| 【発明の名称】 |
放熱冷却型ガスタンク |
| 【発明者】 |
【氏名】岡 利春
【氏名】松野 伸介
【氏名】太田 豊彦
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| 【要約】 |
【課題】タンク本体の全面が放熱面として有効に機能するとともに、天体からタンク本体へ向かう赤外線を阻止し、気体の冷却を十分に行える放熱冷却型ガスタンクの提供を課題とする。また、宇宙機器本体とタンク本体との間で、タンク本体から放出される赤外線が繰り返し反射されることを阻止し、タンク本体から有効に放熱できるようにすることも課題とする。また、タンク本体および気体の温度を任意に変えて気体のガス圧の制御を可能とし、燃料電池発電装置に有効利用できるようにすることも目的とする。
【解決手段】気体Gを貯留するタンク本体10と、該タンク本体10が宇宙機器本体1へ放射する赤外線5を天体上空Sに反射するよう斜め上方に向けて配置された反射板11と、天体Mからタンク本体10に向かう赤外線6を遮蔽するためのシェード12とを具備する構成とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 天体(M)上の宇宙機器本体(1)に装備される放熱冷却型ガスタンク(8)であって、気体(G)を貯留するタンク本体(10)と、該タンク本体(10)が宇宙機器本体(1)へ放射する赤外線(5)を天体上空(S)に反射するよう斜め上方に向けて配置された反射板(11)と、天体(M)からタンク本体(10)に向かう赤外線(6)を遮蔽するためのシェード(12)とが具備されていることを特徴とする放熱冷却型ガスタンク。 【請求項2】 請求項1記載の放熱冷却型ガスタンク(8)において、前記反射板(11)は、前記宇宙機器本体(1)と前記タンク本体(10)との間に配置されると共に、タンク本体(10)を焦点(F)とし、該焦点(F)からの前記赤外線(5)を該焦点(F)以外の方向へ反射する複合放物面形状とされていることを特徴とする放熱冷却型ガスタンク。 【請求項3】 請求項1記載の放熱冷却型ガスタンク(8)において、前記シェード(12)は、相互に平行な複数の板体(17)と、これら板体(17)の傾斜角度を変更する回動手段(16)とを具備していることを特徴とする放熱冷却型ガスタンク。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、宇宙機器本体の燃料電池発電装置に装備される、酸素や水素等の気体を蓄えてこれを冷却する放熱冷却型ガスタンクに関するものである。 【0002】 【従来の技術】月探査機の開発にあたり、その動力源として、水素と酸素を燃料とする燃料電池を用いた発電装置が検討されている。この燃料電池発電装置には、酸素や水素といった気体を貯留するためのタンク本体が装備されているが、使用する気体の量が多いため、発電装置全体の半分程度をタンク本体の重量が占めている。このことより、発電装置の軽量化にあたってはタンク本体の小型化が要求されることになる。タンク本体小型化の手段としては、気体圧力を高めることで気体容積を小さくするか、もしくは気体温度を下げて気体密度を上げることで気体容積を小さくするかのいずれかがある。しかし、前者は高い気体圧力に耐えられるよう、タンク本体の肉厚を厚くする必要があるので、重量としては軽くならない。したがって、後者の案が好ましいことになる。そこで、気体の冷却方法としては、人工衛星等で使用されるラジエータを用いて、図6に示すように放射冷却により気体温度を下げる案が考えられる。 【0003】図6について説明すると、符号1は天体Mに着陸した宇宙機器本体であり、該宇宙機器本体1には、気体Gを蓄えるタンク本体2と気体Gを冷却するためのラジエータ3とからなる放熱冷却型ガスタンク7が装備されている。この放熱冷却型ガスタンク7は、太陽光の直射を受けないよう、宇宙機器本体1の北側に配置されている。上記放熱冷却型ガスタンク7による気体Gの冷却は、ラジエータ3から天体上空Sへの赤外線4の放射と、タンク本体2から天体上空Sへの赤外線5の放射とによって行われる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の放熱冷却型ガスタンク7は、下記のような問題を有していた。すなわち、タンク本体2が放つ赤外線5の内、宇宙機器本体1に面した側のものは宇宙機器本体1に当たって反射し、再びタンク本体2に戻ってくるので、タンク本体2の全面が放熱面として利用できない上に、ラジエータ3が天体Mからの赤外線6を受けてしまうので、タンク本体10および気体Gを十分に冷却することができないという問題を有していた。また、宇宙機器本体1とタンク本体10との間で、赤外線5の反射が繰り返されるので、タンク本体10から有効に放熱することができないという問題も有していた。また、燃料電池発電装置への放熱冷却型ガスタンク7の適用を考えた場合、気体Gのガス圧の制御が必要となるが、タンク本体10および気体Gの温度を調節することができないので、気体Gのガス圧を制御することができないという問題も有していた。 【0005】本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、以下の目的を達成しようとするものである。すなわち、タンク本体の全面が放熱面として有効に機能するとともに、天体からタンク本体へ向かう赤外線を阻止し、気体の冷却を十分に行える放熱冷却型ガスタンクの提供を目的とする。また、宇宙機器本体とタンク本体との間で、タンク本体から放出される赤外線が繰り返し反射されることを阻止し、タンク本体から有効に放熱できるようにすることも目的とする。また、タンク本体および気体の温度を任意に変えて、気体のガス圧の制御を可能とし、燃料電池発電装置への有効利用可能とすることも目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の放熱冷却型ガスタンクは、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。すなわち、放熱冷却型ガスタンクは、天体上の宇宙機器本体に装備される放熱冷却型ガスタンクであって、気体を貯留するタンク本体と、該タンク本体が前記宇宙機器本体へ放射する赤外線を天体上空に反射するよう斜め上方に向けて配置された反射板と、前記天体から前記タンク本体に向かう赤外線を遮蔽するためのシェードとが具備されていることを特徴とする。上記放熱冷却型ガスタンクによれば、タンク本体から放射される赤外線の内、宇宙機器本体に向かうものは反射板によって直接天体上空へと反射される。また、天体からタンク本体へ向かう赤外線は、シェードによって阻止される。 【0007】この放熱冷却型ガスタンクにおいて、前記反射板は、前記宇宙機器本体と前記タンク本体との間に配置されると共に、該タンク本体を焦点とし、該焦点からの前記赤外線を該焦点以外の方向へ反射する複合放物面形状とされている。上記放熱冷却型ガスタンクによれば、焦点であるタンク本体から発せられる赤外線の内、宇宙機器本体に向かうものは、反射板によって天体上空へと反射され、タンク本体には戻らない。 【0008】この放熱冷却型ガスタンクにおいて、前記シェードは、相互に平行な複数の板体と、これら板体の傾斜角度を変更する回動手段とを具備している。上記放熱冷却型ガスタンクによれば、天体からタンク本体に向かう赤外線の量は、回動手段を操作して板体の傾斜角度を変えることで調整される。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。ここで説明する実施形態は、本発明の放熱冷却型ガスタンクを、図1に示す天体M上の宇宙機器本体1に装備されている、図示されない燃料電池発電装置に適用した場合の例である。なお、図1において従来技術で説明した図6のものと同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。 【0010】図1に示すように、放熱冷却型ガスタンク8には、気体Gを貯留するタンク本体10と、該タンク本体10が宇宙機器本体1へ放射する赤外線5を天体上空Sに向けて反射するよう斜め上方に向けて配置された反射板11と、天体Mからタンク本体10に向かう赤外線6を遮蔽し、かつタンク本体10および反射板11から天体上空Sへ向かう赤外線5の通過を許すシェード12とが具備されている。そしてこれらタンク本体10、反射板11、シェード12は、太陽光の直射を受けないよう、宇宙機器本体1の北側に固定されており、反射板11は宇宙機器本体1とタンク本体10との間に位置するよう配置され、シェード12はタンク本体10と天体Mとの間に位置するよう配置されている。 【0011】反射板11は、CPC(Compound Parabolic Concentrator)と称される集光器と同じ形状を有するものであり、その断面において二つの交差した放物線13、14を有する複合放物面15の形状を有している。通常、CPCは、外部から入射してくる光を一つの焦点Fに向けて反射、かつ集光させる集光器として使用されるものであるが、この発明では逆に反射鏡として使用する。すなわち、タンク本体10を焦点Fとして見立て、該焦点Fからの赤外線5を反射板11が焦点F以外の方向に向けて反射するようになっている。なお、反射板11の表面には、赤外線5を有効に反射させるために例えば95%の反射率を有するアルミ蒸着膜が形成されている。 【0012】シェード12は、図2に示すように、反射面17aと回動軸17bと回動先端17cとを有する、相互に平行な複数の板体17と、図1に示す、これら板体17を駆動してその傾斜角度を変化させる、モータ、ギア等の組み合わせによる回動手段16とからなっている。板体17は、反射面17aが前記赤外線6に対向するよう回動軸17bを軸線として天体上空Sに向かって傾斜し、かつ前記赤外線5が通過する間隙17dが形成されている。なお、反射面17aは板体17の両面に形成されており、これら表面には、赤外線6、5を有効に反射させるために例えば95%の反射率を有するアルミ蒸着膜が形成されている。 【0013】上記の放熱冷却型ガスタンクによる気体Gの冷却は、タンク本体10からの赤外線5の放射と、天体Mからの赤外線6の入熱の阻止との二つの手段によるもので、それぞれ以下のように行われる。タンク本体10から放射される赤外線5は、天体上空Sへ向けて放射されるものと、宇宙機器本体1に向けて放射されるものと、シェード12に向けて放射されるものとに分けられる。宇宙機器本体1に向かう赤外線5は、反射板11上の任意の点に当たり、焦点Fであるタンク本体10以外の方向に向かって反射される。また、シェード12に向かう赤外線5は、板体17間の間隙17dを通過するか、もしくは板体17の反射面17aに当たって反射されることで、天体上空Sへと放射される。さらに、天体Mからタンク本体10に向かう赤外線6は、全て板体17の反射面17aに当たって跳ね返され、タンク本体10には到達しない。以上により、タンク本体10から放射される赤外線5は全て天体上空Sへ放射されると共に、天体Mからタンク本体10に向かう赤外線6は全て阻止され、タンク本体10が冷却される。 【0014】次に、上記構成の放熱冷却型ガスタンク8を、月面(天体M)上の宇宙機器本体1に適用した場合の例について、図3から5を参照しながら以下に説明する。図3は、放熱冷却型ガスタンク8において、反射板11とシェード12とが無いと仮定した場合にタンク本体10が昼間に受ける入熱量を予測計算して求めたものである。図中の横軸は日数Dを示し、月の昼間にあたる14日間としている。また、縦軸は熱量を示している。符号18、19、20で示される各入熱量は、それぞれ、気体Gがタンク本体10内に流入することによる入熱量と、月面(天体M)で反射された太陽光がタンク本体10に向かうことによる入熱量と、月面(天体M)の輻射熱がタンク本体10に向かうことによる入熱量とを示している。これら入熱量18、19、20の総和が符号21に示す総和熱量となる。つまり、総和熱量21の内、気体Gによる入熱量18は、タンク本体10から放射され、反射板11によって天体上空Sに向かって放出される。また、月面(天体M)で反射された太陽光と月面(天体M)からの輻射熱による入熱量19、20は、シェード12によって遮蔽することで、総和熱量21のタンク本体10への入熱を阻止するのである。 【0015】図4は、タンク本体10の温度に対する板体17の傾斜角度の影響を把握するために予測計算したものである。横軸は日数Dを示すもので、月の昼間にあたる14日間とし、縦軸はタンク本体10の温度Tを示すものとした。符号Cは形態係数と称される、板体17の傾斜角度によって0から1の間の数値をとる定数で、月面(天体M)からタンク本体10が受ける赤外線量を示す指数である。この図に示されるように、形態係数Cが小さくなるほど、タンク本体10の温度Tが低下する関係にあることが分かる。 【0016】前述したように、放熱冷却型ガスタンク8は燃料電池発電装置に適用されるものであるが、燃料電池発電装置は、昼間に水を水素と酸素に電解してこれらをタンク本体10に蓄え、夜間にはこれら酸素と水素とをそのガス圧を利用してタンク本体10より図示されない燃料電池へ供給して発電を行うものである。したがい、昼間においては酸素や水素のガス圧を下げ、また、夜間においてはこれらのガス圧を上げて供給圧を得る必要がある。そこで、本発明の放熱冷却型ガスタンク8を用いて図5に示すようなタンク本体10の温度Tを操作することで、ガス圧の制御が行えるようになる。 【0017】図5について説明すると、横軸は日数Dを示し、左側縦軸はタンク本体10の温度Tを示し、右側縦軸は形態係数Cを示している。符号22は、形態係数Cの制御変化を示している。また、符号23に示す細線は、板体17の傾斜角度を一定として形態係数Cの制御を行わない場合のタンク本体10の温度Tを示し、符号24に示す太線は、回動手段16の駆動により板体17の傾斜角度を変えて形態係数Cの制御を行った場合のタンク本体10の温度Tを示すものである。この図に示されるように、昼間においては形態係数Cを下げることでタンク本体10の温度Tを下げ、気体Gの圧力が一定値以下になるように保ち、夜間においては逆に形態係数Cを上げることでタンク本体10の温度を上げ、気体Gを燃料電池発電装置に供給するのに必要な供給圧を得るといった使い方が行えるようになる。 【0018】上記の放熱冷却型ガスタンク8によれば、特殊形状の反射板11を備えたことでタンク本体10の全面が放熱面として利用できるとともに、シェード12を備えたことでタンク本体10への入熱を阻止できるので、タンク本体10および気体Gを十分に冷却することが可能となる。また、反射板11を備えたことで、宇宙機器本体1とタンク本体10との間で赤外線5が反射を繰り返すことなく天体上空Sに放出できるので、有効に放熱することが可能となる。また、シェード12を備えたことで、天体Mからタンク本体10に向かう赤外線6の量の調整により、タンク本体10の温度Tを操作して気体Gのガス圧を制御することができるので、燃料電池発電装置等に有効利用が可能となる。 【0019】なお、上記反射板11と板体17の反射面17aは、95%の反射率を有するアルミ蒸着膜としたが、これに限らず、高反射率と高い信頼性を有するものであれば良く、他の材質を用いても問題ない。 【0020】 【発明の効果】本発明によれば、特殊形状の反射板を備えたことでタンク本体の全面が放熱面として利用できるとともに、シェードを備えたことでタンク本体への入熱を阻止できるので、タンク本体および気体を十分に冷却することが可能となる。また、反射板を備えたことで、宇宙機器本体とタンク本体との間で赤外線が反射を繰り返すことなく天体上空に放出できるので、有効に放熱することが可能となる。また、シェードを備えたことで、天体からタンク本体に向かう赤外線の量の調整により、タンク本体の温度を操作して気体のガス圧を制御することができるので、燃料電池発電装置等への有効利用が可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000099 【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年6月18日(1998.6.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064908 【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−9373(P2000−9373A) |
| 【公開日】 |
平成12年1月14日(2000.1.14) |
| 【出願番号】 |
特願平10−171899 |
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