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【発明の名称】 鉄道車両用空調装置
【発明者】 【氏名】平川 治生

【氏名】井上 明典

【氏名】▲吉▼海 寛人

【要約】 【課題】電動膨張弁のコイル部に蒸発器の凝縮水が付着して発生する漏電故障を防止すると共に、電動膨張弁を空冷して発熱を抑制する。

【解決手段】電動膨張弁を室内ファンと蒸発器の間に設置し、蒸発器により冷却された空気で電動膨張弁のコイル部を冷却する。蒸発器のフィン頂部から室内ファンの吸入口の頂部まで仮想線を引き、その仮想線よりも上方に電動膨張弁のコイル部が位置するように電動膨張弁を取りつける。電動膨張弁のコントローラを室内機室の圧縮機室との仕切板に取付け、コントローラの背面の仕切板に開口部を設ける。これによれば、蒸発器から吹き飛んだ水滴が電動膨張弁付着することはなく、コイルのリード線の絶縁劣化を防止できる。また、電動膨張弁のコイル部を蒸発器の冷却風で冷却することができる。電動膨張弁ののコントローラの結露を防止できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】電動膨張弁を蒸発器と室内ファンの間に設置したことを特徴とする鉄道車両用空調装置。
【請求項2】蒸発器のフィン頂部から室内ファンの吸入口頂部まで引いた仮想線より上方に電動膨張弁のコイル部が位置するように電動膨張弁を取り付けたことを特徴とする請求項1記載の鉄道車両用空調装置。
【請求項3】電動膨張弁のコントローラを室内機室の圧縮機室との仕切板に取付け、コントローラ裏面の仕切板には開口部を設けたことを特徴とする請求項1記載の鉄道車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鉄道車両用空調装置に係わり、特に電動膨張弁により蒸発器の過熱度を制御する空調装置の電動膨張弁とそのコントローラの取付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄道車両用空調装置では減圧装置として一般的にキャピラリチューブが用いられており、電動膨張弁を用いた空調装置は皆無である。その他の家庭用やビル空調用では多くの機種で一般的に採用されているが、室内熱交換器の空気出口側に電動膨張弁を取りつけた空調装置はなく、一般的には別の場所に取り付けてある。よって、凝縮水の付着を勘案する必要がなかった。
【0003】しかし、鉄道車両用空調装置では配管作業を簡素化するため蒸発器の空気出口側に電動膨張弁を取りつけた方が作業性が良い場合があり、凝縮水の付着を防止する必要があった。電動膨張弁のリード線引き出し部は防水構造になっているが、長期の耐久性を確保するためには水分の付着は防止した方が良い。しかもコストを掛けない方法が望まれる。また、モータはコイル温度が低いほど寿命が延伸するため、コイル部を空冷した方が良い。
【0004】電動膨張弁のコントローラは、電動膨張弁の近傍に取り付けた方が、リード線の長さを短くでき、ノイズの影響を受け難い。しかも、蒸発器の出入口の配管に取り付ける温度センサとの結線も容易である。しかし、室内機室は温度が低いため、結露による電子部品の絶縁不良が危惧される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】電動膨張弁に蒸発器の凝縮水が付着して発生する漏電故障を防止すると共に、電動膨張弁を空冷して発熱を抑制する。また、電動膨張弁のコントローラの結露を防止する。
【0006】
【課題を解決するための手段】電動膨張弁を室内ファンと蒸発器の間に設置し、蒸発器により冷却された空気で電動膨張弁のコイル部を冷却する。蒸発器のフィン頂部から室内ファンの吸入口の頂部まで仮想線を引き、その仮想線よりも上方に電動膨張弁のコイル部が位置するように電動膨張弁を取りつける。仮に、室内ファンに吸引される風によりフィン部より水滴が飛んでも電動膨張弁のコイル部に付着することはない。
【0007】電動膨張弁のコントローラを室内機室の圧縮機室との仕切板に取付け、コントローラの背面の仕切板に開口部を設ける。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図1から図3に示す実施例により詳細に説明する。ここで、図1は車両の屋根上に搭載された空調装置のカバーを外した状態の平面図、図2は図1のカバーを取り付けた状態でのA−A視図、図3は図1のB−B視図である。
【0009】空調装置の構成は、図1に示すように中央部に圧縮機室を設け、その右側に室外機室、左側に室内機室を設けている。室外機室には、中央に室外ファン1を設け、その前後に凝縮器2a,2bを配置している。圧縮機室には圧縮機3a,3bとアキュムレータ4a,4bが設置される。室内機室には室内ファン5と蒸発器6a,6bが配置され、電動膨張弁7a,7bは室内ファン5と蒸発器6a,6bの間に取り付けられる。ここで、8a,8bは車内の空気を取り入れるリターン口である。また、配電盤9は圧縮機室の仕切板で隔離された別室に設置され、電動膨張弁のコントローラ10は室内機室の圧縮機室との仕切板に取付けられている。11a,11bは蒸発器6a,6bで凝縮した空気中の水分を機外に排水するためのドレンパイプである。
【0010】次に冷凍サイクルについて説明する。圧縮機3aから吐出された高温、高圧のガス冷媒は、凝縮器2aで室外ファン1により送風される外気で空冷されて中温・高圧の液冷媒となる。液冷媒は電動膨張弁7aで減圧されて低温、低圧の液とガスの二相状態となり、蒸発器6aで車内の空気と熱交換されてガス冷媒となる。ガス冷媒は、アキュムレータ4aを通って圧縮機3aに戻る。
【0011】一方、圧縮機4bから吐出された高温、高圧のガス冷媒は、凝縮器2bで室外ファン1により送風される外気で空冷されて中温・高圧の液冷媒となる。液冷媒は電動膨張弁7bで減圧されて低温、低圧の液とガスの二相状態となり、蒸発器6bで車内の空気と熱交換されてガス冷媒となる。ガス冷媒は、アキュムレータ4bを通って圧縮機3bに戻る。
【0012】蒸発器6a,6bで冷却されて凝縮した空気中の水分は、通常はフィンの表面に膜状に堆積し、一定の大きさまで発達すると、その自重で下方に流れ落ちていく。しかし、空調装置が長年使用されると、フィンに埃が付着して目詰まりを起こし、目詰まりが発生していないフィン間では風速が増大する。このため凝縮した水滴が風で室内ファン5側に吹き飛ばされる現象が発生することもたまにはある。この現象は一定周期で蒸発器6a,6bの清掃が実施されていれば未然に防止できるが、清掃が行われない場合も想定して装置の構造を設計しておく必要がある。
【0013】図2において、リターン口8bから吸入された車内の空気は蒸発器6bで配管内を通る冷媒と熱交換されて冷却され、空気中の水分は凝縮して下部のドレン受けに溜り、ドレンパイプ11a,11bから機外に排出される。仮にフィンが目詰まりして蒸発器6bの頂部から水滴が飛んでも、室内ファン5の吸入口の頂部まで引いた仮想線より上側を通過して飛ぶことはないので、電動膨張弁7bのコイル部が前記仮想線より上側に位置するように電動膨張弁7bを取りつければ、水滴の付着を完全に防止することができる。また、電動膨張弁7bのコイル部は発熱により雰囲気温度よりも温度が常に高いので結露することもない。
【0014】電動膨張弁7a,7bのコントローラ10は図3に示すように、室内機室の圧縮機室との仕切板に取付け、コントローラ背面の仕切板には開口部12を設ける。圧縮機室は通常40℃程度に温度が保たれるため、熱伝達によりコントローラ筐体の温度は室内機室の温度より若干高く保たれるため結露を防止できる。
【0015】以上、電動膨張弁7a,7bと電動膨張弁のコントローラ10の取付方法について述べたが、空調装置の構成は本実施例に限定されるものではなく、種々変化させても良い。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電動膨張弁を蒸発器と室内ファンの間に取り付けても、蒸発器から吹き飛んだ水滴が付着することはなく、コイルのリード線の絶縁劣化による漏電故障を未然に防止することができる。また、電動膨張弁のコイル部を蒸発器の冷却風で空冷することができるため、電動膨張弁のコイル寿命が向上する。さらに、電動膨張弁のコントローラの結露を防止できる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成11年6月9日(1999.6.9)
【代理人】 【識別番号】100075096
【弁理士】
【氏名又は名称】作田 康夫
【公開番号】 特開2000−346496(P2000−346496A)
【公開日】 平成12年12月15日(2000.12.15)
【出願番号】 特願平11−162021