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【発明の名称】 逆セル型製氷機
【発明者】 【氏名】黒沢 剛

【要約】 【課題】軸受けの腐食による駆動カムの損傷発生を未然に回避できる逆セル型製氷機を提供する。

【解決手段】逆セル型製氷機Iは、下向きに開口する多数の製氷室1Aを区画形成した冷却器1と、一端の回動軸19を中心として冷却器1の下側で傾復動可能に支持され、水平位置において製氷室1Aを下方から閉塞する水皿5と、この水皿5を傾復動させる駆動モータと、この駆動モータの出力軸24に取り付けられ、回転して水皿5を傾復動させる駆動カム17から成るものであり、駆動カム17は、樹脂製のアーム22、23とこのアーム内にインサート成形された金属製の軸受け20から構成されており、この軸受け20にはメッキ或いは塗装などの表面処理を施した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下向きに開口する多数の製氷室を区画形成した冷却器と、一端の回動軸を中心として前記冷却器の下側で傾復動可能に支持され、水平位置において前記製氷室を下方から閉塞する水皿と、この水皿を傾復動させる駆動装置と、この駆動装置の出力軸に取り付けられ、回転して前記水皿を傾復動させる駆動カムとを備えた逆セル型製氷機において、前記駆動カムは、樹脂製のアームとこのアーム内にインサート成形された金属製の軸受けから構成されており、この軸受けにはメッキ或いは塗装などの表面処理が施されていることを特徴とする逆セル型製氷機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所謂逆セル型と称される製氷機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来この種製氷機は、例えば特開平2−93266号公報(F25C1/04)に示されるように、下向きに開口する多数の製氷室を区画形成した冷却器の下側に傾復動可能な水皿を設け、水皿が製氷室を閉塞する水平閉塞位置において水皿表面から各製氷室に噴水して製氷行程を行うと共に、水皿が製氷室を開放する傾斜開放位置において前記冷却器に圧縮機からの高温高圧冷媒を流し、加熱して離氷行程を行うように構成されている。
【0003】係る水皿の傾動・復動動作は正逆回転可能な駆動モータによって実現される。この駆動モータの出力軸には、相互に逆方向に延出した第一及び第二のアームを有する駆動カムが連結され、この駆動カムの第一のアームの端部にはコイルバネが取り付けられ、このコイルバネの他端に前記水皿の側部が連結されている。
【0004】また、駆動カムは第一のアームと第二のアームの連結部分に軸受けを有しており、この軸受けを介して前記駆動モータの出力軸に取り付けられるものであるが、この軸受けはステンレスなどの金属製であり、硬質合成樹脂にて成形される第一のアームと第二のアームの連結部分内にインサート成形されるものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、前記製氷室に噴水される水は、殺菌用の塩素を含む水道水であるため、製氷中に塩素ガスが発生し、水皿周辺にはこの塩素ガスが漂う状況となる。そのため、駆動カムの金属製軸受けの表面が腐食し、それに密接している樹脂製の第一・第二のアームが割れてしまうなどの不都合が生じていた。
【0006】本発明は、係る従来技術の課題を解決するために成されたものであり、軸受けの腐食による駆動カムの損傷発生を未然に回避できる逆セル型製氷機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の逆セル型製氷機は、下向きに開口する多数の製氷室を区画形成した冷却器と、一端の回動軸を中心として冷却器の下側で傾復動可能に支持され、水平位置において製氷室を下方から閉塞する水皿と、この水皿を傾復動させる駆動装置と、この駆動装置の出力軸に取り付けられ、回転して前記水皿を傾復動させる駆動カムから成るものであり、駆動カムは、樹脂製のアームとこのアーム内にインサート成形された金属製の軸受けから構成されており、この軸受けにはメッキ或いは塗装などの表面処理を施したものである。
【0008】本発明によれば、逆セル型製氷機の駆動装置の出力軸に取り付けられ、回転して水皿を傾復動させる駆動カムの金属製の軸受けに、メッキ或いは塗装などの表面処理を施したので、水道水から発生した塩素ガスが漂う使用環境下においても、金属製軸受けの腐食を効果的に防止することができるようになる。
【0009】これにより、軸受けに接する樹脂製アームが割れてしまうなどの不都合を未然に回避することができるようになり、逆セル型製氷機の耐久性を著しく向上させることができるようになるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は水皿5が水平閉塞位置にある状態の製氷機Iの製氷室1A部分の側面図、図2は水皿5が傾斜開放位置にある状態の製氷機Iの製氷室1A部分の側面図、図3は駆動カム17の斜視図、図4は駆動カム17の正面図、図5は駆動カム17の一部縦断側面図である。
【0011】図1及び図2において、製氷機Iは所謂逆セル型製氷機と称されるものであり、内部に下向きに開口した多数の製氷室1Aを有し、その上壁外面に図示しない冷却装置の蒸発パイプ2を備えた冷却器1と、図1の如き所定の水平閉塞位置において各製氷室1Aを下方から十分余裕をもって閉塞し、表面には各製氷室1Aに対応する図示しない噴水孔及び戻り孔を形成した水皿5と、この水皿5に固定され、前記戻り孔に連通する水タンク6と、水タンク6内の水を送水管7、分配管(図示せず)を経て前記噴水孔から噴出し、各製氷室1Aへ循環させるための循環ポンプ9と、水皿5を傾動及び復動せしめる正逆回転可能な高ギヤ比の減速モータから成る駆動モータ(駆動装置)と、図示しない給水電磁弁が開いたとき水皿5の表面に散水する図示しない散水器と、水タンク6内に設けられたフロートによって作動し、水タンク6の所定の満水位を検出する図示しない水位スイッチなどにより構成されている。
【0012】一方、製氷機Iの蒸発パイプ2の上方には、支持梁15が設けられており、この支持梁15には、図示しない取付板が取り付けられている。また、この取付板には、前記駆動モータが固定されており、この駆動モータの出力軸24には、駆動カム17が取り付けられている。また、この駆動カム17と当接可能な位置には、その接点の開閉により水皿5の前記水平閉塞位置と傾斜開放位置を検出するための水皿位置検出スイッチ(図示せず)が取り付けられている。
【0013】ここで、前記駆動カム17について図3乃至図5を参照して説明する。駆動カム17は、相互に逆方向に延出した第一のアーム22及び第二のアーム3と、駆動モータの出力軸24が貫通してそれに固定される軸受け20から成り、第一のアーム22の端部と水皿5の側部とがコイルバネ18にて連結される(図3乃至図5において省略している)。
【0014】第一のアーム22は、先端に形成されたコイルバネ18の他端を係合するための係合部22Aと、本体22Bにより構成された硬質合成樹脂部材である。また、本体22Bの円弧状に湾曲した基部は、駆動カム17の連結部からの距離が先端にいくほど大きくなるように構成されており、製氷が終了して水皿5を下方に傾動させるために反時計方向に回動する際に、水皿5を下方に押圧して、凍り付いている冷却器1と水皿5とを引き離す作用をする。一方、第二のアーム23は先端に行くほど幅狭に形成された硬質合成樹脂部材である。
【0015】そして、係る第一のアーム22と第二のアーム23の連結部分には、ステンレス製の軸受け20がインサート成形され、一体化されている。この軸受け20は略円柱状を呈しており、その表面にはインサート成形以前に予めメッキ或いは塗装などの表面処理が施されている。また、軸受け20には円柱の中央部にその軸方向に延在する開口20Aが形成され、この開口20A内に前記駆動モータの出力軸24を挿入して固定することができるように出力軸24の外径寸法より少許大きい寸法とされている。更に、軸受け20の外周面には凹部が形成されており、樹脂部分と軸受け20との密着性を高めている。
【0016】以上の如く駆動カム17の軸受け20が、メッキ或いは塗装などの表面処理を施されているので、水道水から発生した塩素ガスが漂う使用環境下においても、金属製軸受け20の腐食を効果的に防止することができる。これにより、軸受け20に接する樹脂製の第一のアーム22及び第二のアーム23が割れてしまうなどの不都合を未然に回避することができ、製氷機Iの耐久性を著しく向上させることができる。
【0017】以上の構成で製氷機Iの運転が開始されると、前記散水器から前記水タンク6内に給水が行われる。この給水は、前記フロートに形成された水位検知スイッチにより水位を検出しながら行われる。そして、水タンク6内の水は、前記循環ポンプ9により前記送水管7、分配管(図示せず)を経て前記噴水孔から製氷室1A内に噴出される。それと同時に、前記蒸発パイプ2内で冷却器1を冷却することにより、製氷室1A内に氷を作っていく。噴出孔から噴出した水の内、氷に成らずに余った水は、前記戻り孔から水タンク6内に回収される。
【0018】製氷が進んで、製氷行程が終了すると前記駆動モータが通電され、正転運転を開始する。駆動モータが正転すると駆動カム17は図1において駆動モータの出力軸24を中心に反時計回りに回転する。これにより、第一のアーム22の係合部22Aに係合されたコイルバネ18が伸張し、水皿5が下方向へ徐々に傾動していく。そして、前記蒸発パイプ2内にはホットガス(高温高圧のガス冷媒)が流されて、生成された氷を製氷室1Aの壁から離し、下に落下させる。
【0019】そして、水皿5が前記傾斜開放位置となったところで図2に示す如く前記第二のアーム23が水皿位置検出スイッチに当接し、それによって水皿位置検出スイッチの接点は閉じて切換反転されて駆動モータが停止する。
【0020】離氷行程が終了すると、蒸発パイプ2に流されていたホットガスが停止され、前記駆動モータが今度は逆転方向に通電される。これにより、駆動モータが逆転し、駆動カム17が図2において駆動モータの出力軸24を中心に時計回りに回転する。これにより、第一のアーム22の係合部22Aに係合されたコイルバネ18を介して水皿5が引き上げられ(復動)、水皿5が前記水平閉塞位置となる。この際に、図1に示す如く前記第一のアーム22が水皿位置検出スイッチに当接し、それによって水皿位置検出スイッチの接点は反転される。これにより、駆動モータは停止され、その状態で再び前記製氷行程が開始されることになる。
【0021】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明によれば、逆セル型製氷機の駆動装置の出力軸に取り付けられ、回転して水皿を傾復動させる駆動カムの金属製の軸受けに、メッキ或いは塗装などの表面処理を施したので、水道水から発生した塩素ガスが漂う使用環境下においても、金属製軸受けの腐食を効果的に防止することができるようになる。
【0022】これにより、軸受けに接する樹脂製アームが割れてしまうなどの不都合を未然に回避することができるようになり、逆セル型製氷機の耐久性を著しく向上させることができるようになるものである。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成10年9月18日(1998.9.18)
【代理人】 【識別番号】100098361
【弁理士】
【氏名又は名称】雨笠 敬
【公開番号】 特開2000−88409(P2000−88409A)
【公開日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【出願番号】 特願平10−264485