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【発明の名称】 空気調和機
【発明者】 【氏名】岡 恭彦

【氏名】北澤 昌昭

【氏名】平良 繁治

【氏名】田中 順一郎

【要約】 【課題】複数の冷媒経路における2相流の成分偏在に起因して生じる種々の弊害を確実に回避し、システム性能の最適化を図るとともに圧縮機の信頼性を確保することが可能な空気調和機を提供する。

【解決手段】冷媒回路の蒸発器として機能する室内熱交換器1に、冷媒を分流して流通させる第1分流冷媒経路21と第2分流冷媒経路22とを設ける。各分流冷媒経路21、22を流通した冷媒を合流させる合流器12と、合流した冷媒を室内熱交換器1内に流通させる単一の合流冷媒経路24、または室内熱交換器1外に流通させる単一の合流冷媒配管25を設ける。蒸発器として機能する場合は、上記合流冷媒経路24または上記合流冷媒配管25から流出した冷媒が圧縮機3に返流される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機(3)を有する冷媒回路の蒸発器(1)に、冷媒を分流して流通させる複数の分流冷媒経路(21)(22)を設けた空気調和機において、上記各分流冷媒経路(21)(22)を流通した冷媒を合流させる合流器(12)と、合流した冷媒を上記蒸発器(1)内をさらに流通させる単一の合流冷媒経路(24)とを設け、この合流冷媒経路(24)から流出した冷媒を上記圧縮機(3)に返流させるようにしたことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】 上記合流冷媒経路(24)の流通断面積を、上記分流冷媒経路(21)(22)の流通断面積よりも大としていることを特徴とする請求項1の空気調和機。
【請求項3】 圧縮機(3)を有する冷媒回路の蒸発器(1)に、冷媒を分流して流通させる複数の分流冷媒経路(21)(22)を設けた空気調和機において、上記各分流冷媒経路(21)(22)を流通した冷媒を合流させる合流器(12)と、合流した冷媒を流通させる合流冷媒配管(25)とを設けると共に、この合流冷媒配管(25)を流通空気と熱交換可能に配置し、合流冷媒配管(25)から流出した冷媒を上記圧縮機(3)に返流させるようにしたことを特徴とする空気調和機。
【請求項4】 上記合流冷媒配管(25)を蒸発器(1)の風上側に配置することを特徴とする請求項3の空気調和機。
【請求項5】 上記蒸発器(1)の入口は、上記合流冷媒配管(25)と熱交換した空気が流通しない位置に配置することを特徴とする請求項4の空気調和機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、冷媒を分流して流通させる複数の分流冷媒経路を有する蒸発器を備えた空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】空気調和機において、熱交換器内に流通する冷媒を複数の分流冷媒経路に分流させ、これによって熱交換能力を向上させることが従来なされている。このような空気調和機の冷媒回路は、圧縮機、室外熱交換器、電動膨張弁、室内熱交換器を冷媒配管で順次に接続して構成されている。そして四路切換弁で冷媒の流通方向を切り替えることにより、冷房運転時は室内熱交換器を蒸発器として機能させるとともに室外熱交換器を凝縮器として機能させ、暖房運転時は室内熱交換器を凝縮器として機能させるとともに室外熱交換器を蒸発器として機能させるようになっている。
【0003】図6は、上記空気調和機の室内熱交換器を示す側面図である。この室内熱交換器は、前面側熱交換器32と背面側熱交換器33とを逆V字状に連結して構成されている。そして上記電動膨張弁と接続された液管38の端部に第1分岐管34が接続され、この第1分岐管34から冷媒経路が二手に分岐し、背面側熱交換器33及び前面側熱交換器32内で第1分流冷媒経路36と第2分流冷媒経路37との2つの冷媒経路を形成している。なお同図では、図の煩雑化を回避して理解を容易とするため上記各分流冷媒経路36、37の中間部A−Aを省略して示しているが、この中間部A−Aは互いに接続されて成るものである。さらにこれらの分流冷媒経路36、37は、上記前面側熱交換器32を出て、第2分岐管35で合流する。そしてこの第2分岐管35に、上記圧縮機と接続されたガス管39が接続されている。
【0004】上記空気調和機では、上記室内熱交換器が蒸発器として機能する冷房運転時には、電動膨張弁による減圧で液成分とガス成分とを含む2相流となった冷媒が、図6の実線矢印Eのように流通する。すなわち、まず上記液管38から第1分岐管34に流入するとともに、この第1分岐管34で第1分流冷媒経路36と第2分流冷媒経路37とに分流する。そして各分流冷媒経路36、37を流通した冷媒は第2分岐管35を介して合流し、ガス管39を通じて圧縮機に返流されるということである。そして上記2相流となった冷媒の乾き度及び過熱度は、システム性能の最適化及び圧縮機の信頼性確保という観点から、きわめて重要な要因である。そのため通常は、これらの値が一定値に維持されるよう上記電動膨張弁の制御等を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで上記第1分岐管34は、その入口側(液管38側)が斜め横方向に設けられている。そのため2相流はこの入口側で重力の影響を受けて、その液成分とガス成分との分布に偏在が生じることになる。重力によるこの偏在は、2相流の流通速度が小さいほど顕著なものとなる。そして偏在を生じたまま冷媒は上記各分流冷媒経路36、37に流入するから、各分流冷媒経路36、37の乾き度及び過熱度が互いに異なったものとなる。従って電動膨張弁による制御を行っているにもかかわらず、例えば第1分流冷媒経路37の乾き度が過小になる一方、第2分流冷媒経路36の過熱度が過大になるという不具合が生じる。そしてこのように第1分流冷媒経路37の乾き度が過小になると、圧縮機に液冷媒が返流されるなどして信頼性が損なわれるという問題を生じ、また第2分流冷媒経路36で過熱度が過大になると、システム性能が低下するという問題を生じることになる。さらにこのような場合、第2分流冷媒経路37では空気が十分に冷却される一方、第1分流冷媒経路36では十分な空気の冷却がなされない。そのため十分に冷却された空気によって低温となった空気調和機内の構造体に、ほとんど除湿されていない空気が吹き付けられ、これによって吹出口に結露を生じて水漏れ等の不具合を生じるという問題もあった。
【0006】上記のような問題を解決するため、各分流冷媒経路36、37を流通する冷媒に液成分とガス成分との偏流が生じるのを回避するさまざまな工夫が従来なされてきた。例えば、ノズルやキャピラリ等の絞り機能を有する分流器を用いる手法が挙げられる。この手法は、絞り機能によって分流前の冷媒流速を高くし、これによって上記両成分が混合されたままで分流させようとするものである。しかしながらこの手法によれば、上記絞り機能による圧力変化で耳障りな冷媒通過音が発生する。そのため防振パテ等による対策が必要になり、これがコストアップの一因となるという問題があった。また防振構造によってケーシング内のスペースが占有され、搭載する熱交換器を小形のものにせざるを得ないという問題もあった。さらに電動膨張弁で制御可能な減圧量が少なくなるので、システム性能を最適に制御するのが困難になるという問題もあった。
【0007】次に、コストを重視して通常の分岐管を用いるとともに、圧縮機の回転数を一定値以下に下げないようにして、偏流が問題となるほどに冷媒循環量が減少するのを回避する手法が挙げられる。しかしながらこの手法によれば、常に一定以上の圧縮能力で圧縮機を運転しなければならないことになり、省エネルギーの要請に応えるのが困難になるという問題があった。さらに、分岐管の入口側を垂直に配置して、2相流に対する重力の影響を排除するという手法が挙げられる。ところがこの手法では、垂直からの偏差にバラツキが生じるのを回避するため、特別に配管固定部材が必要になる。そのためこの配管固定部材がコストアップ及びケーシング内におけるスペース減少の一因になるという問題があった。
【0008】この発明は、上記従来の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、複数の冷媒経路における2相流の成分偏在に起因して生じる種々の弊害を確実に回避し、システム性能の最適化を図るとともに圧縮機の信頼性を確保することが可能な空気調和機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで請求項1の空気調和機は、圧縮機3を有する冷媒回路の蒸発器1に、冷媒を分流して流通させる複数の分流冷媒経路21、22を設けた空気調和機において、上記各分流冷媒経路21、22を流通した冷媒を合流させる合流器12と、合流した冷媒を上記蒸発器1内をさらに流通させる単一の合流冷媒経路24とを設け、この合流冷媒経路24から流出した冷媒を上記圧縮機3に返流させるようにしたことを特徴としている。
【0010】上記請求項1の空気調和機では、蒸発器1の出口側で各冷媒経路21、22に分流した冷媒を合流させ、合流した冷媒を合流冷媒経路24をさらに通過させた後、圧縮機3に返流させている。従って上記各分流冷媒経路21、22において偏流が生じたとしても、上記合流冷媒経路24で再蒸発され、その影響を軽減できる。そのため圧縮機3に返流される冷媒の乾き度を適切なものとすることも可能となる。
【0011】また請求項2の空気調和機は、上記合流冷媒経路24の流通断面積を、上記分流冷媒経路21、22の流通断面積よりも大としていることを特徴としている。
【0012】上記請求項2の空気調和機では、合流冷媒経路24での圧力損失を抑制することが可能となる。
【0013】さらに請求項3の空気調和機は、圧縮機3を有する冷媒回路の蒸発器1に、冷媒を分流して流通させる複数の分流冷媒経路21、22を設けた空気調和機において、上記各分流冷媒経路21、22を流通した冷媒を合流させる合流器12と、合流した冷媒を流通させる合流冷媒配管25とを設けると共に、この合流冷媒配管25を流通空気と熱交換可能に配置し、合流冷媒配管25から流出した冷媒を上記圧縮機3に返流させるようにしたことを特徴としている。
【0014】上記請求項3の空気調和機では、蒸発器1の出口側で各冷媒経路21、22に分流した冷媒を合流させ、合流した冷媒を蒸発器の外部に設けられた合流冷媒配管25をさらに通過させた後、圧縮機3に返流させている。この時、上記合流冷媒配管25は流通空気と熱交換可能に配置されているため、各分流冷媒経路21、22において偏流が生じたとしても、上記合流冷媒配管25で再蒸発され、その影響を軽減できる。また、圧縮機3に返流される冷媒の乾き度を適切なものとすることも可能となる。さらに上記合流冷媒配管25は、従来の空気調和機の空きスペースを利用して設けることができるため、構造を変更することなく容易に実施することが可能である。
【0015】請求項4の空気調和機は、上記合流冷媒配管25を蒸発器1の風上側に配置することを特徴としているが、この構成によれば、合流冷媒配管25は蒸発器1を通過する前の空気、すなわち比較的高温の空気と熱交換することになり、そのため上記偏流解消作用が一段と向上する。
【0016】また請求項5の空気調和機は、上記蒸発器1の入口は、上記合流冷媒配管25と熱交換した空気が流通しない位置に配置することを特徴としている。
【0017】上記請求項5の空気調和機では、上記合流冷媒配管25と熱交換した空気が、下流側に何等かの影響を及ぼすのを防止でき、例えば暖房性能が低下するのを防ぐことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、この発明の空気調和機の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】図5は、上記空気調和機の冷媒回路図である。この冷媒回路では、インバータによって圧縮能力可変に制御される圧縮機3の吐出側と吸入側との間に、四路切換弁5の1次ポートが接続されている。そしてこの四路切換弁5の2次ポートの間に、第1ガス管6、室外熱交換器2、第1液管7、電動膨張弁4、第2液管8、室内熱交換器1、第2ガス管9が順次に接続されている。そして上記四路切換弁5を実線方向に接続することにより、上記室外熱交換器2を凝縮器として機能させるとともに室内熱交換器1を蒸発器として機能させ、冷房運転を行うことができる。一方、上記四路切換弁5を破線方向に接続することにより、上記室外熱交換器2を蒸発器として機能させるとともに室内熱交換器1を凝縮器として機能させ、暖房運転を行うことができる。
【0020】図1は、上記室内熱交換器1の部分斜視図である。この室内熱交換器1は、前面側熱交換器10と背面側熱交換器20とを逆V字状に連結して構成されている。上記第2液管8の端部に分流器11が接続されているが、この分流器11は絞り機能を有しない構造のものである。そして上記第1分流器11から第1分流冷媒経路21と第2分流冷媒経路22との2つの冷媒経路が分岐している。第1分流冷媒経路21は、主として上記前面側熱交換器10の中間部から上側部を通り、再び中間部に戻るように延設されている。また第2分流冷媒経路22は、上記前面側熱交換器10の中間部から下側部を通り、再び中間部に戻るように延設されている。そして両分流冷媒経路21、22は、前面側熱交換器10の中間部から延びて、合流器12で合流する。この合流器12からは、単一の合流冷媒経路24が延設されている。この合流冷媒経路24は背面側熱交換器20の上側部から下側部へ延設され、上記第2ガス管9に接続されている。そして合流冷媒経路24の流通断面積を、両分流冷媒経路21、22の流通断面積の約2倍以上としている。
【0021】次に、上記室内熱交換器1における冷媒の流れを説明する。実線矢印Eは、この室内熱交換器1が蒸発器として機能する場合の冷媒流を示している。電動膨張弁4で減圧され気液混合状態の2相流となった冷媒は、まず分流器11へ流入する。そしてこの分流器11で第1分流冷媒経路21及び第2分流冷媒経路22の2経路に分流する。このとき分流器11の入口側の第2液管8は斜め横方向に延びているから、重力の影響によって液成分は管内の下方に偏在し、ガス成分は上方に偏在することになる。この偏在は、上記圧縮機3を圧縮能力が小さくなるよう制御している場合に顕著となる。従ってこのような場合には、前面側熱交換器10の下側部を流通する第2分流冷媒経路22内は乾き度が小さく、前面側熱交換器10の上側部を流通する第1分流冷媒経路21内は過熱度が大きいものとなる。この点は従来の空気調和機と同様である。しかしながらこの空気調和機では、第1分流冷媒経路21及び第2分流冷媒経路22を流通した冷媒を合流器12で再び合流させ、背面側熱交換器20内に設けられた単一の合流冷媒経路24に流通させている。そしてこの合流冷媒経路24から第2ガス管9を介して、冷媒は圧縮機3に返流される。
【0022】上記では、蒸発器として機能する室内熱交換器1の出口側にあたる背面側熱交換器20において、乾き度の小さい冷媒経路と過熱度が大きい冷媒経路とが併存することはない。従って合流冷媒経路24の乾き度が所定のものとなるように上記電動膨張弁4を制御すれば、圧縮機3に液冷媒が返流して信頼性が損なわれるという問題を確実に回避することができる。一方、前面側熱交換器10では乾き度の小さい冷媒経路22と過熱度が大きい冷媒経路21とが併存する。しかしながら上記合流冷媒経路24の過熱度が所定のものとなるよう上記電動膨張弁4で制御することにより、第2分流冷媒経路22及び第1分流冷媒経路21の過熱度も制御できるので、室内熱交換器1で十分な蒸発を行ってシステム性能を向上させることができる。そして合流冷媒経路24の流通断面積を両分流冷媒経路21、22の流通断面積の約2倍以上としているので、合流冷媒経路24での圧力損失を減少させ、良好な冷房性能を維持することができる。
【0023】図2は、上記空気調和機の変形例を示す室内熱交換器1の部分斜視図である。この室内熱交換器1では、第1分流冷媒経路21を主として背面側熱交換器20に設けるとともに、第2分流冷媒経路22を前面側熱交換経路10に設けている。そして合流器12から延びる合流冷媒経路24は、前面側熱交換器10に1往復分だけ設けている。またこの場合にも、合流冷媒経路24の断面積を両分流冷媒経路21、22の断面積の約2倍以上としている。そしてこのような空気調和機においても上記と同様に、合流冷媒経路24の乾き度が所定のものとなるように上記電動膨張弁4を制御すれば、圧縮機3に液冷媒が返流して信頼性が損なわれるという問題を確実に回避することができる。また合流冷媒経路24の過熱度が所定のものとなるよう上記電動膨張弁4で制御することにより、第2分流冷媒経路22及び第1分流冷媒経路21の過熱度も制御できるので、室内熱交換器1で十分な蒸発を行ってシステム性能を向上させることができる。
【0024】図3は、上記空気調和機の第2の実施形態を示す室内熱交換器1の部分斜視図である。これは上記第1の実施形態の変形例に、熱交換機能を備えた合流冷媒配管25を加えたもので、上記合流冷媒配管25には、略Uの字状に折り曲げられた銅製のパイプが使用されている。そしてこの実施形態において上記合流冷媒配管25は、背面側熱交換器20の風上側に位置し、その長手方向が上記室内熱交換器1の長手方向に沿って略平行になるように配置されている。これより、上記合流器12から延びる合流冷媒経路24を流通した冷媒は、上記合流冷媒配管25を通ることによって再度熱交換が行われ、上記第2ガス管9を介して圧縮器3に返流されるよう構成されている。
【0025】このような空気調和機においては、上記合流冷媒経路24及び合流冷媒配管25の乾き度が所定のものとなるように上記電動膨張弁4を制御すれば、圧縮機3に液冷媒が返流して信頼性が損なわれるという問題を確実に回避することができる。また上記合流冷媒経路24及び合流冷媒配管25の過熱度が所定のものとなるよう上記電動膨張弁4で制御することにより、第2分流冷媒経路22及び第1分流冷媒経路21の過熱度も制御できるので、室内熱交換器1と合流冷媒配管25とで十分な蒸発を行ってシステム性能を向上させることができる。また、上記合流冷媒配管25を背面側熱交換器20の風上側に設けたことによって、上記合流冷媒配管25は、蒸発器1を通過する前の空気、すなわち比較的高温の空気と熱交換することになる。この結果、上記偏流解消作用を一段と向上させることがきる。
【0026】図4は、上記空気調和機の第2の実施形態の変形例を示す室内熱交換器1の部分斜視図である。この室内熱交換器1は、上記第1分流器11から第1分流冷媒経路21と、第2分流冷媒経路22と、第3分流冷媒経路23との3つの冷媒経路が分岐している。第1分流冷媒経路21は、主として背面側熱交換器20の上側部から下側部を通り、再び中間部に戻るように延設されている。また第2分流冷媒経路22は前面側熱交換器10の中間部から上側部を通り、再び中間部に戻るように延設されている。さらに第3分流冷媒経路23は、上記前面側熱交換器10の中間部から下側部を通り、再び中間部に戻るように延設されている。そして上記分流冷媒経路21、22は、前面側熱交換器10の中間部から、また上記分流冷媒経路24は、背面側熱交換器20の中間部から延びて、合流器12でそれぞれ合流するようになっている。そして、この合流器12からは単一の合流冷媒配管25が延設されており、上記第2ガス管9に接続されている。またこの実施形態において、上記合流冷媒配管25にはUの字状に折り曲げられた銅製のパイプが使用されており、上記合流冷媒配管25は、前面側熱交換器10の風上側に位置し、その長手方向が前面側熱交換器10の長手方向に沿って略平行になるように配置されている。これより、上記第1〜第3分流冷媒経路21、22、23を流通した冷媒は、合流器12で再び合流し、前面側熱交換器10の風上側に設けられた単一の合流冷媒配管25に流通している。そしてこの合流冷媒配管25から第2ガス管9を介して、冷媒は圧縮機3に返流される。
【0027】このような空気調和機においても、上記と同様に、合流冷媒配管25の乾き度が所定のものとなるように上記電動膨張弁4を制御すれば、圧縮機3に液冷媒が返流して信頼性が損なわれるという問題を確実に回避することができる。また、合流冷媒配管25の過熱度が所定のものとなるように上記電動膨張弁4を制御することにより、第1〜第3の各分流冷媒経路21、22、23の過熱度も制御できるので、室内熱交換器1と合流冷媒配管25とで十分な蒸発を行ってシステム性能を向上させることができる。さらに上記合流冷媒配管25は、室内熱交換器の空きスペースを利用して設けることができるため、従来の構造をそれほど変更することなく容易に実施することが可能である。また、上記合流冷媒配管25を前面側熱交換器10の風上側に設けたことによって、上記合流冷媒配管25は、蒸発器1を通過する前の空気、すなわち比較的高温の空気と熱交換することになる。この結果、上記偏流解消作用を一段と向上させることがきる。
【0028】上記図4に示す実施の形態において、上記合流冷媒配管25は、上記室内熱交換器1の冷媒入口とは重ならない位置に配置しておくのが好ましい。すなわち、上記合流冷媒配管25と熱交換した空気が流通しない位置に、蒸発器として機能する室内熱交換器1の冷媒入口を配置するのである。これは上記室内熱交換器1が凝縮器として機能する暖房運転時における性能低下を抑制するためである。つまり暖房運転時には上記合流冷媒配管25が高温冷媒の入口となり、上記冷房時入口が冷媒出口となる訳であるが、このような状態において、上記合流冷媒配管25で熱交換した高温空気が室内熱交換器1の出口側に影響を及ぼすと、冷媒の過冷却度が低下し、空調性能の低下を招くことになってしまうのであり、これを防止するため合流冷媒配管25を上記のように配置しているのである。
【0029】以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。上記では室内熱交換器1に合流冷媒経路を設ける場合を説明したが、上記のような合流冷媒経路は、蒸発器として機能する室外熱交換器2に設けてもよい。特に空気調和機を暖房専用機として構成した場合には、室外熱交換器2が蒸発器として機能するから、上記合流冷媒経路は室外熱交換器2に設けることになる。一方、空気調和機を冷房専用機として構成した場合には上記合流冷媒経路を室内熱交換器1に設けることになるが、冷暖両用機として空気調和機を構成する場合には、室内熱交換器1と室外熱交換器2とのうちいずれに設けてもよいし、両方に設けてもよい。また上記では合流冷媒配管25を室内熱交換器1の風上側に配置したがこれに限定されるものではなく、空気の流通が行われている場所、例えば室内熱交換器1の側方等に配置することも可能である。
【0030】
【発明の効果】上記請求項1の空気調和機では、分流冷媒経路において偏流が生じたとしても、合流冷媒経路で再蒸発され、その影響を軽減できる。そのため冷媒経路の過熱度を適度なものとしつつ、圧縮機に返流される冷媒の乾き度を適切なものとすることができ、従ってシステム性能の最適化を図りつつ、圧縮機の信頼性を確保することが可能となる。
【0031】また請求項2の空気調和機では、合流冷媒経路での圧力損失を抑制することができるので、良好な冷房性能を維持することが可能となる。
【0032】上記請求項3の空気調和機では、各分流冷媒経路において偏流が生じたとしても、合流冷媒配管で再蒸発され、その影響を軽減できる。そのため冷媒経路の過熱度を適度なものとしつつ、圧縮機に返流される冷媒の乾き度を適切なものとすることも可能である。また上記合流冷媒配管は、従来の空気調和機の空きスペースを利用して設けることができるため、構造を変更することなく容易に実施することが可能である。
【0033】また請求項4の空気調和機では、上記合流冷媒配管は蒸発器を通過する前の空気、すなわち比較的高温の空気と熱交換することになり、そのため上記偏流解消作用が一段と向上する。
【0034】上記請求項5の空気調和機では、上記合流冷媒配管と熱交換した空気が、下流側に何等かの影響を及ぼすのを防止でき、例えば暖房性能が低下するのを防ぐことができる。
【出願人】 【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
【出願日】 平成11年9月1日(1999.9.1)
【代理人】 【識別番号】100084629
【弁理士】
【氏名又は名称】西森 正博
【公開番号】 特開2000−266427(P2000−266427A)
【公開日】 平成12年9月29日(2000.9.29)
【出願番号】 特願平11−247160