トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F25 冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒ−トポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化




【発明の名称】 冷凍サイクル
【発明者】 【氏名】反田 清

【要約】 【課題】内部熱交換における熱交換を簡単な構成で行えるようにする。

【解決手段】コンプレッサ1とコンデンサ2と膨張弁6とエバポレータ7とを少なくとも有すると共に、上記膨張弁6の上流側とエバポレータ7の下流側との冷媒の熱交換を行う冷凍サイクルにおいて、一端が上記膨張弁の上流側の配管5に接触し、他端が上記エバポレータの下流側の配管8に接触したヒートパイプ4を設け、このヒートパイプ4で上記熱交換を行うようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくともコンプレッサとコンデンサと膨張弁とエバポレータとを有すると共に、上記膨張弁の上流側とエバポレータの下流側との冷媒の熱交換を行う冷凍サイクルにおいて、一端が上記膨張弁の上流側の配管に接触し、他端が上記エバポレータの下流側の配管に接触したヒートパイプを設け、このヒートパイプで上記熱交換を行うようにしたことを特徴とする冷凍サイクル。
【請求項2】 ヒートパイプの凝縮部と蒸発部とを冷媒配管に沿わせるように接触した請求項1に記載の冷凍サイクル。
【請求項3】 冷媒配管の一部に、冷媒を一時貯留するタンクを設け、ヒートパイプの凝縮部と蒸発部をこのタンクに接続した請求項1に記載の冷凍サイクル。
【請求項4】 ヒートパイプの凝縮部と蒸発部を冷媒配管の内部に一部挿入した請求項1に記載の冷凍サイクル。
【請求項5】 ヒートパイプを複数本配設した請求項1に記載の冷凍サイクル。
【請求項6】 ヒートパイプの凝縮部を蒸発部よりも上向きとした請求項1に記載の冷凍サイクル。
【請求項7】 ヒートパイプの伝熱量を、冷媒の過熱度又はコンプレッサの吐出温度に応じて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、膨張弁の上流側とエバポレータの下流側との間で熱交換を行う構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、図10に示すように、コンプレッサ1とコンデンサ2とリキッドタンク3と膨張弁6とエバポレータ7とから成る冷凍サイクルにおいて、内部熱交換器40を設けたものが公知である。なお、図中の5は膨張弁6の上流側の配管(高圧ライン)であり、8はエバポレータ7の下流側の配管(低圧ライン)である。上記コンプレッサ1がオンすると、冷凍サイクル内の冷媒はコンプレッサ1からコンデンサ2、リキッドタンク3、内部熱交換器40、膨張弁6、エバポレータ7、内部熱交換器40、コンプレッサ1という順で回路を循環する。この過程における動作を、図11のモリエル線図W(a→b→c→d→e→a)を用いて説明する。
【0003】図11において、モリエル線図Wでは、上記コンプレッサ1からの高温高圧のガス状冷媒(a→b)は、コンデンサ2にて凝縮液化し(b→c)、リキッドタンク3に流れ込む。この冷媒は、内部熱交換器40に流れ込み、エバポレータ7を通過したより低温の冷媒によって過冷却される(c→d)。この過冷却された液状冷媒は、膨張弁6に至り、当該膨張弁6によって断熱膨張して低温低圧の液状冷媒となった後、エバポレータ7に導かれて取入空気との熱交換が行われる。膨張弁6を通過してエバポレータ7に導かれる冷媒は、内部熱交換器40にて十分に冷却されて、乾き度の小さい冷媒となって当該エバポレータ7に導入される。これにより、旧来のモリエル線図Y(a’→b’→c→e’→a’)で動作する冷凍サイクルと比較して、エバポレータ7の冷却能力が向上する。この低温低圧の液状冷媒は、エバポレータ7を通過して受熱することにより、低温のままガス状冷媒となり、内部熱交換器40に導かれ、上述したようにリキッドタンク3からの冷媒を冷却した後、コンプレッサ1に戻される(e→a)。
【0004】すなわち、旧来の冷凍サイクルでは、図11のYのモリエル線図(a’→b’→c→e’→a’)となるのに対し、この冷凍サイクルではWのモリエル線図(a→b→c→d→e→a)に基づく動作が行われるので、冷房能力を向上できる。
【0005】上記内部熱交換器40は、コアケースを有しており、このコアケースの内部に複数のコアが積層し、コアの内部とガス冷媒の流入口及び流出口とを連通させる一方で、コアの外部とコアケースとの間の空間を液冷媒の流入口及び流出口と連通させて構成したものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これによればリキッドタンク3からの液冷媒と、エバポレータ7からのガス冷媒とを混合させないで熱交換が行えるものの、内部熱交換器40が多数のコアを積層した複雑な構造によって構成されるので、製品自体のコスト高を招く欠点があった。従って、本発明は簡単な構成で熱交換を可能として低コスト化を図り、又後付け装着を可能とし、かつ取付けを簡単にすると共に、内部熱交換時の圧力損失を減少させることで、冷凍サイクルの効率をより向上するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明によれば、一端が上記膨張弁の上流側の配管に接触し、他端が上記エバポレータの下流側の配管に接触したヒートパイプを設け、このヒートパイプで熱交換を行うようにした。
【0008】請求項2の発明によれば、ヒートパイプの凝縮部と蒸発部とを冷媒配管に沿わせるように接触した。
【0009】請求項3の発明によれば、冷媒配管の一部に、冷媒を一時貯留するタンクを設け、ヒートパイプの凝縮部と蒸発部をこのタンクに接続した。
【0010】請求項4の発明によれば、ヒートパイプの凝縮部と蒸発部を冷媒配管の内部に一部挿入した。
【0011】請求項5の発明によれば、ヒートパイプを複数本配設した。
【0012】請求項6の発明によれば、ヒートパイプの凝縮部を蒸発部より上向きとした。
【0013】請求項7の発明によれば、ヒートパイプの伝熱量を、冷媒の過熱度又はコンプレッサの吐出温度に応じて制御するようにした。
【0014】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は本発明による車両用空気調和装置の一実施の形態を示す図であり、図10と同じものは同一符号を用いている。この場合、膨張弁6の上流側すなわち、リキッドタンク3と膨張弁6との間の配管(高圧ライン)5と、エバポレータ7の下流側すなわち、エバポレータ7とコンプレッサ1との間の配管(低圧ライン)8は、互いに平行配置となったヒートパイプ4の接続部5a,8aを有している。互いに平行な接続部5aと接続部8aとの間にヒートパイプ4が配設されている。ヒートパイプ4は、図2に示すように、一端の蒸発部4aが、配管5の接続部5aの側面に当接し、その他端の凝縮部4bが配管8の接続部8aの側面に当接してブリッジ接続され、このような状態でヒートパイプ4と接続部5a,8aとは断熱材4cで全体がモールドして一体化されている。
【0015】ヒートパイプ4は、管の内壁に毛細管構造を持たせた金属パイプ製の外筒の内部を真空にし、作動液として少量の水や代替フロンなどを密封したもので、上記外筒の蒸発部4aを加熱すると作動液が蒸発し(蒸発潜熱による熱の吸収)、蒸気流となって低温部の凝縮部4bへ高速移動する。作動液は次に管壁に接触し冷却されて凝縮(凝縮潜熱による熱の放出)し、凝縮液は毛細管現象または重力により加熱部へと戻り、再び蒸発→移動→凝縮のサイクルを繰り返して、熱を連続的に輸送する。このことにより、配管5の接続部5aと、配管8の接続部8aとの間で熱交換が可能となり、配管5内の冷媒を冷却できる。
【0016】このような構成によれば、図11のヒートパイプを有する冷凍サイクルの動作を示すモリエル線図X(aa→bb→c→d→e→aa)に基づき冷凍サイクルが作動する。すなわち、コンプレッサ1はエンジンなどを駆動源としてエバポレータ7で熱交換された低温低圧のガス状冷媒を圧縮し、高温高圧のガス状冷媒とする。図11のモリエル線図Xではaa→bbに相当する。コンデンサ2は、コンプレッサ1で高温高圧とされたガス状冷媒を外気との熱交換によって凝縮させる。リキッドタンク3は、コンデンサ2にて気液混合状態となった中温高圧の冷媒に対し、液体冷媒を抽出するものであり、このリキッドタンク3を通過して抽出された液状冷媒はそのまま膨張弁6に導かれ、ここで断熱膨張して低温低圧の冷媒とされる。本実施の形態1では、ヒートパイプ4の熱交換作用に基づき、膨張弁6にて断熱膨張させる前に、中温高圧の液状冷媒を十分に過冷却し、この上で断熱膨張させる。すなわち、リキッドタンク3と膨張弁6との間の配管5の冷媒を、ヒートパイプ4を用いてエバポレータ7とコンプレッサ1との間の配管8の冷媒で冷却するものである。
【0017】このヒートパイプ4による熱交換作用により本実施の形態1では、図11に示すモリエル線図X(aa→bb→c→d→e→aa)に基づく動作が行われ、内部熱交換器40を有するモリエル線図Wに基づく動作とほぼ同価な冷房能力の向上が図れる。しかも、冷媒が内部熱交換器40中の複雑な経路を経て流れることがないので、動力が低減できて、熱交換効率を向上できる。
【0018】実施の形態2.なお、ヒートパイプ4は図3に示すように、ヒートパイプ4の本体に対し両端側の蒸発部4a及び凝縮部4bを直角に同方向に曲げて、全体としてU字型をなし、蒸発部4a及び凝縮部4bを、配管5の接続部5a,配管8の接続部8aに沿わせて当接させ、接続するようにしても良い。これによれば、蒸発部4aと接続部5a及び凝縮部4bと接続部8aとの間の伝熱効果をより高めることができ、ヒートパイプ4による熱交換効率を向上できる。
【0019】実施の形態3.また、図4に示すように、配管8の接続部8a及び配管5の接続部5aとを通過する冷媒を一時貯留可能なタンク4d,4eを設け、このタンク4d,4eにヒートパイプ4の両端を嵌合して接続しても良い。これにより、ヒートパイプ4と接続部5a,8aとの間の伝熱効率を高めることができる。
【0020】実施の形態4.また、図5に示すように、ヒートパイプ4はその両端を配管8の接続部8a及び配管5の接続部5a中に嵌入するようにして取付けても良い。これによれば、冷媒が直接ヒートパイプの両端の蒸発部4a及び凝縮部4bに触れるので、伝熱効率を高めることができる。
【0021】実施の形態5.また、図6に示すように、配管8の接続部8a及び配管5の接続部5aとの間に、接続部8a,接続部5aとを両側より挟むように2本のヒートパイプ4m,4nを接続し、両ヒートパイプ4m,4nの一部を断熱材4cで一体化して構成しても良い。これにより、さらに熱交換効率を向上できる。
【0022】実施の形態6.なお、図3ないし図6に示す本実施の形態2ないし5では、ヒートパイプ4について、凝縮部4bを蒸発部4aよりも上側に位置させて、縦向き配置とした。これによれば、ヒートパイプ4の凝縮部4bで凝縮して生成された作動液は重力で落下して下側に流れやすくなるため、凝縮部4b側を上側に位置させることで、ヒートパイプ4内の作動液の循環能力を向上できるため、ヒートパイプの熱交換効率を向上できる。
【0023】実施の形態7.また、本発明では図7に示すように、電磁部4gへの入力信号で内部に設けた冷媒量調整弁部4hを調整して、熱交換効率を調整し得るようにヒートパイプ4を作動液の調整型として構成し、コントローラ4tを設け、このコントローラ4tで温度センサ4iと圧力センサ4jとで検出される温度,圧力より演算して求めた過熱度により上記電磁部4gを制御可能として構成しても良い。このような構成における冷凍サイクルの動作を図8に示すフローチャートを用いて以下説明する。まず、ステップS1でフローをスタートし、ステップS2でコントローラ4tが温度センサ4i及び圧力センサ4jの信号を入力し、ステップS3で過熱度を演算して求め、ステップS4で過熱度が所定値か否かの判定を行い、所定値でなければステップS5で過熱度と所定値の比較を行い、この比較の結果、過熱度が所定値より小さければ開信号(ヒートポンプ4による熱交換量大)を送り、過熱度が所定値より大きければ閉信号(ヒートポンプ4による熱交換量小)を送ってヒートパイプ4の熱交換を制御する。上記開信号でヒートポンプ4による熱交換量を大きくして過熱度を大きくでき、閉信号で熱交換量を絞ることができるので、過熱度を小さくできる。したがって過熱度の自動調整ができる。
【0024】実施の形態8.なお、図9に示すように、コンプレッサの吐出温度を検出するセンサ4yを設けて、このセンサ4yにより検出されるコンプレッサの吐出温度に基づいて、ヒートパイプ4の電磁部4gを制御して、ヒートパイプ4の伝熱量を制御することで、熱交換量を調整しても良い。
【0025】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、一端が上記膨張弁の上流側の配管に接触し、他端が上記エバポレータの下流側の配管に接触したヒートパイプを設け、このヒートパイプで上記熱交換を行うようにしたので、熱交換部分の構造が簡単となり、コスト低減が図れ、また、ヒートパイプの取付けで良いので後付けが可能で、かつ取付けが容易となり、しかも能力を向上できる。
【0026】請求項2の発明によれば、ヒートパイプの凝縮部と蒸発部とを冷媒配管に沿わせるように接触したので、ヒートパイプと冷媒配管との伝熱効率を向上できる。
【0027】請求項3の発明によれば、冷媒配管の一部に、冷媒を一時貯留するタンクを設け、ヒートパイプの凝縮部と蒸発部をこのタンクに接続したので、ヒートパイプに冷媒配管の内を確実に伝熱できる。
【0028】請求項4の発明によれば、ヒートパイプの凝縮部と蒸発部を冷媒配管の内部に一部挿入したので、ヒートパイプに冷媒配管の内を確実に伝熱できる。
【0029】請求項5の発明によれば、ヒートパイプを複数本配設したので、ヒートパイプによる熱交換率を高めることができる。
【0030】請求項6の発明によれば、ヒートパイプの凝縮部を蒸発部よりも上向きとしたので、ヒートパイプ内の作動液の循環効率を向上できる。
【0031】請求項7の発明によれば、ヒートパイプの伝熱量を、冷媒の過熱度又はコンプレッサの吐出温度に応じて制御するようにしたので、過熱度、コンプレッサ吐出温度の自動調整が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003333
【氏名又は名称】株式会社ボッシュオートモーティブシステム
【出願日】 平成11年5月13日(1999.5.13)
【代理人】 【識別番号】100080296
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 純一
【公開番号】 特開2000−320909(P2000−320909A)
【公開日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願番号】 特願平11−132812