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【発明の名称】 製氷器
【発明者】 【氏名】吉村 巧治

【氏名】野澤 忠司

【氏名】中山 哲夫

【氏名】坂下 茂

【要約】 【課題】ケーシング内に、冷媒との熱交換により、氷を生成する溶液が通流される複数の液通路を設けた製氷器において、前記複数の液通路のそれぞれを均一な速度で溶液が流動するようにするとともに、従来技術のようなバブリングによる攪拌を不要として、外気の状態に影響されることなく均一で高品質の評を多量に製造可能とする。

【解決手段】ケーシング内部の液通路を流れる溶液と冷媒通路を流れる冷媒とを熱交換して、前記溶液から氷を生成するように構成された製氷器において、前記液通路は、前記ケーシングを区画して複数個の平行な通路に形成されてなり、該複数の液通路を、上端部及び下端部で変向させて連通して、前記ケーシングに設けられた液入口から該複数の液通路を順に通って液出口に接続される単一の連続した連通路に構成し、さらに、前記ケーシングの前記上部変向部の上方に前記液通路と氷取出部との間を開閉するふたを設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケーシングの内部に形成された液通路を流れる溶液と、該液通路と壁部を隔てて形成された冷媒通路を流れる冷媒とを熱交換して、前記溶液から氷を生成するように構成された製氷器において、前記液通路は、前記ケーシングを平面方向で複数に区画してなる複数個の平行な通路に形成されてなり、該複数の液通路を上端部及び下端部で変向させて連通して、前記ケーシングに設けられた液入口から該複数の液通路を順に通って液出口に接続される単一の連続した連通路に構成し、さらに、前記ケーシングの前記上部変向部の上方に前記液通路と氷取出部との間を開閉するふたを設けたことを特徴とする製氷器。
【請求項2】 前記ケーシングは、前記複数の液通路が設けられるとともに、該液通路と壁部を隔てて冷媒を通流するための冷媒通路が設けられた本体ケーシングと、該本体ケーシングの上部に固着され前記複数の液通路を流れる溶液の上部側の変向部が設けられるとともに、前記ふたとの接脱部が上部に設けられた上部ケーシングと、該本体ケーシングの上部に固着され前記複数の液通路を流れる溶液の下部側の変向部が設けられた下部ケーシングとにより構成されてなる請求項1記載の製氷器。
【請求項3】 前記ふたとケーシングとの接脱部に近接して、冷媒が通流する冷媒通路を設けてなる請求項1または2記載の製氷器。
【請求項4】 前記冷媒通路は、前記上部ケーシングの前記ふたとの接脱面に近接した内部及び前記ふたの内部に設けられてなる請求項3記載の製氷器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケーシング内に冷媒との熱交換により氷を生成する溶液が通流される複数の液通路を、単一の連続した液通路に構成した製氷器に関する。
【0002】
【従来の技術】水溶液と冷媒との過冷却状態での熱交換により、水溶液から氷結晶を析出させる製氷器において、冷媒の流速を早め、かつ冷媒の蒸発を迅速に行わせることによって効率的に製氷を可能にし、ひいては凍結濃縮工程の迅速かつ効率的な実施を可能とした製氷器として、本件出願人が特願平9−200769号にて提案した発明がある。
【0003】かかる発明においては、中空部を有し、かつ上下端部の内側に前記中空部に通ずる凹部を設けた外筒と、0.5〜2.0mm程度の間隙を介して前記中空部に挿通され、かつ外周に凹凸面を有すると共に上下端部が前記凹部より突出する内筒とを備え、前記外筒には前記上方凹部に開口する冷媒導入口と、下方凹部に開口する冷媒排出口とを設け、かつ前記外筒の上方に前記内筒の内部に通ずる冷却用水導入口を設け、前記冷媒導入口から前記上方の凹部を通じて冷媒を前記微小間隙に通過させて前記冷媒排出口に導き、同時に冷却用水を上方から前記内筒の内壁面に沿って降下させながら前記内筒の内壁面に氷結晶を析出可能とし、さらに前記外筒には複数の中空部を備え、各中空部に0.5〜2.0mm程度の間隙を介して前記内筒を挿通している。
【0004】そして、該発明においては、前記のように構成されたことにより、外筒の中空部と内筒との微小間隙を介して冷媒が流れる。また、微小間隙では、冷媒の蒸発が迅速に行われる。同時に内筒の外周の凹凸面で冷媒が迅速に蒸発することにより伝熱効率を高める。外筒の冷媒導入用の凹部を通じて微小間隙に冷媒を導くことによって、冷媒はこの凹部により適正に分配される。これにより、効率的な冷凍濃縮が実現する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来技術においては、複数の内筒内に溶液を収容し、該溶液をエアによって攪拌(バブリング)しながら該内筒内を流下させ、該内筒の外側の冷媒通路を流れる冷媒と熱交換することによって氷を生成しているため、氷の生成に外気の影響を受け易く、気温の差が大きい夏季と冬季とでは氷の生成量や品質に差異が生ずる傾向にある。
【0006】また、かかる従来技術においては、前記内筒内に設けられた複数の溶液通路における溶液の流下速度にばらつきが生じ易く、これによって、冷媒との熱交換量も各通路でばらつきが生じることとなって、各通路で生成される氷の量や品質が均一にならないという問題点も有している。
【0007】本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、ケーシング内に、冷媒との熱交換により氷を生成する溶液が通流される複数の液通路を設けた製氷器において、前記複数の液通路のそれぞれを均一な速度で溶液が流動するようにするとともに、従来技術のようなバブリングによる攪拌を不要として、外気の状態に影響されることなく均一で高品質の氷を多量に製造可能とした製氷器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる課題を解決するため、請求項1記載の発明として、ケーシングの内部に形成された液通路を流れる溶液と該液通路と壁部を隔てて形成された冷媒通路を流れる冷媒とを熱交換して、前記溶液から氷を生成するように構成された製氷器において、前記液通路は、前記ケーシングを平面方向で複数に区画してなる複数個の平行な通路に形成してなり、該複数の液通路を上端部及び下端部で変向させて連通して、前記ケーシングに設けられた液入口から該複数の液通路を順に通って液出口に接続される単一の連続した連通路に構成し、さらに、前記ケーシングの前記上部変向部の上方に前記液通路と氷取出部との間を開閉するふたを設けたことを特徴とする製氷器を提案する。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明におけるケーシングの具体的構成に係り、請求項1において、前記ケーシングは、前記複数の液通路が設けられるとともに、該液通路と壁部を隔てて冷媒を通流するための冷媒通路が設けられた本体ケーシングと、該本体ケーシングの上部に固着され前記複数の液通路を流れる溶液の上部側の変向部が設けられるとともに、前記ふたとの接脱部が上部に設けられた上部ケーシングと、該本体ケーシングの下部に固着され前記複数の液通路を流れる溶液の下部側の変向部が設けられた下部ケーシングとにより構成されてなる。
【0010】かかる発明において、複数の液通路は、前記ケーシングを縦方向(鉛直方向)に該通路が形成されるように分割して形成された中空部に、該中空部間の隔壁面に対して一定の間隙を存して挿設された内筒の内部に形成され、また、該内筒の外周面と前記中空部の隔壁との間には冷媒通路を形成し、該冷媒を前記複数の内筒内を流れる溶液の流動方向に対して冷媒が直交流の成分をもって流れるように構成するのが好ましい。
【0011】また、前記各内筒の外周面を凹凸状面として冷媒との熱交換のための伝熱面積を増加するのがよい。
【0012】また、かかる発明において、ケーシングに設けられた複数の液通路は、前記ケーシング内において、溶液の流動方向に直角な平面において、幅方向に2列、奥行き方向に複数列になるように設け、該ケーシングの外壁よりの一方から溶液を導入して各連通路を直列に流した後、2列の他方からこれを導出するように構成するのが好ましい。
【0013】請求項3記載の発明は、前記ふたの構成に係り、請求項1または2において、前記ふたとケーシングとの接脱部に近接して、冷媒が通流する冷媒通路を設けてなる。
【0014】また、請求項4記載の発明は請求項3において、前記冷媒通路は、前記上部ケーシングの前記ふたとの接脱面に近接した内部及び前記ふたの内部に設けられてなる。
【0015】かかる発明によれば、溶液はケーシングの外壁に設けられた液入口から複数の液通路の1つに入り、上部ケーシング及び下部ケーシングの変向部にて向きを変えながら本体ケーシング内の複数の液通路、並びに上部ケーシング及び下部ケーシングの複数の液通路を直列にかつ一方向に流れる。
【0016】そして前記溶液は、前記複数の液通路を一方向に流動しつつ、該液通路の壁部を隔てて形成された冷媒通路を流れる冷媒と熱交換を行う。かかる熱交換時において、冷媒によって過冷却温度に保持された前記各液通路の内部で溶液中の水分が氷結晶として析出して板状に積層していき、該通路の内壁に板氷が形成される。
【0017】かかる発明においては、複数の液通路を単一の連続した一方向流の連通路に形成しているので、該液通路の全長において溶液の流速を均一に保持することができて、全ての液通路において冷媒との熱交換が一様になされ、各液通路に生成される氷が均一な品質でかつ生成量も均一となる。
【0018】また、請求項3ないし4記載の発明によれば、各液通路を冷媒温度をコントロールすることによって開閉可能なふたによって開閉するように構成したことにより、前記のように製氷時にはふたを閉じることによってケーシング内の液通路を外気と遮断して、前記のように、複数の液通路を単一の連続した一方向流の連通路に構成することができ、これによって外気状態の影響を受けることなく氷の製造を行うことができ、品質が安定した氷を製造することができる。
【0019】前記ふたの開閉については、請求項3ないし4記載のように、該ふたとケーシングとの接脱部近傍及びふたの内部に冷媒通路を設けているので、製氷時にはふたとケーシングとの接脱部は低温の冷媒によって凍結されることにより固着されており、従って液通路と外気とが遮断され上記のような製氷動作が外気の影響を受けることなくなされる。
【0020】また、液通路の液面をふたの近傍に保持し、前記冷媒回路をヒートポンプ回路として冷媒温度を上昇させると、前記のようにして凍結していたふたとケーシングとの接脱部の氷が融解するとともに、液通路内の氷も前記冷媒の昇温によって通路壁から剥離されて液面上に浮上する。そして、この氷の浮力でふたが開かれ、該氷は氷出口ダクト内に押出され、クラッシャによって粋断されて使用先に送られる。従って、冷媒回路を冷凍サイクルとヒートポンプサイクルとに切り換えることによって、ふたの開閉を自動的に行うことができる。
【0021】また、製氷時においては、前記のように各液通路を単一の連続した連通路に構成し、ポンプを使用して溶液を循環させるのみで製氷が可能となるため、従来技術のようなバブリング用エアの供給のためのコンプレッサやエアタンク等の設備が一切不要となり、装置コストが低減されるとともに、溶液を緩やかな速度で前記液通路を循環させるためのポンプ駆動用のエネルギのみで済み、エネルギコストも低減される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0023】図1は本発明の実施形態にかかる製氷器の縦断面図(図4のA−A線断面図)、図2はふた装着部の拡大断面図、図3は図2のC矢視図、図4は図1のB−B線断面図、図5はケーシングの構造及び溶液の流れを示す分解斜視図である。
【0024】図1において、1は本体ケーシング、2は上部ケーシング、3は下部ケーシングであり、該上部ケーシング2は本体ケーシング1の上部フランジ1aに複数のボルト(不図示)によって固着され、また下部ケーシング3は本体ケーシング1の下部フランジ1bに複数のボルト(不図示)によって固着されている。
【0025】前記本体ケーシング1には、図4に示すように複数の(この実施形態では8個)の中空部32がその長手方向(鉛直方向)に平行に形成されている。そして、各中空部32は通路32aによって互いに連通されている。また、各中空部32には外周が伝熱面積拡大用の凹凸面とされた内筒15が該中空部32の内壁面16と後述する冷媒通路20となる隙間を存して挿着されている。さらに、前記各内筒15の内部には製氷用の溶液が通流する液通路10a、10b、10c、10d、……10hが形成されている。
【0026】前記本体ケーシング1の液通路10a、10b、……10hの配置は、図5に示すように、幅方向に2列、奥行き方向に4列(必ずしも4列でなくてもよい)設けられ、各液通路10a、10b、……10hの上部開口部及び下部開口部は、後述するように、上部ケーシング2の液通路10及び下部ケーシングの液通路10に連通されている。
【0027】20は冷媒通路である。該冷媒通路20は、本体ケーシング1において、前記各中空部32に挿設された内筒15の外周面(凹凸面16)と該中空部32の内壁面との間に、該本体ケーシング1の全長に亘って設けられ、各中空部12が通路32aにて連通されることにより、それぞれの冷媒通路20も水平方向(図4の紙面の方向)において連通されている。
【0028】前記下部ケーシング3には、前記本体ケーシングの内筒15内の各液通路10a、10b、……10hから下方に延長された形で液通路10が設けられている。この液通路10は、図5に示すように、前記本体ケーシング1の各液通路10a、10b、……10hのそれぞれに連通し、その底面でかつ溶液が上下に変向できるように、該通路10bと10c、10dと10e、及び10fと10gの3組が、それぞれ連通された形状となっている。
【0029】そして該下部ケーシング3における、前記本体ケーシング1の外壁よりの液通路10aに連通される液通路10の下部には液入口15aが設けられ、前記本体ケーシング1の液通路10hに連通される液通路10の下部には液出口16aが設けられている。また、該下部ケーシング3の前記各液通路10の周囲には壁部3aを隔てて冷媒通路20が設けられ、該冷媒通路20は前記本体ケーシングの冷媒通路20に連通されている。
【0030】一方、上部ケーシング2には、図示を省略したが、図5に示すような下部ケーシング3の液通路10と同様に、溶液流が該上部ケーシング2のふた8a、8bの下面で変向するようにするため、本体ケーシング1の10aと10b、10cと10d、10eと10f、10gと10hとがそれぞれ連通するような4個の液通路10が設けられている。また、該上部ケーシング2の各液通路10の外側には、冷媒が通流する冷媒室21及び25が設けられ、外側の冷媒室21は本体ケーシング1の外側の冷媒通路20に連通され、中央部の冷媒室25は本体ケーシング1の中央部の冷媒通路20に連通されている。
【0031】17は冷媒入口で、前記上部ケーシング2の上部に設けられ、上部ケーシング2の冷媒室25を介して本体ケーシング1内の冷媒通路20に接続されている。また18は冷媒出口で、前記下部ケーシング3の中央の冷媒通路21に開口し、該冷媒通路21を介して本体ケーシング1の冷媒通路20に接続されている。
【0032】8a、8bはふたである。該ふた8a、8bは、前記上部ケーシング2の上面に接脱して前記上部ケーシング2の液通路10を開閉するようになっている。該ふた8a、8bは、図1〜図3に示すように、前記上部ケーシング2の上部に取付けられた支軸9を介して該支軸9廻りに回動自在に支持されている。
【0033】また、該ふた8a、8bの内部には、図1〜図3に示すように、冷媒が通流する冷媒室19が形成されている。図3において26aは該冷媒室19に冷媒を導入するための冷媒管、26bは該冷媒室19の冷媒を導出するための冷媒管である。
【0034】図2において、前記上部ケーシング2の前記ふた8a、8bとの接脱面27には水分を導入するためのV字状の溝26、26がその奥行き方向(支軸9の軸心方向)に形成されている。また前記上部ケーシング2の冷媒室25及びふた8a、8bの冷媒室19は、前記接脱面27及びV字状の溝26に極力近接させて設け、該接脱面27及び溝26を冷媒により効果的に冷却あるいは加熱可能としている。
【0035】図1において、13は前記下部ケーシング3の液入口15aに接続される液入口管、14は液出口16aに接続される液排出管で、11は液タンク、12は液ポンプであり、前記液ポンプ12によって溶液を液入口管13から液入口15aに送出し、液出口16aから液排出管14及び液タンク11を前記液通路10に循環させる溶液の循環路を構成している。
【0036】4は氷取出しダクトで、該ダクト4内には前記液通路10にて生成された板氷を砕断するためのクラッシャ6が駆動軸7によって回転自在に設けられている。5、5は前記ふた8a、8bの近傍に設けられたカバーである。
【0037】かかる構成からなる製氷器において、上部ケーシング2の冷媒入口17から導入された冷媒は該上部ケーシング2内の冷媒室21及び25内に充満される。そしてこの冷媒は、該上部ケーシング2内の液通路10の壁部を冷却して該液通路10を過冷却温度に保持するとともに、該冷却室25の上部のふた8a、8bとの接脱面27及びV字状の溝26の近傍を冷却する。
【0038】また、前記ふた8a、8bの冷媒室19には冷媒管26a、26bを介して冷媒が循環されて前記接脱面27近傍を冷却する。これにより、該溝26内に溜められていた水分及び接脱面27に付着していた水分が凍結され、ふた8a、8bは該接脱面27において、上部ケーシング2に完全に固着される。
【0039】一方、前記冷媒室21、25に導入された冷媒は、本体ケーシング1内の冷媒通路20に入る。そして、図4に示すように各中空部32内に設けられた内筒15の外周を囲んで形成された冷媒通路20を流れ、該内筒15の凹凸面16を介して内筒15を冷却し、該内筒15内の液通路10a、10b、……10hを過冷却温度に保持する。この際において、内筒15の外面は凹凸面16に形成されているので、伝熱面積が大きくなるとともに流速が増大して伝熱効率が上昇し、内筒15は効率的に冷却される。
【0040】そして上記本体ケーシング1の冷媒通路20を通った冷媒は、これを流下して下部ケーシング3の冷媒通路21に入り、該下部ケーシング3の液通路10の壁部を冷却して該液通路10を過冷却温度となした後、冷媒出口18から排出される。
【0041】一方、下部ケーシング3の液入口15から該下部ケーシング3の液通路10に入った溶液(この例では、該溶液を粒氷形成器にて生成された粒氷を含む氷スラリとして説明する。)は、前記冷媒によって過冷却温度に保持されている該下部ケーシング3の液通路10、本体ケーシング1内の液通路10a、10b……10h、及び上部ケーシング2内の液通路10内を直列に流れる。
【0042】即ち、図5の矢印に示されるように、該溶液は、下部ケーシング3の液通路10から本体ケーシング1の液通路10aに入って上昇し、上部ケーシング3の液通路10においてふた8a、8bの内面によって下方に変向され、本体ケーシング1の液通路10bに入る。さらに該溶液は該液通路10bから下部ケーシング3の液通路10に入り、該下部ケーシング3の底部内面にて上方に変向されて本体ケーシング1の10Cに入る。かかる溶液の流れは、本体ケーシングの液通路10d、10e、10f、10g、10hをこの順に経る連続した一方向流となって、後述するように氷を生成し、高濃度となった溶液は下部ケーシング3の底部に設けられた液出口16aから液排出管14を経て、液タンク11に排出されて原溶液と混合され、ポンプ12によって再び液入口15aに送り込まれる。
【0043】かかる溶液の流動において、図4に示すように、該溶液は過冷却温度に保持された内筒15内の液通路10a(液通路10aについて以下の説明をするが液通路10b、10c、……10hについても同様)を流れる際に該溶液に含まれる水分が氷結晶30として析出し、これが次第に板状に積層していき、該溶液10aの壁面、つまり内筒15の内壁面には板状の氷31が析出される。さらに、微小粒の氷結晶30は、前記板氷31よりも凝固点が低いから液通路10aにおいて潜熱を吐き出して融解して板氷31の表面に付着する。そして前記融解時の潜熱は新たな氷の生成に供されるので、板氷31の厚みが増大し、その生産性が向上する。
【0044】上記のように、本発明においては、複数の液通路10、10a10b、……10hにおいて冷媒との熱交換が一様になされるとともに、外気の影響を受けることなく板氷31の生産を行うことができ、均一な品質の板氷31を製造できる。
【0045】前記のようにして板氷31を製造し、これを液通路10、10a、10b、……10hから取出す際には、上記冷媒の回路を冷凍サイクルからヒートポンプサイクルに切り換える。これによって昇温された冷媒が各冷媒通路20、21、25等に送られ内筒15が適温に加熱されて板氷31が該内筒15の内面から剥離されて液面上に浮上する。
【0046】一方、前記のようにして昇温された冷媒は冷媒室25及びふた8a、8bの冷媒室19にも導入され、該ふた8a、8bの接脱面27及び溝26の氷を融解せしめる。これによりふた8a、8bは支軸9廻りに回動自在となり、前記液通路10、10a、10b……10h内の板氷31は氷取出ダクト4内に押出され、クラッシャ6により粋断されて蓄熱槽等の使用先に送られる。
【0047】上記のように冷媒のサイクルを氷の製造時には冷凍サイクルに氷の取出し時にはヒートポンプサイクルに切り換えることにより、ふた8a、8bの開閉を自動的に行うことができ、前記のような外気の影響を受けることのない一方向流の溶液の許での製氷が可能となる。
【0048】
【発明の効果】以上記載のごとく、本発明によればケーシング内に形成され板氷が生成される液通路を、ふたによって自動的に、製氷時には閉塞して外気と遮断し、氷の取出し時には開放可能とするとともに、液通路を連続した一方向流の連通路としたことによって溶液の流速が均一となり冷媒との熱交換が全通路において均一になされ、さらに外気の影響を受けることがなく氷の製造が可能となる。これによって安定した品質の氷を多量に生産することができ、製氷効率が向上するとともに、高品質の氷を得ることができる。
【0049】また、従来の技術のようなエアによるバブリングが不要となり、ポンプによる溶液の循環用動力のみであるので、エネルギコストが低減されるとともに、前記エアを生産するための装置が不要となり、装置コストが低減される。
【出願人】 【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
【識別番号】000242644
【氏名又は名称】北陸電力株式会社
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
【出願日】 平成11年3月11日(1999.3.11)
【代理人】 【識別番号】100083024
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌久 (外1名)
【公開番号】 特開2000−258004(P2000−258004A)
【公開日】 平成12年9月22日(2000.9.22)
【出願番号】 特願平11−65410