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【発明の名称】 自動製氷機
【発明者】 【氏名】岡里 悦孝

【要約】 【課題】離氷時の必要スペースを小さくするとともに、離氷時に製氷皿を捻らない構成を採用して駆動手段における必要トルクを抑えて駆動手段の小型化を図り、これらにより自動製氷機全体の小型化を図ること。

【解決手段】エンドレスベルト状に形成され、柔軟素材により内周方向に向けて凹状に形成された製氷部11aを有する製氷ベルト1と、所定の間隔で離間された状態で並設され、製氷ベルト1が張設状態で掛け渡されている回転可能な駆動ローラ2および従動ローラ3と、駆動ローラ2に回転駆動力を与えるモータアクチュエータ4と、モータアクチュエータ4の回転を制御する自動製氷コントローラ6とを設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンドレスベルト状に形成され、柔軟素材により内周方向に向けて凹状に形成された製氷部を有する製氷ベルトと、所定の間隔で離間された状態で並設され、前記製氷ベルトが張設状態で掛け渡されている2本の回転可能なローラと、前記ローラの少なくとも一方に回転駆動力を与える駆動手段と、この駆動手段の回転を制御するコントローラと、を備えていることを特徴とする自動製氷機。
【請求項2】 前記製氷ベルトとローラとの間に相互に係合することで回転駆動力を伝達する係合手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動製氷機。
【請求項3】 前記製氷ベルトの少なくとも内周面を形成する素材、ならびに前記ローラの外周面を形成する素材として、高摩擦係数の素材が用いられていることを特徴とする請求項1記載の自動製氷機。
【請求項4】 前記製氷部が、フィルム状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3記載の自動製氷機。
【請求項5】 前記製氷部が製氷ベルトと同一素材により一体に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4記載の自動製氷機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動製氷機の技術分野に属し、特に、家庭用冷蔵庫の製氷室に設置される自動製氷機に適用するのに好適な技術である。
【0002】
【従来の技術】従来、冷蔵庫用の自動製氷機として、例えば、特開昭61−235661号公報,特開平2−89973号公報,特開平5−306858号公報,特開平8−247592号公報に記載のものが知られている。この従来出典には、製氷皿と、この製氷皿を回動自在に支持するアクチュエータ軸と、このアクチュエータ軸を中心として前記製氷皿を回動させるモータアクチュエータと、前記製氷皿が上下反転した離氷タイミングにおいて製氷皿の回動を規制させることにより製氷皿に捻れを生じさせて離氷を行うストッパと、を備えた冷蔵庫用製氷機が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の自動製氷機にあっては、モータアクチュエータが製氷皿を上下反転状態まで回転させてから捻って離氷する構成であるため、下記の解決すべき問題を有する。
(1) 離氷時に製氷皿を反転させるため、製氷皿を回転させることのできるスペースが必要であり、装置の上下寸法が大きくなってしまい、装置の小型化がしずらい。
(2) 低温下で製氷皿を繰り返し捻るため、製氷皿の耐久性を確保するための素材選択などに苦慮する。そして、製氷皿の剛性が高くなると、離氷時に製氷皿を捻るのに大きなトルクが必要となって、モータアクチュエータ(駆動手段)の大型化を招く。
【0004】本発明は、離氷時に製氷皿を回転させない構成を採用して、離氷時の必要スペースを小さくするとともに、離氷時に製氷皿を捻らない構成を採用して駆動手段における必要トルクを抑えて駆動手段の小型化を図り、これらにより自動製氷機全体の小型化を図ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため請求項1記載の発明では、エンドレスベルト状に形成され、柔軟素材により内周方向に向けて凹状に形成された製氷部を有する製氷ベルトと、所定の間隔で離間された状態で並設され、前記製氷ベルトが張設状態で掛け渡されている2本の回転可能なローラと、前記ローラの少なくとも一方に回転駆動力を与える駆動手段と、この駆動手段の回転を制御するコントローラとを備えている手段とした。
【0006】なお、請求項1記載の自動製氷機において、請求項2に記載のように、前記製氷ベルトとローラとの間に相互に係合することで回転駆動力を伝達する係合手段を設けるのが好ましい。また、請求項1記載の自動製氷機において、請求項3に記載のように、前記製氷ベルトの少なくとも内周面を形成する素材、ならびに前記ローラの外周面を形成する素材として、高摩擦係数の素材を用いるのが好ましい。また、請求項1ないし3記載の自動製氷機において、請求項4に記載のように、前記製氷部を、フィルム状に形成するのが好ましい。また、請求項1ないし4記載の自動製氷機において、請求項5に記載のように、前記製氷部を製氷ベルトと同一素材により一体に形成するのが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)まず、構成を説明する。図1は実施の形態1の自動製氷機の要部を示す斜視図である。この自動製氷機は、家庭用冷蔵庫用のものであって、図において、1は製氷皿、2は駆動ローラ、3は従動ローラ、4はモータアクチュエータ(駆動手段)、5はアクチュエータ軸、6は自動製氷コントローラ、7はハーネスである。
【0008】前記製氷ベルト1は、エンドレスベルト状に形成され、前記駆動ローラ2と従動ローラ3とにピンと張った状態で掛け渡されている。この製氷ベルト1は、図に示すように、製氷部11aを有した軌道板11と、製氷部11aを有していない連結片12とで構成されている。前記製氷部11aは、軌道板11において開口部11bを外周方向に向けて内周方向に凹ませて容易に変形可能なフィルムで成形されている。すなわち、製氷ベルト1は、図示の状態で開口部11bを上方に向けている製氷部11aに水を注水し、これを冷却して氷を製造するものである。なお、前記製氷部11aは、軌道板11と同一素材によりこの部分だけ薄く成形してもよいし、あるいは、別素材で形成したもの軌道板11に接着・溶着などにより一体的に設けてもよい。
【0009】また、実施の形態1では、5枚の軌道板11を相互にピンなどにより回動可能に連接したものを上下2組設け、これらを5枚の連結片12を相互にピンなどにより回動可能に連接したものにより連結することで、エンドレスベルト状に形成されている。なお、軌道板11および連結片12によりエンドレスベルト状に形成するにあたり、これら11,2を一体に成形し、PPヒンジなどにより相互間で折曲可能に構成してもよい。
【0010】前記駆動および従動ローラ2,3は、前記製氷ベルト1をエンドレスで循環移動させるもので、さらに駆動ローラ2は、前記製氷部11aで作られた氷を離氷する機能を有する。これら駆動および従動ローラ2,3は同一の略円筒形状に形成されていて、その外周壁両端部には、前記軌道板11の両端に形成された係合穴11cならびに連結片12の両端に形成された係合穴12aに対して、差し込んで係合可能な複数の係合突片2a,3aがそれぞれ所定間隔に突設され、これら係合突片2a,3aが前記製氷ベルト1に設けられた係合穴11c,12aと係合することにより、製氷ベルト1に回転力を伝達する。
【0011】前記駆動ローラ2は、その一方の端面側軸心部が前記アクチュエータ軸5に支持されるとともに、他方の端面側は、図示しない製氷室内の軸支壁に支持された支持軸2bに回動自在に軸支されている。また、従動ローラ3は、その両端面軸心部を前記軸支壁に支持された支持軸3bに回動自在に軸支されている。
【0012】前記モータアクチュエータ4は、内部構造については図示を省略したが、ボックス型のケース4a内に収納されたモータと、モータ軸に設けられた入力ギヤからアクチュエータ軸5に設けられた出力ギヤまで多段階にてギヤ噛合させた歯車減速機構とを備え、アクチュエータ軸5に支持された駆動ローラ2をモータの駆動により回動させ、前記製氷ベルト1を循環移動させる。
【0013】前記自動製氷コントローラ6は、マイコンと入力回路とドライバとを有し、モータアクチュエータ4に対し、ハーネス7を介して接続され、図外のモータの駆動制御を行う。この自動製氷コントローラ6には、時間条件や温度条件などにより決められる離氷タイミング判定に基づき、駆動ローラ2を図中の矢印の方向に回動させる指令をモータに出力し、前記製氷ベルト1を図の原点位置から次の原点位置(図中、位置Aの軌道板11が位置Bまで移動した位置)まで移動させることを繰り返す制御ソフトを有している。なお、前記駆動ローラ2の下方位置には、図外の貯氷容器が配置されている。
【0014】次に、作用効果を説明する。図2は、実施の形態の自動製氷機の製氷から離氷までの過程における駆動ローラ2の近傍の様子を示す説明図である。
【0015】[製氷時]まず、図2(a)に示すように、製氷ベルト1を原点位置復帰状態とし、各製氷部11aの凹部に注水し、これを冷却して氷を製造する。なお、注水時には、水を勢いよく注水して製氷部11aを確実に凹形状に復帰させるようにすることが好ましい。
【0016】[離氷時]次に、自動製氷コントローラ6では、製氷ベルト1の製氷部11aに注水してからの時間条件や温度条件などにより決められた離氷タイミング判定に基づき、駆動ローラ2を図2(a)に示す矢印の方向に回転させる指令をケース4a内に備えた図外のモータに出力する。駆動ローラ2が回転すると、製氷ベルト1が図2(b)の白抜き矢印の方向に移動する。このとき、図2(b)に示すように、製氷部1の軌道板11が駆動ローラ2の位置に達すると、製氷ベルト1の内周側に突出した製氷部11aが駆動ローラ2の外周壁に当接し、徐々に押圧される。このとき、製氷部11aは容易に変形可能なフィルムで成型されているため、駆動ローラ2の外周面で押し潰され、内部の氷が図2(c)に示すように製氷部11aから押し出され、図外の貯氷容器内に次々に落下収容される。
【0017】自動製氷コントローラ6は、製氷ベルト1が再び図2(a)に示す原点位置復帰状態となると、駆動ローラ2の回転を停止させる指令をモータに出力する。なお、この際に、確実に離氷を行うため、製氷ベルト1を複数周回させたり、あるいは往復させるようにしてもよい。
【0018】以後は、上方に移動した製氷部11aに注水を行って、上述した製氷、離氷を繰り返す。なお、注水時には、上方を向いて開口している製氷部11aの全てに同時に注水してもよいし、あるいは、注水口は左右2箇所だけとしておき、製氷部11aがその位置を通過する時に、2つづつ注水するようにしてもよい。
【0019】この実施の形態1の自動製氷機にあっては、以上のように、製氷ベルト1をエンドレスベルト状に形成し、駆動ローラ2の外周壁によって製氷ベルト1の製氷部11aを押し潰して離氷する構成とし、製氷ベルト1を従来のように回動させない構成としたため、離氷時に必要な駆動スペースを駆動ローラ2の直径あるいは氷1個の高さ程度に抑えることができ、上下寸法を小さくすることができ、また、離氷時に、従来のように製氷皿を捻ることがないから、モータアクチュエータ4の必要トルクを従来のものよりも小さくすることができる。したがって、自動製氷機のコンパクト化を図ることができ、冷蔵庫内の有効ペースを拡大させることができる。また、上下2組の製氷部11aを交互に使用することで耐久性に優れる。
【0020】(実施の形態2)実施の形態2の自動製氷機は、実施の形態1の自動製氷機とは、製氷皿の構成と、駆動,従動ローラの構成を異にしたもので、その他の構成は実施の形態1と同様であるため、同様の構成部分には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点のみを説明する。
【0021】図3は、実施の形態2の自動製氷機を示す斜視図である。すなわち、この実施の形態2の自動製氷機における製氷ベルト8は、合成ゴムによって一体成型されたエンドレスベルトで、製氷部81は他の部分に比較して薄く形成され、容易に変形可能となっている。また、前記製氷ベルト8が掛け渡された駆動ローラ9および従動ローラ10は、同一形状の円柱体であり、少なくとも駆動ローラ9の外周面は、ゴムなどの摩擦係数の高い素材を用いて構成されており、駆動ローラ9の外周と製氷ベルト8の内周面との間に発生する摩擦力により製氷皿8に動力を伝達するよう構成されている。なお、従動ローラ10の外周面は、逆に摩擦係数の低い素材により形成してもよい。この場合、従動ローラ10と製氷ベルト1との間で生じる摩擦力が、駆動ローラ9と製氷ベルト1との間の駆動伝達を邪魔することがない。実施の形態2の作動は、実施の形態1と同一であるため説明を省略する。
【0022】(他の実施の形態)実施の形態1,2では、家庭用の冷蔵庫用の自動製氷機を示したが、業務用の自動製氷機にも適用できる。この場合、実施例1,2では、製氷ベルト1において製氷部11aは、幅方向には2個しか設けなかったが、製氷ベルト1の幅を広く形成して製氷部11aを多数設けてもよい製氷ベルト1を複数設けてもよい、また、駆動伝達を確実にするため、係合穴11c,12aおよび係合突片2a,3aも、幅方向両端のみでなく、中間部にも設ける。また、実施の形態では、製氷部11aを有していない連結片12を備えたものを示したが、製氷ベルト1の全周に亘って軌道板11を有した構成、すなわち製氷皿の全周に亘って製氷部を有した構成としても良い。この場合、実施の形態1,2のように、離氷タイミング時に半周分移動させるのではなく1/4周づつ移動させたり、あるいは、極めて遅い速度で常時移動させるように、すなわち、従動ローラ3側から駆動ローラ2側に移動するまでに確実に製氷させることができる速度で移動させるようにしてもよい。また、実施例では、2つのローラの一方に駆動手段であるモータアクチュエータ4の駆動力を入力するように構成したが、両方のローラに駆動力を入力するようにしてもよい。
【0023】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1記載の発明にあっては、柔軟素材で形成された断面凹状の製氷部を有するエンドレスベルト状の製氷ベルトを2つのローラに掛け渡し、2つのローラの一方を駆動手段で回転させて、製氷部がローラの外周を移動する時にローラにより外方に押されることで離氷させるよう構成したため、製氷も離氷も同じスペースで行うことができ、従来のように離氷時の駆動スペースとして製氷皿を回転させることができるスペースを確保する必要がなくなるとともに、離氷時に製氷皿を捻ることがないから、モータアクチュエータの必要トルクを従来のものよりも小さくすることができ、自動製氷機をコンパクト化できるという効果を奏する。
【0024】また、請求項2記載の発明は、製氷ベルトとローラとの間に相互に係合することで回転駆動力を伝達する係合手段を設けたため、製氷ベルトに確実に駆動伝達され、確実な作動が期待できる。また、請求項3記載の発明は、製氷ベルトの少なくとも内周面を形成する素材、ならびに前記ローラの外周面を形成する素材として、高摩擦係数の素材を用いたため、ローラから製氷ベルトに摩擦力により回転駆動力が伝達されるもので、請求項2の係合手段のような複雑な構成を設けなくても作動する。また、請求項4記載の発明は、製氷部をフィルム状に形成したため、離氷時における縮める方向の変形ならびに注水時における伸ばす方向の変形が容易であり、確実に製氷できる。また、請求項5記載の発明は、製氷部を製氷ベルトと同一素材により一体に形成したため、1回の成形で製氷ベルトを製造でき、製造性に優れる。
【出願人】 【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニック株式会社
【出願日】 平成10年9月11日(1998.9.11)
【代理人】 【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟 (外1名)
【公開番号】 特開2000−88414(P2000−88414A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平10−258780