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【発明の名称】 アンモニア吸収冷凍機
【発明者】 【氏名】田中 啓一

【氏名】大西 尚

【氏名】平中 幸男

【氏名】椿原 昇

【氏名】古寺 雅晴

【氏名】藤田 優

【氏名】松田 光史

【要約】 【課題】冷凍負荷が小さい場合でも、蒸発器の伝熱管内に、水分が残留するのを防止し得るアンモニア吸収冷凍機を提供する。

【解決手段】アンモニア液を伝熱管1a内に導き蒸発させる直膨式の蒸発器1と、アンモニア蒸気を吸収する吸収器2と、燃焼器3により吸収液を加熱して再生を行う再生部4と、アンモニア蒸気の凝縮を行う凝縮器5と、途中に膨張弁15を有して凝縮器5からのアンモニア液を蒸発器1の伝熱管1aに移送するための冷媒液移送管16とを有するアンモニア吸収冷凍機において、燃焼器3に燃料を供給する燃料供給弁21の弁開度を検出する弁開度検出器23を設けるとともに、この検出器により検出された弁開度を入力してその弁開度と設定開度とを比較して、設定開度より小さい弁開度が設定時間以上継続した場合、膨張弁15の弁開度を一時的に大きくする制御信号を出力する制御器24を設けたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】アンモニア液を伝熱管内に導き蒸発させる直膨式の蒸発器と、アンモニア蒸気を吸収液に吸収する吸収器と、アンモニア蒸気を吸収した吸収液を加熱して再生を行う再生部と、再生部で加熱蒸発されたアンモニア蒸気を凝縮させる凝縮器と、途中に膨張弁を有するとともに上記凝縮器で得られたアンモニア液を蒸発器内の伝熱管に移送するための冷媒液移送管と、上記蒸発器内の伝熱管にて蒸発されたアンモニア蒸気を吸収器に移送する冷媒蒸気移送管とを有するアンモニア吸収冷凍機において、冷凍サイクルでの状態量を検出する状態量検出手段と、この状態量検出手段からの検出状態量を入力するとともにその継続時間に基づき冷凍負荷の大小を判断し、かつ冷凍負荷が小さい場合に、上記膨張弁の弁開度を一時的に大きくする制御信号を出力する制御手段とを具備したことを特徴とするアンモニア吸収冷凍機。
【請求項2】状態量検出手段として、再生部における燃焼器への燃料供給弁の弁開度を検出する弁開度検出器を使用し、かつ制御手段により、上記弁開度を入力してその弁開度と設定開度とを比較して、設定開度より小さい弁開度が設定時間以上継続した場合には、上記膨張弁の弁開度を一時的に大きくする制御信号を出力するように構成したことを特徴とする請求項1記載のアンモニア吸収冷凍機。
【請求項3】状態量検出手段として、冷媒液移送管の途中に設けられた膨張弁の弁開度を検出する弁開度検出器を使用し、かつ制御手段により、上記弁開度を入力してその弁開度と設定開度とを比較して、設定開度より小さい弁開度が設定時間継続した場合に、上記膨張弁の弁開度を一時的に大きくする制御信号を出力するように構成したことを特徴とする請求項1記載のアンモニア吸収冷凍機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直膨式蒸発器を有するアンモニア吸収冷凍機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、アンモニア吸収冷凍機では、濃度が99.8%(水分が0.2%)のアンモニア液を蒸発器に移送して蒸発を行わせるが、0.2%の水分が、運転中に除々に蓄積されて、蒸発器内のアンモニア液の濃度が低下して、冷凍能力が低下する。
【0003】この冷凍能力の低下を防止するために、通常、蒸発器の底部に溜まっているアンモニア液を取り出すとともに、凝縮器から蒸発器に移送される温度の高いアンモニア液の熱を利用して、アンモニア液中の水分を蒸発させて冷媒の再生を行う冷媒再生器が具備されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したようなアンモニア吸収冷凍機の蒸発器として、アンモニア液を膨張弁により減圧させて蒸発器内に配置された伝熱管に導き蒸発させるようにした直膨式のものを使用する場合には、蒸発器内に配置される伝熱管は蛇行状に設けられており、すなわち伝熱管の出口部と吸収器側とが、冷媒蒸気移送管により接続されることになり、従来のように、蒸発器の底部からアンモニア液を直接取り出して冷媒再生器に導くことができなくなる。
【0005】したがって、蒸発器の伝熱管内には、水分を多く含むアンモニア液が蓄積されることになり、冷凍負荷が大きい場合には、多量のアンモニアが流れるため、水分が蒸発器内に蓄積されるのを防止することができるが、冷凍負荷が小さい低負荷時においては、伝熱管内に溜まった水分を持ち去ることができないため、冷凍性能が低下するだけではなく、運転が不可能になる場合も生じるという問題があった。
【0006】そこで、本発明は、冷凍負荷が小さい場合でも、蒸発器の伝熱管内に、水分が残留するのを防止し得るアンモニア吸収冷凍機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明のアンモニア吸収冷凍機は、アンモニア液を伝熱管内に導き蒸発させる直膨式の蒸発器と、アンモニア蒸気を吸収液に吸収する吸収器と、アンモニア蒸気を吸収した吸収液を加熱して再生を行う再生部と、再生部で加熱蒸発されたアンモニア蒸気を凝縮させる凝縮器と、途中に膨張弁を有するとともに上記凝縮器で得られたアンモニア液を蒸発器内の伝熱管に移送するための冷媒液移送管と、上記蒸発器内の伝熱管にて蒸発されたアンモニア蒸気を吸収器に移送する冷媒蒸気移送管とを有するアンモニア吸収冷凍機において、冷凍サイクルでの状態量を検出する状態量検出手段と、この状態量検出手段からの検出状態量を入力するとともにその継続時間に基づき冷凍負荷の大小を判断し、かつ冷凍負荷が小さい場合に、上記膨張弁の弁開度を一時的に大きくする制御信号を出力する制御手段とを具備したものであり、また上記アンモニア吸収冷凍機において、状態量検出手段として、再生部における燃焼器への燃料供給弁の弁開度を検出する弁開度検出器を使用し、かつ制御手段により、上記弁開度を入力してその弁開度と設定開度とを比較して、設定開度より小さい弁開度が設定時間以上継続した場合には、上記膨張弁の弁開度を一時的に大きくする制御信号を出力するように構成したものであり、さらに上記アンモニア吸収冷凍機において、状態量検出手段として、冷媒液移送管の途中に設けられた膨張弁の弁開度を検出する弁開度検出器を使用し、かつ制御手段により、上記弁開度を入力してその弁開度と設定開度とを比較して、設定開度より小さい弁開度が設定時間継続した場合に、上記膨張弁の弁開度を一時的に大きくする制御信号を出力するように構成したものである。
【0008】上記の各構成によると、吸収冷凍機での冷凍負荷に応じて、すなわち冷凍負荷が設定負荷よりも小さい場合には、例えば再生部における燃料供給弁の弁開度または冷媒液を蒸発器に供給する冷媒液移送管の途中に設けられた膨張弁の弁開度が、設定開度よりも小さい状態が設定時間以上継続した場合には、制御器により、一時的に、膨張弁が大きく開かれて、凝縮器からのアンモニア液が蒸発器の伝熱管内に一度に供給され、したがってこの膨張した大量のアンモニア蒸気の流れにより、伝熱管内に溜まっている水分混じりのアンモニア液が勢いよく排出される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態におけるアンモニア吸収冷凍機を、図1に基づき説明する。このアンモニア吸収式冷凍機は、図1に示すように、冷媒液であるアンモニア液を導く伝熱管1aを有するとともにこの伝熱管1a内でアンモニア液を蒸発させてその蒸発潜熱により被冷却流体(例えば、空気、ガスなど)を冷却する蒸発器1と、この蒸発器1で蒸発された冷媒蒸気であるアンモニア蒸気を吸収液であるアンモニア水溶液に吸収する吸収器2と、燃焼器(例えば、燃焼バーナ)3が設けられた加熱再生器4aおよび精留塔4bから成るとともに上記吸収器2でアンモニア蒸気を吸収したアンモニア水溶液を導き加熱再生を行う再生部4と、この再生部4で再生されたアンモニア蒸気を凝縮させる凝縮器5と、蒸発器1の伝熱管1a内のアンモニア蒸気を吸収器2に移送する第1冷媒蒸気移送管11と、途中に液移送用ポンプ12を有するとともに吸収器2にてアンモニア蒸気を吸収したアンモニア水溶液を再生部4に移送する吸収液移送管13と、再生部4の精留塔4b側から出たアンモニア蒸気を凝縮器5に移送する第2冷媒蒸気移送管14と、途中に駆動部15aにより弁開度が制御される膨張弁15を有するとともに凝縮器5で凝縮されたアンモニア液を蒸発器1の伝熱管1aに移送する冷媒液移送管16と、途中に還流ポンプ17を有するとともに上記冷媒液移送管16を流れるアンモニア液の一部を再生部4の精留塔4b側に還流させる還流管18と、上記第1冷媒蒸気移送管11と冷媒液移送管16との間に設けられて凝縮器5からのアンモニア液の持つ熱を蒸発器1からのアンモニア蒸気に与えて熱効率を向上させるための過冷却器19と、途中に、駆動部21aにより弁開度が制御される燃料供給弁21を有するとともに上記再生部4の加熱再生器4aに設けられた燃焼器3に燃料を供給するための燃料供給管22とが具備されている。
【0010】また、このアンモニア吸収冷凍機には、燃料の供給量を時間とともに検出することにより、冷凍負荷の大小を判断し、冷凍負荷が小さいときに、膨張弁15を一時的に大きく開いて、伝熱管1a内に、一度に多量のアンモニア液を流すようにしている。すなわち、燃料供給弁21の弁開度(状態量)を検出する弁開度検出器(状態量検出手段)23が設けられるとともに、この弁開度検出器23により検出された弁開度を入力して膨張弁15の駆動部15aにその弁開度の制御信号を出力する制御器(制御手段)24が設けられている。
【0011】そして、この制御器24においては、上記弁開度検出器23からの弁開度を入力するとともに、この弁開度が所定の設定開度より小さくかつ設定開度より小さい弁開度における継続時間を検出し、この継続時間が所定の設定時間を超えた場合に、膨張弁15の駆動部15aに、一時的に、例えば2〜3秒程度、全開となるような制御信号が出力される。
【0012】上記構成において、冷凍サイクルの作動状態では、蒸発器1の伝熱管1aに、冷媒液移送管16を介して膨張弁15にて減圧されたアンモニア液が供給されるとともに蒸発が行われ、蒸発器1内に供給される被冷却流体が冷却されている。ところで、冷却負荷が小さくなった場合には、燃料調節弁21の弁開度が絞られて、加熱再生器4aに設けられた燃焼器3に供給される燃料量が少なくなる。
【0013】常時、燃料供給弁21の弁開度が弁開度検出器23により検出されて制御器24に入力されている。そして、この制御器24において、入力された弁開度と予め設定されている設定開度とが比較され、弁開度が設定開度より小さい場合には、その小さい弁開度における継続時間が検出される。すなわち、設定開度よりも小さい弁開度における継続時間が検出される。
【0014】この継続時間が、所定の設定時間を超えた場合には、冷凍負荷の小さい状態が長く続いたと判断して、膨張弁15の駆動部15aに、一時期だけ、例えば2〜3秒程度、弁を全開させる制御信号が出力される。このように、膨張弁15が全開されると、多量のアンモニア液が伝熱管1a内に一度に供給されるため、伝熱管1a内に溜まっている水分混じり(水分リッチ)のアンモニア液が勢いよく、伝熱管1aから第1アンモニア蒸気移送管11内に吹き出されて膨出し、この膨張した大量のアンモニア蒸気により、伝熱管1aおよび第1アンモニア蒸気移送管11内に溜まっている水分を一掃することができる。
【0015】すなわち、冷凍負荷が小さくなった際に、管内に溜まり易い水分を、アンモニア液とともに強制的に排除することができる。次に、本発明の第2の実施の形態におけるアンモニア吸収冷凍機を、図2に基づき説明する。上記第1の実施の形態においては、再生部の加熱再生器に設けられた燃焼器への燃料供給弁の弁開度に基づき、冷凍負荷の大小を判断するようにしたが、本第2の実施の形態では、膨張弁の弁開度に基づき判断するようにしたものである。なお、両実施の形態において、互いに異なる箇所は、膨張弁周辺の機器であるため、本第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と同一部品には、同一番号を付してその説明を省略する。
【0016】すなわち、図2に示すように、冷媒液移送管16の途中に設けられる膨張弁15の弁開度(状態量)を検出する弁開度検出器(状態量検出手段)31を設けるとともに、この弁開度検出器31により検出された弁開度が制御器32に入力されて、第1の実施の形態と同様に、この弁開度が設定開度より小さい場合の継続時間が検出され、この継続時間と設定時間とが比較されて、継続時間が設定時間を超えた場合には、やはり、2〜3秒程度でもって膨張弁15が全開にされて、伝熱管1aおよび第1冷媒蒸気移送管11内に溜まっている水分が除去される。
【0017】ところで、上記第1の実施の形態においては、冷凍駆動部(吸収器、再生部、凝縮器など)側での冷凍負荷の大きさを検出するのに、燃焼器への燃料供給弁の弁開度に基づき判断するようにしたが、例えば精留器底部の出口部における濃度が薄い希アンモニア水溶液の温度、または蒸発器における被冷却流体の出口温度に基づき判断するようにしてもよい。例えば、これらの各温度が所定の設定温度範囲より超えている状態が、どの程度、継続するか否かで判断を行う。
【0018】また、上記第2の実施の形態においては、蒸発器側での冷凍負荷の程度(大小)を検出するのに、膨張弁の弁開度に基づき判断するようにしたが、膨張弁における設定温度(すなわち、蒸発器でのアンモニア温度が所定温度に、例えば−30℃となるような温度)とアンモニアの蒸発器での実際の出口温度との差に基づき、また膨張弁における設定温度(すなわち、蒸発器でのアンモニア温度が所定温度に、例えば−30℃となるような温度)での飽和圧力と蒸発器における蒸発圧力との差に基づき、さらに蒸発器の出口部でのアンモニア蒸気のガス流量が所定の設定流量に比べて多いか少ないかにより判断するようにしてもよい。
【0019】
【発明の効果】以上のように本発明の各構成によると、吸収冷凍機での冷凍負荷に応じて、すなわち冷凍負荷が設定負荷よりも小さい場合には、例えば再生部における燃料供給弁の弁開度または冷媒液を蒸発器に供給する冷媒液移送管の途中に設けられた膨張弁の弁開度が、設定開度よりも小さい状態が設定時間以上継続した場合には、制御器により、一時的に、膨張弁が大きく開かられて、凝縮器からのアンモニア液が蒸発器の伝熱管内に一度に供給される。したがって、伝熱管内に溜まっている水分混じりのアンモニア液が勢いよく、伝熱管からアンモニア蒸気移送管側に吹き出されて、少なくとも伝熱管内に溜まっている水分を一掃することができる。
【出願人】 【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
【出願日】 平成11年5月13日(1999.5.13)
【代理人】 【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開2000−320920(P2000−320920A)
【公開日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願番号】 特願平11−132067