| 【発明の名称】 |
蒸気圧縮式冷凍サイクル |
| 【発明者】 |
【氏名】角田 正隆
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| 【要約】 |
【課題】現在使用のフロンはオゾン層の破壊の原因となるので、例えば、二酸化炭素CO2が冷媒として研究されているが、フロンに比べて臨界温度が高いことである。ところが、カーエアコンの場合、圧縮機の動力はエンジンから得るために、圧縮機とエンジンが一体型の構造となり、ガス冷却の大気温度は臨界温度以上になってしまう。すなわち、ガス冷却器だけでは受液器に液溜めを作ることができず、安定した冷凍効果(冷房効果)が得られない。
【解決手段】圧縮機、ガス冷却器、内部熱交換器、受液器、蒸発器および第1膨張弁と第2膨張弁の2個の膨張弁を有する蒸気圧縮式装置構造をもち、ガス冷却器では液相状態にできない超臨界状態冷媒に対して、ガス冷却器で冷却されたガスを第1膨張弁で減圧して等温臨界蒸気圧線の温度まで下げ、さらに内部熱交換によって冷媒の温度を下げて液相状態を作るものであって、小さな熱量の内部熱交換で液相化するので、従って、本発明は割合簡単な構造で、しかも高圧側の圧力変動を抑えることを可能とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超臨界サイクルを利用した蒸気圧縮式空気調和装置において、(1)圧縮機、ガス冷却器、内部熱交換器、受液器、蒸発器および第1膨張弁と第2膨張弁の2個の膨張弁を有する蒸気圧縮式装置構造をもち、(2)蒸発器および内部熱交換器を通過した乾いた状態Aの加熱蒸気冷媒を圧縮機で吸入し圧縮して、高圧高温の超臨界状態Bのガスを吐出し、(3)状態Bのガスをガス冷却器で冷却して状態C´のガスを作り出し、(4)状態C´のガスを第1膨張弁で減圧して臨界蒸気圧近傍まで下げて、冷媒を状態C2にし、(5)状態C2の冷媒を、内部熱交換器内で蒸発器を通過した状態A’の冷媒とで熱交換させることによって状態C3の液相冷媒を作り出して、(6)状態C3の液相冷媒を第2膨張弁で減圧して2相状態Dを作り、(7)状態Dの冷媒を蒸発器で蒸発するとともに、外気を冷却するとともに、状態A´の加熱蒸気冷媒にし、(8)状態A´の冷媒を、内部熱交換器内で状態C2の冷媒とで熱交換させることによって状態Aの加熱蒸気冷媒を作り出すことによって、A→B→C´→C2→C3→D→A´→Aの冷凍サイクルを可能にする、2個の膨張弁と内部熱交換器を有することを特徴とする蒸気圧縮式冷凍サイクル。 【請求項2】 超臨界サイクルを利用した蒸気圧縮式空気調和装置において、圧縮機、ガス冷却器、内部熱交換器、受液器、蒸発器および第1膨張弁と第2膨張弁の2個の膨張弁を有する蒸気圧縮式装置構造を備えたことを特徴とする蒸気圧縮式空気調和装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用、業務用あるいは家庭用の空調システムに好適に用いられる、超臨界状態における冷凍サイクル、およびそれを利用した空調装置に関する。 【0002】 【従来の技術】現在は広くフロンガス(炭素C、フッ素F、塩素Clの化合物の総称で、頭文字をとってCFCとよぶこともある)が用いられている。ところが、今日、オゾン層の破壊防止や地球温暖化防止が、世界的に求められるようになってきている。フロンも大気環境を破壊する物質として、その使用の見直しが叫ばれている。その一つとして、蒸気圧縮式冷凍装置の技術分野では冷媒の脱フロン対策の一つとして、たとえば二酸化炭素(CO2)を使用した蒸気圧縮式冷凍サイクル(以下、“CO2サイクル”と記述)が提案されている。冷凍機として一般に広く用いられているのが蒸気圧縮式冷凍装置である。この装置の構造を図1に、この装置を用いた超臨界での冷凍サイクルを図2に示す。図1のアルファベットAは圧縮機101の吸入側(蒸発器105の出口側)、Bは圧縮機101の吐出側(ガス冷却器102の入口側)、Cはガス冷却器102の出口側、Dは蒸発器の入口側(膨張弁の出口側)を表し、図2はp−h線図(モリエル蒸気圧線、略してモリエル線図)を表し、図2のA、B、C、Dは図1のそれぞれの点に対応した冷媒の状態を表している。 【0003】なお、ガス冷却器は凝縮器ともよぶ。また、従来フロンガスを使用した冷凍サイクルでは飽和蒸気圧以下の温度に冷却されるために、ガス状の冷媒は液相化するので、凝縮器とよばれる。しかし、超臨界状態では冷媒は液化しないために、この装置を凝縮器とよばずにガス冷却器(ガスクーラー)または放熱器とよぶ。超臨界状態とは、物質が液相と気相との間の相移転がなく、密度が液密度と略同等でありながら、物質の分子が気相状態のように運動する状態をいう。物質は臨界温度以上の気体の時には、圧力を加えても液化しない。また受液器は2相化(液体と気体の混合状態化)した冷媒を液体とガス(気体)に分けることから、気液分離器ともよばれる。ここでは、受液器で統一して使用する。 【0004】図2において、縦軸は圧力p(kg/cm2 abs)、横軸はエンタルピh(kcal/kg)を表し、その他の記号は、Tk:臨界を通る等温線(Tkは絶対温度abs<゜K>) Tx:温度Txの等温線(Txは絶対温度abs<゜K>) K :臨界点Sl:飽和液線Sv:飽和蒸気線S :飽和線(SlとSvを合わせた曲線の総称、記号は図示せず) h1:A点のエンタルピhAからD点のエンタルピhVを引いた値p1:A点およびD点の圧力h2:B点のエンタルピhBからC点のエンタルピhCを引いた値p2:B点およびC点の圧力を表している。すなわち、図2は以下のことを表している。 (1)臨界点を通る等温線Tkは飽和線S(SlとSvで表される曲線)と臨界点Kで接する。 (2)飽和線Sにおいて、臨界点Kの左は左下がりの曲線(Sl)となり、右は右下がりの曲線(Sv)となる。 (3)等温線Tkの左および飽和液線Slの左は冷媒が液状態になる領域(斜線部)である。 (4)飽和線Sより下の部分は2相状態、すなわち液体と気体が混合した状態である。 (5)等温線Tkの右または飽和蒸気線Svの右は冷媒が気体状態(過熱蒸気)になる領域である。 (6)等温線Txは温度Txのときの蒸気圧を示しいる。 【0005】例えば、二酸化炭素においては、Tx>Tkすなわち等温線Tkの右側では、温度Txが一定の状態では冷媒は液化も2相化も起こりえないことを表している。臨界温度(31.1℃)等温線Tkの右側であって飽和蒸気線の臨界圧PK(75.28kg/cm2)以上の蒸気圧の右側の領域を特に超臨界状態といい、この領域を含む冷凍サイクルを超臨界冷凍サイクルという(正しくは臨界温度以上の蒸気圧領域を含む冷凍サイクル。一般にガス冷却器だけでは液化できない領域のサイクル)。 (7)B→Cの冷媒の状態変化は、ガス冷却器102をモータファン(図示せず)にて冷却する。等圧状態で熱量h2を放熱し、従来のフロンガス冷媒が液化(凝縮)していることを表している(凝縮過程)。しかし、ここでは超臨界領域の冷媒のため密度の高いガス状態を示す。 (8)D→Aの冷媒の状態変化は等圧状態で熱量h1を吸熱し、液化した冷媒が蒸発器105にて蒸発していることを表している(蒸発過程)。 (9)A→Bの冷媒の状態変化は、断熱状態で圧縮機101により冷媒を圧縮して圧力をp1からp2に高めていることを表している(圧縮過程)。 (10)C→Dの冷媒の状態変化は、断熱状態で膨張弁104を開放することによって冷媒を膨張させ、圧力をp2からp1に減圧していることを表している(膨張過程)。 【0006】凝縮過程(B→C)および蒸発過程(D→A)では熱交換が行われる。例えば、カーエアコンでの冷房モードの場合、凝縮過程では、ガス冷却器102をモータファンにより外気で冷却して冷媒の熱を外部に放出し、蒸発過程では、蒸発器105でモーターファンにより車内の空気から冷媒が熱を奪って車内空気を冷やし、蒸気圧縮冷凍サイクル100中の冷媒を温める。ただし、ガス冷却器用および蒸発器用のモーターファンは図示していない。 【0007】圧縮過程(A→B)および膨張過程(C→D)は断熱変化であるから、冷凍システム外からの熱の流入はない。しかし、圧縮過程では圧縮機の冷媒圧縮が行われるために、圧縮機の行った仕事量が冷媒の熱量(モリエル線図のエンタルピ)を増加させ、図2に示すように右上がりのグラフとなる。したがって、熱量h1とh2を比較すると、h2>h1の関係が成り立つ。ここで、冷凍機の性能を示す尺度として、一般に成績係数COPが用いられる。すなわち、成績係数COPは、 で表される。成績係数COPを上げるには、圧縮仕事(h2−h1)を減らすか、冷凍熱量h1を上げればよいことになる。 【0008】熱量h1を高めるための一つの方法として、内部熱交換方式がある(この例として特公平7−18602公報)。この方法は図3に示すように、凝縮過程および蒸発過程を終えた冷媒を接触させることによって、双方で熱交換を行い、h1の熱量を増加させるものである。図3において、各記号は以下の意味を持っている。 A´ :圧縮機101吸入前の冷媒状態B´ :圧縮機101吐出後の冷媒状態C´ :膨張弁104吸入前(入口側)の冷媒状態D´ :膨張弁104吐出後(出口側)の冷媒状態△h :熱交換によって出入りする熱量△h´:内部熱交換のない場合に比べて、圧縮機101により圧力p1まで圧縮されたときの冷媒の増加熱量矢印 :冷媒の流れの向きを表している。 【0009】図4は、図3の冷凍装置に対する冷凍サイクルを表している。図4における実線で示した冷凍サイクルABCDは、内部熱交換器106のない場合であり、破線で示したサイクルA´B´C´D´(一部ABCDと重複)は、図4のように内部熱交換器を取り付けた場合である。CがC´にずれているのは、内部熱交換器106によって凝縮(冷却)ずみの冷媒が熱量を失ったためであり、その熱量△hは△h=hC−hC´である。一方、AからA´の変化は、凝縮ずみ冷媒が放熱した熱量を蒸発ずみ冷媒が吸収したものであるから、hA´−hAは△hに等しい。ところが、圧縮機101で気圧をp1からp2に上げたとき、AではT1に温度上昇しても、A´ではT1にならず、それより高い温度T2になる。しかも通常、△h´=hB´−hB>△hである。内部熱交換によって得た熱量△hは冷却に寄与しないから、必ずしも成績係数がアップするとは限らない。しかし、冷凍効果は増加している。(線分AD=h1+線分DD´=△h)分の蒸発潜熱を外部流体から奪って外部流体を冷却する。 【0010】内部熱交換器を有する臨界領域での冷凍サイクルにおいての一つの問題点は、図4においてA点(圧力p1)からB点(圧力p2)に気圧を上げるときと、A´点からB´点に気圧を上げるときとでは、同じp1からp2への気圧の変化ではあるが、温度が後者の場合の方が高くなる。図の例ではT2−T1(T2>T1)だけ高くなっている。すなわち、圧縮機に吸入される冷媒は高温状態となり、潤滑油の劣化や圧縮機各部品の破損の原因となる。 【0011】一方、高熱化を防ぐために過熱度を低くし、図5に示すA点の状態で運転すると、圧縮機に液相冷媒が流れ込み、圧縮機の破損につながる。したがって、一般にはわずかに飽和蒸気線Svより右の状態(図5のA´)の状態で運転する。どの程度の状態にするかは、成績係数との兼ね合いになる。 【0012】この問題を解決する方法として、従来技術である『蒸気圧縮式冷凍サイクル』(特開平10-115470)では、センサーと膨張弁を2個設けた、超臨界状態でのCO2冷凍サイクルが提唱されている。図6は、上記冷凍サイクルの構造を示している。第1膨張弁1041によって減圧をし、2相状態を作り出す。このとき、温度センサー1081および圧力センサー104で放熱器102(ガス冷却器)からの吐出ガスの温度と圧力を測定し、制御装置110で第1膨張弁1041の開度を決定し、最適制御線を算出している。これによって、冷凍効率(成績係数)が最適値になるように工夫されている。一方、第2膨張弁1042は、圧縮機101のCO2の過熱度が所定値になるように調整する働きを持っている。圧縮機の吸入側のCO2を温度筒1082で取り込み、温度変化を感知して第2膨張弁1042に伝え、第2膨張弁の開度を調整している。これによって、液相状態のCO2が圧縮機に流入しないように制御している。 【0013】上記冷凍サイクルでは、圧縮機を2個持った図7で示すような装置も、実施例として挙げられている。図6で示すように、センサーや制御装置を備えたシステムは冷凍機の構造が大型化し、コストも高くなるなるために、このシステムでは、第1膨張弁を制御する装置を取り付けずに、開閉は機械式になっている。第1膨張弁1041で減圧されたCO2の気相部分は受液器103から直接第1圧縮機1011に導かれている。第2膨張弁1042は図6と同じ働きをするが、第2膨張弁で気化され、蒸発器105で温められたCO2は第2圧縮機1012で第1段階の圧縮が行われ、さらに第1圧縮機で受液器から直接導かれたガスとともに第2段階の圧縮が行われる。この例でも、受液器103に溜まる中間圧のガスを第1圧縮機の加入側に導く導入配管や、圧縮機が2個も設け、大型化し、コスト高でもある。 【0014】これまでフロンが広く用いられてきたことには、それなりの理由がある。その一つが、臨界温度が高いことである。たとえば、フロンR12の臨界温度は約112℃であり、フロンR134aでは約80℃である。これに対して、CO2の臨界温度は31.1℃と低い。このことは、CO2サイクルでは液相が作りにくいことを意味している。とくに家庭用空調装置やカーエアコンのような場合に、夏場、外気温が30℃以上になる日本においては、ガス冷却器を外気温で冷やすとき、等温線Tk(図2参照)以下の温度にCO2を冷却できずに、凝縮を伴う冷凍サイクルが成立しない。かりに外気温度が31℃としても、カーエアコンの場合には圧縮機がエンジンとベルトでつながれて固定されている装置においては、冷却空気温度がゆうに臨界温度(31.1℃)を超えてしまい、冷房効果が低くなるとともに、それに伴う成績係数の低下を招いてしまう。 【0015】内部熱交換器を有しない単圧縮単膨張冷凍サイクルで冷凍効果を維持するには、より一層、高圧にガス圧縮し、ガス冷却器で多くの放熱を必要とする。図8を用いて具体的に説明しよう。図において、まず外気温が臨界温度Tkよりも低く、ABCDの冷凍サイクルは臨界温度近辺の温度T1(≦Tk)まで温度を下げられるものとする。このときの成績係数COPは、COP=h1/hwとなる。ここでh1はD→A間の蒸発器の吸熱による冷凍効果、hwは圧縮機の圧縮仕事である。いま外気温が上昇して温度がT2(>T1)までしか下げられなかったとすれば、そのままの運転では冷凍サイクルはABC´D´となる。すなわち、成績係数はCOP=(h1−△h1)/hwとなり、冷凍能力、冷凍性能ともに低下する。ここで、△h1は蒸発器の吸熱の減少量である。そのABCDと同じ冷房効果を維持させるためには、蒸発器での吸熱をh1に保たせなければならない。すなわち、圧縮機から吐出するガスのガス圧力を上げ、AB´C″Dの冷凍サイクルにする必要がある。この場合の成績係数は、COP=h1/(hw+△hw) となり、やはり冷凍性能は低下する。ここで、△hwは圧縮機の圧縮仕事の増加を表す。 【0016】このように、CO2冷媒では外気温が臨界温度(31.1℃)以上になると、単段冷凍サイクル(たとえば、図1の構造の蒸気圧縮冷凍機)においてはガス冷却器で冷媒を臨界温度以下に下げることができないために、いっきに冷凍性能を悪化させる。なぜなら、ガス冷却器で冷媒をTkの温度に下げることができず、液化できないからである。 【0017】 【発明が解決しようとする課題】従来の技術でいくつかの冷凍サイクルの形態を見てきた。しかし、それぞれにおいて一長一短がある。冷凍(あるいは冷房)しようとする対象によっても、また使用する冷媒によっても、どの冷凍サイクルがよいかの判断基準が異なってくる。たとえば−20℃、−30℃といった業務用冷凍機のような場合と、家庭用冷蔵庫、空調機、あるいはカーエアコンのような場合とでは、冷凍機の装置の構造やそのサイクルは違ってくる。 【0018】冷媒の問題も今後の課題として残されている。現在、広く利用されているフロンは、地球温暖化などの地球環境破壊化学物資の一つとして挙げられている。この代替物質としてCO2が注目されている。しかし、従来技術でも述べたように、CO2は臨界温度が低いために、カーエアコンなどの冷媒として使用するときには、内部熱交換器を有しない単圧縮単膨張冷凍サイクルでは冷凍効率が悪く、また冷凍サイクルが作りにくいという弱点を持っている。 【0019】さらに問題になる点は、モリエル線図でも示されるように等温線の特徴から、急激な圧力上昇が必要となる。この圧力を確保するために、圧縮機では圧力をp2からp3まで上昇させる必要がある。このとき、冷媒の温度もTmからTn(>Tm)に急上昇する。すなわち、CO2のように臨界温度が低い冷媒の場合には、液溜めができず、また封入冷媒量、圧縮機の回転数の変化によって高圧側圧力の変動が著しくなる。 【0020】従来例でも述べたように、冷凍効果や成績係数の向上のために内部熱交換を行う方法もある(図3、図4参照)。しかし、この図3の内部熱交換を有する冷凍機では、図8で示すように冷凍サイクルA´B″CDとなる。C´→C、A→A´の変化は内部熱交換によって生じる状態変換を示している。すなわち、高圧側で放熱した熱量△h1は、低圧側で吸熱される。このため、圧縮過程で圧縮された冷媒の温度はTo変化する。図においてTo>Tmであるから、内部熱交換のない場合に比べて改善が認められる。しかし同じ冷凍能力を維持しようとすると、外気温が上がるに従って内部熱交換器で熱交換する熱量を単純増加させなければならない。その場合、A→A´での吸熱過熱度が過大になり、さらに温度が上昇する。したがって、ABCDと同じ冷凍効果が得られるからといって、超臨界状態では図3の構造をそのまま利用することができない。 【0021】一方、従来技術で挙げた『蒸気圧縮式冷凍サイクル』は基本的に冷凍効率を最適化する冷凍サイクルであって、本発明が扱おうとしている問題とは別物である。 同特開平10−115470公報では、2段圧縮2段膨張冷凍サイクルも実施例として載せてある。しかし、この方法は、構成が大型化し、コスト高でもあるため、根本的に本発明が扱おうとしている問題を解決するものではない。 【0022】また、中間冷却器(内部熱交換器とは別物)を有する2段圧縮2段膨張冷凍サイクルなども現実に存在するが、中間冷却器と受液器で低圧側の冷媒温度を下げる方法は、カーエアコンのような場合に中間冷却器を高い温度の外気で過冷却する範囲では十分な効果は期待できない。それに単に圧縮途中の冷媒温度を下げる目的の中間冷却器と、2台の圧縮機を備えることは、蒸気圧縮冷凍装置そのものの構造を大きくし、しかもコスト高となるために、一般ユーザー用のエアコンでは有効な対策とはならない。とくに圧縮機の動力をエンジンから得るようなカーエアコンの場合には、『蒸気圧縮式冷凍サイクル』と同様に、2台の圧縮機を有することは、エンジンルーム内の占有空間を少しでも小さくし、かつ重量を少しでも少なくするためには、現実的でない。 【0023】以上の点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、超臨界状態における冷凍サイクルにおいて、従来の冷凍サイクルと同様に冷凍能力を実現し、なおかつ複雑な構造を持たない簡単な装置で効率的な冷凍サイクルを実現することである。 【0024】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するため、内部熱交換器と2個の膨張弁を設ける。その構造は以下の通りである。超臨界冷凍サイクルを利用した蒸気圧縮式空気調和装置において、その構成要素は圧縮機、ガス冷却器、内部熱交換器、受液器、蒸発器および第1膨張弁と第2膨張弁の2個の膨張弁からなる。内部熱交換器においては外部との熱交換はなく(すなわち断熱処理)、状態の違う冷媒同士の熱交換を行う(ここでいう状態とは液相、気相を意味するだけでなく、圧力、温度、エンタルピなども含む冷媒状態をさす)。冷凍装置は断熱的であるが、ガス冷却器、蒸発器では外部との熱交換が行われる。したがって、広い意味での表現を使うなら、ガス冷却器、蒸発器は“外部システムとの熱交換器”である。カーエアコンの場合には、ファンで外気をガス冷却器に当てて熱を奪い、奪った熱は外部に捨てる。一方、蒸発器には車内の空気をファンで当て、冷媒の潜熱を奪って車内空気を冷やして、車内を冷房する。冷房と逆の操作を行えば、暖房が行えることになる。すなわち、ガス冷却器は放熱器であり、蒸発器は吸熱器の働きを持っている。なお、ガス冷却器と蒸発器の作用を逆にすれば、ヒートポンプ(暖房機)として利用できる。 【0025】以上の装置で、以下のような冷凍サイクルを行う。 (1)蒸発器および内部熱交換器を通過した乾いた状態Aの気相冷媒を圧縮機で吸入し圧縮して、高圧高温の超臨界状態Bのガスを吐出し、(2)状態Bのガスをガス冷却器で冷却して状態C´のガスを作り出し、(3)状態C´のガスを第1膨張弁で減圧して臨界蒸気圧温度まで下げて、冷媒を状態C2にし、(4)状態C2の冷媒を内部熱交換器内で、蒸発器を通過した状態Dの冷媒とで熱交換させることによって状態C3の冷媒を作り出して、受液器で液相と気相を分離し、(5)状態C3の液相冷媒を第2膨張弁で減圧して2相状態Dを作り、(6)状態Dの冷媒を蒸発器で蒸発するとともに、外気温度を冷却するとともに、状態A´の気相冷媒にし、(7)状態A´の冷媒を、内部熱交換器内で状態C2の冷媒とで熱交換させることによって状態Aの気相冷媒を作り出すことによって、A→B→C´→C2→C3→D→A´→Aの冷凍サイクルを可能にする。 【0026】すなわち本発明の冷凍サイクルは、ガス冷却器では液相状態にできない超臨界状態冷媒に対して、ガス冷却器で冷却されたガスを第1膨張弁で減圧して等温臨界蒸気圧線の温度まで下げ、さらに内部熱交換によって冷媒の温度を下げて液相状態を作ることができる。しかも、内部熱交換によって圧縮機の冷媒吸入側で高い温度(高温高圧のエンタルピの高い状態)にならないように抑えることができる。この点の詳細は、実施の形態で、実施例とともに詳細に説明する。 【0027】また、本発明の冷凍装置では、ガス冷却器では液相状態にできない超臨界状態冷媒に対して、ガス冷却器で冷却されたガスを第1膨張弁で減圧して温度を下げ、さらに内部熱交換によって冷媒の温度を下げて液相状態を作ることができ、簡便にして保守が容易な装置が得られる。 【0028】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面と具体的数値を用いて説明する。本発明の実施例の一つとして図9の回路構成図を挙げる。図10は図9に対応した冷凍サイクルである。なお、本発明の冷凍サイクルは破線(一部、実線と重複)で示すA→B→C´→C2→C3→D→A´→Aである。 【0029】図10において、図1および図2に相当する、ベースとなるCO2冷凍サイクルでは、蒸発温度を例えば0℃とし、等エントロピ圧縮、等エンタルピ膨張としている。凝縮側については臨界点Kr(臨界圧力75.28kg/cm2、臨界温度31.1℃)を越えた領域である超臨界領域になっており、冷却に伴いB1点Tn、例えば80℃からC’点T2、例えば40℃に温度低下し、凝縮器出口C´点に冷媒は流れ、C´点から冷媒は膨張弁により圧力P2を106kg/cm2からD´点の35.5kg/cm2に下げられ、蒸発器入口に導入される(この間に余剰冷媒は受液器にストックできるようにしてある。しかしこの場合、受液器での相分離はない。すなわち、冷媒は液化しない)。蒸発温度0℃で冷媒は、蒸発器から圧縮機へ流れる。これらを図10では、実線で示す内部熱交換器を有しない単圧縮単膨張冷凍サイクルA´→B´→C´→D´→A´として示してある。 【0030】このベースとなるCO2サイクルに内部熱交換器106のみを加えたCO2サイクルでは、凝縮器102を通過した冷媒は、内部熱交換器106により、ベースのCO2サイクルC´点のT2例えば40℃からC″点のT1例えば30℃にまで温度が下げられる。これを熱量(エンタルピ)に換算すると、圧力P2例えば106kg/cm2のまま、C´からC″点までの減少熱量△h´は、例えば9.6kcal/kgである。この減じた熱量△h´分が、内部熱交換器106でそのまま蒸発器105を出た冷媒の熱量増加分となり、圧縮機101中の冷媒はA´からA″の△h´増加した熱量のガスとなるために、圧縮後はB″点に達する。B″点(温度To例えば108℃、圧力P2例えば105kg/cm2)の状態で圧縮機から吐出された冷媒は、再び凝縮器102へ導入されることになる。これを図10で示せば、一点破線(一部、実線および破線と重複)で示す内部熱交換器のみを有する冷凍サイクルA″→B″→C″→D″→A´→A″となる。このように内部熱交換器のみを設けて蒸発器能力を向上させようとすると、すなわち成績係数COP=D´A´/C´B´−(D´A´)を向上させようとすると、圧縮機の吸入温度がTo例えば103℃と高温になってしまう。これにより、潤滑油の劣化や、シール部や軸受部等の不具合が生じて圧縮機破損というような事故原因となる恐れがある。 【0031】そこで本発明では、図9に示すように冷凍サイクル中に膨張弁を2個所と内部熱交換器とを併せ設けたものとする。すなわち、ガス冷却器102の出口C´と内部熱交換器106の入口C2との間に第1膨張弁1041を、内部熱交換器106の出口C3を経て、受液器103と蒸発器105の入口D点との間に第2膨張弁1042を設ける。したがって、第2膨張弁1042で減圧された冷媒は、蒸発器105の出口A´および内部熱交換器106の出口Aを経たのち、圧縮機101で圧縮されて吐出されることになる。 【0032】本発明では、ガス冷却器102でファンモーター1071で放熱された冷媒に対して、C´点で第1膨張弁1041で圧力をP2106kg/cm2から、C2点のP3例えば80kg/cm2まで低下させたのち、内部熱交換器106でC3点のT1例えば30℃まで温度を低下させる。次にC3点で第2膨張弁1042で圧力をP3例えば80kg/cm2からP1例えば35.5kg/cm2まで低下させ、蒸発器105の入口D点に冷媒を導く。このときの内部熱交換器106での熱量の交換量(エンタルピ)は△h線分C2C3例えば5.2Kcal/kgである。これによって、圧縮機に吸入される冷媒は、図10に示すようにA点かB点に圧縮され、吐出される。すなわち、B点の冷媒は温度Tn例えば90℃、圧力P2例えば106kg/cm2である。これにより、圧縮機101の温度は、Tn例えば90℃と低く抑えることが可能となる。この間に、受液器103に余剰冷媒をためておくことができる。上記の冷凍サイクルにおいては、受液器での気液分離はない状態であると考えられる。すなわち、すべてが液化された状態であると考えられる。 【0033】蒸発器105を通過した冷媒は、内部熱交換器106を通過するために、C2→C3の状態変化で放熱された熱量△hを吸熱してA´→Aに状態変化し、圧縮機101に吸入されることになる。さきに述べたように△h<△h´であるから、単に内部熱交換器のみを有する冷凍サイクルA´B´C´D´に比べて、圧縮機で圧力p2に圧縮した場合の温度は、本発明の冷凍サイクルABC´C2C3DA´の方が低い(図10のTn、To参照)。すなわち、圧縮機の高圧側の温度を抑えられるために、冷媒の温度上昇に伴う潤滑油の劣化や圧縮機破損といった故障を防げる。 【0034】なお、内部熱交換器の概念的構造は図11のようになっている。一般に高圧側の冷媒tHを中の管に流し、低圧側の冷媒tLをそれを取り巻くように外の管に流す(図9の矢印は冷媒の流れを表し、tLは低圧側の冷媒の流れ<蒸発器105を通過した冷媒の流れ>、tHは高圧側の冷媒<第1膨張弁1041を通過した冷媒の流れ>をそれぞれ表している)。このような構造をとるのも、高圧ガスで管が破損しにくくしているためである。 【0035】以上、本発明はフロンに代わる超臨界冷凍サイクルを余儀なくされる冷媒に対して、将来的に有効な手法になる。 【0036】 【発明の効果】現在使用されているフロンは、オゾン層の破壊や地球温暖化の原因となるということで、世界的に使用基準が見直されようとしている。そこで現在、フロンに代わる冷媒の一つとして、例えば、二酸化炭素CO2が冷媒として研究されるようになってきているが、CO2サイクルは、フロンに比べて臨界温度が低いことである。CO2の臨界温度は31.1℃。夏場の日本の気温はゆうに30℃を超える。カーエアコン(家庭用エアコンも同様)の冷媒としてCO2を使用するとなると、30℃以上の外気でガス冷却器を冷やさなけらばならない。ところが、カーエアコンの場合、圧縮機の動力はエンジンから得るために、圧縮機とエンジンが一体型の構造となり、ガス冷却の大気温度は臨界温度以上になってしまう。すなわち、ガス冷却器だけでは受液器に液溜めを作ることができず、安定した冷凍効果(冷房効果)が得られない。 【0037】この解決方法として、内部熱交換器によって膨張弁前の冷媒温度(ガス冷却器より吐出ガス温度)を下げて液相化することも考えられるが、この場合、低圧側(圧縮機吸入側)の過熱度温度が上昇し、圧縮機の吐出温度が高くなってしまうというジレンマが生じていた。 【0038】本発明ではガス冷却器出口側と内部熱交換器の吸入側との間に膨張弁を新たに設けて、いったんガス圧を臨界圧近傍まで下げ、そのあとで内部熱交換することによって、小さな熱量の内部熱交換で凝縮温度まで冷却可能として、液相化しており、吐出温度の上昇を防ぎ、従って、本発明は割合簡単な構造で、しかも受液器を設けることにより高圧側の熱量変動、圧力変動を抑えることを可能にしているので、下記の通りの効果を奏する。 【0039】圧縮機吸入側の冷媒温度を低く抑えられ、高圧変動を小さくすることが可能となり、これによって、圧縮ガスの過熱化を防ぎ、潤滑油の劣化や圧縮機の高熱化による破損を防止できる。 【0040】内部熱交換器を有しない単圧縮単膨張冷凍機に比べて、高い冷却効果を得られる。また、内部熱交換器のみを有する単圧縮単膨張冷凍機に比べて、圧縮機吸入側の冷媒の温度を低くすることができ、高圧変動を小さくするとともに、冷媒の過熱化を防止できること。 【0041】多段圧縮冷凍サイクルの装置に比べて構造が単純なために冷凍機の小型化、製造時の低コスト化が可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001845 【氏名又は名称】サンデン株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年5月26日(1999.5.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100108888 【弁理士】 【氏名又は名称】本田 紘一 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−337722(P2000−337722A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月8日(2000.12.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−146681 |
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