トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F25 冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒ−トポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化




【発明の名称】 蒸気圧縮式冷凍サイクル
【発明者】 【氏名】角田 正隆

【要約】 【課題】現在使用のフロンはオゾン層の破壊の原因となるので、例えば、二酸化炭素CO2が冷媒として研究されているが、フロンに比べて臨界温度が高いことである。これら超臨界状態における冷凍サイクルにおいて、内部熱交換器を取り付けることで、急激な温度上昇を伴い、この温度上昇が潤滑油の劣化や圧縮機の破損の原因となる。

【解決手段】超臨界冷凍サイクルにおいて冷凍効果の維持と冷媒の過熱化よる圧縮器の破損防止、従来型の内部熱交換器を有する単圧縮単膨張冷凍サイクルに、圧縮機に吸入される冷媒温度測定する温度センサーと、温度センサーの温度測定結果を受けて温度内部熱交換器を流れる冷媒量を調整する三方弁を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超臨界サイクルでの蒸気圧縮式空気調和システムにおいて、(1)圧縮機、ガス冷却器、内部熱交換器、蒸発器、膨張弁、三方弁および温度センサーを有する蒸気圧縮式装置構造をもち、(2)圧縮機による圧縮過程、ガス冷却器による冷却過程、内部熱交換器による高圧側冷媒と低圧側冷媒との熱交換過程、膨張弁による膨張過程、蒸発器による蒸発過程、内部熱交換器による高圧側冷媒と低圧側冷媒との熱交換過程、および圧縮器による圧縮過程、の冷凍サイクルに加え、(3)圧縮機から吐出される圧縮冷媒の高圧化による温度急上昇を抑えるために、圧縮機の吸入側の冷媒温度を温度センサーで測り、低圧側の内部熱交換器吸入側と蒸発器吐出側の経路間に三方弁を設け、温度センサーの温度状況に応じて三方弁のバイパス側経路の開度によって内部熱交換器に流れる冷媒量を調整し、圧縮機吸入冷媒の温度上昇を制御する三方弁と温度センサーによる冷媒の温度調整機能を有することを特徴とする蒸気圧縮式冷凍サイクル。
【請求項2】 圧縮機、ガス冷却器、内部熱交換器、蒸発器、膨張弁、三方弁および温度センサーを設けたものにおいて、低圧側の内部熱交換器吸入側と蒸発器吐出側の経路間に設けられた該三方弁及び圧縮機の吸入側の温度上昇を制御する為に該吸入側に設置された温度センサーにより三方弁を制御する調整機構を設けたことを特徴とする超臨界サイクルでの蒸気圧縮式冷凍装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用、業務用あるいは家庭用の空調システムに好適に用いられる、超臨界状態における冷凍サイクル、およびそれを利用した空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在は広くフロンガス(炭素C、フッ素F、塩素Clの化合物の総称で、頭文字をとってCFCとよぶこともある)が用いられている。ところが今日、オゾン層の破壊防止や地球温暖化防止が世界的に求められるようになってきている。フロンも大気環境を破壊する物質として、使用見直しが叫ばれている。その一つとして、蒸気圧縮式冷凍装置の技術分野では冷媒の脱フロン対策の一つとして、たとえば二酸化炭素(CO2)を使用した蒸気圧縮式冷凍サイクル(以下、“CO2サイクル”と記述)が提案されている。
【0003】冷凍機として一般に広く用いられているのが蒸気圧縮式冷凍装置である。この装置の構造を図1に、この装置を用いた冷凍サイクルを図2に示す。この冷凍空調装置は、圧縮機101、ガス冷却器102、膨張弁104及び蒸発器105を有し、超臨界冷凍サイクルで、例えば、二酸化炭素冷媒を圧縮機101、ガス冷却器(放熱器)102→膨張弁103→蒸発器105→圧縮機101と矢印に示すように循環させて室内の冷房等の空調を行っている。
【0004】図2はp−h線図(モリエル蒸気圧線図、略してモリエル線図)を表し、図2のA、B、C、Dは、図1のそれぞれの点に対応した冷媒の状態を表している。通常運転では、圧縮機101で(冷媒を例えばCO2冷媒として)、CO2冷媒を圧縮して飽和液線Se及び飽和蒸気線Svの臨界点を越えた圧力P2(kg/cm2 abs)まで圧縮する(図2のA→B)。次いで、この圧縮されたCO2冷媒をガス冷却器102で大気に放熱し(図示しないモータファンによる)(図2のB→C)、更にこの放熱されたCO2冷媒を膨張弁103で等エンタルピ線に沿って、膨張させ圧力降下させる(図2のC→D)。この圧力降下により、湿り蒸気となったCO2冷媒を蒸発器104で気化し室内を冷却する。
【0005】なお、ガス冷却器は凝縮器とも呼ぶ。通常の冷凍サイクルでは、飽和蒸気圧以下の温度に冷却されるために、ガス状の冷媒は液相化するので、凝縮器とよばれる。しかし、超臨界状態では冷媒は液化しないために、この装置を凝縮器とよばずにガス冷却器または放熱器とよぶ。基本的な機能の違いはないために、ここではとくに使い分けはしない。また受液器は2相化(液体と気体の混合状態化)した冷媒を液体とガス(気体)に分けることから、気液分離器ともよばれる。ここでは、受液器で統一して使用する。
【0006】圧縮過程(A→B)および膨張過程(C→D)は断熱変化であるから、冷凍システム外からの熱の流入はない。しかし、圧縮過程では圧縮機の冷媒圧縮が行われるために、圧縮機の行った仕事が冷媒の熱量(モリエル線図のエンタルピ)を増加させ、図2に示すように右上がりのグラフとなる。したがって、熱量h1とh2を比較すると、h2>h1の関係が成り立つ。ここで、冷凍機の性能を示す尺度として、一般に成績係数εが用いられる。すなわち、成績係数εは、ε=冷凍熱量/圧縮仕事=h1/(h2−h1
=h1/hwで表される。成績係数εを上げるには、圧縮仕事hw(=h2−h1)を減らすか、冷凍熱量h1を上げればよいことになる。一方。冷凍効果qは冷凍の対象となる物質(通常、閉空間の空気)からどれだけ熱量を奪ったかを表す指標で、q=hA−hD=h1で表される。
【0007】熱量h1を高めるための一つの方法として、内部熱交換方式がある。この方法は図3に示すように、凝縮過程および蒸発過程を終えた冷媒を接触させることによって、双方で熱交換を行い、h1の熱量を増加させるものである。図3において、各記号は以下の意味を持っている。
A´ :圧縮機101吸入前の冷媒状態B´ :圧縮機101吐出後の冷媒状態C´ :膨張弁103吸入前(入口側)の冷媒状態D´ :膨張弁103吐出後(出口側)の冷媒状態△h :内部熱交換によって出入りする熱量△h´:内部熱交換のない場合に比べて、圧縮機101により圧力p1からp2まで圧縮されたときの冷媒の増加熱量矢印 :冷媒の流れの向きを表している。
【0008】図4は、図3の冷凍装置に対する冷凍サイクルを表している。図4における実線で示した冷凍サイクルABCDは内部熱交換器106のない場合であり、破線で示したサイクルA´B´C´D´(一部は実線ABCDと重複)は図4のように内部熱交換器を取り付けた場合である。CがC´にずれているのは内部熱交換器106によって凝縮(冷却)ずみの冷媒が熱量を失ったためであり、その熱量△hは△h=hC−hC´である。一方、定状状態でのAからA´の変化は、凝縮ずみ冷媒が放熱した熱量を蒸発ずみ冷媒が吸収したものであるから、hA´−hAは△hに等しい(後記の(注1)参照)。ところが、圧縮機101で気圧をp1からp2に上げたとき、AではT1に温度上昇しても、A´ではT1にならず、それより高い温度T2になる。しかも通常、△h´=hB´−hB>△hである。内部熱交換によって得たAとA´間の熱量hAA´(=△h)は冷却に寄与しない(図4のD´→Aの部分が蒸発器による冷却の領域であるから)。また仕事の増加分△h´−△hを考慮すると、図3のような内部熱交換器106のあるシステムにおける成績係数εは、 ε=(h1+△h)/{(h2−h1)+(△h´−△h)}………[式1]
となる。もし△h´=△hなら、成績係数は単純に ε=(h1+△h)/(h2−h1) ………[式2]
となり、成績係数の単純な増加が見込める。しかし、通常△h´>△hであるから、単純に[式2]のような成績係数の増加にはつながらない。通常、△h>(△h´−△h)であるから成績係数の増加は期待できる。このため、もっとも成績係数が最大となる内部熱交換を行う必要がある。もちろん、冷却効果(単純な熱量の変化(=hA−hD´=h1+△h))は増大する。
【0009】(注1)内部熱交換器で熱交換される総熱量が等しいのであって、必ずしも低圧側で吸熱するエンタルピ(hA´−hA)が高圧側で放熱するエンタルピ(hC−hC′)すなわち△hになるとは限らない。しかし、通常の運転(定状状態での運転)においては、内部熱交換器を通過する冷媒の単位時間あたりの流量が高圧側と低圧側で変わらないため、双方のエンタルピが等しいとしている。
【0010】内部熱交換器を有する臨界領域での冷凍サイクルにおいての一つの問題点は、図4においてA点(圧力p1)からB点(圧力p2)にガス圧を上げるときと、A´点からB´点に気圧を上げるときとでは、同じp1からp2への気圧の変化ではあるが、温度が後者の場合の方が高くなる。図の例ではT2−T1(T2>T1)だけ高くなっている。すなわち超臨界状態では冷媒が高温状態になる恐れがあり、潤滑油の劣化や圧縮機破損の原因となる危険性をもっている。一方、高熱化を防ぐために過熱度を低くし、飽和蒸気圧線Svよりも低くし過ぎると、圧縮機に液相冷媒が流れ込み、これもまた圧縮機の破損につながる。したがって、一般にはわずかに飽和蒸気線Svより右の状態で運転する。どの程度の状態にするかは、冷凍効果と成績係数との兼ね合いになる。
【0011】この問題を解決する方法として、『蒸気圧縮式冷凍サイクル』(特開平10-115470)ではセンサーと膨張弁を2個設けた、超臨界状態でのCO2冷凍サイクルを提唱している。図5は、上記冷凍サイクルの構造を示している。第1膨張弁1041によって減圧をし、2相状態を作り出す。このとき、温度センサー1081および圧力センサー109で放熱器102(ガス冷却器)からの吐出ガスの温度と圧力を測定し、制御装置110で第1膨張弁1041の開度を決定し、最適制御線を算出している。これによって、冷凍効率(成績係数)が最適値になるように工夫されている。一方、第2膨張弁1042は、圧縮機101のCO2の過熱度が所定値になるように調整する働きを持っている。圧縮機の吸入側のCO2を温度筒1082で取り込み、温度変化を感知して第2膨張弁1042に伝え、第2膨張弁の開度を調整している。これによって、液相状態のCO2が圧縮機に流入しないように制御している。この例では、サイクルの効率を高く維持しつつ、圧縮機の損傷の防止を目的としているが、装置を複雑となりコスト高である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、超臨界状態(例えば、CO2冷媒の冷凍サイクル)での空調装置で、大気に熱放出を行うものにあっては、外気温が30℃以上になる時でも、所定の冷凍能力を確保するために、高い吐出圧力が得られる圧縮機が必要となる。
【0013】冷凍効果を維持するには、より一層、高圧にガス圧縮し、ガス冷却器で多くの放熱を必要とする。通常、ガス冷却器は外気で冷却する。したがって、最大でも外気温以上には冷媒を冷却できない。図6を用いて具体的に説明しよう。図において、まず外気温が臨界温度Tk(CO2冷媒ではTk=31.1℃)であり、ガス冷却器で臨界温度Tkまで下げられたとしよう。そのときの冷凍サイクルはABCDとなる。一方、内部熱交換があり、高圧側で熱量△hだけ下がられ、C点がGに移り、冷凍サイクルがEFGHになったとする。
【0014】つぎに外気温がT3(>Tk)に上昇したとしよう。このとき、C点はC″に移る。冷凍サイクルはABCDからABC″D″となり、冷凍効果はh1からh1´に落ちることになる。たとえば図6において、h1=hA−hD、h1´=hA−hD″、h1´<h1の関係式が成り立つから、外気温度が上がれば上がるほど、冷凍効果が低下し、十分な冷凍ができなくなる。なお、外気温度がT3のときの内部熱交換器を有する冷凍サイクルはEFG″H″で示してある。
【0015】そこで外気温度が上昇したときにも同じ冷凍効果を上げるには、圧縮機で高圧側の冷媒(ガス)をp2からp3に圧力を上げることによって高温高圧にし、ガス冷却器で放熱量を増やす必要がある。そのサイクルをAB´C´Dとすると、同じ冷凍効果h1が得られる。もちろんこのとき、圧縮機の仕事が増えているので冷凍性能は低下する。もう一つの問題点は、ガス冷却後の冷媒温度T3が臨界温度Tk以上であるために、液相を作らないことである。このため、受液器に液溜めができない。液が蒸発器で蒸発(気化)するときの気化熱を冷凍しようとする物質から熱を奪うことによって冷凍を行う。膨張弁で減圧して2相化しても、このとき超臨界状態の気相部分が大量に蒸発器に流れ込み、液相部分の密度を薄くしてしまう。なぜなら、超臨界状態の気体は、密度が液体の密度と同じであるが、性質は気体のままであるからだ。
【0016】内部熱交換器を取り付けることによって、高圧側の温度をさらに落とし、図6の例のようにT3から臨界温度Tkにすることができる(G´点参照)。その反面、低圧側の増加熱量は△h(E点参照)であっても、圧縮機で圧縮されたあとの高圧側の温度がT7(>T5かつ>T6、F´点参照)となり、急激な温度上昇を伴うことである。この温度上昇が潤滑油の劣化や圧縮機の破損の原因となる。
【0017】以上の点に鑑み、発明が解決しようとする課題は、超臨界状態における冷凍サイクルにおいて、従来の冷凍サイクルと同様に冷凍能力を実現し、なおかつ冷媒の温度上昇を抑え、圧縮機の防止を実現することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明では内部熱交換器と内部熱交換器に流れ込む冷媒流量を制御する三方弁を設ける。その構造は以下の通りである。超臨界サイクルでの蒸気圧縮式空気調和システムにおいて、圧縮機、ガス冷却器、内部熱交換器、蒸発器、膨張弁、三方弁および温度センサーを有する蒸気圧縮式冷凍サイクル及び装置とする。
【0019】上記の基本構造での、通常の冷凍サイクルすなわち圧縮機に流れ込む冷媒の温度が所定温度以下の場合は従来と同様に、圧縮機による圧縮過程、ガス冷却器による冷却過程、内部熱交換器による高圧側冷媒と低圧側冷媒との熱交換過程、膨張弁による膨張過程、蒸発器による蒸発過程、内部熱交換器による高圧側冷媒と低圧側冷媒との熱交換過程、および再度圧縮機器による圧縮過程、の冷凍サイクルをする。このときは、三方弁のバイパス経路側の弁は閉じているために、従来の冷凍サイクルと同じ冷媒の流れとなる。
【0020】本発明の特徴とするところは、温度センサーを圧縮機の冷媒吸入側に取り付け、圧縮機に吸入される冷媒温度を測定し、温度センサーの温度の高低によって三方弁のバイパス経路側の弁と内部熱交換器側の弁の開閉度合いを調整し、蒸発器から吐出される冷媒のうち、内部熱交換器流れ込む流量を制御することである。すなわち、あらかじめ温度センサーの温度と三方弁のバイパス経路側の弁の開度を設定しておき、温度が所定の温度以上になったときには、その温度によってバイパス経路側弁を開いて、内部熱交換器に流れ込む冷媒流量を減らすように制御する。これによって、圧縮機による圧縮温度の上がりすぎを防ぎ、高熱による潤滑油の劣化防止、圧縮機の破損防止を行う。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。本発明の実施例の一つとして図7の回路構成図を挙げる。図8は図7に対応した冷凍サイクルである。なお、本発明の冷凍サイクルは実線で示すA→B→C→D→Aである。従来との比較のため、破線(一部、実線と重複)で示す内部熱交換器を有しない単圧縮単膨張冷凍サイクル(図1、2参照)
A´→B´→C´→D´→A´と、一点破線(一部、実線と重複)で示す内部熱交換器のみを有する冷凍サイクル(図3、4参照)
A″→B″→C″→D″→A″も載せてある。なお、内部熱交換器のみの場合には内部熱交換により、高圧側(B、C側)では冷媒が熱量△h″(=hC´−hC″)を奪われてC´はC″に移り、低圧側(A、D側)では冷媒が△h″(=hA″−hA´)を吸収してA´がA″に移る(定状運転時)。このため、圧縮機で圧縮して吐出される乾いた蒸気(ガス)が高温(図8ではT6)となるために問題であるというわけである。そこで、本発明では以下のように制御している。
【0022】まず圧縮機101の吸入側の冷媒温度がTAとする。この状態で気圧をp1(=pA)からp2(=pB)に上げ、圧縮ガス(乾いた気相状の冷媒)の温度がT5(=TB)になる。圧縮ガスはガス冷却器102で等圧条件下で冷却され、潜熱TB´−TC´を失って温度T3(=TC´)まで下げられる。カーエアコンや一般の空調機ではファン1071で外の空気が吹き付けられ、潜熱を奪った空気は外部に捨てられる。したがって、冷媒は外気温度以上には下げられない。内部熱交換器のない単圧縮単膨張冷凍機では、外気温度がToutとしたとき、冷却できる温度T3(図8のC´参照)はTout以上ということになる。T3が臨界温度Tkより高いとすれば、状態C´の冷媒は超臨界状態にあり、これを単純に膨張弁で減圧して2相状態にした場合、蒸発器105に大量のガスが流れ込み、冷凍効果を落とす可能性がある。そこで、膨張弁104を通過させる前に内部熱交換器106を通してさらに潜熱△hを奪い、温度をT2(=TC)まで下げる。このときのT2は臨界温度Tk以下が好ましい。
【0023】状態Cの冷媒を膨張弁104で圧力p1(=pD)まで断熱状態で減圧することによって、2相状態Dを作り出すことができる。この冷媒を蒸発器105で液相部分を等圧条件下で蒸発すると、状態A´となる。状態A´の冷媒は経路PIから三方弁112で吸入され、一部は内部熱交換器106に向かう経路PO1を流れ、一部は内部熱交換器をバイパスする経路PO2を流れる。高圧側から流れ込む冷媒(状態C´の冷媒)が失った熱量△hを低圧側の冷媒(状態A´の冷媒)が吸熱することになるから、圧縮機101に吸入される直前の冷媒は状態Aとなる。この冷媒Aが圧縮機で圧縮されて再び状態Bに戻る。すなわち、本発明下の冷凍サイクルは単純にA→B→C→D→Aと記したが、正確には、A→B→C´→C→D→A´→Aのような状態変化をしている。
【0024】本発明と、内部熱交換器のみを有する冷凍サイクルとの違いは、蒸発器105と内部熱交換器106の間に三方弁112を用いて、内部熱交換器に流れ込む低圧側の冷媒量を調整し、圧縮機101に吸入される冷媒温度を制御していることである。この制御の仕方は、圧縮機に吸入される冷媒温度を温度センサー108で測定し、その温度によってバイパス経路PO2側の、三方弁の弁をあらかじめ決められた割合で開放することによって行う。すなわち、以下のような制御となる。
(1)ガス冷却器によって高圧部の冷媒温度を臨界温度以下(T3<Tk)に下げられるようなときには、三方弁のバイパス経路側の弁は閉じ、蒸発器を通過した低圧側の冷媒はすべて内部熱交換器に向かう。このときの冷凍サイクルは内部熱交換器を有する冷凍サイクル(図8のA″B″C″D″サイクル)と同じになる。
(2)ガス冷却器によって高圧部の冷媒温度を臨界点温度より高く(T3>Tk)なり、なおかつ高圧側の圧縮ガス温度がT6が所定の温度以上になり、冷凍サイクルにおいて潤滑油の劣化や圧縮機の破損につながると予想される場合には、三方弁のバイパス経路側の弁を圧縮機に吸入されるガスの温度によって開度を決定する。本発明では圧縮ガス温度を測るのではなく、圧縮前のガス温度を測定している。それには、二つの理由がある。一つの理由は、断熱圧縮において圧縮前の冷媒温度と圧力p1および圧縮後の圧力p2が分かれば、モリエル線の特性から高圧側の温度が割り出せるからである。もう一つの理由は、圧縮後の温度測定では実際に所定の温度以上になった状態を測るために、破損防止という観点から手遅れになる危険性があるからである。従って、本発明では圧縮機に吸入される直前の冷媒温度を測定している。内部熱交換器に流れ込む冷媒量を減らすことによって、内部熱交換器で熱交換される総熱量は減り、図8で示したABCDのサイクルとなる。内部熱交換器のみのときにはA″B″C″D″サイクルであったから、交換熱量は△h″(=hC´−hC″)から△h(<△h″)に減少することになる。この内部熱交換量の減少分(△h″−△h)だけ冷凍効果は減少することになるが、圧縮機による圧縮ガスの温度がT6(=TB″)からT5(=TB<T6)に下げられ、本発明が目的とする圧縮機の破損防止が実現する。
【0025】なお、経路PIを流れる冷媒流量をW、流量Wが内部熱交換器にすべて流れたときの交換熱量を△Qt、三方弁のバイパス側の弁が開いているときに経路PO1と経路PO2に流れる冷媒流量の割合をm対n(m、nは0以上)とした場合、内部熱交換で交換される熱量△Qは、内部熱交換器に流れ込む冷媒量に依存するから△Q=△Qt・m/(m+n)
に減少する。すなわち、エンタルピ△hは△h=△Q/W={△Qt・(m/(m+n)}/Wとなる。上式からも分かるように、経路PO1に流れ込む冷媒流量の割合mが減るに従ってエンタルピ△hは減少する。PO2側の弁を全開にし、PO1側の弁を完全に閉じた場合にはm=0であるから、内部熱交換器がない場合と同じ状態すなわち△h=0になり、冷凍サイクルABCDは内部熱交換器を有しない冷凍サイクルA´B´C´D´になる。またPO2側の弁を完全に閉じた場合はn=0となるから、内部熱交換器のみの冷凍機と同じ状態すなわち△h=△Qt/Wとなり、冷凍サイクルABCDは冷凍サイクルA″B″C″D″となる。したがって、PO1およびPO2の弁の開度でエンタルピ△hが制御できる。
【0026】図3に挙げた内部熱交換器のあとに受液器を備えた冷凍サイクルに対応して、本発明の実施例の一つとして図9に挙げておく。受液器103を備えていること以外は図7の冷凍サイクルと同じであり、基本的な冷凍サイクルは図8と同じなので詳細は省略する。
【0027】
【発明の効果】前記したように、現在の冷凍サイクルの冷媒として、広くフロンが用いられている。フロンの特徴は化学的に安定した物質であり、臨界温度が高いことである。このため、夏場でも安定した冷凍サイクルを容易に作り出すことができる。ところがフロンは、オゾン層の破壊や地球温暖化の原因となるということで、世界的に使用基準が見直されようとしている。そこで現在、フロンに代わる冷媒の一つとして、二酸化炭素CO2が冷媒として研究されるようになってきている。しかしCO2サイクルは、フロンに比べて臨界温度が高いことである。CO2の臨界温度は約31℃。夏場の日本の気温はゆうに30℃を超える。カーエアコン(家庭用エアコンも同様)の冷媒としてCO2を使用するとなると、30℃以上の外気でガス冷却器を冷やさなけらばならない。とくにカーエアコンの場合、圧縮機の動力はエンジンから得るために、圧縮機とエンジンが一体型の構造となり、ガス冷却の大気温度は臨界温度以上になってしまう。その結果、臨界温度を超す超臨界冷凍サイクルでの運転となってしまい、十分な冷凍(冷房)効果が得られない。
【0028】この解決方法として、内部熱交換によって高圧側の冷媒をガス冷却器と内部熱交換器による2段階冷却が考えられているものの、この方式では 圧縮機吸入側の冷媒温度が上昇し、その結果、圧縮後の冷媒温度が過熱化する恐れがあり、それを防止したのが、本発明の三方弁制御であって、この制御法は、低コスト、小型化を要求される現在の冷凍機にとって効果的であり、フロンに代わる超臨界冷凍サイクルを余儀なくされる冷媒に対して将来的に有効なものである。
【0029】更に、本発明を用いる効果を述べれば、以下の通りである。超臨界冷凍サイクルにおいても、内部熱交換器によって高圧側の冷却温度を下げることが可能であり、冷凍効果を維持することができる。一方、ガス冷却器での冷却が低下し、しかも、内部熱交換器によって冷媒間の交換熱量が増加しすぎると、低圧側の圧縮機に吸入される冷媒温度が上がりすぎ、圧縮後の冷媒温度が過熱し、潤滑油の劣化や圧縮機の破損を招く。この冷凍機の故障発生の原因となる冷媒温度の過熱化を温度センサーが感知し、三方弁のバイパス経路側の弁の開度を上げ、内部熱交換器による冷媒間の交換熱量を減少させ、冷媒温度の過熱化を抑え、冷凍機の故障を防止することができる。
【0030】本発明は内部熱交換器、温度センサー、三方弁という装置を追加するだけで、冷凍効果の一層の維持向上と冷媒の過熱防止を可能にしている。このため、コスト的にも効率的で、しかも小型の冷凍装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
【出願日】 平成11年6月2日(1999.6.2)
【代理人】 【識別番号】100108888
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 紘一 (外2名)
【公開番号】 特開2000−346466(P2000−346466A)
【公開日】 平成12年12月15日(2000.12.15)
【出願番号】 特願平11−155235