| 【発明の名称】 |
蒸気圧縮式冷凍サイクルの圧力制御弁 |
| 【発明者】 |
【氏名】水上 春信
|
| 【要約】 |
【課題】伸縮容器の過度の変形や破損を防止する上に、超臨界域で作動する蒸気圧縮式サイクルが効率よく運転できる圧力制御弁を提供する。
【解決手段】この圧力制御弁3は、放熱器からの冷媒通路7の上流側空間12a側との境界である第1の隔壁13および下流側空間12b側との境界である第2の隔壁14に、第1の弁口15および第2の弁口16がそれぞれ形成された弁ケーシング11と、弁ケーシング11の内空間17に設けられて密閉空間19を形成し、密閉空間19内外の圧力差に応じて変位する伸縮容器18と、伸縮容器18に固定されて、伸縮容器18が変位したときに第2の弁口16を開く弁20と、弁ケーシング11内に設けられて、上流側空間12a内圧力が弁ケーシング11内圧より所定量大きくなったときに開く逆止弁21と、を備え、予め伸縮容器18内および弁ケーシング11内には前記冷媒が封入されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蒸気圧縮式冷凍サイクルの放熱器から蒸発器までに至る冷媒通路に配置され、前記放熱器出口側の冷媒温度に応じた前記放熱器出口側の圧力を制御する圧力制御弁であって、前記冷媒通路の上流側空間と下流側空間との間に設けられ、前記上流側空間との境界である第1の隔壁および前記下流側空間側との境界である第2の隔壁に、第1の弁口および第2の弁口がそれぞれ形成された弁ケーシングと、前記弁ケーシング内空間に設けられて密閉空間を形成し、前記密閉空間内外の圧力差に応じて変位する伸縮容器と、前記伸縮容器に固定されて、前記伸縮容器が変位したときに前記第2の弁口を開く弁と、前記弁ケーシング内に設けられて、前記上流側空間内圧力が前記密閉空間内圧力より所定量大きくなったときに前記第1の弁口を開く逆止弁と、を備え、前記伸縮容器内および前記弁ケーシング内には前記冷媒が、前記弁および前記逆止弁がそれぞれ閉じた状態において、前記冷媒の温度が0℃での飽和液密度から前記冷媒の臨界点での飽和液密度に至る所定範囲の密度でそれぞれ封入されていることを特徴とする蒸気圧縮式冷凍サイクルの圧力制御弁。 【請求項2】 蒸気圧縮式冷凍サイクルの放熱器から蒸発器までに至る冷媒通路に配置され、前記放熱器出口側の冷媒温度に応じた前記放熱器出口側の圧力を制御する圧力制御弁であって、前記冷媒通路の上流側空間と下流側空間との間に設けられ、前記上流側空間との境界である第1の隔壁および前記下流側空間側との境界である第2の隔壁に、第1の弁口および第2の弁口がそれぞれ形成された弁ケーシングと、前記弁ケーシング外空間に設けられて、密閉空間を形成し、前記密閉空間内外の圧力差に応じて変位する伸縮容器と、前記冷媒通路の所望の部位に設けられかつ管部材を介して前記伸縮容器に連通された、前記冷媒温度を前記伸縮容器内に伝導するための感温筒と、前記伸縮容器に固定されて、前記伸縮容器が変位したときに前記第2の弁口を開く弁と、前記弁ケーシング内に設けられて、前記上流側空間内圧力が前記密閉空間内圧力より所定量大きくなったときに前記第1の弁口を開く逆止弁と、を備え、前記伸縮容器内、前記弁ケーシング内および前記感温筒内には前記冷媒が、前記弁および前記逆止弁がそれぞれ閉じた状態において、前記冷媒の温度が0℃での飽和液密度から前記冷媒の臨界点での飽和液密度に至る所定範囲の密度でそれぞれ封入されていることを特徴とする蒸気圧縮式冷凍サイクルの圧力制御弁。 【請求項3】 前記冷媒は二酸化炭素であり、前記所定範囲の密度は500kg/m3〜800kg/m3であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の蒸気圧縮式冷凍サイクルの圧力制御弁。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、蒸気圧縮式冷凍サイクルの放熱器出口側圧力を制御する圧力制御弁に関し、特に、二酸化炭素(CO2)等の超臨界域で冷媒を使用する蒸気圧縮式冷凍サイクルに用いて好適な圧力制御弁に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、蒸気圧縮式冷凍サイクルに使用される冷媒のフロン対策の1つとして、例えば特公平7−18602号公報に記載のように二酸化炭素(CO2)を使用した蒸気圧縮式冷凍サイクル(以下、CO2サイクルと略す)が提案されている。このCO2サイクルの作動は、フロンを使用した従来の蒸気圧縮式冷凍サイクルの作動と原理的には同じである。すなわち、図5(CO2モリエル線図)のA−B−C−D−Aで示されるように、圧縮機で気相状態のCO2を圧縮し(A−B)、この高温圧縮の気相状態のCO2を放熱器(ガスクーラ)にて冷却する(B−C)。そして、減圧器により減圧して(C−D)、気液2相状態となったCO2を蒸発させて(D−A)、蒸発潜熱を空気等の外部流体から奪って外部流体を冷却する。 【0003】ところで、CO2の臨界温度は約31℃と従来のフロンの臨界点温度と比べて低いので、夏場等では、放熱器側でのCO2温度がCO2の臨界点温度よりも高くなってしまう。つまり、放熱器出口側においてCO2は凝縮しない(線分BCが飽和液線SLと交差しない)。また、放熱器出口側(C点)の状態は、圧縮機の吐出圧力と放熱器出口側でのCO2温度によって決定され、放熱器出口側でのCO2温度は、放熱器の放熱能力と外気温度(これは制御不可能)とによって決定するので、放熱器出口での温度は、実質的には制御することができない。したがって、放熱器出口側(C点)の状態は、圧縮機の吐出圧力(放熱器出口側圧力)を制御することによって制御可能となる。つまり、夏場等の外気温度が高い場合には、十分な冷却能力(エンタルピ差)を確保するためには、図6のE−F−G−H−Eで示されるように、放熱器出口側圧力を高くする必要がある。 【0004】しかし、放熱器出口側圧力を高くするには、前述のように圧縮機の吐出圧力を高くしなければならないので、圧縮機の圧縮仕事(圧縮過程のエンタルピ変化量ΔL)が増加する。したがって、蒸発過程(D−A)のエンタンピ変化量ΔIの増加量より圧縮過程(A−B)のエンタルピ変化量ΔLの増加量が大きい場合には、CO2サイクルの成績係数(COP=ΔI/ΔL)が悪化する。そこで、例えば放熱器出口側でのCO2 温度を40℃として、放熱器出口側でのCO2 圧力と成績係数の関係を図5を用いて試算すれば、図7の実線に示すように、圧力P1(約10MPa)において成績係数が最大となる。同様に、放熱器出口側でのCO2 温度を30℃とした場合には、図7の破線で示すように、圧力P2(約8.0MPa)において成績係数が最大となる。 【0005】以上のようにして、放熱器出口側のCO2温度と成績係数が最大となる圧力を算出し、この結果を図6に描けば、図6の太い実線ηmax(以下、最適制御線)に示すようになる。したがって、上記CO2サイクルを効率よく運転するには、放熱器出口側圧力と放熱器出口側のCO2温度とを、最適制御線ηmaxで示されるように制御する圧力制御弁が開発されている(例えば特開平9−264622号公報参照)。すなわち、この圧力制御弁は、ρ=600kg/m3の等密度線が最適制御線ηmaxとほぼ近似する特性を利用するものであり、図8に示すように、ガスクーラ出口通路100に、ベローズ101(またはダイヤフラム)等によって伸縮しかつρ=450〜950kg/m3のCO2を封入した伸縮容器102を配置し、この伸縮容器102に弁本体103を固定して、前記出口通路100のガス温度に対する前記伸縮容器内のバランス圧力と、通路圧力との圧力差により前記弁本体103が開閉する構造となっている。これにより、放熱器の出口側圧力を、ほぼ最適制御線ηmax上に沿った圧力まで上昇させた後、弁口を開き、放熱器の出口側圧力と放熱器の出口側温度とを、ほぼ最適制御線ηmax上に沿って制御する。なお、図8において、符号104は弁口を示し、符号105はベローズ101内部に設けられて弁本体103を閉じるように付勢するコイルばねを示している。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば特に蒸気圧縮式冷凍サイクルの停止時や低能力運転時においては、伸縮容器の外側の圧力すなわち冷媒通路圧力は小さいので、内圧力が常時高圧(30℃では7MPa程度、温度45℃では11MPa程度)となっている伸縮容器の内外圧差が大きくなるので、ベローズまたはダイヤフラムが過度に変形して、本来持つ弾性復元力が低下して寿命が低下するばかりか、破損の恐れもあるという問題点がある。なお、このような問題点を解消する目的で、ベローズまたはダイヤフラムの強度を高めると、伸縮容器が小さな内外圧差で伸縮しなくなり、圧力制御弁の上述した所期の動作を達成できなくなる。 【0007】本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、伸縮容器に大きな内外圧差が及ぼされず、伸縮容器の過度の変形や破損を防止する上に、放熱器の出口側圧力と放熱器の出口側温度とをほぼ最適制御線上に沿って制御して、超臨界域で作動する蒸気圧縮式サイクルを効率よく運転できる、蒸気圧縮式冷凍サイクルの圧力制御弁を提供することを目的としている。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明は、蒸気圧縮式冷凍サイクルの放熱器から蒸発器までに至る冷媒通路に配置され、前記放熱器出口側の冷媒温度に応じた前記放熱器出口側の圧力を制御する圧力制御弁であって、前記冷媒通路の上流側空間と下流側空間との間に設けられ、前記上流側空間との境界である第1の隔壁および前記下流側空間側との境界である第2の隔壁に、第1の弁口および第2の弁口がそれぞれ形成された弁ケーシングと、前記弁ケーシング内空間に設けられて密閉空間を形成し、前記密閉空間内外の圧力差に応じて変位する伸縮容器と、前記伸縮容器に固定されて、前記伸縮容器が変位したときに前記第2の弁口を開く弁と、前記弁ケーシング内に設けられて、前記上流側空間内圧力が前記密閉空間内圧力より所定量大きくなったときに前記第1の弁口を開く逆止弁と、を備え、前記伸縮容器内および前記弁ケーシング内には前記冷媒が、前記弁および前記逆止弁がそれぞれ閉じた状態において、前記冷媒の温度が0℃での飽和液密度から前記冷媒の臨界点での飽和液密度に至る所定範囲の密度でそれぞれ封入されていることを特徴とするものである。 【0009】上記本発明では、サイクルの運転停止時には、伸縮容器の弁によって第2の弁口を閉状態として、一方、弁ケーシングの内空間の内外圧力差によって、逆止弁は第1の弁口を閉状態とする。これにより、弁ケーシングの内空間は密閉状態となり、伸縮容器の内外圧力差は極めて小さくなり、伸縮容器はその内外圧力差による変形が小さく、破損の恐れがない。一方、圧縮機を起動して冷凍サイクルを運転すると、上流側空間の圧力(放熱器出口側圧力)が弁ケーシングの内空間の内圧力より所定量大きくなると、第1の弁口は開き、これにより、伸縮容器の内圧と弁ケーシングの内空間の内圧力との差により、伸縮容器は収縮してその弁によって第2の弁口が開き、冷媒が配管を循環する。そして、伸縮容器の内圧は、流れる冷媒の温度のバランス圧力となり、このバランス圧力より前記放熱器出口側圧力が大きいと第2の弁口は開状態となり、バランス圧力より前記放熱器出口側圧力が小さいと第2の弁口は閉状態となり、結果的に、本発明の圧力制御弁は、放熱器出口温度に対応した出口側圧力を所定の圧力まで昇圧させた後、開弁するものである。 【0010】本発明の他の形態の圧力制御弁は、前記冷媒通路の上流側空間と下流側空間との間に設けられ、前記上流側空間との境界である第1の隔壁および前記下流側空間側との境界である第2の隔壁に、第1の弁口および第2の弁口がそれぞれ形成された弁ケーシングと、前記弁ケーシング外空間に設けられて、密閉空間を形成し、前記密閉空間内外の圧力差に応じて変位する伸縮容器と、前記冷媒通路の所望の部位に密着して設けられかつ管部材を介して前記伸縮容器に連通された、前記冷媒温度を前記伸縮容器内に伝導するための感温筒と、前記伸縮容器に固定されて、前記伸縮容器が変位したときに前記第2の弁口を開く弁と、前記弁ケーシング内に設けられて、前記上流側空間内圧力が前記密閉空間内圧力より所定量大きくなったときに前記第1の弁口を開く逆止弁と、を備え、前記伸縮容器内、前記弁ケーシング内および前記感温筒内には前記冷媒が、前記弁および前記逆止弁がそれぞれ閉じた状態において、前記冷媒の温度が0℃での飽和液密度から前記冷媒の臨界点での飽和液密度に至る所定範囲の密度でそれぞれ封入されていることを特徴とするものである。 【0011】この発明では、伸縮容器内の温度は、封入した冷媒の熱伝導により、感温筒内の温度すなわち感温筒を設けた冷媒配管の任意の部位の温度と連動して、変化するため、伸縮容器内圧力は、この冷媒配管の温度に対するバランス圧力となり、結果的に、配管の任意の温度に対応した高圧力制御を行える。なお、前記冷媒は二酸化炭素であり、前記所定範囲の密度は500kg/m3〜800kg/m3とすることが好ましい。 【0012】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明に係わる圧力制御弁の第1実施形態の断面図、図2は図1に示した圧力制御弁備えた蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成図である。 【0013】先ず、図2に示すように、本実施形態の圧力制御弁を用いた蒸気圧縮式冷凍サイクルは、例えば車両用空調装置に適用したCO2サイクルであり、1は気相状態のCO2を圧縮する圧縮機である。圧縮機1は図示しない駆動源(例えばエンジン等)から駆動力を得て駆動する。放熱器2は、放熱器2は圧縮機1で圧縮されたCO2を外気等との間で熱交換して冷却する放熱器(ガスクーラ)であり、3は放熱器2出口側でのCO2温度に応じて放熱器2出口側圧力を制御する圧力制御弁である。なお、圧力制御弁3は、放熱器2出口側圧力を制御するとともに減圧器を兼ねており、その構造および動作については後で詳述する。CO2は、この圧力制御弁3および絞り4aにより減圧されて低温低圧の気液2相状態のCO2となる。4は、車室内の空気冷却手段をなす蒸発器(吸熱器)で、気液2相状態のCO2は蒸発器4内で気化(蒸発)する際に、車室内空気から蒸発潜熱を奪って車室内空気を冷却する。5は、気相状態のCO2を一時的に蓄えるアキュムレータである。そして、圧縮機1、放熱器2、圧力制御弁3、蒸発器4、絞り4aおよびアキュムレータ5は、それぞれ配管6によって接続されて閉回路(CO2サイクル)を形成している。 【0014】前記圧力制御弁3は、配管6によって形成される冷媒通路7(本例ではCO2流路)内のうち放熱器2と絞り4aとの間に配置されており、この圧力制御弁3の詳細構造について、図1を参照して説明する。弁ケーシング11は例えばL形管部材からなる弁ハウジングであり、この弁ケーシング11は、前記冷媒通路7を上流側空間12aと下流側空間12bとに仕切るように配置されている。弁ケーシング11の両端部内には、前記冷媒通路7の上流側空間12aとの境界である第1の隔壁13、および下流側空間12bとの境界である第2の隔壁14が形成されており、これら第1の隔壁13および第2の隔壁14には第1の弁口15および第2の弁口16がそれぞれ形成されている。 【0015】前記弁ケーシング11の内空間17には、密閉空間19を形成するためのベローズからなる伸縮容器18が設けられおり、この伸縮容器18は前記密閉空間19内外の圧力差に応じて軸方向(図1では矢印A方向)に伸縮変位する。この伸縮容器18は、その先端が第2の隔壁14の第2の弁口16と対向するように、弁ケーシング11の内面に固定されており、伸縮容器18の先端には、第2の弁口16を開閉するための弁20を一体的に備えた弁棒20aが固定されている。この弁棒20aは、伸縮容器18の伸縮に機械的に連動して可動するものであり、伸縮容器18の密閉空間19の内外圧差がなく、伸縮容器18が無負荷状態のときには、第2の弁口16を閉じている。 【0016】符号21は、弁ケーシング11内に設けられて第1の弁口15を開閉するための逆止弁を示しており、この逆止弁21は上流側空間12a内圧力が弁ケーシング11の内空間17内圧力より所定量大きくなったときに第1の弁口15を開く。逆止弁21は、付勢手段22(例えばコイルばね)によって第1の弁口15に押し付けられており、逆止弁21には常に所定の初期荷重が作用している。この所期荷重が前記所定量となっている。符号21aは逆止弁21の弁棒を示している。なお、本実施形態では、コイルばね22の初期荷重は例えば約1MPaである。 【0017】伸縮容器18内および弁ケーシング11内には冷媒としてのCO2が、弁20および逆止弁21がそれぞれ閉じた状態において、前記CO2の温度が0℃での飽和液密度から前記冷媒の臨界点での飽和液密度に至る所定範囲の密度でそれぞれ封入されている。なお、本例では封入したCO2の密度ρは、600kg/m3程度であるが、これに限定されず、例えば500〜800kg/m3の範囲が好ましい。 【0018】次に、圧力制御弁3の動作について説明する。先ず、CO2サイクルの運転停止時には、伸縮容器18の内圧はPSとなり、伸縮容器18の弁20によって第2の弁口16を閉状態(図1の状態)とし、一方、弁ケーシング11の内空間17の内圧力PXとコイルばね22の初期荷重Fとによって、逆止弁21は第1の弁口15を閉状態(図1の状態)とする。これにより、弁ケーシング11の内空間17は密閉状態となり、伸縮容器18の内外圧力差ΔP(=PS−PX)はほぼ零となり、伸縮容器18はその内外圧力差ΔPによる変形が小さく、破損の恐れがない。 【0019】具体的には、弁ケーシング11の内空間17には、約600kg/m3でCO2が封入されているが、内空間17の内圧PXと温度とは、図5、6に示される600kg/m3の等密度線に沿って変化する。したがって、例えば内空間17内温度が約20℃の場合にはその内圧は約5.8MPaである。また、逆止弁21の弁本体21aには、内空間17内圧(PX)とコイルばね22の初期荷重(約1MPa)とが同時に作用しているので、その作用圧力は約6.8MPaである。したがって、放熱器側の空間の圧力(PH)が約6.8MPa以下の場合には、第1の弁口15は逆止弁21によって閉止され、また、放熱器の空間の圧力(PH)が約6.8MPaを越えると、第1の弁口15は開弁する。同様に例えば、内空間17内温度が約40℃の場合にはその内圧は約9.7MPaであり、弁本体21aに作用する作用力は約10.7MPaである。したがって、放熱器側の空間の圧力(PH)が約10.7MPa以下の場合には、第1の弁口15は逆止弁21によって閉止され、また、放熱器の空間の圧力(PH)が約10.7MPaを越えると、第1の弁口15は開弁する。 【0020】次に、CO2サイクルの作動を説明する。圧縮機を起動してCO2サイクルを運転すると、上流側空間12aの圧力PHがPX+Fを超えると、第1の弁口15は開き、PX=PHとなる。次いで、PS<PXとなるために第2の弁口16は開き、CO2が配管6を循環する。このとき、密閉空間19内温度は、放熱器出口側温度tg(循環するCO2の温度)に対して時間差無しに連動して変化し、伸縮容器18内圧力PSは、流れるCO2の温度tgのバランス圧力Psaとなる。PHがPsaより大きい場合には、伸縮容器18は縮んで第2の弁口16は開状態となり、PHがPsaより小さい場合には第2の弁口16は閉状態となり、放熱器出口側温度tgに対応したバランス圧力PsaがPHとほぼ等しくなるように自動調整される。すなわち、放熱器2出口側でのCO2温度に応じて放熱器2出口側圧力を制御する。 【0021】具体的には、例えば放熱器2の出口側温度が40℃、かつ、放熱器2の出口圧力が約10.7MPa以下のときには、前述のように、圧力制御弁3は閉じているので、圧縮機1は、アキュムレータ5内に蓄えられたCO2を吸引して放熱器2へ向けて吐出する。これにより、放熱器2の出口側圧力が上昇していく(図5中のb’−c’→b”−c”参照)。そして、放熱器2の出口側圧力が約10.7MPaを越えると(B−C)、圧力制御弁3が開弁するので、CO2は減圧しながら気相状態から気液2相状態に相変化して(C−D)、蒸発器4内に流れ込む。そして、蒸発器4内で蒸発して(D−A)、空気を冷却した後、再びアキュムレータ5に還流する。このとき、放熱器2の出口側圧力が再び低下するので、圧力制御弁3は再び閉じる。 【0022】すなわち、CO2サイクルは、圧力制御弁3を閉じることにより、放熱器2の出口側圧力を所定の圧力まで昇圧させた後、CO2を減圧、蒸発させて空気を冷却するものである。放熱器2の出口側温度が20℃の場合も、前述の作動と同様に、圧力制御弁3は、放熱器2の出口側圧力を約6.8MPaまで昇圧させた後、開弁する。 【0023】上述のように、本実施形態に係わる圧力制御弁3は、放熱器2の出口側圧力を所定の圧力まで昇圧させた後、開弁するものであり、その制御特性は、圧力制御弁3の密閉空間の圧力特性に大きく依存する。ところで、図1および図5から明らかなように、超臨界域での600kg/m3の等密度線は、上述した最適制御線ηmaxにほぼ一致する。したがって、本実施形態に係わる圧力制御弁3は 放熱器2の出口側圧力を、ほぼ最適制御線ηmaxに沿った圧力まで上昇させるので、超臨界域においてもCO2サイクルを効率よく運転させることができる。そして、超臨界圧力以下では、600kg/m3の等密度線は、最適制御線ηmaxからのずれが大きくなるが、凝縮域なので密閉空間の内圧は、飽和液線SLに沿って変化する。なお、実用的には、CO2温度が0℃での飽和液密度からCO2の臨界点での飽和液密度までの範囲で、密閉空間内に封入することが望ましい。 【0024】ところで、上述の作動および特徴の説明から明らかなように、伸縮容器18の密閉空間19内温度は、放熱器出口側温度tgに対して時間差無しに連動して変化することが望ましい。したがって、伸縮容器18は、できるだけ熱伝導量を大きくするために、熱伝導の大きくかつ厚みの薄い材料(例えばステンレス)が好ましい。伸縮容器18にベローズを用いる代わりに、ダイヤフラムを使用してもよい。 【0025】本実施形態では、ベローズ、ダイヤフラム等を用いた伸縮容器18の内外の低い圧力差での動作を可能にし、伸縮容器18の耐圧が低くてもその内外の差圧が小さいため、ベローズ等に従来の材質を使用しても破損変形の恐れがなく、高い圧力(本例では500kg/m3〜800kg/m3)のCO2を封入可能とした。 また、冷凍サイクルでの使用中にガス漏れ等により圧力PHが大きく低下した場合、逆止弁21が閉じるので、伸縮容器18外側の圧力PXは大きくは低下しないため、伸縮容器18は変形しにくく破損しない。 【0026】次に、第2の実施形態について説明する。図3は本発明に係わる圧力制御弁の第2実施形態の断面図、図4は図3に示した圧力制御弁を備えた蒸気圧縮式冷凍サイクルの構成図である。 【0027】本実施形態の圧力制御弁30は、弁ケーシング31の外側に伸縮容器収納部32を一体に形成し、この伸縮容器収納部32内に伸縮容器18を設けることにより、伸縮容器18を弁ケーシング31のケーシング内空間17から隔離したものである。伸縮容器18の先端に長尺の弁棒20aが固定され、この弁棒20aは弁ケーシング31を移動自在(矢印A方向)に貫通している。弁ケーシング31の弁棒20aの貫通部32aには、これをシールするためのOリング33が設けられている。このような構成により、伸縮容器18はケーシング内空間17の冷媒とは接触せず、ケーシング内空間17から断熱的にほぼ隔離されている。符号40は感温筒を示し、この感温筒40は配管6の所望の部位(本例では放熱器2の出口近傍)に密着して設けられている。この感温筒40と前記伸縮容器18とは細管41(その内径は0.5〜1.5mm程度)を介して連通されている。伸縮容器18、感温筒40および細管41内には、第1実施形態と同様に、冷媒が封入されている。その他の構成は第1実施形態と同様である。 【0028】第2実施形態の圧力制御弁30をCO2サイクルに使用することにより、前記封入した冷媒の熱伝導により、伸縮容器18内の温度は感温筒40内の温度と連動して、放熱器出口側温度tgとほぼ等しくなる。したがって、第1実施形態と同様に、伸縮容器内圧力PSは、流れるCO2の温度tgのバランス圧力Psaとなる。PHがPsaより大きい場合には第2の弁口16は開状態となり、PHがPsaより小さい場合には第2の弁口16は閉状態となり、放熱器出口側温度tgに対応したバランス圧力PsaはほぼPHとなるように自動調整される。このように、感温筒40を配管6の任意の部位に密着させることで、この任意の温度に対応した高圧力制御を行える。その他の動作は第1実施形態と同様である。 【0029】 【発明の効果】本発明は、以上したとおりに構成されているので、以下に記載するような効果を相する。請求項1記載の発明は、サイクルの運転停止時には、伸縮容器の弁によって第2の弁口を閉状態として、一方、弁ケーシングの内空間の内外圧力差によって、逆止弁は第1の弁口を閉状態とする。これにより、弁ケーシングの内空間は密閉状態となり、伸縮容器の内外圧力差は極めて小さくなり、伸縮容器はその内外圧力差による変形が小さく、破損の恐れがなく、長寿命となる。一方、圧縮機を起動して冷凍サイクルを運転すると、上流側空間の圧力(放熱器出口側圧力)が弁ケーシングの内空間の内圧力より所定量大きくなると、第1の弁口は開き、これにより、伸縮容器の内圧と弁ケーシングの内空間の内圧力との差により、第2の弁口が開き、冷媒が配管を循環する。そして、伸縮容器の内圧は、流れる冷媒の温度のバランス圧力となり、このバランス圧力より前記放熱器出口側圧力が大きいと第2の弁口は開状態となり、バランス圧力より前記放熱器出口側圧力が小さいと第2の弁口は閉状態となり、結果的に、本発明の圧力制御弁は、放熱器出口温度に対応した出口側圧力を所定の圧力まで昇圧させた後、開弁することにより、超臨界域においても冷凍サイクルを効率よく運転させることができる。以上のように、ベローズ、ダイヤフラム等を用いた伸縮容器の内外の低い圧力差での動作を可能にし、伸縮容器の耐圧が低くてもその内外の差圧が小さいため、ベローズ等に従来の材質を使用しても破損変形の恐れがなく、高い圧力(例えば請求項3のような500kg/m3〜800kg/m3)の冷媒(本例ではCO2)を封入可能とした。 【0030】請求項2記載の発明は、上記効果の他、配管の任意の部位に密着させた感温筒により、伸縮容器内の温度を前記配管の任意の温度に等しく設定できるので、伸縮容器を放熱器より離れた場所に設置できる上に、前記配管の任意の位置の温度に基づいて高圧を制御できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006208 【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年6月7日(1999.6.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100112737 【弁理士】 【氏名又は名称】藤田 考晴 (外3名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−346498(P2000−346498A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月15日(2000.12.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−160226 |
|