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【発明の名称】 アンモニア吸収冷凍機
【発明者】 【氏名】田中 啓一

【氏名】大西 尚

【氏名】平中 幸男

【氏名】椿原 昇

【氏名】古寺 雅晴

【氏名】藤田 優

【氏名】松田 光史

【要約】 【課題】吸収器側と蒸発器側との間の冷媒蒸気移送管経路において、水分が残るのを防止し得るアンモニア吸収冷凍機を提供する。

【解決手段】直膨式蒸発器内の伝熱管にて蒸発されたアンモニア蒸気を吸収器に移送する冷媒蒸気移送管11の途中に、その管内を上昇しきれなかったアンモニア蒸気中の水分を液貯溜室26内に落下させて回収する冷媒再生容器21を設けるとともに、この冷媒再生容器21の液貯溜室26の周囲に設けられた環状空間室27内に、冷媒液移送管16を介して凝縮器からの温度の高いアンモニア液を導き、液貯溜室26内の水分を含むアンモニア液を加熱して蒸発させるようにしたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】アンモニア液を伝熱管内に導き蒸発させる直膨式の蒸発器と、アンモニア蒸気を吸収液に吸収する吸収器と、アンモニア蒸気を吸収した吸収液を加熱して再生を行う再生部と、再生部で加熱蒸発されたアンモニア蒸気を凝縮させる凝縮器と、途中に膨張弁を有するとともに上記凝縮器で得られたアンモニア液を蒸発器内の伝熱管に移送するための冷媒液移送管と、上記蒸発器内の伝熱管にて蒸発されたアンモニア蒸気を吸収器に移送する冷媒蒸気移送管とを有するアンモニア吸収冷凍機において、上記冷媒蒸気移送管の途中に冷媒再生容器を設けるとともに、この冷媒再生容器における加熱源として、凝縮器から蒸発器に移送されるアンモニア液の熱を使用したことを特徴とするアンモニア吸収冷凍機。
【請求項2】冷媒再生容器を、上部に回収用空間室が設けられ、下部に液貯溜室およびこの液貯溜室の外周位置で環状空間室が設けられた容器本体と、この容器本体の側壁部に挿通され、かつ一端部が冷媒蒸気移送管に接続されるとともに他端部が上記回収用空間室に開口された冷媒蒸気導入管とから構成し、さらに上記環状空間室に冷媒液移送管を接続してアンモニア液を供給するようにしたことを特徴とする請求項1記載のアンモニア吸収冷凍機。
【請求項3】液貯溜室を加熱する加熱器を具備したことを特徴とする請求項1または2に記載のアンモニア吸収冷凍機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アンモニア吸収冷凍機、特に、直膨式蒸発器を有するアンモニア吸収冷凍機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、アンモニア吸収冷凍機では、濃度が99.8%(水分が0.2%)のアンモニア液を蒸発器に移送して蒸発を行わせるが、0.2%の水分が、運転中に除々に蓄積されて、蒸発器内のアンモニア液の濃度が低下して、冷凍能力が低下する。
【0003】この冷凍能力の低下を防止するために、通常、蒸発器の底部に溜まっているアンモニア液を取り出すとともに、凝縮器から蒸発器に移送される温度の高いアンモニア液の熱を利用して、アンモニア液中の水分を蒸発させて冷媒の再生を行う冷媒再生器が具備されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したようなアンモニア吸収冷凍機の蒸発器として、アンモニア液を膨張弁により減圧させて蒸発器内に配置された伝熱管に導き蒸発させるようにした直膨式のものを使用する場合には、蒸発器内に配置される伝熱管は蛇行状に設けられており、すなわち伝熱管の出口部と吸収器側とが、冷媒蒸気移送管により接続されることになり、従来のように、蒸発器の底部からアンモニア液を直接取り出して冷媒再生器に導くことができなくなる。
【0005】したがって、蒸発器で発生されるとともに水分を含むアンモニア蒸気は、全て、冷媒蒸気移送管を経て吸収器側に戻されることになるが、冷媒蒸気移送管の配管距離が長い場合、または吸収器と蒸発器との間に設置高低差がある場合には、冷媒蒸気移送管の水平部または凹部に水分が溜まりやすくなり、特に、低負荷時などにおいては、その傾向が顕著になって、冷凍性能の低下のみならず、運転が不可能になる場合も生じるという問題があった。
【0006】そこで、本発明は、吸収器側と蒸発器側との間の冷媒蒸気移送管経路において、水分が残るのを防止し得るアンモニア吸収冷凍機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明のアンモニア吸収冷凍機は、アンモニア液を伝熱管内に導き蒸発させる直膨式の蒸発器と、アンモニア蒸気を吸収液に吸収する吸収器と、アンモニア蒸気を吸収した吸収液を加熱して再生を行う再生部と、再生部で加熱蒸発されたアンモニア蒸気を凝縮させる凝縮器と、途中に膨張弁を有するとともに上記凝縮器で得られたアンモニア液を蒸発器内の伝熱管に移送するための冷媒液移送管と、上記蒸発器内の伝熱管にて蒸発されたアンモニア蒸気を吸収器に移送する冷媒蒸気移送管とを有するアンモニア吸収冷凍機において、上記冷媒蒸気移送管の途中に冷媒再生容器を設けるとともに、この冷媒再生容器における加熱源として、凝縮器から蒸発器に移送されるアンモニア液を使用したものである。
【0008】また、上記構成における冷媒再生容器を、上部に回収用空間室が設けられ、下部に液貯溜室およびこの液貯溜室の外周位置で環状空間室が設けられた容器本体と、この容器本体の側壁部に挿通され、かつ一端部が冷媒蒸気移送管に接続されるとともに他端部が上記回収用空間室に開口された冷媒蒸気導入管とから構成し、さらに上記環状空間室に冷媒液移送管を接続してアンモニア液を供給するようにしたものである。
【0009】さらに、上記各構成における液貯溜室を加熱する加熱器を具備させたものである。上記の各構成によると、アンモニア蒸気に含まれる水分の蒸発作用が、冷媒蒸気移送管の途中に設けられた冷媒再生容器にて行われるため、少なくとも吸収器と蒸発器との水平距離が長い場合、または互いの設置場所に高低差がある場合でも、その途中で水分が溜まるのを防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態におけるアンモニア吸収冷凍機を、図1および図2に基づき説明する。このアンモニア吸収式冷凍機は、図1に示すように、冷媒液であるアンモニア液を導く伝熱管1aを有するとともにこの伝熱管1a内でアンモニア液を蒸発させてその蒸発潜熱により被冷却流体(例えば、空気、ガスなど)を冷却する蒸発器1と、この蒸発器1で蒸発された冷媒蒸気であるアンモニア蒸気を吸収液であるアンモニア水溶液に吸収する吸収器2と、加熱再生器3aおよび精留塔3bから成るとともに上記吸収器2でアンモニア蒸気を吸収したアンモニア水溶液を導き加熱再生を行う再生部3と、この再生部3で再生されたアンモニア蒸気を凝縮させる凝縮器4と、蒸発器1の伝熱管1a内のアンモニア蒸気を吸収器2に移送する第1冷媒蒸気移送管11と、途中に液移送用ポンプ12を有するとともに吸収器2にてアンモニア蒸気を吸収したアンモニア水溶液を再生部3に移送する吸収液移送管13と、再生部3の精留塔3b側から出たアンモニア蒸気を凝縮器4に移送する第2冷媒蒸気移送管14と、途中に膨張弁15を有するとともに凝縮器4で凝縮されたアンモニア液を蒸発器1の伝熱管1aに移送する冷媒液移送管16と、途中に還流ポンプ17を有するとともに上記冷媒液移送管16を流れるアンモニア液の一部を再生部3の精留塔3b側に還流させる還流管18と、上記第1冷媒蒸気移送管11と冷媒液移送管16との間に設けられて凝縮器4からのアンモニア液の持つ熱を蒸発器1からのアンモニア蒸気に与えて熱効率を向上させるための過冷却器19とが具備されている。
【0011】また、このアンモニア吸収冷凍機には、蒸発器1から吸収器2にアンモニア蒸気を移送する第1冷媒蒸気移送管11の途中でかつ過冷却器19より上流側位置に、アンモニア蒸気に含まれている水分を回収するとともに、冷媒液移送管16内を流れるアンモニア液の持つ熱により水分を蒸発させるための複数個、例えば3個の冷媒再生容器21が設けられている。
【0012】以下、上記冷媒再生容器21を、図2に基づき説明する。すなわち、冷媒再生容器21の円筒状の容器本体22内の中間位置に水平仕切板23が設けられて、その上部に回収用空間室24が形成され、また仕切板23の中央に形成された開口穴23aから下方に小径の有底筒状部25が垂下されてその内部が液貯溜室26とされ、さらにこの筒状部25の外周には、アンモニア液が供給される環状空間室27が形成されている。
【0013】また、上記容器本体22の側壁部22aには、一端部が第1冷媒蒸気移送管11に直接接続されるとともに他端部が上記回収用空間室24内に開口された冷媒蒸気導入管28が挿通して設けられ、さらに上記環状空間室27に対応する側壁部22aには、冷媒液移送管16に接続される液入口ノズル部29と液出口ノズル部30とが設けられている。
【0014】上記容器本体22の回収用空間室24に対応する上壁部22bには、アンモニア蒸気を吸収器2寄りの第1冷媒蒸気移送管11に導出する導出ノズル部31が形成されている。勿論、上記冷媒再生容器21は、第1冷媒蒸気移送管11および冷媒液移送管16の途中に、3個、直列に設けられているため、各冷媒再生容器21における、アンモニア蒸気の導入管28および導出ノズル部31、並びにアンモニア液の液入口ノズル部29および液出口ノズル部30は、それぞれ第1冷媒蒸気移送管11および冷媒液移送管16の途中に接続されることになる。
【0015】上記構成において、冷凍サイクルの作動状態では、蒸発器1の伝熱管1aに、冷媒液移送管16を介して膨張弁15にて減圧されたアンモニア液が供給されるとともに蒸発が行われ、蒸発器1内に供給される被冷却流体が冷却される。一方、伝熱管1a内で蒸発したアンモニア蒸気は、水蒸気および水滴(正確には、アンモニア液分が混入している。以下、同じ。)とともに第1冷媒蒸気移送管11により吸収器2側に移送されるが、その途中に設けられた、3個の冷媒再生容器21を通過することになる。
【0016】これら各冷媒再生容器21においては、その回収用空間室24から上方の冷媒移送管11内に入り、ここで上昇しきれなかった水滴が、その管内壁面をつたって落下して、液貯溜室26内に溜められることになる。この液貯溜室26内に溜まった水分は、その外周に設けられた環状空間室27に冷媒液移送管16を介して供給されている温度の高いアンモニア液により、加熱・蒸発されて、アンモニア蒸気と一緒に、吸収器2寄りの第1冷媒蒸気移送管11内に入り、再び移送される。
【0017】このように、アンモニア蒸気に含まれる水分の蒸発作用が、各冷媒再生容器21にて行われるため、吸収器2、再生部3、凝縮器4などからなる冷凍駆動部側と蒸発器1との間の設置場所に高低差がある場合でも、蒸発器1からの水分を完全に吸収器2側に戻すことができ、したがって吸収器2側に水が戻りにくくなることにより生じる冷凍性能の低下、および運転が不能になるのを防止することができる。また、冷凍駆動部側と蒸発器1との間の水平距離が長い場合には、一旦、第1冷媒蒸気移送管11により高く上昇させ、そしてその後、水平部分を下向きに傾斜させることにより、水分を完全に吸収器2側に戻すことができる。
【0018】ところで、上記実施の形態においては、冷媒再生容器21の液貯溜室26に溜まった水分を蒸発させるのに、凝縮器4側から移送されるアンモニア液の持つ熱だけで行うように説明したが、例えば水分を蒸発させるための熱量が不足する場合には、図3に示すように、筒状部25の下方部を容器本体21の底壁部21cから突出させるとともに、その筒状部25の下端突出部25aの外周に、加熱用の電熱線41を巻き付けて、外部から熱を供給するようにしてもよい。
【0019】したがって、この構成においても、上記実施の形態と同様の作用効果が発揮されるとともに、液貯溜室26に溜まった水分を多く含むアンモニア液を完全に蒸発させることができる。なお、電熱線の変わりに、他の形式の加熱器を使用することもできる。また、上記実施の形態においては、3個の冷媒再生容器を、直列に、配置したものについて説明したが、冷凍駆動部側と蒸発器との間の設置距離、または互いの設置場所の高低差に応じて、適宜、増減することができる。
【0020】
【発明の効果】以上のように本発明の構成によると、アンモニア蒸気に含まれる水分の蒸発作用が、冷媒蒸気移送管の途中に設けられた冷媒再生容器にて行われるため、少なくとも吸収器と蒸発器との間の設置距離(水平距離)が長い場合、または互いの設置場所に高低差がある場合でも、その途中で水分が溜まるのを防止することができ、したがって吸収器側に水が戻りにくくなることにより生じる冷凍性能の低下、および運転が不能になるのを防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
【出願日】 平成11年5月13日(1999.5.13)
【代理人】 【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開2000−320919(P2000−320919A)
【公開日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願番号】 特願平11−132066