| 【発明の名称】 |
冷媒分流器 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐々木 重幸
【氏名】工藤 光夫
【氏名】久保田 淳
【氏名】鹿園 直毅
【氏名】長澤 喜好
【氏名】松尾 一也
【氏名】小暮 博志
【氏名】森本 素生
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| 【要約】 |
【課題】分流器の姿勢が変化した場合においても、安定した分配特性が得られ圧力損失が小さく、さらに製造コストが安価な冷媒分流器構造の提供。
【解決手段】流入管と、この流入管から分岐する複数の流出管を備え、内面に複数の微細な溝を設けた冷媒分流器において、流入管の中心軸と流出管の中心軸とのなす角度を直角よりも大きくする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】流入管と、この流入管から分岐する複数の流出管を備え、内面に複数の微細な溝を設けた冷媒分流器において、流入管の入口部の中心軸と流出管の入口部の中心軸とのなす角度が直角よりも大きいことを特徴とすることを特徴とする冷媒分流器。 【請求項2】内面の複数の溝は管軸方向に平行または螺旋状の溝、または異なる方向の溝群の複合であることを特徴とする請求項1記載の冷媒分流器。 【請求項3】内面に微細な溝を設けた管と、流出管との接合部品をプレス成形品または削り出し品で構成することを特徴とする請求項1記載の冷媒分流器。 【請求項4】少なくとも2本以上の流出管は、同一流路断面積または異なる断面積の管で構成することを特徴とする請求項1記載の冷媒分流器。 【請求項5】内面に微細な溝を設けた管部が、入口部と出口部で異なる流路断面積を有することを特徴とする請求項1記載の冷媒分流器。 【請求項6】内面に微細な溝を設けた管部が、入口部から出口部に至るまでに管軸が曲がっていることを特徴とする請求項1記載の冷媒分流器。 【請求項7】内面に微細な溝を設けた管部の溝深さ、溝幅の一方、または両方が入口部と出口部で異なる寸法であることを特徴とする請求項1記載の冷媒分流器。 【請求項8】内面に微細な溝を設けた管部は、転造または電縫型の熱交換器用伝熱管であることを特徴とする請求項1記載の冷媒分流器。 【請求項9】流入管と、この流入管から分岐する複数の流出管を備え、内面に複数の微細な溝を設けた冷媒分流器において、内面に微細な溝を有する管の流路断面の円周上に流出管の開口部を配置したことを特徴とする冷媒分流器。 【請求項10】内面に微細な溝を設けた管部は、転造または電縫型の熱交換器用伝熱管であることを特徴とする請求項9記載の冷媒分流器。 【請求項11】流入管と、この流入管から分岐する複数の流出管を備え、内面に複数の微細な溝を設けた冷媒分流器において、内面に微細な溝を有する管の流路と同一方向に開口部を有する流出管を設けたことを特徴とする冷媒分流器。 【請求項12】内面に微細な溝を設けた管部は、転造または電縫型の熱交換器用伝熱管であることを特徴とする請求項11記載の冷媒分流器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍サイクルを伴う空気調和機等に用いられる熱交換器に係り、その冷媒分流器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より用いられてきた家庭用空調機の室内機断面構造を図12示す。室内機10は、アルミ製の薄板材をプレス加工し、複数枚を所定の間隔で並べたフィン11を銅製の伝熱管12が貫通した熱交換器13と、このフィン11間に空気を流動させるための風量を発生させる貫流ファン14、筐体15などにより構成される。 【0003】伝熱管12内にフロン系冷媒等を封入した冷凍サイクルを構成し、温度差のある冷媒と空気を熱交換することにより、冷房や暖房また除湿等の室内の空調作用ができる。なお冷媒は、伝熱管12内を流れるに伴って蒸発、凝縮等の相変化をし、気液二相の状態が伝熱管方向に変化しながら流れる。このとき、気液二相流の状態の指標となる冷媒乾き度[=気相の質量流量/(気相+液相の質量流量)]が変化する。 【0004】熱交換器13内を流れる冷媒は、特に熱交換器13を蒸発作用させる場合(室内機が冷房や除湿運転条件)において、伝熱管内の冷媒の所定の蒸発、強制対流熱伝達率を確保した上で、冷媒流動時の圧力損失をできるだけ低減させることが性能向上の上で望ましい。 【0005】このため熱交換器を設計する場合、伝熱管12内の管内流速をある程度の値に保持しながら、複数の冷媒流路(以下、冷媒パス)に分けて流すことが行われる。このような、1本あるいは少ない本数の冷媒配管を多くの配管に分流させる構造として冷媒分流器が必要となる。 【0006】一般に、水や空気等の液体やガスの単相流(冷媒の場合は、乾き度が0か1)は、出口部でオリフィス等により圧力損失の差を支配的な大きさにすることにより比較的容易に流体を分配させることができる。 【0007】しかし、冷凍サイクルに用いるフロン系冷媒は、熱交換器内を数十倍異なる密度比の冷媒蒸気と冷媒液が混在した気液二相となって流れる。そのため、熱交換器を設計する上で、複数本の伝熱管への冷媒の分配は難しい問題となっている。また、最近の空気調和機の省エネ化推進のため、熱交換器の高性能化,小型化、また環境へ配慮し省冷媒化の観点から伝熱管を細くする動きがあり、必然的にパス数も増える傾向にある。 【0008】一方、冷媒分流器には複数の冷媒配管に均一に冷媒を流すことが必ずしも最適とはならない場合もある。これは、図12に示す室内機において、背面熱交換器13bから前面熱交換器13aに冷媒を導こうとした場合、貫流ファン14と前面熱交換器13aとの位置関係や筐体15構造により、図12中の矢印で示すように、中パス部分での風速が他の、上や下パス部の熱交換器部に比べて大きいことがある。この場合、中パス部分に冷媒を多く流すことが性能向上の点から効果的である。 【0009】また、図12では各パスの伝熱管本数を8本に揃えた構成で示したが、熱交換器の構成上、各パスの伝熱管本数に違いがある場合などにも、すべての伝熱管を効果的に作用させるために最適な冷媒分配比率が存在する。 【0010】ところで、この気液二相流を分配するため、気体と液体を混合し均質な流れとすることにより単相流的な扱いができるとした従来の発明に特開平7―12429号公報等の発明がある。均質な流体とするための駆動力として、冷媒の運動量を利用したもので、内面に比較的大きな溝形状または凹みを設けた配管内に冷媒を流すことにより、管壁面近傍では溝部に沿って冷媒が流れ、管軸方向に旋回する二次流れを生じる。この旋回する流れによって冷媒を均質化しようとする発明である。 【0011】また、内面に溝または凹みにより生じた旋回流によって、出口配管での冷媒流速および流量の均一化を図ろうとする発明として特開平5―18638号公報等の発明がある。 【0012】さらに、冷媒媒液に旋回流を与え遠心力により環状流化し、冷媒液を円周方向に均一な厚さとして分岐させようとする従来の発明として特開平6―317364 号公報等の発明がある。 【0013】以上の発明においては、冷媒に旋回成分を与えるために圧力損失が増大し、冷凍サイクルにおける圧縮機に多くの負担がかかる。また、圧力損失の増大により冷房時の性能が低下するという問題がある。 【0014】ところで、分岐後の冷媒質量流量の差によらず冷媒乾き度を均一にしようとする一例として、入口部における冷媒の二相状態の流動様式を環状流化することにより出口冷媒の乾き度が出口質量流量比の影響を受けにくいことがInternational Journal of Maltiphase Flow第15巻、965―975頁に記述されている。 【0015】この、環状流を形成するため流入管内面に微細な溝を設け、溝内部での表面張力作用を用いて環状流を形成しようとした発明に図10記載の特開平10―318628号公報の発明がある。これは、図10に示す構造において、入口部の流入管21内部に設けた微細な溝51内に冷媒液が、表面張力の作用により引き込まれ、液が管壁に張り付いて流れる環状流になりやすい。そして、環状流化した冷媒を分岐させ流出管31より流出させようとする構成である。 【0016】図11にこの作用を図示化する。図11(a)には2本の分岐管を備えた冷媒分流器の断面構造を示す。図11(a)では環状流の液冷媒11が重力作用等の影響により不均一を生じる。そこで、(b)に示すように流入管内の微細な溝により液膜厚さの均一(δ1=δ2)な冷媒液11の環状流の流動様式を形成しようとするものである。 【0017】しかしながら、一般的な家庭用空調機等で使用される冷媒循環量は数10kg/h程度必要であり、冷媒の運動量が比較的大きい。そのため、図11(b)に示すように流入管から流出管への連通部に至る管壁61で液と蒸気が激しく衝突し混ざり合うためことが想像され、微細化した気液が再び混合されるため流出管31での分配特性は改善されないと考えられる。これは、流出管内または流入管から流出管に至る連通管61に微細な溝を形成したとしても、改善されるものではないと想像する。さらに、液冷媒の衝突により圧力損失が増大する構造であるという問題があった。 【0018】 【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、分流器の姿勢が変化した場合においても、安定した分配特性が得られ圧力損失が小さく、さらに製造コストが安価な冷媒分流器構造を提供することにある。 【0019】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明による冷媒分流器は、流入管と、この流入管から分岐する複数の流出管を備え、内面に複数の微細な溝を設けた冷媒分流器において、流入管の中心軸と流出管の入口部の入口部中心軸とのなす角度を直角よりも大きくするものである。 【0020】さらに、内面の複数の溝は管軸方向に平行または螺旋状の溝、または異なる方向の溝群の複合とするものである。 【0021】さらに、内面に溝を設けた管と流出管との接合部品をプレス成形品または削り出し品で構成するものである。 【0022】さらに、少なくとも2本以上の流出管は、同一流路断面積または異なる断面積で構成するものである。 【0023】さらに、内面に微細な溝を設けた管部が、入口部と出口部で異なる流路断面積を有するものである。 【0024】さらに、内面に微細な溝を設けた管部が、入口部から出口部に至るまでに管軸が曲げるものである。 【0025】さらに、内面に微細な溝を設けた管部の溝深さ、溝幅の一方、または両方が入口部と出口部で異なる寸法とするものである。 【0026】さらに、内面に微細な溝を設けた管部は、転造または電縫型の熱交換器用伝熱管とするものである。 【0027】さらに、流入管と、この流入管から分岐する複数の流出管を備え、内面に複数の微細な溝を設けた冷媒分流器において、内面に微細な溝を有する管の流路断面の円周上に流出管の開口部を配置するものである。 【0028】さらに、流入管と、この流入管から分岐する複数の流出管を備え、内面に複数の微細な溝を設けた冷媒分流器において、内面に微細な溝を有する管の流路と同一方向に開口部を有する流出管を設けるものである。 【0029】 【発明の実施の形態】以下、本発明の内容を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明による冷媒分流器を示す。気液二相状態の冷媒1が流入する流入管2と複数の流出管3を備え、分流器4の内面には複数の微細な溝5が設けられている。分流器4と流出管3は接続部6を介してロウ付けにより接合される。流入管2より流入する気液二相流の冷媒1は、分流器4内部に導かれ、複数の流出管3内を流れ分流器全体から流出される。 【0030】なお、分流器4の中心軸と流出管3の中心軸は、角度Φにより接合され、角度Φは直角(90度)よりも大きいことが本発明の特徴である。 【0031】図2を用いて分流器4内部の流れを説明する。図2は、冷媒分流器4の管断面を冷媒流入管2側から見たものである。冷媒は紙面の手前から奥方向に向かって流れる。流入管より流入した冷媒は、冷媒液が分流器4内を流動する際、管壁との接触を繰り返すうちに、表面張力作用により微細な溝5内に引き込まれる。 【0032】ここで、溝の寸法は主に溝幅Wgの寸法により冷媒が表面張力作用を受けるため、微細な溝である方が望ましい。また、溝深さHgと溝幅Wgおよび溝数Nで規定される容積の方が冷媒液の体積流量から算出される単位時間当たりの冷媒液体積よりも大きい方が溝内部に完全に冷媒液が引き込まれるため冷媒液が安定に流動する。冷媒液が外周部の溝内に引き込まれるため、分流器4の中心部分は冷媒蒸気のみが流れる領域となる。冷媒液はこの冷媒蒸気とのせん断力が駆動力となって微細な溝5内を冷媒流出管3方向に導かれる。 【0033】冷媒流出管3の開口部3′が分流器4と同一方向、紙面垂直方向に開口して配置しているため、冷媒液の気相と液相が混合されることなく流出管3内に安定に導かれる。表面張力が支配的に作用して冷媒を環状流化するため、分流器4の設置角度による重力の作用を受けずに各溝内の冷媒量が均一化し流出管から流出する。その結果、安定した分配特性が得られる。また、液冷媒の衝突が少ないため、圧力損失の増大を防ぐことができ冷房時の性能の低下を抑えることができる。さらに、構造の簡単な部品で冷媒分流器を構成するため製造コストが安価である。さらに、複数の流出管3の開口部3′に占有する溝数Nに応じて所定の比率で冷媒を分配できる。 【0034】なお、図2(a)のように各流出管の開口部3′は占有する溝数が少ない場合よりも図2(b)のように多くの溝数を占有する方が、冷媒液が接続部6の壁面に衝突する部位が減るため、さらに良い分配特性結果が得られる。 【0035】図3は、図1における発明において分流器4内部の溝を流れ方向に螺旋状に形成したものである。図3の構造における螺旋溝は、微細な寸法であり冷媒に旋回成分を与える程の大きさではない。流入管2と分流器4との接合部2′において、拡管または絞り等の塑性加工を行う上での剛性を高め、分流器4の拡管割れ等の不具合を防ぐ目的である。 【0036】図4は、本発明における他の実施例を示し、冷媒分流器4と流出管3との接合部6を示す。接合部6の流出管挿入部6′に流出管を入れ、分流器4と共に隙間が生じないようにロウ付けする。接合部6は、図のように板材をプレス加工した構成であっても本発明の効果は達成され非常に安価に製造できる。すべてロウ付けでなく、密閉性が保持できればネジ接合式であっても構わない。 【0037】図5は、接合部6を削り出しにより製作したもので、図4におけるプレス成形品では、寸法交差による製造ばらつきがあり、分配特性に悪影響を与える場合には効果がある。 【0038】図6は、本発明の他の実施例を示す。図1から図4における発明では、図6(a)に示すように分流器4に対して3本の流出管3で示したが、図6(b)では5本の例で示すように2本以上の流出管3を備える場合すべてに本発明は適用できる。図6(c)は、複数の流出管3の径が異なっている場合であり、このような構成であっても本発明は達成される。またこの場合、開口部の流路断面積を変えることにより占有する微細な溝の数を流出管ごとに個々に変えられるため、流出管3における冷媒の分配比率をあらかじめ設定することができる。 【0039】図7は本発明の他の実施例を示し、分流器4と流入管2との接合部4′では細く、流出管接続部4″では太くした(ΦDout>ΦDin)ものである。このような構成により流出管3の本数が多い場合にも本発明を適用できる。 【0040】図8は、本発明の他の実施例を示し、分流器4を途中で角度θ曲げて構成したものである。冷媒液は、溝5内部に引き込まれているため、分流器4を曲げても冷媒液には表面張力が支配的に作用するため、曲げ部における遠心力の作用を受けにくく安定した分配特性が得られる。図8のような構成により、高密度実装化が進む家庭用空気調和機の室内機内部での分流器の実装の自由度が増す。 【0041】図9は、本発明の他の実施例を示し、分流器4内部での流れ方向に溝深さHgに変化を持たせたものである。入口部での溝深さを出口部でのそれよりも低くしている。このような構成により、図1の発明よりも分流器4の管軸方向の入口部から流出部に至る間に順次溝内に冷媒液が引き込まれるため、各溝内には安定を保ちながら等量の冷媒液が引き込まれてゆく。また、図9では溝深さを変化させているが、溝幅Wgを変化させることでも本効果は達成される。 【0042】以上の発明において、冷媒分流器4内面のみ微細な溝5を設けた構成で示したが、流出管3内面に微細な溝を設けた場合においても本発明の効果は達成される。この場合、流出管3が曲がって配置される場合に液冷媒が流出管の管壁で衝突した際の液の飛び散りを抑制でき、より低い圧力損失の冷媒分流器構造となる。 【0043】 【発明の効果】本発明によれば、分流器の姿勢が変化した場合においても、安定した分配特性が得られ圧力損失が小さく、さらに製造コストが安価な冷媒分流器を構成できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
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| 【出願日】 |
平成11年5月6日(1999.5.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075096 【弁理士】 【氏名又は名称】作田 康夫
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| 【公開番号】 |
特開2000−320929(P2000−320929A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月24日(2000.11.24) |
| 【出願番号】 |
特願平11−125580 |
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