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【発明の名称】 温度膨張弁
【発明者】 【氏名】小林 和人

【氏名】渡辺 和彦

【氏名】矢野 公道

【要約】 【課題】自動車等の空調装置に装備される温度膨張弁の小型軽量化を図る。

【解決手段】温度膨張弁100は、弁本体110に弁室122を有し、冷媒の流量を制御し、第1の通路130から蒸発器に向けて冷媒を送る。蒸発器から戻る冷媒は、第2の通路140を通って圧縮機側へ戻る。第2の通路に隣接して設けられるパワーエレメントは、ダイアフラム160で画成されるガス室152を有し、第2の通路140の冷媒の圧力と温度に応じて弁体190の開度を調整する。第2の通路140の直近にパワーエレメント150を配設して、外部の温度の影響を最少限に押さえる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷媒を蒸発器側へ送り出す冷媒の第1の通路と、蒸発器から圧縮機側へ戻る冷媒が通過する第2の通路を有する弁本体と、上記弁本体内に設けられる弁体と、上記第2の通路側に隣接して固着されるパワーエレメントと、上記パワーエレメント内に装備されるダイアフラムの作動を上記弁体に伝達する弁体駆動部材を備え、上記第2の通路はストレートな貫通穴に形成されるとともに、上記第2の通路と上記ダイアフラムとの距離を最短化して構成されたことを特徴とする温度膨張弁。
【請求項2】 冷媒を蒸発器側へ送り出す冷媒の第1の通路と、蒸発器から圧縮機側へ戻る冷媒が通過する第2の通路を有する弁本体と、上記弁本体内に設けられる弁体と、上記第2の通路側に隣接して固着されるパワーエレメントと、上記パワーエレメント内に装備されるダイアフラムの作動を上記弁体に伝達する弁体駆動部材を備え、第2の通路はストレートな貫通穴に形成されるとともに、第2の通路の直径寸法と、第2の通路の中心からダイアフラムまでの距離とをほぼ等しく構成したことを特徴とする温度膨張弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は冷凍サイクルに使用する温度膨張弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、冷凍サイクルにおいて蒸発器に供給する冷媒流量の制御と冷媒の減圧の目的に示す温度膨張弁が使用されている。この種温度膨張弁の断面図を図3に示し、その右側面図を図4に示す。図3において、角柱状の弁本体10には、弁座16が形成されている第1の冷媒通路14と、第2の冷媒通路19と、が相互に独立して形成されている。第1の冷媒通路14の一端141は蒸発器の入口に連通され、蒸発器の出口は第2の冷媒通路19を介して、圧縮器、凝縮器、レシーバを通り、第1の冷媒通路14の高圧冷媒の流入する他端142に連結されている。第1の冷媒通路14内には弁座16に対してスプリングである付勢手段17の付勢力により弁体18が着座位置に付勢されている。スプリング17は、弁本体10に対してねじ42を利用して締付けられるナット部材40により支持される。弁本体10には第2の冷媒通路19に隣接してダイアフラム22を有したパワーエレメント20が固定されている。ダイアフラム22で仕切られたパワーエレメント20の上方の室である上部圧力空間20aは気密にされており、温度対応作動流体が封入されている。
【0003】パワーエレメント20の下方の室である下部圧力空間20bでは、弁本体10の中を弁体18から第2の冷媒通路19を貫通して延びる感温・伝達部材たる弁体駆動部材23の延出端が配置されダイアフラム22に当接している。弁体駆動部材23は熱容量の大きな材料で形成されていて、第2の冷媒通路19を流れる蒸発器の出口からの冷媒蒸気の温度をパワーエレメント20の上方の室20a中の温度対応作動流体に伝達し、この温度に対応した圧力の作動ガスを発生させる。下方の室20bは弁本体10の中で弁体駆動部材23の周囲の隙間を介して第2の冷媒通路19に連通されている。さらに図4に示す如く、弁本体10には取付用の貫通穴50が設けてある。
【0004】従ってパワーエレメント20のダイアフラム22は上方の室20a中の温度対応作動流体の作動ガスの圧力と下方の室20b中の蒸発器の出口における冷媒蒸気の圧力との差にしたがって弁体18のための付勢手段17の付勢力の影響の下で弁体駆動部材23により弁座16に対する弁体18の弁開放度(即ち、蒸発器の入口への液体状の冷媒の流入量)を調整する。
【0005】かかる従来の温度膨張弁において、パワーエレメント20が外部雰囲気に露出されていて、上方の室20a中の温度対応作動流体が弁体駆動部材23によって伝達される蒸発器出口の冷媒の温度ばかりでなく外部雰囲気特にエンジンルームの温度の影響も受ける。さらには蒸発器の出口における冷媒の温度に敏感に反応し過ぎて頻繁に弁体18の開閉を繰り返す所謂ハンチング現象を生起し易いこともある。このハンチングの要因としては蒸発器の構造、冷凍サイクルの配管の方法、温度膨張弁の使用方法また熱負荷とのバランス等がある。
【0006】上記ハンチング現象を防止する手段として弁体駆動部材23の外周部に樹脂等の熱伝導の低い部材24を嵌装してある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の膨張弁においては、弁本体10の下部圧力空間20bと第2の冷媒通路19との間に隔壁101が存在し、このため第2の冷媒通路19とパワーエレメント20との間の距離が長くなることにより、膨張弁が大型化するという問題が生じる。さらにまた、上記距離の長くなることにより、第2の冷媒通路19を流れる気相冷媒温度が上部圧力空間20aの温度対応作動流体に正確に伝達されない場合が生じるというおそれがある。この場合には、上部圧力空間20a内の作動流体温度は気相冷媒温度に略一致しないこととなり、最適な冷媒流量の制御が行われ難いという問題を生じる。
【0008】さらに、従来の膨張弁にあっては、第1の通路と第2の通路の間のピッチ寸法は、取付される相手部材である蒸発器の構造、寸法により規制されていて、一層の小型化は困難であるという問題も存在する。かかる問題に鑑み、本発明は、このピッチ寸法を短縮するとともに、構成を簡素化することによって、一層の小型軽量化を図る膨張弁を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、本発明に係る膨張弁は、冷媒を蒸発器側へ送り出す冷媒の第1の通路と、蒸発器から圧縮機側へ戻る冷媒が通過する第2の通路を有する弁本体と、上記弁本体内に設けられる弁体と、上記第2の通路側に隣接して固着されるパワーエレメントと、上記パワーエレメント内に装備されるダイアフラムの作動を上記弁体に伝達する弁体駆動部材を備え、上記第2の通路はストレートな貫通穴に形成されるとともに、上記第2の通路と上記ダイアフラムとの距離を最短化して構成されている。
【0010】また、本発明に係る膨張弁は、冷媒を蒸発器側へ送り出す冷媒の第1の通路と、蒸発器から圧縮機側へ戻る冷媒が通過する第2の通路を有する弁本体と、上記弁本体内に設けられる弁体と、上記第2の通路側に隣接して固着されるパワーエレメントと、上記パワーエレメント内に装備されるダイアフラムの作動を上記弁体に伝達する弁体駆動部材を備え、第2の通路はストレートな貫通穴に形成されるとともに、第2の通路の直径寸法と、第2の通路の中心からダイアフラムまでの距離とをほぼ等しく構成されている。
【0011】このような構成とされた本発明に係る温度膨張弁は、第2の通路とパワーエレメント間の距離を最短化しているので、膨張弁の小型化を実現できると共に第2の通路の冷媒温度とパワーエレメント内の作動流体温度が略一致し、最適な冷媒流量の制御をすることができる。
【0012】さらに、第2の通路とパワーエレメントとの間の距離が最短化されているので、エンジンルームの温度といった外部雰囲気による温度影響を最少限にとどめることができ、第2の通路の冷媒の温度と圧力に対応した弁体を調節できることとなり、流量制御の最適化が実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明の温度膨張弁の断面図、図2は図1の右側面図である。本実施の形態における全体を符号100で示す温度膨張弁は、略角柱形状の弁本体110を有し、その作用は従来の図3に示す膨張弁と同一であり、説明は省略する。弁本体110は、例えばアルミニウム合金を中空押出し成形して得られた素材に機械加工を施して製造される。
【0014】弁本体に形成される高圧冷媒の入口120は、細径の穴121を介して弁室122に連通される。弁室122は、弁座126を介して第1の冷媒通路130に連通される。弁室122内には、ボール形状の弁体190が配設される。弁体190は支持部材202により支持され、支持部材202は、スプリング200を介して弁体190を弁座126に向けて付勢する。スプリング200は、弁室122を封止するナット部材204により支持される。
【0015】第1の冷媒通路130から流出した冷媒は、図示しない蒸発器へ供給され外気との間で熱交換を行なう。蒸発器から戻された冷媒は、弁本体110に設けられる第2の冷媒通路140を通り、冷媒システムを構成する図示しない圧縮機、凝縮器の回路へ流れる。
【0016】第2の冷媒通路140内を直径方向に貫通する弁体駆動部材180は、細径の棒状部材であって、その上端部がパワーエレメント部150内のダイアフラム160の受け部となるストッパ170に係止される。弁体駆動部材180の下端部は弁体190に接し、弁体190を弁座126から離れる方向に付勢する。
【0017】弁体110の上部には、パワーエレメント150がねじ部156を用いて固着される。パワーエレメント150内にはダイアフラム160が挾持されており、ダイアフラム160の上方の室である上部圧力空間152には、作動ガスが充填され、封止部材154により封止される。下方の室である下部圧力空間153内にはストッパ170が摺動可能に配置される。
【0018】第2の冷媒通路140を流れる冷媒の圧力は、ストッパ170の下面に受圧され、また、冷媒の温度は弁体駆動部材180とストッパ170を介して、パワーエレメント150の上部圧力空間152側に伝達される。そして、上部圧力空間152内のガス圧を受けるダイアフラム160の作動に応じてストッパ170、弁体駆動部材180を介して弁体190は、弁座126との間の開度が調節され、必要な量の冷媒が蒸発器に供給される。
【0019】棒状の部材である弁体駆動部材180は弁本体110内を摺動するが、シール部材220が介在されて、第1の冷媒通路130と第2の冷媒通路140の間のシールを達成する。なお、221はシール部材220の移動を阻止する止め輪である。冷媒の第2の通路140は直径寸法D1を有する中空成形加工によって構成したストレートな貫通穴とし、第2の冷媒通路140と下部圧力空間153との間隔壁を無くし、第2の冷媒通路140とパワーエレメント150の距離を最短化している。
【0020】これにより小型化が達成されると共に、上部圧力空間152内の作動流体温度と、第2の通路140の気相冷媒温度とは略一致し、最適な流量制御が行なえる。また、弁本体110の外側面部も、幅寸法を削減した側面114にして小型軽量化を図るとともに、膨張弁100を取り付けるためのボルトが貫通する穴にかえて凹部112とすることによって、一層の小型軽量化を達成する。
【0021】この膨張弁にあっては、第1の通路130と第2の通路140の間の軸間寸法L1は、極力短縮してあり、例えば、第2の通路140の直径寸法D1の1.5倍以内に押えてある。さらに、第2の通路140の中心位置からパワーエレメントのダイアフラム160の位置までの寸法H1を、第2の通路140の直径寸法D1とほぼ等しくしてあり、第2の通路140を流れる冷媒の温度情報がより正確にパワーエレメント側に伝達される構成を採用している。
【0022】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明の温度膨張弁は、弁本体の第2の通路とパワーエレメント間の距離を最短化する構成としたので、膨張弁を小型化できると共に、製造コストを低減でき、最適な冷媒流量の制御を実現することができる。また、本発明の温度膨張弁は、外部雰囲気による温度影響を最小限にとどめて、第2の通路の冷媒の温度と圧力に対応して弁体を調節できるので、流量制御の最適化が図られ、信頼性の高いものとすることができる。
【出願人】 【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
【出願日】 平成11年4月16日(1999.4.16)
【代理人】 【識別番号】100095913
【弁理士】
【氏名又は名称】沼形 義彰 (外3名)
【公開番号】 特開2000−304382(P2000−304382A)
【公開日】 平成12年11月2日(2000.11.2)
【出願番号】 特願平11−108795