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【発明の名称】 エンジンヒートポンプの制御方法
【発明者】 【氏名】井上 雅樹

【氏名】井村 武生

【氏名】大田 良和

【氏名】杉森 啓二

【要約】 【課題】室内熱交換器側から補助熱吸収器に流入する冷媒の圧力が大きい場合には圧力の損失が発生し、補助熱吸収器に流入する冷媒の圧力が低すぎる場合には、コンプレッサの負荷が高くなるという問題があった。

【解決手段】補助熱吸収器8にバイパス回路80を設け、設定値以上の圧力検出時には冷媒がバイパス回路を通過するよう制御した。また、補助熱吸収器8に流入する冷媒圧力が設定値以下になれば、過冷却器6より液冷媒を補助熱吸収器8に供給し、コンプレッサ2の吐出冷媒の温度が設定値以上になれば、過冷却器6より液冷媒を補助熱吸収器8に供給するよう構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンの廃熱を吸収する補助熱吸収器を四方弁からアキュムレータに至る回路に介装した構成のエンジンヒートポンプにおいて、該補助熱吸収器にバイパス回路を設けるとともに、補助熱吸収器に流入する冷媒圧力が設定値より高くなった場合には、冷媒がバイパス回路を通過するよう制御したことを特徴とするエンジンヒートポンプの制御方法。
【請求項2】 エンジンの廃熱を吸収する補助熱吸収器を四方弁からアキュムレータに至る回路に介装するとともに、過冷却器の戻り回路を該補助熱吸収器に至る回路に連通する構成のエンジンヒートポンプにおいて、該補助熱吸収器に流入する冷媒圧力が設定値より低くなった場合には、該過冷却器の戻り回路を介して液相冷媒が補助熱吸収器に流入するよう制御したことを特徴とするエンジンヒートポンプの制御方法。
【請求項3】 エンジンの廃熱を吸収する補助熱吸収器を四方弁からアキュムレータに至る回路に介装するとともに、過冷却器の戻り回路を該補助熱吸収器に至る回路に連通する構成のエンジンヒートポンプにおいて、コンプレッサから圧送される冷媒温度が設定値より高くなった場合には、該過冷却器の戻り回路を介して液相冷媒が補助熱吸収器に流入するよう制御したことを特徴とするエンジンヒートポンプの制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンヒートポンプの制御方法に関するもので、特に、エンジンの廃熱を利用したヒートポンプの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、エンジンによりコンプレッサを駆動する構成の冷暖房システムが公知となっており、また、エンジンを冷却するための冷却回路を具備する構成においては、エンジンの熱を吸収して温度上昇した冷却水を、ヒートポンプ回路に設けた補助熱吸収器に供給し、アキュムレータに送られる冷媒との間で熱交換を行うよう構成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術において、室内熱交換器側から補助熱吸収器に流入する冷媒の圧力が高い場合には、本補助熱吸収器で冷媒が堰止められることになるので、室内機からの冷媒の戻り量が少なくなり、その結果、循環冷媒量不足が発生する。また、補助熱吸収器に流入する冷媒の圧力が低すぎる場合には、コンプレッサに吸入される冷媒圧力が充分でなく、コンプレッサの負荷が高くなるという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上が本発明の解決する課題であり、次に課題を解決するための手段を説明する。即ち、エンジンの廃熱を吸収する補助熱吸収器を四方弁からアキュムレータに至る回路に介装した構成のエンジンヒートポンプにおいて、該補助熱吸収器にバイパス回路を設けるとともに、補助熱吸収器に流入する冷媒圧力が設定値より高くなった場合には、冷媒がバイパス回路を通過するよう制御した。
【0005】また、エンジンの廃熱を吸収する補助熱吸収器を四方弁からアキュムレータに至る回路に介装するとともに、過冷却器の戻り回路を該補助熱吸収器に至る回路に連通する構成のエンジンヒートポンプにおいて、該補助熱吸収器に流入する冷媒圧力が設定値より低くなった場合には、該過冷却器の戻り回路を介して液相冷媒が補助熱吸収器に流入するよう制御した。
【0006】また、エンジンの廃熱を吸収する補助熱吸収器を四方弁からアキュムレータに至る回路に介装するとともに、過冷却器の戻り回路を該補助熱吸収器に至る回路に連通する構成のエンジンヒートポンプにおいて、コンプレッサから圧送される冷媒温度が設定値より高くなった場合には、該過冷却器の戻り回路を介して液相冷媒が補助熱吸収器に流入するよう制御した。
【0007】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を添付の図面を用いて説明する。図1は冷却サイクルを示す回路図である。
【0008】図1において、本発明のエンジンヒートポンプに係る冷却サイクルについて説明する。圧縮器を構成するコンプレッサ2(本実施例においてはマルチコンプレッサとしている。)により冷媒を圧縮して、高温高圧過飽和蒸気の冷媒として、四方弁3を経由して、室外熱交換器4A・4Bに圧送する。該室外熱交換器4A・4Bにおいて、冷却フィンを通過する間に、冷却ファン41の冷却風により冷却されて、高温高圧過熱状態の冷媒が、高圧液相冷媒に変換される。
【0009】また、コンプレッサ2はエンジン1により駆動する構成としている。そして、エンジン1には、該エンジン1の熱を吸収して温度上昇した冷却水をラジエータ11に案内し、ラジエータ11において放熱した後、再びエンジン1へ戻す冷却回路10を構成して、該エンジン1の冷却を行うようにしている。また、冷却回路10には後述する補助熱吸収器8へと至る補助回路12が並列接続されている。
【0010】室外熱交換器4A・4Bにおいて、高圧液相冷媒に変換された冷媒は、レシーバ5を経由して室内機7へと送られるが、その際、レシーバ5の内部に配置された過冷却器6の伝熱管60内の冷媒により冷却されて、通常型冷却回路の場合よりも更に低温の状態とされるのである。
【0011】また、冷媒を過冷却器6により低温とすることから、冷媒が室内用パイプ75を通過する間に発生する発泡を抑制することが出来るのである。故に、室内用パイプ75、及び戻り配管76に従来よりも小径のパイプを使用することが可能となり、小径である為に曲げも簡単であり、配管の自由度を向上させることが出来るのである。
【0012】そして、室内用パイプ75を通過した冷媒が室内機7の室内熱交換器70において室内空気から熱を吸収して蒸発し室内空気を冷却する。更に、クーラファン72の送風により室内に冷房効果をもたらすのである。そして、室内熱交換器70において気化した冷媒が戻り配管76を通過して、四方弁3を経由した後、補助熱吸収器8、アキュムレータ9等を介してコンプレッサ2に戻り、上述したサイクルを繰り返すのである。
【0013】以上の過冷却サイクルを含めた暖冷房システムは、室内熱交換器70、クーラファン72等が室内機7に内在されて室内に配置され、その他のコンプレッサ2、四方弁3、補助熱吸収器8、アキュムレータ9、室外熱交換器4、レシーバ5等は、室外機として全て、屋外や屋上に配置されているのである。
【0014】上述した冷却サイクルにおいては、室外熱交換器4(4A・4B)とレシーバ6の間に膨張弁45・45・・・を配置することにより、室外熱交換器4から冷媒が無制限にレシーバ5へ流出するのに抵抗を与えることとなり、室外熱交換器4の内部において、高圧液相冷媒を適度に滞留させることができ、室外熱交換器4の冷却効果を全面にわたり十分に作用させることが出来る効果が作用し、膨張弁45の無い場合より、過冷却器6での冷媒間同士の熱交換による冷却効果を向上させることが出来るのである。
【0015】次に過冷却のサイクルの構成について説明する。レシーバ5は通常の冷却サイクルにおいては、液相と気相の両方が混在する冷媒の中から、液相状態の冷媒のみを分離して、この液相の冷媒を室内用パイプ75から室内熱交換器70に供給する為に介装されているものである。そして、図1において過冷却器6は、レシーバ5内に伝熱管60を設けるとともに、該レシーバ5のタンク下部に設けた過冷却用のバイパス回路61に該タンク内の冷媒を案内し、該バイパス冷媒を伝熱管60に通過させて、コンプレッサ2への戻り回路62に送るよう構成されている。
【0016】そして、室外熱交換器4から膨張弁45を経て流入する高圧の液相冷媒は、レシーバ5の上部のレシーバ流入管51から流入し、レシーバ5の下部のレシーバ流出管52の端部から流出するので、該レシーバ流入管51からレシーバ流出管52への冷媒の流れと、過冷却用バイパス61から伝熱管60を経て戻りパイプ62に至る過冷却のバイパス回路とは、対向流となるのである。この両冷媒の流れが対向流であることにより、更に過冷却の効果が増大するのである。また、伝熱管60はコイル状に巻いて構成しており、コイル状に形成した伝熱管60をレシーバ5の内周に沿ったような大径に構成し、その内部にレシーバ流入管51とレシーバ流出管52が配置されるような構成としているのである。この構成によっても、過冷却の効果が増大している。
【0017】次に本発明に係る補助熱吸収器8周辺の回路構成について説明する。図1に示すように四方弁3からアキュムレータ9へと至る回路には補助熱吸収器8が介装されている。一方、前述の如くエンジン1の冷却回路10には補助回路12が並列接続されており、エンジン1を冷却して温度上昇した冷却水がモータ弁13を経由して補助熱吸収器8に送られ、エンジン1の廃熱を熱交換した後、再び冷却回路10に戻るよう構成されている。
【0018】また、室内熱交換器70において室内を冷却して気化した冷媒は、戻り配管76を通ってアキュムレータ9へと戻されるが、室内熱交換器70から湿り度の大きい蒸気が送られる場合があり、この際、前記補助熱吸収器8においてエンジン1の廃熱を吸収し冷媒を蒸発させるよう構成しているのである。この補助熱吸収器8による蒸発作用により、アキュムレータ9の液相分離作用と併せて、コンプレッサ2に吸入される冷媒から液粒を確実に取り除くことが可能となるのである。
【0019】また、室内熱交換器70から補助熱吸収器8へと送られる蒸気冷媒の圧力が高い場合には、補助熱吸収器8で冷媒が堰止められることになるので、室内機7からの冷媒の戻り量が少なくなり、その結果、循環冷媒量不足が発生する。そこで本発明においては、補助熱吸収器8を迂回してアキュムレータ9へ至るバイパス回路80を設けている。また、補助熱吸収器8の入口側には圧力センサ82が配設されており、バイパス回路80には電磁バルブ81が介装されている。これにより、補助熱吸収器8に導入される蒸気冷媒の圧力が設定以上の値になった場合には、電磁バルブ81を開放して蒸気冷媒を迂回させるよう構成しているのである。
【0020】一方、前述した過冷却器6の伝熱管60は戻り回路62に連通しており、該戻り回路62により戻される冷媒が四方弁3から補助熱吸収器8へと至る回路に流入するよう構成されている。通常の過冷却サイクルにおいては過冷却器6においてレシーバ流入管51からレシーバ流入管52へと至る冷媒を過冷却することにより、伝熱管60内を通過する冷媒は熱を吸収して気化し、気相冷媒として補助熱吸収器8側へと戻される。
【0021】また、伝熱管60に冷媒を供給するバイパス回路61には膨張弁61aが介装されており、通常、伝熱管60を過冷却器として使用する場合には、膨張弁61aの開度を制御して、伝熱管60内を流れる冷媒が気化するように伝熱管60へ流入する冷媒圧力を制御しているが、この膨張弁61aの開度を大きくして開放することにより、伝熱管60を経て戻り回路62に冷媒を液相状態で戻すこととが出来る。この作用は以下において2つの効果を発揮する。
【0022】ます、第一の効果について説明する。前述の如く、室内熱交換器70からアキュムレータ9側へと流れる蒸気冷媒は、補助熱吸収器8でエンジン1の廃熱を利用して蒸発・膨張するが、補助熱吸収器8に導入される蒸気冷媒の圧力が低い場合には、補助熱吸収器8を利用してもコンプレッサ2に吸入される冷媒圧力が低下するためコンプレッサ2の負荷が大きくなる。そこで、前記圧力センサ82により検出した圧力が設定以下となった場合には、前記過冷却器6のバイパス回路61に設けられた膨張弁61aを開放するのである。
【0023】これにより、レシーバ5から液相状態の冷媒が戻り回路62を経由して補助熱吸収器8へと至る回路に流入される。そして、液相状態の冷媒が補助熱吸収器8において蒸発し、室内熱交換器70から送られる蒸気冷媒と併せて圧力を高めた上でコンプレッサ2に吸入されるのである。つまり、補助熱吸収器8に導入される蒸気冷媒の圧力が低くても、過冷却器6の戻り回路62とエンジン1の廃熱を利用してコンプレッサ2に吸入される冷媒圧力を高めることができ、コンプレッサ2の負荷軽減が図れるのである。
【0024】次に第二の効果について説明する。前述の如く、コンプレッサ2は室内熱交換器70から戻された気相冷媒を吸入し、圧縮した高温高圧の冷媒を室外熱交換器4側へ圧送する。ところが、この高温高圧の冷媒の温度が高くなりすぎると、室外熱交換器4における負荷が増大し、凝縮効果が充分に得られない場合がある。また、前述の如く室内熱交換器70から戻る蒸気冷媒は補助熱吸収器8においてエンジン1の廃熱を利用して蒸発するが、蒸気冷媒に含まれる液粒が少ない場合には、エンジン1の廃熱を気相状態の冷媒が吸収し温度上昇することとなる。これによりコンプレッサ2に吸入される気相冷媒の温度も高くなる。
【0025】そこで、コンプレッサ2から圧送される冷媒の温度を温度センサ21において検出し、その温度が設定以上に高くなった場合には、前記伝熱管60に至るバイパス回路61の膨張弁61aを開放するのである。これによりレシーバ5内の冷媒が液相状態で戻り回路62を経て補助熱吸収器8へと至る回路に流入する。このため、補助熱吸収器8においてエンジン1の廃熱は、この液相冷媒を蒸発させるエネルギーに利用されるため、コンプレッサ2に吸入される冷媒の温度上昇を抑えることができるのである。
【0026】
【発明の効果】本発明のエンジンヒートポンプは以上の如く構成したので、以下のような効果を奏するものである。即ち、エンジンの廃熱を吸収する補助熱吸収器を四方弁からアキュムレータに至る回路に介装した構成のエンジンヒートポンプにおいて、該補助熱吸収器にバイパス回路を設けるとともに、補助熱吸収器に流入する冷媒圧力が設定値より高くなった場合には、冷媒がバイパス回路を通過するよう制御したので、冷媒の圧力損失を回避することが可能となった。
【0027】また、エンジンの廃熱を吸収する補助熱吸収器を四方弁からアキュムレータに至る回路に介装するとともに、過冷却器の戻り回路を該補助熱吸収器に至る回路に連通する構成のエンジンヒートポンプにおいて、該補助熱吸収器に流入する冷媒圧力が設定値より低くなった場合には、該過冷却器の戻り回路を介して液相冷媒が補助熱吸収器に流入するよう制御したので、コンプレッサに吸入される冷媒圧力を高く維持することが可能となり、コンプレッサの負荷軽減が実現した。
【0028】また、エンジンの廃熱を吸収する補助熱吸収器を四方弁からアキュムレータに至る回路に介装するとともに、過冷却器の戻り回路を該補助熱吸収器に至る回路に連通する構成のエンジンヒートポンプにおいて、コンプレッサから圧送される冷媒温度が設定値より高くなった場合には、該過冷却器の戻り回路を介して液相冷媒が補助熱吸収器に流入するよう制御したので、コンプレッサから圧送される冷媒温度を制御することが可能となり、室外熱交換器の負荷軽減を図ることが可能となった。
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーディーゼル株式会社
【出願日】 平成11年3月29日(1999.3.29)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2000−283598(P2000−283598A)
【公開日】 平成12年10月13日(2000.10.13)
【出願番号】 特願平11−86454