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【発明の名称】 スターリング冷凍機
【発明者】 【氏名】北村 義之

【氏名】清水 克美

【要約】 【課題】ディスプレーサとピストンの衝突を防止でき、それらの位相差を常に最適値付近で調整することで冷却性能を高めた省スペースなスターリング冷凍機。

【解決手段】スターリング冷凍機の駆動周波数でピストン3を振動させ圧縮空間6と膨張空間7とそれらの間を連絡する流路からなる作動空間の封入作動ガスに周期的圧力変化を起こし、ディスプレーサ2をピストンと同じ周期、かつ異なる位相で往復運動させる。このとき、高温側熱交換器9および低温側熱交換器10に各々温度センサ13を取り付け、検出した熱交換器の温度から温度差を求め、この温度差に基づき制御回路15から可動部材14に対して指令を送り、圧縮空間内の圧力が一定になるように可動部材をスライドさせる。また、駆動周波数が変化してピストンの振動周期が変化しても、コイル16に駆動周波数で電流を印加することで、ディスプレーサの共振周波数を駆動周波数に合わせることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シリンダ内部の空間に配設され該空間を圧縮空間と膨張空間とに仕切るピストンおよびディスプレーサを所定の位相差をもって往復運動させることにより前記空間内に封入された作動ガスを前記圧縮空間と前記膨張空間との間で往復させて冷熱を取り出すスターリング冷凍機において、前記圧縮空間と前記膨張空間との間を連通する作動ガスの流路の前記圧縮空間近くおよび前記膨張空間近くにそれぞれ配設され作動ガスと熱交換を行う高温側熱交換器および低温側熱交換器と、前記高温側熱交換器および前記低温側熱交換器にそれぞれ取り付けられた温度センサと、該温度センサにより検出された前記高温側熱交換器の温度と前記低温側熱交換器の温度と間の温度差に基づき前記圧縮空間内の作動ガスの圧力を制御するガス圧制御手段とを有することを特徴とするスターリング冷凍機。
【請求項2】 前記ガス圧制御手段は前記流路の前記圧縮空間側の開口部に近接あるいは該開口部から遠ざかることにより前記流路を通過する作動ガスの流量を調整する可動部材と、該可動部材の動作を制御する制御回路とからなることを特徴とする請求項1に記載のスターリング冷凍機。
【請求項3】 ディスプレーサの共振周波数をスターリング冷凍機の駆動周波数に合わせるように調整する共振周波数調整手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスターリング冷凍機。
【請求項4】 前記共振周波数調整手段は一端がディスプレーサに固定されピストンを貫通するととともに他端がスプリングを介してシリンダ底部に接続されたディスプレーサロッドに巻回されたコイルと、該コイルにスターリング冷凍機の駆動周波数で電流を印加する制御回路とからなることを特徴とする請求項3に記載のスターリング冷凍機。
【請求項5】 前記共振周波数調整手段は一端がディスプレーサに固定されピストンを貫通するディスプレーサロッドの他端とシリンダ底部との間を接続するスプリングの支持力を変化させる電磁石と、該電磁石に電流を印加する制御回路とからなることを特徴とする請求項3に記載のスターリング冷凍機。
【請求項6】 シリンダ内部の空間に配設され該空間を圧縮空間と膨張空間とに仕切るピストンおよびディスプレーサを所定の位相差をもって往復運動させることにより前記空間内に封入された作動ガスを前記圧縮空間と前記膨張空間との間で往復させて冷熱を取り出すスターリング冷凍機において、前記ピストンおよび前記ディスプレーサの動作時に前記ピストンおよび前記ディスプレーサの軸方向の端面から前記ピストンおよび前記ディスプレーサ内部へ作動ガスを一定量流入させ、前記ピストンおよび前記ディスプレーサの側面から前記ピストンおよび前記ディスプレーサ外部へ前記作動ガスを一定量流出させる気体軸受を前記ピストンおよび前記ディスプレーサに設けたことを特徴とするスターリング冷凍機。
【請求項7】 前記気体軸受は内部が中空になった前記ピストンおよび前記ディスプレーサの周囲を成す壁面に設けられ前記中空部分に連通するとともに前記壁面の外周部から伸び相対的に小さな断面形状を有する空洞と前記壁面の内周部から伸び相対的に大きな断面形状を有する空洞とが前記壁面の略中央部で連続的に結合した連通孔と、該連通孔に挿入され前記相対的に小さな断面形状を有する空洞の内径よりわずかに大きな外径を有する球体とからなり、前記連通孔の開口部を通気性を有する部材で覆ったことを特徴とする請求項6に記載のスターリング冷凍庫。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スターリング冷凍機に係り、特にスターリング冷凍機内部のディスプレーサおよびピストンの運動制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、家庭用の電気冷蔵庫などの冷却設備には、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを利用して冷熱を発生する方法が採用されている。しかし、この蒸気圧縮式の冷凍サイクルではフロンを作動媒体として使用しているため、冷蔵庫の解体時などに噴出するフロンガスによりオゾン層が破壊され、それによって有害な紫外線がオゾン層を透過して地上へ到達するといった環境問題が心配されている。そこで、このような蒸気圧縮式の冷却サイクルに代わる新しい冷却技術として近年、スターリング冷凍機が注目されている。このスターリング冷凍機は作動ガスとしてヘリウム、水素、窒素といった地球環境へ及ぼす悪影響がフロンに比べて極めて少ないガスを採用し、逆スターリングサイクルとして既知の熱力学的サイクルによって冷却のための冷熱を取り出すものである。
【0003】図4は従来のスターリング冷凍機の一例の概略的な断面図である。以下、このスターリング冷凍機の動作について図4を参照して説明する。内部に円筒状の空間を有するシリンダー1の前記空間内にディスプレーサ2およびピストン3を配設することにより、前記空間内に形成された圧縮空間6と膨張空間7との間に蓄冷材8を設けて閉回路を構成し、この閉回路の作動空間にヘリウム等の作動ガスを充填するとともに、前記ピストン3をリニアモータ(図示せず)等の外部動力によって軸方向に振動させる。ピストン3の振動は作動空間(前記圧縮空間6と前記膨張空間7を含む空間)に封入された前記作動ガスに周期的な圧力変化をもたらすとともに、前記蓄冷材8を通過するガスの流量変化によりディスプレーサ2に周期的な軸方向の振動力を生じさせる。
【0004】このようにして、ディスプレーサ2は、一端が該ディスプレーサ2に固定されるとともにピストン3を貫通するディスプレーサロッド4の他端とシリンダ底部との間に接続されたスプリング5により、ピストン3と同じ周期でかつ異なった位相でシリンダ1内を軸方向に往復運動することとなる。ディスプレーサ2およびピストン3が適当な位相差を保って運動するとき、前記作動空間封入された作動ガスは逆スターリングサイクルとして既知の熱力学的サイクルを構成し、主として膨張空間7に冷熱を発生する。尚、9は高温側熱交換器であり、圧縮空間6で作動ガスが圧縮されるときに、この高温側熱交換器9を介して外部へ熱を放出する。また、10は低温側熱交換器であり、膨張空間7で作動ガス膨張されるときに、この低温側熱交換器10を介して外部から熱を奪う。
【0005】以下に、その原理について簡単に説明する。ピストン3により圧縮された圧縮空間6内の作動ガスは蓄冷材8を経由して膨張空間7へ移動する際に、前記蓄冷材8が半サイクル前に蓄えていた冷熱を受け取り予冷される。大部分の作動ガスが膨張空間7に流入すると膨張が始まり、該膨張空間内7に冷熱を発生する。次に、作動ガスは逆の順序で蓄冷材8に冷熱を放出しながら流路を戻り圧縮空間6に入る。このとき、外部から熱を奪い外部を冷却する。そうして、大部分の作動ガスが圧縮空間6に戻ると再び圧縮が始まり次のサイクルに移行する。以上のようなサイクルが連続的に繰り返されることにより極低温の冷熱を得ることができる。従って、シリンダ1の前記膨張空間7側の先端付近に隣接して冷凍室を形成しておけば、該部で得られる冷熱によって前記冷凍室内に貯蔵した食品等の被冷却物を冷却することができる。通常、消費電力を最小とするために、スターリング冷凍機の駆動周波数とピストン3、ディスプレーサ2およびスプリング5からなる振動系の共振周波数を合わせるように設計している。
【0006】ところで、上記のような1シリンダ方式のスターリング冷凍機の構成では、大出力を得るために大きな駆動周波数で冷凍機を駆動させる場合、所定の位相差をもって往復運動するディスプレーサ2およびピストン3の振幅が大きくなるため、両者が衝突して破損したりする事故を招く恐れがある。
【0007】また、動作中のピストン3やディスプレーサ2がシリンダ1の内周面と接触するのを防ぐため、これらピストン3やディスプレーサ2の支持方法として、図5に示すように気体軸受を用いる場合、スターリング冷凍機の動作状態によっては、必要以上の作動ガスが、図中の矢印の如くピストン3やディスプレーサ2の軸方向の端面の気体軸受11から流入して側面の気体軸受12から流出したり、一旦気体軸受11から流入した作動ガスが逆流して同じ軸受11から流出したりして、圧縮空間6と膨張空間7との間を移動する作動ガスの流量のバランスが崩れ、スターリング冷凍機の冷却性能が低下する原因となる。
【0008】さらに、一度スターリング冷凍機を組み込んでしまうと、ディスプレーサ2の共振周波数等のシリンダ内部の状況を自由に調節することができず、経時的にディスプレーサ2の共振周波数とスターリング冷凍機の駆動周波数との間にずれが生じて所望の冷凍性能が得られなくなるという問題があった。
【0009】この問題に対処するため、ディスプレーサの共振周波数やシリンダ内部の作動空間のガス圧等を電気的に制御して前記共振周波数の変動を防止する方法が提案されている。例えば、特開平6−207757号公報に開示されているスターリングサイクル冷凍機は、図6に示すようにシリンダ1の外周面の一カ所に温度センサ22を配設し、該温度センサ22でモニタした温度情報に基づき制御回路23は必要な電力量を計算してアンプ24に指令を出し、その指令により該アンプ24はヒータ25または冷却ファン26に電力を供給してシリンダ1の温度調節を行うように構成されている。この制御ループを繰り返すことにより、作動ガスの温度を一定に保ち、作動ガスのばね定数を一定とすることで、ディスプレーサを含む振動系の共振周波数の変動を防止して、ピストン3を動作させるリニアモータの効率の低下を防ぐことが可能となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平6−207757号公報の方法では、作動ガスのばね定数を一定に制御することは可能であるものの、作動ガスのばね定数の制御のみで外部動力をもたないディスプレーサ2の共振周波数を充分に調製することはできない。よって、何らかの要因によりスターリング冷凍機の駆動周波数が変化した場合、動作中のピストン3の周期に変化をもたらし、ディスプレーサ2とピストン3との位相差に狂いが生じやすくなるという問題があった。このため、スターリング冷凍機の品質にバラツキが生じ、安定した冷凍性能を得ることが困難であった。
【0011】そこで、クランク機構による機械的な動力を用いてディスプレーサとピストンに強制的に位相差をもたせたるようにした方法もいくつか提案されている。しかしながら、このようなクランク機構を用いたスターリン冷凍機では、冷凍機自体の小型化が困難であり、省スペース化を要求される家庭用の冷蔵庫などにこの冷凍機を組み込むのは容積効率上非常に不利である。また、作動ガスのリークを防止するために作動空間の気密性を充分に確保しなければならず、このため、このようなスターリング冷凍機の構成部品の大部分はわずかな寸法や形状の狂いも許されず、加工の際に極めて高い精密度を要求されるのを免れ得なかった。この結果、製造コストの削減が困難であった。
【0012】本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、ディスプレーサとピストンとの衝突を容易に防止できるとともに、冷凍機の駆動周波数と振動系の共振周波数とを一致させることにより冷凍機を組み込んだ後からでも、ディスプレーサとピストンとの位相差を常に最適値付近で調製することができ、安定した冷却性能を得ることのできる省スペースなスターリング冷凍機を低コストで供給することを目的とする。また、ピストンやディスプレーサをシリンダ内部で支持するためにこれらピストンやディスプレーサに気体軸受を設けた場合でも、圧縮空間と膨張空間との間を移動する作動ガスの流量のバランスがとれ、冷却性能の劣化を防ぐことのできるスターリング冷凍機を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明では、シリンダ内部の空間に配設され該空間を圧縮空間と膨張空間とに仕切るピストンおよびディスプレーサを所定の位相差をもって往復運動させることにより前記空間内に封入された作動ガスを前記圧縮空間と前記膨張空間との間で往復させて冷熱を取り出すスターリング冷凍機において、前記圧縮空間と前記膨張空間との間を連通する作動ガスの流路の前記圧縮空間近くおよび前記膨張空間近くにそれぞれ配設され作動ガスと熱交換を行う高温側熱交換器および低温側熱交換器と、前記高温側熱交換器および前記低温側熱交換器にそれぞれ取り付けられた温度センサと、該温度センサにより検出された前記高温側熱交換器の温度と前記低温側熱交換器の温度と間の温度差に基づき前記圧縮空間内の作動ガスの圧力を制御するガス圧制御手段とを有する構成とする。
【0014】さらに、このガス圧制御手段は前記流路の前記圧縮空間側の開口部に近接あるいは該開口部から遠ざかることにより前記流路を通過する作動ガスの流量を調整するガス流量調整手段と、該ガス流量調整手段の動作を制御する制御回路とから構成されている。この構成によると、たとえディスプレーサやピストンの振幅が大きくなっても、高温側熱交換器と低温側熱交換器との温度差に基づき圧縮空間内の作動ガスの圧力が下がり過ぎないように該圧縮空間内の圧力が略一定に制御される。
【0015】また、本発明に係るスターリング冷凍機は、ディスプレーサの共振周波数をスターリング冷凍機の駆動周波数に合わせるように調整する共振周波数調整手段を有する構成とする。さらに、この共振周波数調整手段は、一端がディスプレーサに固定されピストンを貫通するととともに他端がスプリングを介してシリンダ底部に接続されたディスプレーサロッドに巻回されたコイルと、該コイルにスターリング冷凍機の駆動周波数で電流を印加する制御回路とから構成される。あるいは、一端がディスプレーサに固定されピストンを貫通するディスプレーサロッドの他端とシリンダ底部との間を接続するスプリングの支持力を変化させる電磁石と、該電磁石に電流を印加する制御回路とから構成される共振周波数調整手段とする。この構成によると、スターリング冷凍機の駆動周波数とディスプレーサの共振周波数との間にずれが生じても、ディスプレーサの共振周波数がスターリング冷凍機の駆動周波数に積極的に合わされ、両者のずれが修正される。
【0016】また、本発明では、シリンダ内部の空間に配設され該空間を圧縮空間と膨張空間とに仕切るピストンおよびディスプレーサを所定の位相差をもって往復運動させることにより前記空間内に封入された作動ガスを前記圧縮空間と前記膨張空間との間で往復させて冷熱を取り出すスターリング冷凍機において、前記ピストンおよび前記ディスプレーサの動作時に前記ピストンおよび前記ディスプレーサの軸方向の端面から前記ピストンおよび前記ディスプレーサ内部へ作動ガスを一定量流入させ、前記ピストンおよび前記ディスプレーサの側面から前記ピストンおよび前記ディスプレーサ外部へ前記作動ガスを一定量流出させる気体軸受を前記ピストンおよび前記ディスプレーサに設ける。
【0017】さらに、この気体軸受は内部が中空になった前記ピストンおよび前記ディスプレーサの周囲を成す壁面に設けられ前記中空部分に連通するとともに前記壁面の外周部から伸び相対的に小さな断面形状を有する空洞と前記壁面の内周部から伸び相対的に大きな断面形状を有する空洞とが前記壁面の略中央部で連続的に結合した連通孔と、該連通孔に挿入され前記相対的に小さな断面形状を有する空洞の内径よりわずかに大きな外径を有する球体とからなり、前記連通孔の開口部が通気性を有する部材で覆われた構成とする。この構成によると、球体が気体軸受内部で弁の役割を果たすことにより、該気体軸受を通過する作動ガスの流入・流出量のバランスが適切に保たれる。
【0018】
【発明の実施の形態】<第1の実施形態>本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係るスターリング冷凍機の一例の概略的な断面図である。尚、図1において、図4に示す従来のスターリング冷凍機と共通の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図1に示すように、高温側熱交換器9と低温側熱交換器10には、それぞれ熱電対等からなる温度センサ13が取り付けられており、該温度センサ13により検出された前記熱交換器の温度情報は制御回路15に送られる。制御回路15は送られてきた温度情報に基づき、必要に応じて圧縮空間6内に配設された可動部材14をシリンダ1の内周面に沿って摺動させる。この可動部材14は、シリンダ1内周面に設けられたガイドレール(図示せず)によってシリンダ1の軸方向に対する移動が案内され、圧縮空間6から膨張空間7へ向かう作動ガスの流路の入り口である高温側熱交換器9の開口部に近づけたり、該開口部から遠ざけたりできるようになっている。
【0019】今、高温側熱交換器9と低温側熱交換器10との間の温度差が予め設定した一定の範囲を有する値の上限より大きい場合、圧縮空間6内の作動ガスの圧力が低下してディスプレーサ2とピストン3が衝突する恐れがあるため、前記制御回路15は前記可動部材14を高温側熱交換器9の方へ移動させて、圧縮空間6から膨張空間7へ向かう作動ガスの流量を減少させることにより圧縮空間6内のガス圧を高い状態に保つ。これにより、ディスプレーサ2又はピストン3の振幅が小さくなり、ディスプレーサ2とピストン3が衝突する事態を回避できる。逆に、前記温度差が前記一定の範囲を有する値の下限より小さくなると、前記可動部材14を高温側熱交換器9から離れた位置に移動させて、圧縮空間6から膨張空間7へ向かう作動ガスの流量を増加させる。これにより、ディスプレーサ2又はピストン3の振幅を再び大きくすることができる。従って、このような可動部材14の動作を適切に制御することにより、圧縮空間6内の作動ガスの圧力を常に一定に保つことができ、ディスプレーサ2とピストン3との衝突を容易に防止できるので、スターリング冷凍機の信頼性が向上する。
【0020】図1において、4はアルミニウム等の金属材料で形成されたディスプレーサロッドであり、該ディスプレーサロッド4を芯としてコイル16が巻回形成されている。このコイル16にスターリング冷凍機の駆動周波数で制御回路17から電流を印加することにより、動作中のディスプレーサ2に、該ディスプレーサ2の運動方向に対して正の力あるいは負の力を与えてディスプレーサ2の共振周波数を変化させる。これにより、スターリング冷凍機の駆動周波数とディスプレーサ2の共振周波数との間にずれが生じた場合やスターリング冷凍機の駆動周波数を変化させる場合でも、前記共振周波数を前記駆動周波数に容易に一致させて、ディスプレーサ2とピストン3の位相差を常に最適値付近で制御することができる。その結果、常時安定して所望の冷凍性能を得ることができる。
【0021】<第2の実施形態>図2は本発明の第2の実施形態に係るスターリング冷凍機の一例の断面図である。図2において、図1に示す上記第1の実施形態に係るスターリング冷凍機と共通の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図2において上記第1の実施形態と異なる点は、ディスプレーサロッド4にコイルを巻回する代わりにスプリング5を電磁石18を介してシリンダ1の底部に固定していることである。この電磁石18に制御回路19から電流を印加することにより、前記スプリング5の支持力を変化させて動作中のディスプレーサ2の共振周波数を変化させる。これにより、スターリング冷凍機の駆動周波数とディスプレーサ2の共振周波数との間にずれが生じた場合やスターリング冷凍機の駆動周波数を変化させる場合でも、前記共振周波数を前記駆動周波数に容易に一致させることができ、ディスプレーサ2とピストン3との位相差を常に最適値付近で制御することができる。その結果、常時安定して所望の冷凍性能を得ることができる。
【0022】<第3の実施形態>本発明の第3の実施形態について図面を参照して説明する。図3は本発明の第3の実施形態に係るスターリング冷凍機の一例の要部拡大図である。図3に示すように内部が中空になったピストン3の周囲を成す軸方向の端面および側面にはそれぞれ弁構造体20、気体軸受21が設けられている。これらの弁構造体20、気体軸受21は前記中空部分に連通するとともにピストン3の外周面から伸び相対的に小さな断面形状を有する円筒状の空洞とピストン3の内周面から伸び相対的に大きな断面形状を有する円筒状の空洞とが略中央部で連続的に結合した連通孔20a,21aと、該連通孔に挿入され前記相対的に小さな断面形状よりわずかに大きな外径を有する球体20b,21bとからなり、前記連通孔の開口部を通気性を有するメッシュ状の金網20c,21cで覆った構成となっている。
【0023】以下、このピストンの動作について図3を参照して説明する。スターリング冷凍機を駆動させると、リニアモータ(図示せず)によりピストン3が所定の周期で往復運動する。このとき、図中の矢印Aで示すようにピストンの軸方向の端面の弁構造体20からピストン3内部へ作動ガスが流入する。そして、この作動ガスは矢印Bで示すようにピストン3内部の中空部分を通過してピストン3の側面の気体軸受21から流出する(矢印C)。これにより、ピストン3はシリンダ1の内周面との間に一定の間隔を保って動作するので、ピストン3がシリンダ1の内周面と接触して摩耗したりすることを防止できる。
【0024】ところで、弁構造体20、気体軸受21を通過する作動ガスの流量は、これら弁構造体20、気体軸受21の球体20b,21bの大きさや重量を変えることにより調整することができる。例えば、ピストン3端面の弁構造体20の球体20bの重さを比較的軽くしておくと、作動ガスは矢印Aの如く一方向からしか弁構造体20を通過できず、逆流防止の機能をもつ弁として作用する。一方、ピストン3側面の気体軸受21の球体21bの重さを比較的重くしておくと、ある流速に達するまでは作動ガスが前記球体21bを押し上げて連通孔をふさぐ力よりも前記球体21bの重力が打ち勝つので、作動ガスは連通孔の相対的に大きい開口側から気体軸受21を通過することができる。よって、上述した作動ガスの流入・流出のバランスがうまくとれるように弁構造体20、気体軸受21を調整することにより、作動空間のガス圧の大幅な変動を防止でき、スターリング冷凍機の冷凍性能の劣化を防ぐことが可能となる。尚、本実施形態ではピストンに弁構造体や気体軸受を設ける場合について説明したが、ディスプレーサにこれらを設けてもよい。この場合は、スターリング冷凍機の冷凍性能の劣化をさらに効果的に防止できる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るスターリング冷凍機によると、圧縮空間と膨張空間との間を移動する作動ガスの流路の圧縮空間側の開口部近くに可動部材を設け、該可動部材の移動を外部から制御することにより、前記流路を通過する作動ガスの流量を調節して圧縮空間内の作動ガスの圧力を常に一定に保つことができ、ディスプレーサとピストンとの衝突を容易に防止できる。また、スターリング冷凍機の駆動周波数が変化して、該駆動周波数で動作するピストンの周期が変化しても、ディスプレーサの共振周波数を前記駆動周波数に合わせることできるような機構をディスプレーサに設けたことにより、ピストンとディスプレーサとの位相差を常に一定に維持することができる。その結果、常時安定して所望の冷凍性能を得ることができる。
【0026】また、動作中のピストンやディスプレーサの軸方向の端面から作動ガスを流入させ、側面から流出させるようにこれらピストンやディスプレーサに気体軸受を設け、作動ガスの流入・流出のバランスがうまくとれるように前記気体軸受の構造を調整したので、動作中のピストンやディスプレーサがシリンダの内周面と接触するのを防げるとともに、圧縮空間と膨張空間を含む作動空間内のガス圧の大幅な変動を防止でき、スターリング冷凍機の冷凍性能の劣化を防ぐことが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成11年6月9日(1999.6.9)
【代理人】 【識別番号】100085501
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 静夫
【公開番号】 特開2000−346476(P2000−346476A)
【公開日】 平成12年12月15日(2000.12.15)
【出願番号】 特願平11−162085