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【発明の名称】 透明板氷の製造方法およびその装置
【発明者】 【氏名】峠 博之

【要約】 【課題】簡素な工程、設備によって所要の厚さの透明な板氷を連続的に製造することができ、しかも設備費やランニングコストの低減を期せる製氷方法およびその装置を提供する。

【解決手段】空気冷却器10を備える冷却室1内に、上側走行部3aが搬送方向へ上傾するエンドレスなスチールベルトコンベア2を設け、同コンベアの途中に、前記上側走行部の上方から同走行部の幅亘りに製氷用水を散布する散水口を有する散水ヘッダ7を設け、また、前記コンベアの後端部下方に、コンベアベルトの上側走行部を流過した未凍結の製氷用水を受ける受水タンク5を設け、同タンクに一端を接続した給水管6の他端を給水ポンプ6aを介して前記散水ヘッダ7に接続し、さらに、前記空気冷却器10の空気出口13bに一端が接続され、同空気出口からの冷却空気の一部を導く冷風ダクト14の他端吹出口14aを、前記コンベアベルトの上側走行部下面に開口せしめ、吹出口からの冷風を前記散水口よりも前方からコンベアの後端側へ向けて吐出するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】氷点下の温度に冷却された冷却室内に、上側走行部が搬送方向へ上傾するエンドレスなスチールベルトコンベアを設け、同コンベアの前記上側走行部の途中に上方から製氷用水を散布し、同製氷用水を上側走行部に沿ってコンベアの後端部側へ流しながら上側走行部の上面にて凍結せしめ、凍結した氷を製氷用水の流れと逆向きにコンベアにて搬送しながら氷を所要の厚さに成長させる透明板氷の製造方法。
【請求項2】空気冷却器を備える冷却室内に、上側走行部が搬送方向へ上傾するエンドレスなスチールベルトコンベアを設け、同コンベアの途中に、前記上側走行部の上方から同走行部の幅亘りに製氷用水を散布する散水口を有する散水ヘッダを設けてなる透明板氷の製造装置。
【請求項3】前記コンベアの後端部下方に、コンベアベルトの上側走行部を流過した未凍結の製氷用水を受ける受水タンクを設け、同タンクに一端を接続した給水管の他端を給水ポンプを介して前記散水ヘッダに接続してなる請求項2に記載の透明板氷の製造装置。
【請求項4】前記空気冷却器の空気出口に一端が接続され、同空気出口からの冷却空気の一部を導く冷風ダクトの他端吹出口を、前記コンベアベルトの上側走行部下面に開口せしめ、吹出口からの冷風を前記散水口よりも前方からコンベアの後端側へ向けて吐出するようにしてなる請求項2に記載の透明板氷の製造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明板氷の製造方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の製氷技術とその問題点】透明な板氷を製造するには、後述する製氷装置によってまず透明な直方体状のブロック氷を製造し、このブロック氷を鋸で切断して板氷にしている。従来の製氷装置は、製氷用水を入れた製氷缶を氷点下温度(−7〜−12℃程度)の低温ブラインを満たしたブライン槽内に漬けて冷却して製造するいわゆるバッチ式のものとしてあり、製氷工程においては製氷用水の中心部にエアを吹き込んで製氷用水を攪拌しながら製氷缶の内壁側から中心に向かって凍結させている。
【0003】この際、製氷用水は凍結点の高い純粋な水から凍結するので、製氷缶の中心部には溶存空気を多く含む芯水が残り、この芯水を新たな製氷用水と交換するのを繰り返し、氷中に気泡ができて不透明な氷となるのを防止している。
【0004】上述した従来の装置では、ブラインを冷却媒体とするため、ブライン槽を面積の大なるものとしなければならず設備費が掛かり、また、ブラインの温度や濃度の管理および製氷缶の保守管理が要求され、管理費が嵩むという問題がある。
【0005】また、透明な氷を製造するのに芯水の交換を繰り返し行わねばならず、製造工程での作業が多く、製造時間が長く掛かり、しかも、製氷用水中にエアを吹き込むので、エアが冷却負荷となり、冷却エネルギが余分に掛かってランニングコストが嵩む。
【0006】さらに、従来の製氷装置で製造されるブロック氷は1個が通常135kg程度の大きさのものなので、このブロック氷を切断するのにもかなりの設備費や管理費が掛かる。
【0007】また、ブロック氷を切断して板氷にすると、鋸屑となる氷や、あるいは所要寸法の板氷を切り出した後に残る半端な寸法の氷がロスとなり、製品歩留が良好とはいえないという問題もある。
【0008】
【本発明の目的】本発明は、上述した従来技術の問題点を解消し、簡素な工程、設備によって所要の厚さの透明な板氷を連続的に製造することができ、しかも設備費やランニングコストの低減を期せる製氷方法およびその装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る透明板氷の製造方法は、氷点下の温度に冷却された冷却室内に、上側走行部が搬送方向へ上傾するエンドレスなスチールベルトコンベアを設け、同コンベアの前記上側走行部の途中に上方から製氷用水を散布し、同製氷用水を上側走行部に沿ってコンベアの後端部側へ流しながら上側走行部の上面にて凍結せしめ、凍結した氷を製氷用水の流れと逆向きにコンベアにて搬送しながら氷を所要の厚さに成長させることを特徴としている。本発明に係る透明板氷の製造装置は、空気冷却器を備える冷却室内に、上側走行部が搬送方向へ上傾するエンドレスなスチールベルトコンベアを設け、同コンベアの途中に、前記上側走行部の上方から同走行部の幅亘りに製氷用水を散布する散水口を有する散水ヘッダを設けた構造のものとしてある。
【0010】また、本発明の製造装置は、前記コンベアの後端部下方に、コンベアベルトの上側走行部を流過した未凍結の製氷用水を受ける受水タンクを設け、同タンクに一端を接続した給水管の他端を給水ポンプを介して前記散水ヘッダに接続し、さらに、前記空気冷却器の空気出口に一端が接続され、同空気出口からの冷却空気の一部を導く冷風ダクトの他端吹出口を、前記コンベアベルトの上側走行部下面に開口せしめ、吹出口からの冷風を前記散水口よりも前方からコンベアの後端側へ向けて吐出するようにした構造のものとしてある。
【0011】
【実施例】以下、本発明に係る透明板氷の製造方法およびその装置の実施例を添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。冷却室1内にはコンベア2が設けられていて、このコンベア2は駆動輪2aと従動輪2b間にスチールベルト3が回送される無端コンベアとしてあり、同コンベアは搬送方向へ上向きに5〜10度位傾斜している。
【0012】スチールベルト3の左右の側端部には、図2に示すように同ベルトの外周側に突出する流水ガイド4を設けてあり、この流水ガイドは例えば合成ゴム等の適度の柔軟性を有する材質のもので構成してあって、後述する製氷用水がコンベアの側部から流れ落ちないようにしてある。
【0013】コンベア2の後端部、すなわち低い方の端部の下方に受水タンク5を設けてあって、同タンク5に一端が接続された給水管6の他端を給水ポンプ6aを介して散水ヘッダ7に接続してある。また、前記受水タンク5には冷却室外部から製氷用水を補給する水補給管8を接続してあって、同水補給管に例えばフロート式の開閉弁9を設け、受水タンク5内の水位が低下すると同水補給管8に設けた開閉弁9が開成して水が補給されるようになっている。
【0014】また、前記散水ヘッダ7はコンベア2の中央部上方に設けてあって、散水ヘッダの底部に設けられた散水口7aは前記スチールベルト3の上側走行部3aに臨み、同上側走行部3aの幅亘りに開口していて、散水ヘッダ7は例えば図3、4に示すように左右が塞がれた横向き円筒状の滞留部7bに製氷用水が滞留できるようになっており、散水口7aから一定量の製氷用水を均一に吐出できるようにしてある。
【0015】冷却室1内の適所には外部から冷媒が供給される冷却器10を設けあって、冷却器10は空気入口11から吸入した空気を−20℃程度に冷却し、送風機12a、12bの駆動により2つの空気出口13a、13bから吐出するものとしてあり、一方(図1では上側)の空気出口13aはそのまま冷却室内に開口し、他方(図1では下側)の空気出口13bには冷風ダクト14の一端を接続してあって、同ダクト14の他端吹出口14aをスチールベルト3の上側走行部3a下面へ同上側走行部3aの幅亘りに開口せしめてある。前記冷風ダクトの吹出口14aは、前記散水ヘッダ7よりもコンベアの搬送方向下流側に位置し、上部走行部の走行方向と逆向きに開口している。
【0016】次ぎに、上述のように構成した本発明に係る装置の作用を説明する。冷却室1内の空気は冷却器10の空気入口11から同冷却器10内に流入して所定温度(例えば−20℃)に冷却され、送風機12a、12bの駆動により空気出口13a、13bから吐出される。
【0017】一方の空気出口13aからの冷風は冷却室内にそのまま吐出されて冷却室内全体を冷却して空気入口11から冷却器に吸入され、他方の空気出口13bからの冷風は冷風ダクト14を経て同ダクトの吹出口14aから吐出され、スチールベルト3の上側走行部3aの下面に吹き付けられ、その後冷却室内の空気とともに空気入口11から冷却器に吸入される。
【0018】また、受水タンク5内の製氷用水15は給水ポンプ6aの駆動により給水管6を経て散水ヘッダ7へ送られ、同散水ヘッダ滞留部に一端滞留して散水口7aからスチールベルト3の上側走行部3aの上面へ、同走行部の幅亘りに均一に散水される。
【0019】散水された製氷用水はコンベアの傾斜により同コンベアの後端側へ流下しながら、冷却室内の冷気と、スチールベルトの下面に吹き付けられた冷風により冷却され、製氷用水中の溶存空気の少ない部分からスチールベルトの上面で凍結し、気泡の殆どない透明な氷16となる。
【0020】凍結できなかった製氷用水は溶存空気とともにコンベア2の後端部から受水タンク5へと流れ落ち、前記給水管により再び散水ヘッダへ供給される。なお、氷の生成により受水タンク5内の水量は徐々に減少するが、受水タンク内の水位が低下すると開閉弁9が開成されて水補給管8から新たに製氷用水が受水タンク内に補給され、補給により受水タンク内の水位が所定の位置になると開閉弁9は閉ざされて製氷用水の補給が停止される。
【0021】氷16はスチールベルトに付着したままコンベアの前端側(図1では右側)へ送られ、氷の上面を流れる新たな製氷用水の凍結によって前記散水口7aの下方に至るまで徐々に厚みを増し、散水口の下方を過ぎると冷却室内の冷気によりさらに冷却されて硬く締まった氷になり、コンベアの前端部でスチールベルト3が上部走行部3aから下部走行部3bへ移る際にベルトから剥れてコンベアの搬送方向前方にあけた冷却室出口1aから冷却室外へ送り出され、冷却室外において適宜の長さに切断される。
【0022】上述した実施例においては、散水ヘッダ7は底部に散水口7aが開口する構成のものとしてあるが、図5に示すように、散水ヘッダ17の側壁の上半部に長手方向の開口部17aを形成して同開口部の下縁を水平に形成し、同下縁から下方に向かって傾斜する案内板17bを設けたものとする場合もある。
【0023】このように構成した散水ヘッダでは、給水管6からの製氷用水が一端ヘッダ17内に滞留させられ、開口部17aの下縁から溢れた製氷用水が前記案内板17bを伝ってスチールベルト3上に供給される。
【0024】
【発明の効果】本発明に係る装置、方法によれば、冷却室内に設けたスチールベルトコンベア上で製氷用水を凍結せしめる空気冷却式としてあるので、従来のバッチ式の製氷装置のような大面積のブライン槽や製氷缶が不要であり、設備費、管理費およびランニングコストの低減を期せる。
【0025】また、所定の厚さの氷を連続的に製造することができるので、従来の装置のようにブロック氷を切断するような手間が掛からず、また、切断のための鋸屑や半端な寸法の氷が出ないので、製品歩留を向上することができる。
【0026】さらに、製氷用水をコンベア上に流すので、製氷用水が適宜攪拌されて透明な氷を製造できるので、従来の装置のように製氷用水へのエアの吹き込みや芯水の交換等の工程が不要であり、製造工程を簡素化できるとともに製氷に掛かる時間の短縮も期せる。
【出願人】 【識別番号】390026974
【氏名又は名称】株式会社東洋製作所
【出願日】 平成11年3月16日(1999.3.16)
【代理人】 【識別番号】100065086
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 清美
【公開番号】 特開2000−266432(P2000−266432A)
【公開日】 平成12年9月29日(2000.9.29)
【出願番号】 特願平11−70150