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【発明の名称】 アンモニア吸収式冷凍装置の蒸発器
【発明者】 【氏名】松上 哲也

【氏名】住吉 太一

【氏名】武居 俊孝

【氏名】山本 忠彦

【氏名】石黒 貴也

【氏名】安尾 晃一

【氏名】川端 克宏

【氏名】谷本 啓介

【要約】 【課題】簡単な構成で、プレート式熱交換器を蒸発器として使用し、動力を使用することなく冷媒を循環させ、冷凍効率を向上させる。

【解決手段】プレート式熱交換器としての構造を有する蒸発器20には、低圧受液器30から冷媒が自然循環する。蒸発器20からの気液混合状態の冷媒は、冷媒戻り管25から低圧受液器30の液面上で、胴体31の軸線方向の一端側の内壁面32に臨む戻り冷媒流出口33から流出する。内壁面32から中央寄りに戻る冷媒の流れは多孔板34で勢いを殺がれ、ガスと液とが分離しやすくなる。冷媒液40は、冷媒流下口37から冷媒流下管26を流下して蒸発器20に流入する。ガス冷媒は、冷媒ガス出口38から吸収器に送出される。冷媒液40の一部は、ブリード出口39に接続されるブリード配管43からブリード冷媒として抽出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アンモニアを冷媒として、凝縮器(53)で凝縮する冷媒液(40)が供給され、冷媒液(40)を蒸発させて冷却を行い、蒸発した冷媒を吸収器(54)で吸収液に吸収させるアンモニア吸収式冷凍装置(51)の蒸発器(20)において、蒸発器(20)は、プレート式熱交換器としての構造を有し、蒸発器(20)の上方に配置され、凝縮器(53)から供給される冷媒液(40)を、胴体(31,91)内に貯留し、冷媒液(40)を液面の下方から流下させて蒸発器(20)に供給し、蒸発器(20)から冷媒を液面の上方に戻し、液面上方の冷媒ガスを吸収器(54)に送る低圧受液器(30,90)を備えることを特徴とするアンモニア吸収式冷凍装置の蒸発器。
【請求項2】 前記低圧受液器(30,90)は、前記蒸発器(20)から戻る冷媒を、前記液面の上方で、前記胴体(31,91)の端部の内壁面(32)の近傍に配置され、該内壁面(32)に向けて開口する冷媒戻り管(25)と、該冷媒戻り管(25)の開口部近傍で、該開口部よりも該胴体(31,91)内部寄りに配置され、該開口部から流出し、該内壁面(32)に当って胴体(31,91)内部に戻る冷媒の流れに対して抵抗を与える抵抗部材(34)とを含むことを特徴とする請求項1記載のアンモニア吸収式冷凍装置の蒸発器。
【請求項3】 前記低圧受液器(30)は、液面の下方に開口し、冷媒液(40)の一部をブリード冷媒として吸収器(54)に送るブリード配管(43)を含み、ブリード配管(43)は、凝縮器(53)から蒸発器(20)に供給される冷媒液(40)と熱交換するブリード熱交換器(60)を介して、吸収器(54)に接続されることを特徴とする請求項1または2記載のアンモニア吸収式冷凍装置の蒸発器。
【請求項4】 前記蒸発器(20)から前記低圧受液器(90)の冷媒戻り管(25)に戻る冷媒の一部を分岐させてブリード冷媒として吸収器(54)に送るブリード分岐部(92)を含み、ブリード分岐部(92)から分岐したブリード冷媒は、凝縮器(53)から蒸発器(20)に供給される冷媒液(40)と熱交換するブリード熱交換器(60)を介して、吸収器(54)に供給されることを特徴とする請求項1または2記載のアンモニア吸収式冷凍装置の蒸発器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンモニア冷媒を用いて冷凍を行うアンモニア吸収式冷凍装置の蒸発器、特に冷媒の気液分離のための低圧受液器を含む構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、アンモニアを冷媒とする吸収式冷凍装置は、廃温水や廃ガス等を含む種々の熱源を利用可能であり、0℃〜−60℃の低温範囲の冷熱を得ることも可能であるため、将来的に広範囲な応用展開が図られている。
【0003】図7は、従来からのアンモニア吸収式冷凍装置(1)の基本的な構成を示す。アンモニア吸収式冷凍装置(1)では、発生器(2)を熱源で加熱して、冷媒であるアンモニアの蒸気を発生させ、凝縮器(3)で冷媒を凝縮させたあと、蒸発器(4)で蒸発させ、被冷却物を冷却して冷凍を行う。蒸発器(4)で蒸発した冷媒は、吸収器(5)で吸収液であるアンモニア水の稀溶液に吸収させる。凝縮器(3)と蒸発器(4)との間には、膨張弁(6)が設けられる。
【0004】発生器(2)で蒸発する冷媒蒸気には水蒸気も含まれるので、精留塔(7)を設け、凝縮器(3)から高純度の冷媒液をリフラックスポンプ(8)で精留塔(7)に送込み、発生する冷媒蒸気の純度を高める。発生器(2)で冷媒を蒸発させた吸収液は、稀溶液として吸収器(5)に送られる。吸収器(5)で冷媒を吸収した濃溶液は、溶液ポンプ(9)によって発生器(2)に送込まれる。この濃溶液と、発生器(2)から吸収器(5)に送込まれる稀溶液とは、溶液熱交換器(10)で熱交換し、濃溶液は加温され、稀溶液は冷却される。発生器(2)および凝縮器(3)の10数ataの圧力と比較すると、蒸発器(4)および吸収器(5)は数ataの圧力で低圧であるので、発生器(3)から溶液熱交換器(10)を介して吸収器(5)に送られる稀溶液の供給経路にも減圧弁(11)が設けられる。
【0005】冷凍能力が米冷凍トンで数10〜数90USRTの範囲で、アンモニア吸収式冷凍装置(1)の主要な構成要素である発生器(2)、凝縮器(3)、蒸発器(4)、および吸収器(5)は、基本的に横置きのシェル・アンド・チューブ型の熱交換器が使用されている。たとえば蒸発器(4)では、胴体内の伝熱管群に下方から冷媒液を供給し、伝熱管内を流れるブラインから冷媒液の蒸発熱を奪って冷却する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図7に示すようなアンモニア吸収式冷凍装置(1)では、精留塔(7)で作られる冷媒純度が99.8%であり、蒸発器(4)で蒸発する冷媒ガスは純度100%であることから、蒸発器(4)内に残留する冷媒液の純度が低下するのを防ぐため、蒸発器(4)で一部冷媒液を抜取って冷媒液の濃度を高い値に維持するブリードが行われ、蒸発器(4)は、冷媒液を保有しうる構造にしておく必要がある。そのため、蒸発器(4)としてはシェル・アンド・チューブなどの多管式熱交換器が使用され、コンパクトで効率が高く、かつ取外してのメンテナンスも可能なプレート式熱交換器は、冷媒液を溜められないので、使用することができない。
【0007】さらに、従来の冷媒液の抜取り方法によるブリードでは、蒸発器(4)に溜っている冷媒液を抜取るので、精留塔(7)で作られた99.8%の高純度の冷媒と、蒸発後の低純度の冷媒とを混合した状態からしか抜取ることができない。このようにすると、蒸発前の高純度の冷媒の一部も抜取られてしまい、蒸発器(4)での蒸発に寄与させることができない。冷凍装置としての効率を高めるためには、蒸発後の純度の低い冷媒液のみを抜取ることが好ましい。
【0008】本発明の目的は、プレート式熱交換器を使用することができ、小型でメンテナンスが容易なアンモニア吸収式冷凍装置の蒸発器を提供することである。
【0009】本発明の他の目的は、蒸発後の冷媒液のみを抜取るブリードが可能なアンモニア吸収式冷凍装置の蒸発器を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、アンモニアを冷媒として、凝縮器(53)で凝縮する冷媒液(40)が供給され、冷媒液(40)を蒸発させて冷却を行い、蒸発した冷媒を吸収器(54)で吸収液に吸収させるアンモニア吸収式冷凍装置(51)の蒸発器(20)において、蒸発器(20)は、プレート式熱交換器としての構造を有し、蒸発器(20)の上方に配置され、凝縮器(53)から供給される冷媒液(40)を、胴体(31,91)内に貯留し、冷媒液(40)を液面の下方から流下させて蒸発器(20)に供給し、蒸発器(20)から冷媒を液面の上方に戻し、液面上方の冷媒ガスを吸収器(54)に送る低圧受液器(30,90)を備えることを特徴とするアンモニア吸収式冷凍装置の蒸発器である。
【0011】本発明に従えば、凝縮器(53)からの冷媒液(40)は、プレート式熱交換器としての構造を有する蒸発器(20)よりも上方に配置される低圧受液器(30,90)内に貯留される。低圧受液器(30,90)内の冷媒液(40)は、重力による自然落下で、蒸発器(20)に流下する。蒸発器(20)内では、ブラインとの熱交換で冷媒液(40)が蒸発し、気液混合状態で軽量となるので、低圧受液器(30,90)から流下する冷媒液(40)に押し上げられて低圧受液器(30,90)に戻る。重力による自然落下で、低圧受液器(30,90)から蒸発器(20)に冷媒液(40)を循環させることができるので、簡単な構成で、動力を使用することなく冷媒を循環させることができる。熱交換効率が高く、分解しての洗浄等も容易なプレート型熱交換器を用いるので、蒸発器(20)を小型化し、メンテナンスも容易にすることができる。
【0012】また本発明で、前記低圧受液器(30,90)は、前記蒸発器(20)から戻る冷媒を、前記液面の上方で、前記胴体(31,91)の端部の内壁面(32)の近傍に配置され、該内壁面(32)に向けて開口する冷媒戻り管(25)と、該冷媒戻り管(25)の開口部近傍で、該開口部よりも該胴体(31,90)内部寄りに配置され、該開口部から流出し、該内壁面(32)に当って胴体(31,91)内部に戻る冷媒の流れに対して抵抗を与える抵抗部材(34)とを含むことを特徴とする。
【0013】本発明に従えば、蒸発器(20)から低圧受液器(30,90)に、冷媒戻り管(25)で戻る冷媒は、ガスと液とが混在している状態であり、低圧受液器(30,90)の胴体(31,91)内の液面上方で内壁面(32)に向けて開口する部分から流出する。気液混合の冷媒は、内壁面(32)に当り、胴体(31,91)内部に戻る際に、抵抗部材(34)で抵抗を受けるので、冷媒のガスと液とは分離しやすくなる。気液混合状態から分離した冷媒液(40)は、胴体(31,91)内の冷媒液(40)に加わる。分離した冷媒ガスは、吸収器(54)に送られ、吸収液で吸収される。
【0014】また本発明で、前記低圧受液器(30)は、液面の下方に開口し、冷媒液(40)の一部をブリード冷媒として吸収器(54)に送るブリード配管(43)を含み、ブリード配管(43)は、凝縮器(53)から蒸発器(20)に供給される冷媒液(40)と熱交換するブリード熱交換器(60)を介して、吸収器(54)に接続されることを特徴とする。
【0015】本発明に従えば、低圧受液器(30)に貯留される冷媒液(40)の一部は、ブリード冷媒として、ブリード熱交換器(60)を介して吸収器(54)に送られる。蒸発器(20)内では純度99.8%未満の冷媒液が蒸発し、純度100%の冷媒ガスが発生するので、低圧受液器(30)に戻る冷媒中の冷媒液では純度が低下する。ブリード冷媒を低圧受液器(30)から抽出し、低圧受液器(30)内に貯留される冷媒液(40)を減少させることによって、低圧受液器(30)内での冷媒液(40)中の冷媒純度を所定範囲に保つことができる。
【0016】また本発明は、前記蒸発器(20)から前記低圧受液器(90)の冷媒戻り管(25)に戻る冷媒の一部を分岐させてブリード冷媒として吸収器(54)に送るブリード分岐部(92)を含み、ブリード分岐部(92)から分岐したブリード冷媒は、凝縮器(53)から蒸発器(20)に供給される冷媒液(40)と熱交換するブリード熱交換器(60)を介して、吸収器(54)に供給されることを特徴とする。
【0017】本発明に従えば、蒸発器(20)から低圧受液器(90)に戻る冷媒の一部は、ブリード分岐部(92)で分岐するブリード冷媒として、ブリード熱交換器(60)を介して吸収器(54)に送られる。蒸発器(20)内では純度99.8%未満の冷媒液が蒸発し、純度100%の冷媒ガスが発生するので、低圧受液器(90)に戻る冷媒中では冷媒液の純度が低下する。ブリード冷媒を低圧受液器(90)に戻る冷媒中から抽出することによって、低圧受液器(90)内に戻る低純度の冷媒液(40)を減少させ高純度の冷媒液をブリード液として抜取ることなく、低圧受液器(90)内での冷媒液(40)中の冷媒純度を所定範囲に保つことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態として、アンモニア吸収式冷凍装置の蒸発器(20)に関連する概略的な構成を示す。蒸発器(20)は、プレート式熱交換器としての構造を有し、ブライン入口(21)、ブライン出口(22)、冷媒入口(23)、および冷媒出口(24)がそれぞれ設けられる。ブラインとしては、たとえばエチレングリコールの水溶液を用いる。蒸発器(20)には、冷媒循環用に、冷媒戻り管(25)および冷媒流下管(26)が接続される。アンモニア冷媒は、冷媒流下管(26)から冷媒入口(23)に流入し、冷媒出口(24)から冷媒戻り管(25)を介して、低圧受液器(30)に戻る。冷媒流下管(26)も、低圧受液器(30)の下部に接続される。
【0019】低圧受液器(30)では、筒状の胴体(31)の軸線方向の一端側の内壁面(32)に臨む位置に、冷媒戻り管(25)の先端の戻り冷媒流出口(33)が開口する。戻り冷媒流出口(33)は、胴体(31)の一端付近を仕切るパンチングメタルなどの多孔板(34)の表面を貫通して、内壁面(32)に蒸発器(20)からの戻りの冷媒を当てることができる位置に配置される。低圧受液器(30)の胴体(31)内には、冷媒供給管(35)を介して、凝縮器からの冷媒液が供給される。冷媒供給管(35)の先端も、多孔板(34)を貫通し、供給冷媒流出口(36)が内壁面(32)に臨むように配置される。胴体(31)の下部には冷媒流下口(37)が設けられ、冷媒を蒸発器(20)に流下させるための冷媒流下管(26)が接続される。
【0020】多孔板(34)を設けるので、胴体(31)の軸線方向の端部の内壁面(32)に当って胴体(31)の中央側に戻る冷媒の流れの勢いは殺がれ、気液混合状態の冷媒はガスと液とに分離しやすくなる。多孔板(34)は、冷媒の流れに対して抵抗するような部材であればよく、網や、スリットが形成される板などであっても、同様の効果を奏する。
【0021】低圧受液器(30)内では、冷媒のガスと液とが分離する。胴体(31)の上方には、冷媒ガスが溜るので、冷媒ガス出口(38)を開口させ、冷媒ガスを吸収器に送込む。胴体(31)下部には、ブリード出口(39)も設け、貯留される冷媒液(40)の一部をブリード冷媒として抽出する。液面の高さは液面センサ(41)によって検出され、冷媒供給管(35)に設ける流量制御弁42で凝縮器から供給される冷媒液(40)の流量を制御する。ブリード出口(39)には、ブリード配管(43)が接続され、ブリード冷媒として抽出された冷媒液(40)を吸収器に送出する。
【0022】図2は、図1の蒸発器(20)および低圧受液器(30)を含むアンモニア吸収式冷凍装置(51)の配管系統を示す。アンモニア吸収式冷凍装置(51)としての冷凍サイクルは、発生器(52)、凝縮器(53)、蒸発器(20)、低圧受液器(30)、吸収器(54)、精留塔(55)、リフラックスポンプ(56)、溶液ポンプ(57)、溶液熱交換器(58)、冷媒過冷却器(59)、およびブリード熱交換器(60)等を含んで構成される。本実施形態では、発生器(52)および吸収器(54)は、シェル・アンド・チューブ型の熱交換器であり、凝縮器(53)および蒸発器(20)はプレート式の熱交換器である。
【0023】発生器(52)でアンモニア水溶液は加熱され、アンモニアと水との混合水蒸気が精留塔(55)下部に送られる。精留塔(55)からは、精留に利用されたアンモニア水溶液が発生器(52)上部に戻される。この溶液は、発生器(52)で加熱され、高温の稀溶液になって溶液熱交換器(58)に送られる。精留塔(55)は、発生器(52)より送られてくる純度の低い、たとえば50〜60%の冷媒ガスを、高純度99.8%のアンモニアガスに濃縮する。精留塔(55)内には、バブルキャプ式等のトレイを多段に設置してある。各トレイでは、アンモニアの純度の高い濃溶液とアンモニアおよび水の混合蒸気とが気液接触し、混合蒸気中の水蒸気は濃溶液中に吸収され、その時に発生する凝縮熱で濃溶液中のアンモニアがガス化する。このような過程をトレイの各段毎に繰返すことによって、高純度のアンモニアガスが得られる。
【0024】凝縮器(53)は、99.8%のアンモニアガスを冷却して凝縮させる。凝縮したアンモニア液は、冷媒受液器(53a)に貯留され、その一部はリフラックスポンプ(56)によって精留塔(55)の頂部に送られ、精留のために利用される。冷媒過冷却器(59)では、凝縮器(53)の冷媒受液器(53a)からの温かい冷媒液と、蒸発器(20)からの冷たい冷媒ガスとを熱交換させ、冷媒液を過冷却状態にして冷凍効率を向上させる。蒸発器(20)では、冷媒であるアンモニア液が被冷却媒体であるブラインから熱を奪い、蒸発してガス化する。純度は100%である。したがって、沸騰している冷媒液側の純度は99.8%よりも低下する。蒸発器(20)に循環する冷媒液純度を96〜98%程度に保つため、低圧受液器(30)内の冷媒液を、冷媒循環流量の4〜5%程度、ブリード熱交換器(60)にブリード冷媒として放出する。ブリード熱交換器(60)は、ブリード冷媒の冷熱回収を図るため、冷媒過冷却器(59)で過冷却された冷媒液をさらに過冷却する。ブリード冷媒は、熱交換によってガス化し、吸収器(54)で吸収液に吸収される。
【0025】溶液熱交換器(58)は、発生器(52)からの高温稀溶液と吸収器(54)からの低温濃溶液とを熱交換させて、発生器(52)の必要熱量を削減させるとともに、吸収器(54)へは低温の稀溶液を送ることによって、吸収器(54)の吸収性能を向上させる。吸収器(54)では、吸収力の強い稀溶液を吸収器伝熱管上に散布し、伝熱管上の溶液フィルムで冷媒ガスを吸収する。溶液ポンプ(57)は吸収器(54)からの濃溶液を高圧部の発生器(52)に送るために設けられ、約200m水柱のヘッドが必要である。
【0026】容量制御弁(61)は、被冷却ブラインの温度を制御するために、アンモニア濃溶液の循環流量を調整する。冷凍負荷に比例した溶液循環流量に絞るため、温度検出器(62)で冷却したブラインの温度を検出し、温度コントローラ(63)で容量制御弁(61)の弁開度を比例制御する。容量制御弁(64)は、冷凍負荷に応じた入熱量を発生器(52)に供給するために設けられ、温度検出器(65)が検出する高温稀溶液の温度に応じて、温度コントローラ(66)が容量制御弁(64)の弁開度を比例制御する。
【0027】なお、ブリード冷媒の流量と、冷媒液(40)の純度とには、以下説明するような関係がある。冷媒供給管(35)から低圧受液器(30)に99.8%の純度の冷媒液(40)が100kg/h供給され、低圧受液器(30)と蒸発器(20)との間の自然循環による冷媒流量が200kg/hであるとき、ブリード冷媒液の流量を5kg/h、吸収器(54)に送る冷媒ガス量を95kg/hとする。低圧受液器(30)内に貯留され、蒸発器(20)に循環し、ブリード冷媒として抽出される冷媒液(40)の純度をA1%、蒸発器(20)から低圧受液器(30)に戻る冷媒中の冷媒液の純度をA2%とする。蒸発器(20)では、流入する冷媒液(40)のうちの半分が蒸発するものとする。低圧受液器(30)に冷媒供給管(35)から供給される冷媒と、ブリード熱交換器(60)および吸収器(54)に送出する冷媒とのNH3物質収支から次の第1式が得られる。また、蒸発器(20)の出入りに関するNH3物質収支から次の第2式が得られる。
100×99.8 = 95×100+5×A1 …(1)
200×A1 = 100×100+100×A2 …(2)
【0028】第1式および第2式を連立させて解くことによって、A1=96%、A2=92%が得られる。冷媒の純度と沸点の上昇とは、図3に示すような関係がある。したがって、96%および92%の純度の冷媒では、純度100%の場合に比較して、1.2℃および2.4℃だけ、沸点がそれぞれ上昇する。
【0029】図4は、図1に示す蒸発器(20)として用いるプレート式熱交換器の内部構成を示す。熱交換器の内部は、図4(a)に示すように、間隔を開けて配置される複数の伝熱板(71)によって、複数の層に分けられる。図4(b)に示すように、複数の伝熱板(71)の全体を、ブライン流入路(72)、ブライン流出路(73)、冷媒流入路(74)および冷媒流出路(75)が貫通するように形成される。金属製の伝熱板(71)の端部は、2つずつ気密に溶接される。各組の伝熱板(71)間の隙間は、ゴム製のガスケット(76)によって封止される。
【0030】冷媒流入路(74)および冷媒流出路(75)は、伝熱板(71)の端部が溶接部(77)で溶接されて袋状に形成される層に冷媒の流入および流出が可能な透孔(74a,75a)をそれぞれ有し、冷媒流入路(74)から冷媒流出路(75)に冷媒が流れる。ブライン流入路(72)およびブライン流出路(73)は、伝熱板(71)の端部がガスケット(76)で封止される層にブラインの流入および流出が可能な透孔(72a,73a)をそれぞれ有し、ブライン流入路(72)からブライン流出路(73)にブラインが流れる。このようなプレート式熱交換器では、各層毎に冷媒とブラインとが交互に流れ、流量がほぼ同等であるときに効率よく熱交換を行うことができる。また、締付ボルトを外せばガスケット(76)で封止される層の部分で伝熱板(71)を分離させることができ、点検や洗浄などのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0031】図5は、本実施形態のアンモニア吸収式冷凍装置(51)の全体的な構成を示す。冷凍サイクルの構成要素は、枠体(80)に装着されて一体的なモジュールが形成される。枠体(80)には、アンモニア吸収式冷凍装置(51)の運転の制御を行う制御盤(81)も設けられる。枠体(80)の上部には、低圧受液器(30)、冷媒過冷却器(59)、吸収器(54)、凝縮器(53)、蒸発器(20)、およびブリード熱交換器(60)等が配置される。凝縮器(53)および蒸発器(20)は、前述のようなプレート式熱交換器としての構造を有し、伝熱効率を高めて小形化することができる。枠体(80)の下部には、冷媒受液器(53a)、発生器(52)、リフラックスポンプ(56)、および制御盤(32)等が配置される。枠体(80)の下方から上方にわたって、精留塔(55)が立設される。
【0032】図6は、本発明の実施の他の形態としての低圧受液器(90)に関連する構成を示す。本実施形態の低圧受液器(90)の基本的な構成は、図1の低圧受液器(20)と同等であり、対応する部分には同一の参照符を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、蒸発器(20)の冷媒出口(24)にブリード分岐部(92)を設け、冷媒戻り管(25)から低圧受液器(90)に戻る気液混合状態の冷媒の一部をブリード冷媒として分岐させる。低圧受液器(90)は、胴体(91)に、図1の低圧受液器(30)にブリード冷媒を抽出するために設けられているブリード出口(39)に相当する部分がない点で、低圧受液器(30)と異なる。
【0033】次に、本実施形態でのブリード冷媒の流量と、冷媒液(40)の純度との関係を求めてみる。ブリード冷媒をブリード分岐部(92)から分岐させることを除いて、図1の実施形態について説明した条件と同一とする。低圧受液器(90)内に貯留され、蒸発器(20)に循環する冷媒液(40)の濃度をB1%、蒸発器(20)から低圧受液器(90)に戻る冷媒中の冷媒液の純度をB2%とする。低圧受液器(90)に冷媒供給管(35)から供給される冷媒と、ブリード熱交換器(60)および吸収器(54)に送出する冷媒とのNH3物質収支から次の第3式が得られる。また、蒸発器(20)の出入りに関するNH3物質収支から次の第4式が得られる。
100×99.8=95×100+5×B2 …(3)
200×B1=100×100+100×B2 …(4)
【0034】第3式および第4式を連立させて解くことによって、B1=98%、B2=96%が得られる。冷媒の純度と沸点の上昇とは、前述の表1のような関係がある。したがって、98%および96%の純度の冷媒では、純度100%の場合に比較して、0.75℃および1.2℃だけ、沸点がそれぞれ上昇する。本実施形態では、図1の実施形態と同量のブリード冷媒で、冷媒液(40)の純度を、より高く維持することができる。同一の純度なら、図1の実施形態よりも小さい割合のブリード冷媒の流量で維持することができ、成績係数COPが向上する。
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、低圧受液器(30,90)を設けるので、プレート式熱交換器を蒸発器(20)として使用することができ、小形化、メンテナンスの容易化を図ることができる。プレート式熱交換器としての構造を有する蒸発器(20)内では、ブラインとの熱交換で冷媒液(40)が蒸発し、気液混合状態で軽量となるので、低圧受液器(30,90)から流下する冷媒液(40)に押し上げられて低圧受液器(30,90)に戻る。重力による自然落下で、低圧受液器(30,90)から蒸発器(20)に冷媒液(40)を循環させることができるので、簡単な構成で、動力を使用することなく冷媒を循環させることができる。
【0036】また本発明によれば、蒸発器(20)から低圧受液器(30,90)に、冷媒戻り管(25)で戻る冷媒は、ガスと液とが混在している状態であり、低圧受液器(30,90)の胴体(31,91)内の液面上方で内壁面(32)に当り、胴体(31,91)内部に戻る際に、抵抗部材(34)で抵抗を受ける。冷媒のガスと液とは分離しやすくなり、分離した冷媒液(40)は、胴体(31,91)内の冷媒液(40)に加わる。分離した冷媒ガスは、吸収器(54)に送られ、吸収液に吸収される。
【0037】また本発明によれば、低圧受液器(30)に貯留される冷媒液(40)の一部は、ブリード冷媒として、ブリード熱交換器(60)を介して吸収器(54)に送られる。ブリード冷媒を低圧受液器(30)から抽出し、低圧受液器(30)内に貯留される冷媒液(40)を減少させることによって、蒸発器(20)内での冷媒の蒸発によって冷媒液(40)の純度が低下しても、低圧受液器(30)内での冷媒液(40)中の冷媒純度を所定範囲に保つことができる。
【0038】また本発明によれば、蒸発器(20)から低圧受液器(90)に戻る冷媒の一部は、ブリード冷媒として、ブリード熱交換器(60)を介して吸収器(54)に送られる。蒸発器(20)で冷媒が純度100%の状態で蒸発するので、低圧受液器(90)に戻る冷媒中では冷媒液の純度が低下する。ブリード冷媒を蒸発後の冷媒液から分岐させて抜取り、低圧受液器(90)内に戻る低純度の冷媒液(40)を減少させることによって、低圧受液器(90)内での冷媒液(40)中の冷媒純度を所定範囲に保つことができる。
【出願人】 【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
【出願日】 平成11年5月21日(1999.5.21)
【代理人】 【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
【公開番号】 特開2000−337733(P2000−337733A)
【公開日】 平成12年12月8日(2000.12.8)
【出願番号】 特願平11−142459