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【発明の名称】 冷房サイクル用減圧装置
【発明者】 【氏名】難波 良彰

【要約】 【課題】減圧装置を小型化し、軽量化を図るとともに、冷媒漏れを極力抑えるために配管等の接合部の数を減縮した冷房サイクル用減圧装置を提供すること。

【解決手段】パイロット式減圧装置において、パワーエレメント(6)の軸心に、冷媒入り口(9)とシリンダ室(2)との間を連通する背圧ライン(7)を設け、制御圧抜き管(11)に背圧制御弁(8)を設けた構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷媒入り口(9)と冷媒出口(10)との間の冷媒流路に形成された減圧孔(1)と、前記冷媒流路に連通するシリンダ室(2)と、前記シリンダ室(2)と前記冷媒出口(10)との間を連通する制御圧抜き管(11)と、前記シリンダ室(2)内に設けられたピストン(3)と、このピストン(3)に連結され前記減圧孔(1)を開閉する弁体(4)と、前記ピストン(3)と前記弁体(4)とこれらを連結するステム(5)とから構成されるパワーエレメント(6)とを備え、二酸化炭素を冷媒とし、前記ピストン(3)の一端面に作用する流体圧と前記ピストン(3)の他端面に作用する冷媒圧との差圧により、前記弁体(4)による減圧孔(1)の開度を制御する冷房サイクル用減圧装置において、前記パワーエレメント(6)の軸心に、冷媒入り口(9)とシリンダ室(2)との間を連通する背圧ライン(7)を設け、かつ、前記制御圧抜き管(11)に背圧制御弁(8)を設けたことを特徴とする冷房サイクル用減圧装置。
【請求項2】 請求項1に記載の冷房サイクル用減圧装置において、前記冷媒入り口(9)に、冷媒の背圧ライン(7)への流通を確保しつつ、弁体(4)に作用する動圧を排除するための防護壁を設けたことを特徴とする冷房サイクル用減圧装置。
【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】本発明は、車載用空気調和装置の冷房サイクルなどに用いて任意の冷媒減圧を得る装置に関し、特にピストンを有するパイロット式の冷房サイクル用減圧装置に関する。
【従来の技術】車載用エアコンの冷房サイクルには、HFC12やHFC134aなどのフロン冷媒が用いられているが、これらが大気中に放出されるとオゾン層の破壊による地球温暖化といった環境問題が懸念される。このため、脱フロン対策の1つとして、二酸化炭素、エチレン、エタン、酸化窒素などを使用した冷房サイクルが提案されている(例えば、特公平7−18602号公報参照)。これら二酸化炭素等を冷媒とした冷房サイクルは、原理的にはフロンを使用した従来の冷房サイクルと同じであるが、例えば二酸化炭素の臨界温度は約31℃と従来のフロンの臨界温度(例えば、R−12は112℃)に比べて著しく低いので、外気温度が高くなる夏場などでは放熱器(ガスクーラ)側での二酸化炭素温度が二酸化炭素の臨界温度より高くなり、放熱器の出口においても二酸化炭素は凝縮しない点が相違する。この放熱器の出口の状態は、圧縮機の吐出圧と放熱器の出口における二酸化炭素の温度とによって決定され、放熱器の出口における二酸化炭素の温度と圧力は、放熱器の放熱能力と外気温度とによって決定される。ところが、外気温度は制御できないので、放熱器の出口における二酸化炭素の温度と圧力は実質的に制御することは出来ない。ただし、放熱器の出口における状態は、圧縮機の吐出圧(放熱器の出口の冷媒圧力)を制御することにより制御可能となるため、外気温度が高い夏場などでは、十分な冷房能力(エンタルピ差)を確保するために、放熱器の出口における冷媒圧力を高くすることが行われている。こうした放熱器の出口の冷媒圧を制御する減圧装置の中で、ピストン構造のパイロット式減圧装置が提案されている。(例えば、特開平9−264449号公報参照)。この種のパイロット式減圧装置によれば、目標とする放熱器の出口圧力に応じた電気信号(ON/OFFデューティー比信号)を送出することで、ピストンを介して減圧弁の開度が制御されるので、熱負荷に応じたきめ細かな制御が可能となる。なお、フロン冷媒を用いた冷房サイクルでは、蒸発器の出口温度を感知して減圧弁の開度を制御する、いわゆる感温式膨張弁が用いられているが、上述したように二酸化炭素等を冷媒とした冷房サイクルでは、サイクル内の冷媒圧が3.5〜15MPaと、従来のフロン系(0.2〜3.0MPa)に比べて著しく高いので、従来の感温式膨張弁を構成するダイアフラムの耐圧が問題となる。こうした理由から、二酸化炭素等を冷媒とした冷房サイクルではパイロット式減圧装置が主流となっている。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来技術では、図7に示すように長いピストン背圧管が必要となり、減圧装置が大型になってしまい、重量も増加してしまうという問題があった。また、二酸化炭素等の冷媒を用いたパイロット式減圧装置においては、ピストン背圧管の接合部に非常に大きな圧力がかかるため、冷媒漏れ保証が困難であるという問題があった。本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、パイロット式減圧装置において、減圧装置を小型化し、軽量化を図るとともに、冷媒漏れを極力抑えるために配管等の接合部の数を減縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明では、冷媒入り口と冷媒出口との間の冷媒流路に形成された減圧孔と、前記冷媒流路に連通するシリンダ室と、前記シリンダ室と前記冷媒出口とを連通する制御圧抜き管と、前記シリンダ室内に設けられたピストンと、このピストンに連結され前記減圧孔を開閉する弁体と、前記ピストンと前記弁体とこれらを連結するステムとから構成されるパワーエレメントとを備え、二酸化炭素を冷媒とし、前記ピストンの一端面に作用する流体圧と前記ピストンの他端面に作用する冷媒圧との差圧により、前記弁体による減圧孔の開度を制御する減圧装置において、前記パワーエレメントの軸心に、冷媒入り口とシリンダ室との間を連通する背圧ラインを設け、前記制御圧抜き管に背圧制御弁を設けたことを特徴とする。請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の冷房サイクル用減圧装置において、前記冷媒入り口に、冷媒の背圧ラインへの流通を確保しつつ、弁体に作用する動圧を排除するための防護壁を設けたことを特徴とする。
【発明の作用及び効果】請求項1に記載の発明では、前記パワーエレメント内に背圧ラインを備えたことにより、従来のようなピストン背圧管を高圧制御弁の外側に設ける必要がなく、これにより、構成を小型化でき、軽量化を図ることにより車両の燃費向上、及びレイアウト自由度の向上等を図ることが出来る。また、配管の接合部を削減することが可能となり、これにより、冷媒漏れを防ぐことが出来る。請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の冷房サイクル用減圧装置において、弁体の下部に防護壁を設けたことにより、冷媒の動圧によるパワーエレメントの不安定な動作を排除することが可能となり、安定した弁作動を実行することが出来る。
【実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態1)図2は、本発明の減圧装置が適用される冷房サイクルの一例を示す全体回路図である。まず、図2に示す冷房サイクルの構成から説明すると、本実施の形態1に係わる冷房サイクルは、圧縮機1、放熱器2、減圧装置3、蒸発器4、及びアキュムレータ5がこの順序で冷媒配管8により接続されており、閉回路が構成されている。圧縮機1は、図外のエンジン等から駆動力を得て気相状態の二酸化炭素冷媒を圧縮し、放熱器2に向かって吐出する。放熱器2は、圧縮機1で圧縮された二酸化炭素冷媒を外気等との間で熱交換して冷却するものであり、この熱交換を促進するためあるいは停車中においても熱交換できるようにクーリングファン6が負荷されている。また、放熱器2は、放熱器2内の二酸化炭素冷媒の温度と外気温度との差を出来る限り大きくするために、例えば車両の前面に配置されている。減圧装置3は、放熱器2から流出した高圧(約10MPa)の二酸化炭素の冷媒を、減圧孔13を通過させることで減圧するもので、これについては後述する。なお、減圧装置3は、二酸化炭素冷媒を減圧するとともに、放熱器2の出口側の圧力を制御する機能も兼ね備えており、この減圧装置3で減圧された二酸化炭素冷媒は、気液二相状態となって蒸発器(吸熱器)4に流入する。蒸発器4は、車室内に吹き出す空気を冷却するためのもので、例えば車載された空調ユニットのケーシングに内蔵され、ファン7により取り込まれた車室外空気又は車室内空気が当該蒸発器4を通過することによりこの取り入れ空気が冷却され、図外の吹き出し口を介して車室内の所望の位置に吹き出される。すなわち、減圧装置3から流下した気液二相状態の二酸化炭素冷媒は、蒸発器4内で蒸発(気化)する際に取り入れ空気から蒸発潜熱を奪うことでこれを冷却する。アキュムレータ5は、蒸発器4を通過した二酸化炭素冷媒を、気相の冷媒と液相の冷媒とを分離して、気相状態の冷媒のみを圧縮機1へ送るとともに液相状態の冷媒を一時的に蓄えるものである。次に、図3により減圧装置3について詳述する。本実施の形態1の減圧装置3は、ハウジング301、302及びエンドソケット303によって構成され、エンドソケット303には放熱器2からの高圧冷媒が流入する冷媒入り口15が形成され、ハウジング302には、減圧された冷媒が蒸発器4に向かって流出する冷媒出口22が形成されている。ハウジング301とエンドソケット303の接触部分には冷媒漏れを防ぐためのリングシール25が設けられている。前記冷媒入り口15と前記冷媒出口22の間には減圧孔13及びパワーエレメント23が設けられている。このパワーエレメント23は、ピストン12,ステム14及び弁体19より構成されており、ピストン12の動きと一体に作動するものである。前記ピストン12の上方にはコイルスプリング23が備えられ、弁体19を減圧孔13の開放方向にばね付勢している。前記パワーエレメント23の軸心部には、背圧ライン20が設けられており、この背圧ライン20は冷媒入り口15とハウジング302に設けられたシリンダ室11とを連通している。これにより、冷媒入り口15から高圧の冷媒をシリンダ室11のピストン上側の空間に送ることでピストン12に背圧をかけ、弁体19にかかる高圧にうち勝って弁体19を押し下げることで開弁作動を補助する構成となっている。シリンダ室11には、冷媒出口22とシリンダ室11を連通する制御圧抜き管16が設けられ、この制御圧抜き管16上には背圧制御弁17が設けられている。背圧ライン20によりシリンダ室11のピストン上側の空間に送られた高圧冷媒の圧力を背圧制御弁17により調節しながら冷媒出口22にリークすることでピストン12にかかる背圧を調節し、弁の開度を調節している。ハウジング301には高圧冷媒の流体圧による影響を排除するために防護壁21が設けられている。この防護壁21には、冷媒を流通させるための孔が設けられており、冷媒流体が弁体19に直接ぶつかることなく冷媒圧力をシリンダ室11に供給するよう構成されている。この防護壁21と弁体19の間には、コイルスプリング18が備えられ、弁体19を減圧孔13の閉塞方向にばね付勢している。次に、図6のモリエル線図を参照しながら本実施の形態1における冷房サイクルの作用を説明する。まず、圧縮機1にて気相状態の二酸化炭素冷媒を圧縮し(A−B)、この高温高圧の気相状態の二酸化炭素冷媒を放熱器2にて冷却する(B−C)。そして、減圧装置3により減圧した後(C−D)、気液二相状態となった二酸化炭素冷媒を蒸発器4にて蒸発させて(D−A)、蒸発潜熱を取り入れ空気から奪ってこれを冷却する。これにより、空調装置のユニット内に導入された取り入れ空気が冷却され、車室内に吹き出されることで車室内が冷房される。蒸発器4を通過した二酸化炭素冷媒は、アキュムレータ5にて気液分離され、気相状態の冷媒のみが再び圧縮機1へ吸入される。このモリエル線図のC−Dの減圧過程において、蒸発器4における熱負荷に応じて以下の制御が実行される。すなわち、夏場等のように熱負荷が高い場合(多くの冷房を必要とする場合)には、減圧装置3から蒸発器4へ多量の冷媒を供給する必要があるため、弁体19の開度を大きくすべく、背圧制御弁17のデューティー比を減少させる(開放時間比を減少)。これにより、背圧ライン20を介して高圧の冷媒がピストン12の頂面側の空間に導入され差圧が大きくなるので、ピストン12が下方に押圧され、その結果、ステム14を介して弁体19も下方に移動し、減圧孔13が開く。これに対して、熱負荷がさほど大きくない場合には、背圧制御弁17のデューティー比を増加させ、冷媒出口22の圧力を高くすることで、ピストン12は上方に移動し、これに応じて弁体19も上方に移動して、減圧孔13の開度が小さくなる。なお、ピストン12が下方位置から上方へ移動する際に、ピストン12の上側の空間に導入された冷媒は、制御抜き圧管16を介して冷媒出口22へ逃がされるので、ピストン12の動作が円滑に行われる。また、図5に示すように従来は冷媒入り口(A地点)と、ピストンの上側の空間(C地点)との差圧勾配を弁調整することにより、ピストン12を上下動させていたが、本発明では、制御圧抜き管16に背圧制御弁17を設けたことにより、ピストン12の上側の空間(C地点)と、冷媒出口とつながっているピストン12の下側の空間(E地点)との差圧勾配を弁調整することにより、ピストン12を上下動させる構成となっている。このとき、弁体19が減圧孔13を開くと、放熱器2から高圧の冷媒が減圧装置の冷媒入り口15へ流入し、この冷媒の流速の伴う動圧が弁体19に衝突する事により、ピストンの動きを不安定にさせる場合があるため、本実施の形態1では、防護壁21を設置することで、この冷媒の動圧による不安定要素を排除している。以上説明したように、本実施の形態1では、従来のようにピストン背圧管を制御弁の外側に設ける必要がない構造を採用したことにより、減圧装置を小型化でき、例えば、フロンガス冷媒によるエアコンシステムの搭載空間に、そのまま二酸化炭素冷媒によるエアコンシステムを搭載することが出来る。
(実施の形態2)本実施の形態1においては、防護壁21の中心に背圧ライン20に冷媒を送流するための管が設けられていたが、この構成に限られるものではなく、図4(a)に示すように弁体としてボール弁28を使用し、このボール弁28の投影面積に相当する円板を中心部に備えた防護壁27(図4(b)参照)を設けることにより、ボール部に衝突し、下から押し上げる冷媒の動圧による力を散らす構成としても良い。これにより、簡単な構成で安定した弁作動を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
【出願日】 平成11年5月27日(1999.5.27)
【代理人】 【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟 (外1名)
【公開番号】 特開2000−337735(P2000−337735A)
【公開日】 平成12年12月8日(2000.12.8)
【出願番号】 特願平11−148549