| 【発明の名称】 |
アイススケートリンク |
| 【発明者】 |
【氏名】狩野 陽
【氏名】杉村 允生
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| 【要約】 |
【課題】ランニングコストの低減と電力需要ピークの抑制への貢献とを達成し得るアイススケートリンクを提供することにある。
【解決手段】冷凍設備2と複数の管路(3、4、5)とを有し、冷凍設備2から複数の管路(3、4、5)内に冷媒を送って氷層を冷却するアイススケートリンク10において、氷層内に蓄冷材1を設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷凍設備と複数の管路とを有し、冷凍設備から複数の管路内に冷媒を送って氷層を冷却するアイススケートリンクであって、氷層内に蓄冷材が設けられていることを特徴とするアイススケートリンク。 【請求項2】 蓄冷材が袋部材に収容されている請求項1記載のアイススケートリンク。 【請求項3】 蓄冷材が、少なくとも一の管路と氷層表面との間に位置している請求項1記載のアイススケートリンク。 【請求項4】 氷層の面方向に沿って配列された複数の管路を有し、蓄冷材は該配列された管路における隣り合う管路間に配置されている請求項1記載のアイススケートリンク。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アイススケートリンクに関する。 【0002】 【従来の技術】アイススケートリンクは、一般に、冷凍機を含む冷凍設備と、複数の管路と、散水設備とから構成されており、冷凍設備から管路にブラインなどの冷媒を流して氷層の形成又は冷却を行っている。アイススケートリンクにおいては、氷層が融解しないように、昼夜を問わず氷層の表面温度は0℃以下に保つ必要があり、特に昼間の営業時間帯では滑走状態を良好にするため、氷層の表面温度は−3℃〜−2℃程度に保つ必要がある。このため、通常、冷凍機の運転は、氷層の表面や内部に設置された温度センサからの信号に基づいて制御されており、外気の温度や湿度に対応して行われている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、アイススケートリンクは上記のように構成されているため、昼間の営業時間帯、特に気温の高い時間帯(13時〜16時)においては、冷凍機の出力を大幅に高める必要がある。この冷凍機の出力の増加は、電力消費量を増加させ、ランニングコストの増加を引き起こすため、従来より昼間の営業時間帯における電力消費量の低減が、解決課題として挙げられている。 【0004】更に、近年における昼間の電力需要の増大は深刻な問題であり、昼間の電力需要の抑制は社会的にも大きな課題である。また、電力会社においては、夜間の電力料金を昼間に比べて安価に設定した電力料金制度を実施して、昼間の電力需要の夜間電力への移行を促進している。従って、アイススケートリンクについても昼間の電力需要の抑制に貢献するためには、夜間電力を積極的に利用したシステムを必要とする。 【0005】本発明の課題は、ランニングコストを低減でき、昼間の電力需要の夜間電力への移行に貢献し得るアイススケートリンクを提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、昼間と夜間との電力料金に格差を設けた時間帯別電力料金制度を利用するものであり、夜間の安価な電力を利用して昼間の氷層の冷却を行うことで上記課題を解決する。即ち、本発明のアイススケートリンクは、次の特徴を有するものである。 【0007】(1) 冷凍設備と複数の管路とを有し、冷凍設備から複数の管路内に冷媒を送って氷層を冷却するアイススケートリンクであって、氷層内に蓄冷材が設けられていることを特徴とするアイススケートリンク。 【0008】(2) 蓄冷材が袋部材に収容されている上記(1)記載のアイススケートリンク。 【0009】(3) 蓄冷材が、少なくとも一の管路と氷層表面との間に位置している上記(1)記載のアイススケートリンク。 【0010】(4) 氷層の面方向に沿って配列された複数の管路を有し、蓄冷材は該配列された管路における隣り合う管路間に配置されている上記(1)記載のアイススケートリンク。 【0011】 【作用】上記に示すように、本発明のアイススケートリンクには、氷層に蓄冷材が設けられている。このため、夜間において割安な電力を利用して蓄冷材に冷熱を蓄えさせることができ、昼間においてこの蓄えられた冷熱を利用して氷層の冷却を行うことができる。 【0012】このように、本発明のアイススケートリンクを用いれば、夜間電力を効果的に利用することができるため、従来に比べ昼間の電力消費量を低減することができる。本発明のアイススケートリンクは、ランニングコストの低減を図り、昼間の電力需要の夜間電力への移行に貢献し、電力負荷の平準化に寄与することができる。 【0013】更に、蓄冷材に蓄えられた冷熱を利用して氷層を冷却する場合では、蓄冷材から一定温度の冷熱が継続的に放出されるため、従来の冷凍機の制御による場合と同等又はそれ以上に正確に氷層表面の温度を一定に保つことができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図を用いて詳細に説明する。図1は、本発明のアイススケートリンク10の一例を模式的に示す図であり、平面図で示している。図1では、氷層については省略している。図2は図1に示すアイススケートリンクの断面を示す図である。図2(a)は線A−Aにおける断面を部分的に示しており、図2(b)は線B−Bにおける断面を部分的に示している。図2(b)ではブライン往管3およびブライン還管5については省略している。また、図1、2において蓄冷材1には斜線を施している。図3は図1に示すアイススケートリンクの一部分を示す斜視図であり、図1において点線で囲まれた部分Cを示している。図3では氷層は点線で示されている。 【0015】図1、2の例に示すように、アイススケートリンク10は、冷凍機を含む冷凍設備2と複数の管路(3〜5)とを有している。図1、2の例では、冷凍設備2は間接冷却式冷凍装置であり、冷凍機内の一次冷媒によってブライン(二次冷媒)を冷却し、この一次冷媒で冷却されたブラインを管路(3、4、5)に流している。複数の管路は、ブライン往管3と、ブライン往管3から分岐してアイススケートリンク全域にわたる小口径冷却管4と、小口径冷却管4に流されたブラインを冷凍設備2へと還流させるブライン還管5とで構成されている。また、図3の例に示すように小口径冷却管4は支持部材11によって設置されている。 【0016】さらに図1、2の例ではアイススケートリンク10には、従来と同様に散水設備が設置されている。散水設備は散水管6、散水用ノズル7、給水設備8で構成されている。散水管6および散水用ノズル7については点線で示している。本発明では、冷凍設備2は冷凍機を含むものであって、管路に冷却された冷媒を送り得るものであれば良い。また、冷媒は図1、2で示されるブライン以外の冷凍機内を循環する一次冷媒などであっても良い。 【0017】図1、2の例に示すように、氷層9は冷凍設備2から複数の管路(3〜5)に冷媒を送ることによって、具体的には、ブライン往管3から送られたブラインが小口径冷却管4を通過することによって冷却される。小口径冷却管4を通過したブラインはブライン還管5を通って冷凍設備2に戻される。9aは氷層表面を示している。図2の例では、蓄冷材1の上面と氷層表面との距離が一定、例えば50mm程度となるように形成されている。 【0018】また、図1〜3の例に示すように、氷層9内には蓄冷材1が設けられている。図1〜3の例では、蓄冷材1は、小口径冷却管4と氷層表面9aとの間に位置しており、小口径冷却管4の上に積載されている。このような態様においては、小口径冷却管4と蓄冷材1との間及び蓄冷材1と氷層9との間における冷熱の損失を最小限にできる。また、氷層9の温度分布を均一にすることもできる。 【0019】図4は、本発明のアイススケートリンクの他の例の断面を示す図であり、部分的に示している。なお、図4に示すアイススケートリンク40は、蓄冷材1の位置が異なる以外は図1に示すアイススケートリンク10と同様に構成されている。図4は、図2(b)と同様の方向から見た図であり、又同様にブライン往管、ブライン還管については省略している。 【0020】図4の例に示すように、アイススケートリンク40は、図1〜3で示したアイススケートリンク10と同様に、氷層9の面方向に沿って配列された複数の管路を有している。蓄冷材1は、この配列された管路のうち小口径冷却管(4、4’)における隣り合う管路間に配置されている。 【0021】図4の例では、蓄冷材1は、小口径冷却管(4、4’)に対して水平方向に並列に配置されている。さらに蓄冷材1は、小口径冷却管4と小口径冷却管4’との間に設置されている。通常、小口径冷却管(4、4’)や蓄冷材1などを含まない氷層部分の厚み(図4では、一点鎖線41と氷層表面9aとの距離)には、強度などの点から一定の厚さが確保されている。このため、図4の態様は図2(b)の態様に比して蓄冷材の厚さ分の氷量を低減することができ、氷層形成時における電力消費量の低減を図ることができる。一方、図2(b)の態様は図4の態様に比して温度分布が均一となる。 【0022】図1〜3に示したアイススケートリンク10および図4に示したアイススケートリンク40においては、次に示すように時間帯毎に冷凍設備2の稼働状況を変えて氷層9の冷却が行われる。 【0023】例えば22時〜翌朝8時までの夜間料金が適用される時間帯においては、ブラインの温度が−13℃程度となるように通常時(ブラインの温度:−11℃)よりも出力を高めて冷凍機の運転が行われる。これにより、蓄冷材1は冷却・凝固して冷熱を蓄え、氷層表面9aの温度は融解しない0℃以下に保たれる。蓄冷材1は完全に凝固した状態となる。この時間帯においては、従来と同様に氷層表面9aや氷層9の内部に設置されたセンサに基づいて冷凍機2の運転を行うのが好ましい。 【0024】例えば8時〜13時までの時間帯においては、ブラインの温度が−11℃程度となるように通常時の出力で冷凍機の運転が行われる。このとき、氷層表面9aの温度は滑走状態を良好にするため約−3℃〜−2℃程度に保持されている。なお、蓄冷材1は夜間において完全に凝固されているため、管路(3〜5)を通るブラインからの冷熱は全て氷層9の冷却に使用されている。この時間帯においても、従来と同様に氷層表面9aや氷層9の内部に設置されたセンサに基づいて冷凍機2の運転を行うのが好ましい。 【0025】昼間の電力需要が増大する例えば13時〜16時までの時間帯においては、冷凍機2の運転は停止される。氷層9は蓄冷材1で蓄えられた冷熱により冷却され、氷層表面9aは約−3℃〜−2℃程度に保持される。なお、蓄冷材1で蓄えられた冷熱だけでは足りない場合は冷凍機2の運転も同時に行われるが、その出力は従来のアイススケートリンクにおける同時間帯での出力に比べて低いものとなっている。このように本発明では氷層内に蓄冷材を設けることにより、昼間の消費電力を低減でき、昼間の電力需要の抑制に貢献できる。 【0026】上記時間帯終了から夜間電力が適用される例えば16時〜22時までの時間帯においては、ブラインの温度が−11℃程度となるように通常時の出力で冷凍機2の運転が行われる。なお、蓄冷材1は融解しているため一部の冷熱は蓄冷材に吸収されているが、潜熱域ではないため、それほど冷却負荷は増加しておらず、単位時間(例えば1時間)当たりの冷凍機の稼働時間(ON時間の比率)が少々増加することにより、氷層表面9aの温度は、約−3℃〜−2℃程度に保持されている。この時間帯においても、氷層表面9aや氷層9の内部に設置されたセンサに基づいて冷凍機2の運転を行うのが好ましい。 【0027】本発明のアイススケートリンクにおいては、蓄冷材、氷層表面と管路との位置関係、蓄冷材と管路との配置態様、氷層と蓄冷材との比率などを適宜設定することにより、上記に示した時間帯毎の氷層の冷却を良好に達成できる。これらの要件のうち特に、蓄冷材と管路との位置関係は重要な役割を果たすものであり、図1〜3、または図4に示す態様とするのが好ましい。 【0028】本発明のアイススケートリンクに用いられる蓄冷材は、冷却によって冷熱(例えば潜熱や顕熱)を蓄え得るものであれば良い。蓄冷材の量、個数、形状(大きさ、厚み)、袋部材に収容する場合の一袋あたりの重量等は、上記に示した位置関係、配置態様等に応じて適宜決定すれば良い。 【0029】リサイクル性を考慮すると、蓄冷材は冷却されていない状態で固体状又はゼリー状のものであるのが好ましく、可撓性の袋部材に収容されているのが好ましい。但し、袋部材に収容されていない蓄冷材も用いることができる。具体的には、無機塩水溶液と添加剤と樹脂との混合物や、有機物(パラフィン系)等が挙げられる。このうち、放冷温度が融解温度に近い点から、塩化カリウムや炭酸水素カリウムを無機塩として用いた上記混合物が好ましい。 【0030】本発明において、管路の仕様、例えば内径、肉厚、材料などは、要求される冷却能力、管路内を通る冷媒の種類や量などに応じて適宜設定すれば良い。本発明で使用する冷凍設備としては、従来よりアイススケートリンクに用いられているものを利用することもできる。冷凍設備の冷凍能力はアイススケートリンクの大きさや環境(温度、天候、風速、屋外、屋内など)に応じて適宜決定すれば良い。 【0031】 【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示す。実際に図1〜3に示すアイススケートリンクをつくり、その評価を行なった。 【0032】実施例面積1800m2 (60m×30m)の敷地に、冷凍能力225Kwの冷凍設備、ブラインポンプおよび給水設備を据え付け、ブライン往管(外径:125mm、内径:115mm、材質:炭素鋼管、系統数:1)、小口径冷却管(外径:9.5mm、内径:8.0mm、材質:EVA、本数:750)およびブライン還管(外径:125mm、内径:115mm、材質:炭素鋼管、系統数:1)を配管し、その上に、積層フィルム(ポリエチレンフィルム、アルミ箔及びポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体)からなる袋部材(300mm×200mm、厚み5mm)に塩化カリウムを充填して形成した蓄冷材(3万個)を配置した。次に、冷凍設備を稼働させながら散水し、蓄冷材の上面から氷層表面までが50mmとなるように氷層を形成して本発明のアイススケートリンクを完成させた。 【0033】上記のアイススケートリンクについて、夜間22時から翌朝8時の間に蓄冷材を完全に凝固させ、昼間の13時〜16時の間(平均外気温度25℃)において冷凍機を停止させたところ、リンク表面(氷層表面)の温度は−3℃〜−2℃に保たれており、電力消費量は55kwhであった。 【0034】比較例実施例1に示したアイススケートリンクから蓄冷材を除去し、同様に氷層を形成した。このアイススケートリンクについて、昼間の13時〜16時の間(平均外気温度25℃)、リンク表面(氷層表面)の温度が実施例1と同様の温度となるように、冷凍機を運転したところ、電力消費量は665kwhであった。 【0035】〔評価〕上記実施例および比較例より、本発明のアイススケートリンクを用いれば、昼間の気温の高い時間帯において、電力消費量を低減でき、リンク表面温度を一定に保つことができるのが分かる。 【0036】 【発明の効果】以上の説明のように、本発明のアイススケートリンクを用いれば、気温の高い時間帯における電力消費量を大きく低減させることができるため、ランニングコストの低減を図り、電力需要の夜間電力への移行に貢献できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003263 【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社 【識別番号】598002095 【氏名又は名称】株式会社キュー研技術士事務所
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| 【出願日】 |
平成10年12月1日(1998.12.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080791 【弁理士】 【氏名又は名称】高島 一
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| 【公開番号】 |
特開2000−171137(P2000−171137A) |
| 【公開日】 |
平成12年6月23日(2000.6.23) |
| 【出願番号】 |
特願平10−342111 |
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