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【発明の名称】 円筒型熱交換器
【発明者】 【氏名】山本 二郎

【要約】 【課題】円筒型熱交換器の製作時における作業性の改善を図ること。

【解決手段】内面11a及び外面11bが平滑な内筒11と、両端部に筒状小径部12a,12bを有するとともに中間部に膨出部を有する外筒12を備えて、内筒11と外筒12が内筒11の外面11bと外筒12の筒状小径部12a内面にてろう付け固定されることにより、内筒11と外筒12間に媒体流通路Pが形成され、この媒体流通路Pの一端が外筒12に設けた媒体入口12dに連通し他端が外筒12に設けた媒体出口12eに連通するようにした円筒型熱交換器10において、外筒12と内筒11のろう付けを炉中にて行うと同時に、内筒11と外筒12に接合固定される構成部品のろう付けを炉中にて行うようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内面及び外面が平滑な内筒と、両端部に筒状小径部を有するとともに中間部に膨出部を有する外筒を備えて、前記内筒と前記外筒が前記内筒の外面と前記外筒の筒状小径部内面にてろう付け固定されることにより、前記内筒と前記外筒間に媒体流通路が形成され、この媒体流通路の一端が前記外筒に設けた媒体入口に連通し他端が前記外筒に設けた媒体出口に連通するようにした円筒型熱交換器において、前記外筒と前記内筒のろう付けを炉中にて行うと同時に、前記内筒または前記外筒に接合固定される構成部品のろう付けを炉中にて行うようにしたことを特徴とする円筒型熱交換器。
【請求項2】 内面及び外面が平滑な内筒と、両端部に筒状小径部を有するとともに中間部に膨出部を有する外筒を備えて、前記内筒と前記外筒が前記内筒の外面と前記外筒の筒状小径部内面にてろう付け固定されることにより、前記内筒と前記外筒間に媒体流通路が形成され、この媒体流通路の一端が前記外筒に設けた媒体入口に連通し他端が前記外筒に設けた媒体出口に連通するようにした円筒型熱交換器において、前記外筒と前記内筒及びこれらに接合固定される構成部品を全てステンレス鋼製とするとともに、これらをニッケルろうを用いてろう付け固定するようにしたことを特徴とする円筒型熱交換器。
【請求項3】 請求項1または2に記載の円筒型熱交換器において、前記外筒と前記内筒のろう付けと前記外筒及び前記内筒とこれらに接合固定される構成部品とのろう付けを真空炉中にて行うようにしたことを特徴とする円筒型熱交換器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばオーガ式製氷機の冷凍系に使用し得る円筒型熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】円筒型熱交換器は例えば特開昭55−25735号公報に示されていて、この公報に示されている円筒型熱交換器は、内面及び外面が平滑な内筒と、所定範囲の内面に螺旋状の溝を有し且つ該溝の一端部と他端部には媒体の入口と出口を形成した外筒とを備え、前記溝の開口を前記内筒の外面で塞ぎ、且つ該溝以外の前記外筒の平坦部と前記内筒の外面との間に間隙を存する様に内筒と外筒を配置して前記内筒の外面と前記外筒の平坦部とをブレージング加工(ろう付け加工の一つである)により結合し前記内筒の外面と前記溝によって媒体流通路を形成して成るものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した公報の円筒型熱交換器においては、内筒の外面と外筒の平坦部とを高温炉にてブレージング加工により結合した後に、外筒の入口に入口パイプ(冷凍回路の銅パイプが接続される)をろう付け固定するとともに外筒の出口に出口パイプ(冷凍回路の銅パイプが接続される)をろう付け固定し、また内筒の下部に給水管を接続固定して製作されており、製作に際して多くの工程・工数が必要であった。
【0004】また、上記した入口パイプと出口パイプは、冷凍回路の銅パイプに接続されるものであるため、銅パイプとの接合性を考慮して銅製とされる場合がある。また、上記した給水管は、内筒との接続部での水漏れを確実に防止することを意図して、内筒との接続部にシールゴムを介在させた状態にてカシメ固定される場合がある。かかる場合には、円筒型熱交換器が複合素材(内筒と外筒がステンレス鋼にて構成される場合には、ステンレス鋼、銅及びゴム等の複合素材)で構成されるため、円筒型熱交換器の廃棄に際して、ステンレス鋼と銅の各金属素材をリサイクルするときには、内筒と外筒から給水管及びシールゴムと入口パイプ及び出口パイプを分解分離して分別回収する工程が必要であり、リサイクルコストが高くなるという問題がある。
【0005】また、外筒の入口と入口パイプとのろう付け固定部や外筒の出口と出口パイプとのろう付け固定部にピンホールが生じるおそれがあり、このピンホールに水が入り込んで氷結するような条件で円筒型熱交換器が使用される場合には、ピンホールに入った水が凍ることによる体積膨張によりピンホールが大きくなって、これを繰り返すことによりろう付け固定部での媒体流通路(冷媒流路)の密閉性が早期に損なわれるおそれがある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した問題に対処すべくなされたものであり、請求項1に係る発明は、主として円筒型熱交換器の製作時における作業性の改善を目的として、内面及び外面が平滑な内筒と、両端部に筒状小径部を有するとともに中間部に膨出部を有する外筒を備えて、前記内筒と前記外筒が前記内筒の外面と前記外筒の筒状小径部内面にてろう付け固定されることにより、前記内筒と前記外筒間に媒体流通路が形成され、この媒体流通路の一端が前記外筒に設けた媒体入口に連通し他端が前記外筒に設けた媒体出口に連通するようにした円筒型熱交換器において、前記外筒と前記内筒のろう付けを炉中にて行うと同時に、前記内筒または前記外筒に接合固定される構成部品のろう付けを炉中にて行うようにしたことに特徴がある。
【0007】また、請求項2に係る発明は、主として円筒型熱交換器のリサイクル時における作業性の改善を目的として、内面及び外面が平滑な内筒と、両端部に筒状小径部を有するとともに中間部に膨出部を有する外筒を備えて、前記内筒と前記外筒が前記内筒の外面と前記外筒の筒状小径部内面にてろう付け固定されることにより、前記内筒と前記外筒間に媒体流通路が形成され、この媒体流通路の一端が前記外筒に設けた媒体入口に連通し他端が前記外筒に設けた媒体出口に連通するようにした円筒型熱交換器において、前記外筒と前記内筒及びこれらに接合固定される構成部品を全てステンレス鋼製とするとともに、これらをニッケルろうを用いてろう付け固定するようにしたことに特徴がある。
【0008】また、請求項3に係る発明は、上記した作業性の改善に加えて、円筒型熱交換器の品質向上を目的として、上記請求項1または2に記載の円筒型熱交換器において、前記外筒と前記内筒のろう付けと前記外筒及び前記内筒とこれらに接合固定される構成部品とのろう付けを真空炉中にて行うようにしたことに特徴がある。
【0009】
【発明の作用・効果】本発明の円筒型熱交換器(請求項1に係る発明)においては、外筒と内筒のろう付けを炉中にて行うと同時に、内筒または外筒に接合固定される構成部品のろう付けを炉中にて行うようにしたため、内筒と外筒の接合固定及びこれらと他の構成部品との接合固定を同時に行うことができて、製作時における接合固定作業の工程・工数を削減することができ、製作コストの低減を図ることができる。また、内筒と外筒のろう付け固定及びこれらと他の構成部品とのろう付け固定が全て炉中にて行われるため、ろう付け固定時に歪みが生じることを抑制することができて、後加工を少なくしても高い加工精度を得ることができるとともに、炉の加熱・冷却を制御することにより熱処理(例えば固溶化熱処理)を行うことも可能であって、均質な製品を製作することができる。
【0010】また、本発明の円筒型熱交換器(請求項2に係る発明)においては、外筒と内筒及びこれらに接合固定される構成部品を全てステンレス鋼(クロムとニッケルを所定の割合で含有するオーステナイト系ステンレス鋼)製とするとともに、これらをニッケルろうを用いてろう付け固定するようにしたため、ニッケルろうが銅を殆ど含まずクロムを多量に含んだニッケルを主体としたものであることから理解されるように、円筒型熱交換器の廃棄に際して、各構成部品を分解分離することなくそのままステンレス鋼素材(クロムとニッケルを予め含んだ素材)として再利用することが可能であり、低コストにてリサイクルすることができる。なお、ステンレス鋼においては、一般的に銅が不純物として扱われていて、銅がステンレス鋼の素材中に含まれることは好ましいことではない。
【0011】また、本発明の円筒型熱交換器(請求項3に係る発明)においては、上記請求項1または2に記載の円筒型熱交換器において、外筒と内筒のろう付けと外筒及び内筒とこれらに接合固定される構成部品とのろう付けを真空炉中にて行うようにしたため、各ろう付け固定部にピンホールが生じることはなく、例えばオーガ式製氷機のような冷凍装置の熱交換器として使用する場合においても、各ろう付け固定部での強度及び耐久性を十分に確保することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明による円筒型熱交換器をオーガ式製氷機の冷凍系に使用した例を示していて、この円筒型熱交換器10は、内面11a及び外面11bが平滑な内筒11と、上下両端部に筒状小径部12a,12bを有するとともに中間部に一部分を大径部とした非円形小径部12c(図2参照)を複数個(9個)有する外筒12を備えている。なお、図1に示したオーガ式製氷機は円筒型熱交換器10以外の構成(例えば、オーガ21、上部ハウジング22、軸受23、下部ハウジング24、メカニカルシール25、連結スリーブ26、ギヤドモータ27等)が周知のものである。
【0013】内筒11は、ステンレス鋼(クロムとニッケルを所定の割合で含有するオーステナイト系ステンレス鋼)にて円筒形状に形成されていて、上下両端段部11c,11dには環状フランジ13,14がそれぞれ嵌合固定された状態で真空炉中ろう付けされることによりシール性を確保した状態にて一体的に組付けられている。また、内筒11の下部所定位置に設けたパイプ取付孔(外周側を大径とした段付貫通孔)11eには、内筒11内に製氷水を給排するための給排水パイプ15(オーステナイト系ステンレス鋼にて円筒形状に形成されている)がその一端に形成した段部(図示省略)にて嵌合固定された状態で真空炉中ろう付けされることによりシール性を確保した状態にて一体的に組付けられている。なお、給排水パイプ15には、製氷水タンク(図示省略)内の製氷水を内筒11内に導くための給水パイプ(図示省略)と、内筒11内の水を排水路(図示省略)に導くための排水パイプ(図示省略)が接続されるようになっている。
【0014】外筒12は、上述した筒状小径部12a,12bと非円形小径部12cを有して薄肉のステンレス鋼管(オーステナイト系ステンレス鋼にて円筒形状に形成されている)にて円筒蛇腹形状で上下対称に形成されていて、筒状小径部12a,12bと非円形小径部12cが内筒11の外面11bにそれぞれ嵌合固定された状態で真空炉中ろう付けされることによりシール性を確保した状態にて一体的に組付けられており、上端部一側には媒体入口12dが形成され、下端部一側には媒体出口12eが形成されている。媒体入口12dは、これに真空炉中ろう付けされてシール性を確保した状態の入口パイプ16(オーステナイト系ステンレス鋼にて円筒形状に形成されている)とこの入口パイプ16にシール性を確保した状態で接続される冷凍配管(図示省略)を介して、冷凍系の膨張弁(図示省略)に接続され、また媒体出口12eは、これに真空炉中ろう付けされてシール性を確保した状態の出口パイプ17(オーステナイト系ステンレス鋼にて円筒形状に形成されている)とこの出口パイプ17にシール性を確保した状態で接続される冷凍配管(図示省略)を介して、冷凍系の圧縮機(図示省略)に接続されるようになっている。なお、入口パイプ16と出口パイプ17は同一形状に形成されたものであり、その各内端部16a,17aは共に拡径形状(90度フレアー形状)とされていて、媒体入口12dと媒体出口12eにテーパ面と円筒面にて係合するようになっている。
【0015】また、外筒12の上端及び下端には、各先端に向けて拡開した形状の折り曲げ加工部(拡開形状部)12f,12gがそれぞれ形成されていて、各折り曲げ加工部(拡開形状部)12f,12gの小径部が内筒11に嵌合固定されて真空炉中ろう付けされることにより、内筒11と外筒12がシール性を確保した状態にて一体的に組付けられている。
【0016】この円筒型熱交換器10においては、内筒11と外筒12間に媒体流通路Pが形成されている。媒体流通路Pは、多段の環状通路P1と、これら環状通路P1で隣接する各環状通路P1を周方向に変位した部位にて連通させる連通路P2(非円形小径部12cの欠いた部分、大径部分によって形成されている)からなるもので、一端は外筒12に設けた媒体入口12dに連通し、また他端は外筒12に設けた媒体出口12eに連通している。また、媒体流通路Pを構成する各連通路P2が各段毎で対向位置(図示左端位置と図示右端位置)に交互に設けられていて、媒体流通路Pがジクザク形状とされている。
【0017】ところで、上記のように構成した円筒型熱交換器10は、以下に詳述するパイプの外筒への組付工程(図3参照)、外筒へのろう塗布工程(図4参照)、パイプの内筒への組付工程(図5参照)、外筒の内筒への組付工程(図5参照)、フランジの内筒への組付工程(図6及び図7参照)、内筒へのろう塗布工程(図8参照)、炉中ろう付け工程および機械加工工程を順次経て製作されている。パイプの外筒への組付工程は、図3に示したように、筒状小径部12a〜折り曲げ加工部12gを有するようにバルジ成形加工された外筒12の媒体入口12dに入口パイプ16を組付けるとともに、媒体出口12eに出口パイプ17を組付ける工程であり、各パイプ16,17は外筒12の内面側から外側に向かって挿入されて、各内端部16a,17aが媒体入口12d,媒体出口12eにテーパ面と円筒面にて係合する。また、各パイプ16,17は、挿入後に媒体入口12d,媒体出口12eの円筒面とラップする直管部16b、17b(図4参照)を内部より機械的に拡管されて媒体入口12d,媒体出口12eに仮固定される。
【0018】外筒へのろう塗布工程は、図4に示したように、外筒12にニッケルろう30を塗布する工程であり、出口パイプ17が上方となるように外筒12を立てた状態で、外筒12の内面側から入口パイプ16と出口パイプ17の内端部16a,17a全周に対応する部位にニッケルろう30(図中の黒点参照)が塗布されるとともに、外筒12の筒状小径部12a,12b内面と各非円形小径部12c内面にニッケルろう30(図中の黒点参照)がそれぞれ塗布される。また、外筒12の外側にて媒体入口12d,媒体出口12eの先端全周にもニッケルろう30(図中の黒点参照)がそれぞれ塗布される。
【0019】パイプの内筒への組付工程は、図5に示したように、内筒11のパイプ取付孔11eに給排水パイプ15を組付ける工程であり、給排水パイプ15がその一端に形成した段部(図示省略)にてパイプ取付孔11eに圧入嵌合され、かかる状態にてTIG溶接またはカシメにより給排水パイプ15が内筒11のパイプ取付孔11eに仮固定される。
【0020】外筒の内筒への組付工程は、図5に示したように、給排水パイプ15が仮固定されてなる内筒11に、両パイプ16,17が仮固定されニッケルろう30が内面に塗布されてなる外筒12を組付ける工程であり、外筒12が内筒11の外周(外筒12の非円形小径部12cの内径より若干小径に仕上げられている)に摺動可能に嵌合される。
【0021】フランジの内筒への組付工程は、図6及び図7に示したように、内筒11に環状フランジ13,14を組付ける工程であり、環状フランジ13,14が内筒11の上下両端段部11c,11d(環状フランジ13,14の内径より若干大径に仕上げられている)にプレス等によって同時に圧入嵌合される。この場合において、内筒11における上下両端段部11c,11dの表面と環状フランジ13,14の内径表面は、ニッケルろう30の回りをよくするために双方共に25S程度の粗い仕上がりになっている。なお、環状フランジ13,14の上下両端段部11c,11dへの組付は、上記した圧入嵌合に代えて、ルーズな嵌合に加えてTIG溶接等による仮固定を採用して実施することも可能である。
【0022】内筒へのろう塗布工程は、図8に示したように、内筒11にニッケルろう30を塗布する工程であり、図1において下方の環状フランジ14が上方となるように内筒11と外筒12を立てた状態で、外筒12を所望量持ち上げて内筒11と環状フランジ13の接合部位全周、すなわち外筒12を戻したときに外筒12の折り曲げ加工部12fによって覆われる環状部位にニッケルろう30(図中の黒点参照)が塗布されるとともに、外筒12を図8に示した状態に戻して外筒12の折り曲げ加工部12gに対応する部位全周にニッケルろう30(図中の黒点参照)が塗布される。また、内筒11の図8における上端、すなわち内筒11と環状フランジ14との接合部位全周にニッケルろう30(図中の黒点参照)が塗布されるとともに、内筒11の給排水パイプ15取付部位にニッケルろう30(図中の黒点参照)が塗布(この塗布は図8に示したように90度間隔であっても全周であってもよい)される。
【0023】炉中ろう付け工程は、高真空状態の炉(図示省略)にて図8に示した組立体をニッケルろう30の融点以上に加熱する工程であり、多数の組立体が図8の状態(給排水パイプ15を上側とした状態)で炉に収容されて加熱され、各ニッケルろう30が溶融し所望の部位に侵入してろう付けがなされる。これによって、ステンレス鋼製の各部材(内筒11,外筒12,環状フランジ13,14及び各パイプ15,16,17)がニッケルろう30によりシール性を確保した状態にて一体的に結合される。また、この炉の冷却時には、適宜な熱処理(例えば、固溶化熱処理)がなされる。
【0024】機械加工工程は、円筒型熱交換器10の製作の最終工程であり、周知のように機械加工によって内筒11の内面11aの縦目加工(内筒11の内面に生成される氷をオーガ21によって削り取りやすくするためや、オーガ21の駆動時の騒音を低減するため等の加工)が施され、これによって円筒型熱交換器10が完成する。
【0025】上記の各工程を経て製作された本実施形態の円筒型熱交換器10においては、外筒12と内筒11のろう付けを炉中にて行うと同時に、内筒11と外筒12に接合固定される全ての構成部品(環状フランジ13,14、給排水パイプ15、入口パイプ16及び出口パイプ17)のろう付けを炉中にて行うようにしたため、内筒11と外筒12の接合固定及びこれらと他の構成部品(環状フランジ13,14、給排水パイプ15、入口パイプ16及び出口パイプ17)との接合固定を同時に行うことができて、製作時における接合固定作業の工程・工数を削減することができ、製作コストの低減を図ることができる。
【0026】また、内筒11と外筒12のろう付け固定及びこれらと他の構成部品(環状フランジ13,14、給排水パイプ15、入口パイプ16及び出口パイプ17)とのろう付け固定が全て炉中にて行われるため、ろう付け固定時に歪みが生じることを抑制することができて、後加工すなわち最終工程での内筒11の内面11aの機械加工を少なくしても高い加工精度を得ることができるとともに、炉の加熱・冷却を制御することにより熱処理(例えば固溶化熱処理)を行うことも可能であって、均質な製品を製作することができる。
【0027】また、本実施形態の円筒型熱交換器10においては、外筒12と内筒11及びこれらに接合固定される構成部品(環状フランジ13,14、給排水パイプ15、入口パイプ16及び出口パイプ17)を全てステンレス鋼(クロムとニッケルを所定の割合で含有するオーステナイト系ステンレス鋼)製とするとともに、これらをニッケルろう30を用いてろう付け固定するようにしたため、ニッケルろう30が銅を殆ど含まずクロムを多量に含んだニッケルを主体としたものであることから理解されるように、円筒型熱交換器10の廃棄に際して、各構成部品(内筒11、外筒12、環状フランジ13,14、給排水パイプ15、入口パイプ16及び出口パイプ17)を分解分離することなくそのままステンレス鋼素材(クロムとニッケルを予め含んだ素材)として再利用することが可能であり、低コストにてリサイクルすることができる。
【0028】また、本実施形態の円筒型熱交換器10においては、外筒12と内筒11のろう付けと外筒12及び内筒11とこれらに接合固定される構成部品(環状フランジ13,14、給排水パイプ15、入口パイプ16及び出口パイプ17)とのろう付けを真空炉中にて行うようにしたため、各ろう付け固定部にピンホールが生じることはなく、本実施形態にて例示したようにオーガ式製氷機のような冷凍装置の熱交換器として使用する場合においても、各ろう付け固定部での強度及び耐久性を十分に確保することができる。
【0029】また、本実施形態の円筒型熱交換器10においては、内筒11と外筒12が内筒11の外面11bと外筒12の筒状小径部12a,12b及び多数の非円形小径部12cにてシール性を確保した状態にて密着結合されることにより、内筒11と外筒12間に多段の環状通路P1とこれら環状通路P1で隣接する各環状通路P1を周方向に変位した部位にて連通させる連通路P2からなる媒体流通路Pが形成される。このため、媒体入口12dから媒体流通路Pに入った媒体(冷媒)は環状通路P1と連通路P2を順次通って媒体出口12eに至り、その間に或る段の環状通路P1を一方に流れた媒体が次段の環状通路P1を他方に流れて、媒体流通路Pを媒体がジクザクに流れる。
【0030】したがって、媒体流通路P内の媒体は、各環状通路P1内を螺旋状通路に比して通路の外周に偏りが少ない状態、すなわち媒体の多くが自重で各段の底面に沿って流れ、一部が内筒11の外面11bに沿って流れ、外筒12の内面に沿って殆ど流れない状態(実験により確認されている)にて流れ、内筒11の外面11bに沿っても十分に流れる。このため、媒体流通路P内の媒体と内筒11間での熱交換が十分に得られて、媒体流通路P内の媒体と内筒11の内部に存在する製氷水間での熱交換を効率よく行うことができる。
【0031】また、本実施形態の円筒型熱交換器10においては、媒体流通路Pを構成する各連通路P2が各段毎で対向位置に交互に設けられているため、媒体入口12dから媒体出口12eに至る媒体流通路Pの実質的な全長を長くすることができて、媒体の媒体流通路P内での滞留時間を十分に確保でき、これによっても熱交換効率を高めることができる。
【0032】上記実施形態においては、外筒12の上下に単一の媒体入口12d及び媒体出口12eを設けるとともに、中間部に一部分を欠いた非円形小径部12cを複数個(9個)設けて、内筒11と外筒12間に多段の環状通路P1とこれら環状通路P1で隣接する各環状通路P1を周方向に変位した部位にて連通させる連通路P2からなる媒体流通路P(隣接する環状通路P1を単一の連通路P2によって連通させた通路)が形成されるようにしたが、外筒12の中間部に螺旋状の膨出部を設けて内筒11と外筒12間に螺旋状の媒体流通路が形成されるようにして実施することも可能である。
【0033】また、上記実施形態においては、外筒12の上方に媒体入口12dを設けるとともに外筒12の下方に媒体出口12eを設けて実施したが、外筒の上方に媒体出口を設けるとともに外筒の下方に媒体入口を設けて実施することも可能である。
【0034】また、上記実施形態においては、円筒型熱交換器10の全ての構成部品(内筒11、外筒12、環状フランジ13,14、給排水パイプ15、入口パイプ16及び出口パイプ17)をステンレス鋼製としてリサイクル時の作業性をも改善するようにしたが、リサイクル時の作業性を考慮しない場合には、円筒型熱交換器10の全ての構成部品の素材を適宜選択するとともに、ろう材としてニッケルろう30以外のろう材を適宜選択して実施することも可能である。
【0035】また、上記実施形態においては、本発明による円筒型熱交換器をオーガ式製氷機の冷凍系に実施した例について説明したが、本発明による円筒型熱交換器はソフトクリーム製造機、冷凍炭酸飲料製造機等他の機械にも同様に実施し得るものである。
【出願人】 【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ電機株式会社
【出願日】 平成11年2月26日(1999.2.26)
【代理人】 【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一 (外2名)
【公開番号】 特開2000−249438(P2000−249438A)
【公開日】 平成12年9月14日(2000.9.14)
【出願番号】 特願平11−51520