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【発明の名称】 埋設型蓄熱槽
【発明者】 【氏名】山本 克己

【氏名】西野 義則

【要約】 【課題】全体を安価に提供でき、槽部は内圧(水圧)に充分に耐え得る埋設型蓄熱槽を提供する。

【解決手段】槽部10と、上端開口部15を開閉可能な蓋体20と、熱交換装置30からなる。槽部10を、有底筒状でFRP製の内層体11と、その外側に積層した発泡体製の外層体12により構成した。FRPにより一体成形した内層体11は、全周溶接を採用することなく、シールを充分にかつ安全に行える。ピット6内に埋設した槽部10は、その荷重や内圧(水圧)をピット形成面により支持し受け止めることで、外殻体を採用することなく変形や破損を防止できる。蓋体20は、ピット縁材7に載置することにより、槽部10側に蓋体20側の荷重負担をかけることなく上端開口部15を閉塞できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 槽部と、この槽部の上端開口部を開閉可能な蓋体と、熱交換装置とからなり、前記槽部は、有底筒状でFRP製の内層体と、この内層体の外側に積層される発泡体製の外層体とにより構成されるとともに、その上端開口部を開放してピット内に埋設可能に構成され、前記蓋体は断熱構成であって、ピットの開口縁に設けられたピット縁材に載置可能であり、その載置により上端開口部を閉塞可能に構成されていることを特徴とする埋設型蓄熱槽。
【請求項2】 断熱構成の蓋体は、それぞれFRP製の上位層、中間層、下位層と、上位層と中間層との間に位置される樹脂モルタル層と、中間層と下位層との間に位置される強化用発泡体層と、下位層の下に位置される断熱用発泡体層との積層体からなり、FRP製の層を介してピット縁材に載置可能であり、断熱用発泡体層が槽部の内層体に内嵌可能であることを特徴とする請求項1記載の埋設型蓄熱槽。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エアコンや冷蔵庫などに使用される埋設型蓄熱槽に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば最近のエアコンとしては、室内機と室外機と蓄熱槽とからなる形式が提供されている。この蓄熱槽は水槽形式であって、夏季には、内部に配設された熱交換装置が夜間に稼働されて、安価な電気料金により水を氷化させ、この氷として蓄えた熱を、昼間に冷房に利用している。また冬季には、内部に配設された熱交換装置(ヒートポンプ)が夜間に稼働されて、安価な電気料金により水を温め、この温水として蓄えた熱を、昼間に暖房に利用している。
【0003】また、別の方式として、熱交換装置が蓄熱槽の外部に配設され、この熱交換装置で作ったシャーベット状の氷が、ポンプで蓄熱槽へ輸送される構成もある。さらには、蓄熱槽に水の代わりにエチレングリコールやアルコールが入れられ、そして、水が入れられたピンポン大の袋を蓄熱槽に入れておき、この袋内の水を氷化させる構成もある。
【0004】従来、この種の蓄熱槽は、ステンレス板を有底円筒形に一体剛体化させ、そして外周に断熱用のウレタン発泡体を積層した構成とされ、外殻体(ケース体)内に収められて設置されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来構成によると、特に筒部と底部との結合に際しては、シールを充分にかつ安全に行うために全周の溶接などが必要になり、これにより価格が高くなっていた。さらに外殻体が必要であることも価格が高くなる原因であった。
【0006】そこで本発明は、全体を安価に提供し得、しかも槽部は内圧(水圧)に充分に耐え得る埋設型蓄熱槽を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明のうちで請求項1記載の埋設型蓄熱槽は、槽部と、この槽部の上端開口部を開閉可能な蓋体と、熱交換装置とからなり、前記槽部は、有底筒状でFRP製の内層体と、この内層体の外側に積層される発泡体製の外層体とにより構成されるとともに、その上端開口部を開放してピット内に埋設可能に構成され、前記蓋体は断熱構成であって、ピットの開口縁に設けられたピット縁材に載置可能であり、その載置により上端開口部を閉塞可能に構成されていることを特徴としたものである。
【0008】したがって請求項1の発明によると、槽部の本体となる内層体は、全体をFRPにより一体成形することで、全周の溶接などを採用することなく、シールを充分にかつ安全に行える。そして埋設施工状態においては、槽部側の荷重や内圧(水圧)をピット形成面により支持し受け止めることにより、外殻体を採用することなく槽部側の変形や破損を防止し得る。また槽部は、その発泡体製の外層体により断熱を好適に行える。
【0009】埋設施工した槽部の上端開口部は蓋体により閉塞し得、その際に蓋体をピット縁材に載置させることで、槽部側に蓋体側の荷重負担をかけることはない。さらに蓋体の断熱構成により、槽部の上端開口部側の断熱を好適に行える。このように構成した埋設型蓄熱槽は、その熱交換装置を室内機や室外機に接続させることで、エアコンとしてシステム化し得、その後の運転により、暖房や冷房に利用し得る。
【0010】また本発明の請求項2記載の埋設型蓄熱槽は、上記した請求項1記載の構成において、断熱構成の蓋体は、それぞれFRP製の上位層、中間層、下位層と、上位層と中間層との間に位置される樹脂モルタル層と、中間層と下位層との間に位置される強化用発泡体層と、下位層の下に位置される断熱用発泡体層との積層体からなり、FRP製の層を介してピット縁材に載置可能であり、断熱用発泡体層が槽部の内層体に内嵌可能であることを特徴としたものである。
【0011】したがって請求項2の発明によると、蓋体は、FRP製の上位層、樹脂モルタル層、FRP製の中間層、強化用発泡体層、FRP製の下位層の積層体により構成していることで、全体を強固に構成し得る。そして蓋体による上端開口部の閉塞は、そのFRP製層をピット縁材に載置させることで、槽部側に負担をかけることなく、蓋体側の荷重の支持を行える。しかも、断熱用発泡体層を内層体に内嵌させることで、槽部の上端開口部側の断熱を行える。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、エアコンの蓄熱槽に採用した状態として図に基づいて説明する。
【0013】埋設部は上層部から下層部へと順に、コンクリートまたはアスファルトまたは土砂などからなる表面地盤1と、上部コンクリート層2と、上部土砂層3と、下部コンクリート層4と、下部土砂層5とからなる。そして下部コンクリート層4の上面が露出される状態でピット6が形成されるとともに、このピット6の開口縁にはピット縁材7が設けられている。ここでピット縁材7はFRP製(繊維強化樹脂製)であって、断面が逆T字状でかつリング状に形成されている。そしてピット縁材7は、上部コンクリート層2上に載置されて据え付けられる。
【0014】前記ピット6内に埋設可能な埋設型蓄熱槽9は、槽部10と、この槽部10の上端開口部15を開閉可能な蓋体20と、前記槽部10内に配設される熱交換装置30などから構成されている。
【0015】前記槽部10は有底筒状かつ逆向き台形状であって、FRP製の内層体11と、この内層体11の外側に積層される発泡体製の外層体12などにより構成されている。すなわち、前記内層体11は、逆向き台形筒状の胴部分11aと、この胴部分11aの下端を閉塞する底部分11bと、前記胴部分11aの上端から外方へ延びるリング状の上部フランジ11cとからなり、FRPにより全体が一体成形されている。
【0016】その際に、胴部分11aの周方向における180度変位した二箇所(少なくとも一箇所)には、増肉部分11dが上下方向の全長に形成されるとともに、この増肉部分11dの内外面はフラット面11eに形成されている。また胴部分11aの下端と底部分11bとが成す下位コーナ部分は、その全周が増肉部分11fに形成されている。
【0017】前記発泡体製の外層体12は、複数に分割された状態で発泡成形され、その際に増肉部分11d,11fにもなじむように成形されている。そして分割発泡体は、内層体11の外側、すなわち、胴部分11aや底部分11bの外面上に組立てながら積層される。このとき、分割発泡体間や内層体11との積層面間は、エポキシ樹脂などの接着剤を介して固着される。また積層状態において外層体12は、その上端が上部フランジ11cの下面に当接されている。
【0018】なお、前記外層体12の外周には非通気性膜状体13が積層されて固着され、この非通気性膜状体13は、密閉フィルム、アルミニウム箔、非通気性布などにより形成される。また、内層体11の内周にはゲルコート14が施工されている。
【0019】以上の11〜14などにより構成される槽部10は、その上端開口部15を開放してピット6内に埋設可能に構成されている。前記槽部10の上端開口部15を開閉可能な蓋体20は断熱構成であって、前記ピット縁材7に載置可能であり、その載置により上端開口部15を閉塞可能に構成されている。すなわち蓋体20は、それぞれFRP製の上位層21、中間層22、下位層23と、上位層21と中間層22との間に位置される樹脂モルタル層24と、中間層22と下位層23との間に位置される強化用発泡体層25と、下位層23の下に位置される断熱用発泡体層26との積層体から構成される。
【0020】前記上位層21は、円形板状の天部分21aの外縁に下方への垂下状部分21bを有する状態で、FRPにより一体にかつ逆向き水盤状に形成されている。そして、天部分21aの上面側には、凹凸表面を形成するためのゲルコート27が積層施工されている。前記樹脂モルタル層24は上位層21に嵌め込み状に積層されて固定されている。
【0021】前記中間層22は、円形板状の天部分22aの外縁に下方への垂下状部分22bを有する状態で、FRPにより一体にかつ逆向き水盤状に形成されている。そして、上位層21に嵌め込み状に積層され、接着剤を介して固定されている。前記強化用発泡体層25は円板状であって、逆向き水盤状の中間層22に嵌め込み状に積層され、接着剤を介して固定されている。
【0022】前記下位層23は、FRP製で円形板状の天部分23aと、この天部分23aの下面で外縁近くに接着剤を介して固定されたFRP製の内嵌部分23bとにより、逆向き水盤状に形成されている。ここで内嵌部分23bは、断面が逆L字状でかつリング状に形成されている。その際に天部分23aは、上位層21の垂下状部分21bに内嵌されかつ中間層22の垂下状部分22bの下面に当接される径に設定されており、そして嵌合状態において天部分23aの下面が、上位層21の垂下状部分21bの下面と面一状(同様なレベル)になるように設定されている。
【0023】前記断熱用発泡体層26は円板状であって、逆向き水盤状の下位層23に嵌め込み状に積層され、接着剤を介して固定されている。以上の21〜27などにより構成される蓋体20は、FRP製の層を介して、すなわち、上位層21の垂下状部分21bや下位層23の天部分23aを介してピット縁材7に載置可能に構成されている。さらに蓋体20は、その断熱用発泡体層26の外側に位置される下位層23の内嵌部分23bが、槽部10の内層体11に内嵌可能に構成されている。
【0024】前記埋設型蓄熱槽9の内部には熱交換装置30が配設されている。すなわち熱交換装置30は、たとえばガス方式であって、槽部10内に蛇行状に配設されるガス配管31と、このガス配管31の配管形態維持のための支持部材32と、前記ガス配管31の両端に接続された一対のガス給排管33などにより構成される。ここでガス配管31や両ガス給排管33はステンレス管からなる。
【0025】そして両ガス給排管33は、前記胴部分11aの増肉部分11dに形成された貫通孔34に挿通され、そして槽部10の内部において、接続具35を介してガス配管31に接続されている。なおガス給排管33は、たとえばボルト・ナット形式の固定具36を介して増肉部分11dに固定される。その際に固定は、増肉部分11dによる強度補強と、内外のフラット面11eによる固定具36の密な当接作用とにより、安定してかつシール状態を維持して強固に行える。
【0026】前記槽部10の所定の箇所には、注水用の給水管40とドレン抜き用の排水管41とが設けられる。すなわち、給水管41と排水管42とはステンレス管からなり、前述したガス給排管33と同様に、胴部分11aの増肉部分11dに形成された貫通孔42,43に挿通される。そして給水管40と排水管41とは、増肉部分11dの内外から作用される固定具44,45を介して、この増肉部分11d側に、前述と同様にして、安定してかつシール状態を維持して強固に固定されている。なお、たとえば給水管40の内端部分には、水位検出用のレベル計46が設けられる。
【0027】以下に、上記した実施の形態における作用を説明する。前記槽部10の本体となる内層体11は、胴部分11a、底部分11b、上部フランジ11c、増肉部分11d,11fからなる全体が、FRPにより一体成形されることで、全周の溶接などを採用することなく、シールを充分にかつ安全に行え、以て価格を低くし得る。
【0028】そして、図1に示すような埋設施工状態において、槽部10側の荷重や内圧(水圧)を、ピット6の形成面、すなわち、上部土砂層3や下部コンクリート層4により支持し受け止め得ることにより、外殻体を採用することなく槽部10側の変形や破損を防止し得、以て価格を低くし得る。さらに槽部10は、胴部分11aに形成された増肉部分11dや下位コーナ部分に形成された増肉部分11fにより全体の剛性を補強し得る。また槽部10は、その発泡体製の外層体12や非通気性膜状体13などにより断熱が好適に行われる。
【0029】このようにして埋設施工された槽部10に対して、その上端開口部15が蓋体20により閉塞される。すなわち蓋体20は、上位層21の垂下状部分21bや下位層23の天部分23aを介してピット縁材7に載置され、その際に断熱用発泡体層26の外側に位置される下位層23の内嵌部分23bが、槽部10の内層体11に内嵌される。
【0030】このような蓋体20の取り付け状態においては、この蓋体20は、FRP製の上位層21、樹脂モルタル層24、FRP製の中間層22、強化用発泡体層25、FRP製の下位層23の積層体から構成されていることで、全体を強固に構成し得、人や車の荷重に充分に耐え得る。さらに、ピット縁材7に載置されることで、槽部10側に負担をかけることなく、前述した荷重の支持を行える。しかも、断熱用発泡体層26が内層体11に内嵌されることで、槽部10の上端開口部15側の断熱が好適に行われ、さらに断熱は、強化用発泡体層25の存在により一層向上し得る。
【0031】このようにして形成された埋設型蓄熱槽9は、その熱交換装置30が室内機や室外機に接続される。そして排水管41を閉じた状態で、給水管40から槽部10内に注水を行うことで、エアコンとしてシステム化される。その後の運転により、冒頭で述べたように冷房(暖房)に利用される。
【0032】上記した実施の形態では、増肉部分11d,11fが形成された槽部10を示しているが、これは増肉部分が形成されていない槽部10であつてもよい。上記した実施の形態では、埋設部は上層部から下層部へと順に、表面地盤1、上部コンクリート層2、上部土砂層3、下部コンクリート層4、下部土砂層5と積層されているが、この層状態は任意である。
【0033】上記した実施の形態では、前記下位層23の天部分23aと内嵌部分23bとが接着剤を介して固定されており、この場合、槽部10が不当沈下したとき、内嵌部分23bに対して槽部10側が下降され、その際に蓋体20はピット縁材7により支持されることになる。しかし、天部分23aと内嵌部分23bとが分離されている形式であってもよく、この場合、槽部10が不当沈下したとき、天部分23aに対して内嵌部分23bが槽部10側とともに下降され、その際に蓋体20はピット縁材7により支持されることになる。
【0034】上記した実施の形態で示したように、前記槽部10を有底筒状かつ逆向き台形状に形成したときには、複数の槽部10を相互に嵌め込み状にでき、これにより、保管や輸送をコンパクトに効率よく行うことができる。
【0035】上記した実施の形態では、槽部10内に熱交換装置30が配設されているが、これは冒頭でも述べたように、熱交換装置が槽部外に配設された形式などであってもよい。
【0036】上記した実施の形態で示したように、内層体11は、筒状により材料を最少にできるとともに、外方への上部フランジ11cにより上端開口部の強度を確保できる。
【0037】
【発明の効果】上記した本発明の請求項1によると、槽部の本体となる内層体は、全体をFRPにより一体成形することで、全周の溶接などを採用することなく、シールを充分にかつ安全に行うことができ、以て価格を低くできる。そして埋設施工状態においては、槽部側の荷重や内圧(水圧)をピット形成面により支持し受け止めることができて、外殻体を採用することなく槽部側の変形や破損を防止でき、以て価格を低くできる。また槽部は、その発泡体製の外層体により断熱を好適に行うことができる。
【0038】埋設施工した槽部の上端開口部は蓋体により閉塞でき、その際に蓋体をピット縁材に載置させることで、槽部側に蓋体側の荷重負担をかけることがない。さらに蓋体の断熱構成により、槽部の上端開口部側の断熱を好適に行うことができる。このように構成した埋設型蓄熱槽は、その熱交換装置を室内機や室外機に接続することで、エアコンとしてシステム化でき、その後の運転により、暖房や冷房に利用できる。
【0039】また上記した本発明の請求項2によると、蓋体は、FRP製の上位層、樹脂モルタル層、FRP製の中間層、強化用発泡体層、FRP製の下位層の積層体により構成していることで、全体を強固に構成できて、人や車の荷重に充分に耐えることができる。そして蓋体による上端開口部の閉塞は、そのFRP製層をピット縁材に載置させることで、槽部側に負担をかけることなく、蓋体側の荷重の支持を行うことができ、しかも、断熱用発泡体層を内層体に内嵌させることで、槽部の上端開口部側の断熱を好適に行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000227722
【氏名又は名称】株式会社日本アーム
【識別番号】000102924
【氏名又は名称】エヌビイエル株式会社
【出願日】 平成10年7月28日(1998.7.28)
【代理人】 【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開2000−46449(P2000−46449A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−211672