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【発明の名称】 空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器
【発明者】 【氏名】佐藤 成広

【氏名】沼本 浩直

【氏名】茂木 仁

【氏名】渡邊 幸男

【氏名】中角 英二

【氏名】武内 裕幸

【要約】 【課題】室内熱交換器内や接続配管内の空気を一旦置換用気体と置換した後に、この置換用気体を簡便に回収することができる空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器を提供すること。

【解決手段】圧縮機内や室外熱交換器内に冷媒ガスを封入した室外機と、室内熱交換器内を大気中に開放した室内機とを接続配管で接続し、前記室内熱交換器内や前記接続配管内の空気を置換用気体と置換し、その後前記置換用気体を捕集する空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器であって、内部に置換用気体を吸着する吸着剤を有し、容器本体を金属材料で形成した空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機内や室外熱交換器内に冷媒ガスを封入した室外機と、室内熱交換器内を大気中に開放した室内機とを接続配管で接続し、前記室内熱交換器内や前記接続配管内の空気を置換用気体と置換し、その後前記置換用気体を捕集する空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器であって、内部に置換用気体を吸着する吸着剤を有し、容器本体を金属材料で形成したことを特徴とする空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器。
【請求項2】 圧縮機内や室外熱交換器内に冷媒ガスを封入した室外機と、室内熱交換器内を大気中に開放した室内機とを接続配管で接続し、前記室内熱交換器内や前記接続配管内の空気を置換用気体と置換し、その後前記置換用気体を捕集する空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器であって、内部に置換用気体を吸着する吸着剤を有し、容器本体を変形可能なフィルムで形成したことを特徴とする空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器。
【請求項3】 前記変形可能なフィルムは、表面に金属フィルム層を有していることを特徴とする請求項2記載の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器。
【請求項4】 圧縮機内や室外熱交換器内に冷媒ガスを封入した室外機と、室内熱交換器内を大気中に開放した室内機とを接続配管で接続し、前記室内熱交換器内や前記接続配管内の空気を置換用気体と置換し、その後前記置換用気体を捕集する空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器であって、内部に置換用気体を吸着する吸着剤と、前記吸着剤を封止するバッフルとを有することを特徴とする空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器。
【請求項5】 前記容器本体に、前記置換用気体を導入する口金を備え、前記バッフルを前記口金内部に固定したことを特徴とする請求項4記載の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器。
【請求項6】 前記口金内部に突起部を設け、前記バッフルを前記突起部にて固定したことを特徴とする請求項5記載の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器。
【請求項7】 前記バッフルを、複数の孔を設けたパンチングメタル、又は網目状のメッシュ部材で構成したことを特徴とする請求項4記載の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器。
【請求項8】 前記バッフルとして、繊維部材を用いたことを特徴とする請求項4記載の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器。
【請求項9】 前記バッフルを、前記吸着剤よりも小さい孔又は空隙を有する部材で構成し、前記孔又は前記空隙による開口率が60%以上であることを特徴とする請求項4記載の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器。
【請求項10】 前記部材を筒状に構成し、容器本体内に延出させたことを特徴とする請求項9記載の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接続配管にて室内機と室外機とを接続する空気調和機の施工に用いる置換用気体回収容器に関する。
【0002】
【従来の技術】空気調和機に用いられる冷凍サイクルは、圧縮機、熱交換器、キャピラリチューブまたは膨張弁等の膨張機構を有する冷媒流量制御部を銅管等の配管にて接続して構成される機構的な部分と、冷媒や潤滑油組成物等の冷凍サイクル内部に充填される流体から構成されている。セパレート型空気調和機では、圧縮機、熱交換器を有する室外ユニットと、冷凍空調がなされる部位に設置される熱交換器を有する室内ユニットを、銅管等の接続管にて接続して構成される。このような冷凍サイクルでは、予め室外ユニット側に冷媒の一部あるいは全部と潤滑油組成物を充填して室外ユニットのバルブを閉じておき、施工時に接続管を用いて室内ユニットと接続して冷凍サイクルを形成するのが一般的である。このように配管を接続しただけでは、室内ユニットと接続管内には空気が残存している。この空気を除去するために室外ユニットのバルブに設けられた冷媒チャージポートに真空ポンプを接続し、空気を除いてからバルブを開き室内ユニットと室外ユニットを連結して冷凍システムを構成する施工方法がとられていた。また、簡易的な施工方法としては、施工時に室外ユニットのバルブを開いて室外ユニット内の冷媒を接続管と室内ユニットへ流し、もうひとつの室外ユニットのバルブに設けられた冷媒チャージポート、または該バルブの接続ポートの連結を緩和してできる隙間部分より空気を含んだ冷媒を放出することにより室内ユニット及び接続管内の気体を置換する操作が行われていた。これらの方法に対して、特開平3−70953号公報においては、冷凍サイクル内を酸素に置換した後、冷媒充填を実施し、冷凍サイクルに装備された酸素固定剤で酸素を固定化することによる真空ポンプを使用しない冷凍サイクルの製造方法が開示されている。また、特開平7−159004号公報においては、冷凍圧縮機、凝縮器、キャピラリチューブまたは膨張弁等の膨張機構部及び蒸発器のうち、凝縮器あるいは蒸発器の一方または凝縮器あるいは蒸発器の一方と膨張機構部が分離され配管で接続されるセパレート型の空気調和機において、冷凍サイクルの一部に空気中の水分、酸素、窒素、炭酸ガス等のうち2種類以上を吸収できる物質を封入する方法を開示している。また、特開平7−269994号公報では冷媒循環系に酸素吸収剤を配する冷凍サイクルを開示している。また、特開平9−292168号公報では空気吸収剤を配して配管および室内機内の空気を除去する方法および配管と室内機内に二酸化炭素を封入したのち二酸化炭素吸収剤で配管と室内機内の二酸化炭素を吸収して真空にする方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】冷凍サイクル内に残存する空気は、非凝縮性ガスとして冷凍能力を下げたり、酸素や水分が冷凍サイクル内部の冷凍機油や鉄などの劣化を促進するので必ず除去する必要がある。従来の技術で述べたもののうち真空ポンプで排気する方法は、一般的であるが施工現場で真空ポンプを稼動させるためには電源が利用可能である必要があり、屋根の上等では利用しにくく簡便な方法とは呼べなかった。また、冷媒による空気の置換方法では冷媒であるフロンの大気放出を避けられず、地球環境的に見て地球温暖化等の問題から好ましくなかった。また、室内熱交換器内や接続配管内の空気を一旦置換用気体と置換した後に、この置換用気体を回収する方法については、置換用気体を回収する簡便な装置が提案されていない。
【0004】そこで本発明は、室内熱交換器内や接続配管内の空気を一旦置換用気体と置換した後に、この置換用気体を簡便に回収することができる空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器は、圧縮機内や室外熱交換器内に冷媒ガスを封入した室外機と、室内熱交換器内を大気中に開放した室内機とを接続配管で接続し、前記室内熱交換器内や前記接続配管内の空気を置換用気体と置換し、その後前記置換用気体を捕集する空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器であって、内部に置換用気体を吸着する吸着剤を有し、容器本体を金属材料で形成したことを特徴とする。請求項2記載の本発明の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器は、圧縮機内や室外熱交換器内に冷媒ガスを封入した室外機と、室内熱交換器内を大気中に開放した室内機とを接続配管で接続し、前記室内熱交換器内や前記接続配管内の空気を置換用気体と置換し、その後前記置換用気体を捕集する空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器であって、内部に置換用気体を吸着する吸着剤を有し、容器本体を変形可能なフィルムで形成したことを特徴とする。請求項3記載の本発明は、請求項2記載の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器において、前記変形可能なフィルムは、表面に金属フィルム層を有していることを特徴とする。請求項4記載の本発明の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器は、圧縮機内や室外熱交換器内に冷媒ガスを封入した室外機と、室内熱交換器内を大気中に開放した室内機とを接続配管で接続し、前記室内熱交換器内や前記接続配管内の空気を置換用気体と置換し、その後前記置換用気体を捕集する空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器であって、内部に置換用気体を吸着する吸着剤と、前記吸着剤を封止するバッフルとを有することを特徴とする。請求項5記載の本発明は、請求項4記載の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器において、前記容器本体に、前記置換用気体を導入する口金を備え、前記バッフルを前記口金内部に固定したことを特徴とする。請求項6記載の本発明は、請求項5記載の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器において、前記口金内部に突起部を設け、前記バッフルを前記突起部にて固定したことを特徴とする。請求項7記載の本発明は、請求項4記載の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器において、前記バッフルを、複数の孔を設けたパンチングメタル、又は網目状のメッシュ部材で構成したことを特徴とする。請求項8記載の本発明は、請求項4記載の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器において、前記バッフルとして、繊維部材を用いたことを特徴とする。請求項9記載の本発明は、請求項4記載の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器において、前記バッフルを、前記吸着剤よりも小さい孔又は空隙を有する部材で構成し、前記孔又は前記空隙による開口率が60%以上であることを特徴とする。請求項10記載の本発明は、請求項9記載の空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器において、前記部材を筒状に構成し、容器本体内に延出させたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態による空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器は、内部に置換用気体を吸着する吸着剤を有し、容器本体を金属材料で形成したものである。本実施の形態によれば、容器本体を熱伝導性のよい金属材料で形成しているので、置換用気体を吸着剤にて回収する際に発生する熱を容器外に伝導しやすく、発熱による吸着効果の低下を防止することができる。
【0007】本発明の第2の実施の形態による空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器は、内部に置換用気体を吸着する吸着剤を有し、容器本体を変形可能なフィルムで形成したものである。本実施の形態によれば、容器本体を変形可能なフィルムで形成しているので、容器本体内の負圧状態を確認することができ、携帯性にも優れている。
【0008】本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器において、変形可能なフィルムの表面に金属フィルム層を有したものである。本実施の形態によれば、容器本体の強度が向上するだけでなく、熱伝導性を高めることができるので、発熱による吸着効果の低下を防止することができる。
【0009】本発明の第4の実施の形態による空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器は、内部に置換用気体を吸着する吸着剤と、前記吸着剤を封止するバッフルとを有するものである。本実施の形態によれば、施工時に、容器本体内に収納している吸着剤が空気調和装置の冷凍サイクルに混入することを防止することができる。
【0010】本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態による空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器において、容器本体に、置換用気体を導入する口金を備え、バッフルを口金内部に固定したものである。本実施の形態によれば、バッフルを口金内部に固定することで、バッフルの配設を容易に行うことができるとともに、吸着剤の充填空間を広くとることができる。
【0011】本発明の第6の実施の形態は、第5実施の形態による空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器において、口金内部に突起部を設け、バッフルを突起部にて固定したものである。本実施の形態によれば、バッフルを口金内部に設けた突起部によって固定することで、バッフルの固定を容易に行うことができる。
【0012】本発明の第7の実施の形態は、第4の実施の形態における空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器において、バッフルを、複数の孔を設けたパンチングメタル、又は網目状のメッシュ部材で構成したものである。本実施の形態によれば、複数の孔を設けたパンチングメタル、又は網目状のメッシュ部材で構成することで、容易にバッフルを構成することができる。
【0013】本発明の第8の実施の形態は、第4の実施の形態における空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器において、バッフルとして、繊維部材を用いたものである。本実施の形態によれば、繊維部材をバッフルとして用いることで、形状変化が可能であるため、開口部が小さくても圧縮して内部に挿入することができ、又広い空間に配置されたときには、形状が膨張拡大するために抜け出ることがない。
【0014】本発明の第9の実施の形態は、第4の実施の形態における空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器において、バッフルを、吸着剤よりも小さい孔又は空隙を有する部材で構成し、この孔又は空隙による開口率を60%以上としたたものである。本実施の形態によれば、吸着剤よりも小さい孔又は空隙を有する部材で構成することで、吸着材が空気調和装置の冷凍サイクル中に混入することを防止でき、また開口率を60%以上とすることで、置換用気体の吸着効果を高めることができる。
【0015】本発明の第10の実施の形態は、第9の実施の形態による空気調和装置の施工に用いる置換用気体回収容器において、部材を筒状に構成し、容器本体内に延出させたものである。本実施の形態によれば、部材を筒状に構成し、容器本体内に延出させることで、置換用気体を容器内部に効果的に導くことができ、置換時間を短縮することができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1及び図2は、同実施例に用いる空気調和装置の冷凍サイクルの構成図であり、図1は置換用気体充填容器を接続した状態を示し、図2は置換用気体回収容器を接続した状態を示している。
【0017】まず、図1及び図2を用いて空気調和装置を構成する冷凍サイクルの全体構成について説明する。冷凍サイクルは、圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、絞り装置4、ドライヤー5、室内熱交換器6によって構成されている。圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、絞り装置4、ドライヤー5は、室外機Aに配設され、室内熱交換器6は、室外機Bに配設されている。室外機Aには、液側2方弁7とガス側3方弁8が設けられている。室外機Aと室内機Bとを接続する接続配管9,10は、それぞれ液側2方弁7とガス側3方弁8を用いて接続されている。液側2方弁7は、ネジ部7aを有しており、このネジ部7aを開くことで室外機A側の配管と接続配管7とを連通する。また、ガス側3方弁8は、ネジ部8aと冷媒チャージポート8bを有しており、このネジ部8aを開くことで室外機A側の配管と接続配管10とを連通する。冷媒チャージポート部8bには、図1に示すように、接続装置30を用いて置換用気体充填容器20を接続することができ、また図2に示すように、接続装置50を用いて置換用気体回収容器40を接続することができる。これら置換用気体充填容器20や置換用気体回収容器40は、接続装置30,50に接続することで、接続配管10と連通することができる。
【0018】ここで、置換用気体充填容器20内には、冷媒に対して不活性であり、常温常圧で気体である一種もしくは多種類の混合気体からなる置換用気体を封入している。より具体的には、この置換用気体は冷媒よりも地球温暖化係数が小さいものが好ましい。たとえば冷媒にR410Aを用いた場合、地球温暖化係数(GWP)は1730なので、これよりも小さく冷凍サイクルに対し不活性な気体が好ましい。より具体的には二酸化炭素(GWP=1)、プロパン(GWP<3)、ブタン(GWP<3)等があげられる。
【0019】一方、置換用気体回収容器40内には、置換用気体を吸収する吸着剤を封入している。以下にこの吸着剤について説明する。置換用気体を吸収する物質としては、置換用気体として二酸化炭素を封入した場合、ゼオライト、エポキシ化合物、水酸化カルシウム、塩化カルシウム等を用いることができる。この中でも、ゼオライトは、吸収速度が速いためより好ましい。そしてこのゼオライトは、細孔径が1.0nmのものが二酸化炭素の吸収速度が速く最適である。
【0020】次に、図3から図12を用いて、図2に示す置換用気体回収容器40の各実施例について以下に説明する。図3から図5は、本発明の一実施例による置換用気体回収容器の概略構成を示し、図3は同置換用気体回収容器の側断面図、図4は同置換用気体回収容器の要部拡大断面図、図5は同置換用気体回収容器に用いるバッフルの平面図である。本実施例による置換用気体回収容器は、アルミ製や銅製の金属材料で円筒状に形成された容器本体41と、この容器本体41の一端側に絞り加工又は溶接等によって形成された口金41Aの開口部を閉塞する蓋体61と、容器本体41の内部に充填している吸着剤Aを封止するためのバッフル71から構成されている。ここで口金41Aは、その外周にネジ溝41Bが形成され、口金41Aの開口部の端面は平坦面に仕上げられている。また口金41Aの内部には、バッフル71を係止する凸部41Cが形成されている。蓋体61は、気体透過性の低い樹脂材料又は金属材料で形成された薄肉のシーリングプレート61Aと、金属材料からなる補強プレート61Bとから構成されている。ここで補強プレート61Bは、その中心に孔61Cを形成している。この蓋体61は、補強プレート61Bを口金41A側に、シーリングプレート61Aを補強プレート61Bに、それぞれを積層して設けている。バッフル71は、底部71Aと円筒部71Bからコップ形状に構成され、底部71Aには、多数の孔71Cを有している。この孔71Cは、吸着剤Aが通過しない大きさとしている。ここで、この種の置換用気体回収容器に適した吸着剤Aの形状と孔71Cとの関係について説明する。吸着剤Aとしては、球体又は円柱体に加工したものが適している。より具体的には、直径4〜6mm、又は直径6〜8mmの球体、又は直径5mmで長さ7mm程度の円柱体が適している。一方、孔71Cは、吸着剤Aとして直径4〜6mmの球体を用いる場合には、直径が3mm以下、吸着剤Aとして直径6〜8mmの球体を用いる場合には、直径が5mm以下、吸着剤Aとして直径5mmで長さ7mm程度の円柱体を用いる場合には、直径が4mm以下とすることが好ましい。また、孔71Cによる開口率は、60%以上とすることが好ましい。本実施例によれば、容器本体41は、アルミ製や銅製の金属材料で形成されているので、置換用気体を吸収するときに発生する熱を、容器本体41から外部に伝導することができる。また本実施例は、バッフル71によって、容器本体41の内部に充填している吸着剤Aを封止することで、吸着剤Aが振動等によって粉砕されることを防止することができる。また本実施例は、底部71Aに設けた孔71Cは、吸着剤Aが通過しない大きさとしているため、空気調和装置の冷凍サイクル内に吸着剤が混入することを防止することができる。また本実施例は、口金41Aの開口部の端面を平坦面に仕上げるとともに、補強プレート61Bを口金41A側に、シーリングプレート61Aを補強プレート61Bに、それぞれを積層して設けているため、蓋体61の確実な気密保持を行うことができるとともに、作業性にも優れている。
【0021】次に本実施例による置換用気体回収容器の製造方法について説明する。本実施例による置換用気体回収容器は、まず加熱した吸着剤Aを容器本体41Aに充填する。その後、バッフル71を凸部41Cに当接するまで口金41A内に挿入し、このバッフル71によって吸着剤Aを封止する。この状態で、容器本体41A内に、CO、O、N、又はHe等の希ガスからなる気体を容器本体41A内部に少量封入して蓋体61によって密封する。蓋体61は、口金41Aに、補強プレート61Bと、シーリングプレート61Aとを順に積層して接合する。なお、上記製造方法では、あらかじめ加熱した吸着剤Aを封入することとしているが、容器本体41A内に吸着剤Aを封入した後に、容器本体41Aを加熱することで、吸着剤Aを加熱してもよい。また、吸着剤Aは、このように密封前に加熱することで、吸着剤Aが既に吸着している気体を脱気しておくことが好ましいが、必ずしも吸着剤Aの加熱工程を有する必要はない。
【0022】図6及び図7は、本発明の他の実施例による置換用気体回収容器の概略構成を示す要部側断面図、及び同置換用気体回収容器に用いるバッフルの側面図である。なお、本実施例及び下記の実施例において、上記実施例と同一の部材には同一番号を付し、一部詳細な説明を省略する。本実施例による置換用気体回収容器は、図3から図5に示す実施例におけるバッフル71に代えてバッフル72を用いている。バッフル72は、籠状に形成された網目状のメッシュ部材72Aと円筒部72Bから構成されている。このメッシュ部材72Aの網目によって形成されている空隙は、吸着剤Aが通過しない大きさとしている。ここで、このメッシュ部材72Aの網目によって形成されている空隙の部材間の最小寸法は、吸着剤Aとして直径4〜6mmの球体を用いる場合には、3mm以下、吸着剤Aとして直径6〜8mmの球体を用いる場合には、5mm以下、吸着剤Aとして直径5mmで長さ7mm程度の円柱体を用いる場合には、4mm以下とすることが好ましい。また、メッシュ部材72Aの開口率は、60%以上とすることが好ましい。
【0023】図8は、本発明の他の実施例によるバッフルの側面図である。本実施例によるバッフル73は、バッフル72と比べて、メッシュ部材73Aの突出長さを長くしたものである。図示はしないが、メッシュ部材73Aの突出長さは、容器本体の吸着剤Aが充填されている部分の奥行き寸法に対して、1/3以上の長さとすることが好ましい。このように、メッシュ部材73Aの突出長さを長く形成することで、置換用気体の吸着速度を高めることができる。なお、メッシュ部材73Aの網目によって形成されている空隙については、メッシュ部材72Aと同様である。
【0024】図9及び図10は、それぞれ本発明の他の実施例による置換用気体回収容器の概略構成を示す要部側断面図である。図9及び図10に示すバッフル74、75は、合成繊維、天然繊維、又はスチールウールからなる繊維部材によって構成したものである。特に、バッフル74は、繊維部材を球体状に丸めて口金41Aの開口部から挿入したもので、口金41Aから更に奥の容器本体の拡大部に一部を臨ませて配設したものである。このようにバッフル74を口金41Aから更に奥の拡大部に一部を臨ませて配設することで、バッフル74の抜けを防止できるとともに、置換用気体の吸着剤Aへの入り口付近での導入通路を拡大することができる。また、バッフル75は、口金41Aよりも奥の容器本体の拡大部に配設したものである。このようにバッフル75を拡大部に配設することで、バッフル74の抜けをより防止できるとともに、置換用気体の吸着剤Aへの入り口付近での導入通路を更に拡大することができる。
【0025】図11は、本発明の他の実施例による置換用気体回収容器の外観斜視図である。本実施例による置換用気体回収容器は、容器本体42を変形可能なフィルムで構成したものである。この容器本体42には、口金42Aの開口部を閉塞する蓋体61が設けられるとともに、口金42Aの外周にはネジ溝42Bが形成されている。本実施例による容器本体42は、変形可能なフィルムの内表面又は外表面、若しくは内外表面にアルミ材等の金属フィルム層を有することが好ましい。このように金属フィルム層を有することで、強度が向上するだけでなく、置換用気体の吸着時に発生する熱を放熱しやすい。なお、本実施例のような容積が変動するとともに柔らかい容器本体42とする場合には、本実施例のようなネジ溝42Bを口金42Aに直接設けるよりも、口金42Aに対して回動可能に結合部材を別途設けるか、凹部の形成によるカップリング結合が好ましい。また、上記実施例では、蓋体61は、シーリングプレート61Aと、補強プレート61Bとで構成したが、金属材料単体、又は気体透過性の低い樹脂材料単体で構成してもよい。ここで、気体透過性の低い樹脂材料としては、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又はポリテトラフロロエチレン(PTFE)を用いることができる。
【0026】次に、上記空気調和装置の施工方法について説明する。なお、施工前の状態では、圧縮機1内や室外熱交換器3内等の室外機A側の配管内には冷媒ガスが充填されている。このとき、室外機Aには、運転時に必要な作動用冷媒ガスが充填されている。一方、室内熱交換器6等の室内機B側の配管と、接続配管9,10とは、特に密封状態にはなく、大気中に開放された状態である。
【0027】まず、室外機Aと室内機Bとを接続配管9,10にて接続する。この際、液側2方弁7と接続配管9との間は密閉せずに少し漏れるようにしておく。なお、液側2方弁7のネジ部7aとガス側3方弁8のネジ部8aとは閉状態としておく。次に、室外機Aのガス側3方弁8の冷媒チャージポート8bに、接続装置30を取り付ける。接続装置30を冷媒チャージポート8bに装着することによって、冷媒チャージポート8b内のバルブコアが、接続装置30内の弁棒によって押され、冷媒チャージポート8bは、開放状態となる。その後、置換用気体充填容器20を接続装置30に装着することによって、置換用気体充填容器20の開口部が、接続装置30内の刃によって開封する。その結果、置換用気体充填容器20内部の置換用気体は、接続装置30を介して冷媒チャージポート8bから、接続配管10、室内機B内に導入され、接続配管9に導かれる。この導入された置換用気体によって、接続配管9、10及び室内機B内部の空気は、導入された置換用気体とともに液側2方弁7のフレアー部の緩み部分から大気に放出される。ここで、液側2方弁7と接続配管9との間から気体が漏れ出すのを確認し、所定量の気体を放出した後に、この液側2方弁7と接続配管9との接合部を密閉する。放出する所定量の気体は、流量計で計測してもよいが、置換用気体充填容器20内の気体量を、室内機B内の配管や接続配管9,10内の容積量よりも若干多めにし、置換用気体充填容器20を1個で1台の空気調和機の施工ができるようにしておけば、特に流量計を使わずに漏れ出す気体の音が小さくなった時点で、液側2方弁7と接続配管9との接合部を密閉すればよい。
【0028】次に冷媒チャージポート8bから、置換用気体充填容器20を接続装置30に装着したままの状態で、接続装置30を取り外す。なお、空気調和機内部に不活性気体を導入するだけの場合は、この状態で液側2方弁7のネジ部7aとガス側3方弁8のネジ部8aとを開状態とし、室外機A内の冷媒を室内機B内に流通させる。導入した置換用気体を除去する場合には、この時点では液側2方弁7のネジ部7aとガス側3方弁8のネジ部8aとを開状態とせず、図2に示すような、置換用気体回収工程に進む。
【0029】置換用気体回収工程は、置換用気体吸収容器40を冷媒チャージポート8bに接続することで達成される。一つの方法としては、まず接続装置50の雌ネジ54に置換用気体回収容器40の雄ネジ41を螺合することで、接続装置50を置換用気体回収容器40に接続する。この状態で、置換用気体回収容器40は、接続装置50の刃57で開封される。そして、置換用気体回収容器40の先端に穴があいたのを確認して接続装置50の他端を冷媒チャージポート8bに接続する。このように、接続装置50を冷媒チャージポート8bに螺合することによって接続装置50の弁棒55が冷媒チャージポート8b内のバルブコア82を押す。そして、置換用気体回収容器40と冷媒チャージポート8bとが連通することによって、接続配管9,10や室内機Bの配管内の炭酸ガスは、冷媒チャージポート8bから置換用気体回収容器40内に導入される。このように、接続装置50と置換用気体回収容器40とを先に接続することで、冷媒チャージポート8bから置換用気体が流出し、その後大気中の空気が混入することを防止することができる。他の方法としては、まず接続装置50の他端を冷媒チャージポート8bに接続し、その後、接続装置50に置換用気体回収容器40を接続する。このように、接続装置50と冷媒チャージポート8bとを先に接続することで、接続装置50内にある空気を置換用気体によって押し出すことができる。この導入された置換用気体は、置換用気体回収容器40内部の吸着剤によって捕集される。その後、冷媒チャージポート部8bから接続装置50を取り外し、液側2方弁7のネジ部7aを完全に開放する。なお、冷媒チャージポート部8bからの接続装置50の取り外しは、置換用気体回収容器40を接続装置50に接続した状態で行う。最後に、ガス側3方弁8のネジ部8aも完全に開放することで空気調和装置の施工に関する据え付け作業が完了する。
【0030】上記の工程で施工を行うことで、冷凍サイクル内の空気を除去することができる。なお、本実施例では、通常の2方弁と3方弁を具備した室外機の施工方法について説明したが、3方弁と3方弁を具備した室外機にも適用できる。また必ずしも2方弁や3方弁に限られるものではなく、冷媒チャージポートを有する弁体を具備した空気調和機であればよい。
【0031】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、容器本体を熱伝導性のよい金属材料で形成しているので、置換用気体を吸着剤にて回収する際に発生する熱を容器外に伝導しやすく、発熱による吸着効果の低下を防止することができる。また本発明によれば、容器本体を変形可能なフィルムで形成しているので、容器本体内の負圧状態を確認することができ、携帯性にも優れている。また本発明によれば、変形可能なフィルムの表面に金属フィルム層を有することで、容器本体の強度が向上するだけでなく、熱伝導性を高めることができるので、発熱による吸着効果の低下を防止することができる。また本発明によれば、施工時に、容器本体内に収納している吸着剤が空気調和装置の冷凍サイクルに混入することを防止することができる。また本発明によれば、バッフルを口金内部に固定することで、バッフルの配設を容易に行うことができるとともに、吸着剤の充填空間を広くとることができる。また本発明によれば、バッフルを口金内部に設けた突起部によって固定することで、バッフルの固定を容易に行うことができる。また本発明によれば、複数の孔を設けたパンチングメタル、又は網目状のメッシュ部材で構成することで、容易にバッフルを構成することができる。また本発明によれば、繊維部材をバッフルとして用いることで、形状変化が可能であるため、開口部が小さくても圧縮して内部に挿入することができ、又広い空間に配置されたときには、形状が膨張拡大するために抜け出ることがない。また本発明によれば、バッフルを吸着剤よりも小さい孔又は空隙を有する部材で構成することで、吸着材が空気調和装置の冷凍サイクル中に混入することを防止でき、また開口率を60%以上とすることで、置換用気体の吸着効果を高めることができる。また本発明によれば、バッフルを筒状に構成し、容器本体内に延出させることで、置換用気体を容器内部に効果的に導くことができ、置換時間を短縮することができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成11年4月1日(1999.4.1)
【代理人】 【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善▲廣▼ (外2名)
【公開番号】 特開2000−292032(P2000−292032A)
【公開日】 平成12年10月20日(2000.10.20)
【出願番号】 特願平11−94577