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【発明の名称】 トルクを制御する方法および手段
【発明者】 【氏名】ペーター エフ.カイドウ

【氏名】ケイル ディー.ウェッセルズ

【要約】 【課題】起動時に圧縮機のトルクを制御する方法を提供する。

【解決手段】圧縮機10に電力を供給する前に、圧縮機10に供給される冷媒の量を吸入調整バルブ20によって抑制し、バンク10−2のみによって吸入側と吐出側とが接続されるように、ソレノイドバルブ18,19を開いて他のバンク10−1,10−3をバイパスする。圧縮機10に電力を供給し、圧縮機10が運転速度に到達した後で、ソレノイドバルブ18,19を閉じてバンク10−1,10−3のバイパスを遮断する。全バンク10−1,10−2,10−3によって吸入側と吐出側とが接続された状態で、圧縮機10に供給される冷媒の量を吸入調整バルブ20によって増加させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数のバンクを有する圧縮機を備えた冷凍システムにおいて、起動時に電力要求量を調節するためにトルクを制御する方法であって、前記圧縮機に電力を供給する前に、前記圧縮機に供給される冷媒の量を抑制し、少なくとも1つのバンクによって吸入側と吐出側とが常に接続されるように前記圧縮機のバンクの大多数をバイパスするステップと、前記圧縮機に電力を供給し、運転速度に到達した後で、前記の大多数のバンクのバイパスを全て遮断するステップと、全バンクによって吸入側と吐出側とが接続された状態で、前記圧縮機に供給される冷媒の量を増加させるステップと、を有することを特徴とするトルクを制御する方法。
【請求項2】前記の大多数のバンクのバイパスを全て遮断するステップは、圧縮機の電力要求量が減少するほどに吸入圧力が十分低下した後で行うことを特徴とする請求項1記載のトルクを制御する方法。
【請求項3】冷凍システムにおいて、起動時に電力要求量を調整するためにトルクを制御する手段であって、複数のバンクを有する圧縮機と、前記圧縮機を駆動する手段と、冷媒を前記圧縮機に供給するための吸入ラインと、圧縮された冷媒を前記圧縮機から前記冷凍システムに移送するための吐出ラインと、抑制された量の冷媒が前記圧縮機に供給されるように前記圧縮機に供給される冷媒の量を制御する手段と、少なくとも1つのバンクによって前記吸入ラインと前記吐出ラインとが常に接続されるように、前記圧縮機の前記バンクの大多数を選択的にバイパスする手段と、を備えていることを特徴とするトルクを制御する手段。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、起動時に圧縮機のトルクを制御する方法および手段に関する。
【0002】
【従来の技術】圧縮機の起動時は、2つの動的状態からなる過渡状態となっている。第1の状態、つまりクランクの加速時は、停止状態から運転速度までの遷移過程である。圧縮機を正常に起動する、すなわち停止状態から運転速度まで速度を上昇させるためには、モータから得られるトルクがトルク要求量と一致するか、もしくはこれよりも大きくなければならない。トルク要求量は、シリンダ圧力に起因するトルクおよび加速に必要なトルクからなる。クランク軸の最初の回転時には、モータは、クランク軸全体の回転により生じる最大トルクを上回り、かつクランクを加速するのに十分なトルク容量を残していなければならない。圧縮機を横断する圧力が均等にされた状態で起動した場合、シリンダ圧力によるトルクは最初は0フートポンドである。圧縮機の回転数の上昇時には、トルク負荷は増大する。しかし、クランクの速度が運転速度に近くなると、圧縮機の駆動ギアおよび回転子の慣性によって最大トルクの変化量は効果的に減少する。吸入遮断によるアンロードを行う場合、シリンダ内の圧力が著しく変化するため、クランクが受ける最大トルク値は大きくなる。クランクの速度が完全に上昇していないため、このトルク要求量を相殺するほどにシステムの慣性力は大きくなっていない。電源を抑制する場合、この過度なトルク要求量は、例えば高い大気温度に起因する高圧力状態で克服するには大きすぎる。第2の状態には、運転速度に到達した時点からシステムの通常運転時の圧力に到達する時点までの遷移過程が含まれる。圧縮機が運転速度に到達した後で、システムの低圧側、すなわち圧縮機の吸入側から膨張器までが圧力低下(ポンプダウン)しなければならない。
【0003】発電器によって動力が供給される輸送冷凍システムといった冷凍システムでは、高い圧力/高い大気温度で圧縮機を起動する場合、発電機に高負荷がかかる。寸法上の制約のため、発電機の出力は制限され、厳しい状態では圧縮機の最大要求量よりも低くなる。圧縮機の要求量は圧縮機容量装置によって制御することができる。該容量装置は、一般的に、圧縮機のシリンダへの吸入ガスの流入を阻止したり(吸入遮断(suction cut-off))、もしくは吐出ガスを再循環してシリンダヘッドの吸入側に戻したり(高温ガスバイパス(hot gas bypass))するものである。圧縮機全体からの吐出ガスを吸入側にバイパスすることによって、起動時の最初の状態での過度なトルク変動は抑制されるが、システムの低圧側がポンプダウンされる起動時の第2の状態にすることが不可能となる。さらに詳しくは、圧縮機全体を高温ガスバイパスすることによって圧縮されたガスがシステムに移送されず、従って、システムがポンプダウンされない。本発明は、吸入ラインの絞りと組み合わせて高温ガスバイパスを利用することによって、最初のクランク加速時からポンプダウン時までの圧縮機のトルク要求量を最小にする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、起動時の圧縮機のトルクを抑制することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】通常、起動時には、圧縮機のシリンダの少なくとも1つのバンクが、気体を圧縮し、圧縮された気体をシステムに送ることが可能となっており、他のバンクの少なくとも大多数は高温ガスバイパスされている。動作中の全てのバンクにより圧縮されて移送される気体の量が制御可能となるように圧縮機全体の吸入調整が行われ、これによって圧縮機の電力要求量が制御される。
【0006】
【発明の実施の形態】図で、符号100は、例えば輸送冷凍システムといった冷凍システム全体を示している。冷凍システム100は閉じた冷凍回路を備えており、該冷凍回路は、圧縮機10,吐出ライン12,凝縮器60,膨張器70,蒸発器80および吸入ライン14を直列に備えている。3つのバンク10−1,10−2,10−3が図示されているように、圧縮機10は複数のバンクを備えている。
【0007】圧縮機10はモータ40によって駆動され、モータ40は、発電器といった電源50によって駆動される。マイクロプロセッサ90は、感知された大気温度、凝縮器に入る空気の温度、空間温度、空間設定値、といった複数の入力を受け取り、該マイクロプロセッサ90によって冷凍システム100は制御される。マイクロプロセッサ90は、感知された入力に応答して、圧縮機10およびモータ40を制御し、かつ電源50を制御することが可能となっている。ここまでに開示された冷凍システムおよび動作は、ほぼ一般的なものである。
【0008】吸入ライン14は流路14−1,14−2,14−3に分岐しており、これらの流路14−1,14−2,14−3はバンク10−1,10−2,10−3にそれぞれ接続されている。チェックバルブ16を備えた吐出流路12−1、吐出流路12−2、チェックバルブ17を備えた吐出流路12−3、によって、バンク10−1,10−2,10−3がそれぞれ吐出ライン12に接続されている。バンク10−1はバイパス10−1aを備えており、バイパス10−1aは、流路12−1を流路14−1に接続しているとともに、マイクロプロセッサ90によって制御されるオン−オフソレノイドバルブ18を備えている。同様に、バンク10−3はバイパス10−3aを備えており、バイパス10−3aは流路12−3を流路14−3に接続しているとともに、マイクロプロセッサ90によって制御されるオン−オフソレノイドバルブ19を備えている。吸入調整バルブ20は、吸入ライン14内の流れを調整するものであり、マイクロプロセッサ90によって制御される。吸入調整バルブ20は、閉状態と全開状態の間で連続的に可変なものであり、図示されたように、パルス速度および開状態/閉状態の持続時間を可変としたパルス化したソレノイドバルブとすることも可能である。
【0009】冷凍システムの停止時には、通常、停止作業の一部としてシステム内の圧力が均等化される。電源の故障によってシステムが突然に停止した場合は、時間遅れがあり、圧力が均等となるように迅速に再起動することは不可能である。圧力の均等化が望まれる理由は、圧縮機の吐出バルブに作用するシステム圧力および吐出バルブ構造の付勢力に抵抗して吐出バルブを開く必要があるためである。上述したように、圧縮機容量は、通常運転時のみならず起動時にも制御されるが、吸入調整および高温ガスバイパスは、連続的には圧縮機に利用されない。
【0010】冷凍システム100が停止しており、かつ圧力が圧縮機10を横断して均等となっている場合、マイクロプロセッサ90への空間入力に応答して、もしくは冷凍システム100の運転が開始されることによって、バルブ18,19が開かれるとともに吸入調整バルブ20が抑制されて開かれた状態で圧縮機10が起動される。圧縮機電力が許容可能な限界値以下に抑制されるほどに、圧縮機10が受けるシステム圧力が低下するまで、バルブ18,19は開かれないことは認識されるべきである。このことは、圧縮機10が3つのバンク、6つのシリンダとともに動作しており、システム圧力が高くなっている場合には、圧縮機10に過負荷がかかるほどの量の冷媒が圧縮機10と膨張器70との間に存在するためである。バルブ18,19が開いた状態では、バンク10−1,10−3を横断する圧力差は公称的に零であり、仕事/圧縮は行われないが、摩擦による冷媒の加熱および流量損失が伴う。バンク10−2によって、吸入調整バルブ20の開度およびバンク10−2の容量の可能な限り、冷媒ガスが吸入ライン14から流路14−2を通して吸入され、圧縮される。圧縮された冷媒ガスは、流路12−2を介して吐出ライン12に流れ、続いて凝縮器60等に流れる。バンク10−2によってガスが吸入ライン14から取り入れられ、吐出ライン12に流出されるため、吐出圧力の上昇のみならず吸入圧力の低下に起因して、圧縮機10を横断する圧力差が増大し始める。モータ40の速度上昇時、すなわち最初の、クランク軸の回転数の上昇時に、圧縮機電力が抑制されるほどに吸入圧力が低くなっている場合、バルブ18,19は閉じられるが吸入調整バルブ20はそのままの状態にされる。そうでない場合は、吸入圧力が十分に低下するまで、バルブ18,19が開いた状態で圧縮機10の運転が続けられる。従って、バルブ18,19が閉じた状態では、吸入調整バルブ20により十分に流量が制限された場合にバンク10−2のみによって圧縮される量と同量のガスが、バンク10−1,10−2,10−3によって一括して圧縮される。バンク10−2の仕事量が小さいため、バルブ18,19を閉じていることによって、トルク要求量の変化は大きくはない。バンク10−1,10−2,10−3が動作している状態で、吸入調整バルブ20によって、圧縮機10に供給されて圧縮された後システムに供給される冷媒の量が徐々に増加される。より多量の冷媒が圧縮されてシステムに流されるに従って、通常運転時の圧力に到達する。吸入調整バルブ20は、複数の状態に対応して制御されることが可能となっている。図示されているように、モータ40の電流は、マイクロプロセッサ90に接続された電流センサ42によって検出される。マイクロプロセッサ90により吸入調整バルブ20が制御されることによって起動時に圧縮機10に供給される冷媒量が抑制され、これによってモータ40に流れる電流が抑制される。モータ40は、電源50から電力が供給され、圧縮機10を駆動する。電力要求量が著しく増大するのを防ぐために、吸入調整バルブ20は、圧力と電流との相関がある部分の検出圧力に基づいて制御されることも可能であり、もしくは時間に関するシーケンスに従って制御されることも可能である。
【0011】以上より、1つのバンクのみによりガスの圧縮が行われており、かつガスの供給に吸入調整を行うことによってガスが抑制された状態で、圧縮機を起動することによって、完全に負荷をかけて起動する場合の電力は必要ではなくなることは明らかである。吸入圧力およびバルブ部材の付勢力と公称的に等しい圧力で吐出バルブが開くように他のバンクは高温気体バイパスされている。吸入調整されながら全バンクによって気体が圧縮されるのは、圧縮機の速度上昇時のみである。全バンクにより圧縮が行われることによって、吸入調整は取り除かれる。
【出願人】 【識別番号】591003493
【氏名又は名称】キャリア コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CARRIER CORPORATION
【出願日】 平成12年3月10日(2000.3.10)
【代理人】 【識別番号】100062199
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 富士弥 (外2名)
【公開番号】 特開2000−292018(P2000−292018A)
【公開日】 平成12年10月20日(2000.10.20)
【出願番号】 特願2000−66162(P2000−66162)