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【発明の名称】 空気調和機
【発明者】 【氏名】田村 清

【氏名】渡部 岳志

【氏名】田島 保男

【要約】 【課題】チャージレス仕様の分離型空気調和機1で冷媒配管の長さに長短が生じても、必要十分な量の冷媒が循環できるようにする。

【解決手段】冷媒が予め注入されて室外に配設される室外機20と室内に配設される室内機10とを冷媒配管51,52により接続し、室外機20に注入した冷媒が該冷媒配管51,52を介して室外機20と室内機10との間を循環するように冷凍回路を形成する。また、この冷凍回路における高圧側の冷媒配管51と低圧側の冷媒配管52とを短絡するように冷媒量調整器30を設けて、冷媒配管51,52の長さ等に依存して冷凍回路で必要になる冷媒量の違いを調整できるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷媒が予め注入されて室外に配設される室外機と室内に配設される室内機とを冷媒配管により接続し、前記室外機に注入した冷媒が該冷媒配管を介して前記室外機と室内機との間を循環するように形成された冷凍回路により構成される空気調和機において、前記冷凍回路における高圧側の冷媒配管と低圧側の冷媒配管とを短絡するように接続されて、当該冷凍回路を循環する冷媒量を調整する冷媒量調整器を設けたことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】 前記冷媒量調整器が、冷媒を貯留するタンクと、該タンクと高圧側の前記冷媒配管の間及び前記タンクと低圧側の前記冷媒配管の間に設けられた制御弁を有し、低圧側の前記制御弁のみを開くことにより前記冷凍回路に循環している冷媒を前記タンクに貯留し、低圧側及び高圧側の前記制御弁を開くことにより前記タンクに貯留している冷媒を前記冷凍回路に戻すようにしたことを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】 前記タンクに冷媒を貯留する際には、冷媒が重力の作用により低圧側の前記制御弁を介して前記タンクに流下するようにしたことを特徴とする請求項2記載の空気調和機。
【請求項4】 前記冷媒が沸点の異なる複数の冷媒を混合してなる非共沸混合冷媒であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チャージレス仕様の空気調和機において、冷媒配管長の違い等により生じる冷凍回路内で必要とされる冷媒量を調整可能にした空気調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、一般家庭等において室内の冷暖房に空気調和機が用いられる場合が多くなっており、かかる空気調和機のなかでも室外に配設される室外機と室内に配設される室内機とに分離配置された分離型空気調和機が普及している。
【0003】図2はかかる空気調和機の冷凍回路を示した図で、室外機200には、冷媒を圧縮する圧縮機201、圧縮機201にガス冷媒のみが供給されるように気液分離を行う気液分離器202、冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器203、冷媒を減圧又は絞る室外側減圧器204、運転状態により必要となる冷媒量を調整する受液器205等が設けられ、室内機100には冷媒と室内空気とを熱交換させる室内熱交換器101、冷媒を減圧又は絞る室内側減圧器102等が設けられている。
【0004】このような分離型空気調和機は、室外機200を室外に設置すると共に、室内機100を部屋の壁等に設置し、これらを冷媒配管110で接続して、冷媒が室外機200と室内機100とを循環するようになっている。
【0005】そして、冷房運転を行うときには、圧縮機201で圧縮されて高温高圧のホットガスになった冷媒が、室外熱交換器203で外気と熱交換して凝縮し、この冷媒が室外側減圧器204で減圧されて受液器205に貯留され、そのうち液冷媒のみが室内側減圧器102を介して室内熱交換器101に供給される。
【0006】室内熱交換器101に供給された冷媒は、室内空気と熱交換して蒸発し、気液分離器202で気液分離されてガス冷媒のみが圧縮機201に戻って冷凍サイクルが一巡する。
【0007】このとき、冷媒の蒸発熱は室内空気から与えられ、これにより室内空気が冷却されて室内が冷房される。
【0008】一方、暖房運転を行うときは、圧縮機201で圧縮された高温高圧のホットガスになった冷媒が、室内熱交換器101に供給されて室内空気と熱交換して凝縮し、室内側減圧器102で減圧又は絞られて室外機200に戻る。このときの冷媒の凝縮熱は室内空気に与えられ、これにより室内空気が加熱されて室内が暖房される。
【0009】室内機100から戻った冷媒は受液器205に貯留され、そのうち液冷媒のみが室外側減圧器204を介して室外熱交換器203に供給され、この室外熱交換で蒸発し、気液分離器202で気液分離されてガス冷媒のみが圧縮機201に戻ってヒートポンプサイクルが一巡する。
【0010】従来、このような分離型空気調和機に用いる冷媒は、室内機100と室外機200とを冷媒配管110で接続して据付作業が完了した後、冷媒を冷凍回路内に注入することにより充填していたが、施工作業の効率化等の観点から工場出荷時に冷媒を室外機200等に予め注入したチャージレス仕様の空気調和機が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、室内機100と室外機200とを接続する冷媒配管110の長さは、室内機100等の設置場所に依存して変化するため冷媒配管110の長短が生じる。この結果、冷媒配管110が長いと、冷媒配管110を満たすために冷媒が用いられて所定の冷凍効率を発揮するために必要な冷媒量が不足したり、逆に冷媒配管110が短いと冷媒量が多すぎたりする事態が生じる問題があった。
【0012】また、このような冷凍回路に用いられている冷媒として、例えばR−22等の冷媒が用いられてきたが、このR−22等は塩素を含み、これがオゾン層破壊の原因となることが判明し規制対象となった。
【0013】そこで、オゾン層を破壊しない新冷媒が検討され、例えば、R−410AやR407C等が提案されている。
【0014】しかしR407C冷媒を用いると圧縮機201に供給される冷媒は必ず気液分離器202を経るようになるため、冷暖房定常運転時に冷媒の組成比が徐々に変化してしまう問題があった。
【0015】即ち、R407C冷媒は、R32(沸点:−57.7℃)を32%、R125(沸点:−48.1℃)を25%、R134a(沸点:−26.3℃)を52%の割合で混合した非共沸混合冷媒である。
【0016】このため気液分離器202に流入した冷媒のうち沸点の低い冷媒が先に蒸発すして、冷凍回路を循環する冷媒の組成比が変化してしまう。この組成比の変化は、冷凍効率の低下を招く。
【0017】そこで、本発明は、R407Cのような非共沸混合冷媒であっても、冷媒の組成比が変化することなく、またチャージレス仕様の分離型空気調和機で冷媒配管の長さに長短が生じても、必要十分な量の冷媒が循環できるようにした空気調和機を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、冷媒が予め注入されて室外に配設される室外機と室内に配設される室内機とを冷媒配管により接続し、室外機に注入した冷媒が該冷媒配管を介して室外機と室内機との間を循環するように形成された冷凍回路により構成される空気調和機において、冷凍回路における高圧側の冷媒配管と低圧側の冷媒配管とを短絡するように冷媒量調整器を設けて、冷媒配管の長さ等に依存して冷凍回路で必要になる冷媒量の違いを調整できるようにしたことを特徴とする。
【0019】請求項2にかかる発明は、冷媒量調整器が、冷媒を貯留するタンクと、該タンクと高圧側の冷媒配管の間及びタンクと低圧側の冷媒配管の間に設けられた制御弁を有し、低圧側の制御弁のみを開くことにより冷凍回路に循環している冷媒をタンクに貯留し、低圧側及び高圧側の制御弁を開くことによりタンクに貯留している冷媒を冷凍回路に戻すようにして、冷媒配管の長さ等に依存して冷凍回路で必要になる冷媒量の違いを調整できるようにしたことを特徴とする。
【0020】請求項3にかかる発明は、タンクに冷媒を貯留する際には、冷媒が重力の作用により低圧側の制御弁を介してタンクに流下するようにして、簡単な構成で冷媒配管の長さ等に依存して冷凍回路で必要になる冷媒量の違いを調整できるようにしたことを特徴とする。
【0021】請求項4にかかる発明は、冷媒を沸点の異なる複数の冷媒が混合されてなる非共沸混合冷媒としたことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は本発明にかかる空気調和機を構成する冷凍回路図である。
【0023】当該空気調和機1は、室外に配設される室外機20と室内の壁等に据付けられる室内機10とを主要構成とし、これらが冷媒配管50a,50bにより接続されて冷媒が循環するようになっている。
【0024】このとき、冷媒としては、R407Cのような非共沸混合冷媒が循環しているものとする。
【0025】室外機20には、冷媒を圧縮する圧縮機21、冷媒と外気とを熱交換させる室外熱交換器22、冷媒を減圧又は絞る室外側減圧器23、循環する冷媒量を調整する冷媒量調整器30等が設けられている。
【0026】室内機10には、冷媒と室内空気とを熱交換させる室内熱交換器11、冷媒を減圧又は絞る室内側減圧器12等が設けられている。
【0027】冷媒量調整器30は、冷媒を貯留するタンク31、該タンク31への冷媒の貯留及び放出を制御する低圧側制御弁32及び高圧側制御弁33等により構成され、冷凍回路の高圧側配管51には高圧側制御弁33が接続され、低圧側配管52には低圧側制御弁32が接続されている。
【0028】そして、循環する冷媒量を少なくするような場合には、低圧側制御弁32を開き、凝縮した冷媒を重力の作用により低圧側制御弁32を介してタンク31内に流下させることにより貯留する。
【0029】逆に、タンク31内の冷媒を冷凍回路に戻すときは、低圧側及び高圧側制御弁32,33を共に開く。これにより、高圧側配管51の圧力によりタンク31に貯留されている冷媒が低圧側配管52側に押出されて冷凍回路に戻される。
【0030】低圧側及び高圧側制御弁32,33の開閉制御例としては、以下のような方法が可能である。
【0031】一般に、圧縮機21は図示しない圧縮室に冷媒を吸気し、当該圧縮室が縮小することにより冷媒を圧縮して吐出す。このとき、冷媒吸気時及び冷媒吐出時における圧縮室の空間容積は、圧縮機21に固有の値で運転条件等により変化することがない。
【0032】従って、圧縮機21から吐出される冷媒の温度は、圧縮室に吸気された冷媒量に依存し、吸気された冷媒量が少ないときは吐出温度が低くなり、逆に吸気された冷媒量が多いときは吐出温度は高くなる。
【0033】このため圧縮機21を所定の条件で運転したとき、圧縮室に吸気される冷媒の量の違いは、冷凍回路を循環する冷媒量の違いとなるので、圧縮室から吐出される冷媒の温度を検出することにより冷凍回路に循環している冷媒量が多いか少ないかを判断することができる。
【0034】例えば、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を90℃に設定した場合、実際の吐出温度が90度以上であると冷凍回路に循環している冷媒量が多すぎると判断できるので、低圧側制御弁32を開く。
【0035】これにより低圧側配管52を流れている冷媒は、後述するように凝縮した冷媒であるので、重力の作用により容易に低圧側制御弁32を介してタンク31に流入する。
【0036】一方、吐出温度が90度以下のときは、冷凍回路に循環している冷媒量が少ないと判断できるので、低圧側制御弁32及び高圧側制御弁33を共に開く。
【0037】これにより高圧側配管51の圧力により、タンク31に貯留されている冷媒が低圧側配管52側に押出されて冷凍回路に戻るようになる。
【0038】従って、チャージレス仕様の空気調和機1であっても冷暖房運転及び冷媒配管51,52の長短に依存する循環冷媒量の違いを調整することが可能になる。
【0039】このような構成の空気調和機1において冷房運転を行うときには、圧縮機21で圧縮されて高温高圧のホットガスになった冷媒が、室外熱交換器22で外気と熱交換して凝縮し、この冷媒が室外側減圧器23で減圧又は絞られて、室内側減圧器12を介して室内熱交換器11に供給される。
【0040】室内熱交換器11に供給された冷媒は、室内空気と熱交換して蒸発して圧縮機21に戻ることにより冷凍サイクルが一巡する。
【0041】このとき、冷媒の蒸発熱は室内空気から与えられ、これにより室内空気が冷却されて室内が冷房される。
【0042】一方、暖房運転を行うときは、圧縮機21で圧縮されて高温高圧のホットガスになった冷媒が、室内熱交換器11に供給されて室内空気と熱交換して凝縮する。このときの冷媒の凝縮熱は室内空気に与えられ、これにより室内空気が加熱されて室内が暖房される。
【0043】室内熱交換器11で凝縮した冷媒は、室内側減圧器12で減圧又は絞られて、室外側減圧器23を介して室外熱交換器22に供給され、この室外熱交換器22で蒸発して圧縮機21に戻ることによりヒートポンプサイクルが一巡する。
【0044】以上の説明からわかるように、本発明にかかる空気調和機1の冷凍回路には、気液分離器が設けられていないので、沸点の異なる冷媒が混合された非共沸混合冷媒であっても、沸点の低い冷媒のみが優先的に蒸発して組成比が変化するような事態が発生せず冷凍効率の低下等を防止できる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように請求項1にかかる発明によれば、冷凍回路における高圧側の冷媒配管と低圧側の冷媒配管とを短絡するように冷媒量調整器を設けたので、冷媒配管の長さの違いや運転状態の違いによる冷凍回路内で必要となる冷媒量の違いを調整できるようになり、冷凍効率の低下を防止することができると共に、施工作業が容易になる。
【0046】請求項2にかかる発明によれば、冷媒量調整器を冷媒を貯留するタンクと、該タンクと高圧側の冷媒配管の間及びタンクと低圧側の冷媒配管の間に設けられた制御弁とにより構成したので、低圧側の制御弁のみを開くことにより冷凍回路に循環している冷媒をタンクに貯留でき、また低圧側及び高圧側の制御弁を開くことによりタンクに貯留している冷媒を冷凍回路に戻すことができて、容易に、かつ、簡単な構成で冷媒配管の長さ等に依存して冷凍回路で必要になる冷媒量の違いを調整できるようになる。
【0047】請求項3にかかる発明によれば、タンクに冷媒を貯留する際に冷媒に働く重力を利用したので、容易に低圧側の制御弁を介してタンクに流下するようになり、簡単な構成で冷媒配管の長さ等に依存して冷凍回路で必要になる冷媒量の違いを調整できるようになる。
【0048】請求項4にかかる発明によれば、冷媒を沸点の異なる複数の冷媒が混合されてなる非共沸混合冷媒とし、冷凍回路に気液分離器を用いないようにしたので従来のように気液分離器で沸点が低い冷媒が先に蒸発して組成比が変化するような事態を防止することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成11年4月6日(1999.4.6)
【代理人】 【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
【公開番号】 特開2000−292037(P2000−292037A)
【公開日】 平成12年10月20日(2000.10.20)
【出願番号】 特願平11−99412