| 【発明の名称】 |
吸収器 |
| 【発明者】 |
【氏名】西山 教之
【氏名】石野 裕嗣
【氏名】円城寺 慶太
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| 【要約】 |
【課題】吸収性能を向上させ、かつ、冷却ファンの低騒音・省電力化を可能とする最適の管径と管長の関係、および管群配列を提供する。
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】吸収剤として臭化リチウム、冷媒として水を用いる空冷吸収式冷凍機の流下液膜式吸収器において、伝熱管の管径D(mm)と管長管長L(mm)の組み合せが、管長L=135D−1470、L=155D−2290、かつ、L=1100、L=200で囲まれる領域内のD,Lである伝熱管を用いたことを特徴とする吸収器。 【請求項2】吸収剤として臭化リチウム、冷媒として水を用いる空冷吸収式冷凍機の流下液膜式吸収器において、伝熱管の管径D(mm)と管長L(mm)の組み合せが、L=160D−1989、L=160D−2182、かつ、L=1000、L=300で囲まれる領域内のD,Lである伝熱管を用いたことを特徴とする吸収器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、空冷吸収式冷凍機の流下液膜式吸収器に係り、吸収性能に優れ、かつ、吸収器冷却用送風機の低騒音・省電力を可能とする吸収器に関する。 【0002】 【従来の技術】空冷吸収式冷凍機の空冷吸収器50として用いられる熱交換器は、図6に示すとおり上部ヘッダ51と下部ヘッダ52の間に設けられた複数の垂直伝熱管53と、その周囲に一定のピッチで配置されるアルミ製の水平フイン55により構成されるプレートフィンチユーブを、1列または2列千鳥配列したものが一般的である。上部ヘッダ51の内部には、再生器(図示せず)から送られる吸収溶液(例えば臭化リチウム水溶液)を、伝熱管53に均一に流下させるための分配装置56が設けられている。上部ヘッダ51には、蒸発器(図示せず)において発生する冷媒蒸気(例えば水蒸気)が流入する。吸収溶液の吸収は、垂直管内吸収方式で行われる。すなわち、分配装置55より各伝熱管53に滴下される吸収溶液は、管内面を液膜状となり管内を流下する際に、上部ヘッダ51を経由して流入する冷媒蒸気を吸収する。冷媒蒸気の吸収に伴い発生する吸収熱は、管外側に設けられた冷却ファン(図示せず)の冷却空気により大気に放熱される。水−臭化リチウム系の空冷吸収式の場合、例えば室内空気を直接蒸発器において冷却する直膨ダクト方式にあっては、冷風温度が15℃程度に設定されるため、吸収器内および冷媒蒸気の蒸気圧は約9torrとなる。この場合、吸収溶液の濃度は、濃液側における臭化リチウムの晶析、および大気放熱に際しての冷却空気との温度差を考慮して濃液側64%、希液側61%、濃度差3%程度が一般的である。しかし、吸収作用は熱移動と物質移動を同時に伴うため性能向上が難しい。特に空冷吸収式の場合、吸収溶液の温度と冷却空気の温度との温度差(約10deg)が水冷式(約25deg)に比べて小さいため、吸収器の伝熱面積を小さくすることが難しく、このことが機器の小型軽量化のネックとなっている。空冷吸収器の高性能化を目指して、これまで例えば伝熱管外側のフィン形状の工夫、管内側の溝形成、スプリング挿入等、種々の提案がなされてきた。しかし、このような工夫を以ってしても吸収性能を、飛躍的に向上させるには至っていないのが現状である。 【発明が解決しようとする課題】今、伝熱管一本について考えると、管長Lを一定と仮定して、管内を滴下する吸収溶液の量を一定とすれば、管径Dが大きいほど管内を流下する液膜の厚さは薄くなるから、蒸気吸収量および伝熱管壁を介して放熱される熱量も大きくなる。しかし、Dがある値以上になると液膜が薄くなりすぎ、ついには吸収溶液が管内全体を濡らすことができず、管内面の一部のみを伝って流下するようになる。このような状態では有効面積が減少して吸収性能、放熱性能は低下してしまう。また、管外側条件を考えても、冷却空気の通気抵抗を一定に保つには、管径を大きくするに従って外形寸法を大きくしなければならない。外形寸法を一定にしようとすれば、通気抵抗が増加してしまう。冷却ファンの消費電力、騒音を考慮すると通気抵抗を小さくする必要があり、管径Dにも一定の限界がある。次に管径Dを一定とすると、滴下する吸収溶液の量が一定であれば管長Lが大きくなるに従い放熱量も大きくなるはずである。しかし、管長Lが一定値以上になると上部ヘッダと下部ヘッダのヘッダ間の蒸気圧差が大きくなる。このことは図5のデューリング線図において、蒸気圧がP0からP1に下がり、これに伴い溶液の温度がT0からT1に下がってしまうことを示している。このため、吸収溶液と冷却空気との温度差が小さくなり、放熱量が下がって吸収性能が低下する結果となる。従って、あるDに対してLの限界値があることが予測される。実際には、溶液の種類、管表面の性状等により条件が異なるが、上記の考察から、概念的には吸収性能を最適にする管径Dと管長Lの組み合せがあるといえる。本発明者は、これまで注目されていなかった吸収器伝熱管の管径と管長の関係、および管群配列について鋭意検討を重ねた結果、吸収性能を飛躍的に向上させる最適な管径と管長の関係を提供するに至った。 【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、吸収剤として臭化リチウム、冷媒として水を用いる空冷吸収式冷凍機の流下液膜式吸収器において、伝熱管の管径D(mm)と管長L(mm)の組み合せが、L=135D−1470、L=155D−2290、かつ、L=1100、L=200で囲まれる範囲内のD,Lである伝熱管を用いたことを特徴とする吸収器である。より好ましくは、伝熱管の管径D(mm)と管長L(mm)の組み合せが、L=160D−1989、L=160D−2182、かつ、L=1000、L=300で囲まれる範囲内のD,Lである伝熱管を用いたことを特徴とする吸収器である(請求項2)。 【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図3は、本発明に係る吸収器および当該吸収器性能評価に用いた試験装置の概要を示す図である。評価に用いた吸収器1は、複数の伝熱管を一列に配列した構成になっている(図では一部省略してある)。用いた伝熱管は日立電線製サーモフィン内溝管である。伝熱管の管径Dおよび管長Lの組み合せ、本数、伝熱面積を表1に示す。 【表1】
表1においてDが15.88mmおよび19.50mmのものについては、Lが300mmと400mmの2種類のみ用いている。これは、Lが大きいものについては、Dが大きすぎると吸収器の外形寸法が大きくなりすぎ、実用的でなくなるからである。また、各管径ごとに伝熱管本数を変えているのは、同一管長の伝熱管について総伝熱面積をほぼ同一にするためである。表1には伝熱管の周囲に装着されているアルミ製冷却フィン5の仕様も示している。用いたフィンは平滑フィンであり、幅320、奥行32、ピッチ1.4(いずれも単位mm)である。次に本実施例における測定条件について説明する。図3において、吸収溶液(臭化リチウム溶液)は、濃液タンク13からポンプ10により上部ヘッダ2内部に設けられた分配装置7に導かれ、さらに伝熱管4内壁に滴下される。濃液タンク13の濃溶液の濃度は約64.4%に調製されている。冷媒蒸気は、冷媒発生装置12内の冷媒(水)をヒータ17で加熱して作られる。冷媒発生量および吸収溶液流量は、吸収器1内部の圧力が約8.9torrに維持されるようにヒータ17のインプットおよび図示しない流量制御弁を調節することにより行われる。分配管7から滴下される吸収溶液は、伝熱管4の内部で冷媒蒸気を吸収して希溶液となり、下部ヘッダ3に集められた後、ポンプ11を経由して希液タンク23に戻される。冷媒蒸気を吸収する際に発生する吸収熱は、伝熱管外を流れる冷却用空気により取り去られる。なお、冷却用空気は冷却ファン(図示せず)により冷却フィン5の間隙を紙面に垂直に通過している。冷却用空気の吸収器入口における温度は、乾球が約35℃、湿球が約24℃である。冷却ファンによる吸収器前面風速は1.3m/secである。これらは空冷吸収式冷凍機の実際の使用条件に合わせたものである。上記条件下で濃液側流量・濃度計15および希液側流量・濃度計16でそれぞれの流量および濃度を測定し、両方の値の差から吸収液が吸収した蒸気量を計算することにより吸収器の蒸気吸収能力を評価した。表2は評価結果を示すものである。同表には各伝熱管が組込まれた吸収器の蒸気吸収性能を単位伝熱面積あたり蒸発吸収量(q)により比較してある。 【表2】
図4は、表2をもとに、横軸に管長と管径の比L/D、縦軸に単位伝熱面積あたり蒸発吸収量qをとって、プロットしたものである。図4から明らかなように、L=300および400の伝熱管を用いた吸収器については、qが極大となるL/Dが存在していることが分かる。一方、L=750および1000の伝熱管を用いた吸収器については、測定した範囲ではqの極大値が存在していない。しかし、L/Dをさらに小さくすれば極大値を持つことがL=300等のデータから類推できる。図4には、さらに各管長ごとの蒸気吸収性能曲線に基づき、qが最大値付近のL/Dの範囲を下限Sn、上限Sn' (n=1〜4)として示してある。表3はこれを表にしたものである。同表には、さらに各Sn、Sn'に対応するDの値をD1n、D2nとして示してある。ここに、D1n=L/Sn、D2n=L/Sn'により求めた。例えば、L=300のとき、S1=16であるから、D11=300/16=18.8(表3のP1に該当)となる。 【表3】
さらに、図1は、表3の各D1nに対応する点Pn(n=1〜4)、およびD2nに対応する点Rn(n=1〜4)を、横軸にD、縦軸に管長Lをとってプロットしたものである。ここにPnおよびRnは、表3の括弧内の同一符号と対応している。図1には、さらに最小自乗法により4点P1、P2、P3、P4から求めた近似直線λ1を示してある。ここにλ1は、L=155D−2290で表わされるべき直線である。同様に4点R1、R2、R3、R4より求めた直線λ2をも示してある。λ2はL=135D−1470で表わされる。また、同図には上記直線近似が成立する範囲であるL=200とL=1100の二つの直線をも示してある。以上のことから、これら4つの直線で囲まれる四角形EFGH内部の点(L,D)が、蒸気吸収能力および冷却空気通気抵抗から見て、最適な管径Dと管長Lの組み合せであるということができる。次に、図4には各管長ごとに蒸気吸収能力が上記Sn、Sn'よりさらに高い範囲をMn、Mn'(n=1〜4)で示してある。表4はこれを表にしたものである。表4には、さらに各Mn、Mn'に対応するDの値をD1'n、D2'nとして示してある。ここに、D1'n=L/Mn、D2'n=L/Mn'である。 【表4】
さらに、図2は、表4の各管長のD1'nに対応する点Pn'(n=1〜4)、およびD2'nに対応する点Rn'(n=1〜4)を、横軸にD、縦軸にLをとってプロットしたものである。ここにPn'およびRn'は、表4の同一符号に対応している。図2には、さらに最小自乗法により4点P1'、P2'、P3'、P4'から求めた近似直線λ1'を示してある。ここにλ1'は、L=160D−2182で表わされるべき直線である。同様に4点R1'、R2'、R3'、R4'より求めた直線λ2'をも示してある。λ2'はL=160D−1989で表わされる。また、同図には上記直線近似の適用範囲として、L=300とL=1000の二つの直線をも示してある。すなわち、これら4直線で囲まれる四角形E'F'G'H'内部の点(L,D)が、さらに好ましい管径Dと管長Lの組み合せということになる。なお、本実施例における吸収溶液の濃度、吸収器内部圧力、管本数等は例示であって、これに限らず吸収式冷凍機の運転条件に応じて適切なものを選択できる。また、本実施例では伝熱管が1列の吸収器を用いているが、2列以上のものであっても、2列目以降は順次空気側の冷却能力が減少するため蒸気吸収能力の絶対値は小さくなるものの、相対的な管径と管長の関係は変わりなく同様に適用できる。 【発明の効果】以上の通り、本発明によれば蒸気吸収性能を最適にする管径Dと管長Lの組み合せの伝熱管による吸収器を用いたため、吸収性能を飛躍的に向上させることが可能となった。これにより吸収式冷凍機の小型軽量化、コストダウンが可能となった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000220262 【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年4月22日(1999.4.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107490 【弁理士】 【氏名又は名称】杉原 鉄郎
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| 【公開番号】 |
特開2000−304376(P2000−304376A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月2日(2000.11.2) |
| 【出願番号】 |
特願平11−114480 |
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