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【発明の名称】 自動製氷機
【発明者】 【氏名】小谷 政弘

【要約】 【課題】融氷のために使用する水量を低減することができる自動製氷機を提供することを課題とする。

【解決手段】水皿の上壁部材24の各第2製氷水路23の上方には、第2製氷水路に沿って延びる戻り溝26と、戻り溝の底部に穿設された噴水孔25とが形成される。噴水孔から噴水された製氷水はその一部が製氷小室33内で氷結するが、未氷結水は水皿上に落下し戻り溝に案内されて製氷水タンクに戻される。戻り溝は、従来の戻り孔と比較して、絶えず十分な未氷結水が流れ易くなっているため、溝内で氷結が生じ難くまた多少氷結しても引き続く未氷結水の流れで融けやすく、製氷完了時にも戻り溝内に氷が成長することはない。よって、氷を融かすために必要であった融氷用の水が必要無くなり使用水量を低減することが可能となった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 製氷室の開口を開閉する水皿に噴水孔が形成され、この噴水孔から前記製氷室内に製氷水が噴出されて氷が生成される自動製氷機において、前記噴水孔の近傍には、未氷結水を製氷水タンクに戻すように案内する戻り溝が形成されていることを特徴とする自動製氷機。
【請求項2】 前記噴水孔は複数形成されており、これら複数の噴水孔は、戻り溝の底部に、戻り溝の延長方向に並んで穿設されていることを特徴とする請求項1に記載の自動製氷機。
【請求項3】 前記噴水孔は複数形成され、前記戻り溝は少なくとも一対形成されており、複数の噴水孔はこれら一対の戻り溝の間で戻り溝の延長方向に並んで穿設されていることを特徴とする請求項1に記載の自動製氷機。
【請求項4】 製氷水を補給する散水器が水皿ほぼ上方に配設されており、この散水器には、前記戻り溝に製氷水を散水する散水孔が戻り溝毎に対応して形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の自動製氷機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動製氷機に関し、特に未氷結水を製氷水タンクに戻すための構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図9に、製氷工程中における従来の自動製氷機の断面を示す。自動製氷機1には、下向きに開口した複数の製氷小室2を有する製氷室3が設けられている。製氷室3の上面には、各製氷小室2に対応して、冷却パイプ4が配設されている。製氷室3の下方に設けられた水皿5は、ロッド6によって揺動可能に支持されており、各製氷小室2の開口を塞いでいる。水皿5の下部には、製氷水タンク7が取り付けられている。製氷水タンク7のほぼ底部には、循環ポンプ8の吸入口9が接続されている。一方、循環ポンプ8の吐出口10は、水皿5内部に形成された第1製氷水路11に接続されている。また、水皿5内部には、第1製氷水路11に連通する複数の第2製氷水路12が形成されている。第1製氷水路11は、図9紙面と垂直方向に延長し、一方、複数の第2製氷水路12は、図9紙面と平行且つ同紙面の左右方向に延長しており、相互に隣接する流路12が等間隔で離隔する。水皿5の上壁部材13には、第2製氷水路12と水皿5の外部とを連通し、各製氷小室2の開口に対応した位置に形成された複数の噴水孔14が穿設されている。また、製氷水タンク7の下方には、水皿5の先端に設けられたガイド15を伝って落下する水を受ける水受け16が配設されている。図10及び11に示されるように、水皿5の上壁部材13において各噴水孔14の両側には、戻り孔17が穿設されている。各戻り孔17は、第2製氷水路12を避ける位置にあって、第2製氷水路12を貫通することなく水皿5の外部と製氷水タンク7とを連通している。
【0003】かかる自動製氷機1の製氷工程においては、製氷水タンク7内の製氷水が循環ポンプ8によって、第1製氷水路11及び第2製氷水路12に圧送される。第2製氷水路12内の製氷水は、各噴水孔14から対応する製氷小室2へ上向きに噴出される。噴出された製氷水のうちの一部は、冷却パイプ4を流れる低温冷媒によって冷却され製氷小室2内で氷結する。また、氷結に至らなかった未氷結水は、水皿5の上壁部材13に落下し、戻り孔17を通って製氷水タンク7内に戻り、再び循環に供される。このようにして製氷水の連続的な噴出により各製氷小室2内の氷が徐々に成長し、所定時間後には所望の大きさの氷が生成される。また、除氷工程に入ると、図12に示されるように水皿5が下方に傾斜されると共に、冷却パイプ4にホットガスが流され、各製氷小室2内の氷が離氷して水皿5上面に落下し、かかる氷18は水皿5の傾斜に案内されて図示しない貯氷庫に蓄えられる。一方、氷となった分の製氷水を新たに補給すべく、散水器19からは水皿5上面に製氷水が散水され、かかる製氷水は、点線矢印で概念的に示されるように主に戻り孔を通って製氷水タンク7に落下し、続く製氷工程の循環に供される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の自動製氷機1においては、製氷過程の進行に伴い水皿5の上壁部材13の温度も低下し、製氷完了時には、図13に示されるように戻り孔17内まで氷が成長することがあった。したがって、除氷工程の間には、次の製氷工程が開始される前に戻り孔17内に成長した氷を融かすべく、散水器19から水皿5の上表面に多量の水を流していた。すなわち、従来の自動製氷機1においては、直接氷を生成するために必要な水以外にも、融氷のために多量の水を消費するという問題があった。従って、本発明は、上述した従来の問題を解決するためになされたものであり、融氷のために使用する水量を低減することができる自動製氷機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するため、本発明は、製氷室の開口を開閉する水皿に噴水孔が形成され、この噴水孔から製氷室内に製氷水が噴出されて氷が生成される自動製氷機において、噴水孔の近傍には、未氷結水を製氷水タンクに戻すように案内する戻り溝が形成されていることを特徴とする。また、噴水孔は複数形成されており、これら複数の噴水孔は、戻り溝の底部に、戻り溝の延長方向に並んで穿設されていてもよいし、戻り溝は少なくとも一対形成されており、複数の噴水孔はこれら一対の戻り溝の間において戻り溝の延長方向に並んで穿設されていてもよい。さらに、製氷水を補給する散水器が水皿ほぼ上方に配設されており、この散水器には、戻り溝に製氷水を散水する散水孔が戻り溝毎に対応して形成されていてもよい。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1〜3に、本実施の形態に係る自動製氷機の水皿を示す。尚、水皿周辺については、従来の自動製氷機の場合と同様に構成されている。水皿21は、従来と同様にロッドによって揺動可能に支持されている。水皿21の内部には、水皿後部において水皿幅方向に延長する第1製氷水路22と、それぞれ水皿前後方向に延長し各後端が第1製氷水路22に接続された複数の第2製氷水路23とが形成されている。第2製氷水路23は相互に等間隔で離隔するように形成されている。また、第1製氷水路22には、従来と同様に循環ポンプの吐出口が接続されている。
【0007】水皿21の上壁部材24のうち、各第2製氷水路23の上方に位置する部分には、複数の噴水孔25及び1本の戻り溝26が形成されている。各戻り溝26は、上壁部材24に上向きに開口し、対応する第2製氷水路23に沿って延びている。また、複数の噴水孔25は、対応する戻り溝26の底部に穿設されており、それぞれ対応する第2製氷水路23と水皿21の外部とを連通している。また、複数の噴水孔25は、各製氷小室毎に製氷水の噴出が行えるような間隔で並べられている。各戻り溝26の幅に関しては、未氷結水を集め易いよう、噴水孔25が形成されている部分27は噴水孔25が形成されていない部分28よりも広くなっている。各戻り溝26の後端29は、最後部にある噴水孔30の後方に位置し、一方、各戻り溝26の前端31は、水皿21の前端32すなわち除氷時傾斜した際の下端まで延びている。
【0008】以上説明した水皿21を有する本実施の形態の自動製氷機においては、製氷工程が始まると、図4に示されるように、各噴水孔25からそれぞれ対応する製氷小室33に向けて上向きに製氷水が噴出される。製氷小室33は冷却パイプにより冷却されており、噴出された製氷水の一部は、製氷小室33内で氷結する。一方、氷結に至らなかった未氷結水は、重力の影響下、水皿の上壁部材24に落ちたのち各戻り溝26内に徐々に集まり、戻り溝26に沿って案内されて水皿21の前端32から製氷水タンクに落下し、再度循環に供される。このとき、従来の戻り孔では穴ゆえに氷結しやすく一旦氷結するとなかなか融けにくい傾向があったが、本実施の形態における戻り溝26では、従来の戻り孔と比較して、流路断面積が広くまた絶えず十分な未氷結水が流れ続け易いため、戻り溝26内で氷結が生じ難くまた多少氷結しても引き続く未氷結水の流れで融け易く、製氷完了時にも戻り溝26内に氷が成長するようなことはない。したがって、本実施の形態においては、従来、戻り孔に成長した氷を融かすために必要であった融氷用の水が必要無くなり、除氷工程中に水皿21の上表面に流す水量を低減することが可能となった。
【0009】次に、図5及び6を基に本発明の別の実施の形態を説明する。この実施の形態に係る自動製氷機の水皿34は、図1〜4に示した実施の形態の水皿に、さらに、長穴35が設けられたものである。長穴35は、水皿34の前部すなわち除氷時傾斜した際の下部に形成されており、各戻り溝26の下部を相互に連通している。また、長穴35は、各第2製氷水路23の前端36よりも前方に位置し、水皿34の上壁部材24を貫通して製氷水タンクと水皿34の外部とを連通している。かかる実施の形態においては、各戻り溝26に集められた未氷結水の大部分が、長穴35を通って下方の製氷水タンクに落下するようになっており、未氷結水を効率よく製氷水タンク内に案内することが可能となっている。
【0010】さらに、図7を基に上記とは別の本発明の実施の形態を説明する。この実施の形態に係る自動製氷機は、図5及び6を基に説明した自動製氷機において、散水器37の散水孔38が戻り溝26毎に対応して形成されている。すなわち、相互に隣接する散水孔38同士の間隔は、それぞれ対応する戻り溝26同士の間隔と等しくなるように設定されており、各戻り溝26の真上にそれぞれ対応する散水孔38が位置する。かかる実施の形態においては、除氷工程中に補給される製氷水が各散水孔38から効率よく各戻り溝26内に供給され、万が一戻り溝26内に氷が成長しそうな状況にあっても、最小限の水でより確実に、戻り溝内の氷の成長を防止することが可能である。
【0011】また、図8を基に、本発明のさらに別の実施の形態について説明する。本実施の形態では、図1〜4に示した実施の形態の水皿において、各第2製氷水路23のほぼ上方に位置する上壁部材24の部分に、複数の噴水孔及び1本の戻り溝に代えて、複数の噴水孔25及び一対の戻り溝39が形成されている。一対の戻り溝39は、上壁部材24に上向きに開口し、対応する第2製氷水路23に沿って延びており、相互に平行に離隔している。また、複数の噴水孔25は、一対の戻り溝39の間に位置した上壁部材24に穿設されており、それぞれ対応する第2製氷水路23と水皿の外部とを連通している。また、複数の噴水孔25は、各製氷小室33毎に製氷水の噴出が行えるような間隔で並べられている。
【0012】かかる実施の形態においては、未氷結水は、一対の戻り溝39内に徐々に集まり、戻り溝39に沿って案内され水皿の前端から製氷水タンクに落下する。このとき、本実施の形態における戻り溝39は、従来の戻り孔と比較して、流路断面積が広くまた絶えず十分な未氷結水が流れ続け易いため、戻り溝39内で氷結が生じ難くまた多少氷結しても引き続く未氷結水の流れで融け易く、製氷完了時に戻り溝39内に氷が成長するようなことはない。したがって、氷を融かすために必要であった融氷用の水が必要無くなり、除氷工程中に水皿上表面に流す水量を低減することが可能となった。それに加えて、各噴水孔25の出口は、相対的に、戻り溝39の底面よりも高所に位置するため、未氷結水の戻り経路と製氷水の噴出経路とが明確に分かれることとなり、未氷結水すなわち戻り水が製氷水の噴出に干渉することなく、相対的にそのような干渉が起こりやすい傾向がある特に水皿前端側における噴水過程においても、戻り水が製氷水の噴出に干渉することがない。
【0013】以上に説明した本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態に適宜改変を施し実施することも可能である。例えば、図8に示した一対の戻り溝39を有する実施の形態において、図5及び6に示した長穴35を形成して実施することができる。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の自動製氷機によれば、噴水孔の近傍に、未氷結水を製氷水タンクに戻すように案内する戻り溝が形成されているので、製氷完了時にも戻り溝内に氷が成長するようなことはなく、従来、氷を融かすために要求されていた水が必要無くなり、水皿の上表面に流す水量を低減することが可能となっている。
【出願人】 【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ電機株式会社
【出願日】 平成11年1月19日(1999.1.19)
【代理人】 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照 (外6名)
【公開番号】 特開2000−205712(P2000−205712A)
【公開日】 平成12年7月28日(2000.7.28)
【出願番号】 特願平11−10540