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【発明の名称】 空気調和機
【発明者】 【氏名】藤林 一朗

【氏名】稲垣 信夫

【氏名】小井土 康裕

【氏名】寺井 憲治

【要約】 【課題】ドライヤの取り外し作業を不要にして取り扱いを容易にし、また、冷凍サイクルが単純であり余分なスペースが不要でコンパクト化が図れる空気調和機を提供する。

【解決手段】圧縮機と、室外熱交換器と、室内熱交換器と、これらを結ぶ管路と、この管路に介在して水分を除去するドライヤとを備え、冷媒としてHFC系冷媒、冷凍機油としてポリオールエステル系冷凍機油を用いて冷凍サイクルを構成する空気調和機において、ドライヤ5を外側管9と、この外側管9内にあって冷媒の主流路となる内側管10とからなる二重管構造とし、これら外側管と内側管との間に乾燥剤11を封入する構造とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機と、室外熱交換器と、室内熱交換器と、これらを結ぶ管路と、この管路に介在して水分を除去するドライヤとを備え、冷媒としてHFC系冷媒、冷凍機油としてポリオールエステル系冷凍機油を用いて冷凍サイクルを構成する空気調和機において、前記ドライヤを外側管と、この外側管内にあって冷媒の主流路となる内側管とからなる二重管構造とし、これら外側管と内側管との間に乾燥剤を封入することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】 前記ドライヤの内側管の両端部と外側管の両端部との間に多孔性部材を介在させ、この多孔性部材の間に乾燥剤を封入することを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】 前記多孔性部材の孔径を摩耗粉より小径とすることを特徴とする請求項2記載の空気調和機。
【請求項4】 前記乾燥剤と多孔性部材との間に摩耗粉より小径の孔径を有するフイルタを介在させることを特徴とする請求項2記載の空気調和機。
【請求項5】 前記多孔性部材の片側もしくは両側に弾性体を介在させ、乾燥剤に圧縮力を付加することを特徴とする請求項2もしくは3記載のいずれかの空気調和機。
【請求項6】 前記多孔性部材を弾性体で構成し、乾燥剤に圧縮力を付加することを特徴とする請求項2もしくは3記載のいずれかの空気調和機。
【請求項7】 乾燥剤を流れる冷媒量の調整を行うための流量調整手段を多孔性部材の片側もしくは両側に設けることを特徴とする請求項2もしくは3記載のいずれかの空気調和機。
【請求項8】 前記流量調整手段は、平板に孔を設けたオリフィスとすることを特徴とする請求項7記載の空気調和機。
【請求項9】 前記流量調整手段は、平板の内側管もしくは外側管と接触す内周もしくは外周面に溝を設けてオリフィスとすることを特徴とする請求項7記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷媒としてHFC系冷媒を用い、冷凍機油にポリオールエステル系冷凍機油を用いる空気調和機に係り、特に家庭用として好適な空気調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、家庭用空気調和機の冷媒にはR22を、冷凍機油は鉱油にを用いており、これは、水分に対して比較的強い系であり、現状では冷凍サイクル中に水分除去のための乾燥剤をいれる必要はほとんどない。しかし、地球環境保護の点から、空調調和機用冷媒には従来のHCFC系のR22から、HFC系のものに移行しつつある。HFC系はHCFC系の冷媒と分子の分極状態が異なるため鉱油の冷媒に対する相溶性が低く、冷凍サイクル内での油戻り性が低下するため、冷凍機油として従来の鉱油を用いることはできない。そこで、必要な溶解度をもつ冷凍機油として、ポリオールエステルなどの人工合成油が用いられている。
【0003】しかし、特にポリオールエステル系の冷凍機油は加水分解性が大きく、冷凍サイクル中に水分があると、これと反応して、脂肪酸とアルコールとに分解する。この分解生成物は直接、摺動部を侵すほか、さらに反応して沈殿物となり、サイクル内に付着してサイクル詰まりの原因となる。
【0004】家庭用空気調和機は室内機と室外機とを分離して、それぞれ部屋の内外に設置し、施工時現地において接続用の銅管を用いて接続作業を行うのが一般的であり、工場内でサイクルを完成させて出荷する製品(たとえば冷蔵庫)等に比らべると、この接続配管内の水分も含め冷凍サイクル内に水分が侵入する可能性はきわめて大きい。したがって、サイクル運転後の水分除去は必須となる。
【0005】ところが、冷凍サイクルの本流の中に乾燥剤を入れると、特に冷媒流速の速いガス冷媒が乾燥剤を通過する時に乾燥剤本体がこすれて磨耗粉が発生し、これがサイクル内の詰まりや異常磨耗の原因となっている。空気調和機においては、冷房/暖房の各運転状態によって、冷媒の流れ方向及び、気相/液相の状態が逆転する。このため、冷房、暖房のいずれかの運転状態で磨耗が発生しないように取り付けられた乾燥剤でも、もう一方の運転状態になると磨耗が発生することになる。
【0006】磨耗を発生させない技術としては、たとえば特開昭54−24348号公報に記載のように、据え付け直後、液冷媒が流れるように乾燥剤の入ったドライヤを取付け、もう一方の運転状態(たとえば冷房運転時に取り付けた時には暖房運転時)を開始する前に、取り外す方法がある。
【0007】また、別の方法としては、発生する摩耗粉をドライヤ内部に閉じ込めるため、ドライヤの入り口にフィルタを設けたものとして、たとえば、特開平8−219593号公報に記載のものがある。
【0008】さらに、冷媒本流に並列に冷媒の分岐回路を設け、ここに流量制御装置(膨張弁、キャピラリチューブなど)及びドライヤを取り付け、冷媒流速を下げるとともに、流量制御装置の圧損効果によって気液分離効果をもたせ、ドライヤ内に液冷媒を流す技術として、特開平9−159325号公報に記載のものがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、空気調和機の設置時の運転状態と異なる運転状態になる前に、ドライヤを取り外すため、製品の据え付け完了一定時間後に再度の取り外しのサービスを行うことが必要となる。家庭用の空気調和機ではメンテナスフリーが原則であり、一度据え付られたものに対して、再度、取り外し作業を行うということは好ましくない。
【0010】また、冷凍サイクル内に直接ドライヤを挿入し、フィルタを取り付けて摩耗粉の発生を防止する場合、ドライヤ内に挿入されるフィルタとしては、金属製フィルタ、グラスウール、ポリエステルなどの樹脂等があるが、いずれも、細かい磨耗粉を捕らえようとするとフィルタが厚くなり、大型かつ高価となるとともに、フィルタ部分での圧力損失が大きくなって性能低下をきたす。さらに磨耗粉によってフィルタが詰まった場合には、サイクル詰まりとなることについて配慮されていない。
【0011】さらに、分岐回路を設け、分岐回路にドライヤを取り付ける空気調和機では、水分除去のための分岐回路部分があるために冷凍サイクルが複雑になり、また分岐回路を設けるスペースを余分に設ける必要がある。
【0012】本発明の目的は、ドライヤの取り外し作業を不要にして取り扱いを容易にし、また、分岐回路を不要にして冷凍サイクルを単純にするとともに余分なスペースが不要なためにコンパクト化が図れる空気調和機を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明に係る空気調和機の構成は、圧縮機と、室外熱交換器と、室内熱交換器と、これらを結ぶ管路と、この管路に介在して水分を除去するドライヤとを備え、冷媒としてHFC系冷媒、冷凍機油としてポリオールエステル系冷凍機油を用いて冷凍サイクルを構成する空気調和機において、前記ドライヤを外側管と、この外側管内にあって冷媒の主流路となる内側管とからなる二重管構造とし、これら外側管と内側管との間に乾燥剤を封入するものである。
【0014】より好ましくは、前記ドライヤの内側管の両端部と外側管の両端部との間に多孔性部材を介在させ、この多孔性部材の間に乾燥剤を封入するものである。
【0015】また、より好ましくは、前記多孔性部材の孔径を摩耗粉より小径とするものである。
【0016】また、より好ましくは、前記乾燥剤と多孔性部材との間に摩耗粉より小径の孔径を有するフイルタを介在させるものである。
【0017】また、より好ましくは、前記多孔性部材の片側もしくは両側に弾性体を介在させ、乾燥剤に圧縮力を付加するものである。
【0018】また、より好ましくは、前記多孔性部材を弾性体で構成し、乾燥剤に圧縮力を付加するものである。
【0019】また、より好ましくは、乾燥剤を流れる冷媒量の調整を行うための流量調整手段を多孔性部材の片側もしくは両側に設けるものである。
【0020】さらに好ましくは、前記流量調整手段は、平板に孔を設けたオリフィスとするものである。
【0021】さらに好ましくは、前記流量調整手段は、平板の内側管もしくは外側管と接触す内周もしくは外周面に溝を設けてオリフィスとするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図を参照して説明する。図1は、本発明の空気調和機に係る実施例のサイクル系統図である。図において、1は冷媒を圧縮するための圧縮機、2は冷房運転時と暖房運転時とで冷媒の流れを切り替えるための四方弁、3は室外大気と冷媒との間で熱交換するための室外熱交換器、4は冷媒流量を制御するための流量制御装置としての膨脹弁、5は冷媒中の水分を除去するためのドライヤ、6は二方弁、7は室内空気と冷媒との間で熱交換をするための室内熱交換器である。8は、前記機器を結び、ポリオールエステル系冷凍機油を含むHFC系冷媒が流れる管路である。
【0023】図2は、ドライヤ5の詳細断面図である。図2において、9は外側管で、管路8に接続されている。10は冷媒主流路となる内側管で、前記外側管9内に主流路10と同心状にあり、ドライヤ5はこれら外側管9と内側管10との二重構造で構成されている。11は乾燥剤(たとえばモレキュラシーブスを使用)で、冷媒中の水分を除去する作用を有し、前記外側管9と内側管10との間に封入されている。12a、12bは支持板(たとえば金網、パンチングメタルで構成)で、通水性の多孔板であり、このうち支持板12aは外側管9及び内側管10に固定(たとえば、かしめ、溶接などで固定)されている。13a、13bはフイルタ(たとえばポリエステル樹脂で構成)で、多孔性のものであり、このフイルタ13a、13bには、乾燥剤11が摩耗し摩耗粉を発生した場合に摩耗粉を通過させない程度に摩耗粉の粒径より小径の孔径を有するものが使用される。ただし、孔径が小いさ過ぎると流路抵抗が増大するので、フイルタ13a、13bには適宜孔径を有するものを選択して使用する。14はオリフィスで、流量制御用のオリフィス孔15を有し、外側管9及び内側管10に固定(たとえば、かしめ、溶接などで固定)されている。15は弾性体(たとえば、螺旋状ばねを使用)で、前記支持板12a、12bの間にあって、支持板12b及びフイルタ13a、13bを介して燥剤剤11を外側(図示左方)から押圧し、乾燥剤11に適正押圧力(数10N程度)を付加することによって乾燥剤11が移動しないように固定している。
【0024】これら部材の組み立て順序は、まず、オリフィス14を外側管9及び内側管10に固定し、その後にフイルタ13b、乾燥剤11、フイルタ13a、支持板12b、弾性体16を挿入もしくは封入し、最後に弾性体16によって、前記押圧力が乾燥剤11に付加されるようにして支持板12aを外側管9及び内側管10に固定するものである。
【0025】ドライヤ11は、弾性体16が図示上方になるように空気調和機内に取り付けられ、冷媒循環量が多く冷媒が液状態となる暖房運転のときに、ドライヤ5の上方から冷媒が流入するように設置されている。
【0026】次に、上記構成の空気調和機の運転時の動作について説明する。暖房運転時、冷媒は室内熱交換器7で凝縮され、液冷媒となってドライヤ5へ上方より流入する。ドライヤ5のオリフィス孔15によって流量が絞られることによって、図2に示すように、左方からドライヤ5内に進入し、進入する冷媒の大部分は、内側管10内を通り、流量制御装置4へ流れる。
【0027】また、一部の冷媒は、外側管9と内側管10との間の支持板12a、12b、フイルタ13a、乾燥剤11、フイルタ13b、オリフィス14のオリフィス孔15を通って、内側管10を通過した冷媒と合流して流量制御装置4へ流れる。内側管10を通過する冷媒量と外側管9及び内側管10の間の乾燥剤11を通過する冷媒量との比率は、オリフィス14にあるオリフィス孔15によって調整され、この調整によって、十分な吸湿量を確保しながら、乾燥剤11が冷媒流の影響によって摩耗することから防止することができる。
【0028】冷房運転時は、逆に流量制御装置4を通過した冷媒液と冷媒ガスとの2相流の冷媒がドライヤ5の下方から、ドライヤ5内に流入する。暖房運転時と同様に、冷媒の大部分は内側管10を流れ、オリフィス14の抵抗分に相当する冷媒の一部分が外側管9及び内側管10の間の乾燥剤11側を流速が低下して流れる。
【0029】すなわち、2相流中の液成分とガス成分との流路における流路抵抗を比較すると、液成分の流路抵抗がガス成分の流路抵抗より小さいため、オリフィス孔15の抵抗を適正値に設定することにより、擬似的な気液分離効果を期待できる。
【0030】この結果、乾燥剤11側には液成分の多い冷媒が流れ、乾燥剤11側に流れる冷媒の流速が低下して乾燥剤3の摩耗の発生を防止することができる。
【0031】また、弾性体16を上方にして垂直に設置することにより、乾燥剤11側を流れる冷媒による乾燥剤11を撹拌する力は、重力及び弾性体15の押圧力によって抑えこまれて弱まり、摩耗の発生を防止している。
【0032】さらに、オリフィス孔15もしくはフィルタ13a、13bのいずれか一方が、かりに詰まったとしても、内側管10を流れようとする冷媒が内側管10の入口部分で乾燥剤11側へ流れ込むので、乾燥剤11において吸着能力が存在する限り水分は吸着され除去される。
【0033】さらに、かりに運転開始後、オリフィス孔15もしくはフィルタ13a、13bが完全に詰まったとしても、冷媒中の水分を吸着した後であれば、冷媒は内側管10を流れるので、冷凍サイクルの運転に支障を生じることはない。
【0034】本実施例によれば、ドライヤ5を外側管9と、この外側管9内に同心状にあって冷媒の主流路となる内側管10とからなる二重管構造とし、これら外側管9と内側管10との間に乾燥剤11を封入する構成とすることによって、ドライヤ5の取り外し作業を不要にして取り扱いを容易にし、また、冷凍サイクルが単純であるため余分なスペースが不要であり、このためコンパクト化が図れる。
【0035】図3は、ドライヤの第2の実施例の詳細断面図である。図1の実施例と同様部分には同一符号を付して説明は省略する。図1の実施例と異なる部分は、オリフィス17の外側管9と接触する外周面に螺旋溝18を設け、この螺旋溝18と外側管9の内周面との間の隙間を利用して、オリフィス孔相当の冷媒流路を形成するものである。
【0036】上記構成とすることにより、単純にオリフィスの厚さ方向に設けるオリフィス孔と比較すると、より長い冷媒流路の確保が可能となり、流体の抵抗を大きくとることができる。
【0037】図4は、ドライヤの第3の実施例の詳細断面図である。図1の実施例と同様部分には同一符号を付して説明は省略する。上記図1もしくは図3の実施例と異なるところは、内側管19の一方の側の端部(図において左方)を外側管9の外部まで延長させ、内側管19の出口(もしくは入口となる)部分で外側管9の端部で溶接などで固定するものである。さらに、支持板12aと外側管9の出口(もしくは入口となる)部分との間の内側管19に、複数箇の孔20を設け、乾燥剤11側にはこの孔20を通して冷媒が流れ込むように構成したものである。
【0038】上記構成とすることにより、ドライヤ5の組み立て作業が容易になる。すなわち、ドライヤ5の組み立て時には、外側管9の外部まで内側管19が突出しているため、フイルタ13b、乾燥剤11、フイルタ13a、支持板12b、弾性体16などの部材の挿入もしくは封入作業が、内側管19をガイドとして用いることできるため容易になる。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、ドライヤを外側管と、この外側管内にあって冷媒の主流路となる内側管とからなる二重管構造とし、これら外側管と内側管との間に乾燥剤を封入する構成とすることによって、ドライヤの取り外し作業を不要にして取り扱いを容易にし、また、冷凍サイクルが単純であって余分なスペースが不要であり、空気調和機のコンパクト化が図れる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成11年5月27日(1999.5.27)
【代理人】 【識別番号】100061893
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 明夫 (外1名)
【公開番号】 特開2000−337739(P2000−337739A)
【公開日】 平成12年12月8日(2000.12.8)
【出願番号】 特願平11−147384