下から水平へと向きを変えながら広がって貯蔵品を冷却し、容器の奥部に近づくほど斜め上向きになって容器背面の上方の隙間から容器外へ流出する。容器外に出た冷気は、貯蔵容器3の背面と背面仕切部材の間を下方に流れて、その下方の冷却器収容室の戻り口に戻って行く。 【0025】この冷気の循環状態を評価すると、「貯蔵品の冷却性向上」の面では、貯蔵容器 の前側下部に冷気が流れにくいこと、吐出口 及び流出する隙間が共に容器の上方にあるため、貯蔵品9が多くなると通風抵抗の点から冷気 は容器内の下部にあまり流れ込まず容器上部や貯蔵品の上方に偏って流れるようになること、という問題がある。一方「庫内壁への冷気遮蔽」の面については、容器内で冷気が全体的に奥向きなので高温となるパッキン周辺にあまり流れず、容器外でも扉や下方の仕切壁に沿って流れることは少ないから、特に問題はない。 【0026】以上のことから、第3の従来例のような直接冷却方式の引き出し式貯蔵室の場合では、「庫内壁への冷気遮蔽」の面は問題がないが「貯蔵品の冷却性向上」については十分に行える冷気の循環状態ではなく、冷蔵庫の消費電力量を低減するのに有効とはいえないことがわかる。 【0027】従来技術4に開示される冷凍室を図14に示す。従来技術4に開示された冷凍室 において、扉と貯蔵容器、及び区画の周囲の中仕切・背面仕切部材・側面壁の構成・配置は前記のこれまでの従来例の場合とほぼ同様だが、区画の下方の庫内壁が他の貯蔵室との仕切壁でなく外壁である箱体の下面壁となっている。既に第1の従来例で補足説明したように、冷気の循環状態による冷蔵庫の消費電力量への影響は庫内壁が仕切壁でも外壁でもほぼ同じである。この第4の従来例の冷凍室では、貯蔵容器の内側に前面上部から底面奥端まで延びた仕切り板材が隙間をあけて設置されており、前面上部では容器と板材の隙間を開けたままにして流入口とし、底面奥端では板材の下側となる容器背面あるいは底面に流出口を形成してある。なお、貯蔵容器の前側の上端付近には流出口や扉との隙間は形成されていない。冷凍室を冷却する冷気は、容器内では第1の従来例とほぼ同様で、背面仕切部材から貯蔵容器の背面の上端付近に先端が開口した吐出口から前向き・やや下向きに吹き出され、貯蔵品に当たって冷却作用を行うと同時に拡散・乱されて容器の前側に達する。内部の冷却を終えた冷気は、上記の流入口から仕切り板材と容器内面の間の風路に入り、下向きから奥向きへと流れて底面奥端の流出口から容器外に出て、冷却器収容室の戻り口に向けて戻って行く。 【0028】この冷気の循環状態を評価すると、「貯蔵品の冷却性向上」の面では第1の従来例とほぼ同様で、貯蔵容器の奥側下部に冷気が流れにくいこと、吐出口及び流入口が容器の上方及び上部にあるため、貯蔵品が多くなると通風抵抗の点から冷気は容器内の下部にあまり流れ込まず容器上部や貯蔵品の上方に偏って流れるようになること、という問題がある。一方「庫内壁への冷気遮蔽」の面については、容器内で高温となるパッキン周辺にあまり流れず、容器外でも扉2や下方の仕切壁5に沿って流れることはないから、特に問題はない。図中には、以上の冷気の循環状態を矢印と網掛け領域を使って明示してある。 【0029】以上のことから、第4の従来例のような直接冷却方式の引き出し式貯蔵室の場合では、「庫内壁への冷気遮蔽」の面は問題がないが「貯蔵品の冷却性向上」については十分に行える冷気の循環状態ではなく、冷蔵庫の消費電力量を低減するのに有効とはいえない。 【0030】以上のように、従来例の直接冷却方式の引き出し式貯蔵室をもつ冷蔵庫では、「貯蔵品の冷却性向上」と「庫内壁への冷気遮蔽」とを共に十分に行える冷気の循環状態になっていないので、冷蔵庫、特に直接冷却方式の引き出し式貯蔵室の割合が多くなる冷蔵庫において、消費電力量を有効に低減することができない。 【0031】本発明の目的は、「貯蔵品の冷却性向上」と「庫内壁への冷気遮蔽」とを共に十分に行える冷気の循環状態を実現して、冷蔵庫の消費電力量を低減できる冷蔵庫を提供することにある。 【0032】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の冷蔵庫は、冷蔵庫箱体に対する前後方向の滑動により開閉される扉及び該扉と共に出し入れされる貯蔵容器を有し、かつ前記貯蔵容器の内部に直接に冷気を吹き出して冷却する方式である引き出し式貯蔵室を少なくとも一つ備える冷蔵庫において、前記引き出し式貯蔵室の前記貯蔵容器の背面ないし底面の奥半部の範囲に容器外への冷気の主な流出口を設けたことを特徴としている。 【0033】また以上の本発明の冷蔵庫において、前記流出口を前記貯蔵容器の背面の下部に配置したり、前記引き出し式貯蔵室の前記貯蔵容器の内部の底面に金属製のトレーを設置し、かつ前記トレーは縁と底が対向する前記貯蔵容器の内面と隙間をもたせてあり冷気の一部が前記トレーと前記貯蔵容器の底面との間を通って前記流出口に流れるようにしてもよい。また以上の本発明の冷蔵庫において、前記貯蔵容器の内部へ吹き出す冷気の吐出口を前記貯蔵容器の上方に配置したり、前記引き出し式貯蔵室の前記扉を閉めた状態で前記貯蔵容器の上面の少なくとも前半部を覆うフタを設置し、かつ前記フタの一部に前記貯蔵容器への冷気の前記吐出口が重なる場合は相当部分に開口を形成してもよい。また以上の本発明の冷蔵庫において、前記貯蔵容器の外部に前記流出口から前記貯蔵容器の背面の上半に通ずる追加風路を設置し、かつ前記追加風路は断面積が前記流出口より大きく設定してもよい。また以上の本発明の冷蔵庫において、前記貯蔵容器の前後左右の内面に上下方向に延在するリブあるいは底面に前後方向に延在する凹凸を形成してもよい。またさらに、以上の本発明の冷蔵庫において冷気の吐出口を前記貯蔵容器の上方に配置した上で、前記貯蔵容器の前面の上端付近に前記流出口より断面積が小さい予備流出口を設けるようにしてもよい。またさらに、以上の本発明の冷蔵庫において、前記貯蔵容器の上部の一部に貯蔵品の一部を分けて収納する小ケースを設置する場合、前記小ケースの前面ないし側面ないし底面に前記貯蔵容器に通ずる小流出口を形成してもよい。またさらに、以上の本発明の冷蔵庫において、既に示した前記トレー、前記吐出口、前記フタ、前記追加風路、前記リブあるいは前記凹凸、前記予備流出口、あるいは前記小流出口のうち、前記吐出口と前記予備流出口の組み合わせを除くいずれか2つ以上を組み合わせて適用してもよい。 【0034】 【発明の実施の形態】以下に本発明の具体的な実施例を図面を用いて説明する。図1は、本発明になる冷蔵庫の第1の実施形態を示す下段の冷凍室周辺の側方断面図である。この実施例の冷蔵庫は第4の従来例と同様なボトムフリーザ型であり、下段の冷凍室1の下方の庫内壁が外壁である箱体の下面壁15になっている。この実施例の冷凍室1では、貯蔵容器3の背面の下部に冷気7の容器外への主流出口10が形成されている。 【0035】ここで流出口は、背面の下部以外に前記の流出口10とは別に小さな開口があったり、容器の上端から流出できる構造であっても、冷気7の内で前記の流出口10から容器外へ流出する割合が大部分(例えば、吐出分の1/2以上)であれば次に述べる本発明特有の冷気の循環状態とそれによる効果はほぼ達成できる。簡潔に説明するため、本発明の他の実施例においても流出口10以外からの冷気7の流出分については特に述べることはしない。 【0036】冷凍室1を冷却する冷気7は、背面仕切部材6から貯蔵容器3の背面の上端付近に先端が開口した吐出口8から前向き・やや下向きに吹き出され、貯蔵品9に当たって冷却作用を行うと同時に拡散・乱されて容器の各部に広がりながら、次第に背面の下部の流出口10に向けて下向きに反転するようになる。容器内の冷気7は、最初は上部を前向き・やや下向きに流れて広がり、後半は容器の下部を奥向き・やや下向きに流れるので、容器内を万遍なく流れて貯蔵品9の冷却を行える。内部の冷却を終えた冷気7は、流出口10から容器外に出て、近接する斜め上方の戻り口12へと吸い込まれるので、下面壁15や扉2の表面に沿って流れることはほとんどない。なお、このような構成とすると貯蔵品9が多い場合に冷気7が容器内をうまく流れないことが心配されるが、発明者らは実験(後出の消費電力量試験とは別条件のもの)によって貯蔵品(JIS規格にある冷蔵庫用の直方体の模擬負荷を使用)を容器いっぱいに詰め込んだ状態でも良好に冷却され問題は全くないことを確認している。このことは、詰め込んだ状態でも貯蔵品どおしの間には無数の小さな隙間ができ、それらを合計した断面積は実質的にはある程度の大きさとなるので、冷気は容器からあふれ出すことなく容器内の貯蔵品の間から上記の流出口へ向かう経路をとると考えられる。また、このような冷気の循環状態は、主な流出口10が上記のように容器の背面の下部にある方が容器内外の流れの両方に無理がなく理想的であるが、容器の背面から底面の奥半部の範囲であればそれらが大きくずれることはなく実用的な効果もほぼ同様に期待できる。 【0037】この冷気の循環状態を評価すると、「貯蔵品の冷却性向上」の面では冷気7が容器内を行き渡って貯蔵品9に当たるので良好であり、また「庫内壁への冷気遮蔽」の面についても、容器内では高温となる上部のパッキン11周辺の前で流れの向きが変わるので当たらないし、容器外でも扉2や下方の仕切壁5に回り込んで流れることはないから、問題はない。図中には、この冷気7の循環状態を矢印と網掛け領域を使って明示してある。 【0038】以上のことから、この本発明の実施例の冷凍室のような直接冷却方式の引き出し式貯蔵室では、「庫内壁への冷気遮蔽」・「貯蔵品の冷却性向上」が十分に行える冷気の循環状態になっているので、結果として冷蔵庫の消費電力量を有効に低減することができることがわかる。 【0039】以上が本発明の最も基本的な構成での作用と効果を示す実施例であったが、次に構成要素を特定したり追加したりして消費電力量の低減効果や実用性を高める構成について説明する。それらの場合、発明の作用と効果の基本的部分は共通であるので、重複する説明は省くことにする。 【0040】図2は、本発明になる冷蔵庫の第2の実施形態を示す下段の冷凍室周辺の側方断面図である。この実施例の冷凍室1では、貯蔵容器3の背面の下部流出口10が形成されると共に、貯蔵容器3の内部の底面に金属製のトレー18を設置し、そのトレー18は縁と底が対向する容器内面と隙間をもつように配置され、冷気7の一部がトレー18と容器底面との間を通って流出口10に向かって流れるようにしている。このような構成では、トレー18の周囲に一部が吸い込まれるために冷気7がより容器内の遇々にまでに広がると共に、熱伝導の良い金属製のトレー18に接している容器下部の貯蔵品9が有効に冷却されるようになる。 【0041】以上のことから、本発明の第2の実施例では前述の基本構成のものより「貯蔵品の冷却性向上」がより十分に行えるようになるので、冷蔵庫の消費電力量をさらに有効に低減することができる。 【0042】図3は、本発明になる冷蔵庫の第3の実施形態を示す下段の冷凍室周辺の側方断面図である。この実施例の冷凍室1では、貯蔵容器3の内部へ吹き出す冷気7の吐出口8を容器の上方に配置している。このような構成により、冷気7を最初から容器の遇々に分配した形で吹き出すことができるし、吹き出す方向にはない(高温となる)パッキン11周辺の庫内壁に冷気7が流れ込む現象も少なくなる。 【0043】以上のことから、本発明の第3の実施例では前述の基本構成のものより「貯蔵品の冷却性向上」及び「庫内壁への冷気遮蔽」がより十分に行えるようになるので、冷蔵庫の消費電力量をさらに有効に低減することができる。 【0044】図4は、本発明になる冷蔵庫の第4の実施形態を示す下段の冷凍室周辺の側方断面図である。この実施例の冷凍室1では、扉2を閉めた状態で貯蔵容器3の上面の前半部を覆うフタ19が設置されている。フタ19がこれより大きくて、冷気7の吐出口8と重なる場合には相当部分に開口を形成すればよい。このような構成により、冷気7の循環がある運転状態では、冷気7が高温となるパッキン11周辺の庫内壁に流れ込まないようにすることができる。また、冷気7の循環がない停止状態では、高温となるパッキン11周辺の庫内壁で暖めれた冷気7の自然対流をフタ19が遮断して、貯蔵容器3の前側の上部の貯蔵品9が必要以上に加熱されることを抑えることができる。 【0045】以上のことから、本発明の第4の実施例では前述の基本構成のものより「貯蔵品の冷却性向上」及び「庫内壁への冷気遮蔽」がより十分に行えるようになるので、冷蔵庫の消費電力量をさらに有効に低減することができる。 【0046】図5は、本発明になる冷蔵庫の第5の実施形態を示す下段の冷凍室周辺の側方断面図である。この実施例の冷凍室1では、貯蔵容器3の背面(ないし底面)の外部に流出口10から容器の外側背面の上半に通ずる追加風路20を設置されており、その追加風路20はどの部分についても断面積が流出口10より大きくなるように設定されている。このような構成により、冷気7の循環がある運転状態では、容器外に出た冷気7は追加風路20で冷却器13の収容室への入口である戻り口12のすぐ近くまで運ばれてそのまま吸い込まれるので、庫内壁に沿って流れるのはその周辺の限られた範囲だけとなる。また、冷気7の循環がない停止状態では、貯蔵容器3の内部には上部がやや高温で下部がやや低温の静止した冷気7の層ができるが、上記のような追加風路20があることで下部のやや低温の冷気7が密度差により流出口10から漏れて下面壁15からの熱侵入量を増やすという現象を抑えられる。 【0047】以上のことから、本発明の第5の実施例では前述の基本構成のものより「庫内壁への冷気遮蔽」がより十分に行えるようになるので、冷蔵庫の消費電力量をさらに有効に低減することができる。 【0048】図6は、本発明になる冷蔵庫の第6の実施形態を示す下段の冷凍室周辺の側方断面図である。この実施例の冷凍室1では、貯蔵容器3の前後左右の内面には上下方向に延在するリブ21が、底面には前後方向に延在する凹凸22が形成されている。このような構成により、貯蔵品9が非常に多くてもリブ21や凹凸22により貯蔵容器3の前後左右の内面や底面に貯蔵品9との隙間が確実に形成でき、それらは内面を下向き、底面を奥側につながっていて流出口10に達するようになっている。また、これらは元々ある貯蔵品9どおしや容器内面等との隙間とは別に形成されるので、容器内の隙間の数やそれらの合計の断面積は増えることになる。その結果、通風抵抗が減って冷気7が容器内を流れやすくなると共に容器の内面・底面に沿った風量も増えて、貯蔵品9が効果的に冷却されるようになる。 【0049】以上のことから、本発明の第6の実施例では前述の基本構成のものより「貯蔵品の冷却性向上」がより十分に行えるようになるので、冷蔵庫の消費電力量をさらに有効に低減することができる。 【0050】図7は、本発明になる冷蔵庫の第7の実施形態を示す下段の冷凍室周辺の側方断面図である。この実施例の冷凍室1では、冷気7の吐出口8を貯蔵容器3の上方に配置した上で、容器の背面の下部(一般には背面ないし底面の奥半部)にある流出口10よりは断面積が小さい予備流出口23を容器の前面の上端付近に設けてある。このような構成により、まず通常の使用状態には、吐出口8が上方なので吹き出された冷気7が貯蔵容器3の前面の上端付近に位置する予備流出口23へは流れ込みにくいし、予備流出口23が流出口10より小さいことでさらにその可能性は少ないので、冷気7の循環状態は前述の本発明の基本構成のものと変わらない。また、事故や過失で貯蔵品9の周囲の隙間や流出口10が氷や包装ラップやテープ等で塞がれた通常とは異なる使用状態では、容器内での貯蔵品9の直接冷却は難しくなるが、大半の冷気7が予備流出口23から容器外に出て貯蔵容器3を外部から間接冷却するので、最低限の冷却効果が保持される。もし、上記のような状態で予備流出口23がない場合には、冷気7は容器の背面の上端から流出して戻り口12にすぐ吸い込まれるので、容器の間接冷却はわずかな範囲でしか行われず冷却効果はより低いものになる。 【0051】以上のことから、本発明の第7の実施例では前述の基本構成のものよりある種の事故や過失の場合の冷却効果の低下を少なくできるので、冷蔵庫としての実用性を向上させることができる。 【0052】図8は、本発明になる冷蔵庫の第8の実施形態を示す下段の冷凍室周辺の側方断面図である。この実施例の冷凍室1では、貯蔵容器3の上部の一部に貯蔵品9の一部を分類や急冷却等のために分けて収納する小ケース24が設置された場合であって、特に小ケース24の前面ないし底面に貯蔵容器3に通ずる小流出口25が形成されているものである。このような構成により、小ケース24に小流出口25がない場合にはケース内に吹き出された冷気7が背面の上端から戻り口12に戻る可能性があるが、小流出口25が形成されていればケース内に吹き出された冷気7も大半が貯蔵容器3にも入って容器内の貯蔵品9の冷却にも有効に使えるようになる。 【0053】以上のことから、本発明の第8の実施例では前述の基本構成のものに小ケースを追加した場合において「貯蔵品の冷却性向上」がより十分に行えるようになるので、冷蔵庫の消費電力量をさらに有効に低減することができる。 【0054】これまでの本発明の第2ないし第8の実施例の説明からわかるように、既に示したトレー、吐出口、フタ、追加風路、リブあるいは凹凸、予備流出口、あるいは小流出口は組み合わせたとしても各々の特有の効果等はほぼ独立に得られると考えられる。従って、予備流出口は上方配置の吐出口との組み合わせるのが前提となるが、第1の実施例で一部を説明した本発明の基本構成をとった上で、これらのうちのいずれか2つ以上を組み合わせて適用することも有効であり、それぞれの構成での効果を合わせて奏することができる。 【0055】次に、図2に示した実施の形態の変形例を図15に示す。この図15は、本実施の形態に係る冷蔵庫の下段の冷凍室の周囲の横断面を示す図である。図2に示された実施の形態と本例との相違点は、冷凍室の貯蔵容器3の内側の底面部分を覆うように、この底面部分と隙間を介してトレー18を配置して、このトレー18と容器3の内側底面との隙間の高さ位置と容器3の流出口10の高さ位置は容器3が貯蔵室1内に収納された状態、あるいは容器3内へ貯蔵物が収納される使用可能に配置された状態で、流出口10の下端部がトレー18と底面との隙間の上端より下方に位置する点である。あるいは上記の状態で、流出口10の下端がトレーの下面の高さより下方に位置する点である。 【0056】このようにすることで、貯蔵室1内に供給された冷気がよりスムーズにトレー18と容器3内側底面部分との間の空間を通り、流出口10から容器3外部へ流れ出ることになり、容器3内部の冷気は容器内により均一に行き渡り、「冷却性能を向上」でき、同時にパッキン周辺に冷気は流れないので「庫内壁への歴遮断」が可能となる。 【0057】以上では、本発明の具体的な実施例を用いて基本構成や発展的な構成での効果を定性的に説明したが、発明者らは本発明の効果を冷蔵庫の消費電力量試験を実施して定量的にも確認しているので、次にその結果を紹介する。試験では、2種の本発明の構成(トレーと吐出口位置に違いがある)と3種の従来例の構成(既に述べた第1と第3・第4の従来例)に相当する構造を同じ冷蔵庫(400Lのボトムフリーザ型冷蔵庫)に順に組み込んで、消費電力量(冷蔵庫のJIS規格のB法条件、容器内の模擬負荷の量・配置も規格に従ったもの)を測定し各々を比較した。その結果を示したのが次の表1である。 【0058】 【表1】
【0059】流出口を容器背面の下部にした発明の基本構成に最も近い本発明1では、各従来例より消費電力量が1.5%から4.7%少なく、さらにトレー追加と吐出口の上方化を行った発展的な構成である本発明2では各従来例より3.6%から6.8%も少なくなっている。これより、本発明の構成をとることにより従来のものに比べて冷蔵庫の消費電力量が有効に低減されることが定量的に確認できた。 【0060】またさらに、本発明で想定した容器内の冷気の循環状態が実現されていることを、熱流動状態の計算により確認した。計算には、実際の冷蔵庫の構造・寸法を元にした本発明(上記試験の本発明2に相当)と従来例(第1の従来例に相当、ただし吐出口は上方)とについて、小ケースのある1室の冷凍室のモデル(区画全体の幅550mm、容器・庫内壁の隙間:扉15mm、下面壁10mm)を作成して使用した。また、境界条件・物性値として、庫外壁表面の熱伝達率10W/m2K、庫外空気温度25℃、庫内の吐出冷気の温度−23℃・風量0.53〓/min、熱伝導率:断熱材0.016W/mK・容器0.16W/mK・パッキン1W/mK・鋼板50W/mK等を適用し、冷気の循環のある運転状態について冷気の風速・温度や各部の温度分布を求めた。 【0061】得られた計算結果として、図9と図10に本発明と従来例での流動状態を示す部分側方断面図(矢印は流れベクトルで長さで風速の大きさを示す)を、次の表2に計算結果の抜粋データを示す。 【0062】 【表2】
【0063】これらの図から、従来例とは異なり本発明の構成をとることで容器外の扉内面や箱体の下面壁内面に沿った部分には冷気がほとんど流れなくなること、本発明の構成で容器底面にトレーを設置した場合にトレーの下部にも冷気が良く流れること、そして容器内に小ケースがある場合でも小流出口があることも助けとなって貯蔵容器内に冷気が遇々に広がっていることが読みとれ、本発明では想定した冷気の循環状態が良好に実現されていることがわかる。また、表2から上記のような冷気の循環状態が実現される結果として、本発明の構成では扉内面と下面壁内面からの熱侵入量が10数%も減ることが示されている。発明者らが別の実験で得ていた、冷凍室での箱体全体にしめる熱侵入量の比率や箱体全体の熱侵入量と消費電力量の関係に関するデータを考慮すると、これらの本発明での庫内壁からの熱侵入量の削減から予想される消費電力量の低減は前述の試験結果と定量的にほぼ整合するものとなっている。従って、本発明の構成により直接冷却方式の引き出し式貯蔵室の冷気の循環状態が想定したものになっていることも確認できた。 【0064】 【発明の効果】これまで説明したように、本発明によれば「貯蔵品の冷却性向上」と「庫内壁への冷気遮蔽」とを共に十分に行える冷気の循環状態を実現して、冷蔵庫の消費電力量を低減できる冷蔵庫を提供することにある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
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| 【出願日】 |
平成10年12月4日(1998.12.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068504 【弁理士】 【氏名又は名称】小川 勝男
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| 【公開番号】 |
特開2000−46455(P2000−46455A) |
| 【公開日】 |
平成12年2月18日(2000.2.18) |
| 【出願番号】 |
特願平10−345129 |
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