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【発明の名称】 冷凍サイクル装置用開閉弁および該開閉弁を備えた冷凍サイクル装置
【発明者】 【氏名】山谷 貴宏

【氏名】高谷 士郎

【氏名】平井 康順

【要約】 【課題】低圧力差でも確実に動作するとともに、加工やクリアランスの精度管理が容易で製造コストが低く、しかも、冷媒回路中においても安定して動作する信頼性の高い冷凍サイクル装置用開閉弁と該開閉弁を用いた高性能な冷凍装置を得る。

【解決手段】流入口1と流出口2とを連通する流路が内部に形成された開閉弁本体4と、開閉弁本体4内に形成された弁室6内に往復動可能に収納され開閉弁本体4内の該流路中に設けられた弁座3の開口部を開閉する弁体5aと、弁室6と流出口2とを連通するパイロット流路8とを備えた冷凍サイクル装置用開閉弁10において、弁体5aを耐熱性に優れ、吸水性の小さい合成樹脂の単体もしくは混合物を主成分とする樹脂材料で形成した。また、冷媒としてハイドロフルオロカーボンを、冷凍機油としてエステル油またはエーテル油を使用した冷凍装置において、該開閉弁10を適用した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体を流入させる流入口と流体を流出させる流出口を有するとともに、前記流入口と前記流出口を連通する流路を内部に形成した開閉弁本体と、前記開閉弁本体内に形成された弁室内に往復動可能に収納され、前記開閉弁本体内の流路中に設けられた弁座の開口部を開閉する弁体と、前記弁室と前記流出口とを連通するパイロット流路とを備えた冷凍サイクル装置用開閉弁において、前記弁体を、ポリフェニレンスルフィド単体もしくは、塩素化ポリエーテル、エポキシ樹脂、液晶性樹脂、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルスルホン、ポリイミド、ポリケトン、または、ポリスルホンのうちの少なくともひとつの合成樹脂を含むポリフェニレンスルフィドとの混合物を主成分とする樹脂材料で形成したことを特徴とする冷凍サイクル装置用開閉弁。
【請求項2】 流体を流入させる流入口と流体を流出させる流出口を有するとともに、前記流入口と前記流出口を連通する流路を内部に形成した開閉弁本体と、前記開閉弁本体内に形成された弁室内に往復動可能に収納され、前記開閉弁本体内の流路中に設けられた弁座の開口部を開閉する弁体と、前記弁室と前記流出口とを連通するパイロット流路とを備えた冷凍サイクル装置用開閉弁において、前記弁体を、塩素化ポリエーテル、エポキシ樹脂、液晶性樹脂、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルスルホン、ポリイミド、ポリケトン、または、ポリスルホンの単体もしくは2種類以上の混合物を主成分とする樹脂材料で形成したことを特徴とする冷凍サイクル装置用開閉弁。
【請求項3】 流体を流入させる流入口と流体を流出させる流出口を有するとともに、前記流入口と前記流出口を連通する流路を内部に形成した開閉弁本体と、前記開閉弁本体内に形成された弁室内に往復動可能に収納され、前記開閉弁本体内の流路中に設けられた弁座の開口部を開閉する弁体と、前記弁室と前記流出口とを連通するパイロット流路とを備えた冷凍サイクル装置用開閉弁において、前記弁体の前記弁室内壁と摺動する胴部を金属材料で形成するとともに、前記弁体の前記弁座との接触部位を、ポリフェニレンスルフィド、塩素化ポリエーテル、エポキシ樹脂、液晶性樹脂、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルスルホン、ポリイミド、ポリケトン、または、ポリスルホンの単体もしくは混合物を主成分とする樹脂材料で形成したことを特徴とする冷凍サイクル装置用開閉弁。
【請求項4】 前記弁体の前記弁座との接触部の表面粗度(Rmax)を3μm以下としたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の冷凍サイクル装置用開閉弁。
【請求項5】 前記弁体を形成する樹脂材料が、粒径2μm以下の粉粒状の充填材を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の冷凍サイクル装置用開閉弁。
【請求項6】 前記弁体を形成する樹脂材料が、2μm以下の直径を有する繊維状の充填材を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の冷凍サイクル装置用開閉弁。
【請求項7】 前記弁体を形成する樹脂材料が、モース硬度4以下の充填材を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の冷凍サイクル装置用開閉弁。
【請求項8】 前記充填材の充填量が10〜70重量%であることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の冷凍サイクル装置用開閉弁。
【請求項9】 冷媒としてハイドロフルオロカーボンを、また、冷凍機油としてエステル油またはエーテル油を含む冷凍機油を使用する冷凍サイクル装置において、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の冷凍サイクル装置用開閉弁を冷媒回路中に備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、冷凍サイクル装置等において用いられる逆止弁や四方弁等の開閉弁および該開閉弁を用いた冷凍サイクル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4には、冷凍サイクル装置等において従来使用されている開閉弁の一例を示す。図に示すように、この開閉弁30は、冷媒等の流体(以下の説明では、冷媒を想定して記載)が流入する流入口1と冷媒が流出する流出口2を有するとともに内部に流入口1から流出口2に至る冷媒流路が形成された筒状の開閉弁本体4と、この開閉弁本体4内の弁室6内に往復動可能に収納された弁体5cと、この弁体5cを弁室6内に封入するための蓋体7とから構成され、開閉弁本体4内の冷媒流路の途中に形成された弁座3の開口部を弁体5cの一端で開閉することにより、流入口1から流出口2へ流れる冷媒の流れを制御するよう構成されている。また、弁体5cの上部と蓋体7との間の弁室6は、パイロット流路8により流出口2と連通されている。
【0003】次に、図4に示した従来の開閉弁30の動作について説明する。図4において、流入口1から開閉弁本体4内に冷媒や冷凍機油が流入すると、この冷媒や冷凍機油の圧力により、弁体5cの上下、すなわち、流入口1の圧力P1と弁室6の上部の圧力P2との間に圧力差が生じ、この圧力差により弁体5cには弁体5cを浮上させる方向の力が働く。こうして、弁体5cを浮上させる力が弁体5cの重量より大きくなると、弁体5cが浮上して弁座3の開口部が開き、流入口1から流入した冷媒や冷凍機油が開口部を通って流出口2へ流出する。このとき、弁体5cの浮上にともなって弁室6の上部の圧力P2が上昇するが、弁室6は圧力損失の小さいパイロット流路8で流出口2とバイパスされているため、弁室6内の冷媒等がパイロット流路8を介して流出口2に流出することにより、弁室6の上部の圧力P2と流出口2の圧力P3がほぼ等しく保たれる。こうして、弁体5cは、流入口1の圧力P1と弁室6の上部の圧力P2の圧力差によってさらに上昇し、弁室6の最上部まで浮上して、流入口1から流出口2に至る冷媒の流路が大きく確保される。
【0004】一方、流出口2から開閉弁本体4に向かって逆方向から冷媒等が流れ込んだ場合には、この冷媒等の圧力によって弁室6の上部の圧力P2が流入口1の圧力P1より大きくなるため、弁体5cには下降方向の力が働き、弁体5cが弁座3に着座することにより、弁座6の開口部を閉鎖して冷媒や冷凍機油が流出口2から流入口1に逆流することが防止される。
【0005】なお、上記の動作原理から明らかなように、この弁体5cの浮上力の源となるP1とP2の圧力差は、弁体5cの外周と弁室6を構成する開閉弁本体4の内壁とのクリアランスによって大きく影響される。すなわち、このクリアランスが大きすぎると弁室6と流入口1間で冷媒が漏れ、P1とP2の圧力差が小さくなって、弁体5cが十分に浮上せず、開閉弁30の動作が不確実になる。従って、このような構成を有する開閉弁30の製造工程においては、この弁体5cの外周と弁室6の内壁とのクリアランスを精度良く管理する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記図4に示した従来の開閉弁30では、弁体5cの材質としてステンレス等の硬質の金属材料を使用していたため、以下のような問題点があった。すなわち、この開閉弁30では、流入口1の流体の圧力P1と弁室6の上部の圧力P2との圧力差で弁体5cを浮上させるよう構成しているため、開閉弁30の開時に冷媒流路を大きく確保するためには、弁体5cの重量に抗して弁体5cを浮上させる十分な圧力差が必要であるが、弁体5cを金属で形成したこの従来例では、弁体5cの重量が重いため、流入口1の流体の圧力P1が小さい場合には弁体5cが十分浮上せず、流入口1から流出口2への流路を大きく確保することができず、開閉弁30を通過する冷媒等の流量が減少して、冷凍サイクル装置の性能が低下するという問題点があった。
【0007】また、金属製の弁体5cを確実に浮上させるためには、浮上力となる流入口1の流体の圧力P1と弁室6の上部の圧力P2の圧力差を大きくする必要があるが、このためには、弁体5cと弁室6とのクリアランスをより小さくして、冷媒等が弁体5cと弁室6のすきまを通って流入口1から弁室6の上部に漏れる際の圧力損失を大きく設定する必要があり、弁体5cの外径と弁室6の内径について一層精密な寸法管理(例えば、開閉弁本体4および弁体5cがステンレスの場合、弁体5aの外径が10〜15mmに対してクリアランスは数十ミクロン程度)が要求され、製造コストが高くなるといった問題点があった。さらに、弁体5cと弁室6の内壁とのクリアランスを小さくした場合、弁体5cと弁室6のすきまに冷媒回路中を流動する固形異物が挟まりやすくなり、弁体5cが弁室6に固着して開閉弁30が開閉しなくなる恐れもあった。
【0008】この発明は、従来の冷凍サイクル装置用開閉弁の上記のような問題点を解消するためになされたもので、この発明の第1の目的は、圧力差が小さい場合でも確実に開閉動作が可能な信頼性の高い冷凍サイクル装置用開閉弁を得るとともに、クリアランスの精度管理や加工が容易で、製造コストの低減が可能な冷凍サイクル装置用開閉弁を提供することを目的とする。
【0009】また、この発明の第2の目的は、冷媒や冷凍機油に対する安定性に優れ、また、冷凍サイクル装置の高温域においても使用可能な冷凍サイクル装置用開閉弁を提供することを目的とする。
【0010】また、この発明の第3の目的は、冷媒回路中に設置された冷凍サイクル装置用開閉弁の信頼性が高く、性能の安定性に優れた冷凍サイクル装置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、この第1の発明に係る冷凍サイクル装置用開閉弁は、流体を流入させる流入口と流体を流出させる流出口を有するとともに、前記流入口と前記流出口を連通する流路を内部に形成した開閉弁本体と、前記開閉弁本体内に形成された弁室内に往復動可能に収納され、前記開閉弁本体内の流路中に設けられた弁座の開口部を開閉する弁体と、前記弁室と前記流出口とを連通するパイロット流路とを備えた冷凍サイクル装置用開閉弁において、前記弁体を、ポリフェニレンスルフィド単体もしくは、塩素化ポリエーテル、エポキシ樹脂、液晶性樹脂、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルスルホン、ポリイミド、ポリケトン、または、ポリスルホンのうちの少なくともひとつの合成樹脂を含むポリフェニレンスルフィドとの混合物を主成分とする樹脂材料で形成したものである。
【0012】また、この第2の発明に係る冷凍サイクル装置用開閉弁は、流体を流入させる流入口と流体を流出させる流出口を有するとともに、前記流入口と前記流出口を連通する流路を内部に形成した開閉弁本体と、前記開閉弁本体内に形成された弁室内に往復動可能に収納され、前記開閉弁本体内の流路中に設けられた弁座の開口部を開閉する弁体と、前記弁室と前記流出口とを連通するパイロット流路とを備えた冷凍サイクル装置用開閉弁において、前記弁体を、塩素化ポリエーテル、エポキシ樹脂、液晶性樹脂、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルスルホン、ポリイミド、ポリケトン、または、ポリスルホンの単体もしくは2種類以上の混合物を主成分とする樹脂材料で形成したものである。
【0013】また、この第3の発明に係る冷凍サイクル装置用開閉弁は、流体を流入させる流入口と流体を流出させる流出口を有するとともに、前記流入口と前記流出口を連通する流路を内部に形成した開閉弁本体と、前記開閉弁本体内に形成された弁室内に往復動可能に収納され、前記開閉弁本体内の流路中に設けられた弁座の開口部を開閉する弁体と、前記弁室と前記流出口とを連通するパイロット流路とを備えた冷凍サイクル装置用開閉弁において、前記弁体の前記弁室内壁と摺動する胴部を金属材料で形成するとともに、前記弁体の前記弁座との接触部位を、ポリフェニレンスルフィド、塩素化ポリエーテル、エポキシ樹脂、液晶性樹脂、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルスルホン、ポリイミド、ポリケトン、または、ポリスルホンの単体もしくは混合物を主成分とする樹脂材料で形成したものである。
【0014】また、この第4の発明に係る冷凍サイクル装置用開閉弁は、第1ないし第3のいずれかの発明において、前記弁体の前記弁座との接触部の表面粗度(Rmax)を3μm以下としたものである。
【0015】さらに、この第5の発明に係る冷凍サイクル装置用開閉弁は、第1ないし第3のいずれかの発明において、前記弁体を形成する樹脂材料として、粒径2μm以下の粉粒状の充填材を含む樹脂材料を用いたものである。
【0016】また、この第6の発明に係る冷凍サイクル装置用開閉弁は、第1ないし第3のいずれかの発明において、前記弁体を形成する樹脂材料として、2μm以下の直径を有する繊維状の充填材を含む樹脂材料を用いたものである。
【0017】また、この第7の発明に係る冷凍サイクル装置用開閉弁は、第1ないし第3のいずれかの発明において、前記弁体を形成する樹脂材料として、モース硬度4以下の充填材を含む樹脂材料を用いたものである。
【0018】また、この第8の発明に係る冷凍サイクル装置用開閉弁は、第5ないし第7のいずれかの発明において、前記充填材の充填量を10〜70重量%としたものである。
【0019】さらに、この第9の発明に係る冷凍サイクル装置は、冷媒としてハイドロフルオロカーボンを、また、冷凍機油としてエステル油またはエーテル油を含む冷凍機油を使用する冷凍サイクル装置において、上記第1ないし第8のいずれかの発明の冷凍サイクル装置用開閉弁を冷媒回路中に備えたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1による冷凍サイクル装置用開閉弁10の構成を示す断面図であり、弁体5aが樹脂材料で構成されている点以外の基本的な構成は、図4に示した従来の開閉弁30と全く同様である。図において、開閉弁10は、冷媒が流入する流入口1と冷媒が流出する流出口2を有するとともに内部に流入口1から流出口2に至る冷媒流路が形成された筒状の開閉弁本体4と、この開閉弁本体4内の弁室6内に往復動可能に収納された円筒状の合成樹脂からなる弁体5aと、この弁体5aを弁室6内に封入するための蓋体7とから構成され、開閉弁本体4内の冷媒流路の途中に形成された弁座3の開口部を弁体5aの一端で開閉することにより、流入口1から流出口2へ流れる冷媒の流れを制御するよう構成されている。また、弁体5aの上部と蓋体7との間の弁室6は、パイロット流路8により流出口2と連通されている。なお、この実施の形態1に基いた具体的な開閉弁10の構成や仕様については、下記の実施例の項で詳しく説明する。
【0021】次に、この実施の形態1の動作について説明する。動作原理についても図4に示した従来の開閉弁と全く同様であり、流入口1から冷媒や冷凍機油が開閉弁本体4内に流入すると、流入口1における冷媒や冷凍機油の圧力P1と弁室6上部の圧力P2との間に圧力差が生じ、この圧力差により弁体5aに、弁体5aを浮上させる方向の力が働き、弁体5aを浮上させる力が弁体5aの重量より大きくなると、弁体5aが浮上して弁座3の開口部が開き、流入口1から流入した冷媒や冷凍機油が流出口2へ流出する。なお、上記したように、この実施の形態1では、弁体5aが軽量の樹脂材料で形成されているため、弁体5aが低圧力差でも動作し、開閉弁10の信頼性が向上するとともに、弁体5aと弁室6とのクリアランスを拡大することが可能である。
【0022】また、流出口2から開閉弁本体4に向かって逆方向から冷媒等が流れ込む場合は、弁室6の上部の圧力P2が流入口1の圧力P1より大きくなるため、弁体5aに下降方向の力が働き、弁体5aが弁座3に着座し、開口部を閉鎖することにより、冷媒や冷凍機油が流出口2から流入口1に逆流することを防止する。
【0023】以上のように、この実施の形態1によれば、弁体5aとして軽量の樹脂材料(密度:2g/cm3以下)を用いたため、従来のステンレス鋼等の金属材料(密度:約8g/cm3)を用いた場合に比べて流入口1の圧力P1と弁室6の上部の圧力P2との圧力差が小さくても、弁体5aがより確実に上方に移動でき、開閉弁10が確実に動作するとともに、その応答性も高く、信頼性の高い開閉弁10を得ることができる。また、低圧力差においても弁体5aを弁室6の最上部まで浮上させることが可能となり、流入口1から流出口2に至る流路を大きく確保できるため、開閉弁10を通過する冷媒等の流量を十分に確保することができ、この開閉弁10を冷凍サイクル装置に適用した場合には、開閉弁10のリフト不足による性能劣化のない信頼性の高い冷凍サイクル装置が得られる効果がある。
【0024】また、弁体5aを軽量の樹脂材料で構成したことにより、弁体5aを弁室6の最上部まで浮上させるのに必要な圧力差(P2−P1)を従来の開閉弁30に比べて小さくすることができ、この結果、弁体5aの外径と弁室6の内径のクリアランスを拡大しても、弁体5aを弁室6の最上部まで浮上させることができ、上記したように従来の金属材料を用いた場合に比べて弁体5aの外径寸法と弁室6の内径寸法の許容公差が拡大され、クリアランスの精度管理が簡単になって、製造コストを削減できる効果がある。また、弁体5aと弁室6のクリアランスを拡大することにより、この開閉弁を冷凍サイクル装置に適用した場合には、冷媒回路等を流動する固形異物が弁体5aと弁室6の隙間に挟まって作動不良を生じるといった現象を防止でき、信頼性に優れた開閉弁および冷凍サイクル装置を得ることができる。
【0025】さらに、弁体5aとして金属材料に比べて軽量で振動の減衰特性に優れた合成樹脂を用いたため、開弁時および閉弁時に生じる弁体5aと弁座3および蓋体7との衝撃音が小さくなり、開閉弁10の開閉動作に伴う騒音が減少するとともに、合成樹脂はステンレス鋼等と比較して適度な剛性を有しているため、弁体5aと弁座3の間に冷媒回路を流動する固形異物が挟まった状態で開閉を繰返し、弁体5aのシール面に傷がついた場合でも、閉弁時には、弁体5aのシール面に印加される圧力によりシール面が適度に変形し、弁座3になじむため、弁体5aと弁座3の隙間から冷媒や冷凍機油が漏れて、流出口2から流入口1へ逆流する現象(弁漏れ)を防止でき、閉弁時に、確実に逆流を防止できる信頼性の高い開閉弁を得ることができる。
【0026】実施の形態2.次に、この発明の実施の形態2の開閉弁について説明する。図2は、この実施の形態2による開閉弁20の断面図であり、実施の形態1の開閉弁10との相違点は、実施の形態1では、弁体5aの全体が樹脂材料で構成されているのに対して、この実施の形態2では、弁体5bの弁室6の内壁と摺動する外周部が金属材料で形成され、弁体5bの弁座3との接触部位のみが樹脂材料で形成されている点にある。
【0027】図2に示すように、この実施の形態2の弁体5bは、弁座3と接触する弁体下部11と弁室6の内壁と摺動する外周部を有する胴部12が圧入された固定ピン13によって結合されており、弁体下部11が上記実施の形態1と同様の樹脂材料で形成されているのに対して、胴部12はステンレスから形成されている。なお、弁体下部11と胴部12の接続方法としては、上記の固定ピン13の他、接着剤による接着などを用いてもよい。また、上記した実施の形態1と同一または相当部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0028】こうして、この実施の形態2によれば、弁座3と接触する弁体5bの弁体下部11を樹脂材料で構成したため、上記実施の形態1と同様に、開弁時および閉弁時に生じる弁体5bと弁座3との衝撃音が小さくなり、開閉弁20の開閉動作に伴う騒音が減少するとともに、樹脂材料がステンレス鋼等と比較して適度な剛性を有しているため、弁体5bと弁座3の間に冷媒回路を流動する固形異物が挟まった状態で開閉を繰返し、弁体5bのシール面に傷がついた場合でも、閉弁時には、弁体5bのシール面に印加される圧力によりシール面が適度に変形して、弁座3になじむため、弁体5bと弁座3の隙間から冷媒や冷凍機油が漏れて、流出口2から流入口1へ逆流する現象(弁漏れ)を防止でき、閉弁時に、確実に逆流を防止できる信頼性の高い開閉弁を得ることができる。
【0029】以下では、上記した実施の形態1の構成に基いて、実際に開閉弁10を試作し、開閉弁10の性能に与える弁体5aの材質や加工精度の影響および冷凍サイクル装置への適用の可否について検討した結果を説明する。なお、試験に用いた開閉弁10は、以下の実施例1、2および比較例1、2の4種類である。
【0030】
【実施例】実施例1.実施例1では、弁体5aの材質として、吸水率が小さく、耐熱性が高く、しかも、金属材料に比べて軽量(低密度)であるポリフェニレンスルフィドを主成分とし、弁体5aの強度や耐熱性をさらに向上させるため、これに繊維状(直径0.1〜2.0μm)の充填材であるチタン酸カリウムウィスカを40wt%(wt%は、全重量中の充填材の重量パーセントを表す)添加したものを用いている。さらに、弁体5aと弁座3とのシール性を確保するため、上記の合成樹脂材料を所定の形状に射出成形した後、仕上げ加工として、図3に示した弁座3との接触面となる円錐型のシール部を真円度3μm以下、表面粗度Rmaxを2.1μmに仕上げ切削している。なお、開閉弁本体4の材質は黄銅であり、弁室6の内径と弁体5aの外径のクリアランスは、弁体5aを軽量の樹脂で構成したため従来例に比べて、100〜200μmの範囲と大きく設定している。
【0031】実施例2.また、実施例2では、弁体5aの材質として、ポリフェニレンスルフィドを主成分とし、これに直径2μm程度のガラスビーズを50wt%添加したものを用い、さらに、弁座3との接触面となるシール部の真円度を3μm以下、表面粗度Rmaxを2.5μmに仕上げ切削したものを用いている。なお、この実施例2においても、開閉弁本体4の材質は黄銅であり、弁室6の内径と弁体5aの外径のクリアランスは100〜200μmである。
【0032】比較例1.比較例1では、接触面となるシール部の表面粗度Rmaxの影響を見るために、弁体5aの材質として、ポリフェニレンスルフィドを主成分とし、これに直径20μm程度のガラスビーズを50wt%添加したものを用い、さらに、弁座3との接触面となるシール部の真円度を3μm以下、表面粗度Rmaxを8μmに仕上げ切削したものを用いている。なお、比較例1の開閉弁本体4の材質およびクリアランスは、実施例1および実施例2と同様に設定されている。
【0033】比較例2.また、比較例2では、主成分となる合成樹脂材料の違いによる効果を検討するため、弁体5aの材質として、ポリアミド66を主成分とし、これに直径14μm程度のガラス繊維を50wt%添加したものを用いている。なお、弁座3との接触面となるシール部の真円度は3μm以下、表面粗度Rmaxは7μmに仕上げ切削し、開閉弁本体4の材質およびクリアランスを、実施例1および実施例2と同様に設定している。
【0034】上記した実施例1、2および比較例1、2の開閉弁10の性能試験の一環として、上記の開閉弁10の各々について、閉時の開閉弁10からの静的な漏れ量を測定した結果を下記の表1に示す。表1のデータは、窒素ガスによって開閉弁10の流出口2側の圧力P3を冷凍サイクル装置の平均的な圧力差に相当する1.5MPaに加圧し、また、流入口1側の圧力P1を大気開放として、流出口2から流入口1側に漏れてくる窒素ガスの漏れ量を測定したものであり、表1から明らかなように、実施例1および2に比べて、比較例1および2では弁漏れ量が急激に増大しており、開閉弁10の閉弁時に弁体5aと弁座3の間で気密性を保ち、流出口2から流入口1へ冷媒等が漏れないようにするためには、主成分となる合成樹脂の種類によらず弁体5aの弁座3と接触するシール部分の表面粗度をおよそRmax3μm以下とする必要があることが分かる。
【0035】
【表1】

【0036】次に、弁体5a用樹脂材料の冷媒回路中での安定性および冷媒や冷凍機油との適合性を検証するための要素試験として、ハイドロフルオロカーボンであるR407C冷媒及びエステル油との適合性について、チタン酸カリウムウィスカを40wt%充填したポリフェニレンスルフィド(実施例1)とホウ酸アルミニウムウィスカを40wt%充填したポリフェニレンスルフィド、および、ポリアミド66について試験し、比較した結果を、下記の表2に示す。試験は、オートクレーブの中に、試作した弁体5aとともにR407C冷媒と冷凍機油(エステル油)を1:1の割合で封入し、170℃で315時間保持し、全酸価および寸法変化率(寸法変化は、弁体5aの直径方向)を測定したものである。
【0037】
【表2】

【0038】表2に示すように、チタン酸カリウムウィスカやホウ酸アルミニウムウィスカを充填したポリフェニレンスルフィドは、主成分であるポリフェニレンスルフィドの吸水率がきわめて低い(0.1%未満)ため、ともに、ポリアミド66に比べて全酸価がきわめて低く、酸化による冷凍機油の劣化を抑制することができるとともに、寸法変化率も0.1%未満と小さいため、冷凍サイクル装置内の冷媒や冷凍機油による弁体5aの膨潤が小さく、弁室6の内壁とのクリアランスに及ぼす影響も小さい。また、上記の試験結果から、合成樹脂材料の主成分が同一であれば、充填材の種類や材質によらず、全酸価や寸法変化率等において、ほぼ同様の特性が得られることが分かる。
【0039】次に、上記実施例1の開閉弁10を実際の冷凍サイクル装置(ヒートポンプ装置)に組み込んで使用し、冷凍サイクル装置への適用の可否と耐久性を検証した結果について説明する。試験に使用した冷凍サイクル装置は、冷媒としてハイドロフルオロカーボンR407Cを、また、冷凍機油としてエステル油を使用した蒸気圧縮式の冷凍装置であり、上記した実施例1の開閉弁10は、暖房運転時の流路切換用の開閉弁として、冷媒回路中の圧縮機の吐出側に設置した。また、この冷凍装置の試験条件は、蒸発温度が0℃、凝縮温度が50℃、高圧側圧力2MPa(高圧カット3MPa)、低圧側圧力0.4MPaであり、この試験条件で合計25000時間運転(15万回の弁開閉)し、冷凍装置の性能変化と開閉弁10の耐久性を検証した。その結果、上記耐久性試験後も、冷凍装置の性能に変化は見られず、また、試験後に開閉弁10を分解し、弁体5aを測定・分析した結果からも劣化や異常はなく、上記した実施例1の開閉弁10が、冷凍サイクル装置に適用可能であることが実証された。
【0040】なお、上記した運転条件においては、この開閉弁10が設置された圧縮機吐出側の温度は、断熱圧縮による冷媒の温度上昇によって100℃を超える高温となっており、弁体5aとして耐熱性に優れたポリフェニレンスルフィドを使用したため、このような厳しい動作条件下でも長時間運転が可能となっている。
【0041】以上説明したように、この実施例1による開閉弁10は、弁体5aの材料として、吸水率の小さいポリフェニレンスルフィドを用いたため、冷媒回路内で使用しても冷媒回路内の水分を吸収して寸法が大きく変化することがなく、弁体5aと弁室6のクリアランスが安定して、開閉弁10の動作が安定し、冷凍サイクル装置の性能や信頼性が向上する効果がある。特に、上記の試験において使用したような、冷凍機油として吸水性の高いエステル油やエーテル油を使用する場合には、エステル油やエーテル油によって吸収された水分により冷媒回路中の油中水分濃度が一層高くなるため、このような冷凍サイクル装置において、ポリフェニレンスルフィド等の吸水率の低い樹脂材料を弁体5aに使用することは開閉弁10および冷凍サイクル装置の信頼性と性能の向上に大きな効果がある。
【0042】また、上記したようにポリフェニレンスルフィドは耐熱性が高いため、冷媒回路の高温域(上記したように、冷凍サイクル装置の冷媒回路内での開閉弁10の動作温度は、摂氏100度以上となる)で長時間使用しても弁体5aが熱劣化によって強度低下を引き起こすことがなく、耐久性の高い開閉弁10を得ることができる。
【0043】また、弁体5aを構成する合成樹脂(ポリフェニレンスルフィド)にチタン酸カリウムウィスカ等の充填材を添加したため、弁体5aの強度や耐熱性を一層向上させることができるとともに、充填材の充填量を変更することにより合成樹脂の剛性を変化させることができるため、弁体5aの剛性不足によって開閉弁10の閉時に弁体5aが弁座3にめり込んで密着し、弁体5aを上方に移動するための最低作動圧力が上昇したり、めり込み度合いによって開閉弁10の動作が不安定になるといった問題を解決することができ、また、剛性が上がったことにより、弁体5aの外径やシール面を高精度に切削することが可能となって切削性の点でも優れた生産性の向上が可能な開閉弁10を得ることができる。
【0044】また、弁体5aの弁座3との接触面となるシール面を切削加工により真円度を3μm以下、表面粗度Rmaxを3μm以下としたため、閉弁時の弁体5aと弁座3の間のシール性能が向上して、流出口2から流入口1への冷媒等の弁漏れ量が少なくなるとともに、この開閉弁10を冷凍サイクル装置に適用した場合には、冷媒の漏れが減少して冷凍サイクル装置の効率が向上する効果がある。
【0045】なお、上記の説明では、弁体5aとしてポリフェニレンスルフィドを用いた開閉弁10を冷凍サイクル装置に適用した例について説明したが、他にも、このポリフェニレンスルフィドと同等の特性(吸水率、密度)を有する下記表3に示すような樹脂材料を適用することが可能であり、冷凍サイクル装置内における開閉弁10の温度条件に適した耐熱性を有する樹脂材料を表3中から選定することにより、上記した実施例1と全く同様の効果を得ることができる。(参考までに、表3中に、各樹脂材料の代表的無充填グレードのASTMの試験規格に準拠した荷重たわみ温度(荷重=18.6kgf/cm2時)と吸水率を付記する。また、上記表2に示したように、ポリアミド66は吸水率や全酸価が大きく、冷媒回路中で用いた場合、弁体5aが冷媒回路内の水分を吸収して大きく寸法変化(膨潤)し、弁体5aと弁室6とのクリアランスが不安定となって冷凍サイクル装置の性能や信頼性の低下を生じたり、冷凍機油を劣化させる可能性があるため、表3中では、参考データとして記載してある。)
【0046】
【表3】

【0047】また、これらの材料は、それぞれ単独で使用してもよいが、複数種類を混合して使用しても同様の効果を得ることができる。さらに、これらの材料に他の材料を混合してもよく、例えばポリフェニレンスルフィドにフッ素樹脂、ナイロン樹脂、ポリフェニレンエーテル、ノルボルネン系樹脂などを混合した材料でも同様の結果が得られることはいうまでもない。また、充填材として、上記以外にも各種の無機フィラー等が利用可能である。
【0048】続いて、合成樹脂材料に添加される各種充填材の影響について説明する。下記表4は、合成樹脂材料に添加される充填材の種類や粒径および硬度と、切削加工された弁体5aの表面粗度および切削時の切削工具の磨耗量の関係を明らかにするため、上記実施例1、2および比較例1を含む6種類の充填材入り(充填率:10〜70wt%)ポリフェニレンスルフィドの成形板について、実際に弁体5aをダイアモンドバイトで切削加工し、切削面の表面粗度及びダイアモンドバイトの摩耗量を測定したものである。
【0049】
【表4】

【0050】表4から明らかなように、充填材として一般的に使用されているガラス繊維を充填した場合には、ガラス繊維の直径が14μmであるため、切削加工時に充填材が切削表面で破断することによって表面粗度が8μmと冷媒をシールするのに必要なRmax3μmを大きく越えており、弁体5a用の材料には適さないと言える。また、ガラス繊維のモース硬度が7と高いため、ダイアモンドバイトの摩耗量も大きい。
【0051】一方、直径2μm以下のチタン酸カリウムウィスカ(実施例1)やホウ酸アルミニウムウィスカ、粒径が2μmのガラスビーズ(実施例2)を充填したポリフェニレンスルフィドでは、充填材の切削表面からの脱落や切削表面での破断が生じても表面粗度をRmax3μm以下に抑えることができる。また、モース硬度4以下のチタン酸カリウムウィスカや酸化亜鉛ウィスカを充填したポリフェニレンスルフィドでは、充填材の硬度が低いため、切削加工が容易で工具の磨耗が少なく、特に、酸化亜鉛ウィスカでは、酸化亜鉛ウィスカの径が5μmと表面粗度の条件である3μm以上であるにも関わらず、切削面の表面粗度がRmax3μm以下となっていることが分かる。
【0052】さらに、粒径が2μmのガラスビーズ(実施例2)と粒径が20μmのガラスビーズ(比較例1)とを比較すると、充填材の硬度が同じであっても、粒径によってダイアモンドバイトの摩耗量が大きく変化し、粒径が2μmのガラスビーズの場合には、磨耗量がかなり低減されることが分かる。
【0053】以上の結果より、弁体5aとして充填材を添加した合成樹脂を用いる場合、充填材として、粒径が2μm以下の粉粒状の充填材、直径が2μm以下の繊維状の充填材、あるいは、モース硬度が4以下の充填材のいずれかを用いれば、切削加工によって弁体5aの弁座3との接触部分の表面粗度Rmaxを3μm以下に加工でき、この結果、上記の実施例1、2および比較例1、2に対する静的漏れ試験で明らかになったように弁漏れ量も低く抑えられることが分かる。
【0054】さらに、樹脂材料の充填材として、直径0.1〜2.0μmの繊維状の充填材(チタン酸カリウムウィスカ)や直径2μm程度の粉粒状の充填材(ガラスビーズ)を用いたため、弁体5aの切削表面からの充填材の脱落や切削表面での破断が生じても表面粗度をRmax3μm以下に抑えることができ、シール性能を向上することができるとともに、弁体5aの切削加工が容易となって生産性が向上し、開閉弁10の製造コストを低減できる効果がある。
【0055】また、上記樹脂材料の充填材として、モース硬度4以下の充填材(チタン酸カリウムウィスカ)を用いたため、切削面の表面粗度を損なうことなく、しかも、工具の磨耗が少なく、弁体5aを容易に切削できる効果がある。
【0056】また、各供試材料の充填材の充填率を10〜70wt%としたため、合成樹脂が適度な剛性を有することとなり、切削加工しやすくなる効果がある。なお、弁体5aの切削性の観点に加え、弁体5aの弁座3へのめり込みの防止や弁体5aのシール面に傷がついた場合の弁漏れ量の抑制等も考慮した場合、充填材の充填率は実施例等で採用した30〜50wt%が特に好適である。
【0057】
【発明の効果】この発明に係る冷凍サイクル装置用開閉弁および冷凍サイクル装置は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0058】流体を流入させる流入口と流体を流出させる流出口を有するとともに、前記流入口と前記流出口を連通する流路を内部に形成した開閉弁本体と、前記開閉弁本体内に形成された弁室内に往復動可能に収納され、前記開閉弁本体内の流路中に設けられた弁座の開口部を開閉する弁体と、前記弁室と前記流出口とを連通するパイロット流路とを備えた冷凍サイクル装置用開閉弁において、前記弁体を、吸水性が低く、耐熱性が高く、しかも、軽量な、ポリフェニレンスルフィド単体もしくは、塩素化ポリエーテル、エポキシ樹脂、液晶性樹脂、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルスルホン、ポリイミド、ポリケトン、または、ポリスルホンのうちの少なくともひとつの合成樹脂を含むポリフェニレンスルフィドとの混合物を主成分とする樹脂材料で形成したため、弁体の動作性に優れ、前記弁体と前記弁室のクリアランスの管理が容易で、しかも、寸法安定性に優れた信頼性の高い冷凍サイクル装置用開閉弁が得られる。
【0059】また、流体を流入させる流入口と流体を流出させる流出口を有するとともに、前記流入口と前記流出口を連通する流路を内部に形成した開閉弁本体と、前記開閉弁本体内に形成された弁室内に往復動可能に収納され、前記開閉弁本体内の流路中に設けられた弁座の開口部を開閉する弁体と、前記弁室と前記流出口とを連通するパイロット流路とを備えた冷凍サイクル装置用開閉弁において、前記弁体を、吸水性が低く、耐熱性が高く、しかも、軽量な、塩素化ポリエーテル、エポキシ樹脂、液晶性樹脂、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルスルホン、ポリイミド、ポリケトン、または、ポリスルホンの単体もしくは2種類以上の混合物を主成分とする樹脂材料で形成したため、弁体の動作性に優れ、前記弁体と前記弁室のクリアランスの管理が容易で、しかも、寸法安定性に優れた信頼性の高い冷凍サイクル装置用開閉弁が得られる。
【0060】また、流体を流入させる流入口と流体を流出させる流出口を有するとともに、前記流入口と前記流出口を連通する流路を内部に形成した開閉弁本体と、前記開閉弁本体内に形成された弁室内に往復動可能に収納され、前記開閉弁本体内の流路中に設けられた弁座の開口部を開閉する弁体と、前記弁室と前記流出口とを連通するパイロット流路とを備えた冷凍サイクル装置用開閉弁において、前記弁体の前記弁室内壁と摺動する胴部を金属材料で形成するとともに、前記弁体の前記弁座との接触部位を、吸水性が低く、耐熱性が高く、しかも、軽量な、ポリフェニレンスルフィド、塩素化ポリエーテル、エポキシ樹脂、液晶性樹脂、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルスルホン、ポリイミド、ポリケトン、または、ポリスルホンの単体もしくは混合物を主成分とする樹脂材料で形成したため、弁開閉時の衝撃音が小さく、しかも、前記弁体のシール面に傷がついた場合でも、確実に逆流を防止できる信頼性の高い冷凍サイクル装置用開閉弁を得ることができる。
【0061】また、前記弁体の前記弁座との接触部の表面粗度(Rmax)を3μm以下としたため、シール面のシール性能が向上し、弁漏れ量の少ない高性能な冷凍サイクル装置用開閉弁を得ることができる。
【0062】さらに、前記弁体を、粒径2μm以下の粉粒状の充填材を含む樹脂材料で形成したため、表面粗度を抑えることができ、弁漏れ量の少ない高性能な冷凍サイクル装置用開閉弁を得ることができるとともに、前記冷凍サイクル装置用開閉弁の性能を損なわずに、前記弁体の強度を向上し、耐久性や安定性を向上することができる。
【0063】また、前記弁体を、2μm以下の直径を有する繊維状の充填材を含む樹脂材料で形成したため、表面粗度を抑えることができ、弁漏れ量の少ない高性能な冷凍サイクル装置用開閉弁を得ることができるとともに、前記冷凍サイクル装置用開閉弁の性能を損なわずに、前記弁体の強度を向上し、耐久性や安定性を向上することができる。
【0064】また、前記弁体を、モース硬度4以下の充填材を含む樹脂材料によって形成したため、表面粗度を抑えることができ、弁漏れ量の少ない高性能な冷凍サイクル装置用開閉弁を得ることができるとともに、前記弁体の加工が容易になって低コストの冷凍サイクル装置用開閉弁が得られる効果がある。また、前記弁体の加工に要する工具の磨耗を低減することができる。
【0065】また、前記充填材の充填量を10〜70重量%としたため、弁体が弁座にめり込むことがなく、安定して動作するとともに、加工性に優れた冷凍サイクル装置用開閉弁を得ることができる。
【0066】さらに、冷媒としてハイドロフルオロカーボンを、また、冷凍機油としてエステル油またはエーテル油を含む冷凍機油を使用する冷凍サイクル装置において、前記冷凍サイクル装置用開閉弁を冷媒回路中に備えたため、冷凍機油中の水分濃度が高い状態で使用しても前記冷凍サイクル装置用開閉弁の性能が損なわれず、信頼性の高い冷凍サイクル装置が得られる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成11年6月9日(1999.6.9)
【代理人】 【識別番号】100102439
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 金雄 (外2名)
【公開番号】 特開2000−346497(P2000−346497A)
【公開日】 平成12年12月15日(2000.12.15)
【出願番号】 特願平11−162241