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【発明の名称】 ヒートポンプ冷温水機
【発明者】 【氏名】伊藤 毅

【氏名】菊地 昭治

【氏名】室田 善人

【氏名】加藤木 健一郎

【氏名】相山 真之

【要約】 【課題】利用側熱交換器4にプレート式、冷媒に非共沸混合冷媒を用いたヒートポンプ冷温水機において、冷媒循環方向を制御し効率のよい熱交換を得る。

【解決手段】非共沸混合冷媒は蒸発、凝縮過程において単一冷媒と異なり温度勾配が発生する。これを考慮し冷却運転時は、利用側熱交換器4内での熱交換方法を並行流、加熱運転時は対向流になるよう制御器8は四方弁5を制御する。本発明によれば、利用側熱交換器4がプレート式、冷媒が非共沸混合冷媒であっても四方弁5の制御方法のみで従来のヒートポンプ冷温水機と同じ性能が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】冷却または加熱する媒体(水等の流体)と新冷媒(非共沸混合冷媒)の熱交換器としてプレート式熱交換器を採用し、圧縮機,排熱側熱交換器,膨張弁,四方弁その他の補器を冷媒配管により接続構成されるヒートポンプ冷温水機において、冷却運転(プレート式熱交換器を冷却器として使用する場合)には冷却媒体と新冷媒を並行流とし、加熱運転(プレート式熱交換器を凝縮器として使用する場合)には冷却媒体と新冷媒を対向流とすることを特徴としたヒートポンプ冷温水機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は空調,産業用途に用いられるヒートポンプ冷温水機に係り、さらに詳細には、利用側熱交換器をプレート式熱交換器,冷媒に新冷媒(非共沸混合冷媒)を用いた時の冷凍サイクル技術に係わる。
【0002】
【従来の技術】従来のヒートポンプ冷温水機は、例えば図4に示すような冷凍サイクルを構成しており、冷却,加熱運転は四方弁5を切り換えることにより冷媒の循環方向を逆転させ、冷却運転時には冷却媒体と冷媒が対向流、加熱運転時は加熱媒体と冷媒が並行流になるよう四方弁5を制御している。また図5にプレート式熱交換器の構造を示す。プレート式熱交換器は同じ形のプレート20を何枚も重ね、プレート20の間に流れる流体を交互に流すことによって熱交換を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、冷凍サイクルで使用する冷媒はオゾン破壊等の環境問題から新冷媒(オゾン破壊係数ゼロの冷媒を複数ブレンドした非共沸混合冷媒、例えばR407Cの場合R32,R125,R134aの3成分より構成される)に切り換えつつある。
【0004】この新冷媒は従来の冷媒(R22等の単一冷媒)と比較して特性が異なるため、例えば冷却運転時熱交換器内で冷却媒体を冷却する際、冷媒は蒸発工程にあるが、この時単一冷媒では蒸発開始から終了まで温度,圧力が一定であるのに対し、非共沸混合冷媒は複数の成分より構成されるため一定ではなく温度勾配が発生し、単純に冷媒を変更しただけだと従来の冷媒と異なった冷却能力になる。加熱能力についても同様である。また冷凍サイクル機器においてもコンパクト化が求められ、冷温水を作る熱交換器においては、シェルアンドチューブ式からプレート式に変わりつつある。
【0005】しかしプレート式熱交換器は、シェルアンドチューブ式と比較し冷媒が流れる流路が狭いため、圧力損失が大きく前述した冷媒の特性も考慮すると単純に冷凍サイクルの熱交換器,冷媒を変更しただけでは従来の性能を満足させることはできない。
【0006】本発明では、プレート式熱交換器且つ新冷媒を用いたヒートポンプ冷温水機において、従来の冷媒と同等の性能を果たす手段を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のプレート式熱交換器を用いたヒートポンプ冷温水機は特許請求の範囲の請求項に記載した構成を有する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図1,図2,図3により説明する。
【0009】図1は本実施例に係わる冷凍サイクル系統図である。
【0010】圧縮機1,排熱側熱交換器2,膨張弁3,利用側熱交換器4,四方弁5、及びこれらを結ぶ冷媒配管6により冷凍サイクルが構成され、利用側熱交換器4には冷却または加熱媒体が循環する配管7が接続されている。
【0011】冷凍サイクルを冷却または加熱運転に制御するため制御器8が設けられ、制御器8より運転目的に合わせ四方弁5を制御する。本発明では、利用側熱交換器4にプレート式、冷凍サイクル内を循環する冷媒を新冷媒(非共沸混合冷媒、以下新冷媒と記す)を用いる。冷媒配管6内を循環する新冷媒は制御器8,四方弁5に制御され、冷却運転時には矢印9、加熱運転時には矢印10のごとく循環する。
【0012】一方配管7を循環する被媒体は冷却,加熱に係わらず矢印11の方向に循環する。従来では利用側熱交換器4での被媒体及び冷媒の熱交換方法は冷却運転時には対向流、加熱運転時には並行流としていたが、新冷媒では図2,図3に示す如く特性が異なる。図2は利用側熱交換器4での冷却媒体と冷媒の温度変化特性を示す。横軸は利用側熱交換器の出入口間を示し無次元数である。縦軸は温度を示す。図2中の特性線12は従来の単一冷媒の温度変化、特性線13は新冷媒の温度変化、特性線14は従来の冷却媒体の温度変化、特性線15は本発明を用いた時の冷却媒体の温度変化を示す。各特性線12〜15の入口温度をa,出口温度をbとする。
【0013】特性線12,13は熱交換時蒸発過程にあり特性線12は単一冷媒であることから温度は一定であるが、特性線13は新冷媒のため温度は一定でなく蒸発過程において温度勾配のある特性となる。この結果、特性線12,13の利用側熱交換器4出口温度に差が生じ、特性線13とのそれぞれの算術平均温度差は次の式1〜3で表され、新冷媒を用いた特性線13の方が性能的に優れていることがわかる。
【0014】
【数1】
単一冷媒の算術平均温度差 T1=((14b−12a)+(14a−12b))/2 …(式1)
新冷媒の算術平均温度差 T2=((14b−13a)+(14a−13b))/2 …(式2)
式1と式2の差 T2−T1=(12b−13b)/2>0 …(式3)
一方利用側熱交換器4を凝縮器として用いる場合は、四方弁5を切り替えることによって冷媒循環方向を逆転させる。この時の利用側熱交換器4内の温度特性は図3で示され、図3中の特性線16は従来の単一冷媒の温度変化、特性線17は新冷媒の温度変化、特性線18は従来の技術を用いた時の加熱媒体の温度変化、特性線19は本発明を用いた時の加熱媒体の温度変化を示す。各特性線16〜19の出入口温度は前記同様入口温度をa,出口温度をbとする。
【0015】加熱運転時の場合は利用側熱交換器4出口部の特性線16b,17bは新冷媒が凝縮するときの温度勾配により特性線17の方が特性線18との差が小さい。前記同様算術平均温度差は式4〜6となり特性線17の方が性能が低くなることがわかる。
【0016】
【数2】
単一冷媒の算術平均温度差 T3=((16b−18b)+(16a−18a))/2 …(式4)
新冷媒の算術平均温度差 T4=((17b−18b)+(17a−18a))/2 …(式5)
式4と式5の差 T4−T3=(17b−16b)/2<0 …(式6)
また利用側熱交換器4にプレート式熱交換器を用いた場合、従来のシェルアンドチューブ式熱交換器と比較して冷媒の流路が狭いため、圧力損失が大きい。特に利用側熱交換器4が凝縮器として機能する場合は、冷媒側は高圧になるため前記に記述した新冷媒自身の凝縮時の温度勾配に加えて、熱交換器を通過するときの圧力損失の影響も大きく、冷媒が低圧で流れている冷却運転時以上に性能の差が表れる。
【0017】以上より新冷媒を用いると冷却時には性能が向上し、加熱時には性能が低下するため、これを改善するためには利用側熱交換器4を冷却、加熱運転用にそれぞれ専用の熱交換器を設けるか、もしくは性能が劣る加熱運転時にあわせて利用側熱交換器4を設計しなければならない。
【0018】そこで本発明では従来冷却運転時は冷媒と被媒体との熱交換を対向流、加熱運転時は並行流という方式に対し、冷却運転時は並行流、加熱運転時は対向流になるよう冷媒の循環方向を変えることによって冷却時の新冷媒と冷却媒体との温度差を小さくすることにより性能向上を押さえ、加熱時の温度差を大きくすることにより性能を向上させれば、前記課題を解決することができる。即ち冷却、加熱運転の目的に合わせ、冷却時には図1の矢印9、加熱時には矢印10の方向へ冷媒が流れるように制御器8は四方弁5を制御すればよい。その時の利用側熱交換器4内での温度変化は冷却時は特性線13,15、加熱時は特性線17,19の組み合わせとなる。この時の算術平均温度差は式7,8となる。
【0019】本発明を用いた冷却時の算術平均温度差【0020】
【数3】
T5=((15a−13a)+(15b−13b))/2 …(式7)
本発明を用いた加熱時の算術平均温度差【0021】
【数4】
T6=((17a−19b)+(17b−19a))/2 …(式8)
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、利用側熱交換器4がプレート式、冷媒が非共沸混合冷媒であっても四方弁5の制御方法のみで従来のヒートポンプ冷温水機と同じ性能が得られる。また冷却運転時には並行流にて冷却媒体を冷却することから、従来の対向流と比較し冷却媒体が凍結しにくく、信頼性向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成11年5月6日(1999.5.6)
【代理人】 【識別番号】100075096
【弁理士】
【氏名又は名称】作田 康夫
【公開番号】 特開2000−320917(P2000−320917A)
【公開日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願番号】 特願平11−125579