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【発明の名称】 エンジンヒートポンプ
【発明者】 【氏名】福留 二朗

【氏名】南 健一

【要約】 【課題】室外熱交換器と過冷却器との間に絞り弁を設けることで過冷却効果が向上する一方、逆に冷媒回路を絞ることになるため、圧縮機負荷が増大するという問題がある。つまり、冷房能力は向上するが圧縮機駆動動力も大きくなるというトレードオフの関係が生じていた。

【解決手段】室外熱交換器4と過冷却器6との間に膨張弁(制御絞り弁)45を介装し、圧縮機(コンプレッサ)2吐出圧に応じて、該膨張弁45の開度を制御した。また、室外熱交換器出口の過冷却度SCに応じて、該膨張弁45の開度を制御した。また、膨張弁前後の圧力差で、該膨張弁の開度を制御した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 室外熱交換器と過冷却器との間に膨張弁を介装し、圧縮機吐出圧に応じて、該膨張弁の開度を制御したことを特徴とするエンジンヒートポンプ。
【請求項2】 室外熱交換器と過冷却器との間に膨張弁を介装し、室外熱交換器出口の過冷却度に応じて、該膨張弁の開度を制御したことを特徴とするエンジンヒートポンプ。
【請求項3】 室外熱交換器と過冷却器との間に膨張弁を介装し、膨張弁前後の圧力差に応じて、該膨張弁の開度を制御したことを特徴とするエンジンヒートポンプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンヒートポンプの制御方法に関するもので、特に、室外熱交換器と過冷却器との間に介装した膨張弁の制御方法に関するもので、過冷却効果と圧縮機負荷軽減の双方を実現する最適化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ヒートポンプの運転効率のさらなる向上が望まれている中で、ヒートポンプを冷房運転に用いる場合、運転効率向上の手段の一つとして、過冷却サイクルがある。例えば、室外熱交換器を通過した液冷媒の一部を抽出して、その抽出冷媒で以って冷媒間同士で熱交換を行い、室内機へ流れる液冷媒の過冷却度を大きくして冷房時の運転効率を高めるものである。そして、室外熱交換器と過冷却器に配される暖房サイクル用の膨張弁を絞り弁として利用し、冷房運転時には該絞り弁により冷媒回路を絞ることで冷房サイクルの過冷却効果を増大させるよう構成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術において、室外熱交換器と過冷却器との間に絞り弁を設けることで過冷却効果が向上する一方、逆に冷媒回路を絞ることになるため、圧縮機負荷が増大するという問題がある。つまり、冷房能力は向上するが圧縮機駆動動力も大きくなるというトレードオフの関係が生じるのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上が本発明の解決する課題であり、次に課題を解決するための手段を説明する。即ち、室外熱交換器と過冷却器との間に膨張弁を介装し、圧縮機吐出圧に応じて、該膨張弁の開度を制御した。
【0005】また、室外熱交換器と過冷却器との間に膨張弁を介装し、室外熱交換器出口の過冷却度に応じて、該膨張弁の開度を制御した。
【0006】また、室外熱交換器と過冷却器との間に膨張弁を介装し、膨張弁前後の圧力差に応じて、該膨張弁の開度を制御した。
【0007】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を添付の図面を用いて説明する。図1は本発明に係るエンジンヒートポンプの回路図、図2は主膨張弁の開度と冷却効果の関係を示す図、図3は主膨張弁とコンプレッサ吐出圧力の関係を示す図、図4は制御絞り弁開度と冷却効果の関係を示す図、図5は吐出圧力と性能の関係を示す図、図6は制御絞り弁差圧と過冷却効果の関係を示す図、図7は本発明に係る制御絞り弁の第一の制御方法を示すフローチャート、図8は同じく第二の制御方法を示すフローチャート、図9は同じく第三の制御方法を示すフローチャートである。
【0008】図1において、本発明のエンジンヒートポンプに係る冷却サイクルについて説明する。圧縮器を構成するコンプレッサ2(本実施例においてはマルチコンプレッサとしている。)により冷媒を圧縮して、高温高圧過飽和蒸気の冷媒として、四方弁3を経由して、室外熱交換器4に圧送する。該室外熱交換器4において、冷却フィンを通過する間に、冷却ファン41の冷却風により冷却されて、高温高圧過熱状態の冷媒が、高圧液相冷媒に変換される。また、コンプレッサ2はエンジン1により駆動する構成としている。
【0009】室外熱交換器4において、高圧液相冷媒に変換された冷媒は、レシーバ5を経由し、冷房用膨張弁71において蒸発しやすい圧力まで減圧させた後、室内機7へと送られるが、その際、レシーバ5の内部に配置された過冷却器6により冷却されて、通常型冷却回路の場合よりも更に低温の状態とされるのである。
【0010】過冷却器6の構成は、過冷却回路61をレシーバ5から室内機7へと至るメイン回路から分岐させ(若しくは、レシーバ5のタンクから直接抽出して分岐させ)、冷媒が該過冷却回路61の主膨張弁62を経由した後、伝熱管60に流入するよう構成している。そして、該伝熱管60により冷媒の流れに対向流を発生させ、この対向流によって冷媒間同士で熱交換を行い、室内機7へと流れる液冷媒の過冷却度を大きくして、冷房時の運転効率を向上させる効果を与えるものである。
【0011】ここで、図2は主膨張弁62の開度による過冷却効果の変化を示している。つまり、主膨張弁62の開度を図の小の方向(つまり絞る方向)に制御すれば、過冷却度(SC)、室内熱交換冷却効果が向上することを示している。また、図3は主膨張弁62の前後差圧とコンプレッサ吐出圧力及び過冷却度(SC)の関係を示している。つまり、主膨張弁62の前後差圧が大きくなればなるほど、コンプレッサ吐出圧力及び室外熱交換器4における過冷却度が向上することを示している。
【0012】そして、室内用パイプ75を通過した冷媒が室内機7の室内熱交換器70において室内空気から熱を吸収して蒸発し室内空気を冷却する。更に、クーラファン72の送風により室内に冷房効果をもたらすのである。そして、室内熱交換器70において気化した冷媒が戻り回路76を通過して、四方弁3を経由した後、アキュムレータ9等を介してコンプレッサ2に戻り、上述したサイクルを繰り返すのである。
【0013】上述した冷却サイクルにおいては、室外熱交換器4とレシーバ5の間に膨張弁45を配置することにより、該膨張弁45を絞り弁として作用させ、室外熱交換器4から冷媒が無制限にレシーバ5へ流出するのに抵抗を与えることとなり、室外熱交換器4の内部において、高圧液相冷媒を適度に滞留させることができ、室外熱交換器4の冷却効果を、該室外熱交換器4の全面にわたり十分に作用させて冷媒を十分に冷却することが可能となり、膨張弁45の無い場合より、過冷却器6での冷媒間同士の熱交換による冷却効果を向上させることが出来るのである。なお、以下においては膨張弁45を制御絞り弁45と呼ぶ。
【0014】ところが、該制御絞り弁45を絞り弁として作用させることにより、過冷却効果が向上する一方(この効果を図4に示す)、逆に冷媒通路を絞ることになるため、コンプレッサ2の負荷が大きくなり結果的には運転効率を低下させることとなる。この関係を図5で示す。つまり、該制御絞り弁45を基準値から絞る方向へ調節すると、前述した冷却効果の向上により、冷房能力が上昇するため、運転効率が上昇する。ところが、絞り開度をある値以上に絞った場合には、冷房能力は向上していくが、コンプレッサ2の負荷が増大するため、運転効率が下降していくのである。そこで、本発明においては、過冷却効果とコンプレッサ2の負荷軽減の双方の実現を可能とする最適化制御を行い運転効率を向上させるため、以下に示す方法により該制御絞り弁45の開度制御を行う。
【0015】まず、第一の制御方法について説明する。図1に示すように、コンプレッサ2と四方弁3の間には圧力センサP1が配置され、コンプレッサ2からの吐出圧力を検出する。そして、該圧力センサP1はコンプレッサ2の圧力検出値を、コントローラ10に対して出力する。そしてコントローラ10は前記該制御絞り弁45に対して開度制御を行うよう構成されている。
【0016】この制御方法について図7のフローチャートを用いて説明する。まず、コントローラ10は、初期値として制御弁開度にEV0をセットし、制御絞り弁45の開度調整を行い、この初期設定状態で冷房サイクル運転を行う(ステップS11)。次に、前記圧力センサP1の検出したコンプレッサ吐出圧力Pdを入力する(ステップS12)。そして、吐出圧目標値をPd’との偏差εを演算し(ステップS13)、偏差εを入力値として弁開度変更量演算関数fにより、弁開度変更量ΔMvを演算する(ステップS14)。そして該弁開度変更量ΔMvに応じた制御絞り弁45の開度制御を行うのである(ステップS15)。そして、ステップS16において、過冷却サイクルの継続判定を行い、コンプレッサ吐出圧力が目標値に達するまで本制御を繰り返すのである。
【0017】このような制御を行うことで、制御絞り弁45はコントローラ10により、運転効率が上昇する範囲においては、絞る方向に制御されて、過冷却効果を向上させ冷房能力を上昇させるのである。そして、図5でも示したように、制御絞り弁45の開度がさらに小さくなっていくと、即ちコンプレッサ吐出圧力が増大していくと運転効率が減少に向かうため、コントローラ10は冷房能力の向上と運転効率の向上との両方を実現する最適制御を行い、制御絞り弁45の開度調整を行うのである。
【0018】次に、第二の制御方法について説明する。図1に示すように室外熱交換器4と制御絞り弁45との間には、圧力センサP2及び温度センサ46が配設されている。そして、圧力センサP2は室外熱交換器4から流出する冷媒圧力(凝縮圧力)を、温度センサ46は室内熱交換器4から流出する冷媒温度を検出し、それぞれコントローラ10に対して出力するのである。
【0019】この制御方法について図8のフローチャートを用いて説明する。まず、コントローラ10は、初期値として制御弁開度にEV0をセットする(ステップS21)。次に、前記圧力センサP2の検出した凝縮圧力Pc、及び室外熱交換器出口温度Toutを入力する(ステップS22)。次に、ステップ23において過冷却度(SC)を演算する。過冷却度SCは凝縮圧力Pcに対する飽和温度Tcと出口温度Toutの差分として演算される。そして、過冷却度目標値SC’との偏差εを演算し(ステップS24)、弁開度変更量ΔMvを演算する(ステップS25)。そして該弁開度変更量ΔMvに応じた制御絞り弁45の開度制御を行うのである(ステップS26)。そして、ステップS27において、過冷却サイクルの継続判定を行い、コンプレッサ吐出圧力が目標値に達するまで本制御を繰り返すのである。
【0020】このような制御を行うことで、過冷却効果を向上させて冷房能力を上昇させるが、同様に図5に示したように、制御絞り弁45の開度がある値より小さくなると(絞られると)、冷房能力は上昇し続けても、運転効率が減少するため、コントローラ10は冷房能力と運転効率の双方の向上を実現する最適な過冷却度(SC)となるよう制御絞り弁45を調整するのである。
【0021】次に第三の制御方法について説明する。図1に示すように、前記圧力センサP2に加えて、制御絞り弁45とレシーバ5との間には圧力センサP3が配設されている。そして、圧力センサP3は室外熱交換器4を流出した冷媒が制御絞り弁45を通過した後の圧力を検出して、コントローラ10に出力する。つまり、コントローラ10は圧力センサP2・P3により制御絞り弁45の前後圧力差を演算可能としているのである。
【0022】この制御方法について図9のフローチャートを用いて説明する。まず、コントローラ10は、初期値として制御弁開度にEV0をセットする(ステップS31)。次に、前記圧力センサP2・P3の検出した圧力から制御絞り弁差圧dPEVを検出する。(ステップS32)そして、吐出差圧目標値をdPEV’との偏差εを演算し(ステップS33)、弁開度変更量ΔMvを演算する(ステップS34)。そして該弁開度変更量ΔMvに応じた制御絞り弁45の開度制御を行うのである(ステップS35)。そして、ステップS36において、過冷却サイクルの継続判定を行い、制御絞り弁前後差圧が目標値に達するまで本制御を繰り返すのである。
【0023】以上の制御方法により制御絞り弁45の前後差圧を調整するが、図6に示すように、制御絞り弁45の前後差圧が大きくなれば、冷房能力、運転効率(COP)はともに上昇する。ところが、制御絞り弁45の前後差圧を大きくしていく為には、制御絞り弁45の出口側圧力が小さくなれば冷房サイクルの効率が低下するため、制御絞り弁45の入口側圧力を大きくしなければならない。そのため、同様に図2で示したように、コンプレッサ2の負荷が大きくなるため、無制限に前後圧を大きくすることはできず、冷房能力と運転効率の双方の向上を実現する最適な前後圧を差圧目標値として前述した制御を行うのである。
【0024】また、本発明に係る制御絞り弁45の制御方法は上述した第一から第三までの方法を併用することも可能である。例えば、室外熱交換器4の出口過冷却度と制御絞り弁45の前後差圧の両方をコントローラ10で検出し、双方の最適値に近い制御絞り弁45の開度制御を行うことにより、精度の高い最適制御が可能となる。
【0025】
【発明の効果】本発明のエンジンヒートポンプは以上の如く構成したので、以下のような効果を奏するものである。即ち、室外熱交換器と過冷却器との間に膨張弁を介装し、圧縮機吐出圧に応じて、該膨張弁の開度を制御したので、圧縮機の吐出圧を増大させて運転効率を低下させることなく、過冷却効果を向上させて冷房能力の高い冷房サイクルを制御可能とした。
【0026】また、室外熱交換器と過冷却器との間に膨張弁を介装し、室外熱交換器出口の過冷却度に応じて、該膨張弁の開度を制御したので、圧縮機の吐出圧を増大させて運転効率を低下させることなく、過冷却効果を向上させて冷房能力の高い冷房サイクルを制御可能とした。
【0027】また、室外熱交換器と過冷却器との間に膨張弁を介装し、膨張弁前後の圧力差で、該膨張弁の開度を制御したので、圧縮機の吐出圧を増大させて運転効率を低下させることなく、過冷却効果を向上させて冷房能力の高い冷房サイクルを制御可能とした。
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーディーゼル株式会社
【出願日】 平成11年4月22日(1999.4.22)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2000−304374(P2000−304374A)
【公開日】 平成12年11月2日(2000.11.2)
【出願番号】 特願平11−114936